JP4027520B2 - コード位相設定方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトル拡散通信技術に使用される符号器のコード位相設定方法、PN符号器、GOLD符号器及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明が主に適用されるスペクトラム拡散通信技術は、妨害や干渉に強く秘話性にも富むCDMA(code division multiple access、符号分割多元接続)に用いられている技術であり、デジタル符号化した音声信号を拡散符号により変調し、複数チャネルの信号を同一周波数帯域で多重化して送信し、受信側では送信側と同一の拡散符号を用いて復調(逆拡散)を行なう技術である。スペクトラム拡散通信方式に使用される拡散符号としてはPN符号又はGOLD符号が用いられている。なお、GOLD符号は2つのM系列符号のEXOR(排他的論理和)をとって得られる符号系列である。
【0003】
図1はCDMAにおける通話チャネルの割り当て方法の概念を示すイメージ図である。同一周波数帯域でチャネル毎に固有の符号を用いて通話を割り当てていることを示している。同図中の時間Tにおける周波数軸−電力軸の面で示すように、符号によりチャネルが電力方向すなわちスペクトル強度の方向に割り当てられる。
【0004】
図2はスペクトル拡散技術を用いた通信システムの構成例を示す図である。同図に示すように、送信機10において、拡散符号器12からの拡散符号と送信データが、EXOR回路14においてEXORをとられることにより拡散変調され、高周波回路16を介して送信され、受信機20では、受信したデータを拡散変調で用いた符号系列と同一の時間波形を持つ拡散符号により復調(逆拡散)することにより再生データを得る。
【0005】
図3は上記の動作をタイムチャートで示した図である。同図に示すように、この例では、拡散符号は送信データの1ビット区間幅に比べて速い速度で切り替わる矩形波である。上述したように、送信側で拡散変調を受けている受信信号(D点)は、B点の拡散符号と同一の時間波形であるE点の受信側拡散符号により復調(逆拡散)されて、F点における再生データとなる。
【0006】
図4は、拡散符号器として使用されるPN(Pseudo Random、擬似ランダム))符号器の従来技術による構成例を示す図である。同図に示すように、PN符号器はFF(フリップフロップ)30〜34が縦続結合したシフトレジスタとEXOR(排他的論理和)回路35から構成されている。この例では、生成多項式X5+X3+1に従い符号が生成される。なお、本PN符号器はM系列符号器である。
【0007】
本PN符号器の動作は次の通りである。
初期状態として各FFには初期値が設定され、クロックパルスに従って記憶内容を右隣のFFにシフトしていき、FF34における値がその時刻におけるPN系列の出力となる。また、FF32からの出力X3とFF34からの出力X5はEXOR回路35においてEXORをとられ、その結果がFF30に入力される。
【0008】
図5は、図4に示すPN符号器における状態遷移を示す表である。同図に示すように、0位相としてのX1〜X5が全て1の状態から、30位相としてのX1〜X4が1でありX5が0の状態にレジスタ値が遷移する。31位相で0位相の値に戻り、31位相からは位相値0からの状態遷移と同じ状態遷移を繰り返す。図6は拡散符号器として図4に示すPN符号器の他に使用される符号器であるGOLD符号器の構成を示す図である。同図に示すように、GOLD符号器は2つのM系符号器からの出力をEXOR処理して符号を生成する。M系符号器は例えば図4に示したPN符号器が使用できる。なお、GOLD符号は非M系列符号である。
【0009】
上述したPN符号器において必要な位相値をシフトレジスタに設定する場合には、1つ又は複数の位相の値を予めメモリに記憶しておき、記憶した位相の値の1つを初期値としてシフトレジスタに設定し、必要回数だけシフトさせることにより必要な値をシフトレジスタに設定する。
例えば、0位相と15位相の値があらかじめ記憶されていて、PN符号器中のシフトレジスタに14の位相の値を設定する場合には、まず初期値としてシフトレジスタに0位相の値を設定し、14回シフトさせることにより14位相の値を設定する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によると、初期位相からのシフト回数が多い場合に、必要な位相値を設定するまでの時間が多くかかるという問題点がある。また、予め記憶しておく位相値を増加させると、メモリ領域が増大してしまうという問題点がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、符号器の位相設定時間を短縮させるコード位相設定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は次のように構成される。
