JP4026222B2 - 印画紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像情報に応じて所定の領域が加熱されたインクリボンから移行する染料を受容し、染料画像を形成する印画紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像情報に応じて熱転写シートの所定の領域をサーマルヘッド又はレーザ等により加熱し、この熱転写シートから染料を熱溶融又は熱拡散により印画紙へ移行させ、印画紙に像を形成する熱転写記録方法が広く行われている。この熱転写シートは、所定の濃度の染料からなるインク層を有し、このインク層から印画紙に対して染料を移行させる。特に、近年では、染料として昇華性染料等の熱拡散性染料を使用し、連続的な階調のフルカーラー画像を形成する、いわゆる、昇華型熱転写記録方法が注目されている。例えば、ビデオ画像の画像信号に応じて熱転写シートを点状に加熱し、ビデオ印画紙に画像を形成することが試みられている。
【0003】
このようなビデオ印画紙としては、ポリプロピレン等からなるシート状の基体上に染料受像層を形成したものが使用されている。この染料受像層は、加熱により熱転写シートから移行してくる染料を受容し、それにより形成された画像を維持する層である。この染料受像層を構成する樹脂としては、従来より染料に染着されやすいポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂が使用されている。
【0004】
また、これら熱転写シート及び印画紙には、熱による融着を防止するため、いずれか一方又は双方に離型剤が添加されている。この離型剤は、例えば、熱転写シートのインク層や、印画紙の染料受像層に添加されている。
【0005】
さらに、近年では、鮮明な画像を形成できるように感度を高め、また、形成された画像が安定的に保存されるように画像の耐候性、耐光性、熱安定性を高めるため、染料受像層を構成する樹脂について種々の試みがなされている。例えば、画像の耐光性や耐候性を向上させるために、染料受像層に主としてセルロースエステルを使用することが提案されている(特開平4−296595号公報)。
【0006】
さらにまた、近年では、給紙速度を向上させるとともに感度の良好な染料を用いることによって、高速印画が推し進められている。このような高速印画がなされた場合には、上述したような熱転写シートと印画紙とが更にスムーズに離型しなくてはならない。したがって、高速印画に対応した熱転写シートや印画紙では、離型性が高められた離型剤が使用されている。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような印画紙は、染料受像層側がゴムローラ等に接触しながら給紙される。このため、印画紙は、染料受像層の一部がゴムローラ等により摩擦を受けた状態となり、この摩擦を受けた部分ではその表面性が変化してしまう。このとき、印画紙では、摩擦を受けて表面性が変化した部分のみの感度が増加してしまう。
【0008】
このため、従来の印画紙では、部分的に印画濃度が増加してしまうことがあり、鮮明に染料画像を形成することができないといった問題点があった。
【0009】
また、上述したように高速印画に対応しようとする場合、熱転写シートでは、少ない熱エネルギに対しても十分な発色が得られるようにインク層中の染料濃度を高めている。この場合、特に、印画紙の表面性の変化に起因した印画濃度の増加が顕著なものとなってしまう。このため、印画紙は、高速印画を行おうとすると、更に不鮮明な染料画像となってしまうといった不都合があった。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、優れた離型性を有して高速印画に好適であり、且つ、摩擦による印画濃度の増加が抑制された印画紙を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成した本発明に係る印画紙は、基体上に、離型剤を有する染料受像層が形成されてなる印画紙において、上記離型剤は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーン化合物と水との反応物を主体とすることを特徴とするものである。
【0012】
以上のように構成された本発明に係る印画紙は、所定の構造を有するキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーン化合物と水との反応物を離型剤とすることによって、優れた離型性を有するとともに染料受像層の摩擦による印画濃度の増加が抑制されたものとなる。このとき、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーン化合物とが反応することより、ウレタン結合を含む3次元網目構造を取り、離型性を優れたものとしている。更に、水が添加されていることによって、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーン化合物との間のウレタン結合のほかに尿素結合を含有する離型剤となり、染料受像層中に3次元網目構造を形成することとなる。これにより、印画紙は、優れた耐油性を有するものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る印画紙の具体的な実施の形態について図面を参照に説明する。
