JP2007084670A - 熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 被転写体の基材材質に影響されることがなく、熱転写時の被転写体との離型性が安定して、優れていて、良好な転写画像形成が可能であり、かつ染料層インキの保存安定性に優れ、また染料層を基材上に形成する際に、染料層の塗工面の品質に優れたものが得られる染料層インキ及び熱転写シートを提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも昇華性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含有する染料層インキにおいて、該離型剤としてポリシロキサンと他の樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンを用いる。上記離型剤を使用することで、従来のリン酸エステルの離型剤を使用する場合の染料層インキの色相変化等の保存性の問題が生じない。また、従来のアルキルシロキサン等の単位から成るシリコーン化合物を離型剤として使用する際の塗工面質の不良や、染料インキでの染料析出が生じ、保存安定性がよくない点を防止できた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に染料層を形成した熱転写シートに関し、さらに詳しくは熱転写シートから染料を転写されて画像形成される被転写体の基材材質に影響されることがなく、被転写体との剥離性が安定して、優れていて、良好な転写画像形成が可能であり、かつ染料層インキの保存安定性に優れ、また染料層を基材上に形成する際に、染料層の塗工面の品質に優れた染料層インキ及び熱転写シートに関するものである。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、それらの中でも、昇華転写用染料を記録材とし、これをポリエステルフィルム等の基材上に適当なバインダーで担持させた染料層を有する熱転写シートから、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に染料受容層を形成した熱転写受像シート上に昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドによる加熱によって、3色または4色の多数の加熱量が調整された色ドットを熱転写受像シートの受容層に転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
このような昇華転写方式の熱転写シートに要求される重要な特性の一つとして、画像形成の熱転写時の被転写体との剥離性が挙げられる。すなわち、熱転写シートと被転写体とを重ねて加熱するので、転写後における両者の剥離性が良好なことが、転写を円滑に行う上で重要である。さらに通常、転写前後において熱転写シートと被転写体とが重ねられた状態で搬送されるため、両者のブロッキングを防止する上においても、熱転写シートが被転写体との剥離性を具備することが重要である。このような中で、例えば、特許文献1では、染料層に昇華性染料、バインダー樹脂及び離型剤としてリン酸エステルを含有させて、被転写体との剥離性に優れることが記載されている。また、リン酸エステルの染料層への添加量と、リン酸エステルの酸価を適度の範囲にして、熱転写シートの背面側への染料の転移移行(裏移り)や、染料層における染料の析出を防止することが記載されている。
また、特許文献2には、染料層に昇華性染料と、バインダー樹脂と酸型と中和型を混合したリン酸エステル及び溶媒を含有する熱転写シートが記載されている。酸型と中和型リン酸エステルが離型剤として機能し、被転写体との剥離性に優れ、良好な転写画像が形成できるとしている。上記のようにリン酸エステル系の離型剤を用いることで、被転写体との剥離性を確保することができるが、染料の種類によっては、そのリン酸エステルと染料とが反応して、染料インキの保存中にインキの色相が変化してしまう。染料とリン酸エステルの配合を変えることにより、そのインキの色相変化を低減、または無くすことは可能ではあるものの、その対象となる染料には制限された条件があったり、そのインキの色相変化はある程度生じてしまい、染料インキの保存安定性をもたせるには限界があった。
また熱転写シートの染料層と、被転写体との熱転写時の剥離性を得るために、特許文献3には、染料層に直鎖または分枝状のアルキルまたはアリールシロキサンの単位から成るシリコーンポリマー等の剥離剤を含有することが記載されている。このようなシリコーン系離型剤は、非常に少量でも被転写体との離型性を向上させるものの、染料インキとして、インキの泡立ちによる塗工上での問題、詳しくは泡かみ、つまり泡が混ざったままで塗工されたり、塗工面にはじきが生じる等して、均一な塗工面の品質が得られなかったり、染料インキでの染料析出が生じ、保存安定性がよくない問題もある。
また、熱転写シートの染料層において、シリコーン化合物の離型性材料と特定樹脂を共重合させた樹脂や、三次元構造の共重合体のシリコーン系樹脂を使用することが、特許文献4、5、6、7に記載されている。特許文献4では、染料保持層が、バインダーとして、昇華性染料の良溶解性樹脂と受容体表面に対して融着性のほとんどない化合物との共重合体を用いることが記載されている。その昇華性染料良溶解性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、また受容体表面に対して融着性のほとんどない化合物として、シリコーン化合物またはフッ素化合物が挙げられている。
特許文献5には、染料層のバインダー樹脂として、シリコーン化合物とポリビニルアセタール系樹脂との共重合体であるシリコーン変性ポリビニルアセタール系樹脂を用い、該シリコーン変性ポリビニルアセタール系樹脂がシリコーン化合物の含有量がポリビニルアセタール系樹脂に対して0.1〜4.5重量%であることを規定している。また、特許文献6では、染料層のバインダー樹脂として、ポリビニルアセタール系樹脂と、シロキサン結合を主骨格とした三次元網目構造のもので、常温で固体であり、有機溶剤に可溶なシリコーン系樹脂を含有したものを使用し、そのシリコーン系樹脂の含有量がポリビニルアセタール系樹脂100重量部に対して0.5〜4.5重量部であることが規定されている。