本発明は、シフトレジスタと排他的論理和回路とを有するPN符号器におけるコード位相設定方法であって、該シフトレジスタに初期値を設定する初期値設定を行ない、該シフトレジスタの値をシフトさせる第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択し、該シフトレジスタの値を該選択した方向に必要な回数だけシフトさせることによりコード位相を設定する。
【0013】
本発明により、シフトレジスタ値が従来とは逆の方向にもシフトすることが可能となるため、初期値からより短時間で目的のコード位相を設定することが可能となる。
上記構成において、初期値は1種類であり、前記シフトレジスタを該初期値にリセットすることにより初期値設定を行なうようにしてもよい。
【0014】
本発明により、初期値設定を迅速に行なうことができる。
また、上記構成において、初期値を複数種類準備しておき、該複数種類の初期値のうち設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定することにより初期値設定を行なうこともできる。
本発明により、目的のコード位相に最も近い初期値を選択することとしたため、よりシフト数が少なく、すなわち短時間で目的のコード位相を設定することが可能となる。
【0015】
上記目的を達成するために本発明は次のように構成しても良い。
本発明は、シフトレジスタと排他的論理和回路を有するPN符号器であって、該シフトレジスタの値をシフトさせる場合に第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択する手段と、該シフトレジスタに設定されている値を該選択した方向にシフトさせる手段とを有する。
【0016】
本発明により、シフトレジスタ値が従来とは逆方向にもシフトすることとしたため、符号器の状態を任意の位相まで戻すことが可能となり、より短時間で目的のコード位相を設定することが可能となる。
上記目的を達成するために本発明は次のように構成しても良い。
本発明は、上記のPN符号器をM系列符号器として有するGOLD符号器である。
【0017】
本発明により、GOLD符号器においても上述した作用効果を得ることができる。
上記目的を達成するために本発明は次のように構成しても良い。
本発明は、符号分割多元接続(CDMA)通信に使用される変復調装置であって、シフトレジスタと、排他的論理和回路と、該シフトレジスタの値をシフトさせる場合に第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択する手段と、該シフトレジスタに設定されている値を該選択した方向にシフトさせる手段とを有するPN符号器と、該シフトレジスタに初期値を設定する初期値設定手段と、該シフトレジスタの初期値を該選択した方向に必要な回数だけシフトさせることによりコード位相を設定する手段と、該コード位相の符号を用いて変復調を行なう手段とを有する。
【0018】
本発明により、PN符号器において使用するシフトレジスタ値が従来とは逆方向にもシフトすることとしたため、符号器の状態を任意の位相まで戻すことが可能となり、より短時間で目的のコード位相を設定することが可能となり、従来よりも迅速に変復調を行なうことが可能となる。
上記構成において、初期値設定手段は、該初期値を複数種類記憶しておく手段と、該複数種類の初期値のうち設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定する手段とを有してもよい。
【0019】
本発明により目的のコード位相に最も近い初期値を選択できるため、よりシフト数が少なく、すなわち短時間で目的のコード位相を設定することが可能となる。
また、本発明は、上記の変復調装置を含む符号分割多元接続(CDMA)通信端末装置である。
【0020】
本発明によれば、従来よりも動作の速い端末装置を得ることができる。
上記目的を達成するために本発明は次のように構成しても良い。
本発明は、符号分割多元接続(CDMA)通信に使用される変復調装置であって、シフトレジスタと、排他的論理和回路と、該シフトレジスタの値をシフトさせる場合に第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択する手段と、該シフトレジスタに設定されている値を該選択した方向にシフトさせる手段とを有するPN符号器からなるGOLD符号器と、該シフトレジスタに初期値を設定する初期値設定手段と、該シフトレジスタの初期値を該選択した方向に必要な回数だけシフトさせることによりコード位相を設定する手段と、該コード位相の符号を用いてGOLD符号を生成し、該GOLD符号を用いて変復調を行なう手段と
を有する。
【0021】
上記構成において、初期値設定手段は、該初期値を複数種類記憶しておく手段と、該複数種類の初期値のうち設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定する手段とを有してもよい。
また、本発明は、上記の変復調装置を含む符号分割多元接続(CDMA)通信端末装置である。