【0014】
本実施の形態の印画紙は、図1に示すように、シート状に形成された基体1と、この基体2上に形成された染料受像層2とを備える。
【0015】
この基体1としては、従来の印画紙と同様に、上質紙、コート紙等の紙類、各種プラスチックシート、またはそれらを複合させた積層シート等を使用することができる。なお、この印画紙において、基体1の染料受像層2が形成された面とは反対側の面に、必要に応じて滑性層等を設けてもよい。
【0016】
また、この染料受像層2は、染料受像層形成用樹脂溶液及び離型剤をそれぞれ調製し、これら染料受像層形成用樹脂溶液及び離型剤を所定の配合比となるように混合した染料受像層形成用塗料を、上述したような基体1上に塗布することにより形成される。
【0017】
染料受像層用樹脂溶液に用いられる樹脂材料としては、従来より染料受像層に使用されている熱可塑性樹脂等を含めて如何なるものも使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、セルロースセステル、ポリビニルアルコール等を使用することができ、これらは単独でも2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、感度、画像の保存性、筆記性、耐皮脂性を向上させる点からポリエステルとセルロースエステルを使用することが好ましい。
【0018】
溶剤としては、従来より、上述したような樹脂材料を溶解する際に用いられているものであれば、如何なるものも使用することができる。溶剤としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
【0019】
また、この染料受像層2に含まれる離型剤は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーン化合物と水との反応物を主体としている。
【0020】
ここで、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物とは、下記の化1式に示されるような構造を有する。
【0021】
【化1】
【0022】
また、両末端OH基変性シリコーンとは、ポリシロキサンの両末端にOH基を有する官能基を付加したものであり、一般的には、下記の化2式に示されるような構造を有する。
【0023】
【化2】
【0024】
ポリシロキサンの両末端にOH基を有する官能基としては、カルビノール基やポリエーテル基等を例示することができる。
【0025】
また、両末端OH基変性シリコーンは、平均分子量が1000〜10000程度であることが好ましい。平均分子量がこの範囲内にある場合には、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と反応して良好な3次元構造を示すこととなる。両末端OH基変性シリコーンの平均分子量が1000より小である場合には、離型性が不足する虞がある。また、両末端OH基変性シリコーンの平均分子量が10000より大である場合には、染料受像層2と基体1との接着性が不足する虞がある。
【0026】
具体的に、両末端OH基変性シリコーンとしては、信越化学工業株式会社製の商品名X−22−160AS,KF6001,KF6002,KF6003や、東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社製の商品名SF8427等を使用することができる。なお、本発明では、これら例示した両末端OH基変性シリコーン以外にも、上記の化2式で表されるものであれば使用することができる。
【0027】
さらにまた、この離型剤において、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物(NCO基含有)と両末端OH基変性シリコーン(OH基含有)とを、NCO基/OH基の値が1〜20となるように混合することが好ましく、3〜6となるように混合することがより好ましい。
【0028】
NCO基/OH基の値がこの範囲内に有る場合には、収率良く離型剤を得ることができるとともに、離型剤の3次元構造も良好なものとなる。NCO基/OH基の値が1より小である場合には、染料受像層2と基体1との接着性が不足する虞がある。また、NCO基/OH基の値が20より大である場合には、離型性が不足する虞がある。
【0029】
一方、この離型剤を製造する際には、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物及び両末端OH基変性シリコーンの他に水を添加することにより、離型剤中に尿素結合を形成することができる。離型剤中に尿素結合を形成することにより、離型剤は、優れた耐油性を有することとなる。このため、水を添加して製造された離型剤を有する印画紙は、耐油性に優れ、形成された染料画像を長期間に亘って鮮明に維持することができる。
【0030】