また、特許文献7には、染料層に、シリコーングラフトポリマーおよびポリシロキサン化合物を含有し、前記ポリシロキサン化合物は、少なくとも一方の末端あるいは途中に−NH2、−NHR(Rはアルキル基)、エポキシ基、水酸基、アルキル基およびフェニル基のいずれかの官能基を有することが記載されている。上記の特許文献4〜7にあるような染料層に、シリコーン化合物の離型性材料と特定樹脂を共重合させた樹脂や、三次元構造の共重合体のシリコーン系樹脂を含有させたものでは、染料層において、バインダー樹脂中の染料の含有比率が上がるに従って、バインダーとして上記の離型性樹脂の割合を大きくしても、熱転写時の被転写体との充分な離型性が得られないという問題がある。
上記のように、被転写体の基材材質に影響されることがなく、熱転写時の被転写体との離型性を充分に有し、染料層インキの保存安定性にも優れ、また染料層を基材上に形成する際に、染料層の塗工面に不良が生じることのない熱転写シートは未だ見出されていないのが現状である。
特開平10−67182号公報 特開2002−103828号公報 特開昭62−208994号公報 特開平2−141289号公報 特開平7−290847号公報 特開平8−310136号公報 特開平9−202058号公報
したがって、上記のような課題を解決するために、本発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に染料層を形成した熱転写シートにおいて、熱転写シートから染料を転写されて画像形成される被転写体の基材材質に影響されることがなく、熱転写時の被転写体との離型性が安定して、優れていて、良好な転写画像形成が可能であり、かつ染料層インキの保存安定性に優れ、また染料層を基材上に形成する際に、染料層の塗工面の品質に優れたものが得られる染料層インキ及び熱転写シートを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、少なくとも昇華性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含有する染料層インキにおいて、該離型剤がポリシロキサンと他の樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とするものである。請求項2の発明は、請求項1に記載のバインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、離型剤がポリシロキサンとアセタール樹脂の共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1に記載のポリシロキサンと他の樹脂との共重合体が、バインダー樹脂の固形分に対して5〜30質量%の範囲で含有し、ポリエーテル変性シリコーンがバインダー樹脂の固形分に対して0.1〜0.5質量%の範囲で含有していることを特徴とする。請求項4の発明は、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に、少なくとも1色以上の染料層を形成した昇華転写用熱転写シートにおいて、該染料層の少なくとも1色が請求項1〜3のいずれか一つに記載の染料層インキを塗工して形成されたことを特徴とする。
本発明は、少なくとも昇華性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含有する染料層インキにおいて、該離型剤としてポリシロキサンと他の樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンを用いるものである。上記の離型剤を使用することにより、従来のリン酸エステルの離型剤を使用する場合の染料層インキの色相変化等の保存性の問題が生じない。また、従来のアルキルまたはアリールシロキサンの単位から成るシリコーン化合物を離型剤として使用する際に、均一な塗工面の品質が得られなかったり、染料インキでの染料析出が生じ、保存安定性がよくないという問題を防止できた。
さらに、従来の離型性材料と特定樹脂を共重合させた樹脂を使用した場合に、バインダー樹脂中の染料の含有比率が上がるに従って、熱転写時の被転写体との充分な離型性が得られないという問題があるが、本発明では離型剤としてポリシロキサンと他の樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンを併用することで、上記の離型性において良好なものとなる。また、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に、少なくとも1色以上の染料層を形成した熱転写シートにおいて、上記の染料層インキを基材に塗工することにより染料層が形成されたもので、画像形成される被転写体の基材材質に影響されることがなく、熱転写時の被転写体との離型性に優れ、良好な転写画像が形成できる。
図1に本発明の熱転写シートである一つの実施の最良の形態を示し、基材1の一方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層3を設け、基材1の他方の面に染料層2を形成した構成である。但し、染料層には、昇華性染料と、バインダー樹脂と、さらにポリシロキサンと他の樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンの離型剤が含有されている。
以下、本発明の熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
(基材)
本発明で用いる熱転写シートの基材1としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
上記基材において、染料層を形成する面に、接着処理を施すことがよく行なわれている。上記基材のプラスチックフィルムはその上に接着層を塗布して形成する場合、塗布液の濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すものである。その接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上を併用することもできる。上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。
