JP4044927B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、基材と、耐熱滑性層と、接着層と、染料層とを備えてなる熱転写シートに関する。
従来、種々の熱転写記録方法が知られており、その中でも、昇華転写用染料を記録材とし、これをポリエステルフィルム等の基材上に適当なバインダーで担持させた染料層を有する熱転写シートを用いて、昇華染料で染着可能な被転写材、例えば、紙やプラスチックフィルム等に染料受容層を形成した熱転写受像シート上に昇華染料を熱転写し、各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この方法は、加熱手段として、プリンターのサーマルヘッドによる加熱を採用し、3色または4色の多数の加熱量が調整された色ドットを熱転写受像シートの受容層に転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラーを再現するものである。このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから、非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、かつフルカラー写真画像に匹敵する高品質画像の形成が可能である。
このような昇華転写による熱転写記録方式では、熱転写プリンターの印字速度の高速化が進むに従って、今までの熱転写シートでは十分な印字濃度が得られないことが指摘されていた。このため、熱転写による画像が形成される印画物に対しては、高濃度、かつ高鮮明性が要求されていることから、熱転写シート及びその熱転写シートから転写される昇華染料を受容して画像を形成する熱転写受像シートを改良する試みが多くなされている。例えば、熱転写シートの薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行なわれているが、この試みにあっては、熱転写シートの製造時または熱転写記録の際に、熱または圧力等の付与から、シワの発生または希に破断するとの指摘が成されている。
また、熱転写シートの染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることが行われているが、巻き取り保管中に熱転写シートの裏面側の耐熱滑性層に染料が移行し、その移行した染料が巻き返した時に、他の色の染料層等へ再転移し(キックバック)、この汚染された染料層が受像シートへ熱転写されると、指定された色と異なる色が印刷され、いわゆる地汚れが生じることがある。さらに、熱転写シート側ではなく、熱転写プリンターにおいて、画像形成時の熱転写の際、高エネルギーを付加すると、染料層と受容層とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。その異常転写を防止するため、受容層に多量の離型剤を添加することが可能であるが、多量の離型剤の添加は、画像のにじみと地汚れ等を生じさせることが見受けられた。
他方、特許文献1によれば、ポリビニルピロリドンを主成分とし、染料転写効率を高める成分として、ポリビニルアルコールを混合した親水性バリヤー/下塗り層を染料層と支持体との間に設けた熱転写シートが提案されている。しかしながら、ポリビニルアルコールの使用は染料層と基材との密着性が十分ではなく、また特許文献1に開示された添加量のポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとを用いると、接着性が十分ではないことがあった。
また、特許文献2は、ポリビニルピロリドンを含有する染料層プライマー層を用いることで、熱転写における高感度化と、異常転写を抑制する熱転写シートが提案されている。しかしながら、本発明者らが確認したところ、この熱転写シートは、ポリビニルピロリドンによる吸湿性により、特に高温高湿下で、プライマー層の接着性が低下し、熱転写時に染料層が受像シートの受容層に層ごと剥離してしまうこと、またはプライマー層と染料層との混合が原因とされる染料層側に受容層が層ごと剥離してしまうことが生じた。
他方、本発明者らは、ポリビニルピロリドン樹脂からなる接着層を染料層と支持体との間に設けた熱転写シートを開発した特許出願を行っている(特願2002−176982号)。この熱転写シートは、接着層が、受像シートへの染料転写効率を高めて印画物の濃度を向上させることができ、かつ、印画時の受像シートとの融着と異常転写をも抑制するとの長所を有するものである。しかし、この接着層からなる熱転写シートを40℃90%などの高湿環境下に長期間保管した後に、高湿および離型性の低い受像シートを用いる等の過酷な環境下において印刷を行った場合には、熱転写シートと受像シートの融着や異常転写を生じることが若干見受けられた。
従って、熱転写の印字速度の高速化と、熱転写画像の高濃度および高品質の要求に対応して、熱転写プリンター側の調節や熱転写シート及び熱転写受像シートの熱転写記録材料の調節を行なったとしても、十分な印字濃度が得られず、また熱転写の際に異常転写が生じ、十分に満足できる品質の印画物が得られないのが現状であった。
よって、現在、熱転写の印字速度の高速化と、熱転写画像の高濃度および高品質の要求に対応し、かつ、十分に満足できる品質の印画物が得られる熱転写シートの開発が要求されている。
特公平7−102746号公報 特願平14−181812号公報
発明の概要
本発明の第1の態様
本発明者等は、本発明時において、接着層が、三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂を含んでなる熱転写シートによれば、熱転写の印字速度の高速化、熱転写画像の高濃度化および高品質化等の要求に十分対応し、印画における転写感度の向上と、高温高湿下におけるような過酷な印刷環境下であっても、異常転写およびシワ等の発生を有効に防止することができるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づいて成されたものである。
従って、本発明は、熱転写の印字速度の高速化と、熱転写画像の高濃度および高品質の要求に対応し、かつ、良好な品質の印画物が得られる熱転写シートを提供することを目的とする。
よって、本発明による熱転写シートは、基材と、耐熱滑性層と、接着層と、染料層とを備えてなるものであって、
前記基材の一方の面に前記耐熱滑性層が形成されてなり、
前記基材の他方の面に前記接着層と、前記染料層とがこれらの順で形成されてなり、
前記接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂が三次元架橋したものを含んでなるものである。
本発明による熱転写シートによれば、接着層が、三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂を含んでなることから、高温高湿下におけるような環境下でも染料層と基材との接着性を高めることができ、異常転写等を防止できるとともに、熱転写の際に、転写感度が大幅に向上し、高エネルギーの印加がなくても、高濃度の熱転写画像が得られるとの効果を有する。
本発明の第2の態様
