JP4026411B2 - 固体電解質型燃料電池セルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、とくに薄膜固体酸化物電解質を用い、電気化学反応により電気エネルギを得る固体電解質型燃料電池セルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高エネルギー変換が可能であり且つ炭酸ガスや窒素酸化物などの汚染物質を排出しないクリーンエネルギー源として、燃料電池(FC)が注目されている。燃料電池のなかでも、固体酸化物電解質型燃料電池(以下『SOFC』と略称)は、取扱いが容易なH2やCO、CH3などのガス燃料を直接導入可能であることに加え、電極反応に伴う分極が小さいなど、他の方式に比べて大きな長所を有しており、産業や一般家庭、電気自動車システムなどへの普及に大きな弾みをつける技術革新が待望されている。
【0003】
従来のSOFCは、焼結体から成る電解質の両面(表裏面)に燃料極と空気極を配置し、電解質を隔壁として燃料極側に水素や炭化水素などの燃料ガスを供給し、空気極側に空気または酸素ガスを供給する構成である(水田進・脇原将孝編著、固体電気化学、10章(講談社サイエンティフィック社2001年3月30日発行))。また、電解質としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が最も一般的な材料であるが、最近では、CeO2やBi2O3あるいはLaGaO3を母材とした電解質も検討されている。
【0004】
従来のSOFCの製造方法としては、YSZ電解質を用いた例で説明すると、まず、所定のイットリア(Y2O3)を含有するジルコニア(ZrO2)微細粉末を粉末プレス法などで薄板状に成形する。次いで、成形体を電気炉により1000℃以上で焼成してYSZセラミックス薄板とした後、その両面に、燃料極および空気極として、Ni−YSZサーメットやストロンチウム混入型マンガン酸ランタン酸化物などの電極を順に形成する。
【0005】
このようなSOFCの難点は、低導電率の電解質しか得られないこと、自立し且つ製造工程に充分耐え得る機械的強度を確保するために電解質の厚みを少なくとも0.1mm以上にしなければならないことである。
【0006】
厚い電解質の抵抗成分を低減するためには、1000℃以上に温度を上げて電解質の導電率を向上させる必要がある。しかし、このような高温に上げると、電極やセパレータなどの構成部材が急速に劣化するという問題がある。また、作動温度まで昇温させるのに時間がかかるので、例えば、電気自動車の動力源のように作動/停止を頻繁に繰り返す断続作動系には適さないという問題もある。言い換えると、セラミックスを用いた従来のSOFCは、発電効率を上げるために作動温度を高くすると電池の寿命が短くなり、発電開始に時間がかかるものとなっており、逆に、寿命や時間を重視して作動温度を低くすると、発電効率が低下するものとなっていた。
【0007】
上記のセラミックス型SOFCにおける問題を打開する方法としては、電解質の導電率の低さを薄さで補い、燃料電池の直列抵抗成分を低下させて低温で動作させようとする方法がある。この方法を徹底させたSOFCが薄膜固体酸化物電解質を用いた燃料電池(以下『TFSOFC』と略称)である。ここで、「薄膜」とは厚みが概ね5μm以下の薄い膜である。
【0008】
このTFSOFCは、一例として、第6回SOFC国際シンポジウム(1999年10月17日〜10月22日、北米、ホノルル市開催)の議事録(Electrochemical Society Proceedings Volume 99-19, The Electrochemical Society, Inc.)の932〜937ページに紹介されているものがある。
【0009】
図14を用いてこのTFSOFCの構造を説明すると、表裏の主面を有する単結晶シリコン基板(以下『基板』とする)101において、図中で上側の第1主面には、厚さ0.22μmのSi3N4膜から成る絶縁層102が形成してある。基板101には、同基板101および絶縁層102を貫く状態で方形の貫通窓103が形成してある。この貫通窓103は、図中で下側の第2主面側で0.14〜16mm2の開口面積を有している。基板101の第1主面側には、貫通窓103を覆うように、厚さ0.5μmのNi電極である燃料極104と、厚さ約2.5μmのイットリア安定化ジルコニウムから成る電解質105と、多孔性(=密度の低い)で且つ厚さ0.85μmのAg電極である空気極106を順に積層した「自立型陽極−電解質−陰極の3層構造体」が設けてある。
【0010】
電解質105の燃料極104側の表層および空気極106側の表層には、電極/電解質界面での分極抵抗を緩和するために、非常に薄い(〜50nm)Ni−YSZサーメット層およびAg−YSZサーメット層が夫々形成してある(図示略)。また、少なくとも貫通窓103に露出する燃料極104の部分には、電解質105への酸素(または空気)の流入を促進し、且つ触媒(Ni)−電解質界面の面積増大を効果的に調節するために、フォトリソグラフィとウェットエッチングにより直径3〜5μmの小孔が3μm間隔で形成してある。
【0011】
上記議事録論文によれば、TFSOFCの基板101の第1主面側に、酸化剤としてAr希釈された20%酸素を導き、第2主面側に、燃料としてAr希釈された加湿4%水素を導いて昇温すると、214℃というきわめて低い温度で発電が観察され、316℃では出力密度3.8mW/cm2が得られたと報告されている。このような室温に近い温度での発電は、セラミックス型SOFCでは到底不可能であったため、セラミックス型SOFCが抱えていた問題を解決し得る画期的な成果であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような薄膜固体酸化物電解質を用いた燃料電池(TFSOFC)にあっては、発電開始の低温化の可能性を示したが、従来のセラミックス型の固体電解質型燃料電池(SOFC)と比べると発電出力が極端に低いという問題点があり、実用に供するために特段の出力向上が求められていた。
【0013】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、電極構造を改良することにより、薄膜型固体酸化物電解質を用いた低温作動の燃料電池セルにおいても発電出力を高めることができる固体電解質型燃料電池セルを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る固体電解質型燃料電池セルは、電解質を燃料極と空気極で挟持して成る3層構造体を備えた固体電解質型燃料電池セルにおいて、燃料極と空気極の少なくとも一方が、集電を行う集電電極として、電解質の表面が露出する開口部を形成するフレーム電極を備え、フレーム電極の開口部内に、ガスを分解する反応電極として、電解質の表面に多数形成した微細な粒状電極を備えている構成とし、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0015】