さらに、上記の基材の接着処理として、基材と染料層との間にプライマー層を塗工して形成することも可能である。そのプライマー層は、以下に示すような樹脂から形成することができる。ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。但し、本発明の基材上に染料層を形成した熱転写シートにおいて、染料層と基材との接着性が充分であれば、上記プライマー層を設けずに、基材上に直接、染料層を設けることができる。
(染料層)
本発明の昇華転写型熱転写シートは、一方の面に耐熱滑性層を設けた基材の他方の面に、少なくとも1色以上の染料層2を形成したものである。該染料層は1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。
染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層のバインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中で、耐熱性、染料の移行性等の観点から、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフェノキシ樹脂等が特に好ましい。
本発明の染料層は、少なくとも上記の熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料(昇華性染料)と、上記のバインダー樹脂と、ポリシロキサンと他の樹脂との共重合体及びポリエーテル変性シリコーンの離型剤を含有するものである。その離型剤としてのポリシロキサンと他の樹脂との共重合体及びポリエーテル変性シリコーンについて、以下に説明する。
ポリシロキサンと他の樹脂との共重合体は、ポリマー主鎖にポリシロキサン鎖を共重合させたものであり、従来公知のものを使用することができる。そのポリシロキサンと他の樹脂との共重合体は、種々の方法で合成することができ、例えば、ポリマー主鎖を形成した後に、このポリマー主鎖中に存在している官能基に、これと反応する官能基を有するポリシロキサン化合物を反応させる方法が挙げられる。
上記共重合体を構成する、ポリシロキサンと共重合するポリマーとしては、主鎖がポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、および、セルロース樹脂等を挙げることができる。この中で、特に主鎖がポリビニルアセタール樹脂であるポリマーが昇華性染料に対する親和性の点で好ましい。この場合の「ポリビニルアセタール」という用語は広義に解釈されるべきであり、本発明では、ポリビニルアセタールのアセタール部分がホルムアルデヒドの場合をポリビニルホルマールと呼び、アセタール部分がアセトアルデヒドの場合をポリビニルアセタールと呼び、さらに、アセタール部分がブチルアルデヒドの場合をポリビニルブチラールと呼ぶ。したがって、単にポリビニルアセタールという場合は、これら全てのアセタールを包含する意味である。上記のポリマーは、重合度が500〜5000、好ましくは1000〜3000であることが好ましい。
上記のポリマー主鎖に共重合させるポリシロキサン化合物は、下記の一般式(I)に示される。
Figure 2007084670
上記の式(I)中、R1、R2はメチル基等のアルキル基、フェニル基等の芳香族基であって、−OH、−NH2、−NH−、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を含んでいてもよい。そして、R1、R2は同一でも異種でもよく、ポリシロキサン鎖重合度mは3〜48の範囲の整数であることが好ましい。また、上記の式(I)で示されるポリシロキサン化合物は、少なくとも一方の末端あるいは途中に官能基を有するものである。このようなポリシロキサン化合物が有する官能基をXとし、上述のポリマーが有する官能基をYで表すと、下記の表1に示される官能基XとYの組み合わせにより、ポリシロキサンと他の樹脂との共重合体を合成することができる。但し、官能基XとYの関係は逆でもよく、また、2種以上の組み合わせも可能である。尚、この官能基は例示にすぎず、これに限定されるものではない。
Figure 2007084670
本発明で使用するポリシロキサンと他の樹脂との共重合体は、重合度が500〜5000、好ましくは1000〜3000の範囲であり、また、その共重合体中のポリシロキサン鎖の割合は0.1〜40質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲である。このようなポリシロキサンと他の樹脂との共重合体は、染料層におけるバインダー樹脂の固形分に対して5〜30質量%の範囲で含有することが好ましい。そのポリシロキサンと他の樹脂との共重合体の含有割合が5質量%未満であると、熱転写時の被転写体との離型性が低下してくる。また、一方でその含有割合が30質量%を越えると、染料層インキでの染料析出や、また熱転写シートの染料層において染料が結晶化して、熱転写画像の記録濃度が低下する等の問題が生じやすい。
また、染料層における離型剤であるポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシアルキレン(以下、「POA」という場合がある。)とポリジメチルシロキサンとの共重合体である。POAにはポリオキシエチレン(以下、「POE」という場合がある。)、ポリオキシ(イソ)プロピレン(以下、「POP」という場合がある。)、及びPOEとPOPとの共重合物がある。合成法は対応するアリル化ポリエーテル化合物とメチルハイドロジェンシリコーンとのヒドロシリル化反応によるものが一般的である。
このポリエーテル変性シリコーン(オイル)は、親水基であるPOA部分と、疎水基であるポリジメチルシロキサン部分と、を分子鎖中にもつシリコーン系高分子界面活性剤である。変性シリコーンオイルという観点でみると、変性のポイントは溶解性と相溶性の向上にある。一般的なシリコーンオイルは、水には全く溶解せず、撥水性を示すが、ポリエーテル変性とすることで水系、非水系でも優れた相溶性があり、ごく少量で従来の有機系界面活性剤では得られない数々の優れた効果を発揮する。これにより、本発明のポリエーテル変性シリコーンは、一般的なシリコーンオイルを染料層インキに含有させた場合のインキの泡立ちによる塗工面の不良、さらに塗工面にはじきが生じる等の塗工面の品質不良を防止することができる。
