JP4027194B2 - プラズマディスプレイパネル用基板、プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイ装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用基板、プラズマディスプレイパネル及びプラズマディスプレイ装置 Download PDF

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    • H01J2211/323Mutual disposition of electrodes

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」とも呼ぶ)用基板、PDP及びプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図23に、特開平9−102280号公報に開示された、放電不活性膜を備えるPDP51Pを説明するための斜視図を示す。図23のPDP51Pはいわゆる面放電型のAC型PDPである。PDP51Pは、前面基板51FPと、背面基板51Rと、両基板51FP,51R間に配置されたバリアリブ7及び蛍光体8とに大別される。
【0003】
前面基板51FPは、前面ガラス基板5と、複数の維持放電電極X,Yと、誘電体層3と、カソード膜11と、放電不活性膜21Pとを含んでいる。詳細には、前面ガラス基板5の主面上に複数の維持放電電極X,Yが交互に第1方向D1に並んでおり、且つ、維持放電電極X,Yは第1方向D1に交差する(ここでは直交する)第2方向D2に伸長している。交互に並ぶ複数の維持放電電極X,Yは隣接する2本ずつが互いに対を成しており、対を成す2本の維持放電電極(以下「維持放電電極対」とも呼ぶ)X,Yは放電ギャップ部DGを介して配置されている。なお、隣接する維持電極対X,Y間の部分を「隣接維持放電電極対間ギャップ部(又は「電極対間ギャップ部」)NG」と呼ぶことにする。
【0004】
対を成す維持放電電極X,Yは第2方向D2に伸長する表示ラインLを規定し、図23では対を成す維持放電電極X,Y間にないしは放電ギャップ部DGに1点鎖線で以て模式的に表示ラインLを図示している。このとき、第2方向D2に伸長した各放電ギャップ部DGは各表示ラインLに対応する。
【0005】
維持放電電極X,Yは透明電極1及びバス電極2から成る。具体的には、透明電極1は第2方向D2に伸長している。対を成す維持放電電極X,Yの透明電極1は上記放電ギャップ部DGを介して配置されている。各透明電極1上にはバス電極2が第2方向D2に沿って伸長しており、当該バス電極2は放電ギャップ部DGから遠い側に配置されている。バス電極2は金属を主成分とし、透明電極1に電圧を供給する役割を果たす。なお、維持放電電極X,Yにおいて、透明電極1のうちでバス電極2が載っていない部分を「透明部」と呼び、透明電極1のうちでバス電極2が載っている部分すなわち透明部以外の部分を「金属電極部」と呼ぶことにする。
【0006】
維持放電電極X,Yを覆って前面ガラス基板5の主面上に誘電体層3及びカソード膜11がこの順序で形成されている。なお、カソード膜11はMgOを蒸着することにより形成される。
【0007】
更に、PDP51Pでは、カソード膜11上に放電不活性膜21Pが形成されている。具体的には、放電不活性膜21Pは複数の帯状パターンから成り、全体的にはストライプ状をしている。放電不活性膜21Pの各帯状パターンは、(前面基板51FPないしは前面ガラス基板5の主面の)平面視において、隣接する表示ラインL間に配置された2つのバス電極2(それぞれは隣接するが異なる維持放電電極対X,Yに属する)上及び当該2つのバス電極2間に配置されている。換言すれば、放電不活性膜21Pの各帯状パターンは、上記平面視において、隣接するが対を成さない維持放電電極X,Yの両金属電極部上及び当該両金属電極部間の電極対間ギャップ部NG上に配置されている。
【0008】
このように、カソード膜11上に放電不活性膜21Pが形成されているので、誘電体層3上方にはカソード膜11の露出表面11S及び放電不活性膜21Pの露出表面21SPが配置されている。このとき、放電不活性膜21Pの上述のパターンに起因して、カソード膜11の露出表面11Sは表示ラインLに対応する領域に設けられている。
【0009】
他方、背面基板51Rは、背面ガラス基板9と、複数のアドレス電極6(又はW)と、オーバーグレーズ層10とを含んでいる。詳細には、背面ガラス基板9の主面上に複数のアドレス電極6(又はW)が第2方向D2に並んでおり、第1方向D1に、従って維持放電電極X,Yと(立体)交差する方向に伸長している。アドレス電極6を覆って背面ガラス基板9の主面上にオーバーグレーズ層10が形成されている。
【0010】
更に、オーバーグレーズ層10上にバリアリブ7が配置されている。具体的には、バリアリブ7は複数の帯状パターンから成り、全体的にはストライプ状をしている。バリアリブ7の各帯状パターンは、(背面基板51Rないしは背面ガラス基板9の主面の)平面視において、隣接するアドレス電極6間に第1方向D1に沿って配置されている。そして、バリアリブ7とオーバーグレーズ層10とが成す複数のU字型溝の内面上に蛍光体8が配置されている。なお、上記各U字型溝毎に赤,緑又は青を発する蛍光色8R,8G又は8Bが配置されている。
【0011】
前面基板51FPと背面基板51Rとは、バリアリブ7の頂部と放電不活性膜21Pとを当接させて、第1及び第2方向D1,D2の双方に交差する(ここでは直交する)第3方向D3に重ねられており、周縁において封着されている。このとき、PDP51P内には主としてバリアリブ7で区画された、より具体的には蛍光体8とカソード膜11と放電不活性膜21とで囲まれた複数の放電空間51Sが形成されている。そして、放電空間51S内はNe+Xe等の混合ガスで満たされている。なお、放電空間51Sはアドレス電極6に対面し、第1方向D1に伸長している。
【0012】
PDP51Pでは、維持電極対X,Yとアドレス電極6(又はW)との各(立体)交差点ないしは放電空間51Sと表示ラインLとの各交差点が1個の放電セル(以下、単に「セル」とも呼ぶ)に対応する。つまり、各表示ラインL上に複数の放電セルが並んでおり、全体としてはマトリクス状に配列された複数の放電セルで以てPDP51Pの表示領域が構成されている。
【0013】
さて、放電不活性膜21Pはカソード膜11を成すMgOよりも仕事関数の大きい材料、換言すればカソード膜11よりも2次電子を放出し難い材料、例えばAl23やTiO2等を主成分として含んでいる。このため、放電不活性膜21Pの下方に維持放電電極X,Yが存在していても、放電不活性膜21P上では放電が起こりにくい。一方、放電ギャップ部DG上方及び維持放電電極放電X,Yの透明部上方には放電不活性膜21Pよりも2次電子放出特性に優れたMgOから成るカソード膜11の露出表面11Sが放電空間51Sに露出している。従って、図23に示すように、対を成す維持放電電極X,Y間で発生する面放電50を、放電不活性膜21Pが存在しない領域に限定することができる。これにより、下記の効果(1),(2)及び(3)が得られる。
【0014】
(1)放電不活性膜21Pの露出表面21SPの面積を増やすことで、維持放電電極対X,Y間の面放電50の形成領域ないしは大きさを縮小することができるので、放電電流を抑えることができる。このため、維持放電電極X,Yを駆動する外部回路の負荷を減らすことができ、従って回路コストを低減することができる。
【0015】
(2)放電不活性膜21Pが無い場合、維持放電電極対X,Y間の面放電50はバス電極2上方にも広がる。このとき、面放電50の発生時の紫外線によって蛍光体8が発する可視光の一部はバス電極2に遮られて表示光として利用されない。これに対して、PDP51Pでは面放電50をバス電極2が無い上記透明部上方に偏在させることができるので、蛍光体8からの可視光が遮蔽される割合を少なくすることができる。従って、発光効率が向上する。
【0016】
(3)隣接する表示ラインL上の面放電50は放電不活性膜21P(の帯状パターン)で以てより確実に分離される。このため、電極対間ギャップ部NGを狭くしても隣接する表示ラインL間での誤放電を抑えることができる。従って、表示ラインLの高密度化すなわちディスプレイの高精細化に有利である。
【0017】
なお、隣接する表示ライン間に相当する部分を主に被覆するように配置された放電不活性膜は、上記特開平9−102280号公報の他に、特開平10−255664号公報、特開平10−333636号公報、特開2000−39866号公報、特開2000−100337号公報、特開2000−156166号公報、特開2001−147660号公報、及び、特開2001−176400号公報に開示される。
【0018】
さて、放電不活性膜21Pは、例えば、上記特開平9−102280号公報や上記特開2000−39866号公報に開示されるいわゆる蒸着リフトオフ法によってパターン形成される。かかる蒸着リフトオフ法によるパターニングでは、カソード膜11の表面上に写真製版法を用いてレジスト(放電不活性膜21Pの反転パターン形状を有する)を形成し、当該レジストを覆って放電不活性材料を蒸着し、最後に上記レジストをリフトオフする。蒸着リフトオフ法は写真製版法をベースとするパターン形成方法なので、放電不活性膜11の寸法形状に関する精度や維持放電電極X,Yのパターンに対する放電不活性膜11のパターン形成位置に関する精度に優れている。このため、上述の効果(1),(2)及び(3)が定量的にも安定して得られるという特長がある。しかし、写真製版、蒸着及びリフトオフという高コストなプロセスから成るので、蒸着リフトオフ法自体が高コストであるという問題がある。
【0019】
また、放電不活性膜の他のパターン形成方法として、Al23等の放電不活性材料を含んだ厚膜ペーストをスクリーン印刷法等を用いてカソード膜上に直接パターン形成し、焼成する方法がある。
【0020】
例えば特開2000−156166号公報には、維持放電電極の上方を被覆しないものの隣接維持放電電極対間ギャップ部の上方のMgO表面を被覆する低2次電子放出係数保護膜すなわち放電不活性膜を、上述のスクリーン印刷及び焼成によって、Al23等の特定材料を含んだ誘電体ガラスで形成する方法が開示されている。
【0021】
次に、PDP51Pの駆動方法を図24及び図25を参照しつつ説明する。なお、カソード膜11上に放電不活性膜21Pを備えた面放電AC型PDPの駆動方法として、特開平10−333636号公報、特開2000−39866号公報、及び、特開2001−147660号公報に開示される方法がある。
【0022】
図24は256階調のカラー画像を表示する際の画面のフィールド分割の一例を示した概念図である。この例では、1画面(メインフレーム)は8個のサブフィールドSF(第1サブフィールドSF1〜第8サブフィールドSF8)で構成されており、各サブフィールドSFはリセット期間REP、書込み期間AD、放電維持期間SUから成る。各サブフィードSFの放電維持期間SUはランク付け(重み付け)がなされており、具体的には、Nを自然数として、第(N+1)サブフィールドの放電維持期間SUの長さは、第Nサブフィールドのそれのほぼ2倍に設定されている。
【0023】
各サブフィールドの書込み期間ADにおいてアドレス電極6にパルス状の電圧が印加されることにより選択されたセル内には、放電維持期間SUに印加される維持パルスの数だけ維持放電が発生する。維持パルスの数は放電維持期間SUの長さにほぼ比例するので、書込み期間ADで選択されたセルの発光強度はサブフィールドSFが1つ進むにつれてほぼ倍増する。このとき、サブフィールドSF1〜SF8での発光/非発光(換言すればサブフィールドSF1〜SF8の選択/非選択)の組合せによって28=256水準の発光強度を制御することができる。つまり、1つのメインフレームでは256階調の表示が可能である。
【0024】
図25はPDP51Pの従来の駆動方法を説明するためのタイミングチャート(1つのサブフィールドSF分)である。当該駆動方法では、リセット期間REPは第1,第2及び第3期間RE1,RE2P,RE3から成る。第1期間RE1では、書込み電位Vwを有するパルスP1を全アドレス電極Wに印加することにより全ての放電セルに第1プライミングパルスを与える。続く第2期間RE2Pでは、全アドレス電極Wに電位Vwを有するパルスP2を印加すると共に全維持放電電極Xに電位Vxhを有するパルスP3Pを印加することにより、全ての放電セルに第2プライミングパルスを与える。かかる第1及び第2プライミングパルスによって、全ての放電セルの維持放電電極対X,Y間に、後続の動作を安定させるためのプライミング放電が発生する。その後、第3期間RE3では、維持放電電極X,Yに消去パルスを印加することにより、全ての放電セル内で壁電荷を初期化する。図25には、消去パルスとして維持放電電極Xに細幅消去パルスP4を印加する場合を図示している。なお、図25中の電位Vxm,Vymは中間電位であり、電位Vybはスキャンベース電位である。
【0025】
続いて、書込み期間ADでは、n本(nは自然数)の維持放電電極Y(Y1〜Yn)を順次にスイッチングすることによって表示ラインLを順次に選択し(走査し)、当該順次選択(すわなち走査)に同期して各アドレス電極Wに、対応のセルの選択/非選択の別を示す画像信号を印加する。これにより、選択されたセル内には維持放電電極対X,Y間に書込み放電が発生し、壁電荷が蓄えられる。
【0026】
次に、放電維持期間SUでは、維持放電電極X,Y間に維持パルスを交流的に所定回数、印加する。これにより、先行の書込み期間ADで選択されたセル内には、維持パルスと上記壁電荷との相乗作用で所定回数の維持放電が発生する。一方、書込み期間ADで選択されなかったセルは維持放電を開始するのに必要な上記壁電荷を持たないので、維持放電が生じない。このようにして、所望の画像を得ることができる。
【0027】
なお、PDPに関する技術は例えば特許文献1〜21及び非特許文献1〜5において紹介されている。なお、特許文献3は特許文献2と対応し、特許文献5は特許文献4と対応し、特許文献15は特許文献14と対応する。
【0028】
【特許文献1】
特開平9−102280号公報
【特許文献2】
特開平10−255664号公報
【特許文献3】
米国特許第6,137,226号明細書
【特許文献4】
特開平10−333636号公報
【特許文献5】
米国特許第6,031,329号明細書
【特許文献6】
特開2000−39866号公報
【特許文献7】
特開2001−147660号公報
【特許文献8】
特開2002−56775号公報
【特許文献9】
特開平10−149774号公報
【特許文献10】
特開2001−160361号公報
【特許文献11】
特開2000−100337号公報
【特許文献12】
特開2000−156166号公報
【特許文献13】
特開2001−176400号公報
【特許文献14】
特開2000−113828号公報
【特許文献15】
欧州特許出願公開第993017号明細書
【特許文献16】
特開平9−237580号公報
【特許文献17】
特開2000−195431号公報
【特許文献18】
特開2000−311612号公報
【特許文献19】
特開平10−233171号公報
【特許文献20】
特開2001−183999号公報
【特許文献21】
特開2001−15034号公報
【特許文献22】
特開平11−149873号公報
【特許文献23】
特開2002−83545号公報
【非特許文献1】
Kimio Amemiya,Toshihiro Komaki,Takashi Nishio,High Luminous Efficiency and High Definition Coplanar AC-PDP with "T"-shaped Electrodes,"Proceedings of the 5th International Display Workshops(IDW'98)",pp.531-534
【非特許文献2】