また、本発明に係る固体電解質型燃料電池セルの製造方法は、単結晶固体電解質基板の第1主面に空気極および燃料極のいずれか一方の極の第1フレーム電極と第1粒状電極を形成する工程と、一方の極を形成した電解質の第1主面にエッチング保護膜を形成する工程と、電解質の第2主面に空気極および燃料極の他方の極の第2フレーム電極と第2粒状電極を形成する工程と、第1主面に形成したエッチング保護膜を除去する工程、を備えた構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0016】
なお、本発明において、固体電解質型燃料電池セルは、燃料電池の最小の発電要素であって、このセルを複数配列したセル板、セル板とセパレータを交互に積層して成るスタック、さらにはスタックに燃料供給系や空気供給系等を具備して成る燃料電池に当然適用し得るものである。
【0017】
【発明の作用】
固体電解質型燃料電池セル(SOFCセル)においては、電解質、燃料極および空気極のそれぞれの電気抵抗と、燃料極および空気極の反応抵抗(=過電圧)の和が内部抵抗を構成している。SOFCセルの発電出力を向上させるのに有効な方法は、周知の通り内部抵抗を低減することである。
【0018】
ここで、SOFCセルの寿命を伸ばすために作動温度を低くすると、電解質の電気抵抗のみならず空気極と燃料極の反応抵抗も急増する。これに対して、薄膜固体酸化物電解質を用いた燃料電池セル(TFSOFCセル)は、従来の場合、電解質を薄膜化してその電気抵抗を下げ、これにより内部抵抗を下げようとするものであった。上述したように、電解質の抵抗の低減(=薄膜化)が図られ、作動温度の低温化の可能性を示すことには成功しているが、発電出力は期待したほど伸びていない。これは、燃料極と空気極の反応抵抗が依然大きいことに起因していると推察される。
【0019】
そこで、本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルでは、電極(燃料極および空気極)の反応抵抗を著しく軽減することにより内部抵抗を下げることで、発電出力を増大させるようにしており、とくに電極の反応抵抗が電池の内部抵抗を強く支配する低温作動のTFSOFCセルに適用すれば、発電出力を大幅に向上し得ることとなる。
【0020】
以下に、本発明に係わる燃料電池セルによって燃料極と空気極の反応抵抗を低減できる理由を説明する。
【0021】
電極の反応抵抗(=過電圧)は「反応過電圧」と「濃度過電圧」が原因である。反応過電圧は、空気極にあっては、気相の酸素分子が解離し、続いて電極から電子を獲得して酸素イオンとなり、固体酸化物電解質に取り込まれるまでの一連の反応で発生する過電圧である。また、燃料極にあっては、気相の水素分子が解離し、固体酸化物電解質の酸素イオンを引き抜き、電極に電子を放出するまでに一連の反応で発生する過電圧である。いずれの電極の場合も、上記した一連の反応は、電解質と電極と気相が同時に接する三相界面とその近傍のせいぜい数nmの範囲、すなわち反応場に局在して起こることが知られていて、三相界面の密度不足が反応過電圧の増大を招いている。
【0022】
一方、濃度過電圧は、気相から反応場に向かって反応ガスの供給が追いつかないときや、H2Oなどの生成物が三相界面から離脱しにくいときに、三相界面と気相の間の化学種の濃度差により生じる抵抗成分である。とくに電極のガス透過性の良し悪しは濃度過電圧の発生に重大な影響を与える。
【0023】
以上の電極の反応抵抗(過電圧)の原因を考慮しながら、例えば従来の電極構造(図14参照)を見てみると、図15に貫通窓103における燃料極104の拡大断面図を示すように、燃料極104には直径3〜5μmの小孔107が多数形成してあり、小孔107の底には電解質105の表面が覗いている。同図から明らかなように、従来のTFSOFCセルにおける燃料極104の三相界面は、R1,R2で示す小孔107の開口縁部だけであり、小孔107内における電解質105の表面の大部分は役に立たない領域(非反応場)として存在している。このような三相界面の希薄な電極構造が燃料極104の反応過電圧の低減を妨げている。
【0024】
一方、空気極106は、電解質105へのガスの透過を可能にするために、低真空度で蒸着された多孔性(低密度)の電極膜となっている。ところが、多孔性の電極膜は、通常の電極蒸着膜と比べると抵抗率が数倍高く、電極の電気抵抗(=内部抵抗の構成要素)の増大を防ぐためには、比較的厚い膜(例えば0.8μm)にする必要がある。しかし、厚い電極膜は、反応ガスや生成ガスの透過性を急速に低下させ、電極の濃度過電圧を高め、これらが内部抵抗を上昇させる原因となる。さらに、多孔性の電極膜は、高温に上げたり長期に作動させたりすると、緻密化してガスの通過性が低下するという問題もある。このように多孔性の電極膜は、本質的に不安定で、且つ過電圧を低下させにくいという欠点がある。
【0025】
これに対して、本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルでは、図1および図2に示すように、固体電解質1を燃料極2と空気極3で挟持して成る3層構造体を備え、燃料極2と空気極3が、ガスを分解する反応電極として、電解質1の表面に多数形成した微細な粒状電極2A,3Aを備えている。
【0026】
なお、図示の燃料電池セルは、基板4を備えており、基板4に絶縁層5を設けるとともに貫通窓6を形成し、貫通窓6を閉塞する状態で上記の3層構造体を備えている。また、燃料極2と空気極3は、貫通窓6に対応する領域に、集電を行う集電電極として、電解質1の表面が露出する開口部7を形成する格子状のフレーム電極2B、3Bを備え、開口部7内に粒状電極2A,3Aが設けてある。
【0027】
フレーム電極2B,3Bは、電気抵抗が低いとともに電解質1との密着性が高く、且つ供給されるガスや高熱に耐えられる材料であれば良い。フレーム電極2B,3Bの開口部7の大きさは数mm〜数μmの寸法である。フレーム電極2B,3Bの主たる機能は粒状電極2A,3Aと電荷の授受を行うことと、夫々の極本体を介して発電出力を外部に送電することである。
【0028】
粒状電極2A,3Aは、金属の蒸着や電着(めっき)において、その膜厚が非常に薄いとき、膜が連続とならず、ナノメートル寸法の粒が密集したような不連続構造(図2参照)となる電極膜のことである。フレーム電極2B,3Bの開口部7は小さくても数μmの寸法であるのに対して、粒状電極2A,3Aの一個の寸法は数nmと極めて小さく、両者は大きさで3桁の開きがある。図2に示す粒状電極2Aの寸法および間隔は、説明を容易にするために、実際よりも2桁近く大きく描かれているが、実際には、無数ともいえる膨大な数の粒と間隙が形成されている。この微小な粒状電極2A同士の間には電解質1が露出している。粒状電極2A,3Aの材料としては、電極反応に高い触媒活性を示す材料が適宜選ばれる。