本発明者等は、本発明時において、接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂と、およびシラノール基を有する樹脂、シラノール基を有するオリゴマー、およびシランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物とを含んでなる熱転写シートによれば、熱転写の印画速度の高速化、熱転写画像の高濃度化および高品質化の要求に十分対応することができ、受像シートとの融着と、異常転写を有効に防止することができるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づいて成されたものである。
従って、本発明は、熱転写の印字速度の高速化と、熱転写画像の高濃度および高品質の要求に対応し、かつ、良好な品質の印画物が得られる熱転写シートを提供することを目的とする。
よって、本発明による熱転写シートは、基材と、耐熱滑性層と、接着層と、染料層とを備えてなるものであって、
前記基材の一方の面に前記耐熱滑性層が形成されてなり、
前記基材の他方の面に前記接着層と、前記染料層とがこれらの順で形成されてなり、
前記接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂と、シラノール基を有する樹脂、シラノール基を有するオリゴマー、およびシランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物とを含んでなるものである。
本発明による熱転写シートによれば、接着層がポリビニルピロリドン樹脂を含んでなることから、受像シートへの染料転写効率を高めて印画濃度を向上させることができる。また、接着層が、シラノール基を有する樹脂、シラノール基を有するオリゴマー、およびシランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物を含んでなることから、高湿環境下における印刷においても、接着性が高く、融着および異常転写を有効に抑制することができる。
本発明の第1の態様
本発明の第1の態様による熱転写シートについて、図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の態様による熱転写シートの一態様を示す概略図である。図1によれば、基材1の一方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層4が形成されてなる。また、基材1の他方の面にポリビニルピロリドン樹脂が三次元架橋されたものを混合含有してなる接着層2と、染料層3とが順次形成されてなる。
1.基材
基材は、ある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものであっても使用することができる。そのような基材の具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。基材の厚さは、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度である。
本発明にあっては、本発明の基材の上に接着層を形成する際、接着層が基材に対して十分な接着性がある場合には、基材の接着処理を行わずに、基材上に直接、接着層を設けることが可能である。例えば、接着層に接着成分を添加して基材との接着性を高める場合などが挙げられる。
しかしながら、本発明にあっては、接着層、染料層を形成する基材面に対して、接着処理を施すことを行っても良い。この接着処理は、特に、基材がプラスチックフィルムである場合、その上に接着層を塗布して形成する際に、塗布液の濡れ性、接着性等を向上させることができるので好ましい。接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術を適用することができ、また、これらの二種以上の併用も可能である。プライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。
プライマー層
接着処理は、基材と接着層との間にプライマー層を塗工することによって行ってもよい。プライマー層は、樹脂を用いて形成されてよく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
2.接着層
接着層は、ポリビニルピロリドン樹脂を三次元架橋したものを含有する。三次元架橋されたポリビニルピロリドン樹脂は、好ましくは高分子量(重量平均分子量80万〜350万程度)の場合、1分子中で100%架橋したものでなく、部分的に架橋したものを使用することが好ましい。ポリビニリピロリドン樹脂の1分子中の全ての部分で架橋した(100%架橋した)ものと比較して部分的に架橋したものは、水、アルコール類および有機溶剤との溶解性が良好であり、組成液調整及び塗工時における諸問題を解決することができ、その結果、均一な接着層を形成することが可能となるからである。よって、本発明にあっては、三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂の好ましいものとしては、高分子量の場合、1分子中で約10%〜約70%の部分が架橋されたものが好ましく用いられる。また、本発明にあっては、比較的低分子量(重量平均分子量10万〜80万程度)の場合、1分子中の全ての部分(100%)で三次元架橋したポリビニルピロリドンものであっても、水、アルコール類および有機溶剤との溶解性が良好のものであれば、一部分が三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂と混合して使用することができる。
よって、接着層は、三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂、好ましくは部分的に三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂のみを用いて形成されてよく、または(好ましくは部分的に)三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂と、直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂および/または低分子量の全部分が三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂と、直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂を混合して、接着層を構成することができる。直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂の添加は、印画における転写感度を向上させる上で好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、ポリビニルピロリドン樹脂の架橋されたもの(部分)が接着層全固形分に対して10%〜30%の割合で含有していることが好ましい。本発明のより好ましい態様によれば、ポリビニルピロリドン樹脂を三次元架橋したものにおける「三次元架橋」は、5%〜50%、好ましくは10%〜30%の割合で行われていることが好ましい。三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂の添加量は、接着層を形成する成分の全固形分に対して5重量%〜50重量%であり、好ましくは10重量%〜30重量%である.
