JP4025395B2 - 新規ペクチン酸リアーゼ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規ペクチン酸リアーゼ及びその遺伝子に関し、さらに詳細には洗浄剤、食品加工剤、繊維処理剤等として有用なペクチン酸リアーゼ及びその遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペクチンは、高等植物細胞壁の主要成分の一つで、細胞壁間の接着固定に関与しているといわれる。食品工業では古くから、果汁の清澄化にペクチン質分解酵素を用いており、搾汁率の向上、柑橘ジュースパルプからの可溶性固形分の回収、野菜単細胞食品の製造、みかん内果皮の剥皮などに広く用いられてきた。
【0003】
ペクチン質分解酵素の基質はプロトペクチン、ペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸などに分けられるが、いずれもD−ガラクツロン酸がα−1,4結合したポリガラツクロン酸を基本骨格としている。プロトペクチンは水不溶性の重合度1,000〜2,000のポリガラクツロン酸単位からなり、50〜80%のメトキシル基を有している。一方、ペクチンとペクチニン酸は水溶性で、ポリガラクツロン酸がメトキシル化されたものであり、後者の場合、そのメトキシル基が少量のものを言う。ペクチン酸はメトキシル基を含まないポリガラクツロン酸そのものである。これらの基質に対して作用する酵素は大きく分類すると、4種類存在する。すなわち(1)ペクチンのメチルエステルを加水分解するペクチンメチルエステラーゼ、(2)ペクチンとペクチン酸のα−1,4結合を加水分解するエンド型とエキソ型のポリガラクツロナーゼ、(3)ペクチンとペクチン酸に対しβ−脱離反応でα−1,4結合を切断し、基質の非還元末端にC4−C5不飽和結合を形成するエンド型とエキソ型のペクチンリアーゼとペクチン酸リアーゼ、そして(4)オリゴガラクツロン酸を主な基質とするオリゴガラクツロナーゼである(伊崎,バイオサイエンスとインダストリー,50, 315-321, 1992)。この他、プロトペクチンに対して作用するプロトペクチナーゼも知られるようになってきている(Sakai & Okushima, Agric. Biol. Chem.,42, 2427-2429, 1978;Sakai & Okushima, Agric. Biol. Chem., 46, 667-676, 1982;Sakai & Sakamoto, Agric. Biol. Chem., 54, 879-889, 1990)。この酵素はポリガラクツロナーゼあるいはペクチン酸リアーゼ活性を有するA−タイプと、セルロースとペクチン質を結び付けている介在多糖のアラビナンのα−1,5結合性ガラクタンのα−1,4結合を加水分解するB−タイプのプロトペクチナーゼに分類されるという(坂井と阪本,繊維工学,45, 19-32, 1992)。
【0004】
ペクチン酸リアーゼ(EC 4.2.2.2)は、1961年、バチルス ポリミキサ(Bacillus polymyxa)の培養液に初めて見い出されたもので、反応にカルシウムイオンを必要としている(Nagel & Vaughn, Arch. Biochem. Biophys., 94, 328-332, 1961)。一般にPseudomonas属、Erwinia属、Bacillus属などの細菌由来のペクチン酸リアーゼの最適反応pHは8〜9.5付近にある(Rombouts & Pilnik, Eco. Microbiol., 5, 227-282, 1980)。さらに、微生物由来のいくつかのペクチン酸リアーゼは最適pH10〜10.5であることが知られている。例えばFusarium oxysporum f. sp. ciceriの生産する2種の酵素(いずれも分子量はゲル濾過法で37kDa)(Arte's & Tena, Physiol. Mol. Plant Pathol., 37, 107-124, 1990)とBacillus sp. YA-14の酵素(ゲル濾過法とソディウムドデシルサルフェイト(SDS)−ポリアクリルアミド電気泳動法で分子量が43kDa)(Han et al., Kor. J. Appl. Microbiol. Biotechnol., 20, 655-662, 1992)は最適pHが10〜10.5に存在するが、これらの酵素の場合、pH7〜8付近にも最適pHのピークが存在する。一方、Fusarium solani f. sp. pisiの酵素(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法で分子量が29kDa;PelB)の最適pHは10付近であることが知られている(Guo et al., J. Bacteriol., 177, 7070-7077, 1995)、また、放線菌のAmycolataのある種の株が生産する酵素(SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で31kDa,質量分析で30kDa)の最適pHは10.25であるという(Bruhlmann, Appl. Environ. Microbiol., 61, 3580-3585, 1995)。
【0005】
遺伝子学的、生化学的に充分研究されているBacillus属細菌のペクチン酸リアーゼについては、比較的報告例が少ない。Nagel とVaughnが最適pHが8.9〜9.4のBacillus polymyxaの培養液にペクチン酸リアーゼを発見して以来(Arch. Biochem. Biophys., 93, 344-352, 1961)、Bacillus pumilusで最適pHが8.0〜8.5の酵素(ゲル濾過法で約20kDa)(Dave & Vaughn, J. Bacteriol., 108, 166-174, 1971)、Bacillus subtilisで最適pHが8.5の酵素(ゲル濾過法で分子量が31〜35kDa)(Chesson & Codner, J. Appl. Bacteriol., 44, 347-364, 1978)、好熱性Bacillus属細菌の一種が生産する最適pHが8.5〜9.3の酵素(分子量は不明)(Karbassi & Luh, J. Food Sci., 44, 1156-1161, 1979)が知られている。Bacillus subtilis SO 113 株の生産する酵素は分子量がSDS−ポリアクリルアミド電気泳動法で42kDaであり、最適pHが8.4であるがさらにpH10以上にもう一つの活性ピークが存在する(Nasser et al., Biochimie, 72, 689-695, 1990)。最近、Sakamoto ら(Biosci. Biotech. Biochem., 58, 353-358, 1994)は、プロトペクチナーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼをBacillus subtilisIFO3134から精製しているが(protopectinase-N)、最適pHが8.0で、分子量がSDS−ポリアクリルアミド電気泳動法で43kDa、ゲル濾過法で32kDaであるという。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来のペクチン酸リアーゼは、生産性が低く、高価であるため、工業的利用ができない、酵素活性も充分でない等の問題があり、広く産業界で応用されていない。