【0022】
上記の発明によれば、GOLD符号器を用いた装置においても、本発明のPN符号器を用いた装置と同様の作用効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図7は本発明の実施例の概要を示す図である。同図に示すように、本PN符号器は図4に示したPN符号器と同様に、FF(フリップフロップ)40〜44が縦続結合したシフトレジスタとEXOR(排他的論理和)回路45から構成され、生成多項式X5+X3+1に従い符号が生成される。本実施例におけるシフトレジスタは、図4に示すシフトレジスタと異なり、右方向のシフトと共に必要に応じて逆方向(左方向)へのシフトが可能となっている。
【0024】
図8は、逆方向シフトの場合の状態遷移を示す図である。同図に示すように、0位相のシフトレジスタの値をX1〜X5全て1として逆方向にシフトさせた場合の状態遷移は、図5に示した右方向の状態遷移における31位相から位相が戻る方向での遷移と同一の状態遷移となる。例えば、図8において0位相から3回シフトした3位相の値(X1=1、X2=1、X3=0、X4=0、X5=1)は、図5において31位相から3位相分戻った28位相の値と同一となる。
【0025】
したがって、0位相の値を初期値として設定した場合に図5における28位相の値を設定するには、従来技術によるPN符号器を用いると28サイクルのシフトが必要となるが、本発明のPN符号器を用いれば逆方向にシフトさせることができるので3サイクルで設定できる。
また、初期値として0及び15位相の値が予め記憶してあって、図5における14位相を設定する場合に、従来のPN符号器を用いると14サイクル必要であるが、本発明のPN符号器を用いれば、初期値として15位相の値を設定して逆方向にシフトさせることにより1サイクルで設定することができる。
【0026】
図9は本発明のPN符号器のシフトレジスタの詳細構成を示す図である。図9を用いて動作を説明する。
図9においては図7に示すFFのうちの1部を示している。同図に示すように、各FFの間に信号を選択するセレクタを備えている。FF41からの信号A及びFF43からの信号Bがセレクタ50に入力され、シフト方向選択信号Cに従い、順方向シフトであれば信号Aを選択し、逆方向シフトであれば信号Bを選択してFF42に信号を入力する。他のFFにおいても同様の動作が行なわれることにより、両方向シフトが可能なシフトレジスタが実現される。シフト方向選択信号の内容はPN符号器内部で決定されるように構成することも、PN符号器外部で決定され送信されてくる構成にすることもどちらでも可能である。
【0027】
また、本発明のGOLD符号器は、図6に示す構成において、M系列符号器1及び2に本発明のPN符号器を使用するものである。
図10は本発明のPN符号器を使用するCDMA端末装置の構成例を示す図である。同図に示すように、本端末装置は、信号を送受信するためのアンテナ70及び高周波回路60、信号の変復調を行なう変復調器62、チャネル信号の符号化・復号化を行なうチャネルコーデック部64、無線回路制御部(CPU)66、音声を符号化・復号化を行なう音声符号化部(DSP)68、スピーカ72、マイク74を有している。変復調器62に前述した本発明のPN符号器又はGOLD符号器が使用され、図2及び図3で説明した拡散変調及び復調が行なわれる。
【0028】
本実施例のPN符号器又はGOLD符号器は半導体集積回路で構成され得る。また、PN符号器又はGOLD符号器を含む本実施例の変復調器も半導体集積回路で構成され得る。
本発明のPN符号器は、M系列符号器を使用する装置であればCDMAに関する装置以外の装置にも適用することが可能である。
【0029】
なお、本発明は上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々変更・応用が可能である。
【0030】
【発明の効果】
上記のように、本発明のPN符号器又はGOLD符号器によれば、符号器中のシフトレジスタを逆方向にシフトさせることにより位相を設定することを可能としたため、初期値を記憶するメモリ領域を増大させることなく位相設定時間を短縮することが可能となる。
【0031】
したがって、本発明のPN符号器又はGOLD符号器を使用することにより、CDMA通信に使用する変復調装置及びその変復調装置を使用する端末装置において、メモリ量を増大させることなく、動作の高速化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CDMAにおける通話チャネル割り当てのイメージ図である。
【図2】スペクトル拡散通信技術における通信システムの概略構成図である。
【図3】図2に示す構成の動作を示すタイムチャートである。
【図4】従来のPN符号器の構成図である。
【図5】図4に示すPN符号器の状態遷移を示す図である。
【図6】GOLD符号器の構成図である。
【図7】本発明における実施例のPN符号器の構成図である。
【図8】図7に示すPN符号器における逆方向シフトの状態遷移を示す図である。