この割合により添加することで、直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂のみを含有する接着層と比較して、特に高温高湿下での染料層と基材との接着性を向上させることが可能となる。また、直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂を混合して添加する場合にあっては、この樹脂の高い吸湿性を十分に補うことができ、その結果、高温高湿下における染料層と基材との接着性を向上し、かつ、異常転写等を有効に防止することができる。さらに、接着層の組成液を調整する際に、水、アルコール類および有機溶剤との溶解性が向上され、均一な接着層を形成することが可能となる。
高分子量(低分子量)の三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂または直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂として使用される、ポリビニルピロリドン樹脂としては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体(ホモポリマー)またはこれらの共重合体が挙げられる。ポリビニルピロリドン樹脂は、フィッケンチャーの公式におけるK値で、60以上のものを使用することが好ましく、特にK−60〜K−120のグレードが使用でき、数平均分子量では、30,000〜280,000程度のものである。上記K値が60未満のポリビニルピロリドン樹脂を用いると、印画における転写感度の向上の効果が薄くなる。
また、ポリビニルピロリドン樹脂として、ビニルピロリドンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体も使用できる。そのビニルピロリドン以外の共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、塩化(フッ化)ビニル、塩化(フッ化、シアン化)ビニリデン等のビニルモノマーが挙げられる。そのビニルモノマーとビニルピロリドンとのラジカル共重合によって得られるコポリマーが使用できる。
三次元架橋
本発明にあって、三次元架橋されたポリビニルピロリドン樹脂は、特に、直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂を、水素結合、イオン結合等でカルボキシル基含有化合物等と三次元的に架橋したものとして得ることができる。
三次元架橋に使用する化合物の例としては、カルボキシル基含有化合物が挙げられ、例えば、カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するモノマーを一種または二種以上使用して重合したものとして、ポリ(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸共重合物等が挙げられる。本発明にあって、三次元架橋に使用する化合物は、カルボキシル基含有化合物に限定されず、カルボキシル基以外の官能基を有する化合物であっても良い。
三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、ViviPrint540@polymerolymer(ISP INVESTMENTS INC社製)が好ましくは用いることができる。ViviPrint540@polymerolymerはインクジェットコーティングメディアにおいて好ましくは使用される溶剤として知られているものである。また、三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂は、国際特許出願PCT/US2001/022722号に開示された方法によって製造されて良い(この国際特許出願の出願内容は本明細書の内容をなす)。具体的には下記の方法によって得ることができる。
合成
1. 窒素入口管、熱電対、撹拌機、及び供給ラインを装着する2−Lのケトルに、131.81gのVP、756gのDI水及び0.197gのPETE(単量体に基づいて0.15%)を添加した。
2. 窒素を用いて表面下を30分間パージした。
3. 70℃に加熱した。
4. 開始剤を、0及び30分で添加した。1.5gのIPA中の0.48gのVazo(登録商標)67を、各ショットのために添加し、及び2回の1.0gのIPA洗浄を行った。
5. 反応温度を一昼夜70℃で保った。
6. 残留するVPが400ppm未満である場合に、そのバッチを320.04gのDI水を用いて希釈した。
7. バッチを50℃に冷却した。
8. 保存剤として、0.15から0.19%のBTC50NFを添加した。
9. 生成物は、40から70%の樹脂の粒子を有する、2−相の重合化組成物であり、その可溶性画分は1,200,000から1,500,000の分子量を有した。
物性1
95.2gの約10%の固体のポリビニルピロリドン/PETEを、2−リッターの蒸留水中に希釈し、及び十分に混合されるまで撹拌した。第2の溶液を、第1の溶液の500mLを採取すること及び2−リッターの蒸留水中に希釈することによって調製した。十分に混合されるまで撹拌した。第2の溶液を、4つの16オンス(約454g)のジャーに注ぎ、及び〜2250rpmで約90分間遠心分離した。白色の沈殿が各16オンスのジャーの底部上に観察された。沈殿を、ピペットによって除去し、及び4つの8−ドラム(約14g)のバイアル中に、それぞれ配置した。4つの8−ドラムのバイアルを、〜3000rpmで60分間遠心分離した。沈殿における粒径を、Microtrak(マイクロトラク)UPAを用いて測定し、及び約4nmであることが見出された。
物性2
PVP/PETE(例4)の1%重合体水溶液を、Kelcoloid HVF Algin(HVF)の1%重合体水溶液と十分に混合した。各溶液、及びそれらの組合せのブロックフィールド粘度を実行し、流体力学修飾の効果を例示した。視覚的検査の下、溶液は均質であると思われた。結果を以下の表1に示す。
Figure 0004044927
接着層の形成
接着層は、三次元架橋されたポリビニルピロリドン樹脂それ自体、または直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂をさらに混合したものに、必要に応じて添加剤を加えて、水、アルコール類の水系溶媒、有機溶剤に溶解および/または分散させた組成液を調整し、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の塗工手段を用いて形成することができる。このように形成される接着層は、乾燥時の塗工量で0.01〜0.3g/m程度であり、望ましくは0.05〜0.15g/mである。塗工量が上記範囲内にあることにより、基材の凹凸を埋めることができ、未塗布部分が生じることがなく、熱転写時に染料層が受像シートの受容層側に取られるとの異常転写を有効に防止することができる。また、染料層の塗工時に接着層と染料層とが混合することが防止することができ、熱転写時に受容層が染料層側に取られやすくなるとの異常転写を有効に防止することができる。
3.染料層
染料層は1色の単一層または色相の異なる染料を含む複数層として形成されてよく、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料を任意のバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料が挙げられ、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料はいずれも使用可能である。染料は、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して適宜選択してよい。
染料の具体例としては、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層を形成する際に染料層形成用組成物(組成液)にバインダーを添加してよく、例えば従来公知の樹脂バインダーが使用可能である。バインダー(樹脂)の好ましい具体例としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中で、耐熱性、染料の移行性等の観点から、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂及びフェノキシ樹脂等が特に好ましい。