さらに、この離型剤において、添加される水のモル数は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物に含まれるNCO基のモル数の0.2倍以下であることが好ましい。水のモル数をNCO基のモル数の0.2より大とすると、反応物がゲル化する虞があり好ましくない。このため、添加する水のモル数をNCO基のモル数の0.2倍以下とすることにより、離型剤に、優れた耐油性を付与することができるとともに確実に離型剤を調製することができる。このように、水を添加する場合には、反応系に使用している溶媒及び水に相溶し、且つ、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物のNCO基と反応性が低い溶媒を用いることが好ましい。この溶媒としては、例えば、ケトン類を挙げることができる。
【0031】
さらにまた、上述したような離型剤を調製する際には、反応を促進させる目的で、触媒を添加することが好ましい。この触媒としては、一般にウレタン樹脂の硬化触媒として公知のものが使用でき、例えば、ジブチル錫ジウラレート、オクチル酸金属塩等を挙げることができる。このような触媒を添加することにより、上述したような離型剤を調製する反応が促進され、収率良く離型剤を得ることができる。
【0032】
上述したように調製された離型剤は、上述したような染料受像層用樹脂溶液とともに混合される。このとき、離型剤は、染料受像層溶樹脂溶液中の固形成分100重量部に対して0.3〜30重量部となるように混合されることが好ましく、また、1〜10重量部となるように混合されることがより好ましい。離型剤の混合量がこの範囲内にある場合、印画紙は、所望の感度を有することとなり、染料受像層2に鮮明な染料画像を形成することができる。
【0033】
なお、この印画紙においては、上述した離型剤の他に、離型特性を付与する他の添加剤を併用しても良い。また、この印画紙において、染料受像層2と基体1との接着性を向上させるため、接着性強化剤を添加しても良い。この接着性強化剤としては、イソシアネート化合物等を挙げることができる。
【0034】
また、この印画紙において、染料受像層2には、種々の添加物を含有させることができる。例えば、熱可塑性樹脂に相溶することにより非晶質状態を形成し、染料の拡散性(染着性)を促進し、染料を染料受像層2の内部にまで浸透させることにより、耐光性や耐熱性を向上させる添加剤(増感剤)として、各種エステル類、エーテル類、その他の炭化水素化合物等を含有させることができる。
【0035】
このようなエステル類、エーテル類、炭化水素化合物としては融点が−50〜150℃程度の液状あるいは固体状のものを使用することができ、例えば、エステル類としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート等のフタル酸エステル類、ジシクロヘキシルイソフタレート等のイソフタル酸エステル類、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジシクロヘキシルアゼラエート等の脂肪族二塩基酸エステル類、トリフェニルフォスフェート、トリシクロヘキシルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等のリン酸エステル類、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ブチルステアリレート、シクロヘキシルラウレート等の高級脂肪酸エステル、ケイ酸エステル類、硼酸エステル類等を使用することができる。エーテル類としては、ジフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、p−エトキシ安息香酸メチル等を使用することができ、また、炭化水素化合物としては、カンファー、低分子量ポリスチレン、p−フェニルフェノール、o−フェニルフェノール等のフェノール類、N−エチルトルエンスルホン酸アミド等を使用することができる。
【0036】
また、この染料受像層2には、染料受像層2の白色度を向上させて画像の鮮明度を高め、さらに印画紙表面に筆記性を付与し、且つ、形成された画像の再転写を防止するために、蛍光増白剤や白色顔料も含有させることができる。蛍光増白剤や白色顔料としては市販のものを使用することができ、例えば蛍光増白剤としてはチバガイギー社製のユビテックスOBを使用することができる。
【0037】
さらに、染料受像層2には、プリンタ装置内で走行時に静電気が発生することを防止するために帯電防止剤を使用することもできる。帯電防止剤としては、例えば、陽イオン型界面活性剤(第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等)陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤、もしくは非イオン型界面活性剤等の各種の界面活性剤を使用することができる。これらの帯電防止剤は、染料受像層2の内部に含有させてもよく、染料受像層2の表面にコーティング等により塗布してもよい。
【0038】
この他、染料受像層2には、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
【0039】
また、この印画紙は、基体1と染料受像層2の間に中間層が配された構成であっても良い。
【0040】