Y.Hashimoto,Y.Seo,O.Toyoda,K.Betsui,T.Kosaka,and F.Namiki,High-Luminance and Highly Luminous-Efficient AC-PDP with DelTA Cell Structure,"Society for Information Display 2001(SID 01)DIGEST",pp.1328-1331
【非特許文献3】
Y.Tanaka,H.Honma,H.Hasegawa,N.Aibara,T.Nakamura,A new progressive driving scheme for a PDP with "CASTLE" structure,"Proceedings of The 21st International Display Research Conference in conjunction with The 8th International Display Workshops (Asia Display/IDW'01)",pp.869-872
【非特許文献4】
H.Hirakawa,T.Shiizaki,H.Nakahara,Y.Kawanami,M.Tajima,An Advanced Progressive Driving Method for PDP with Horizontal Barrier Ribs and Common Electrodes,"Proceedings of The 21st International Display Research Conference in conjunction with The 8th International Display Workshops (Asia Display/IDW'01)",pp.1757-1758
【非特許文献5】
T.Komaki,H.Taniguchi,K.Amemiya,High Luminance AC-PDPs with Waffle-structured Barrier Ribs,"Proceedings of the 6th International Display Workshops(IDW'99)",pp.587-590
【非特許文献6】
Jae-Young Lee,Min-Nung Hur,Yun-Gi Kim,Jae-Hwa Ryu,Jung-Soo Cho,Chung-Hoo Park,A Study on the New Shaped Align-Free Sustain Electrodes Showing High Luminous Efficiency in AC PDPs,"Proceedings of The 7th International Display Workshops (IDW'00)",pp.623-626
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように例えば特開2000−156166号公報には、放電不活性膜をスクリーン印刷及び焼成によって、Al23等の特定材料を含んだ誘電体ガラスで形成する方法が開示されている。しかし、本願発明者が、PDP51Pの放電不活性膜21Pとして、TiO2やAl23を主成分とする誘電体ガラスから成る上記放電不活性膜をスクリーン印刷法を用いて数μmの厚さで形成したところ、維持放電電極対X,Y間の維持放電に必要な最小の維持パルス電圧(通常は150V程度)が通常より100V程も高くなってしまい、実用的な駆動が困難なことが判明した。しかも、維持放電電極X,Yの上方を被覆せず、維持放電電極X,Y間の面放電の形成エリアから一定の距離を隔てた、隣接維持放電電極対間ギャップ部内の一部にだけ、同様の方法で放電不活性膜を形成した場合であっても、結果は同じであった。
【0030】
また、本願発明者の調査によれば、上述の蒸着リフトオフ法で形成された放電不活性膜21Pを備えるPDP51Pに図25の駆動方法を適用すると、書込み期間ADで選択したにもかかわらず、放電維持期間SUで維持放電が発生しないという不具合が生じることが見出された。
【0031】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、維持放電に必要な最小維持パルス電圧の大幅な増大を抑制しうるPDP用基板及びPDPを提供することを目的とする。
【0032】
更に、本発明は、放電不活性膜をスクリーン印刷法で形成する際に生じうる諸問題を解消しうるPDP用基板及びPDPを提供することを目的とする。
【0033】
更に、本発明は、駆動装置のピーク負荷を減少させうるPDP用基板及びPDPを提供することを目的とする。
【0034】
更に、本発明は、発光効率を向上しうるPDP用基板及びPDPを提供することを目的とする。
【0035】
更に、本発明は、表示の色バランスを改善しうるPDPを提供することを目的とする。
【0036】
更に、本発明は、PDP用基板上に発生する面放電が放電不活性膜の露出表面に及ぶのを抑制しうるプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明の主題に記載のプラズマディスプレイパネル用基板は、基板と、前記基板上において第1方向に並んでいると共に前記第1方向に交差する第2方向に伸長しており、前記第2方向に伸長する複数の表示ラインを規定する複数の第1電極とを備え、前記複数の第1電極間に設けられた複数のギャップ部は前記複数の表示ラインに対応する複数の放電ギャップ部を少なくとも含み、前記複数の第1電極を覆って前記基板上に配置された誘電体層と、前記誘電体層を介して前記基板に対面して配置されており、前記複数の表示ラインに対応する領域に露出表面を有するカソード膜と、前記誘電体層を介して前記基板に対面して配置されており、前記複数の表示ライン間に対応する領域に露出表面を有する、前記カソード膜よりも2次電子放出特性が低い放電不活性膜とを更に備え、前記放電不活性膜及び前記カソード膜の両前記露出表面は平面視において接しており、前記放電不活性膜は無機バインダーを実質的に含まない、粉体の集合体から成る。
【0069】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
上述のように本願発明者が、PDP51Pの放電不活性膜21Pとして、TiO2やAl23を主成分とする誘電体ガラスから成る上記放電不活性膜をスクリーン印刷法を用いて数μmの厚さで形成したところ、維持放電電極対X,Y間の維持放電に必要な最小の維持パルス電圧が通常よりも高くなってしまい、実用的な駆動が困難なことが判明した。
【0070】
これは、TiO2やAl23を蒸着リフトオフ法でパターニング形成した放電不活性膜21Pには全く見られなかった現象なので、詳細なメカニズムは不明だが、TiO2やAl23を主成分とする誘電体ガラスから成る放電不活性膜をスクリーン印刷法を用いて数μmの厚さで形成したことに起因すると考えられる。
【0071】
そこで、実施の形態1では、このような問題点を解決しうるPDP及びそれを備えたプラズマディスプレイ装置を提供する。
【0072】
図1のブロック図に示すように、実施の形態1に係るプラズマディスプレイ装置101は、PDP51と、当該PDP51の電極X(X1〜Xn),Y(Y1〜Yn),W(W1〜Wm)に所定の電位を与えてPDP51を駆動する駆動装置91とを備えている。なお、プラズマディスプレイ装置101ではPDP51の維持放電電極X1〜Xnの全てが共通に接続された上で駆動装置91に接続されている。
【0073】
実施の形態1に係るPDP51は、図23のPDP51Pにおいて前面基板51FPを図2の断面図に示す実施の形態1に係る前面基板(ないしはPDP用基板ないしは第1基板)51Fに変えた構造を有している。実施の形態1に係る前面基板51Fは、放電不活性膜21Pに変えて実施の形態1に係る放電不活性膜21を備えている点以外は、図23の前面基板51FPと基本的には同様の構造を有している。つまり、前面基板51Fと複数のアドレス電極(ないしは第2電極)6(又はW)を有した背面基板(ないしは第2基板)51Rとはバリアリブ7及び蛍光体8を介して第1及び第2方向D1,D2の双方に交差する(ここでは直交する)第3方向D3に重ねられており、周縁において封着されている。なお、維持放電電極X,Yとアドレス電極6とが(立体)交差するように前面基板51Fと背面基板51Rとは配置される。
【0074】
前面基板51Fは、前面ガラス基板(ないしは基板)5と、複数の維持放電電極(ないしは複数の第1電極)X,Yと、誘電体層3と、カソード膜11と、放電不活性膜21とを備えている。
【0075】
詳細には、維持放電電極X,Yは前面ガラス基板5上において、第1方向D1に並んでいると共に第1方向D1に交差する(ここでは直交する)第2方向D2に伸長しており、第2方向D2に伸長する複数の表示ラインLを規定する。より具体的には、放電ギャップ部DGを介して隣接し、対を成す2本の維持放電電極X,Yが、第2方向D2に伸長する1つの表示ラインLを規定している。なお、図23と同様に図2では対を成す維持放電電極X,Y間にないしは放電ギャップ部DGに1点鎖線で以て模式的に表示ラインLを図示している。このとき、第2方向D2に伸長した各放電ギャップ部DGは各表示ラインLに対応する。また、隣接する表示ラインL間には、互いには対を成さない2本の維持放電電極X,Yが隣接維持放電電極対間ギャップ部(又は電極対間ギャップ部)NGを介して配置されている。つまり、前面基板51Fでは維持放電電極X,Y間に放電ギャップ部DG又は隣接維持放電電極間ギャップ部NGのいずれかのギャップ部が設けられている。
【0076】
図23の前面基板51FPと同様に、維持放電電極X,Yは透明電極1及びバス電極2から成り、バス電極2は放電ギャップ部DGから遠い位置に配置されている。そして、隣接する透明電極1間の領域で以て上述の放電ギャップ部DG及び電極対間ギャップ部NGが規定される。
【0077】
PDP51において、維持電極対X,Yとアドレス電極6(又はW)との各(立体)交差点ないしは放電空間51Sと表示ラインLとの各交差点が1個の放電セル(以下、単に「セル」とも呼ぶ)Cに対応する(図1参照)。つまり、各表示ラインL上に複数の放電セルCが並んでおり(逆に言えば第2方向D2に並ぶ複数のセルCが表示ラインLを構成している)、全体としてはマトリクス状に配列された複数の放電セルCで以てPDP51Pの表示領域が構成されている。
【0078】
そして、維持放電電極X,Yを覆って前面ガラス基板5上に全面的に誘電体層3が形成されており、誘電体層3を介して前面ガラス基板5に対面し、当該誘電体層3に全面的に接してカソード膜11が配置されている。更に、カソード膜11及び誘電体層3を介して前面ガラス基板5に対面し、カソード膜11に接して放電不活性膜21が配置されている。放電不活性膜21はカソード膜11よりも2次電子放出特性が低い。
【0079】
前面基板51Fの放電不活性膜21は図23の放電不活性膜21Pと同様のパターンを有している。すなわち、放電不活性膜21は複数の帯状パターンから成り、全体的にはストライプ状をしている。放電不活性膜21の各帯状パターンは、前面基板51Fないしは前面ガラス基板5の平面視において、複数の表示ラインL間に対応する領域に、より具体的には隣接する表示ラインL間に配置されており対を成さない2つの維持放電電極X,Y間の電極対間ギャップ部NG上及び当該2つの維持放電電極X,Yのうちで電極対間ギャップ部NGに続く一部(ここではバス電極2が配置された金属電極部の全体)上に配置されている。
【0080】
このようなパターンを有する放電不活性膜21がカソード膜11上に形成されているので、カソード膜11は、前面基板51Fの平面視において、複数の表示ラインLに対応する領域が、より具体的には放電ギャップ部DG上及び維持放電電極対X,Yのうちで放電ギャップ部DGに続く一部(ここではバス電極2が配置されていない透明部の全体)上が露出している。
【0081】
このとき、平面視において、カソード膜11及び放電不活性膜21の両露出表面11S,21Sは接しており、前面基板51Fの背面基板51R側の露出表面(の少なくとも表示領域)は両露出表面11S,21Sで占められている。
【0082】
なお、放電不活性膜21(の露出表面21S)は前面基板51Fの平面視において複数の表示ラインL間に対応する領域に設けられていれば良く、例えば電極対間ギャップ部NG上のみに設けても構わないし、又、電極間ギャップ部NG上及び維持放電電極X,Yのうちでバス電極2が配置された金属電極部の一部上に設けても構わない。
【0083】
特に、放電不活性膜21はガラス成分すなわち無機バインダーを実質的に含まない、粉体の集合体から成る。ここに、上述の特開2000−156166号公報に開示される誘電体ガラスで形成された放電不活性膜とは大きな相違がある。
【0084】
詳細には、PDP51及び前面基板51Fでは、無機バインダーを実質的に含まない厚膜ペーストをカソード膜11上にスクリーン印刷法を用いて上述のパターンで印刷し、該ペーストを焼成することによって、放電不活性膜21を形成している。
【0085】
一般的な厚膜ペーストは、(i)焼成後に膜材として残存する無機成分と、(ii)焼成過程で燃焼して膜材として残存しない有機成分とから成る。そして、放電不活性膜21のための厚膜ペーストに含まれる上記無機成分はAl23、TiO2、SiO2等の放電不活性材料の少なくとも1種類の粉体を主成分として含む一方で、PbO、ZnO、B23等のガラス成分の含有量はゼロ又は含んでいても焼成後にバインダーとしての固着力を実質的に発揮できない程度以下である。その結果、焼成後の放電不活性膜21は、実質的に上記Al23等の放電不活性材料の粉体の集合体で構成され、該粉体間の強固な結合や下地のカソード膜11との強固な密着のいずれも無い状態にある。喩えると、放電不活性膜21はちょうど蛍光体8と同様の状態にある。すなわち、蛍光体8を含む一般的なPDPの蛍光体は無機バインダーを含まない厚膜ペーストの焼成体で構成され、蛍光材料の粉体の集合体から成り、放電不活性膜21は同様の状態にある。
【0086】
なお、上記放電不活性膜21の焼成温度は、一般に低融点ガラスから成る誘電体層3が、カソード膜11からのストレスに抗しきれなくなって、顕著な変形を起こすことがない程度に低くするのが望ましい。言い換えれば、カソード膜11に顕著な亀裂が生じて外観を損なうに至るほどに誘電体層3が柔らかくならない程度の温度に設定するのが望ましい。そのためには、低融点ガラスで構成される誘電体層3の軟化点より略50℃以上低い温度で放電不活性膜21を焼成するのが良い。例えば、誘電体層3の軟化点が520℃だとすれば、放電不活性膜21の焼成温度は470℃以下に設定するのが望ましく、そのような温度でも充分に燃焼するような有機成分を使用して放電不活性膜21の原材料であるペーストを構成するのが良い。
【0087】
そして、上述の膜状態の放電不活性膜21を備えたPDP51について最小維持パルス電圧を評価したところ、無機バインダーを含む誘電体ガラスから成る放電不活性膜とは異なり最小維持パルス電圧が大幅に増大しないことを見出した。
【0088】
このように、放電不活性膜21によれば、既述の効果(1),(2),(3)を発揮しうる膜を蒸着リフトオフ法に比して安価なスクリーン印刷法で形成することができ、しかも実用的駆動を容易に実現しうる前面基板51F及びPDP51を提供することができる。
【0089】
なお、強固な結合力及び下地密着力を有する誘電体ガラスから成る放電不活性膜では最小維持パルス電圧が極めて大きくなる一方で、放電不活性材料の粉体の集合体から成り上述のような強固な結合力及び密着力を持たない実施の形態1の放電不活性膜21では最小維持パルス電圧に大幅な上昇が見られないという実験結果が得られた詳細なメカニズムは不明である。しかし、以下に述べる、本願発明者が上述の評価実施に先駆けて無機バインダーに着目するに至った経緯は、上述の実験結果の考察に非常に有用であると考える。
【0090】