【0029】
すなわち、本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルでは、各粒状電極2A,3Aの個々の周辺が三相界面を形成しているので、図15に示した従来の電極構造と異なって、無数の三相界面(反応場)が存在することとなり、反応過電圧を大きく低減し得ることとなる。また、粒状電極2A,3Aの先端部は気相に向かって大きく開放されているので、反応ガスの飛来ならびに生成ガスの放出を遮ることがなく、従来の電極構造に比べて、電極の濃度過電圧を極めて効果的に低減し得ることとなる。さらに、粒状電極2A,3Aは上述のように極端に薄いので、過熱しても、また、長期に作動させても高密度化することなく安定である。
【0030】
そして、粒状電極2A,3A同士の間隔あるいは粒状電極2A,3Aとフレーム電極2B,3Bとの間隔は数nm以下であるから、直接トンネリングあるいは電解質1の表面を経由した電導により、電極反応に参画する電子の受け渡しが自由にでき、粒状電極2A,3Aの反応で生成した電力は、低抵抗のフレーム電極2B,3Bに集められて効率的に外部回路(負荷)に供給される。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルによれば、電極の反応抵抗すなわち反応過電圧と濃度過電圧の両方を著しく低減することができ、これにより電池の内部抵抗を減少させることができると共に、発電出力を高めることができ、薄膜固体酸化物電解質を用いた燃料電池セルにおいても高い発電出力を実現することができる。
【0032】
また、本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルの製造方法によれば、電極の反応抵抗すなわち反応過電圧と濃度過電圧の両方を著しく低減し得る電極構造を得ることができ、これにより電池の内部抵抗が少なくて発電出力の高い固体電解質型燃料電池セルを得ることができ、薄膜固体酸化物電解質を用いた燃料電池セルにおいても発電出力の向上を図ることができる。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
この実施例の固体電解質型燃料電池セルは、従来の薄膜固体酸化物電解質を用いた燃料電池(TFSOFC:図14参照)に対して発電特性を改善した例である。
【0034】
図1に示す燃料電池セルは、薄膜酸化固体電解質を用いたものであって、平面状の領域において、基本セル構造部分C、燃料極の取出し部分B、空気極の取出し部分Tに大別される。なお、図1には1つの基本セル構造Cしか示していないが、実際には、大きな出力を得るために基本セル構造Cを図面の左右方向および垂直方向に複数配列してセル板を構成し、さらには、複数のセル板と複数のセパレータを交互に積層してスタックを構成する。
【0035】
上記燃料電池セルは、表裏に第1および第2の主面を有する(100)単結晶シリコン基板(以下『基板』とする)4を備えている。第1および第2の主面は、いずれもミラー研磨されたきわめて平滑な表面を有している。図1で上側である第1主面には、厚さ250nmの緻密なSi3N4(窒化シリコン)膜から成る絶縁層5が形成してある。また、基板4には、絶縁層8とともに厚さ方向に貫通する状態で方形の貫通窓6が形成してある。貫通窓6は、例えば、第1主面側で2mm×2mmの開口面積を有している。この貫通窓6の形態は方形に限定されるものではなく、例えば円や長方形、あるいは六角形などでもよい。
【0036】
基板1の第1主面には、貫通窓6を閉塞する状態で、薄い燃料極2と、薄膜固体酸化物電解質として例えば厚さ約2.5μmのイットリア安定化ジルコニウム膜から成る電解質1と、薄い空気極3が下側から順に積層された「自立型陽極−電解質−陰極の3層構造体」が設けてある。また、電極を外部に取出す必要上、燃料極2の取出し部分Bの上側には電解質1および空気極3は無く、空気極3の取出し部分Tの下側には燃料極2が無い構成となっている。
【0037】
なお、この実施例では下側が燃料極2で、上側が空気極3となる構成としているが、燃料極2と空気極3を上下逆の配置にした構成でも良い。また、電解質1は、YSZ膜のみに限られることは無く、例えばCeO2やBi2O3、あるいはLaGaO3を母材とした固体酸化物電解質の薄膜でも良い。さらに、電解質1の燃料極2側の表層および空気極3側の表層には、非常に薄い(〜50nm)Ni−YSZサーメット層及びAg−YSZサーメット層が夫々形成してある(図示略)。これは、電極/固体電解質界面での分極抵抗を減じるためである。
【0038】
貫通窓6の上部に配置した燃料極2および空気極3には、電解質1の表面へのガスの流入や同表面からのガス排出を促進するために、フォトリソグラフィにより、5μm×5μmの方形の開口部7が5μm間隔で平面的に規則正しく配列してある。これにより、燃料極2および空気極3は、電解質1の表面を露出させる開口部7を規則的に配置した格子状のフレーム電極2B,3Bを備えたものとなっている。フレーム電極2B,3Bは、集電を行う集電電極として用いられるものであって、当然のことながら各電極2,3の本体部分(外側部分)に連続している。
【0039】
フレーム電極2B,3Bおよびその開口部7は、形状、寸法、間隔および配列といった形態が上記形態に限定されることはなく、円形、三角形、長方形、斜方形、または六方形(ハニカム状)等でもよい。ただし、開口部7の寸法は、貫通窓6の寸法と同じか、これよりも小さいものとし、開口部7が複数ある場合は、その寸法が同じで平面的に規則正しく配列したものとする。また、空気極3のフレーム電極3Bにおける開孔部7と、燃料極2のフレーム電極2Bにおける開口部7の重なりが最大になるように、互いの位置関係が精密に調節してある。このように、開口部7の寸法を貫通窓6の寸法と同じまたはそれ以下とし、さらに、互いの開口部7の重なりを最大にすることで、電解質1を介した電気化学反応が効率良く行われる。
【0040】
フレーム電極2B,3Bの材料としては、電気抵抗が低く、電解質1と密着性が強く、供給されるガスや高熱に耐えられる材料が適宜選ばれるが、このような性質に加えて、燃料ガスあるいは酸化ガスに触媒活性を呈する材料が選択できれば一層望ましい。この実施例においては、一例として、燃料極2側には、例えば厚さ350nmのNi電極を用い、空気極3側には、例えば厚さ500nmの緻密なAg電極を用いている。
【0041】