上述したような印画紙では、熱転写シートとともにプリンタ装置に用いられ、染料受像層2に、画像情報に応じた画像が転写される。このとき、印画紙と熱転写シートとは、プリンタ装置内で、それぞれ染料受像層2とインク層とが対向するように接触している。そして、画像情報に応じて熱転写シートの所定の領域が加熱され、これにより、加熱された領域の染料が熱溶融又は熱拡散することとなり印画紙の染料受像層2に移行する。これにより、印画紙には、所定の画像が形成されることとなる。そして、印画紙は、熱転写シートから剥離され、染料受像層2上に形成された画像が目視可能な状態となる。この印画紙では、主として、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーンと水とを反応させることにより調製された離型剤を染料受像層2中に含有している。このため、この印画紙は、上述したように、熱転写シートから剥離される際、離型しやすく、優れた耐油性を有するものとなっている。このため、この印画紙では、離型不良による画像の汚染が防止され、常に良好な画像を形成することができる。
【0041】
また、この印画紙は、プリンタ装置等に用いられた場合、このプリンタ装置内のゴムローラ等に接触しながら給紙される。このため、ゴムローラ等に接触した部分の印画紙は、摩擦されて表面性が劣化してしまう場合がある。従来の印画紙では表面性が摩擦されてしまうと、その部分の印画濃度が増加してしまい、画像が不鮮明になってしまった。
【0042】
これに対して、上述したような印画紙では、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーンと水との反応物を用いた離型剤が染料受像層2に含有されているため、このような印画濃度の増加といった不都合が発生することなく画像が形成される。このため、この印画紙は、常に良好な画像を形成することができる。
【0043】
また、この印画紙では、上述したように、離型剤の混合量が染料受像層溶樹脂溶液中の固形成分100重量部に対して0.3〜30重量部としているため、所望の感度を有することとなり、染料受像層2に鮮明な染料画像を形成することができる。しかしながら、離型剤の混合量が染料受像層溶樹脂溶液中の固形成分100重量部に対して0.3よりも小である場合には、上述したように、摩擦した領域のおいて印画濃度の増加を発生してしまう虞がある。また、離型剤の混合量が染料受像層溶樹脂溶液中の固形成分100重量部に対して30よりも大である場合には、染料受像層2の感度が劣化してしまう虞があり、実用的な印画濃度が得られない場合がある。
【0044】
【実施例】
以下、水を含まない比較例1〜比較例3、本発明に係る印画紙として作製した実施例1〜実施例3及びこれらと比較するために作製した比較例4〜比較例8について、また、これらの特性評価について説明する。
【0045】
比較例1〜比較例3及び実施例1〜実施例3
比較例1〜比較例3及び実施例1〜実施例3では、先ず、表1に示すような組成で染料受像層溶樹脂溶液を調製した。
【0046】
【表1】
【0047】
次に、表2に示すような組成で離型剤を調製した。このとき、各比較例及び実施例では、表2中1から5の順で、各組成物を完全に溶解しながら混合した。そして、混合した後、密栓した状態で3時間、50℃に保温することにより離型剤を調製した。なお、実施例1、実施例2及び実施例3に関しては、その後、表2中6で示す水−メチルエチルケトン混合溶液を加え、更に、密栓した状態で3時間、50℃に保温することにより離型剤を調製した。
【0048】
【表2】
【0049】
次に、上述したように調製された染料受像層溶樹脂溶液及び離型剤を、表3に示すような組成で混合し、染料受像層形成用塗料を調製した。なお、このとき、希釈溶媒としては、トルエン/メチルエチルケトン=1/1(重量比)を用いた。
【0050】
【表3】
【0051】
次に、このように調製された染料受像層用塗料を用いて、合成紙(王子油化合成紙株式会社製、商品名:ユポFPG150)上に乾燥後の厚みが約8μmとなるように塗布した。
【0052】
その後、120℃で2分間乾燥した後、48時間50℃で保温して、印画紙を製造した。
【0053】
比較例4〜比較例6
比較例4〜比較例6では、表4に示すような組成で離型剤を調製した以外は、比較例1と同様にして印画紙を作製した。
【0054】
【表4】
【0055】
比較例7
比較例7では、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーンとを予め反応させずに、染料受像層用樹脂溶液に添加した以外は、比較例1と同様にして印画紙を作製した。
【0056】
比較例8
比較例8では、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物の代わりに、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物を用いた以外は、比較例7と同様にして印画紙を作製した。
【0057】
特性評価
以上のように作製された比較例1〜比較例3、実施例1〜実施例3及び比較例4〜比較例8に関して、以下のような特性評価を行った。
【0058】
<離型性試験>
この離型性試験では、先ず、熱転写シート(ソニー株式会社製、商品名;UPC−5510)を用いた高速印刷対応の昇華熱転写方式プリンタ装置(ソニー株式会社製、商品名;UP−5500)で、印画紙に対してグレーの16階調印画及び黒ベタ印画を行った。このとき、昇華熱転写方式プリンタ装置のヘッド電圧を調節し、最高濃度が約2.0となるように印画した。なお、印画時の温度環境としては常温(22.5℃、65%RH)及び高温(35℃、50%RH)の2種類で行った。