以前、本願発明者は、PDP51から放電不活性膜21を除いた構造を有する典型的なAC面放電型PDPにおいて、バリアリブ7のカソード膜11に接触する部分をガラス成分すなわち無機バインダーを主成分とする封着材で構成するという実験を行ったことがある。この実験は、封着工程(前面ガラス基板5と背面ガラス基板9とを周縁に設けた封着材を軟化させて貼り合せる工程)においてバリアリブ7をカソード膜11に固着させることにより、バリアリブ7を介して隣接する放電空間内の互いの放電が干渉してセルCの選択性が損なわれるのを防止することを目的としていた。
【0091】
ところが、当該実験は、最小維持パルス電圧が非常に上昇してしまい上述の構造を実駆動へ適用するのは困難であるという評価結果に終わった。そして、上述のように放電不活性膜を無機バインダーを含んだ材料で形成した実験においても、これと同様の結果が得られている。
【0092】
ところで、放電不活性膜21を有さない典型的なPDPではバリアリブ7とカソード膜11とは接触している。バリアリブ7は一般に無機バインダーを大量に含むにもかかわらず、放電不活性膜21を有さない当該典型的なPDPにおいて最小維持パルス電圧は一般実用的な値である。
【0093】
そこで、本願発明者はこれらの現象を総合的に検討することにより、上述の2つの実験ではカソード膜11の表面にガラス質の構造物が固着している点が共通することを見出し、更に放電不活性膜21を有さない上述の典型的なPDPでは無機バインダーを含んだバリアリブ7とカソード膜11とは単に接触しているのみであることを見出した。つまり、カソード膜11にガラス質の構造物が固着せずに接触しているだけであれば、最小維持パルス電圧は大幅に上昇しないことを見出した。
【0094】
かくして、本願発明者は「放電不活性膜11を無機バインダーを実質的に含まない、Al23やTiO2やSiO2等の放電不活性材料の粉体の単純な集合体で構成することによってカソード膜11の表面に固着しないようにすれば、最小維持パルス電圧の大幅な上昇を招かないのであろう」との着想に至ったのである。ところで、上述のように放電不活性膜11を形成しても、自然膜剥れを起こすような密着力では実用的ではない。しかし、本願発明者は当該放電不活性膜11は自然膜剥がれを起こさないであろうことを、蛍光体に関する周知事実から期待していた。すなわち、蛍光体は無機バインダーを含まない、蛍光材料の粉体の集合体であるにもかかわらず、更に一般的に蛍光体の焼成温度は、下地のバリアリブ8やオーバーグレーズ層10が含む無機バインダー成分が固着作用を発揮できないほどに低いにもかかわらず、PDPにおいて蛍光体は自然膜剥れを起こすことはないのである。
【0095】
これらの考察に基づいて実験を行ったところ、自然膜剥れを起こすこともなく放電不活性膜21が形成することができ、最小維持パルス電圧が大幅に増大しないこととの結果が得られた。従って、既述したように、放電不活性膜21によれば、既述の効果(1),(2),(3)を発揮しうる膜をスクリーン印刷法で安価に形成することができ、しかも実用的駆動を容易に実現しうる前面基板51F及びPDP51を提供することができる。
【0096】
さて、放電不活性膜21は無機バインダーを実質的に含まない、放電不活性材料の粉体の集合体から成るので、バリアリブ7からの押圧で膜キズや表面形状の変形が生じる場合がある。しかし、そのような膜キズ等は放電不活性膜21においてバリアリブ7と接触する部分に限られており、放電空間51Sに晒される部分には発生しないことを、本願発明者は確認している。従って、膜キズ等による画素欠陥は発生しないし、放電不活性膜21に期待される効果(1),(2),(3)が損なわれることはない。
【0097】
それどころか放電不活性膜21が表面形状が上述のように変形することにより、バリアリブ7と放電不活性膜21との接触部分に作用する押圧が均等化されることが分かった。このため、バリアリブ7や封着前の放電不活性膜21が僅かな表面凸形状を有する場合であっても、該箇所にピンポイント的な押圧が作用するのを緩和することができる。従って、放電不活性膜21によれば、バリアリブ7の折損による画素欠陥の発生を防止できるという副次的効果が得られる。
【0098】
ところで、バリアリブ7は一般に、高さh(図23参照)が高いほど及び/又は平均パターン幅w(図23参照)が細いほど、前面基板51Fとの接触による押圧で折損を生じる確率が高くなる。
【0099】
ここで、バリアリブの高さhとは第3方向D3(すなわち前面基板51Fと背面基板51Rとの積み重ね方向)における寸法を言う。また、バリアリブの平均パターン幅wとはパターン幅(図23の例では基板の積み重ね方向とバリアリブ7のパターンの伸長方向との双方に垂直な方向である第2方向D2の寸法)を第3方向D3について平均した寸法を言う。例えば図23の例ではバリアリブ7の断面(伸長方向である第1方向D1に垂直な断面)が略台形なので、パターン幅は高さ方向(すなわち第3方向D3)の位置に依存する。そこで、高さ位置に依存するこれらのパターン幅を平均した値を平均パターン幅wと呼ぶ。なお、図23では便宜的にバリアリブ7の高さ方向中央付近に符号”w”を図示している。
【0100】
かかるバリアリブ7の折損について、本願発明者は、図23の構造から放電不活性膜21を取り除きバリアリブ7がカソード膜11(放電不活性膜21よりも硬質である)に直接接触している構造のPDPを用いて実験を行った。なお、実験に用いたPDPにおいて、バリアリブ7の第2方向D2の配列ピッチは396μmであり、画面サイズは16:9タイプの46インチである。かかる実験によれば、平均パターン幅w=75μm及び高さh=140μmの場合にはリブ折損による画素欠陥は製造過程を含め実用上殆ど発生しないが、平均パターン幅w=75μm及び高さh=160μmの場合にはリブ折損によって画面中5〜10箇所の画素欠陥が発生した。また、同じ画面サイズ及び第2方向D2の配列ピッチが264μmのバリアリブ7を有するPDPで実験したところ、平均パターン幅w=60μm及び高さh=140μmの場合にはリブ折損に起因した画素欠陥が画面中約50箇所検出された。これらの実験結果から硬質なカソード膜11にバリアリブ7が直接接触する構造では凡そh/w≧2を満たす場合にリブ折損による画素欠陥の発生を抑えるのは困難であることが判明した。
【0101】
高さhが高いほど(例えば、Proceedings of Asia Display/IDW'01 pp.781-784のFig.3を参照)及び/又はパターン幅wがより細いほど、言い換えれば隣接するバリアリブ7のパターン間隔が広いほど(例えばProceedings of IDW'99 pp.599-602を参照)、輝度及び発光効率を向上させることができるが、実験に用いた構造のPDPでは画素欠陥の抑制と輝度及び発光効率の向上とは両立が困難であった。
【0102】
これに対して、放電不活性膜21を適用することにより、第2方向D2の配列ピッチが264μm、平均パターン幅wが60μm、高さhが140μmのバリアリブ7を用いてもリブ折損に起因した画素欠陥が実用上殆ど発生しないという実験結果が得られた。すなわち放電不活性膜21の適用は画素欠陥の抑制と輝度及び発光効率の向上とを同時に可能にするのである。
【0103】
なお、ストライプ状のバリアリブ7では互いに隣接する表示ラインL間で(すなわち第1方向D1に)各放電セルCの放電空間が連続するが、高さhの増大及び/又はパターン幅wの減少により放電空間が広がっても、放電不活性膜21によれば放電セルC間で放電が干渉し合うのを効果的に抑制することができる。
【0104】
上述のようにバリアリブ7を高くするほど輝度及び発光効率を向上させることができる。ここで、バリアリブにはストライプ状のバリアリブ7(図23参照)の他に格子状のバリアリブ(例えば後述の図21やProceedings of IDW'99 pp.587-590を参照)があり、以下の理由によりストライプ状のバリアリブ7の方が高さhを大きくしやすい。
【0105】
まず、格子状のバリアリブは第1方向D1に伸長する成分(図21に示す第1成分7B1参照)と第2方向D2に伸長する成分(図21に示す第2成分7B2参照)とを含んでいるので、両成分が交差する箇所はバリアリブの形成(例えばサンドブラスト法や感光性リブ材による方法による)時に互いの形状に影響を及ぼし合う。このため、格子状のバリアリブが高いほど形状のコントロールが困難になるのである。
【0106】
また、格子状のバリアリブは放電セルCを取り囲むように空間を区画しているので、当該空間内へ蛍光体8を塗布した際に空間内の空気が逃げにくく該空気が閉じ込められてしまう場合がある。そのような場合には蛍光体8を適切に塗布することができず、かかる不具合はバリアリブが高いほど起こりやすい。
【0107】
さらに、下記の(a)〜(d)に述べるように、格子状のバリアリブには上記サンドブラスト法や感光性リブ材による上記方法よりも高いhを得るのに適した製法が少ない。
【0108】
(a)パターン積層印刷法では、スクリーンメッシュの重なりを平均化するために各層を印刷する毎に第1方向D1にスクリーン版をずらす必要があるが、格子状のバリアリブでは第2方向D2に伸長する成分があるので、ずらすことができない。
【0109】
(b)型プレス法では、格子状のバリアリブの場合、離型の際に逃げる方向が無く基板面に対して一斉に離型する必要があるので、離型が困難である。一方、ストライプ状のバリアリブによれば、バリアリブ(パターン)の伸長方向に逃げられるので、めくるように離型することができる。
【0110】
(c)基板上に形成したDFR(ドライフィルムフォトレジスト)のパターン溝にリブ材を埋込む方法では、格子状のバリアリブの場合、DFRパターンが各放電セルCの位置に孤立島状に形成される。このため、DFR剥離の際にセルの数だけ剥離のトリガーが必要になるので、剥離が困難である。
【0111】
(d)基板上に一様に塗布されたリブ材を、バリアリブのパターン間のスペースに対応するプローバーで掃引するという製法は、ストライプ状のバリアリブに適用されるが、格子状バリアリブにはもとより使えない。
【0112】
これに対して、ストライプ状のバリアリブ7であれば、格子状のバリアリブに特有の上記問題や制約はなく、比較的容易に高さhを増大させることができる。このため、格子状のバリアリブは上述の製法の問題点及び制約から高さh≧150μmにすることは実用的には無理であったが、ストライプ状のバリアリブ7によれば高さhを150〜500μmにすることも可能である。つまり、放電不活性膜21の適用で以てより高く形成されたストライプ状バリアリブは輝度及び発光効率を大幅に改善しうるものである。
【0113】
また、格子状のバリアリブのパターンは個々の放電セルCを取り囲んで存在するので、放電によって発生したプラズマ粒子がバリアリブの側面上の蛍光体8に衝突してエネルギーを損失する割合が、ストライプ状のバリアリブに比べ大きい。このため、格子状バリアリブの方が相対的に発光効率が悪くなる。
【0114】
以上をまとめると、放電不活性膜21の適用はストライプ状のバリアリブ7を利用可能にする。更に、放電不活性膜21によれば、バリアリブ7が細く及び/又は高くなってh/w≧2という関係になってもバリアリブの折損による画素欠陥の発生を抑えることができる。これらから放電不活性膜21は輝度及び発光効率を向上させるために極めて有効である。
【0115】
ところで、ディスプレイの発光効率を向上させるためには、蛍光体8から発せられた可視光が放電不活性膜21によって遮られない方が良い。このため、放電不活性膜21は透明であることが望ましい。放電不活性膜21を構成する放電不活性材料の粒子の平均粒径が小さいほど、放電不活性膜21はより透明になる。一般に平均粒径が可視光波長域(0.4〜0.8μm)程度以下に下がるほど透明度が増すので、放電不活性材料の粒子の平均粒径は大略1μm以下であることが、より望ましくは0.1μmレベル以下であることが適当である。
【0116】
また、放電不活性膜21下のカソード膜11が微視的にでも露出してしまうと、放電不活性膜21上でも放電が発生しうるので、既述の効果(1),(2),(3)が十分に得られない場合が生じうる。このため、放電不活性膜21上での放電を回避するためには、放電不活性膜21の厚さt(図2参照)を大略、上記放電不活性材料の平均粒径以上に設定するのが望ましい。一方、放電不活性膜21が厚過ぎると、放電ギャップ部DG近傍においてバリアリブ7とカソード膜11との間の隙間が大きくなり、バリアリブ7を介して隣接する放電空間内の放電が互いに干渉し合い、その結果、セルCの選択性が損なわれる場合が生じうる。これを回避するために、放電不活性膜21の膜厚tは10μmレベル以下、より好ましくは5μm以下とするのがよい。
【0117】
また、PDP51は図23のPDP51P(すなわち特開平9−102280号公報に開示のPDP)に、実施の形態1に係る放電不活性膜21を適用した構造にあたるが、その他の構造のPDPに当該放電不活性膜21を適用することも可能であり、PDP51と同様の効果が得られる。例えば、図3の平面図(レイアウト図)に示す実施の形態1に係る第2の前面基板52Fに放電不活性膜21を適用することができる。
【0118】
図3に示すように、前面基板52Fの各維持放電電極XA,YAは、上述の前面基板51Fにおいて電極対間ギャップ部NGを介して隣接する、互いには対を成さない2本の維持放電電極X,Yが一体化した構造にあたる。なお、維持放電電極XA,YAの幅(第1方向D1の寸法)は適宜設定される。前面基板52Fでは電極対間ギャップ部NGが無いので、維持放電電極XA,YA間には放電ギャップ部DGのみが設けられている。このため、維持放電電極XA,YAのそれぞれが隣接する表示ラインLの双方を規定している。逆に言えば、前面基板52Fでは隣接する表示ラインL間には1本の維持放電電極XA又はYAが配置されており、隣接する表示ラインLが1本の維持放電電極XA又はYAを共有している。
【0119】
前面基板52Fのその他の構成(図3中には不図示)は前面基板51Fと同様であり、前面基板52Fは上述の前面基板51Fに変えてPDP51に適用可能であり、更にそのようなPDP51はプラズマディスプレイ装置101に適用可能である。なお、かかる点は後述の前面基板53F(図4参照)等についても同様である。
【0120】
隣接する表示ラインが1本の維持放電電極を共有する他の構造のPDP(特開平10−255664号公報、特開平10−333636号公報、特開2000−39866号公報、及び、特開2000−147660号公報を参照)に、実施の形態1に係る放電不活性膜21を適用することも可能である。
【0121】
<実施の形態2>
実施の形態1では、放電不活性膜21を前面基板51Fの平面視において隣接維持放電電極対間ギャップ部NG近傍の維持放電電極X,Yの一部を被覆するようにスクリーン印刷法で直接にパターン形成する場合を説明した。この場合、1個の放電セルC当りにおいて維持放電電極X,Y上で実際に面放電50(図23参照)が行なわれる部分の面積は、維持放電電極X,Yの放電ギャップ部側のパターンエッジから放電不活性膜21のパターンエッジまでの距離ないしは寸法に大略比例する。従って、放電不活性膜21のパターンエッジの形成位置は放電電流を大きく左右する。
【0122】
放電不活性膜21をスクリーン印刷法を用いて直接パターン形成する場合、パターンエッジの形成位置精度はスクリーン版の伸縮や、印刷・乾燥・焼成の工程を通じて生じる厚膜ペーストのダレやニジミ等に影響を受ける。このとき、前面ガラス基板5は大面積であるため、スクリーン版や厚膜ペーストや印刷・乾燥・焼成条件等を生産性を度外視し且つ手を尽くしたとしても、放電不活性膜21のパターンエッジの形成位置精度は±50μmくらいしか期待できない。生産性を考慮するとなれば±100μm程度の精度を見込む必要がある。
【0123】
一方、各維持放電電極X,Yのパターン幅すなわち放電ギャップ部DG側のパターンエッジから隣接維持放電電極対間ギャップ部NG側のパターンエッジまでの距離ないしは寸法は一般に100〜500μmくらいしかない。
【0124】