ポリエーテル変性シリコーンの添加量は、染料層のバインダー樹脂の固形分に対して0.1〜0.5質量%の範囲が好ましい。ポリエーテル変性シリコーンの添加割合が、上記の0.1質量%未満であると、熱転写時の被転写体との離型性が低下してくる。また、一方でその含有割合が0.5質量%を越えると、染料層の塗工面にピンホールなどの塗工不良が生じやすく、また染料層インキでの染料析出等が生じ、染料層インキの保存安定性が低下してくる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリエーテル鎖と同時にアルキル基、反応性のアミノ基やエポキシ基などを同時に導入させた異種官能基変性シリコーンオイル等も、材料構成や目的に合わせて使用することができる。本発明で使用できるポリエーテル変性シリコーンの構造は、以下に示すペンダント型、末端変性型、ABN型のいずれのタイプでも構わない。
Figure 2007084670
染料層は、上記染料、バインダー樹脂と、ポリシロキサンと他の樹脂との共重合体及びポリエーテル変性シリコーンの離型剤を必須成分とし、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。このような染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダー樹脂と、ポリシロキサンと他の樹脂との共重合体及びポリエーテル変性シリコーンの離型剤と、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液(染料層インキ)を調製し、その後、この塗工液を基材の上に塗工、乾燥させて形成することができる。この塗工方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。特に本発明では、グラビア方式の塗工方法が量産化しやすく好ましい。このように形成された染料層は、0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.3〜3.0g/m2程度の乾燥時の塗工量である。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写シートは基材の一方の面に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層3を設ける。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材の上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m2〜3.0g/m2が好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。基材して、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラー)の一方の面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを作製する。尚、上記基材の他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗工、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
<染料層塗工液1>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.325部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂 0.175部
ポリエーテル変性シリコーン 0.0035部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
但し、上記のシアン染料Aは、C.I.Solvent Blue 63であり、また上記シアン染料Bは、下記構造をもつインドアニリン系染料である。
Figure 2007084670
また、上記シアン染料Cは、C.I.Disperse Blue 354である。尚、以下実施例及び比較例で使用されるシアン染料A、B、Cは実施例1で使用された種類と同じものである。
<耐熱滑性層塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、実施例2の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液2>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.325部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂 0.175部
ポリエーテル変性シリコーン 0.0105部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、実施例3の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液3>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.15部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂 0.35部
ポリエーテル変性シリコーン 0.0105部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、実施例4の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液4>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 2.8部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂 0.7部