そして、フレーム電極2B,3Bの開口部7内には、図2に拡大して示すように、質量膜厚20nm以下、望ましくは10nm以下の粒状電極2A,3Aが形成してある。これにより、燃料極2および空気極3は、ガスを分解する反応電極である粒状電極2A,3Aを備えたものとなっている。なお、粒状電極2A,3Aは、質量膜厚を20nmよりも大きくすると連続膜になってしまうため、少なくとも質量膜厚を20nm以下とするのが良い。また、図2にはフレーム電極2B,3Bと粒状電極2A,3Aとの関係を模式的に示しているが、実際には、無数ともいえる膨大な数の粒状電極2A,3Aと間隙が形成してあり、微小な粒状電極2A,3A同士の間には電解質1が露出している。
【0042】
粒状電極2A,3Aの材料としては、燃料極2側では、燃料となる水素やメタンガスの解離反応過程に強い触媒活性を呈するものが選択される。同様に空気極3側では、酸素などの酸化剤の解離反応過程に強い触媒活性を示すものが選択される。この実施例においては、一例として、燃料極2側には10nm厚のNiを用い、空気極3側には5nmのPtを用いた。
【0043】
ここで、空気極3側の例で明らかなように、フレーム電極(Ag)と粒状電極(Pt)の材料は、異なっても何ら問題は無い。従来のSOFCやTFSOFCの電極構造にあっては、PtやIr、Ruなどの稀少金属は、顕著な触媒活性を示すにもかかわらず、高価で製造原価を大きく押し上げる要因となるため、その使用が躊躇されていたが、本発明における粒状電極2A,3Aにあっては、使用量が非常に少ないので、コストアップの大きな要因とはならず、工業的に採用することが可能である。
【0044】
次に、図3〜図5に基づいて、図1に示す電極構造を備えた燃料電池セルの製造方法を説明する。
【0045】
図3(a)に示すように、第1および第2の主面を研磨仕上げをした(100)単結晶シリコン基板4を、硫酸+過酸化水素水洗浄と、RCA洗浄(H2O2+NH4OH混合溶液とH2O2+HCl混合溶液と希釈HF溶液を用いた単結晶シリコン基板の洗浄法)とで充分洗浄した後、SiH2Cl2とNH3とH2を原料に用いた減圧CVD法により、基板1の第1および第2の主面に、緻密なSi3N4膜を250nmの厚みで堆積して絶縁層5,8を形成し、続いて、ドライエッチング(C2F6とO2ガス使用)を用いたフォトリソグラフィで、基板4の第2主面にある絶縁層8に、例えば、一辺2.3mm×2.3mmの方形のエッチング窓9を形成する。ここで、エッチング窓9は、その各辺が基板4の<110>軸に平行か垂直になるように方位が調整されている。
【0046】
次に、図3(b)に示すように、基板4を液温を80℃に維持したヒドラジン溶液に長時間浸漬して異方性エッチングを行い、貫通窓6を形成する。このようなシリコン基板4の異方性エッチングは、Siの(111)面と絶縁膜で自己停止する性質があるので、図示のように、四角錐で基板4を貫いたような形の貫通窓6は、第1主面側において絶縁層5で閉塞されている状態となる。この貫通窓6の第1主面側の開口寸法はおよそ2mm×2mmである。
【0047】
次に、図3(c)に示すように、基板4の第1主面における絶縁層5の上部全面に、直流マグネトロン・スパッタリング法により厚さ350nmのNi膜を形成し、ウェットエッチングを用いたフォトリソグラフィで燃料極2のフレーム電極2Bを形成する。エッチング液としては、H3PO4とHNO3とCH3COOHとH2Oを16:1:2:1で混合して40℃に保温した溶液を用いる。このエッチングにより、貫通窓5の上部に位置するフレーム電極2Bは、5μm間隔で5μm×5μmの開口部7を平面的に配列させた格子状の構造となる。
【0048】
次に、図4(a)に示すように、燃料極2のフレーム電極2Bを形成した第1主面側に、Ni−YSZサーメット層(50nm厚)とYSZ層(2μm厚)、Ag−YSZサーメット層(50nm厚)を順に積層した薄膜YSZ固体電解質膜1を、多源マグネトロン・スパッタリング装置を用いて450℃の温度で連続して形成する。
【0049】
YSZ層の成膜にはYSZセラミックターゲットを用いた単独の高周波マグネトロン・スパッタリングが用いられ、Ni−YSZサーメット層とAg−YSZサーメット層の成膜には、NiターゲットあるいはAgターゲットを用いた直流マクネトロンスパッタリングとYSZセラミックス・ターゲットを用いた高周波マグネトロン・スパッタリングの2源同時蒸着が用いられる。また、燃料極2の取出し部分Bに電解質1が被着するのを防ぐために、Mo製の耐熱蒸着マスクを使用する。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、電解質1の上部に以下の要領で空気極3を形成する。まず、第1主面側にポジ型のフォトレジストを塗布してベークし、露光し、さらに現像することでフォトレジスト・マスクを形成する。このフォトレジスト・マスクはフレーム電極3Bのパターンを反転したパターンを有している。続いて、基板4を酸素ブラズマ(アッシャ)に短時間曝し、現像でレジストが除かれた部分に付着しているレジスト残渣を取り除いた後、直ちに基板4を電子ビーム蒸着装置に設置し、フォトレジスト・マスク面に厚さ500nmのAgを全面蒸着する。
【0051】
その後、Agを蒸着した基板4を、アセトンあるいはフォトレジストの専用剥離液に超音波振動を加えながら浸漬すると、フォトレジスト・マスクと一緒にその上に堆積されていたAgも除去(リフト・オフ)され、所望のAgのフレーム電極3Bのパターンが残る。この形成工程により、貫通窓6の上部において、5μm間隔で5μm×5μmの開口部7を平面的に整然と配列したフレーム電極3Bが完成する。
【0052】
次に、図4(c)に示すように、所定の蒸着マスクを使用した電子ビーム蒸着法により、第1主面側における貫通窓6の領域およびその近傍に、質量膜厚5nmの粒状Pt膜を成膜する。この成膜により、空気極3のフレーム電極3Bの開口部7内において、電解質1の表面に粒状電極3Aを形成する。このようにして微細な形態である粒状電極3Aおよびフレーム電極3Bを備えた空気極3が高精度に得られる。
【0053】
次に、図5(a)に示すように、基板4の第2主面にCHF3とCH4をエッチャント・ガスとする反応性イオンエッチング処理(エッチ・バック)を施し、第1主面側で貫通窓6を閉塞していた絶縁層5と基板4の第2主面を覆っていた絶縁層8を同時に除去する。これにより、貫通窓6において、燃料極2のフレーム電極2Bが露出する。
【0054】
そして、最後に図5(b)に示すように、蒸着マスクを使用した直流マグネトロン・スパッタリング法により、基板4の第2主面における貫通窓6の領域およびその近傍に質量膜厚10nmの粒状Ni膜を蒸着して、フレーム電極2Bの開口部7内において電解質1の表面に粒状電極2Aを形成する。このようにして微細な形態である粒状電極2Aおよびフレーム電極2Bを備えた燃料極2が高精度に得られる。
【0055】