これらを勘案すると、実施の形態1の放電不活性膜21ではパターンエッジの形成位置を十分な精度で形成するのが難しい場合がある。このため、実施の形態1に係るPDP51では放電セル1個当りの放電電流に10〜100%の増減、標準的には20〜50%の増減を見込まなければならず、製品性能の再現性や表示に関する面内均一性の観点において容認し難い場合がある。
【0125】
また、実施の形態1のPDP51では、放電不活性膜21をスクリーン印刷法で形成した時に用いたスクリーン版に由来する輝度ムラ、具体的にはメッシュ状の輝度ムラやモアレ模様の輝度ムラが目立つ場合がある。詳細な調査によれば、スクリーン版に固有のメッシュ編み密度の局部的濃淡ムラが放電不活性膜21のパターンエッジのガタツキに反映されており、該ガタツキがセル単位での放電電流の大小ムラを引き起こした結果、上記輝度ムラが生じることが判明した。
【0126】
そこで、実施の形態2では、放電不活性膜21のパターンエッジの形成位置やガタツキに関する精度が上述のように低レベルであっても、パネル全体の放電電流や放電電流のパネル面内分布やセル単位での放電電流の大小ムラに対する影響を低減しうる前面基板及びPDPを説明する。
【0127】
図4に実施の形態2に係る第1の前面基板53F及びこれを備えたPDP51を説明するための平面図(レイアウト図)を示す。図4には前面基板53Fの維持放電電極XB,YB、放電不活性膜22及びカソード膜11を主として図示しており、又、前面基板53Fを適用したPDP51におけるバリアリブ7(の頂部)を2点鎖線で模式的に図示している。なお、かかる図示化は後述の図6等の平面図において同様である。
【0128】
前面基板53Fにおいて維持放電電極XB,YB及び放電不活性膜22以外の構成は既述の51Fと同様である。前面基板53Fの維持放電電極XB,YBは、図2の維持放電電極X,Yと同様に、前面ガラス基板5(図2参照)上において、第1方向D1に並んでいると共に第2方向D2に伸長しており、第2方向D2に伸長する複数の表示ラインLを規定している。また、隣接する表示ラインL間には2つの維持放電電極XB,YB(但し対を成さない)が配置されている。
【0129】
特に、維持放電電極XB,YBはそれぞれ複数の放電ギャップ隣接部aと、1つの母線部bと、複数の架橋部cとを含んでいる。ここで、放電ギャップ隣接部a、架橋部c、母線部bの境界線を破線で示している。詳細には、母線部aは隣接維持放電電極対ギャップ部NGに隣接して第2方向D2に伸長している。そして、複数の架橋部cが、母線部bから当該母線部bが隣接する放電ギャップ部DGに向けて(ここでは第1方向D1に)伸長している。複数の架橋部cにはそれぞれ放電ギャップ隣接部aが結合しており、これら複数の放電ギャップ隣接部aは当該放電ギャップ部DGに隣接し且つ第2方向D2に沿って(すなわち放電ギャップ部DGに沿って)並んでいる。これにより、各放電ギャップ隣接部aは対応の架橋部cを介して母線部aと電気的に接続されている。なお、維持放電電極XB,YBでは、放電ギャップ隣接部aと架橋部cとはT字型を成して結合している(放電ギャップ隣接部aがT字型の頭部にあたり、架橋部cがT字型の脚部にあたり、架橋部cの第2方向D2のパターン幅は放電ギャップ隣接部aよりも狭い)。
【0130】
そして、前面基板51Fと同様に、前面基板53Fにおいても上述の維持放電電極XB,YBは誘電体層3及びカソード膜11(図2参照)で覆われている。
【0131】
前面基板53Fの放電不活性膜22は、既述の前面基板51Fの放電不活性膜21と同様にカソード膜11上に配置されており、複数の帯状パターンから成るストライプ状をしている。放電不活性膜22の各帯状パターンないしは露出表面22Sは、前面基板53Fの平面視において、複数の表示ラインL間に対応する領域に配置されており、しかも維持放電電極XB,YBの放電ギャップ隣接部aを覆わないように配置されている。このとき、放電不活性膜22のパターンエッジは維持放電電極XB,YBの架橋部cに対面している。放電不活性膜22は既述の放電不活性膜21と同様にスクリーン印刷法でパターン形成しても良いし、蒸着リフトオフ法等で形成しても良い。
【0132】
なお、ここでは、前面基板53Fを適用したPDP51において、放電ギャップ隣接部a間の間隙がバリアリブ7に対面するように、且つ、各架橋部cがバリアリブ7の帯状パターン間に配置されて各放電空間51Sに対面するように、前面基板53Fと背面基板53Rとが配置される。
【0133】
ところで、上述の形状及び配置を有する維持放電電極と放電不活性膜とバリアリブとを備えたPDPが特開2001−176400号公報に開示されているが、当該公報に開示のPDPと実施の形態2に係るPDP51とには以下の大きな相違がある。
【0134】
まず、実施の形態2の前面基板53Fでは、ストライプ状の放電不活性膜22の焼成後のパターンエッジが、平面視において、放電ギャップ隣接部a(の放電不活性膜22側のパターンエッジ)から大略50μm以上、より好ましくは大略100μm以上離れている。このような配置はスクリーン印刷法の諸条件(例えば、スクリーン版のパターン設計)等の設定により可能である。具体的には、放電不活性膜22のパターンエッジが上記平面視において放電ギャップ隣接部aから大略50μm以上又は大略100μm以上離れるような位置にくるように設計することにより、たとえ印刷位置ずれが生じても上述の位置関係を満足する前面基板53Fを歩留まり良く(平均的に)製造することができる。このような条件で形成された放電不活性膜22であれば、基板面内の平均的な放電不活性膜22のパターンエッジは上記平面視において放電ギャップ隣接部aから大略50μm以上又は大略100μm以上離れるような位置に形成されることになる。従って基板面内の少なくとも一部には、それに該当する部分が存在する。
【0135】
このような距離設定により、放電不活性膜22のパターンエッジが所望位置から50〜100μmずれたとしても、放電ギャップ隣接部aが放電不活性膜22で覆われないようにすることができるので、放電ギャップ隣接部aでの放電が放電不活性膜22のパターンエッジの形成位置やガタツキに影響されないようにすることができる。
【0136】
一方、架橋部cのうちで放電が行なわれる部分は放電不活性膜22のパターンエッジの形成位置によって規定され、パターンエッジのガタツキの影響も受ける。しかし、架橋部cは放電ギャップ隣接部aに比べて放電不活性膜22のパターンエッジの伸長方向に平行な方向(つまり第2方向D2)のパターン幅が狭いので、架橋部cのうちで放電が行われる部分の面積は、放電ギャップ隣接部aの面積に比べて充分小さい。また、架橋部cを架橋方向(すなわち第1方向D1)に沿って細長く形成するほど(第2方向D2のパターン幅を小さくするほど)、維持放電電極X,Yへの印加電圧が放電空間51S内に形成する電界は架橋部c上方で弱くなるので、架橋部cでの放電電流密度を放電ギャップ隣接部aに比べて小さくまたは実質的にゼロにすることができる。このとき、放電不活性膜22のパターンエッジは維持放電電極X,Yのうちでパターン幅の狭い架橋部cのみと交差するので、架橋部cの上記パターン幅を細くするほど当該交差部分をPDP51よりも小さくすることが可能である。
【0137】
このように、前面基板53Fによれば、放電不活性膜22のパターンエッジが所望位置から50〜100μmずれても、放電セル1個当りの放電電流の増減を抑制することができるので、表示性能に関する再現性や面内均一性が改善することができる。更に、放電不活性膜22のパターンエッジのガタツキに因るセル単位での放電電流の大小ムラを抑制することができるので、放電不活性膜22を形成するためにのスクリーン版のメッシュ編み濃淡ムラに対応する輝度ムラを抑制することができる。
【0138】
ところで、蛍光体8のうちで母線部bに対面する部分付近からの発光はほとんどが母線部bに遮られてしまうので、可視光の取出し効率(又は発光効率)の観点から言えば、母線部b上では放電が生じないようにした方が好ましい。母線部b上で放電を生じさせないためには、放電不活性膜22のパターンエッジが所望位置から50〜100μmずれた場合であっても、母線部bが放電不活性膜22の存在領域からはみ出ないようにすれば良い。
【0139】
しかし、放電不活性膜22から母線部bの一部がはみ出した場合であっても、そのはみ出し量が50μm程度であれば、母線部bで放電が生じないようにすることは可能である。例えば特開2000−113828号公報には放電ギャップ隣接部と母線部と架橋部とを有する維持放電電極を備えているが放電不活性膜を備えていないPDPが開示されており、当該公報によれば維持放電電極対間の面放電を放電ギャップ部付近に局在化可能であるとしている。かかる放電の局在化は、(I)放電ギャップ隣接部aで始まった放電が架橋部cに拡張する過程において放電電流密度が上述のように小さくなり母線部bにまで拡張するのが困難であることと、(II)母線部b上方の放電空間51S内において架橋部c付近では放電が生じるのに必要な電界が形成困難であることと、が主因と思われる。
【0140】
以上のことから、放電不活性膜22のパターンエッジは、前面基板53Fの平面視において放電ギャップ隣接部aよりも母線部bに近い位置に設けられている。換言すれば、上記平面視において、放電不活性膜22と放電ギャップ隣接部aとの両パターンエッジ間の距離は、放電不活性膜22と母線部bとの両パターンエッジ間の距離よりも長く設定されている。このような位置関係はスクリーン印刷法の諸条件(例えば、スクリーン版のパターン設計)等の設定により可能である。具体的には、放電不活性膜22のパターンエッジが上記平面視において放電ギャップ隣接部aよりも母線部bに近い位置に来るように設計する。このような条件によれば、たとえ印刷位置ずれが生じても、平面視において放電ギャップ隣接部aに放電不活性膜22のパターンが及ばず、且つ、平面視において母線部bが放電不活性膜22のパターンから少々はみ出しても母線部bで放電が発生しない、前面基板53Fを歩留まり良く(平均的に)製造することができる。このような条件で形成された放電不活性膜22であれば、基板面内の平均的な放電不活性膜22のパターンエッジは、上記平面視において放電ギャップ隣接部aより母線部bに近い位置に形成される。したがって基板面内の少なくとも一部にはそれに該当する部分が存在する。
【0141】
なお、上記特開2000−113828号公報に開示された上述のPDP(放電ギャップ隣接部と母線部と架橋部とを有する維持放電電極を備えているが放電不活性膜を備えていないPDP)において母線部間の面放電が起こらないようにするためには、母線部全体の上部放電空間での電界を充分に弱くする必要がある。そのような電界は、維持放電のために維持放電電極間に印加する交流電圧を相当に低く設定すれば得られるが、放電ギャップ隣接部での正規の維持放電が不安定になってしまう。あるいは、母線部の維持放電電極に伸長方向に垂直な方向に関するパターン幅を相当に細くすれば上述の弱い電界を得ることはできるが、母線部のライン抵抗が上昇して母線部に流れる放電電流による電圧損失や電力消費が大きくなってしまう。
【0142】
これに対して、前面基板53Fのように平面視において母線部b上を覆うように放電不活性膜22を設けることにより(しかもスクリーン印刷法という簡便なプロセスで配置可能である)、維持放電のための上記交流電圧をそれほど下げなくても、且つ、母線部の上記パターン幅をそれほど細くしなくても、放電不活性膜22の作用によって維持放電が母線部bに及ぶ(拡大する)のを抑えることができる。
【0143】
ところで、維持放電電極XB,YBにおいて透明部(透明電極のうちでバス電極が載っておらず透明電極のみから成る部分)を設けないことも可能である。この場合、透明電極を形成する必要が無いので、コストを削減することができる。
【0144】
しかし、透明部が無いと蛍光体8からの可視光が維持放電電極XB,YBに遮られる割合が大きいので、十分な発光取出し効率が得られない。このため、少なくとも蛍光体8の発光強度の高い放電ギャップ隣接部aの全部または大部分を透明部ないしは透明電極で以て形成した方が、発光効率上、有利である。更に、架橋部cも全部または大部分を透明部とした方が発光効率にとって有利である。このとき、放電ギャップ隣接部aに近い部分ほど発光強度が高いので、架橋部cのうちで放電ギャップ隣接部aに近い部分だけでも透明部にするのが良い。
【0145】
一方、母線部bは放電電流を流す役割を担うので、母線部bは、透明電極よりも導電性に優れたバス電極を少なくとも有する構造にする必要がある。つまり、各維持放電電極XB,YBの少なくとも一部分(放電ギャップ部DGから遠い方がより好ましい)に維持放電電極XB,YBの伸長方向(第2方向D2)に沿って間断なく続くように、バス電極を適用する必要がある。
【0146】
このとき、導電性を重視して(維持放電電極XB,YBのライン抵抗を低減するために)母線部bの透明電極上の全体にバス電極を設けても良く(すなわち母線部bを金属電極部のみで構成しても良く)、あるいは、母線部b全体をバス電極のみで形成しても良い。そのような母線部bであっても蛍光体8からの可視光のうちで母線部bの全体による損失は小さくてすむ。これは、母線部bは面放電50の全部または大部分が行なわれる放電ギャップ隣接部aから離れているので、蛍光体8からの発光は母線部b付近において弱く(発光強度が低く)、母線部bは単にそのような弱い発光を遮光するからである。このため、母線部bの全体にバス電極を適用しても発光の取り出し効率の損失を抑えることができる。更に、上述のように母線部b付近では蛍光体8の発光強度が弱いので、母線部bの一部に透明部を設けて上述の弱い発光を取り出すよりも、金属電極部のみから成る母線部bによって蛍光体8での外光反射(外部から入射して蛍光体8で反射する光)を低減した方が、明室下での表示コントラストが向上する場合がある。
【0147】
更に、図5の断面図に示す母線部bのように多層構造の(ここでは2層構造の)バス電極2Aを採用しても良い。詳細には、バス電極2Aは透明電極1上に配置された外側層2Oと、当該外側層2Oを介して前面ガラス基板5に対面する内側層2Iとを含んでいる。特に、外側層2Oは内側層2Iと比して可視光吸収率が高く、内側層2Iは外側層2Oよりも可視光反射率が高い。外側層2O及び内側層2Iは、例えば黒色顔料の含有量を違えることにより形成可能である。あるいは、例えば外側層2Oを黒色顔料を含んだペーストで形成すると共に内側層2Iを銀電極用ペーストで形成することにより、両層2O,2Iを形成可能である。このとき、バス電極2Aは前面ガラス基板5に対面する外向き表面SO及び当該外向き表面SOを介して前面ガラス基板5に対面する内向き表面SIを有しており、外向き表面SOは内向き表面SIよりも可視光吸収率が高く、内向き表面SIは外向き表面SOよりも可視光反射率が高い。なお、図5では母線部bが透明電極1を含む場合を図示しているが、上述のように当該透明電極1を省いても良い。
【0148】
このようなバス電極2Aによれば、外向き表面SOによって外光反射量を減らして明室下での表示コントラストを向上させることができると共に、内向き表面SIによって蛍光体8からの発光を放電セルC内で二次反射させることにより、表示光としてより多くの発光を取り出すことができる。従って、発光効率を上げることができる。
【0149】
維持放電電極XB,YBと放電不活性膜22との配置関係に関する説明や、維持放電電極XB,YBにおける透明電極及びバス電極に関する説明や、バス電極の可視光反射率及び可視光吸収率に関する説明は、放電ギャップ隣接部、母線部及び架橋部を含んだ維持放電電極並びに放電不活性膜を備えた各種の前面基板(後述の前面基板54F等を含む)及び該前面基板を適用したPDPについても妥当であり、同様の効果が得られる。そこで、以下に実施の形態2の変形例を説明する。
【0150】