ポリエーテル変性シリコーン 0.0105部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例1)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例1の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液5>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
プライサーフA208S 0.105部
(第1工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例2)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例2の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液6>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
プライサーフA208BM 0.105部
(第1工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例3)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例3の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液7>
イエロー染料D 7.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.035部
(X−22−4272 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
但し、上記のイエロー染料Dは、下記構造をもつキノフタロン系染料である。
Figure 2007084670
(比較例4)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例4の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液8>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.0035部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例5)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例5の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液9>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.0175部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例6)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例6の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液10>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
ポリエーテル変性シリコーン 0.035部
(東レダウコーニング(株)製、FZ2101)
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例7)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例7の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液11>
シアン染料A 2.5部
シアン染料B 2.5部
シアン染料C 2.0部
シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂 3.5部
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
(比較例8)
実施例1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の染料層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗工、乾燥して染料層を形成し、比較例8の熱転写シートを作製する。
<染料層塗工液12>
シアン染料A 2.5部
シアン染料C 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.325部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
シリコーングラフトポリビニルアセタール樹脂 0.175部
メチルエチルケトン 43.0部
トルエン 43.0部
上記の各実施例及び比較例における染料層塗工液(染料層インキ)において、下記条件のインキ保存性の評価と、各実施例及び比較例で作製した熱転写シートにおける染料層の塗工面質の評価、さらに下記条件の離型性の評価を行った。
(インキ保存性1)
各実施例及び比較例における染料層インキについて、温度40℃における環境下で1ヶ月間、染料層インキを保存しておき、保存前と保存後のインキの色相変化の有無を調べた。その色相変化を調べる方法は、実施例1で使用した同条件のPETフィルムに、バーコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように、各保存前と後の染料層インキを塗工、乾燥して染料層を形成した試料を、マクベス反射濃度計RD−918を用いて反射濃度を測定し、(保存前の濃度−保存後の濃度)/保存前の濃度により、濃度変化率を調べた。
○:保存前後の濃度変化が5%未満であり、色相変化が少ない。
×:保存前後の濃度変化が5%以上であり、色相変化が大きく、言い換えれば、消色の現象がみられる。
(インキ保存性2)