また、本発明では上記の樹脂バインダーに代えて、次のような離型性グラフトコポリマーを離型剤またはバインダーとして用いることができる。この離型性グラフトコポリマーは、ポリマー主鎖にポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント、または長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントをグラフト重合させてなるものである。これらのうち、特に好ましいのはポリビニルアセタール樹脂からなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られたグラフトコポリマーである。
染料層は、上記染料、バインダーと、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。
染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダーと、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて組成液を調製し、その後、この組成液を基材の上に塗布、乾燥させて形成することができる。この塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。このように形成された染料層は、0.2〜6.0g/m、好ましくは0.3〜3.0g/m程度の乾燥時の塗工量である。
4.耐熱滑性層
耐熱滑性層は、本発明における熱転写シートにおいて、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字皺等の悪影響を防止することを主目的として形成される。
耐熱滑性層は、樹脂を用いて形成されてよく、樹脂は従来公知のものであってよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
耐熱滑性層はまた、樹脂に滑性付与剤を添加して形成されてよく、または樹脂により形成された耐熱滑性層に滑性付与剤を上塗りしても良い。滑性付与剤の具体例としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられ、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなるものが挙げられる。本発明にあっては、充填剤をさらに添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記に記載した樹脂、滑性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層組成液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m〜3.0g/mが好ましい。
本発明の第2の態様
本発明の第2の態様について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の態様と同様に、本発明の第2の態様による熱転写シートの一態様を示す概略断面図である。図1によれば、基材1の一方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層4が形成されてなり、基材1の他方の面に接着層2、染料層3とがこれらの順で形成されてなる。
また、本発明の第2の別の態様について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第2の態様による熱転写シートの一態様を示す概略断面図である。図2によれば、本発明の熱転写シートの他の実施形態の概略断面図であり、基材1の一方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層4を設け、基材1の他方の面にプライマー層5、接着層2、染料層3をこれらの順で形成したものである。
本発明の第2の態様の熱転写シートは、本発明の第1の態様の熱転写シートと、下記する接着層が相違するのみであって、それ以外の構成、例えば基材、プライマー層、耐熱滑性層、染料層は本発明の第1の態様で説明したのと同様であってよい。
接着層
本発明において、接着層は、ポリビニルピロリドン樹脂と、およびシラノール基を有する樹脂、シラノール基を有するオリゴマー、およびシランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物と含んでなる。
ポリビニルピロリドン樹脂の具体例としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体(ホモポリマー)またはこれらの共重合体が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、前記接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂の変性体をさらに含んでなるものが好ましい。ポリビニルピロリドンの変性体の1つはビニルピロリドンと他の共重合可能なモノマーとの共重合である。共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、塩化(フッ化)ビニル、塩化(フッ化、シアン化)ビニリデン等のビニルモノマーが挙げられる。そのビニルモノマーとビニルピロリドンとのラジカル共重合によって得られるコポリマーが使用できる。また、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アセタール樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース樹脂等とポリビニルピロリドンとのブロック共重合体、グラフト共重合体等も使用できる。また別の変性体として、ポリビニルピロリドンの性質を変化させるために、ポリビニルピロリドンの一部分を架橋した材料も使用することができる。また、本発明の好ましい態様によれば、本発明の第一の態様で説明した、三次元架橋(全部または一部)したポリビニルピロリドン樹脂が好ましくは用いることができ、例えば、市販品であるViviPrint540polymer(ISP INVESTMENTS INC社製)が好ましくは利用することができる。したがって、本発明の第1の態様で説明した三次元架橋(全部または一部)したポリビニルピロリドン樹脂は本発明の第2の態様においてもその内容をなす。
シラノール基を有する樹脂、シラノール基を有するオリゴマー、およびシランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物(以下、「シラン、シラノール系材料」と表記)は公知のいずれの材料でも接着成分として使用することができる。また、これらの材料は接着層の耐熱性も向上させることができ、高エネルギー印画時の異常転写を抑制することができる。特にアミノ基、エポキシ基、メタクリル基を有するタイプが接着性向上のために望ましい。シラン、シラノール系材料は、接着層全体の固形分に対して1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。上記添加量とされることにより、接着成分、耐熱性向上成分としての効果と、ポリビニルピロリドン樹脂による印画濃度向上を十分に発揮することができる。
接着層は、上記成分以外に接着成分をさらに混合させて、基材と染料層との接着性を向上させることができる。その接着成分の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等のビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。上記接着成分として、特にポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂は接着性が強く、好ましい。このような接着成分は、接着層全体の固形分に対して、1〜20重量%の割合で添加して使用することが好ましい。上記添加量とされることにより、十分な接着性を発揮することができ、またポリビニルピロリドン樹脂による印画濃度の向上を十分に発揮させつことができる。
接着層は、接着層を形成する組成物に、添加剤、例えば、濡れ性改善剤、蛍光増白剤または各種フィラーなどを添加してもよい。
接着層の形成
接着剤層は、接着層形成成分を有機溶剤または水系溶媒に溶解および/または分散させた組成液を調整し、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の塗工手段を用いて形成することができる。又、接着層は基材の染料層塗工側の全面にベタ塗工してもよく、基材と染料層の間のみにパターン塗工してもよい。有機溶剤を組成液で使用する場合は、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂の変性体、シラン、シラノール系材料などの接着成分は溶剤に溶解、分散しやすいタイプを使用する。また、水系溶媒を組成液で使用する場合、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂の変性体、シラン、シラノール系材料などの接着成分は、水溶性あるいは水性エマルジョンタイプの樹脂を用いる。