図6に実施の形態2に係る第2の前面基板54F及びこれを備えたPDP51を説明するための平面図を示す。前面基板54Fの維持放電電極XC,YCは、図4の維持放電電極XB,YBにおいて各母線部bに属する複数の放電ギャップ隣接部aを一体化(連続化)した平面パターンを有する。すなわち、維持放電電極XC,YCはそれぞれ、複数の放電ギャップ隣接部aを一体化したパターンにあたる1つの放電ギャップ隣接部dが、第2方向D2に隣接する複数の架橋部cの全てに共通に接続している。なお、前面基板54Fのその他の構成は図4の前面基板53Fと同様である。
【0151】
前面基板51Fに変えて前面基板54Fを適用したPDP51では、図4の前面基板53Fと同様に、各架橋部cがバリアリブ7の帯状パターン間に配置される。
【0152】
前面基板54Fによれば、維持放電電極XC,YCとバリアリブ7との相対位置が維持放電電極XC,YCの伸長方向(すなわち第2方向D2)にずれたとしても、放電ギャップ隣接部dのうちで各放電空間51Sに対面する各部分(すなわち各セルC内で面放電が行なわれる各主要部分)の面積や形状は上記ずれに影響を受けない。従って、各放電空間51Sにおいてもパネル全面においても安定した表示性能が得られる。
【0153】
ところで、放電ギャップ隣接部dは第2方向D2に延在し、バリアリブ7を挟んで第2方向D2に並ぶ複数の放電セルCに跨っている。このため、先述の図4のように各放電セルC毎に設けられた放電ギャップ隣接部aに比べると、放電ギャップ隣接部dを有するPDPでは隣接する放電セルCが相互に干渉して放電セルCの選択性が低くなる場合がある。ここで、例えば特開2000−195431号公報や特開2000−311612号公報には、維持放電電極を覆う誘電体層の厚さを放電ギャップ部及び放電ギャップ隣接部を覆う部分よりも母線部を覆う部分で充分に厚くすることにより、母線部b上での放電を抑止する技術が開示されている。この場合、誘電体層における被覆厚さの差を実用上10μmレベル以上にする必要があると考えられ、必然的に放電ギャップ部及び放電ギャップ隣接部上方にはバリアリブとカソード膜との間に10μmレベル以上の隙間が形成されてしまう。つまり、当該隙間を介して、隣接する放電セル間で放電が干渉しうる。従って、誘電体層に厚さ分布を持たせた場合、上記隙間を介した放電の干渉を抑制するためには、バリアリブを挟んで並ぶ複数の放電セルに跨った放電ギャップ隣接部を用いることは難しく、各放電セル毎に設けられる放電ギャップ隣接部を用いる必要がある。
【0154】
これに対して、誘電体層3の厚さ分布を与えるのではなく放電不活性膜22を用いることによって、バリアリブ7を挟んで並ぶ複数の放電セルCに跨った放電ギャップ隣接部dが適用可能になる。なぜならば、放電不活性膜22は2次電子放出特性が低いという性質を利用して放電の発生を抑えるので、実施の形態1で述べたように膜厚を10μmレベル以下、更には5μmレベル以下に設定することにより(このような厚さであっても充分に放電抑止効果は得られる)、上記隙間をより狭くすることができるからである。放電ギャップ隣接部dは複数の架橋部cに跨って連続する(複数の架橋部cに接続されている)ので、たとえ1個の架橋部cが断線しても他の架橋部cが断線していなければ、断線した架橋部cに近接する放電ギャップ隣接部dへの給電は充分に可能である。このため、高い製造歩留を得るのに有利である。
【0155】
ところで、図7の平面図に示すように、バリアリブ7の各帯状パターンと各維持放電電極XC,YCの各架橋部cとが対面するように、前面基板54F及び背面基板51R(図23参照)を、従ってPDP51を構成しても良い。
【0156】
このPDP51では各架橋部cの一部又は全体が放電空間51Sに対面しないので、架橋部cでの放電は、架橋部cと放電空間51Sが対面する図6の場合に比して弱くなるかゼロになる。このため、各放電ギャップ隣接部aでの放電が各放電セルCの放電特性をより一層支配する又は全て支配することになる。従って、上述の放電不活性膜22のパターンエッジの形成位置ずれやガタツキによる不具合を、より一層弱めることができる又は解消することができる。
【0157】
同様に、図8の平面図に示すように、バリアリブ7の各帯状パターンと各維持放電電極XB,YBの各架橋部cとが対面するように、換言すれば第2方向D2に並ぶ複数の放電ギャップ隣接部a間の各領域がバリアリブ7の各帯状パターンに対面しないように、既述の前面基板53F及び背面基板51R(図23参照)を、従ってPDP51を構成しても良い。なお、かかる構成のPDP51は、上述の図7のPDP51の1つの放電ギャップ隣接部dを平面視においてバリアリブ7の帯状パターン間で維持放電電極XC,YCの伸長方向(第2方向D2)に分断した構造に相当する。
【0158】
図8のPDP51では、図7のPDP51と比較して、各放電セルCでの放電ギャップ隣接部のパターン面積が小さい。しかし、放電ギャップ隣接部a上方の放電空間51S内に生じたプラズマは隣接する放電ギャップ隣接部a間の領域(上記分断領域)に広がる。このため、図8のPDP51によれば、図7のPDP51と比べて放電電流を減少させることができると共にプラズマから発せられる紫外線量は図7のPDP51と同程度とすることができる。つまり、放電電流の割にはプラズマから発せられる紫外線量を多くすることができる。従って、発光効率が向上する。特に、この効果は放電不活性膜22を設けない場合でも得られる。
【0159】
図9に実施の形態2に係る第3の前面基板55F及びこれを備えたPDP51を説明するための平面図を示す。前面基板55Fの維持放電電極XD,YDは、図4の前面基板53Fにおいて隣接する表示ラインL間の2つの維持放電電極XB,YBを、より具体的には2つの母線部bを一体化(連続化)した平面パターンを有する。このため、隣接する表示ラインLが1本の維持放電電極XD又はYDを共有している。逆に言えば、維持放電電極XD,YDのそれぞれが隣接する表示ラインLの双方を規定している。
【0160】
前面基板55Fでは、隣接維持放電電極対間ギャップ部NG(図4参照)が無く、複数の維持放電電極X,Y間に在る複数のギャップ部は全て放電ギャップ部DGにあたる。各維持放電電極XD,YDにおいて、隣接する表示ラインL間ないしは隣接する放電ギャップ部DG間には1つの母線部bが配置されており、複数の架橋部cは当該1つの母線部bの両側(図9では上下に)に分けて設けられており各側の架橋部cは上記隣接する表示ラインLに向けて伸長している。そして、維持放電電極XD,YDの各架橋部cにそれぞれ放電ギャップ隣接部aが接続している。なお、母線部bの幅(第1方向D1の寸法)は適宜設定される。前面基板55Fのその他の構成は図4の前面基板53Fと同様であり、前面基板55Fによれば図4の前面基板53Fと同様の効果を奏する。
【0161】
図10に実施の形態2に係る第4の前面基板56F及びこれを備えたPDP51を説明するための平面図を示す。前面基板56Fの維持放電電極XE,YEは、図6の前面基板54Fにおいて隣接する表示ラインL間の2つの維持放電電極XC,YCを、より具体的には2つの母線部bを一体化(連続化)した平面パターンを有する。
【0162】
各維持放電電極XE,YEは、図9の維持放電電極XD,YDと同様の1つの母線部b及び複数の架橋部cを含んでおり、更に2つの放電ギャップ隣接部dを含んでいる。複数の架橋部cの一部の架橋部c(具体的には母線部bの一方の側において第2方向D2に並ぶ(複数の)架橋部c)の全てに共通に1つの放電ギャップ隣接部dが接続しており、同様に、複数の架橋部cの残りの架橋部c(具体的には母線部bの他方の側において第2方向D2に並ぶ(複数の)架橋部c)の全てに共通にもう一つの放電ギャップ隣接部dが接続している。なお、母線部bの幅(第1方向D1の寸法)は適宜設定される。前面基板56Fのその他の構成は図6の前面基板54Fと同様であり、前面基板56Fによれば図6の前面基板54Fと同様の効果を奏する。
【0163】
なお、図7のPDP51と同様に、前面基板56Fと背面基板51R(図23参照)とをバリアリブ7の各帯状パターンと各維持放電電極XE,YEの各架橋部cとが対面するように配置しても良い(図11参照)。また、図8のPDP51と同様に、既述の前面基板55Fと背面基板51R(図23参照)とをバリアリブ7の各帯状パターンと各維持放電電極XD,YDの各架橋部cとが対面するように、換言すれば第2方向D2に並ぶ複数の放電ギャップ隣接部a間の各領域がバリアリブ7の各帯状パターンに対面しないように、配置しても良い(図12参照)。図11及び図12のPDP51によれば、図7及び図8のPDP51と同様の効果がそれぞれ得られる。
【0164】
<実施の形態3>
図13に実施の形態3に係る前面基板57F及び当該前面基板57Fを備えたPDP51を説明するための平面図を示す。なお、図13中の符号R,G,Bは第1方向D1に並ぶ各放電セル群ないしは第1方向D1に伸長する各放電空間51Sに接する蛍光体8の発光色(赤色,緑色,青色)を示している。
【0165】
前面基板57Fは既述の放電不活性膜21(図2参照)に相当の放電不活性膜23を備えており、その他の構成は前面基板51F(図2参照)と同様である。前面基板57Fの放電不活性膜23は、図2の放電不活性膜21とは異なる平面パターンの露出表面23Sを有している。
【0166】
詳細には、放電不活性膜23は第1方向D1に伸長した各蛍光体8のうちで青色発光用の蛍光体8に対面する部分においてパターン幅(第1方向D1の寸法)が他の部分よりも狭くなっている。これに対応して、前面基板57Fにおいてカソード膜11の露出表面11Sは青色発光用の蛍光体8に対面する部分のパターン幅(第1方向D1の寸法)が他の部分よりも広くなっている。このため、青色発光用セルCでは赤色及び緑色発光用セルCよりもカソード膜11の露出表面11Sが広い。これにより、各放電セルC内において前面基板57F上に形成される各面放電50(図23参照)及びそれの放電電流を、赤色及び緑色発光用セルC内よりも青色発光用セルC内において大きくすることができる。従って、前面基板57Fを備えたPDP51によれば、赤色及び緑色に比べて青色がより強く発光するので、白色表示の色温度をより高くすることができる。
【0167】
なお、例えば緑色発光用セルC内の面放電50を赤色及び青色発光用セルC内の面放電50よりも小さくなるように放電不活性膜23及びカソード膜の露出表面23S,11Sのパターン形状を調整することにより、白色表示の黒体輻射軌跡からのずれをより低くすることができる。
【0168】
このように、複数の放電セルC内において前面基板57F上に形成される各面放電50の大きさが複数の放電セルそれぞれの発光色に依存するように、放電不活性膜23及びカソード膜11の露出表面23S,11Sがパターニングされているので、前面基板57F及びそれを備えたPDP51によれば、発光色毎に発光強度を調整できる。これにより、表示の色バランスを改善することができる。
【0169】
なお、図13では放電不活性膜23のパターンエッジがパターン幅が変化する部分で平面視において角張っている場合を図示しているが、当該パターンエッジを曲線的に(滑らかに)形成してパターン幅を変化させても良い。また、放電不活性膜23は(既述の放電不活性膜21と同様の)スクリーン印刷法や蒸着リフトオフ法等でパターン形成可能である。
【0170】
また、実施の形態3に係る放電不活性膜23と既述の維持放電電極XA〜XE,YA〜YEと組み合わせても、同様の効果が得られる。
【0171】
<実施の形態4>
図14に実施の形態4に係る前面基板58Fを説明するための平面図を示す。前面基板58Fは既述の放電不活性膜21(図2参照)に相当の放電不活性膜24を備えており、その他の構成は前面基板51F(図2参照)と同様である。前面基板58Fの放電不活性膜24は、放電不活性膜21の露出表面21S(図2参照)と同様の複数の帯状パターン及び更なる複数の帯状パターンから成る。
【0172】
詳細には、放電不活性膜24の上記更なる複数の帯状パターンは前面基板58Fの平面視において維持放電電極X,Yに対面して配置されており、しかも平面視において維持放電電極X,Yの各々を維持放電電極X,Yの配列方向すなわち第1方向D1に分断する(ここでは2分割する)ように配置されている。つまり、放電不活性膜24は複数の表示ラインL間に対応する領域及び平面視において複数の維持放電電極X,Yの各々を第1方向に分断する領域に露出表面24Sを有している。なお、放電不活性膜24は(既述の放電不活性膜21と同様の)スクリーン印刷法や蒸着リフトオフ法等でパターン形成可能である。
【0173】
これに対応して、前面基板58Fのカソード膜11(の露出表面11S)は、前面基板51Fの同露出表面11Sが上述の更なる複数の帯状パターンによって分断されたパターンになる。従って、各放電セルCでの面放電50(図23参照)は、放電ギャップ部DGに近い(ないしは放電ギャップ部DG上の)露出表面11Sから、放電ギャップ部DGから遠い露出表面11Sへ段階的に(ステップ的に)広がっていく。このため、前面基板58Fでは、放電ギャップ部DGに近い露出表面11S上で放電が盛んに生じている最中には、放電ギャップ部DGから遠い露出表面11S上では放電は未だ盛んではなく、放電ギャップ部DGから遠い露出表面11S上で放電が盛んに生じる頃には、放電ギャップ部DGに近い露出表面11Sでの放電が殆ど終息している。
【0174】
このような放電形態によれば、放電の瞬間ピーク電流を減少させることができるので、図1の駆動装置91のピーク負荷を減少させることができる。その結果、駆動装置91のコストを低減することができる。
【0175】
更に、前面基板58Fを備えたPDP51では、前面基板51Fを備えたPDP51と比べて、カソード膜11の露出表面11S上に形成される放電(プラズマ)の瞬間ピーク量が少ないが、プラズマは同程度に広がるので瞬間の紫外線の発生量はほとんど同じである。つまり、放電のために投入されたエネルギーに対する紫外線発生の効率が向上するので、表示の発光効率が向上する。
【0176】
ところで、例えば特開平10−149774号公報には、放電不活性膜を備えておらず且つ維持放電電極のパターンが維持放電電極の配列方向に分断されたPDPが開示されている。これに対して、前面基板58Fでは放電不活性膜24のうちで維持放電電極X,Yを分断するように設けられた部分の下方の維持放電電極X,Y自体はパターン分断されてはいない。従って、前面基板58Fを備えたPDP51の方がより強い電界を放電空間51S内に印加できるので放電開始電圧が低くてすむという点で優位性を有する。
【0177】
なお、放電不活性膜24と既述の図3の前面基板52Fの維持放電電極XA,YAとを組み合わせても同様の効果が得られる。
【0178】
<実施の形態5>
既述のように、本願発明者の調査によれば、上述の蒸着リフトオフ法で形成された放電不活性膜21Pを備えるPDP51Pに図25の駆動方法を適用すると、書込み期間ADで選択したにもかかわらず、放電維持期間SUで維持放電が発生しないという不具合が生じることが見出された。経験的には、このような不具合は、書込み期間ADに先行するリセット期間REPでの壁電荷の初期化が不安定なことに起因する場合が多い。これに基づくと当該不具合のメカニズムは以下のように推定される。
【0179】
放電維持期間SUでの維持パルスの電圧(150〜200V)程度では、面放電50は維持放電電極X,Yのうちで放電不活性膜21Pに被覆されていない部分でしか起こらない。しかし、図25のリセット期間REPの第2期間RE2Pでは、全てのセル内に充分に強力なプライミング放電を形成するために、維持パルスよりも高い電圧(250〜400V)が急峻なスイッチングで以て維持放電電極X,Y間に印加される。このため、維持放電電極X,Yのうちで放電不活性膜21Pに被覆された部分でもプライミング放電が確率的に発生し、該部分上方の放電不活性膜21Pの表面上にも壁電荷が蓄えられる。ところが、後続の第3期間RE3では、維持放電電極X,Y間の印加電圧は維持パルスの電圧と同程度(150〜200V)でしかないので、壁電荷を初期化するための消去放電は維持放電電極X,Yのうちの放電不活性膜21Pに被覆された上記部分では発生し難い。従って、上述の確率的なプライミング放電が発生すると、上述のようにして放電不活性膜21Pに蓄えられた壁電荷が初期化されないまま書込み期間ADに移行してしまい、その結果として書込み放電が不安定になり上述の不具合が生じる。