図6は、完成した燃料電池セルの貫通窓6付近における空気極3の表面を金属顕微鏡で撮影したものである。図中において白く見えるのはフレーム電極3Bであると共に、多数の黒い方形は開口部(5μm×5μm)7であり、その内部には粒状電極3Aが形成してある。
【0056】
このようにして製造した燃料電池セルを出力試験装置に設置し、空気極3側にAr希釈20%酸素を導き、燃料極2側に燃料としてのAr希釈された加湿4%水素を導いて緩やかに昇温したところ、従来のTFSOFCよりも低温の180℃で発電が観察され、316℃では従来のTFSOFCよりも高い出力密度15mW/cm2が得られた。
【0057】
さらに作動温度を上げて試験を行うと、650℃では、従来のセラミクス型SOFCの1000℃の作動出力密度に比肩する600mW/cm2が得られることが明らかになった。このように上記実施例の燃料電池セルは、従来のTFSOFCの問題、すなわち発電開始の低温化の可能性は示したものの発電出力が従来のセラミックス型SOFCに比べて極端に低いという問題を解決する。
【0058】
(実施例2)
本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルは、例えば特開平8−64216号公報に開示されている薄膜単結晶固体酸化物電解質を用いたTFSOFCにも適用することができる。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図7に示す基板4は、第1および第2の主面が鏡面研磨されたを低抵抗(100)単結晶シリコン基板であって、燃料極2の一部(後述のフレーム電極)を兼ねていると共に、四角錐状に貫くように方形の貫通窓6が形成してある。この貫通窓6は、例えば、第1主面側で2mm×2mmの開口面積を有している。貫通窓13の形態は、方形に限定されることなく、例えば円形や長方形、六角形などでもよい。また、基板4には、第2主面(裏面)および貫通窓6の側壁表層にシリサイド層10が形成してある。シリサイド層10には、例えば、NiSi2やCoSi2を用いることができる。
【0060】
基板4の第1主面には、貫通窓6を覆うように、厚さ150nmの単結晶CeO2(酸化セリウム)から成る絶縁膜11と、厚さ約2μmの単結晶イットリア安定化ジルコニウム膜から成る電解質1と、薄い空気極3が下側から順に積層してある。また、図示していないが、電解質1の表層には、非常に薄い(〜50nm)Ag−YSZサーメット層が形成してある。
【0061】
空気極3における貫通窓6の上側部分には、電解質1の表面へのガスの流入を容易にするために、フォトリソグラフィにより、5μm×5μmの開口部7が5μm間で平面的に規則正しく形成してあり、これにより、格子状のフレーム電極3Bが形成してある。フレーム電極3Bとしては、例えば、厚さ150nmの緻密なTi/Pt積層電極が用いられる。一方、燃料極2のフレーム電極2Bは、貫通窓6を除く基板4自体であり、また、貫通窓6が電解質1の表面へのガスの流入を助ける役割を果している。
【0062】
基板4の貫通窓6における絶縁層11の下面と、空気極3の開口部7内における電解質1の表面には、質量膜厚20nm以下、望ましくは10nm以下の粒状電極2A,3Aが形成してある。この粒状電極2A,3Aの形態と要求される性質は、先の実施例で説明したものと同様であり、この実施例では、一例として、燃料極2には10nm厚のNiを用い、空気極3には5nmのPtを用いた。
【0063】
次に、図8〜図10に基づいて、図7に示す電極構造を備えた燃料電池セルの製造方法を説明する。
【0064】
図8(a)に示すように、第1および第2の主面を研磨仕上げをした(100)単結晶シリコン基板11を、硫酸+過酸化水素水洗浄と、RCA洗浄とで充分に洗浄した後、乾燥して直ちに超高真空仕様の多源マグネトロン・スパッタリング装置に搬入して排気し、基板温度850℃まで昇温させる。圧力が10−8Torr台に到達したところで、CeO2焼結ターゲットとAr、O2ガスを用いて高周波スパッタリングを行い、150nm厚の単結晶CeO2膜を成長させて絶縁層11を形成した。このとき、スパッタリング開始から約1分間はArガスのみによる成長を行い、その後、O2を付加すれば、良質な単結晶CeO2膜14を得ることができる。
【0065】
続いて、基板温度を800℃とし、YSZセラミックス・ターゲットとAr、O2ガスを用いた高周波スパッタリング法により、絶縁層11上に単結晶YSZ膜(厚み約2μm)をヘテロ・エピタキシャル成長させて電解質1を形成する。また、YSZのスパッタリングを停止する少し前に、O2ガスを停止してArガスのみとし、Agターゲットを用いた直流マグネトロン・スパッタリングを同時に行い、50nmの厚さのAg−YSZサーメット層を電解質1の表層に形成する。
【0066】
次に、図8(b)に示すように、電解質1の上に、以下に述べる手順を経てTi/Ptから成る空気極3を形成する。まず、基板4の第1主面にポジ型のフォトレジストを塗布して、ベークし、露光し、さらに現像することでフォトレジスト・マスクを形成する。このフォトレジスト・マスクはフレーム電極3Bのネガ・パターンを有している。続いて、基板4を酸素ブラズマ(アッシャ)に短時間曝し、現像でレシストが除かれた部分に付着しているレジスト残渣を取り除いた後、直ちに基板4を電子ビーム蒸着装置に設置し、フォトレジスト・マスク全面に、初めに厚さ15nmのTiを蒸着し、さらに厚さ135nmのPtを連続して蒸着する。
【0067】
そして、Ti/Pt積層膜を蒸着した基板4を、アセトンあるいはフォトレジストの専用剥離液に超音波振動を加えながら浸漬すると、フォトレジスト・マスクと一緒にその上に堆積されていたTi/Pt積層膜も除去(リフト・オフ)され、所望のパターンのTi/Ptフレーム電極3Bが残る。この形成工程により、貫通窓6の開口予定領域の上部には、5μm間隔で5μm×5μmの開口部7を平面的に整然と配列させたフレーム電極3Bが形成される。
【0068】
次に、図8(c)に示すように、SiH4とO2とを原料に用いたCVD法により、基板4の第1および第2の主面に、緻密な厚さ400nmのSiO2膜12を堆積させ、続いて、ドライエッチング(C2F6とO2ガス使用)を用いたフォトリソグラフィにより、基板4の第2主面のSiO2膜12に、例えば一辺2.3mm×2.3mmの方形のエッチング窓9を形成する。ここで、エッチング窓9は、その各辺が基板4の<110>軸に平行か垂直になるように方位が調整されている。
【0069】
次に、図9(a)に示すように、基板4を液温80℃に維持したヒドラジン溶液に長時間浸漬して異方性エッチングを行い、貫通窓6を形成する。このようなシリコン基板4の異方性エッチングは、Siの(111)面と絶縁膜で自己停止する性質がある。したがって、貫通窓16は、第1主面側において絶縁層11で閉塞された状態となる。この貫通窓6の第1主面側の寸法はおよそ2mm×2mmである。
【0070】