従って本発明の目的は、ペクチン質を含む植物性の細胞壁あるいはその断片を含む物質中からペクチン自体を分解する作用に優れ、かつ大量生産可能なペクチン酸リアーゼ及びその遺伝子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、ペクチン酸リアーゼを産生する微生物を自然界から探索し、遺伝子工学技術を利用してその遺伝子、その特性及びその大量生産技術を確立すべく種々検討してきたところ、土壌から分離したバチルス属細菌が産生する新規な酵素学的性質を有するペクチン酸リアーゼを見出し、さらにその遺伝子のクローニング、遺伝子組換えによる生産技術の確立、その変異体の調製及びそれら特性の解明に成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペクチン酸リアーゼ又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記ペクチン酸リアーゼの酵素活性を保持するペクチン酸リアーゼを提供するものである。
また、本発明は、上記のペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター及び該組換えベクターを含む形質転換体を提供するものである。
また、本発明は上記の形質転換体を培養し、培養物からペクチン酸リアーゼを採取することを特徴とする上記のペクチン酸リアーゼの製造法を提供するものである。
また、本発明は下記の酵素学的性質を有するアルカリペクチン酸リアーゼを提供するものである。
(1)作用
ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−脱離反応によってエンド的にα−1,4結合を切断すると共に非 還元末端のC4−C5位に二重結合を付与し不飽和ジガラクツロニド、あるいは不飽和オリゴガラクツロニドを生成する。
(2)基質特異性
プロトペクチン、ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペクチンに作用する。
(3)最適反応pH
pH10.3〜10.7(50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸を基質とした場合)
(4)安定pH
pH5〜11.5(30℃、40mMブリットン・ロビンソン広域緩衝液中60分間処理)
(5)分子量
約20〜21kDa(超遠心平衡沈降法;SDSポリアクリルアミド電気泳動法では約26kDa)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のペクチン酸リアーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列の1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する。欠失、置換若しくは付加(以下、変異ということがある)は、ペクチン酸リアーゼ活性を失なわない限り特に制限されないが、配列番号1における107位リジン、129位リジン及び132位アルギニンを保存するような変異であるのが望ましい。また、変異の程度は特に制限されないが、上記107位、129位及び132位を保存する限り、配列番号1中のアミノ酸番号36〜132のうち55.7%以上の相同性を有しているのが好ましく、70%以上の相同性を有しているのがより好ましく、80%以上の相同性を有しているのが特に好ましい。また、配列番号1のアミノ酸配列におけるN末端には、1〜数個のアミノ酸が付加していてもよい。該N末端に付加していてもよいアミノ酸としては、Arg、Ala、Gly−Arg、Ala−Glu−Ala、Leu−Ala−Glu−Ala、Gln−Ala等が挙げられる。
【0010】
本発明のペクチン酸リアーゼは、前記の如く土壌から分離したバチルス属に属する微生物(例えばバチルス エスピー KSM−P15株やそれらの変異株)を培養し、得られた培養物から採取することによって製造できるが、該ペクチン酸リアーゼを産生する微生物から、該ペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子を取得し、これを用いて組換えベクターを作製し、該組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、培養物からペクチン酸リアーゼを採取することによっても得られる。
【0011】
本発明ペクチン酸リアーゼ遺伝子は、例えばKSM−P15株からクローニングすることができる。該クローニング手段としては、既知の手段、例えば(1)適当な制限酵素による染色体DNAの全分解又は部分分解で得られたDNA断片を適当なベクターに組み込み、大腸菌や枯草菌などに導入し発現させるショットガン法、(2)適当なプライマーを合成してPCR法で目的とする遺伝子をクローニングする方法等が挙げられる。
【0012】
本発明ペクチン酸リアーゼ遺伝子の塩基配列の一例を配列番号1に示す。該塩基配列は、配列番号1に限定されるものではなく、配列番号1のアミノ酸配列又はその前記変異体をコードするものであればよいが、配列番号1で示される塩基配列、又は該塩基配列の1若しくは2以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するものが好ましい。ここで欠失、置換若しくは付加は、前記アミノ酸配列の変異の範囲内であることが好ましい。
【0013】
前記ペクチン酸リアーゼ遺伝子を含む組換えベクターを作製するには、目的とする宿主内で遺伝子を発現するのに適した任意のベクターにペクチン酸リアーゼ遺伝子を組み込めばよい。かかるベクターとしては、大腸菌を宿主とする場合、pUC18、pBR322、pUC19等が挙げられ、枯草菌を宿主とする場合、pUB110等が挙げられる。
【0014】
かくして得られた組換えベクターを用いて宿主を形質転換するには、常法、例えばプロトプラスト法、コンピテントセル法等により行われる。宿主としては、特に制限されないが、微生物が好ましく、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルスブレビス(Bacillus brevis)、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス レンタス(Bacillus lentus)、バチルスアルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス ロータス(Bacillus lautus)、バチルス ファーマス(Bacillus firmus)、ストレプトマイセス ムリナス(Streptomyces murinus)等のグラム陽性菌;大腸菌(Escherichia coli)等のグラム陰性菌;サッカロマイセス属酵母、アスペルギルス属カビ等の真菌等が挙げられる。