【0180】
そこで、実施の形態5では、かかる問題点を解決しうるPDP及びプラズマディスプレイ装置を提供する。
【0181】
図15に実施の形態5に係るPDPの駆動方法ないしは駆動シーケンスを説明するためのタイミングチャート(電圧波形)を示す。図1の駆動装置91は当該タイミングチャートに従ってPDP51の電極X,Y,Wに所定の電位を与えてPDP51を駆動する。ここでは、プラズマディスプレイ装置101のPDP51が前面基板51を備える場合を説明するが、前面基板52F(図3参照)等が適用されたPDP51に対しても本駆動方法は適用可能である。
【0182】
図15に図示のリセット期間REは図25のリセット期間REPに変えて適用される。特に、実施の形態5に係るリセット期間REは図25の第2期間RE2Pに変えて第2期間RE2を備え、第1及び第3期間RE1,RE3は図25のタイミングチャートと同様である。具体的には、図25の第2期間REPでは、全てのセル内にプライミング放電を発生させるために維持放電電極Xに印加する電圧を、中間電位Vxmから最高電位Vxhへ急峻に遷移させる(パルスP3Pの立ち上がりを参照)のに対して、実施の形態5に係る駆動方法では駆動装置91が維持放電電極Xの電位を漸増することによって上記電位の遷移を行う(パルスP3Pに変わるパルスP3の立ち上がりを参照)。これにより、隣接する維持放電電極X,Y間の電位差が漸増する。なお、図15にはパルスP3が直線的に漸増する場合(いわゆるランプ波形)を図示しているが、パルスP3として曲線的に漸増するパルスを用いることも可能である。
【0183】
このような駆動方法によれば、維持放電電極Xの電位が最高電位Vxhへ到達する途中のあるタイミングで放電空間51S内の電界強度が放電開始に必要なレベルに達し、放電ギャップ部DG近傍で維持放電電極X,Y間の面放電50が開始する。放電が開始すると放電空間51S内に荷電粒子による放電電流が流れるので、維持放電電極X,Y間の印加電圧とは逆向きの電界が生じるようにカソード膜11の露出表面11S上の放電ギャップ部DG近傍に電荷が蓄えられる(壁電荷の蓄積)。
【0184】
特に、維持放電電極X,Y間の電位差が漸増するペースを充分に遅くすることによって、維持放電電極X,Y間の電位差の漸増ペースよりも壁電荷が蓄えられるペースの方を速くすることができる。この場合、維持放電電極X,Y間への印加電圧及び壁電荷による両電界の相殺作用によって、放電が開始するや否や放電空間51S内の電界が放電を持続するのに必要なレベル以下になり、放電ギャップ部DG近傍で発生した維持放電電極X,Y間の面放電50が第1方向D1に充分に広がる前に、一旦停止する。引き続き維持放電電極X,Y間の電位差が漸増していき放電空間51S内の電界が放電開始に必要なレベルに達すると、再び面放電50が始まる。しかし、再度の面放電50も上述のメカニズムによって充分には広がらない。なお、この現象は、例えば特開平9−237580号公報に開示される、放電不活性膜を有さない面放電AC型PDPにおいても同様である。
【0185】
従って、リセット期間REにおいて維持放電電極X,Y間の電位差を漸増することによって、プライミング放電としての面放電50が放電不活性膜21の露出表面21Sに及ぶ(届く)のを抑制することができる。これにより、放電不活性膜21にプライミング放電を通じて確率的に壁電荷が蓄えられるのを防止することができるので、後続の第3期間RE3を通じた壁電荷の初期化が安定化する。その結果、書込み期間ADでのセル選択性が確保され、選択された放電セルC内に放電維持期間SUにおいて確実に維持放電を発生させることができる。
【0186】
さて、前面基板53F,54Fが適用されたPDP51(図4〜図8参照)において、架橋部cの維持放電電極の伸長方向(すなわち第2方向D2)の幅を充分に細くすることによっても、既述のメカニズムの通りに、リセット期間REにおいて放電ギャップ隣接部a,dで発したプライミング放電(面放電)を放電ギャップ隣接部a,dの範囲内又は架橋部cの途中までに局在化することができる。なお、この現象に関しては、例えば特開平9−237580号公報やProceedings of the 5th International Display Workshops(IDW'98), pp.531-534において、放電不活性膜を有さない面放電AC型PDPに関して説明されている。
【0187】
従って、前面基板53F,54F(図4〜図8参照)の放電不活性膜22のパターンを平面視において放電ギャップ隣接部a,dを被覆しないように配置し、更に好ましくは放電ギャップ隣接部a,dから充分に離すことによって、リセット期間REにおいて維持放電電極間に生じるプライミング放電(面放電)が、放電不活性膜22の露出表面22Sに及ぶ(届く)のを抑制することができる。なお、上述のように、このような前面基板53F,54Fを備えたPDP51と図15の駆動方法とを組み合わせて良い。
【0188】
更に、隣接する表示ラインで1本の維持放電電極を共有する構造に放電不活性膜を適用したPDPにおいても、上述の駆動方法及び構造によって放電不活性膜の露出表面にまでプライミング放電が及ぶのを抑制することは可能であり、同様の効果が得られる。なお、隣接する表示ラインで1本の維持放電電極を共有する構造に放電不活性膜を適用した上述のPDPには、例えば図3の前面基板52Fや図9〜図12の前面基板55F,56Fを備えたPDP51、及び、例えば特開2000−39866号公報や特開2001−147660号公報に開示されるPDPが含まれる。また、これらのPDPを、例えば上記特開2000−39866号公報や上記特開2001−147660号公報に開示される駆動シーケンスにおいてリセット期間に相当する期間を例えば図15のリセット期間REに変えたシーケンスで駆動することにより、放電不活性膜にまでプライミング放電が届かないようにすることができる。その結果、書込み期間で選択された放電セル内に放電維持期間で確実に維持放電を発生させることができる。また、特開2001−15034号公報の図8及び図10に開示される駆動シーケンスや、Proceedings of The 21st International Display Research Conference in conjunction with The 8th International Display Workshops (Asia Display/IDW'01)のpp.869-872のFig.4及びFig.5に開示される駆動シーケンスや、同pp.1757-1758のFig.3及びFig.4に開示される駆動シーケンスは維持放電電極X,Y間の印加電圧を漸増することによりプライミング放電を発生させるので、これらの駆動シーケンスを適用することによっても同様の効果が得られる。
【0189】
<実施の形態1〜5に共通の変形例>
例えば上述の前面基板51ではカソード膜11上に放電不活性膜21を配置しているが、カソード膜及び放電不活性膜を図16及び図17の断面図に示す前面基板59F,60Fのように配置しても良い。
【0190】
詳細には、図16の前面基板59Fでは誘電体層3、放電不活性膜25及びカソード膜15がこの順序で配置されている。そして、放電不活性膜25は、既述のカソード膜11(図2参照)と同様に、維持放電電極X,Yを覆って誘電体層3上に全面的に形成されている。また、カソード膜15は、既述の放電不活性膜21(図2参照)と同様に、複数の帯状パターンから成る。但し、前面基板59Fの平面視において放電不活性膜25及びカソード膜15の両露出表面25S,15Sが、既述の放電不活性膜21及びカソード膜11の両露出表面21S,11Sと同様に配置されるように、カソード膜15はパターニングされている。
【0191】
また、図17の前面基板60Fでは誘電体層3上に放電不活性膜26及びカソード膜16の双方が配置されている。そして、前面基板60Fの平面視において放電不活性膜26及びカソード膜16の両露出表面26S,16Sが、既述の放電不活性膜21及びカソード膜11の両露出表面21S,11Sと同様に配置されるように、放電不活性膜26及びカソード膜16はパターニングされている。
【0192】
カソード膜15と放電不活性膜25との配置関係及びカソード膜16と放電不活性膜26との配置関係は、既述の他の前面基板52F等にも適用可能であることは言うまでもない。
【0193】
また、PDP51ではバリアリブ7は背面基板51R上に設けられているが、バリアリブ7を前面基板51F上にカソード膜よりも先に形成されるように配置しても構わない。また、PDP51ではバリアリブ7は第1方向D1に伸長する帯状のパターンで設けられているが、表示ラインL間に対応する位置で第2方向D2に伸長する成分が加わった格子状のパターンで設けても構わない。
【0194】
また、PDP51では前面基板51F側のみならず背面基板51R側からも表示光を取り出すことは可能である。
【0195】
また、プラズマディスプレイ装置101ではアドレス期間ADにおいて維持放電電極Yを、従って表示ラインLを順次選択(走査)する場合を述べたが、アドレス電極Wを走査電極として駆動することも可能である。
【0196】
<実施の形態6>
図18に実施の形態6に係る第1の前面基板61F及びこれを備えたPDP51を説明するための平面図(レイアウト図)を示す。前面基板61Fは既述の図7に示す前面基板54Fの維持放電電極XC,YCを維持放電電極XF,YFに変えた構造を有しており、前面基板61Fのその他の構造は基本的に前面基板54Fと同様である。前面基板61Fの維持放電電極XF,YFは、前面基板54Fと同様の母線部b及び架橋部cと、放電ギャップ隣接部eとを含んでいる。
【0197】
放電ギャップ隣接部eは、平面視において、当該放電ギャップ隣接部eが接する放電ギャップ部DGの第1方向D1に沿った寸法が、バリアリブ7の隣接する帯状パターン(ないしは第1成分)によって規定される領域において第2方向D2に関する中心部(中央部)よりも当該バリアリブ7の帯状パターンに近い部位で広くなるような形状を有している。すなわち、放電ギャップ部DGの第1方向D1の寸法が上述のようになるように、放電ギャップ隣接部eの放電ギャップ部DG側のアウトライン(又はパターンエッジ)が設計されている。具体的には、図18の前面基板61Fにおいて放電ギャップ隣接部eは、第2方向D2に沿って隣接する複数の放電ギャップ隣接部(複数の放電ギャップ隣接部aに対応するが、平面視上台形をしている)が互いに接して一体化したパターンを有している(第2方向D2に沿って隣接する複数の架橋部cに跨って連続したパターンを有している)。なお、図18の前面基板61Fでは放電ギャップ隣接部eの母線部b側のアウトライン(又はパターンエッジ)は直線的に形成されている。
【0198】
図18の形状の放電ギャップ隣接部eによれば、放電ギャップ部DGを挟む維持放電電極XF,YF間に電圧が印加された時に放電ギャップ部DG上方の放電空間に形成される電界強度をバリアリブ7に近い部分よりバリアリブ7から離れた上記中央部において強いものとすることができる。これによって、維持放電電極XF,YF間の面放電は上記中央部を起点として広がるようにすることができる。従って、バリアリブ7に近い部分が上記面放電の起点となることが殆ど無くなるので、プラズマ中の荷電粒子がバリアリブ7もしくはバリアリブ7の側壁面を被覆している蛍光体8に衝突してエネルギーを損失するに至るまでのプラズマのエネルギーを大きくすることができる。しかも、バリアリブ7に近い部分では放電ギャップ部DGの第1方向D1に沿った寸法が広くなることで、実際に維持放電を起こしている維持放電電極部分の面積に比してプラズマの広がり領域を大きなものにすることができる。これらの理由により、維持放電電流と対比してプラズマから発せられる紫外線量を増やすことができるので、発光効率が向上するという効果が得られる。
【0199】
図18の前面基板61Fの放電ギャップ隣接部eは図7の放電ギャップ隣接部dの放電ギャップ部DGに面した側のアウトラインだけを変えたものにあたるが、図19に示す実施の形態6に係る第2の前面基板62Fのように放電ギャップDGと反対側の(つまり母線部b側の)アウトラインも同時にバリアリブ7に近い部分で変えることは自在である。図19の前面基板62Fでは、平面視上、放電ギャップ隣接部eの第1方向D1に沿った寸法は、バリアリブ7に近い部分においても、隣接するバリアリブ7で挟まれて規定される放電空間51Sの第2方向D2に関する中央部においても同じものとしている。従って、図18の前面基板61Fよりも維持放電電流が大きくなるので、輝度が向上する。
【0200】
また、図20に示す実施の形態6に係る第3の前面基板63Fのように、単位当り(1つの放電セル当たり又はバリアリブ7の隣接する2つの帯状パターンで規定される1つの領域当たり)の放電空間51S内における放電ギャップ隣接部eを、放電ギャップ部DGに向かって突き出すアーチ形状としても、同様の効果が得られる。
【0201】
ところで、図18〜図20のように、放電ギャップ部DGの第1方向D1に沿った寸法が、隣接するバリアリブ7で挟まれて規定される放電空間51Sの第2方向D2に関する中央部に比べて、バリアリブ7に近い部分で広くなるようにした例が、特開2001−160361号公報の図11〜図15や、Society for Information Displayの2001年国際シンポジウム会議(SID 01)DIGEST,pp.1328-1331のFigure 1に開示されている。
【0202】
しかし、特開2001−160361号公報においては、母線部(基部)においても維持放電が行なわれている。この場合、互いに隣接する表示ラインの境界に面する母線(ないしは隣接する表示ライン間に在る2つの母線)の間隔を相当に広いものとしなければ、互いの表示ラインにおける面放電が干渉して誤放電が起こり易くなるという問題がある。ところが、母線間の上記間隔を広くすると、遮光質の母線がセルの発光中心に近付くことになるので、発光効率が低くなる。また、母線部で放電を起こしても、遮光質なので、放電による電力消費が増える割に輝度は増えないことになり、発光効率は更に低いものとなる。
【0203】
これに対して、本発明に係る図18〜図20の前面基板61F,62F,63Fでは、既述の実施の形態1,2に準じた放電不活性膜22を母線部bに対して形成するので、母線部bで放電を起こさないようにすることができる。従って、上記の誤放電の問題に配慮する必要がなくなるので、隣接する表示ラインLの境界に面する母線部bの間隔を狭くすることができる。これにより発光効率が向上するという効果が得られる。
【0204】
また、特開2001−160361号公報に開示される維持放電電極X,Yは放電ギャップ隣接部を含め全体が透明電極を含まず、金属電極のみから成るので、放電ギャップ隣接部によって蛍光体からの発光が遮られてしまう。これに対して、実施の形態6及び後述の実施の形態7では放電ギャップ隣接部を透明電極(透明部)で構成することによって当該放電ギャップ隣接部が蛍光体からの発光を遮らないようにすることができるので、発光効率をより高めることができる。
【0205】
一方、SID 01 DIGEST,pp.1328-1331のFigure 1の構造では、バリアリブをメアンダ状のパターンにし、バス電極もメアンダ状のパターンとし、母線部であるバス電極を、メアンダ状リブによって縊れている放電ガス空間の部分に一部存在するのを除いては、バリアリブとオーバーラップさせることによって、母線部で放電が起こらないようにしている。しかし、一般にバリアリブのパターン幅は、放電空間をなるべく広く取って高い輝度が得られるよう、加工精度の限界(大面積ディスプレイなら50μm程度)まで細くするのが普通である。従って、バス電極のパターン幅も50μm程度以下とする必要があるが、それにより導抵抗が高くなりバス電極に電流が流れる時の電圧降下や電力損失が大きくなるという問題や、バス電極パターン形成時のパターン断線が起こり易くなるという問題を伴う。また、メアンダ状バリアリブパターンとメアンダ状バス電極パターンとの位置合わせが上記SID 01 DIGEST,pp.1328-1331のFigure 1の状態から少しでもずれると、放電の起こり易い広い放電空間にバス電極の一部が面するようになる。しかも、放電が行なわれるアーチ状透明電極とバス電極との結合部分が、上記広い放電空間に面するようになるので、当該結合部分に近接するバス電極の部分にまで放電が広がるのを抑えるのが困難になる。このため、上記の僅かのずれによってもセルの発光効率は低くなり、セルの放電電流も少なからず変化するという問題がある。実際には、大面積のプラズマディスプレイパネルの表示領域の全域に渡って、メアンダ状バリアリブパターンとメアンダ状バス電極とのずれを性能上無視できるほどのレベルにするのは非常に困難であるため、パネルの発光効率を最大化することも、セルの放電・発光特性の面内均一性を良好にすることも難しいと考えられる。