このようにして形成される接着層の塗工量は、乾燥時において0.01〜3.0g/mが好ましい。
本発明は下記実施例によりその内容を容易に理解することができるが、本発明の内容はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。実施例中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
本発明の第1の態様
熱転写シートの調製
実施例X1
基材して、厚さ4.5μmの未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ダイヤホイルK880)上に、下記組成の接着層組成液Aをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布し、110℃で1分間乾燥して接着層を形成した。次に、その接着層の上に、下記組成の染料層組成液1をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/mになるように塗布、乾燥して染料層を形成し、実施例1の熱転写シートを作製する。上記基材の他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層組成液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/mになるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
<接着層組成液A>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 9部
ポリビニルピロリドン樹脂の約40%が三次元架橋されたもの(ViviPrint540polymer、ISP(株)製) 1部
メチルエチルケトン 83部
イソプロピルアルコール 83部
<染料層組成液1>
C.I.ソルベントブルー22 5.5部
ポリビニルアセタール樹脂 3.0部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 22.5部
トルエン 68.2部
<耐熱滑性層組成液>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
実施例X2
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の接着層組成液Bをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、実施例X2の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液B>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 7.5部
ポリビニルピロリドン樹脂の約40%が三次元架橋されたもの(ViviPrint540polymer、ISP(株)製) 2.5部
メチルエチルケトン 83部
イソプロピルアルコール 83部
実施例X3
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の接着層組成液Cをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.03g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、実施例X3の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液C>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 7.5部
ポリビニルピロリドン樹脂の約40%が三次元架橋されたもの(ViviPrint540polymer ISP(株)製) 7.5部
メチルエチルケトン 125部
イソプロピルアルコール 125部
実施例X4
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、実施例X3で使用した接着層組成液Cをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、実施例X4の熱転写シートを作製した。
実施例X5
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、実施例X3で使用した接着層組成液Cをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、実施例X5の熱転写シートを作製した。
実施例X6
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の接着層組成液Dをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、実施例X6の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液D>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン樹脂の約40%が三次元架橋されたもの(ViviPrint540polymer ISP(株)製) 7.5部
メチルエチルケトン 83部
イソプロピルアルコール 83部
実施例X7
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の接着層組成液Eをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、実施例X7の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液E>
ポリビニルピロリドン樹脂の約40%が三次元架橋されたもの(ViviPrint540polymer ISP(株)製) 10部
メチルエチルケトン 83部
イソプロピルアルコール 83部
尚、上記の接着層組成液Eでは、他の実施例と異なり、品名K−90のポリビニルピロリドン樹脂を含有していないが、使用したViviPrint540polymer の品名の物質は、ポリビニルピロリドン樹脂の1分子中で約40%の部分が架橋されたもので、残りの約6割は直鎖状重合体のポリビニルピロリドン樹脂であった。
比較例X1
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の接着層組成液Fをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、比較例X1の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液F>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 10部
メチルエチルケトン 83部
イソプロピルアルコール 83部
比較例X2
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、下記組成の接着層組成液Gをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.06g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、比較例X2の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液G>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 9.5部
ポリビニルピロリドン樹脂の約40%が三次元架橋されたもの(ViviPrint540polymer ISP(株)製) 0.5部
メチルエチルケトン 83部
イソプロピルアルコール 83部
比較例X3
実施例X1と同条件のPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例X1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の耐熱滑性層の設けられている面と反対面に、実施例X3で使用した接着層組成液Cをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.35g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例X1と同様に染料層を形成し、比較例X3の熱転写シートを作製した。
評価試験X
各実施例X及び比較例Xの熱転写シートを用いて、常温及び高温高湿下における耐熱接着性、受像シートとの接着性の各評価を以下に示す方法で行なった。