【0015】
得られた形質転換体を培養して本発明ペクチン酸リアーゼを採取するには、例えば前記のKSM−P15株を用いた培養、採取、精製の手段に準じればよい。ここで、KSM−P15株又は上記の形質転換体を用いて本発明ペクチン酸リアーゼを生産するには、菌株を同化性の炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従い培養すれば良い。炭素源、窒素源は特に制限はなく、資化しうる炭素源、例えばペクチン質、ガラクトース、グルコース、蔗糖、でんぷん また、クエン酸、酢酸等があげられる。窒素源としては、無機のアンモニウム塩や硝酸塩、肉エキス、魚肉エキス、コーンスティープリカー、ペプトン、大豆粉、綿実油粕、酵母エキス、尿素等が利用できる。その他、リン酸塩、Mg2+、Ca2+、Mn2+、 Na+ 、K+ 等の金属塩など有機、無機微量栄養源を培地中に適宜添加できる。培地のpHの調整には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を用い、本酵素の最適生産pHに調整することが望ましい。
【0016】
かくして得られた培養液中からのペクチン酸リアーゼの採取及び精製は、一般の酵素の採取及び精製方法に準じて行うことができる。即ち、培養液から遠心分離又はろ過することで菌体を除き、培養上清液から常法の精製手段、例えば塩析法、溶媒沈殿法、等電点沈殿法によってタンパク質を沈殿させたり、限外ろ過により濃縮させて目的酵素を得る。塩析法の例として硫安(30〜90%飽和画分)、溶媒沈殿法の例としてエタノール(50%以上)中で酵素を沈殿させた後、遠心分離、脱塩処理し、凍結乾燥粉末を得ることができる。ここで脱塩方法としては、透析あるいはセファデックスG−10等を用いるゲルろ過の方法が用いられる。このようにして得られる酵素液は、そのまま用いることもできるがさらに公知の方法により精製、結晶化することもできる。
【0017】
かくして得られる本発明のペクチン酸リアーゼは、前記のようなアミノ酸配列を有し、かつペクチン酸リアーゼ活性を有する限り特に制限されないが、最適反応pHが10.3〜10.7であり、またプロトペクチンに対しても強く作用するという特性を有する。
【0018】
本発明のペクチン酸リアーゼのより詳細な酵素学的性質は、以下の通りである。
【0019】
(1)作用 ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−脱離反応によってエンド的にα−1,4結合を切断すると共に非還元末端のC4−C5位に二重結合を付与し不飽和ジガラクツロニド、あるいは不飽和オリゴガラクツロニドを生成する。
(2)基質特異性 プロトペクチン、ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペクチンに作用する。
(3)最適反応pH pH10.3〜10.7(50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液)
(4)安定pH pH5〜11.5(30℃、60分間処理)
(5)最適反応温度 45〜55℃(pH10.5、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液)
(6)耐熱性 約50℃(pH7.5、50mMトリス−塩酸緩衝液)
(7)分子量 約20.3±1kDa(超遠心平衡沈降法;SDSポリアクリルアミド電気泳動法では約26kDa)
(8)等電点 pH9.5〜10.5(等電点電気泳動法)
(9)阻害剤 エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)等のキレート剤によって阻害される。
(10)金属イオン 反応にCa2+を必要とする。
【0020】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0021】
実施例1:ペクチン酸リアーゼ生産菌のスクリーニング
日本各地の土壌を滅菌水に懸濁したもの、あるいは花王(株)の微生物保存室に保有の菌株を下記の組成を有する寒天平板培地に塗布し、30℃で3〜5日間培養を行った。菌が生育した後、1%(w/v)CTAB溶液(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)を流し込み10分間靜置した。ポリガラクツロン酸の分解に起因してコロニーの周辺に溶解斑を形成した菌を選抜してペクチン酸リアーゼ生産能を検定した。その結果、ペクチン酸リアーゼ生産菌としてバチルス
エスピー KSM−P15株を得た。
【0022】
【表1】
【0023】
KSM−P15株の菌学的性質を以下に示す。
【0024】
【0025】
B 生理学的性質
(a)硝酸塩の還元(培地3) 陽性
(b)脱窒反応 (培地3) 陰性
(c)MRテスト(培地4) 陽性(pH5.5)
(d)VPテスト(培地4) 陽性
(e)インドール生成(培地5) 陰性
(f)硫化水素生成(培地6) 陰性
(g)デンプン加水分解(培地7)陽性
(h)クエン酸の利用(培地8) 陽性
(i)無機窒素の利用(培地9) 硝酸塩、アンモニウム塩を利用しない。
(j)色素の生成(培地10) 無し
(k)ウレアーゼ(培地11) 陰性
(l)オキシダーゼ(培地12) 陽性
(m)生育の温度範囲(培地13)20℃〜45℃
(n)生育のpH範囲(培地14) pH7〜10
(o)生育における酸素の影響 (培地15) 嫌気条件下で生育する。
(p)OFテスト (培地16) 生育するが色調の変化は認められない。
(q)グルコースからのガス産生(培地17) 無し
(r)塩化ナトリウムに対する耐性(培地18) 3%塩化ナトリウム含有培地上で生育できない。
(s)糖からの酸生成(培地19) 下表に結果を示す。
【0026】
【表2】
【0027】
【0028】
以上の菌学的性質について「Berger's Manual of Systematic Bacteriology」(Williams & Wilkins社、1984年)の記載に準じ検討したところ、本菌株はバチルス サーキュランス(Bacillus circulans)に属させることが妥当である。しかし、バチルス サーキュランスは、一般的に非常に多様性に富む菌株であり、本菌株の諸性質は既知のバチルス サーキュランスの諸性質とは完全に一致しない新規な微生物である。そこで、本菌株を工業技術院生命工学研究所にバチルスエスピー (Bacillus sp.)KSM−P15(FERM P−15987)として寄託した。
【0029】
実施例2:KSM−P15株の培養