【0206】
これに対して、本発明に係る図18〜図20では、放電不活性膜22がバス電極2を含む母線部bを被覆している。たとえ放電不活性膜22のパターンの形成位置ずれ等の要因から母線部bの一部が放電不活性膜22から少しはみ出たとしても、放電ギャップ隣接部eと母線部bとは第1方向D1に関して距離を隔てているので、放電ギャップ隣接部eで始まった維持放電が当該母線部bにまで及ばないようにすることができる。換言すれば、本発明に係る図18〜図20の構造では、維持放電が開始される放電ギャップ隣接部eと電流が流れる幹線である母線部bとを離間して配置することによって(架橋部cを介して配置することによって)、母線部bに維持放電が及び難いような構造としている。このため、大面積化に有利である。
【0207】
ところで、図18〜図20において、架橋部cとバリアリブ7との第2方向D2に関する位置ずれが大きくなると、架橋部cがバリアリブ7からはみ出して放電空間51Sに面する部分が大きくなって、架橋部cにも維持放電が及ぶ場合がある。このとき更に例えば放電不活性膜22も大きく位置ずれして母線部が放電不活性膜22からはみ出ると、放電ギャップ隣接部e→架橋部c→母線部bへと維持放電が飛び火していく可能性がある。これを抑えるには、実施の形態2の図4の構造で説明したように架橋部cの第2方向D2のパターン幅を充分に小さくすることによって、架橋部cにおける放電を母線部bへ飛び火しない程度に充分に弱くするか実質ゼロにすればよい。すなわち、架橋部cを被覆している誘電体層3及びカソード膜11を介して放電空間51Sに及ぼす電界強度を相応に弱くすれば良く、それに適した架橋部cの第2方向D2のパターン幅は、当該架橋部cを被覆している誘電体層3及びカソード膜11の被覆厚さ(第3方向D3の寸法)の最大で略2倍以下、好ましくは略1倍以下と言える。このような架橋部cを有するPDPによれば、架橋部cでの放電を抑えられるので、バリアリブ7と架橋部cとの位置合わせ精度への要求が緩和される。このため、大面積化に有利である。通常、誘電体層3の維持放電電極上の被覆厚さは、絶縁耐力の確保と放電開始電圧の抑制との事由から25〜50μmの範囲であり、一方カソード膜4のそれはせいぜい1μmレベルである。従って、架橋部cの第2方向D2のパターン幅は略50μm以下にすることが求められる。このような細いパターン幅では、架橋部cのパターン形成時において断線が発生しやすくなるが、本発明に係る図18〜図20の構造によれば放電ギャップ隣接部eが複数の架橋部cに跨って連続したパターンとなっているので、1個の架橋部cが断線しても他の架橋部cが断線していなければ、断線した架橋部cに近接する放電ギャップ隣接部eへの給電は充分に可能である。このため、高い製造歩留を得るのに有利である。また、架橋部cは母線部bに比べると流れる最大電流が極めて少ないので、架橋部cを金属電極より導電性が桁違いに低い透明電極で構成した場合であっても、パターン幅を細くすることに伴って架橋部cにおける導電性が低下することが、性能上問題になることは殆ど無い。従って、架橋部cを上記のように細くすることは、本発明に係る図18〜図20では実用可能なことである。なお、上記のことは、図6,図7,図10,図11においても放電ギャップ隣接部dが複数の架橋部に跨って連続したパターンとなっているので同様である。一方、図4,図8,図9,図12では、放電ギャップ隣接部aは架橋部cの1個単位で分断されたパターンとなっているので、架橋部cが断線するとそれに近接する(接続した)放電ギャップ隣接部aへの給電はできなくなる。しかし、この場合の表示欠陥は点欠陥であり、電流を流す幹線であるバス電極2或いは母線部bが断線した場合の連続的線欠陥と比較すると、表示品位を著しく低下させるものではない。
【0208】
なお、図18〜図20では、図7の構造において、放電ギャップ隣接部dの形状を、放電ギャップ部DGの第1方向D1に沿った寸法が、隣接するバリアリブ7で挟まれて規定される放電空間51Sの第2方向D2に関する中央部に比べて、バリアリブ7に近い部分で広くなるように変形する例を示したが、これらと同じように、図4,図6,図9,図10,図11の放電ギャップ隣接部a又はdの形状を変えても同様の効果が得られる。また、当実施の形態6に係る放電ギャップ隣接部eを、既述の実施の形態3,5或いはそれらの共通の変形例に適用しても同様の効果が得られる。
【0209】
なお、特開平10−233171号公報に開示されるPDPはバス電極(母線部bに相当)、接続部(架橋部cに相当)及び放電ギャップ隣接部a又はdに相当の部分を有する電極を含んでいる。そして、当該公報には、上記接続部がバリアリブ(データ線(アドレス電極6に相当)間に当該データ線に平行に設けられる)に対向して設けられる場合及びセルの中心線上に設けられる場合が述べられているが、バリアリブがバス電極(母線部)に対向する構造、すなわちバリアリブが第2方向D2に相当の方向の成分を有する構造には言及されていない。また、この公報には上記接続部の幅は10〜80μm(好ましくは40μm程度)であること、及び、誘電体層の被覆厚さは約25μmであることが、開示されている。また、当該公報には隣接する電極が互いに接続された構造が開示されている。更に、当該公報に開示されるこれらのPDPでは上記バス電極上に絶縁体層を設けることによって母線部で放電が発生しないようにしている。しかしながら、この絶縁体層はMgOで被覆され放電空間には直接晒されないので、本願発明に係る放電不活性膜とは異なる。また、当該絶縁体層は上記バス電極を被覆する誘電体層の一部又は全部をポーラス状にしたものと考えられ、バリアリブであるとも言えない。
【0210】
また、Proceedings of The 7th International Display Workshops (IDW'00) pp.623-626のFig.2には架橋部の幅を40μmとする構造が示されているが、母線部(バス電極)で放電が起こらないようにするためのバリアリブの第2成分や放電不活性膜は設けられていない。
【0211】
<実施の形態7>
上述の実施の形態1〜6では放電不活性膜22で母線部b或いはバス電極2を被覆することによって維持放電が母線部bに波及しないようにしたが、PDPにおいて、放電不活性膜22を用いる代りに、バリアリブ7を格子状或いはワッフル状のパターンに変形しても同様の効果が得られる。図21の平面図に示すPDPのように、格子状のパターンを有するバリアリブ7Bは、PDPの平面視において、第1方向D1に伸長する複数の第1成分7B1(既述のバリアリブ7の複数の帯状パターンに相当)と、第2方向D2に伸長して第3方向D3において母線部bの対面に位置する複数の第2成分7B2と、を含んでいる。なお、図面の煩雑化を避けるため図21にはバリアリブ7B、母線部b(破線で模式的に示す)及び表示ラインLのみを図示している。この場合、放電空間をなるべく広く取って高い輝度が得られるよう、バリアリブ7Bの第2成分7B2は、放電セルの第1方向D1に関する中心に向く側のパターンエッジをなるべく放電セルの中心から離れた位置に置くのが望ましい。但し、そのような場合では、母線部bとバリアリブ7Bとの第1方向D1に関する位置合わせが少しでもずれると、母線部bが、放電セルの中心を取り巻く放電空間に面するようになるので、実施の形態6で言及したように架橋部cの第2方向D2に関するパターン幅を細くして架橋部cに維持放電が波及しないようにすることにより母線部bに維持放電が波及するのを抑制するのが望ましい。なお、図21には隣接する表示ラインL間に2つの母線部bが在る場合を図示しているが、例えば図9の構造のように隣接する表示ラインL間に母線部bが1つの場合にもバリアリブ7Bは適用可能である。また、図21ではバリアリブ7Bの各第2成分7B2は隣接する表示ラインL間の2つの母線部bに跨るように設けられているが、該2つの母線部bのそれぞれに第2成分7B2を設けても良い(図22のワッフル状パターンを有するバリアリブ7Cを参照)。
【0212】
図21の格子状のバリアリブ7B及び図18〜図20の維持放電電極XF,YFを備えたPDP51によれば、放電ギャップ部DGの上方の放電空間に形成される電界強度は、バリアリブ7Bの第1成分7B1に近い部分よりも当該第1成分7B1から離れた放電セルの中央部において強いものとすることができる。これによって、維持放電電極XF,YFによる面放電は、当該中央部を起点として広がるようになり、バリアリブ7Bの第1成分7B1に近い部分が起点となることが殆ど無くなるので、プラズマのエネルギーが損失する割合が減る。しかも、バリアリブ7Bの第1成分7B1に近い部分では、実際に面放電を起こしている維持放電電極XF,YFの面積に比してプラズマの広がり領域を大きなものにすることができるので、発光効率が向上する。また、隣接する表示ラインL間で互いの母線部bを近付けてもバリアリブ7Bの第2成分7B2により母線部bでの放電が抑制されて誤放電が発生しないようにできるので、発光効率向上が可能である。かかる効果はバリアリブ7Bに変えて図22のワッフル状パターンを有するバリアリブ7Cを備えたPDP51についても同様である。
【0213】
なお、第2方向D2に伸長する成分を有するバリアリブによって母線部(バス電極)で放電が起こらないようにした事例として、特開2000−39866号公報の図12、特開2000−195431号公報、特開2000−311612号公報、Proceedings of The 21st International Display Research Conference in conjunction with The 8th International Display Workshops(Asia Display / IDW'01),pp869-872のFig.1もしくはpp1757-1758のFig.1などが挙げられる。しかし、これらの事例では、架橋部cに相当する部分が存在しないか、架橋部cでの放電を抑えることは意図していないかのいずれかである。このため、母線部とバリアリブとの第1方向D1に関する位置合わせが少しでもずれて、母線部が放電セルの中心を取り巻く放電空間に面すると、母線部での放電を抑制するのが困難であるという点で、当実施の形態7とは異なる。
【0214】
<実施の形態1〜7に関して>
実施の形態1〜7のように、放電ギャップ部DGから第1方向D1に関して最遠方に位置する、維持放電電極X,Y等(以下の説明では維持放電電極X,Yで代表する)を構成する母線部b或いはバス電極2の部位で放電が起こらないようにすることによって、書込み期間(アドレス期間)ADにおける維持放電電極X,Y間の選択的書込み放電(アドレス放電)の発生が容易になるという効果がある。なぜなら、書込み放電は、先ずON電圧が入力されたアドレス電極Wと選択走査中の維持放電電極Yとの間で対向放電が発生し、当該電極W,Y間の対向放電をトリガーとして当該放電セルにおいて維持放電電極X,Y間の書込み面放電が発生することにより成立するので、放電ギャップ部DGにより近い部分で電極W,Y間の対向放電が発生した方が、放電ギャップ部DGの近傍を起点とする電極X,Y間の書込み面放電が発生し易いからである。すなわち、実施の形態1〜7では、放電ギャップ部DGから第1方向D1に関して最遠方に位置する、維持放電電極X,Yを構成する母線部b或いはバス電極2の部位で放電が起こらないようにしているので、書込み期間ADにおける電極W,Y間の対向放電も、上記部位ではなく、上記部位よりも放電ギャップ部DGにより近い部分で発生するからである。
【0215】
一般に電極W,Y間の対向放電はアドレス電極Wを陽極として且つ維持放電電極Yを陰極として成立っており、このとき電極W,Y間に作用する電界の第1方向D1に関する強度は放電ギャップ部DGに近い側では電極Yに対して正極性の電圧が印加されている電極Xの影響で一部相殺されてしまう。従って、放電ギャップ部DGから遠い方が、電極W,Y間に作用する電界強度は大きい。しかも、バス電極2は電流の流れる幹線としての機能を担うため導抵抗を相応に低く抑える必要があることからその厚さ(第3方向D3の寸法)は数μmから10μmのレベルであり、厚さがサブμmレベルの透明電極1だけで構成される透明部に比べるとバス電極2上の誘電体層3の被覆厚さは小さいので、放電空間51Sにおける電界はより強いものとなる。このため、バス電極2を放電ギャップ部DGから最遠方に位置させて維持放電電極X,Yが構成される一般的なセル構造においては、書込み期間ADでの電極W,Y間の対向放電は、バス電極2の付近で放電が起こり難いくくなるような処置を施さない限りは、放電ギャップ部DGから最遠方の部位で発生するので、放電ギャップ部DGの近傍を起点とする維持放電電極X,Y間の書込み面放電を誘発し難くなる。
【0216】
これに対して実施の形態1〜7、既述の公知事例である特開2000−39866号公報の図12、特開2000−195431号公報、特開2000−311612号公報、特開2001−176400号公報、及び、Proceedings of Asia Display / IDW'01,pp869-872のFig.1もしくはpp1757-1758のFig.1の構造によれば、放電ギャップDGから最遠方に位置するバス電極2を含む母線部bでの放電は、放電不活性膜或いはバリアリブの第2方向D2に伸長する成分を当該母線部bに対面する位置に設けることによって抑えられる。このため、放電ギャップ部DGにより近い部分で電極W,Y間の対向放電を発生させることができ、これにより放電ギャップ部DGの近傍を起点とする電極X,Y間の書込み面放電をより誘発し易くなるので、書込み(アドレス動作)の応答性が改善される。また、発光効率を向上させる目的で放電空間51Sに充填する放電ガスの圧力やXe濃度を増やすと書込みの応答性が低下する場合があるが、このような場合の対処として当該構造は有効である。
【0217】
なお、実施の形態2,6,7、実施の形態2の変形例、特開2000−195431号公報、特開2000−311612号公報、及び、特開2001−176400号公報の構造では、放電ギャップ隣接部a,d,eよりも第2方向D2に関する寸法が小さい架橋部cを設けることによって、母線部bの部分を除く維持放電電極X,Yの中で放電ギャップDGの近傍に位置する部分の割合が、他の事例よりも大きい。このため、電極W,Y間の対向放電が、放電ギャップ部DGにより近い部位で発生する可能性が高まるので、書込みの応答性はより良いものとなる。
【0218】
この内、実施の形態2,6や特開2001−176400号公報の構造では、放電不活性膜22を母線部bに設けているので、バリアリブ7は第2方向D2に伸長する成分を持たなくとも母線部bでの放電発生を抑えることができる。このため、放電空間51Sを第1方向D1に連続した(延在する)空間とすることができるので、放電開始のための補助となる放電空間中のプライミング粒子が、放電セル1個の範囲を越えて拡散して行き、放電セルで放電が発生するのを補助できるので、更に書込みの応答性が良くなる。
【0219】