各実施例及び比較例における染料層インキについて、常温20℃程度における環境下で1週間、染料層インキを保存しておき、保存後のインキの染料析出の有無を調べた。その染料析出を調べる方法は、実施例1で使用した同条件のPETフィルムに、バーコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように、各保存後の染料層インキを塗工、乾燥して染料層を形成した試料について、染料層表面を光学顕微鏡にて拡大して観察し、染料の析出の有無を調べた。
○:保存後において、染料の析出は認められない。
×:保存後において、染料の析出が認められる。
(塗工面質)
各実施例及び比較例で作製した熱転写シートにおける染料層の塗工面における品質に関し、染料層は泡が混ざったままで塗工されたり(泡かみの発生)、塗工面にはじきが生じていないかを肉眼で調べた。その評価は以下の基準である。
○:泡かみやはじきの発生もなく、塗工面質は良好である。
×:泡かみ、あるいは、はじきが生じていて、塗工面質が不良である。
(離型性1)
各実施例及び比較例で作製した熱転写シートと、下記条件のポリ塩化ビニルカードの被転写体とを用い、被転写体と熱転写シートの染料層とを重ね合わせ、サーマルヘッドで下記条件で印画し、印画直後に被転写体と熱転写シートを180度剥離により、引張り速度200mm/minにより剥離強度を測定した。その剥離強度としては、4gf/cm巾以下であれば良好のレベルである。
(加熱条件)
線密度300dpiのサーマルヘッドを搭載した256階調制御が可能な熱転写プリンターを使用し、シアンまたはイエロー単色により、ベタ画像を形成した。印字条件は、印字スピードが2ms/lineで、印加エネルギーが、0.20mj/dotである。また、印画エリアは50mm×80mmの大きさである。
ポリ塩化ビニルカードは、カード基材用の下記組成からなるセンターコア(厚み0.2mm)を準備し、下記組成からなる透明シート(厚み0.15mm)を作製し、上記のセンターコアの両面に熱圧着させて3層構造のカード(54×86cm)を作製した。
(センターコアの組成)
塩化ビニルコンパウンド 100部
(重合度800、安定剤等の添加剤含有量約10%)
白色顔料(酸化チタン) 10部
可塑剤(ジオクチルフタレート) 0.5部
(透明シートの組成)
塩化ビニルコンパウンド 100部
(重合度800、安定剤等の添加剤含有量約10%)
可塑剤(ジオクチルフタレート) 0.5部
(離型性2)
各実施例及び比較例で作製した熱転写シートと、下記条件のICカードの被転写体とを用い、被転写体と熱転写シートの染料層とを重ね合わせ、サーマルヘッドで上記の離型性1の時と同様の加熱条件で印画し、印画直後に被転写体と熱転写シートを180度剥離方向により、手で剥がした。その際に、染料層が被転写体側にとられる異常転写の有無を調べた。
ICカードは、0.56mm厚の乳白硬質塩化ビニルからなるセンターコアを使用し、0.1mm厚の透明塩化ビニルからなるオーバーシートを、そのセンターコアの表裏にあてがい、ステンレス等の鏡面に仕上げられた2枚の金属板に挟持せしめ、温度150℃、圧力25kg/cm2、時間20分というラミネート条件で加熱加圧せしめて0.76mm厚の硬質塩化ビニル積層体(カード基材)を得る。そのカード基材の一定の箇所にICモジュールを埋め込めるように予め、切削加工を施しておき、ICモジュールが収納されたICカードを用意した。異常転写の評価基準は以下の通りである。
○:肉眼で観察し、異常転写は認められない。
×:肉眼で観察し、異常転写が認められる。
上記の実施例及び比較例の各評価結果を、下記の表2に示す。
Figure 2007084670
上記の結果より、実施例1〜4の全ては、染料層塗工液(染料層インキ)において、温度40℃における環境下で1ヶ月間、染料層インキを保存しておいても、インキの色相変化は少なく問題がなかった。また、実施例では常温20℃程度における環境下で1週間、染料層インキを保存しておいても、インキの染料析出は生じなかった。さらに、実施例では作製した熱転写シートにおける染料層の塗工面質は、泡かみやはじきの発生もなく、良好であり、またポリ塩化ビニルカードやICカードに対する離型性が良好であった。
それに対し、比較例1、2ではインキ保存性1において、温度40℃における環境下で1ヶ月間、染料層インキを保存しておいても、インキの色相変化が大きかった。また比較例3では、インキ保存性2で、常温20℃程度における環境下で1週間、染料層インキを保存しておくと、インキの染料析出が生じてしまう。また比較例4、5、7、8では、離型性1において、ポリ塩化ビニルカードの被転写体との離型性において、熱転写後の両者の剥離強度が4gf/cm巾を越えてしまい、離型性が不良である。さらに、比較例7ではICカードとの熱転写後、異常転写が生じた。また、比較例6では、染料層の塗工面における品質において、泡かみ、あるいは、はじきが生じてしまい、塗工面質が不良である。
本発明の熱転写シートである一つの実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 基材
2 染料層
3 耐熱滑性層

Claims (4)

  1. 少なくとも昇華性染料と、バインダー樹脂と、離型剤を含有する染料層インキにおいて、該離型剤がポリシロキサンと他の樹脂との共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする染料層インキ。
  2. 前記のバインダー樹脂がポリビニルアセタール樹脂であり、離型剤がポリシロキサンとアセタール樹脂の共重合体と、ポリエーテル変性シリコーンであることを特徴とする請求項1に記載の染料層インキ。
  3. 前記のポリシロキサンと他の樹脂との共重合体が、バインダー樹脂の固形分に対して5〜30質量%の範囲で含有し、ポリエーテル変性シリコーンがバインダー樹脂の固形分に対して0.1〜0.5質量%の範囲で含有していることを特徴とする請求項1に記載の染料層インキ。
  4. 基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に、少なくとも1色以上の染料層を形成した熱転写シートにおいて、該染料層の少なくとも1色が請求項1〜3のいずれか一つに記載の染料層インキを塗工して形成されたことを特徴とする熱転写シート。
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