【0059】
そして、この離型性試験では、16階調印画を行ったときに、印画紙と熱転写シートとが離型する際に発生する音を聞き取ることにより離型性を評価し、また、黒ベタ印画を行ったときに印画部分に発生するスジ状の凹凸模様を確認することにより離型性を評価した。具体的に、16階調印画時の音の評価としては、殆ど音が聞き取れないレベルのものをAとし、音の発生を確認できるレベルのものをBとし、激しく音が発生しているレベルをCとした。また、黒ベタ印画におけるスジの評価としては、殆どスジが判らないレベルをAとし、スジの発生が確認できるレベルをBとし、激しくスジが発生しているレベルをCとした。
【0060】
<印画濃度増加測定試験>
この印画濃度増加測定試験では、先ず、ヘイドン表面性試験機(新東科学株式会社製、商品名;TYPE14DR)を用いて、プリンタ装置の給紙用ゴムローラ(直径約12mm、長さ約50mm)を印画紙表面の所定の領域で3往復させた。そして、この印画紙に対してグレーの16階調印画を行い、濃度計(グレダグマクベス社製、商品名;TR924、ビジュアルフィルタ使用)を用いて、ゴムローラ通過部分と非通過部分との印画濃度差を検出した。
【0061】
そして、ゴムローラ通過部分と非通過部分との印画濃度差が最大を示した階調部分の濃度差を測定した。また、ゴムローラ通過部分と非通過部分との印画濃度差を目視により判定した。この目視による判定では、印画濃度の増加がなく均一な印画と見なせるレベルを◎とし、印画濃度の増加が殆どなく略々均一な印画と見なせるレベルを○とし、印画濃度の増加があって濃度ムラの有る印画と見なせるレベルを×とした。
【0062】
なお、ヘイドン表面性試験機では、荷重9.8N、ゴムローラ移動速度1000mm/分の条件で給紙用ゴムローラを往復させた。
【0063】
<耐油性試験>
この耐油性試験では、グレーの16階調が印画された印画紙を10分間サラダ油に浸漬した。そして、浸漬前後の濃度を測定して次式から耐油性を求めた。
【0064】
耐油性(%)=浸漬後の濃度/初期の濃度×100
これら離型性試験、印画濃度増加測定試験及び耐油性試験の結果を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
この表5から明らかなように、実施例1〜実施例3の印画紙は、離型性試験、印画濃度増加測定試験及び耐油性試験の全てにおいて良好な結果を示した。これに対して、比較例4の印画紙は、印画濃度増加測定試験において良好な結果を示さず、比較例5及び比較例6は、離型性試験及び耐油性試験において良好な結果を示さず、比較例7及び比較例8は、高温における離型性試験、印画濃度増加測定試験及び耐油性試験において良好な結果を示さなかった。
【0067】
このことから、印画紙は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーンと水とを予め反応させたものを離型剤として染料受像層に含有させることにより、常温及び高温における熱転写シートとの離型性が良好なものとなり、また、摩擦された部分における印画濃度増加が抑制されたものとなる。
【0068】
また、実施例1〜実施例3は、比較例1〜比較例3と比較して、耐油性が向上している。このことから、印画紙は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーンと水とを反応させたものを離型剤として染料受像層に含有させることにより、更に優れた耐油性を有することとなる。
【0069】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る印画紙では、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーンと水とを予め反応させたものを離型剤として染料受像層に含有させることにより、優れた離型性を有するとともに染料受像層の摩擦による印画濃度の増加が抑制されたものとなる。このため、本発明に係る印画紙は、特に、高速印画の際にも鮮明な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に示す印画紙の要部断面図である。
【符号の簡単な説明】
1基体、2染料受像層
Claims (3)
- 基体上に、離型剤を有する染料受像層が形成されてなる印画紙において、上記離型剤は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物と両末端OH基変性シリコーン化合物と水との反応物を主体とすることを特徴とする印画紙。
- 上記水の添加モル数は、上記キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト化合物中に含まれるNCO基のモル数に対して0.2倍以下であることを特徴とする請求項1記載の印画紙。
- 上記離型剤は、上記染料受像層中に含有される固形分100重量部に対して0.3〜30重量部の割合で添加されることを特徴とする請求項1記載の印画紙。
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