次に、図9(b)に示すように、基板4を緩衝フッ酸系の溶液に浸漬して、異方性エッチングのマスクとして使用したSiO2膜12を基板4の両面から完全に除去する。
【0071】
次に、図9(c)に示すように、基板4の第2主面のほぼ全面に、直流マグネトロン・スパッタリング法により厚さ350nmのNi膜13を形成する。このとき、Ni膜13が基板4の周辺部に被着するのを防ぐために、蒸着マスクを使用する。
【0072】
次に、図10(a)に示すように、基板4を高純度Ar雰囲気または真空中で580℃に加熱し、Ni膜13と基板4とを反応させ、基板4第2主面と貫通窓6の側壁にシリサイド層10を形成する。この熱処理では、絶縁層11に被着していたNi膜13は、剥落するか反応せずにNiのまま残る。続いて、基板4の第1主面をフォトレジストで保護し、H3PO4とHNO3とCH3COOHとH2Oを16:1:2:1で混合して40℃に保温したエッチング溶液に浸漬すると、絶縁層11のNi膜13が除去され、基板4にはシリサイド層10だけが残る。その後、基板4を専用の剥離液に浸して保護用のレジストを除去する。
【0073】
次に、図10(b)に示すように、蒸着マスクを使用した直流マグネトロン・スパッタリング法により、基板4の第2主面における貫通窓6の領域およびその近傍に、質量膜厚10nmのNiを蒸着すると、絶縁層11の表面にNi粒状電極2Aが形成され、シリサイド層10を有する基板4と粒状電極2Aから成る燃料極2が完成する。なお、シリサイド層10を有する基板4は燃料極2のフレーム電極に相当する。
【0074】
そして、最後に図10(c)に示すように、基板4の第1主面を酸素ブラズマ(アッシャ)に短時間曝した後、所定の蒸着マスクを使用し、電子ビーム蒸着法により、基板4の第1主面における貫通窓6の領域およびその近傍に、質量膜厚5nmの粒状Pt膜を形成する。これにより、空気極3のTi/Ptフレーム電極3Bの開口部7内において、電解質1の表面に粒状電極3Aが形成され、空気極3が完成する。
【0075】
このようにして製造したこの実施例の燃料電池セルを出力試験装置に設置し、基板4の空気極3側にAr希釈20%酸素を導き、燃料極2側に燃料としてAr希釈された加湿4%水素を導て、緩やかに昇温したところ、580℃で電力密度600mW/cm2が得られることが明らかになった。
【0076】
つまり、当該燃料電池セルは、従来のTFSOFCの問題、すなわち発電開始の低温化の可能性は示したものの発電出力が従来のセラミックス型SOFCに比べて極端に低い、という問題を解決するものである。また、特開平8―64216号公報に記載されたTFSOFCでは、電力密度600mW/cm2を得るのに700℃の作動温度は必要であったが、当該燃料電池セルは作動温度を100℃以上低減することができる。
【0077】
さらに、この実施例で説明した燃料電池セルは、上述した効果をもたらすほかに、特開平8―64216号公報に記載されたTFSOFCが有する2つの問題を解決することができる。
【0078】
すなわち、図16は同公報に記載されたTFSOFCの要部断面図である。図中において、201は低抵抗単結晶シリコン基板、204は単結晶CeO2膜(燃料極)、205は単結晶YSZ膜、206はLa0.8Sr0.2MnO3膜(空気極)、213は低抵抗単結晶シリコン基板201に設けた貫通窓である。この構造のTFSOFCでは、燃料極である単結晶CeO2膜204において電極反応で発生した電子は、一旦単結晶シリコン基板201に引き渡され、これを介して外部回路あるいは他のスタック・セルに送電される。
【0079】
ところが、単結晶CeO2膜204は、元来比抵抗が高い絶縁体に分類される材料であるから、本質的に空気極の電気抵抗(反応抵抗ではない)を低減しにくい構造上の欠点があった。これは基板の有効面積(効率)を高めるために貫通窓213の面積を拡大しようとするときに大きな問題となる。
【0080】
これに対して、上記実施例の燃料電池セルは、単結晶CeO2膜である絶縁層11の表面に伝導性の粒状電極2Aを形成しているので、空気極3の電気抵抗を容易に下げることができる。すなわち、当該燃料電池セルは、特開平8―64216号公報に記載されたTFSOFCの空気極の電気抵抗を低減しにくいという構造上の欠点を解決している。
【0081】
また、図16に示すTFSOFCの第2の問題は、単結晶シリコン基板201と空気極である単結晶CeO2膜204の接触抵抗が作動時間の経過とともに急速に増大し、これが原因で発電出力が急落することである。この問題の発生原理は、空気極206側が700℃の酸素雰囲気に晒されると、単結晶YSZ膜205と単結晶CeO2膜204は、気相の酸素(イオン)を容易に単結晶シリコン基板201まで輸送し、単結晶シリコン基板201を徐々に熱酸化することである。その結果、基板/CeO2膜界面に絶縁体であるSiO2が発生し、接触抵抗が急増する。
【0082】
これに対して、上記実施例の燃料電池セルは、基板/CeO2膜界面にSiO2が生成したとしても、燃料極2のNi粒状電極2Aを、貫通窓6の側壁と第2主面に埋設したNiSi2シリサイド層10に直接結線する構成としているので、上記の如き問題が発生することはない。
【0083】
さらに、当該燃料電池セルは、NiSi2が耐酸化性の材料であること、シリサイド層10が還元性(H2)雰囲気に晒されて酸化されにくい位置に配置されていることも優れた特徴の一つである。以上のように、本発明に係わる燃料電池セルは、特開平8―64216号公報に記載されたTFSOFCの問題、すなわち作動時間の経過とともに燃料極の接触抵抗が増大し、発電出力が急落するという問題を解決することができる。
【0084】
(実施例3)
本発明の根幹は、固体酸化物電解質を挟持する空気極と燃料極のどちらか一方または両方にフレーム電極と粒状電極を設けて、燃料電池の内部抵抗の主要因である電極の反応抵抗(反応過電圧と濃度過電圧)を低減し、燃料電池の出力電力を向上させる技術である。
【0085】
電極反応抵抗が燃料電池の内部抵抗の大きな割合を占めるTFSOFCにおいて、本発明の効果が顕著であることは先の2つの実施例で説明した通りである。ここで、厚い固体電解質を用いた従来のSOFCにおいても電極の反応抵抗は無視できない大きさである。以下に説明する実施例は、本発明に係わる燃料電池セルが従来のSOFCに対しても有用であることを示すものである。
【0086】
図11は、本発明に係る固体電解質燃料電池セルの要部断面図である。図中において、符号Cで示す領域が発電を行うセル構造部分、符号Eで示す領域が電池の電極取出し部分である。
【0087】
図11に示す基板21は、表裏に平坦な第1および第2の主面を有する固体酸化物電解質であって、ここでは鏡面研磨した厚さ0.25mmの単結晶YSZ基板を一例として挙げているが、これに限定されることはない。図中で上側となる第1主面には空気極23が設けてあり、下側の第2主面には燃料極22が設けてある。