【図9】本発明における実施例のPN符号器のシフトレジスタの詳細構成図である。
【図10】CDMA端末装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 送信機
20 受信機
12、22 拡散符号器
14、26、35、45 EXOR回路
16、26、60 高周波回路
30〜34 FF(フリップフロップ)
40〜44 FF(フリップフロップ)
50、51 セレクタ
62 変復調回路
64 チャネルコーデック部
66 無線回路制御部(CPU)
68 音声符号化部(DSP)
70 アンテナ
72 スピーカ
74 マイク

Claims (7)

  1. シフトレジスタと排他的論理和回路とを有するPN符号器におけるコード位相設定方法であって、
    複数種類準備された初期値のうち、該シフトレジスタに設定させるべきコード位相に対して、該シフトレジスタの値をシフトさせる方向である第1の方向及び第2の方向にある初期値の中から、該設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定する初期値設定を行ない、
    該シフトレジスタに設定された初期値と前記設定させるべきコード位相の情報から、該シフトレジスタの値をシフトさせる第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択し、
    該シフトレジスタの値を該選択した方向に必要な回数だけシフトさせることによりコード位相を設定することを特徴とするコード位相設定方法。
  2. シフトレジスタと排他的論理和回路を有するPN符号器であって、
    複数種類準備された初期値のうち、該シフトレジスタに設定させるべきコード位相に対して、該シフトレジスタの値をシフトさせる方向である第1の方向及び第2の方向にある初期値の中から、該設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定する初期値設定手段と、
    該シフトレジスタに設定された初期値と前記設定させるべきコード位相の情報から、該シフトレジスタの値をシフトさせる場合に第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択する手段と、
    該シフトレジスタに設定されている値を該選択した方向にシフトさせる手段と、
    を有することを特徴とするPN符号器。
  3. 請求項に記載のPN符号器をM系列符号器として有することを特徴とするGOLD符号器。
  4. 符号分割多元接続(CDMA)通信に使用される変復調装置であって、
    シフトレジスタと、排他的論理和回路と、複数種類準備された初期値のうち、該シフトレジスタに設定させるべきコード位相に対して、該シフトレジスタの値をシフトさせる方向である第1の方向及び第2の方向にある初期値の中から、該設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定する初期値設定手段と、該シフトレジスタに設定された初期値と前記設定させるべきコード位相の情報から、第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択する手段と、該シフトレジスタに設定されている値を該選択した方向にシフトさせる手段とを有するPN符号器と、
    該シフトレジスタの初期値を該選択した方向に必要な回数だけシフトさせることによりコード位相を設定する手段と、
    該コード位相の符号を用いて変復調を行なう手段と
    を有することを特徴とする変復調装置。
  5. 請求項に記載の変復調装置を含むことを特徴とする符号分割多元接続(CDMA)通信端末装置。
  6. 符号分割多元接続(CDMA)通信に使用される変復調装置であって、
    シフトレジスタと、排他的論理和回路と、複数種類準備された初期値のうち、該シフトレジスタに設定させるべきコード位相に対して、該シフトレジスタの値をシフトさせる方向である第1の方向及び第2の方向にある初期値の中から、該設定させるべきコード位相に最も近い初期値を前記シフトレジスタに設定する初期値設定手段と、該シフトレジスタに設定された初期値と前記設定させるべきコード位相の情報から、第1の方向及び第2の方向のうちのいずれかを選択する手段と、該シフトレジスタに設定されている値を該選択した方向にシフトさせる手段とを有するPN符号器からなるGOLD符号器と、
    該シフトレジスタの初期値を該選択した方向に必要な回数だけシフトさせることによりコード位相を設定する手段と、
    該コード位相の符号を用いてGOLD符号を生成し、該GOLD符号を用いて変復調を行なう手段とを有することを特徴とする変復調装置。
  7. 請求項に記載の変復調装置を含むことを特徴とする符号分割多元接続(CDMA)通信端末装置。
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