(耐熱接着性評価1)
実施例X及び比較例Xの試料となる熱転写シートを、染料層面を上にして、台紙の上に貼り付ける(台紙と耐熱滑性層とが接する形態である。)。そして、その試料と対応する基準リボン1(染料層の条件が同一で、基材は三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ダイヤホイルK230Eの易接着処理PETフィルムに直接、染料層を設けたもの)を染料層面を上にして、同一台紙の異なる位置に貼り付け、試料と基準リボンの染料層面同士が重ねて接するように、台紙毎、折り返して、温度100〜130℃、圧力2.5kg/cm、加圧時間2secでヒートシールを行ない、両者を剥離して、試料と基準リボン1の各染料層の残存状態(取られた状態)を目視にて調べ、以下の基準にて、評価した。但し、実施例X及び比較例Xの試料となる熱転写シートと基準リボン1の双方を、常温下放置した状態で上記ヒートシールを行う場合と、試料となる熱転写シートと基準リボン1の双方を、40℃90%RHの環境下に16時間放置後、上記のヒートシールを行う場合の2通りで調べた。
評価基準
○:試料側に残った染料層の面積が基準リボン側に残った面積よりも大きい。
△:試料側に残った染料層の面積と、基準リボン側に残った面積が同等である。
×:試料側に残った染料層の面積が基準リボン側に残った面積よりも小さい。
(耐熱接着性評価2)
実施例X及び比較例Xの試料となる熱転写シートを、染料層面を上にして、台紙の上に貼り付ける(台紙と耐熱滑性層とが接する形態である。)。そして、その試料と対応する基準リボン2(染料層の条件が同一で、基材は三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ダイヤホイルK880のPETフィルムの表面に、ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製)から成る接着層(比較例X1の接着層の条件と同等)を乾燥時0.06g/mになるように設けたもの)を染料層面を上にして、同一台紙の異なる位置に貼り付け、試料と基準リボンの染料層面同士が重ねて接するように、台紙毎、折り返して、温度100〜130℃、圧力2.5kg/cm、加圧時間2secでヒートシールを行ない、両者を剥離して、試料と基準リボン2の各染料層の残存状態(取られた状態)を目視にて調べ、上記の耐熱接着性1と同じ基準にて、評価した。但し、実施例X及び比較例Xの試料となる熱転写シートと基準リボン2の双方を、常温下放置した状態で上記ヒートシールを行う場合と、試料となる熱転写シートと基準リボン2の双方を、40℃90%RHの環境下に16時間放置後、上記のヒートシールを行う場合の2通りで調べた。
(受像シートとの接着性評価3)
実施例X及び比較例Xの各熱転写シートの染料層面と、オリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−200専用スタンダードセットの受像シートの受像面とが接するように重ね合わせ、温度100〜130℃、圧力2.5kg/cm、加圧時間2secでヒートシールを行ない、両者を剥離して、試料の染料層と受像シートの受像層の剥離状態を目視にて調べ、以下の基準にて、評価した。この場合は熱転写シートと受像シートは常温下放置した状態で、上記ヒートシールを行った。
評価基準
○:染料層側に受像層が剥ぎ取られることなく、異常なし。
×:染料層側に受像層が剥ぎ取られている。
上記の実施例X及び比較例Xの各評価結果を、下記の表2に示す。
Figure 0004044927
*1;ViviPrint540polymer 添加量は、ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製)と合わせた全体に対する添加量の割合である。
*2;三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂の接着層全固形分に対する含有割合である。
上記の結果より、接着層に三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂が、つまり1分子中で、部分的に架橋した状態で、ポリビニルピロリドン樹脂の架橋された部分が接着層全固形分に対して10%〜30%の割合で含有して実施例X2〜6は、上記の耐熱接着性1、2及び受像シートとの接着性の全てについて、良好な結果となった。実施例X1は接着層にポリビニルピロリドン樹脂の三次元架橋された部分が接着層全固形分に対して4%の割合で含有しているが、耐熱接着性2の常温下で基準リボンと同等の接着性であるが、高温高湿下では基準リボンよりも基材と染料層との接着性は高かった。また、実施例X7は、接着層にポリビニルピロリドン樹脂の三次元架橋された部分が接着層全固形分に対して40%の割合で含有しているが、この場合も耐熱接着性2の常温下で基準リボンと同等の接着性であるが、高温高湿下では基準リボンよりも基材と染料層との接着性は高かった。
比較例X1は、接着層に三次元架橋したポリビニルピロリドン樹脂を全く含まないもので、耐熱接着性1において、高温高湿下での染料層と基材との接着性が低下していることが判明した。比較例X2は、接着層にポリビニルピロリドン樹脂の三次元架橋された部分が接着層全固形分に対して2%の割合で含有しているが、高温高湿下での染料層と基材との接着性が低下していることが判明した。さらに、比較例X3は、接着層にポリビニルピロリドン樹脂の三次元架橋された部分が接着層全固形分に対して20%の割合で含有しているが、接着層の塗工量が乾燥状態で0.35g/mであり、その塗工量が多すぎ、染料層塗工時に接着層と染料層とが混ざり合いやすくなったためと思われる熱転写時に受容層が染料層側に取られやすくなったことを示している。
本発明の第2の態様
熱転写シートの調製
実施例Y1
基材して、厚さ6μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ダイヤホイルK203E)の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Aをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、下記組成の染料層組成液(i)をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/mになるように塗布、乾燥して染料層を形成し、実施例Y1の熱転写シートを作製する。尚、上記基材の他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層組成液aをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/mになるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
<接着層組成液A>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 5部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
<染料層組成液(i)>
C.I.ソルベントブルー22 5.5部
ポリビニルアセタール樹脂 3.0部
(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 22.5部
トルエン 68.2部
<耐熱滑性層組成液a>
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
実施例Y2
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、上記組成の接着層組成液Aをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.05g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y2の熱転写シートを作製した。
実施例Y3
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Bをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y3の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液B>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 5部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.8部
メチルエチルケトン 47.1部
イソプロピルアルコール 47.1部
実施例Y4