【0088】
空気極23は、集電電極として、Ti(15nm厚)/Pt(135nm厚)の積層膜をパターン形成して作製した格子状のフレーム電極23Bを備えると共に、ガスを分解する反応電極として、同フレーム電極23Bの複数の開口部7内において基盤21の表面に被着された非常に薄いPt粒状電極23Aを備えている。同様に、燃料極22は、集電電極として、350nm厚のNi膜をパターン形成して作製した格子状のフレーム電極22Bを備えると共に、ガスを分解する反応電極として、同フレーム電極22Bの複数の開口部7内において基板21の表面に被着された非常に薄いNi粒状電極22Aを備えている。
【0089】
また、空気極23と基板21の間には、厚さ50nmのNi−YSZサーメット層24が形成してあり、燃料極22と基板21の間には、厚さ50nmのAg−YSZサーメット層25が形成してある。
【0090】
空気極23および燃料極22の各フレーム電極23B,22Bにおいて、その開口部7の形状は、円形、三角形、方形、長方形、斜方形、または六方形(ハニカム状)などの様々な形状とすることができるが、形が揃い、且つ2次元的に規則正しく配列して、数μm〜数百μmの寸法であるものとする。空気極23および燃料極22の材料については第1および第2の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0091】
次に、図12および図13に基づいて、図11に示した電極構造を備えた燃料電池セルの製造方法を説明する。
【0092】
図12(a)に示すように、鏡面研磨した単結晶(100)YSZ基板21を硫酸+過酸化水素水洗浄とRCA洗浄とで充分に洗浄した後、多元マグネトロン・スパッタリング装置に搬入して、第1主面に厚さ50nmのAg−YSZサーメット層24を450℃で成膜する。サーメット層24を形成するためには、YSZセラミック・ターゲットとAg金属ターゲットを夫々高周波電源と直流電源で同時に放電させる。このとき、電極の取り出し部分に膜が被着するのを防ぐために、Mo製の耐熱蒸着マスクを使用する。
【0093】
次に、図12(b)に示すように、Ag−YSZサーメット層24を形成した基板21の第1主面全面にポジ型のフォトレジストを塗布して、ベークし、露光し、さらに現像することでフォトレジスト・マスクを形成する。このフォトレジスト・マスクはフレーム電極23Bのネガ・パターンを有している。
【0094】
続いて、基板21を酸素ブラズマ(アッシャ)に短時間曝し、現像でレシストが除かれた部分に付着しているレジスト残渣を取り除いた後、直ちに基板21を電子ビーム蒸着装置に設置し、フォトレジスト・マスク全面に、初めに厚さ15nmのTiを蒸着し、さらに厚さ135nmのPtを連続して蒸着する。
【0095】
そして、Ti/Pt積層膜を蒸着した基板21を、アセトンあるいはフォトレジストの専用剥離液に超音波振動を加えながら浸漬すると、フォトレジスト・マスクと一緒にその上に堆積されていたTi/Pt積層膜も除去(リフト・オフ)され、所望のパターンのTi/Ptフレーム電極23Bが残る。この形成工程で基板21の上部には、5μm間隔で5μm×5μmの開口部7を平面的に整然と配列させた空気極23のフレーム電極23Bが完成する。
【0096】
次に、図12(c)に示すように、基板21の第1主面を酸素ブラズマ(アッシャ)に短時間曝してレジストの残滓を除去した後、所定の蒸着マスクを使用して、電子ビーム蒸着法により、基板21の第1主面におけるフレーム電極23Bの開口部7内に、質量膜厚5nmの粒状Pt膜を成膜する。この成膜により合い孔部7内に露出した基板(電解質)21の表面に粒状電極23Aが形成され、空気極23が完成する。
【0097】
次に、図13(a)に示すように、基板21の第2主面を酸素ブラズマ(アッシャ)に短時間曝してレジスト等の有機物汚染を除去した後、再び多元マグネトロン・スパッタリング装置に搬入して、第2主面に厚さ50nmのNi−YSZサーメット層25を450℃で成膜する。サーメット層25を形成するためにYSZセラミック・ターゲットとNi金属ターゲットを夫々高周波電源と直流電源で同時に放電させる。このとき、電極の取出し部分に膜が被着するのを防ぐために、Mo製の耐熱蒸着マスクを使用する。
【0098】
サーメット層25の成膜が終了した後には、基板21の加熱を停止して、基板21を蒸着室に置いたままにする。そして、基板21の温度が低下した後、Ni金属ターゲットだけを用いて、直流マグネトロン・スパッタリングにより、サーメット層25を形成した基板21の第2主面に、厚さ350nmのNi膜を蒸着する。このNi膜が後に燃料極22となる。
【0099】
次に、図13(b)に示すように、ウェットエッチングを用いたフォトリソグラフィーによりNi膜をエッチングし、燃料極22のフレーム電極22Bを形成する。エッチング液としては、H3PO4とHNO3とCH3COOHとH2Oを16:1:2:1で混合して40℃に保温した溶液を用いる。このエッチングを実行するときは、必ず第1主面の全面に保護用のレジストを塗布しておく。このエッチングでフレーム電極22Bには、5μm間隔で5μm×5μmの開口部7を平面的に配列させた構造が完成する。
【0100】
続いて、エッチングが終了した基板21をフォトレジストを残したまま充分水洗し、乾燥させた後、直ちに多元マグネトロン・スパッタリング装置に搬入し、基板21の第2主面全面に対して質量膜厚10nmのNiを蒸着し、フレーム電極22Bの開口部7内にNi粒状電極22Aを蒸着した後、基板21をアセトンあるいは専用のフォトレジスト剥離液に超音波振動を加えながら浸漬すると、基板21の第2主面および第1主面に塗布したフォトレジストが除去される。そして、フォトレジストを除去した基板21を有機溶剤と超純水で濯ぎ、乾燥させることで燃料電池セル(SOFCセル)が完成する。
【0101】
ここで、上記実施例で説明した製造方法により得た燃料電池セルの効果を確認するために、図17に示すような従来型のSOFCセルを作製し、発電特性を比較した。
【0102】
図17において、301は厚さ250nmの両面鏡面研磨した単結晶YSZ基板で、図11に示す基板21と同じものである。302は基板301の第1主面に高周波マグネトロン・スパッタリング(850℃)で成膜した厚さ500nmのLa0.8Sr0.2MnO3電極膜(空気極)、303は基板301の第2主面にYSZセラミック・ターゲットとNi金属ターゲットを用いて多源マグネトロン・スパッタリング装置で成膜(450℃)した厚さ800nmのNi−YSZサーメット膜(燃料極)である。
【0103】