また、実施の形態2,6,7で説明したように架橋部cのパターン幅を充分に細くしたり、図7,図11,図12のように架橋部cを第1方向D1に伸長するバリアリブ7の対面に設けることによって、架橋部cにおける放電を起こり難くすれば、書込み期間ADにおける電極W,Y間の対向放電は専ら放電ギャップ隣接部a,d,eで発生することになる。すなわち、本発明の構造によれば、架橋部cで電極W,Y間の対向放電が発生する可能性のある特開2000−195431号公報、特開2000−311612号公報、特開2001−176400号公報の構造よりも、書込みの応答性は良くなる。
【0220】
なお、以上の説明では、画像信号に基づいて維持放電が発生するべき放電セルに対して、放電維持期間に先立つアドレス期間において必要な壁電荷を付与するという書込みアドレス方式の場合を述べたが、予め全ての放電セルに維持放電が開始可能な壁電荷を付与しておき、続くアドレス期間において画像信号に基づいて選択的に壁電荷を消去するための放電を起こすことにより、後続の放電維持期間に備えるという消去アドレス方式の場合にも、上記選択的消去放電の応答性を良くすることができる。
【0221】
<応用例>
以上で説明した例えば放電不活性膜21等、維持放電電極X,Y等、及び、バリアリブ7等を種々に組み合わせる(形状、寸法、配置形態、材料、製造方法を含む)ことにより数多くの応用例が考えられることは言うまでもない。
【0222】
また、例えば図1,2,4,6〜8,13,14,16〜20では維持放電電極X,Yの第1方向D1の配列を…X,Y,X,Y,X,Y,X,Y,…としているが、これを…X,Y,Y,X,X,Y,Y,X…に変えても構わない。後者の配列によれば、隣接維持放電電極対ギャップ部NGを挟んで隣接する維持放電電極がX同士又はY同士になるので、X電極群とY電極群との間の静電容量が相対的に小さくなる。これにより、両電極群の間にAC電圧が印加される放電維持期間SUにおいて、上記容量成分による電力消費を小さくすることができるという効果が得られる。
【0223】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、放電不活性膜は無機バインダーを実質的に含まない、粉体の集合体から成るので、放電不活性膜をカソード膜と固着しないように配置することができる。これにより、第1電極間に形成する維持放電に必要な最小維持パルス電圧が大幅に増大しないプラズマディスプレイパネル(PDP)を提供することができる。更に、放電不活性膜は無機バインダーを実質的に含まない、粉体の集合体から成るので、放電不活性膜とバリアリブとの接触部分に作用する押圧が均等化され、ピンポイント的な押圧が作用するのを緩和することができる。このため、当該PDP用基板を適用したPDPでは、バリアリブの折損による画素欠陥の発生を防止することができる。なお、当該放電不活性膜はスクリーン印刷法で安価に形成することができ又自然剥がれを起こすことなく、上述の効果を奏する。
【0224】
請求項2に係る発明によれば、Al23とTiO2とSiO2はカソード膜に一般的に使用されるMgOに比して2次電子放出特性が低いので、放電不活性膜を確実に提供することができる。
【0225】
請求項3に係る発明によれば、可視光透過性の高い(透明度な)放電不活性膜を形成することができるので、発光効率の高いPDPを提供することができる。
【0226】
請求項4に係る発明によれば、放電不活性膜をカソード膜上に形成した場合であっても下地のカソード膜の表面が微視的にも露出しないようすることができる。従って、放電不活性膜上で放電が発生するのを防止して放電不活性膜の作用を確実に発揮させることができる。
【0227】
請求項5に係る発明によれば、放電不活性膜をカソード膜上に形成した場合であっても、当該PDP用基板を適用したPDPにおいてカソード膜とバリアリブとの間の隙間を充分小さくすることができる。これにより、バリアリブを介して隣接する放電空間内ないしは放電セル内の放電が互いに干渉するのが抑制され、放電セルの選択性を確保可能なPDPを提供することができる。
【0234】
請求項に係る発明によれば、請求項1乃至請求項のいずれかのPDP用基板に起因した効果が得られる。
【0236】
請求項に係る発明によれば、バリアリブが細く及び/又は高くなってh/w≧2という関係になっても、請求項1の放電不活性膜によってバリアリブの折損が抑制される。このため、バリアリブの折損による画素欠陥の発生を低減することができる。更に、バリアリブを細く及び/又は高く形成可能なので、放電空間を広げて輝度及び発光効率を向上させることができる。
【0237】
請求項に係る発明によれば、格子状のバリアリブよりも製造方法の選択の自由度が高く又製造時の不具合も少ない。また、プラズマ粒子がバリアリブ上の蛍光体に衝突してエネルギーを損失する割合は格子状バリアリブよりもストライプ状バリアリブの方が小さいので、より高い発光効率が得られる。
【0249】
請求項に係る発明によれば、ある架橋部で断線が生じても、それに近接する放電ギャップ隣接部への給電は、他の断線していない架橋部を通じて可能となるので、高い製造歩留を得るのに有利である。
【0250】
請求項10に係る発明によれば、ある架橋部で断線が生じても、それに近接する放電ギャップ隣接部への給電は、他の断線していない架橋部を通じて可能となるので、高い製造歩留を得るのに有利である。
【0253】
請求項11に係る発明によれば、放電不活性膜をカソード膜上に形成した場合であっても、当該PDP用基板を適用したPDPにおいてカソード膜とバリアリブとの間の隙間を充分小さくすることができる。これにより、バリアリブを介して隣接する放電空間内ないしは放電セル内の放電が互いに干渉するのが抑制される。従って、放電ギャップ隣接部が第2方向に沿って隣接する複数の架橋部に跨って連続するパターンを形成していても、放電セルの選択性を確保可能なPDPを提供することができる。
【0254】
請求項12に係る発明によれば、放電ギャップから近い部位で第1電極と第2電極との間の対向放電が起こるので、放電ギャップ近傍が起点となる第1電極によるアドレス面放電(書込み面放電)を誘発し易くなる。このため、アドレス動作(書込み動作)の応答性が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係るプラズマディスプレイ装置を説明するためのブロック図である。
【図2】 実施の形態1に係る第1の前面基板を説明するための断面図である。
【図3】 実施の形態1に係る第2の前面基板を説明するための平面図である。
【図4】 実施の形態2に係る第1の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図5】 実施の形態2に係る第1の前面基板を説明するための断面図である。
【図6】 実施の形態2に係る第2の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図7】 実施の形態2に係る第2の前面基板を備えた他のPDPを説明するための平面図である。
【図8】 実施の形態2に係る第1の前面基板を備えた他のPDPを説明するための平面図である。
【図9】 実施の形態2に係る第3の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図10】 実施の形態2に係る第4の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図11】 実施の形態2に係る第4の前面基板を備えた他のPDPを説明するための平面図である。
【図12】 実施の形態2に係る第3の前面基板を備えた他のPDPを説明するための平面図である。
【図13】 実施の形態3に係る前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図14】 実施の形態4に係る前面基板を説明するための平面図である。
【図15】 実施の形態5に係るPDPの駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】 実施の形態1〜5に共通の変形例に係る第1の前面基板を説明するための断面図である。
【図17】 実施の形態1〜5に共通の変形例に係る第2の前面基板を説明するための断面図である。
【図18】 実施の形態6に係る第1の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図19】 実施の形態6に係る第2の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図20】 実施の形態6に係る第3の前面基板及び当該前面基板を備えたPDPを説明するための平面図である。
【図21】 実施の形態7に係るバリアリブを説明するための平面図である。
【図22】 実施の形態7に係る第2のバリアリブを説明するための平面図である。
【図23】 放電不活性膜を備えるPDPを説明するための斜視図である。
【図24】 表示画面のサブフィールド分割を説明するための図である。
【図25】 従来のPDPの駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 透明電極、2,2A バス電極、3 誘電体層、5 前面ガラス基板、6,W,W1〜Wm アドレス電極(第2電極)、7,7B,7C バリアリブ、7B1 第1成分、7B2 第2成分、11,15,16 カソード膜、11S,15S,16S,21S〜26S 露出表面、21〜26 放電不活性膜、50 面放電、51 プラズマディスプレイパネル、51F〜63F 前面基板(PDP用基板,第1基板)、51R 背面基板(第2基板)、91 駆動装置、101 プラズマディスプレイ装置、AD 書込み期間(アドレス期間)、C 放電セル、DG 放電ギャップ部、L 表示ライン、RE,REP リセット期間、SI 内向き表面、SO 外向き表面、X,X1〜Xn,XA〜XF,Y,Y1〜Yn,YA〜YF 維持放電電極(第1電極)、a,d,e 放電ギャップ隣接部、b 母線部、c 架橋部、t 厚さ、h 高さ、w 平均パターン幅。

Claims (12)

  1. 基板と、
    前記基板上において第1方向に並んでいると共に前記第1方向に交差する第2方向に伸長しており、前記第2方向に伸長する複数の表示ラインを規定する複数の第1電極とを備え、前記複数の第1電極間に設けられた複数のギャップ部は前記複数の表示ラインに対応する複数の放電ギャップ部を少なくとも含み、
    前記複数の第1電極を覆って前記基板上に配置された誘電体層と、
    前記誘電体層を介して前記基板に対面して配置されており、前記複数の表示ラインに対応する領域に露出表面を有するカソード膜と、
    前記誘電体層を介して前記基板に対面して配置されており、前記複数の表示ライン間に対応する領域に露出表面を有する、前記カソード膜よりも2次電子放出特性が低い放電不活性膜とを更に備え、前記放電不活性膜及び前記カソード膜の両前記露出表面は平面視において接しており、前記放電不活性膜は無機バインダーを実質的に含まない、粉体の集合体から成る、
    プラズマディスプレイパネル用基板。
  2. 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用基板であって、
    前記粉体は、Al23とTiO2とSiO2との各粉体の少なくとも1種を含む、
    プラズマディスプレイパネル用基板。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル用基板であって、
    前記粉体は、平均粒径が大略1μm以下である、
    プラズマディスプレイパネル用基板。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用基板であって、
    前記放電不活性膜は、大略前記粉体の平均粒径以上の厚さを有する、
    プラズマディスプレイパネル用基板。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用基板であって、
    前記放電不活性膜は、大略10μm以下の厚さを有する、
    プラズマディスプレイパネル用基板。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用基板を第1基板として備え、
    前記第1基板に対面配置された第2基板と、
    前記第1及び第2基板間に配置されたバリアリブとを更に備える、
    プラズマディスプレイパネル。
  7. 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用基板を第1基板として備え、
    前記第1基板に対面配置された第2基板と、
    前記第1及び第2基板間に配置されたバリアリブとを更に備え、
    前記バリアリブは定方向に伸長するパターンを含んでおり、
    前記バリアリブの前記パターンについて、前記第1及び第2基板の積み重ね方向の寸法である高さをhと表記し、前記積み重ね方向及び前記定方向の双方に垂直な方向の寸法であるパターン幅を前記積み重ね方向について平均して与えられる平均パターン幅をwと表記するとき、h/w≧2を満たす、
    プラズマディスプレイパネル。
  8. 請求項に記載のプラズマディスプレイパネルであって、
    前記バリアリブはストライプ状のバリアリブである、
    プラズマディスプレイパネル。
  9. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用基板を第1基板として備え、
    前記第1基板に対面配置された第2基板を更に備え、
    前記複数の第1電極の各々は、
    前記第2方向に伸長した母線部と、
    前記母線部から前記複数の放電ギャップ部のうちで前記母線部が隣接する少なくとも1つの放電ギャップ部に向けて伸長した複数の架橋部と、
    前記複数の架橋部の少なくとも1つを介して前記母線部と電気的に接続されており、前記少なくとも1つの放電ギャップ部に隣接して配置された少なくとも1つの放電ギャップ隣接部とを含み、
    前記少なくとも1つの放電ギャップ隣接部は、前記第2方向に沿って隣接する複数の前記架橋部に跨って連続するパターンを形成している、
    プラズマディスプレイパネル。
  10. 請求項と請求項とのいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルであって、
    前記複数の第1電極の各々は、
    前記第2方向に伸長した母線部と、
    前記母線部から前記複数の放電ギャップ部のうちで前記母線部が隣接する少なくとも1つの放電ギャップ部に向けて伸長した複数の架橋部と、
    前記複数の架橋部の少なくとも1つを介して前記母線部と電気的に接続されており、前記少なくとも1つの放電ギャップ部に隣接して配置された少なくとも1つの放電ギャップ隣接部とを含み、
    前記少なくとも1つの放電ギャップ隣接部は、前記第2方向に沿って隣接する複数の前記架橋部に跨って連続するパターンを形成している、
    プラズマディスプレイパネル。
  11. 請求項乃至請求項10のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルであって、
    前記放電不活性膜は、前記母線部に対応する領域に前記露出表面を有するように前記カソード膜上に大略10μm以下の厚さで形成されている、
    プラズマディスプレイパネル。
  12. 請求項乃至請求項11いずれかに記載のプラズマディスプレイパネルと、
    前記プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動装置と、を備え、
    前記第2基板は、前記複数の第1電極と交差する方向に伸長する複数の第2電極を含み、
    前記駆動装置によるアドレス動作において、前記第1電極と前記第2電極との間の対向放電が、平面視において該第1電極の前記放電ギャップ部に近い部位で行なわれる、
    プラズマディスプレイ装置。
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