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Cをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y4の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液C>
ポリビニルピロリドン樹脂(ルビスコールK80、
BASFジャパン(株)製) 5部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
実施例Y5
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Dをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y5の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液D>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
実施例Y6
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Eをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y6の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液E>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.8部
メチルエチルケトン 47.1部
イソプロピルアルコール 47.1部
実施例Y7
基材として、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ダイヤホイルK880)にコロナ照射処理し、その基材のコロナ照射処理面に、実施例Y5で使用した接着層組成液Dをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y7の熱転写シートを作製した。尚、上記基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。
実施例Y8
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Fをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y8の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液F>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 3部
ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合樹脂(I−335、ISP(株)製) 2部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
実施例Y9
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Gをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y9の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液G>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シラノール基含有レジン(APZ−6633、日本ユニカー(株)製) 0.4部
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 46.3部
イソプロピルアルコール 46.3部
トルエン 1.6部
実施例Y10
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Hをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y10の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液H>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シランカップリング剤(A−187、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
実施例Y11
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Iをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y11の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液I>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シランカップリング剤(A−1100、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
実施例Y12
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Jをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y12の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液J>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シランカップリング剤(A−174、日本ユニカー(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 47.3部
イソプロピルアルコール 47.3部
実施例Y13
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Kをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、実施例Y13の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液K>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
シランカップリング剤(A−1100、日本ユニカー(株)製) 0.4部
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 46.3部
イソプロピルアルコール 46.3部
トルエン 1.6部
実施例Y14
接着層組成液Aをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.1g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した以外は、実施例Y1と同様にして、実施例Y14の熱転写シートを作製した。
比較例Y1
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に接着層組成液を塗工せず、実施例Y1と同様の染料層を直接形成し、比較例Y1の熱転写シートを作製した。
比較例Y2
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Lをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、比較例Y2の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液L>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 5部
メチルエチルケトン 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
比較例Y3
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Mをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、比較例Y3の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液M>
ポリビニルピロリドン樹脂(ルビスコールK80、
BASFジャパン(株)製) 5部
メチルエチルケトン 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
比較例Y4