図11に示す本実施例の燃料電池セルと図17に示す従来型の燃料電池セルを夫々出力試験装置に設置し、空気極側にAr希釈20%酸素を導き、燃料極側に燃料としてのAr希釈された加湿4%水素を導いて緩やかに昇温し、950℃で出力を比較したところ、従来型が825mW/cm2であるのに対して、本実施例のものは973mW/cm2であり、本実施例の燃料電池セルは従来型に対して約15%の出力向上が図られることが明らかになった。このように、本実施例の燃料電池セルは、従来の如き厚い固体酸化物電解質を備える延量電池セルにも適用可能であり、電極の反応抵抗の低減させることによって発電出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルの第1の実施例を説明する断面図である。
【図2】図1に示す固体電解質型燃料電池セルの空気極におけるフレーム電極の開口部付近を拡大した断面図である。
【図3】図1に示す固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図4】図3に続いて固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図5】図4に続いて固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)(b)である。
【図6】燃料電池セルの貫通窓付近における空気極の表面を撮影した金属顕微鏡写真である。
【図7】本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルの第2の実施例を説明する断面図である。
【図8】図7に示す固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図9】図8に続いて固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図10】図9に続いて固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図11】本発明に係わる固体電解質型燃料電池セルの第3の実施例を説明する断面図である。
【図12】図11に示す固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)〜(c)である。
【図13】図12に続いて固体電解質型燃料電池セルの製造過程を説明する各々断面図(a)(b)である。
【図14】従来の固体電解質型燃料電池セルを説明する断面図である。
【図15】図14に示す固体電解質型燃料電池セルの貫通窓おける燃料極を拡大した断面図である。
【図16】第2の実施例に対する比較例である従来型のTFSOFCセルを説明する断面図である。
【図17】第3の実施例に対する比較例である従来型のSOFCセルを説明する断面図である。
【符号の説明】
1 電解質
2 燃料極
2A 粒状電極
2B フレーム電極
3 空気極
3A 粒状電極
3B フレーム電極
4 基板
6 貫通窓
7 フレーム電極の開口部
21 基板(電解質)
22 燃料極
22A 粒状電極
22B フレーム電極
23 空気極
23A 粒状電極
23B フレーム電極
Claims (10)
- 電解質を燃料極と空気極で挟持して成る3層構造体を備えた固体電解質型燃料電池セルにおいて、燃料極と空気極の少なくとも一方が、集電を行う集電電極として、電解質の表面が露出する開口部を形成するフレーム電極を備え、
フレーム電極の開口部内に、ガスを分解する反応電極として、電解質の表面に多数形成した微細な粒状電極を備えていることを特徴とする固体電解質型燃料電池セル。 - 厚さ方向に貫通した貫通窓を有する基板を備え、基板の貫通窓を閉塞する状態で3層構造体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- 基板が、立方晶(100)面を表面とする単結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- 粒状電極が、質量膜厚で20nm以下の導電体薄膜から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- 粒状電極が、質量膜厚で10nm以下の導電体薄膜から成ることを特徴とする請求項4に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- フレーム電極が、フォトリソグラフィにより形成してあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- フレーム電極の開口部の大きさが、基板の貫通窓の大きさと同じまたはそれ以下であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- 燃料極と空気極が、粒状電極およびフレーム電極を備えていると共に、互いのフレーム電極における開口部の重なりが最大となるように対向していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質型燃料電池セル。
- 請求項1又は6に記載の固体電解質型燃料電池セルを製造するに際し、
単結晶固体電解質基板の第1主面に空気極および燃料極のいずれか一方の極の第1フレーム電極と第1粒状電極を形成する工程と、
一方の極を形成した電解質の第1主面にエッチング保護膜を形成する工程と、
電解質の第2主面に空気極および燃料極の他方の極の第2フレーム電極と第2粒状電極を形成する工程と、
第1主面に形成したエッチング保護膜を除去する工程、
を備えたことを特徴とする固体電解質型燃料電池セルの製造方法。 - 請求項3〜8のいずれか1項に記載の固体電解質型燃料電子セルを製造するに際し、
(100)単結晶シリコン基板の第1主面とその裏側の第2主面に第1および第2の絶縁膜を夫々形成する工程と、
第2主面に形成した第2絶縁膜に、基板の<110>軸と平行または垂直な4辺を有する方形のエッチング窓を形成する工程と、
第2絶縁膜にエッチング窓を形成した基板を異方性エッチングして、基板を第2主面から第1主面まで貫通させ、基板に第1絶縁膜により閉塞された貫通窓を形成する工程と、
基板の貫通窓を含む領域の第1絶縁膜に、所定の成膜手段とフォトリソグラフィにより第1フレーム電極を形成する工程と、
第1フレーム電極を形成した第1絶縁膜に、貫通窓の領域を閉塞する状態で電解質を形成する工程と、
電解質に第2フレーム電極と第2粒状電極を形成し、これらの電極を空気極および燃料極のいずれか一方の極とする工程と、
基板の第2主面側をドライ・エッチングして、第2絶縁膜と貫通窓を閉塞している第1絶縁膜を除去し、貫通窓において電解質と第1フレーム電極を露出させる工程と、
貫通窓において露出している電解質に導電体を薄く成膜して第1フレーム電極の開口部に第1粒状電極を形成し、これらの電極を他方の極とする工程、
を備えたことを特徴とする固体電解質型燃料電池セルの製造方法。
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