上述のスクリーニングにより得られたバチルス エスピー KSM−P15株の培養は、坂口フラスコに50mlの液体培地を加えて30℃、2日間振盪培養を行った。培地組成は、3%(w/v)ポリペプトンS、0.5%酵母エキス、1%魚肉エキス、0.15%リン酸2カリウム、0.001%塩化カルシウム、0.5%ペクチン、0.5%炭酸ナトリウムとした。
【0030】
実施例3:KSM−P15株の精製
バチルス エスピー KSM−P15株の培養液を遠心分離(12,000×g、15分)し、その上澄液(1250ml)に硫酸アンモニウムを90%飽和となるように徐々に添加した。5℃で一昼夜放置した後、遠心分離(12,000×g、15分)を行い沈殿物を回収した。これを少量の1mM塩化カルシウムを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、同緩衝液に対して一昼夜透析を行った。得られた透析内液(900ml)のうち100mlずつをあらかじめ1mM塩化カルシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておいたスーパーQトヨパール650M(東ソー社製)カラム(2.5×10cm)へ添着した。平衡化緩衝液にて洗浄溶出される画分に活性が認められ、これを集めた(1100ml)。次にBio Cad 60 HPLCシステム(日本パーセプティブ社製)を用いて0.2mM塩化カルシウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)にて平衡化しておいたスルホプロピルカラムへ上記の非吸着画分を200mlずつ添着した。0から0.2M の塩化ナトリウムを用いた濃度勾配溶出法により、タンパク質を溶出させた。ペクチン酸リアーゼ活性は0.1M 付近の塩化ナトリウム濃度で単一ピークとして溶出され、SDS−PAGEにおいても均一なタンパク質として検出された。上記の操作を繰り返し、精製酵素を得た(以下、ここで得られたペクチン酸リアーゼをBPALということがある)。活性収率は約60%であり、精製倍率は50倍であった。
【0031】
実施例4:KSM−P15株由来ペクチン酸リアーゼの酵素学的性質及びその測定法
(1)標準酵素活性測定法
試験管に0.3mlの0.5M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)、0.3mlの6mM 塩化カルシウム溶液、1.7mlの脱イオン水を加え、30℃で5分間恒温した後、0.1mlの適当に希釈した酵素液(希釈は1mM塩化カルシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液、pH7.5により行った)を加えさらに5分間恒温した。反応は、0.6mlの1%(w/v)ポリガラクツロン酸水溶液(ICN社製:Lot 14482、水酸化ナトリウム溶液にてpH6.8に調整したもの)を添加し開始した。30℃で10分間恒温した後、3mlの50mM 塩酸を加え反応を停止した。生成した不飽和ポリガラクツロン酸量は235nmにおける吸光度を測定し、不飽和ジガラクツロニドの分子吸光係数4600(Hasegawa & Nagel, J. Food Sci., 31, 838-845, 1966)を用いて求めた。なお、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液に3mlの50mM塩酸を加え、その後に0.1mlの酵素液を添加したものを用意した。酵素1単位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmol の不飽和ジガラクツロニド相当の不飽和ポリガラクツロニドを生成する量とした。
【0032】
(2)最適反応pH
50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7〜9)、又は50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.5〜11.0)を用いて最適反応pHを調べたところ、本酵素はグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液pH10.5中で最も反応速度が高く、pH10.3〜10.7の範囲内において最高活性の90%以上の活性を示した。さらにpH10.0〜11.0の範囲内において最高活性の70%以上の活性を示した。
【0033】
(3)pH安定性
40mMブリットン・ロビンソン広域緩衝液(pH3〜12)中に1mMの塩化カルシウムを添加した系と無添加の系を用い、酵素液を加えて30℃、1時間恒温した後の残存活性を標準酵素活性測定法にて調べた。その結果、本酵素は、カルシウムの存在の有無に拘らずpH5〜11.5の範囲で極めて安定であった。
【0034】
(4)最適反応温度
50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)中にて10℃〜70℃の各温度で酵素反応を行い、最適反応温度を調べた。その結果、本酵素は、10℃−65℃の広範囲において作用し、その最適反応温度は50〜55℃であった。
【0035】
(5)耐熱性
50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に1mMの塩化カルシウムを添加した系及び無添加系を用意し、酵素を加えて10℃〜70℃の各温度で30分間放置した。その後氷中で急冷し、残存活性を標準酵素活性測定法にて調べた。その結果、本酵素は、50℃まで極めて安定であった。また、カルシウムイオンによる安定化効果は高温側で若干認められた。
【0036】
(6)分子量
a.平衡沈降法による本酵素の分子量は次のように求めた。超遠心機(日立製作所製SCP−70H型、 RAP60型ローター)を用いダブルセクターセルの一方に酵素サンプル(0.2,0.3,0.4及び0.6mg/ml)を0.1ml、もう一方に0.1mlの脱イオン水を注入し、20℃、20000rp m で20−24時間回転させ平衡状態に達した後、UVスキャナ(日立製作所製 ABS−7型)を用いて酵素の分布状態を測定し、データ解析装置(日立製作所製 DA−7型)により分子量を求めた。部分比容値は、0.74を用い、タンパク質濃度を0に外挿し分子量を求めた結果、本酵素の分子量は、20.3±1.0kDaであった。
【0037】
b.SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法(15%ゲル)により、本酵素の分子量は約26kDaと見積られた。尚、標準タンパク質としてバイオラッド社製の分子量マーカー(ホスホリラーゼb(97.4kDa);牛血清アルブミン(66.2kDa);オボアルブミン(45kDa);カルボニックアンヒドラーゼ(31kDa);トリプシンインヒビター(21.5kDa)α−ラクトアルブミン(14.4kDa)を用いた。
【0038】
(7)等電点
pH8−10.5のアンフォライン(ファルマライト,ファルマシア社製)を含む5%ポリアクリルアミドゲルを用いた等電点電気泳動法により、本酵素の等電点はpH10.3付近であった。