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Nをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、比較例Y4の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液N>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 5部
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 46.5部
イソプロピルアルコール 46.5部
トルエン 1.6部
比較例Y5
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Oをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、比較例Y5の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液O>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
メチルエチルケトン 47.5部
イソプロピルアルコール 47.5部
比較例Y6
実施例Y7と同条件のコロナ照射済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、比較例Y5と同様の接着層組成液Oをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、比較例Y6の熱転写シートを作製した。
比較例Y7
実施例Y1と同条件の易接着処理済みPETフィルムの基材を用い、かつその基材の他方の面に、実施例Y1と同様の耐熱滑性層を予め形成しておいた。その基材の易接着処理面に、下記組成の接着層組成液Pをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.2g/mになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。さらに、その接着層の上に、実施例Y1と同様に染料層を形成し、比較例Y7の熱転写シートを作製した。
<接着層組成液P>
ポリビニルピロリドン樹脂(K−90、ISP(株)製) 2.5部
ポリビニルピロリドン部分架橋体(ViviPrint540P、ISP(株)製) 2.5部
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製) 0.4部
メチルエチルケトン 46.5部
イソプロピルアルコール 46.5部
トルエン 1.6部
評価試験Y
上記に作製した各実施例Y及び比較例Yの熱転写シートを用いて、転写濃度評価、印画適性の各評価を以下に示す方法で行なった。
(転写濃度評価)
以下の条件にて、印画を行ない、得られた印画物の最高濃度を測定した。
実施例Y1〜13及び比較例Y1〜7で作製した熱転写シートと下記組成の受像シートを、キャノン(株)製カードフォトプリンターCP−200を用いて印画し、マクベス濃度計RD−918(サカタインクス(株)製)にて、印画部の最高濃度(シアン)を測定した。尚、熱転写シートは純正メディアのシアンパネル部に切り貼りし、シアンのベタ(階調値255/255:濃度マックス)の印画パターンで印画した。印画は30℃50%環境下で行った。
受像シートは厚さ200μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(東レ(株)製、ルミラー)を用い、この基材上に下記の受像層形成用インキ組成物Aをワイヤーバーコートにて乾燥後の厚さが5μmになるように塗布し、受像シートとした。
<受像層形成用インキ組成物A>
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)製) 18部
OH変性シリコーン(X−62−1421B、信越化学工業(株)製) 0.2部
ポリエーテル変性シリコーン(FZ−2101、日本ユニカー(株)製) 0.2部
キシレンジイソシアネート(タケネートA−14、
三井武田ケミカル(株)製) 0.1部
スズ系触媒(STANN BL、三共有機合成(株)製) 0.02部
メチルエチルケトン 40.74部
トルエン 40.74部
<転写濃度評価基準>
◎:接着層を挟んでいないリボン(比較例Y1))と最高濃度を比較して、濃度が110%以上
○:接着層を挟んでいないリボン(比較例Y1))と最高濃度を比較して、濃度が105%以上110%未満
(印画適性)
以下の条件にて、印画を行ない、印画適性を評価した。
転写濃度評価の際と同様の熱転写シート、受像シートを用い、熱転写シートは純正メディアのそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンパネル部に切り貼りし、ブラックのベタ(階調値255/255:濃度マックス)の印画パターンで印画した。尚、40℃90%環境下に2週間保管した熱転写シート、受像シートを用い、30℃50%環境下、40℃90%環境下の2環境にて印画を行った。
<印画適性評価基準>
○:イエロー、マゼンタ、シアンパネル部に切り貼りした熱転写シートのすべてにおいて異常転写、転写ムラ、転写抜けなどの印画不良がない。
△○:切り貼りした3枚の熱転写シートのうち1枚(シアンパネル部に切り貼りした熱転写シート)において異常転写、転写ムラ、転写抜けなどの印画不良がみられる。
△:切り貼りした3枚の熱転写シートのうち2枚(マゼンタパネル部とシアンパネル部に切り貼りした熱転写シート)において異常転写、転写ムラ、転写抜けなどの印画不良がみられる。
×:切り貼りした3枚の熱転写シートのうちに全てにおいて異常転写、転写ムラ、転写抜けなどの印画不良がみられる。
上記の実施例Y及び比較例Yの各評価結果を、下記の表3に示す。
Figure 0004044927
上記の結果より、接着層にポリビニルピロリドン樹脂とシラン、シラノール系材料、又はポリビニルピロリドン樹脂とポリビニルピロリドン樹脂の変性体とシラン、シラノール系材料を含有している実施例は、ポリビニルピロリドン樹脂又はポリビニルピロリドン樹脂とポリビニルピロリドン樹脂の変性体を併用している比較例と比べて、印画における高い転写濃度を維持したまま高湿下における印画適性も良好である。よって、本発明の熱転写シートは、熱転写の際の高い転写濃度を維持しつつ、高湿印画時の印画適性に優れている。
本発明における熱転写シートの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明における熱転写シートの別の実施形態を示す概略断面図である。

Claims (7)

  1. 基材と、耐熱滑性層と、接着層と、染料層とを備えてなる熱転写シートであって、
    前記基材の一方の面に前記耐熱滑性層が形成されてなり、
    前記基材の他方の面に前記接着層と、前記染料層とがこれらの順で形成されてなり、
    前記接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂が三次元架橋したものを含んでなる、熱転写シート。
  2. 前記ポリビニルピロリドン樹脂における三次元架橋の割合が、5〜50%である、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記接着層を形成する成分の塗工量が、前記接着層の乾燥時において0.01〜0.3g/mである、請求項1または2に記載する熱転写シート。
  4. 基材と、耐熱滑性層と、接着層と、染料層とを備えてなる熱転写シートであって、
    前記基材の一方の面に前記耐熱滑性層が形成されてなり、
    前記基材の他方の面に前記接着層と、前記染料層とがこれらの順で形成されてなり、
    前記接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂と、シラノール基を有する樹脂、シラノール基を有するオリゴマー、およびシランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物とを含んでなる、熱転写シート。
  5. 前記接着層が、ポリビニルピロリドン樹脂の変性体をさらに含んでなる、請求項4に記載の熱転写シート。
  6. 前記シラノール基を有する樹脂、前記シラノール基を有するオリゴマー、および前記シランカップリング剤から選択される一種または二種以上の混合物が、前記接着層を形成する成分の全固形分に対して1重量%〜30重量%で添加されてなる、請求項4または5に記載する熱転写シート。
  7. 前記接着層を形成する成分の塗工量が、前記接着層の乾燥時において0.01〜0.3g/mである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱転写シート。
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