【0039】
(8)アミノ末端配列
本酵素をProSorbフィルター(パーキンエルマー社製)にブロッティングし、プロテインシークエンサー(674型,アプライドバイオシステム社製)を用いてアミノ末端配列を20番目のアミノ酸まで決定した結果、APTVVHETIRVPAGQTFDGKであった。
【0040】
(9)プロトペクチンに対する作用
基質として品質管理用作業手袋(40スムス晒指付き・綿、中田久吉商店製)を細かく裁断(1〜2mm四方)した木綿繊維片10mg(1%w/v)を0.6mM塩化カルシウムを含む100mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)中に懸濁し、酵素を添加した後、30℃、60分間、120rpm で反応させた。反応液を遠心分離し上澄液中に遊離したペクチンをカルバゾール硫酸法により定量した(Sakai, Methods Enzymol., 161, 335-350, 1988)。その結果、0.1U の酵素を用いた場合10mgの木綿繊維あたりガラクツロン酸として20〜50μgのペクチン遊離量が認められた。このことは、本酵素が木綿繊維表面のプロトペクチンに対して作用していることを示唆し、さらに上澄液中の235nmにおける吸光度の上昇が認められたことから、本酵素はAタイプに属するプロトペクチナーゼ活性を有していることが判った。さらにWardとFogartyの方法(J. Gen. Microbiol., 73, 439-446, 1972)に従い調製した酸可溶性ペクチン酸を基質として用いた場合、ペクチン酸に対する反応速度と同程度の反応速度で分解した。
【0041】
(10)基質の分解様式
オストワルド粘度計(イワキガラス社製、No.1)に終濃度が50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)、0.6mM塩化カルシウム、0.75%ポリガラクツロン酸水溶液(ICN社製:Lot 14482、水酸化ナトリウム溶液にてpH6.8に調整したもの)となるように調製した反応液を加えて、30℃で恒温した。これに酵素を0.1U添加し、30℃で1時間反応させた。一定時間ごとに粘度を測定しながら、反応液を1mlずつ採取し、0.5Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を0.04ml加えた後、235nmにおける吸光度を測定した。その結果、反応時間に伴い粘度は低下し、初期粘度を100%とした場合、30分後には60%、60分後には40%まで減少した。この時の不飽和ジガラクツロニド相当の不飽和物生成量は、基質の構成ガラクツロン酸量を100%とした場合、60分後で2%程度であったことから、本酵素はエンド型のペクチン酸リアーゼであることが判った。
【0042】
(11)金属イオンの影響
本酵素は、反応にカルシウムイオンを必要とし、そのKm値は0.14mMであった。1mMのEDTAにより処理をした酵素(脱イオン水に対して透析したもの)についてカルシウムイオン以外の金属イオンの影響を調べた結果、マンガン、ストロンチウム、コバルトの各イオンを添加した場合に若干の分解反応が認められたが、いずれもカルシウムイオンの場合の10%以下の反応速度であった。次に1mMのEDTA を含む10mM MOPS緩衝液(pH7.5)にて希釈した酵素液を最終濃度が50mM MOPS緩衝液(pH7.5)、5mMの各金属塩となるように調製した処理液に1/10量添加し、30℃で30分間放置した。処理した酵素液を20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて希釈し、標準酵素活性測定法により残存活性を測定した。本酵素は、上記の処理において各種金属イオンに対し極めて安定であったが、水銀イオン及び亜鉛イオンにより若干阻害された(表3)。
【0043】
【表3】
【0044】
(12)各種化合物の影響
本酵素の活性に及ぼす各種化合物の影響を調べた。まず、標準酵素活性測定法に各種化合物を添加して酵素反応を行ったところ、1mM EDTA、1mMエチレングリコールテトラアセテート(EGTA)、0.01%ニトリロ三酢酸(NTA)、0.1%トリポリリン酸ナトリウムによって完全に阻害された。これは、本酵素がカルシウムイオンを反応に必要とするためにキレーターである上記化合物によってカルシウムイオンが捕捉されることで起きたと考えられた。次に所定濃度の各種化合物を50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)中に添加し、酵素液を加えて30℃、1時間恒温した後に残存活性を標準酵素活性測定法にて調べた。その結果、本酵素は、界面活性剤、キレート剤、他の化合物により阻害されることはなかった(表4)。
【0045】
【表4】
【0046】
実施例5:KSM−P15株由来ペクチン酸リアーゼのC末端配列
280nmの吸光度が2〜3の本酵素を脱塩した後、50μlを150μlの8M 尿素溶液に加え37℃で1時間保持した。この処理液100μlにdigestion buffer(島津製作所)150μl、3.3pmol/μlのリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬)5μlを加えて、37℃で13時間保持した。酵素処理液40μlにpreparation solution 5μlを加え、DITCポリマービーズ・カラム(三菱化学)に注入した後、C末端フラグメント自動分取装置(CTFF−1:島津製作所)によりC末端フラグメントを分取した。このサンプルをProSorbフィルターにブロッティングし、プロティン シークエンサーによりN−末端アミノ酸配列を決定したところ、VVIGAPAADGVHであった。
【0047】
実施例6:ペクチン酸リアーゼ遺伝子のクローニング
(1)P15株染色体DNAの調製
P15株を液体培地(ペクチン0.5%;ポリペプトン3.0%;肉エキス1.0%、酵母エキス(Difco)0.5%;リン酸二カリウム0.15%;塩化カルシウム0.001%、炭酸ナトリウム0.5%(別滅菌))50mlで15時間30℃で振とう培養した培養液を遠心し、菌体を回収した。得られた菌体からSaitoとMiuraの方法(Biochim. Biophys. Acta, 72, 619-629,1963)で染色体DNAを調製した。
【0048】
(2)プライマーの調製
実施例4(8)及び実施例5の結果から、プライマー1及びプライマー2を合成した(図1)。
(3)クローニング
このプライマー1と2を用い、バチルス エスピー KSM−P15の染色体DNA(0.5μg)を鋳型として、PCRの条件を解離94℃(1分間)、アニーリング37℃(1分間)、伸長72℃(1分間)を30サイクル行って増幅を行った。得られた増幅断片をPCR断片精製キット(ベーリンガー・マンハイム社)で精製した後、プラスミドベクターpUC19のSmaI部位に導入してクローン化した。得られたクローン50個の塩基配列を決定したところ、目的とするペクチン酸リアーゼ遺伝子配列の一部が検出され、推定アミノ酸配列も推定できた(図2参照)。
次に、上述のPCR増幅断片の上流と下流の領域を増幅するためにインバースPCR(inverse PCR)を行った。図2中に認められる塩基配列、プライマー3とプライマー4を用いた。KSM−P15株の染色体(1μg)を、あらかじめPstIで消化し、フェノール/クロロホルム抽出して、T4DNAリガーゼを用いて分子内結合(環状化DNA結合)させて鋳型とした。PCRは、解離94℃(1分)、アニーリング50℃(1分)、伸長68℃(3分)を30サイクルの条件で、Long Template System PCRキット(TaKaRa社)を用いて行った。その結果約2.0kbp の増幅断片が検出され、ダイレクトシークエンスによってこのDNA断片の配列を行ったところ、N−末端アミノ酸配列から終止コドン(TAA)の前のアミノ酸までの197アミノ酸からなるペクチン酸リアーゼのアミノ酸配列及び塩基配列(配列番号1)を決定した。KSM−P15株の生産するペクチン酸リアーゼ(分泌型成熟酵素)の分子量は、この配列から20924Da(約21kDa)と推定される。
【0049】
実施例7
まず、KSM−P15株の産生するペクチン酸リアーゼのN−末端アミノ酸Alaの直上流に存在する、推定シグナルペクチナーゼ認識配列Ala−Glu−Alaと、用いた宿主のベクター由来のシグナル配列が連結するように上流側のプライマー(プライマー5,図3参照)をデザインした。下流側のプライマー(プライマー6,図3参照)は、ペクチン酸リアーゼ遺伝子の終止コドン(TAA)から372bp下流に位置する26bpからなる配列をデザインした。使用したベクターpHSP64(Sumitomo et al., Biosci. Biotech. Biochem., 56, 872-877, 1992)のシグナル配列コード部分の3′側に存在するSalI部位とその11bp下流に存在するSmaI部位間に、PCR増幅DNA断片を挿入することとした。
【0050】
すなわち、プライマー5と6を用い、KSM−P15株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、約1kbpDNA断片が増幅された。これをSalIで消化しておき、SalIとSmaIで切断されたpHSP64とリガーゼで連結した(図4を参照)。
この組換えプラスミドで大腸菌HB101を形質転換させ、実施例1の寒天平板培地で生育させたところ、溶解斑を集落の囲りに形成した。得られた本発明の遺伝子をコードする組換えプラスミドをpHSP−A156と命名した。
【0051】
次にpHSP−A156で枯草菌ISW1214を形質転換し、以下に示した液体培地中で30℃で3日間培養したところ菌体外に著量のペクチン酸リアーゼを生産した。
【0052】
【表5】
【0053】
実施例8
実施例7で得られたペクチン酸リアーゼの粗酵素液を実施例3に従って完全精製した(以下、ここで得られたペクチン酸リアーゼをrPALということがある)。実施例4と同じ手法でこの酵素のN−末端アミノ酸配列を決定したところ、APTVVHETIRVPAGQTFDGKを含む配列が検出された。
【0054】
実施例9
実施例3と8で得られたペクチン酸リアーゼのpH−活性曲線を調べた。その結果を図5に示したがポリガラクツロン酸を基質とした時、両酵素のpH−活性曲線は、ほぼ完全に一致し、最適反応pHは両方ともに、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中でpH10.3〜10.7であった。
【0055】
実施例10
実施例3と8で得られたペクチン酸リアーゼをSDS−ポリアクリルアミド電気泳動法(15%アクリルアミド)により、分子量を測定したところ、いずれの酵素の分子量も24〜27kDaの範囲にあることが判明した(図6)。用いた標準タンパク(バイオラッド社製)はホスホリラーゼb(97.4kDa)、牛血清アルブミン(66.2kDa)、オボアルブミン(45kDa)、カルボニックアンヒドラーゼ(31kDa)、トリプシンインヒビター(21.5kDa)、α−ラクトアルブミン(14.4kDa)である。又、超遠心機(日立SCP−70H型,RAP60型ロータを使用)を用い、20℃で20〜24時間、20,000rpm で平衡化させた後、偏比容0.74(g/ml)として両酵素の分子量を算出したところ20.3±1.0kDaとなり、推定アミノ酸配列から計算した分子量(20924Da)とほぼ一致した。
この様にSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(約25kDa)と平衡沈降法(約20.3kDa)や推定アミノ酸配列から計算される分子量(20924Da)には解離が認められる。このような測定法による分子量の解離は他のペクチン酸リアーゼでもしばしば観察されている。Amycolataの一株が生産する酵素の場合、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法では31kDaであるが、ゲル濾過法は19kDaである(Bruhlmann, Appl. Environ. Microbiol., 61, 3580-3585, 1995)。Erwinia chrysanthemiのPelBとPelEと称される酵素の場合、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動法では44kDaであるが、遺伝子配列から推定される分子量はいずれも約38kDaである(Keenan & Tamaki, J. Bacteriol., 168, 595-606, 1986)。同様な報告は、Erwinia chrysanthemiの酸性ペクチン酸リアーゼ(PLa)(Favey et al., J. Gen. Microbiol, 138, 499-508, 1992)、Aspergillus nigerの酵素(PLA)(Kusters-van Someren et al., Curr. Genet., 20, 293-299, 1991)やBacillus subtilisの酵素(protopectinase-N)(Sakamoto et al., Biosci. Biotech. Biochem., 58, 353-358, 1994)などでも知られている。
【0056】
実施例11
基質として品質管理用作業手袋(40スムス晒指付き・綿,中田久吉商店製)を細かく裁断した木綿繊維片10mgを0.6mM CaCl2を含む0.1M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.5)中に懸濁し、実施例3及び8で得られたペクチン酸リアーゼを添加後、30℃、1時間、120rpm で反応させた。反応終了液を遠心分離し、上澄液中に遊離したペクチンをカルバゾール硫酸法(Sakai, Methods Enzymol., 161, 335-350, 1988)で定量した。その結果、0.1Uの酵素を用いた場合、いずれの酵素でも1gの木綿繊維あたりガラクツロン酸として2〜5mgのペクチン遊離量が認められた。又、市販木綿糸40mg(カネボウ社製カタン糸30番手)に1.9mlの50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加え、実施例3及び8で得られたペクチン酸リアーゼを0.1ml(0.24U)添加し、30℃、1時間反応させた。その結果、木綿糸1gあたり0.5〜1.5mgのペクチン遊離量が認められた。このことは両酵素が木綿繊維表面のプロトペクチンに作用していることを意味しており、さらに上澄液の235nmにおける吸光度も上昇していることが判明したので、A−タイプのプロトペクチナーゼ活性を有していると判定される。
さらに、WardとFogartyの方法(J. Gen. Microbiol., 73, 439-446, 1972)に準じて調製した酸可溶性ペクチン酸を基質として用いた場合、実施例3及び8のペクチン酸リアーゼはペクチン酸と同じ速度で分解した。
【0057】
実施例12
実施例3及び8で得られたペクチン酸リアーゼの木綿繊維(スムス織木綿手袋)からのペクチン遊離活性のpH依存性を次の様にして検定した。すなわち、500μlの80mMブリットン・ロビンソン緩衝液(pH4〜pH13)、60μlの10mM CaCl2、標準測定した(pH10.5,50mMグリシン−水酸化ナトリウム)2U ペクチン酸リアーゼ/mlの溶液100μl、10mg木綿繊維、340μlの脱イオン水の反応系で30℃、1時間反応させた。各pHにおけるペクチン遊離量をカルバゾール硫酸法で定量し、最大活性値を与えるpHのペクチン量を100として、図7に表示した。図からもわかるように、両酵素共に、プロトペクチナーゼ活性の最適反応pHは40mMブリットン・ロビンソン緩衝液中で、pH10近傍であり、それぞれの相対活性曲線はほぼ完全に一致している。同様の条件下で0.1M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中での最大活性は、いずれもpH9.5近傍に観察された(図8)。これらの結果から、本発明の遺伝子産物であるペクチン酸リアーゼと天然型ペクチン酸リアーゼはアルカリペクチン酸リアーゼ活性と同時にアルカリプロトペクチナーゼ活性を有することがわかる。
【0058】
実施例13
実施例3と8のペクチン酸リアーゼを用いて、特異的阻害剤の影響を調べた。すなわち、50mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)中で、酵素標品を各阻害剤(適当濃度)で30℃、1時間処理した後、残存活性を常法により測定した。その結果、両酵素は2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(1mM)で約75〜80%、N−ブロモスクシミド(0.1mM)で30〜40%の阻害を受けた。一方、p−クロロマーキューリ安息香酸(0.5mM)、N−エチルマレイミド(1mM)、ヨード酢酸(1mM)、ジエチルピロカーボネート(1mM)、5,5′−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(1mM)、ジチオスレイトール(1mM)、グリオキサール(1mM)では若干阻害されるか、又は全く影響を受けなかった。
【0059】
実施例14
実施例3と8のペクチン酸リアーゼに及ぼすH2O2の影響を調べた。両酵素の溶液250μl、H2O2(0〜30%)50μl、50mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)250μlを混合し、30℃で30分間保温した。その後0.5mg/mlのカタラーゼ(ベーリンガー社製)100μlを加えて、5分間保持しH2O2を分解除去した。この処理液を常法により、残存活性を測定したところ、両酵素とも、少なくとも3%以上のH2O2が存在しても全く失活しなかった。
【0060】
実施例15
本発明のペクチン酸リアーゼと既知のペクチン酸リアーゼとのアミノ酸配列の相同性について検討した。
配列番号1中、アミノ酸番号36〜132の間で、他の酵素との相同性を検討すると、図9に示すように、カビのFusariumに由来するPelA(Crawford & Kolattukudy, Arch. Biochem. Biophys., 258, 196-205, 1987、Gonzalez-Candelas & Kolattukudy, J. Bacterirol., 174, 6343-6349, 1992)、PelB(Guo et al., J. Bacteriol., 177, 7070-7077, 1995)、PelC(Guo et al., Arch. Biochem. Biophys., 323, 352-360, 1995)、PelD(Guo et al., Arch. Biochem. Biophys., 332, 305-312, 1996)で、それぞれ54.6%、52.6%、50.5%、54.6%の相同性があるにすぎない。従って、本発明酵素のアミノ酸配列とアミノ酸番号36から132の間で適切にアライメントした時、これら以上の相同性がある酵素は、本発明に含まれると解すべきである。すなわち、本発明で用いる原料DNAとそれから推定されるアミノ酸配列の相同性は図10に示したアミノ酸配列(配列番号1におけるアミノ酸番号36〜132)に対して55.7%以上が好ましい。
【0061】
この中で最も相同性の高いPelAと本発明ペクチン酸リアーゼのアミノ酸配列を通常の相同性を調べる方法でマッチングすると、相同性はさらに低くなる。すなわち、アミノ酸番号11のValから132のArgまでの本発明の酵素のアミノ酸配列に対し、PelAは45.5%の相同性しかなく、全アミノ酸配列(アミノ酸番号1のAlaから197のTyr)と比較すると33.0%の相同性まで低下する(図11)。
【0062】
実施例16
図10に示したアミノ酸残基中、活性発現と立体構造維持に必須なアミノ酸残基を特定することによって、本発明酵素の特徴をさらに明確にすることが可能である。従来、Yoderら(Science, 260, 1503-1307, 1993)がErwinia chrysanthemiのPelCアイソザイムの立体構造から類推しているように、特定のアミノ酸残基(Asp−131,Glu−166とAsp−170)が活性発現に必須なCa2+イオンの結合部位である。Bacillus subtilisのPLではそのアミノ酸残基がAsp−210、Asp−244とAsp−247と想定されている(Nasser at al., EEBS Lett., 335, 319-326, 1993)その後のPLの立体構造解析から推定されるCa2+結合部位はAsp−184、Asp−223とAsp−227であることがわかっている(Pickersgill et al., Struct. Biol. USA., 1, 717-723, 1994)又、Yoderらによると、このCa2+イオンの結合部位近傍にあるTyr残基を含む“領域I”とHis残基を含む“領域II”が触媒部位であると推定しており、Bacillus subtilisのペクチン酸リアーゼでも同様の二つの領域が存在する。しかしながら本発明酵素のアミノ酸配列は、通常のコンピューター支援検索では「相同性無し」と判定され、これらのCa2+イオン結合部位と2領域を比較することは不可能である。さらに、Bacillus subtilisのペクチン酸リアーゼには一個のCysを含んでおり(Cys−220)、SH阻害剤で活性が阻害されることより、このCys−220のSH基が触媒に関与していると推定されている(Nasser et al., FEBS Lett., 335, 319-326, 1993)。ところが、本発明の成熟分泌酵素(実施例3と7)はCysを3個含んでおり、Cys−67、Cys−71とCys−148、この3個の残基の機能は全くわかっていない。又、Bacillus subtilisのペクチン酸リアーゼ(BsPel)の立体構造から、Pickersgillら(Struct. Biol., U.S.A., 1, 717-723, 1994)は、Arg279−Ala280−Pro281(RAP配列)のArg279が触媒に関与していると推定しているが、本発明の酵素のアミノ酸配列の中にそのようなものは存在していない。従って、活性発現(触媒作用)と立体構造維持などに係わる必須アミノ酸残基を確定することによって、本発明をさらに明確にすることができるので、以下にその詳細を記述する。
【0063】
(1)本発明ペクチン酸リアーゼの変異タンパクの創製
TaKaRa社のSite−Directed Mutagenesis System Mutan−Super Express KM kitのプロトコールに従って、本発明の遺伝子の任意の変異タンパクを人工的に創製した。
【0064】
▲1▼変異導入用プラスミドベクターpKF19Kへの本発明遺伝子の導入。
本発明ペクチン酸リアーゼを高生産するpHAPAL上の高発現プロモーター領域から構造遺伝子を含む約1.5kbp 断片をRCRによって増幅した後、プラスミドpKF19KのSmaI部位に挿入した(これをpKFPALと命名)。
【0065】
▲2▼変異導入PCR
まず、リアクションチューブ(0.5ml)に以下の反応液を調製した。反応液組成は鋳型DNA(pKFPAL)10ng、セレクションプライマー5pmol、リン酸化済み変異導入プライマー 5pmol、10×LA PCR BufferII5μl、dNTP混合液(各2.5mM)8μl、TaKaRa LA Taq0.5μl、計50μl。解離94℃、1分間、アニール55℃、1分間、伸長72℃、3分間を25サイクル、その後4℃、10分間の条件でPCRを行った。PCR断片精製キット(ベーリンガーマンハイム社)によって増幅DNAを精製し形質転換に用いた。
【0066】
▲3▼大腸菌MV1184株への導入と変異の確認
大腸菌MV1184コンピテントセル(TaKaRa社)を用い通常のコンピテントセル法でPCR産物を大腸菌MV1184株へ導入した。カナマイシン(50μg/ml)を含むLB寒天培地(バクトトリプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1%、寒天1.5%)上に生育してきたコロニー数個からプラスミドDNAを調製し、配列解析を行って変異導入プラスミドを選択した。
【0067】
変異に用いたプライマー配列は次の通りである。
(アミノ酸番号は配列番号1に従っており、略記号の左側は本来のアミノ酸残
基、右側は変異されたアミノ酸残基を示している)。
Lys41Ala 5′GCGGAGAATCAGGCGCCGATCTTTCG3′
Cys67Ala 5′CGGGGTGCACGCCTACGGGGATTGTAC3′
Cys71Ala 5′TACGGGGATGCTACGATTACAAATGTC3′
Lys89Ala 5′GCGCTGACGCTTGCATCGTCCGGAACG3′
Lys107Ala 5′AAGGCGTATGACGCGGTGTTCCAAATC3′
Lys129Ala 5′GATGACATCGGGGCGCTGGTTCGGCAG3′
Arg132Ala 5′GGGAAGCTGGTTGCGCAGAACGGAGGC3′
(塩基配列中下線のトリプレットコドンが置換されるアミノ酸をコードしてい
る)
【0068】
▲3▼次に変異遺伝子を含むペクチン酸リアーゼ遺伝子でBacillus subtilisを形質転換して、各変異ペクチン酸リアーゼを著量菌体外に生産させた後、精製して活性の検定を行った(実施例7参照)。以上の変異タンパク創製の手順を図4に示した。
【0069】
(2)変異タンパクの活性の検定
得られたrPAL、Lys41Ala、Cys67Ala、Cys71Ala、Lys89Ala、Lys107Ala、Lys129Ala、Arg132Alaはいずれも、立体構造を維持したまま組換え生産され、SDS−PAGEによっても明瞭なタンパクのバンドとして検出される(図6)。これらの変異タンパクを精製し(実施例3参照)、それぞれの活性を実施例1に記載の標準測定法によって検討した。
【0070】
【表6】
【0071】
表6に示したように、配列番号1に存在する二つのCysをAlaに置換しても、SDS−PAGEでみる限り立体構造は維持され、かつ活性も充分有しており、少なくとも活性発現と立体構造に対して本質的な役割をになっていないことがわかる。ネイティブなタンパクの中でこれらの内、たとえジスルフィド結合を形成していようがいまいが活性に対して本質的なアミノ酸残基ではないとを示している。Cys残基が本発明酵素の活性発現に関与していないことは、SH阻害剤によって酵素活性阻害がかからないことが、証拠となるであろう。すなわち、本発明酵素に対して、実施例13に示した様に各種SH阻害剤(p−クロロマーキュリー安息香酸、N−エチルマレイミド、ヨード酢酸など)を添加しても、ほとんど阻害されない。又、H2O2はMetとCysの側鎖の含硫基を強力に酸化して、しばしば酵素活性を消失させることがあるが(例えばStauffer & Etson. J. Biol. Chem., 244, 5333-5338, 1969;Estel et al., J. Biol. Chem., 260, 6518-6521, 1985;秦田ら、特願平9-80299号)、本発明の酵素は高濃度のH2O
2で処理しても失活しない(実施例14参照)。
【0072】
【表7】
【0073】
一方、アミノ酸配列Iに存在する4個のLys残基から、他のアミノ酸への置換は、本発明に決定的な特徴付けを与える。すなわち、表7に示したように、Lys89Ala、Lys107AlaとLys129Alaの各変異酵素は、著しい酵素比活性の低下が認められる。特にLys107AlaとLys129Alaの変異酵素は、SDS−PAGEで立体構造が維持されているにもかかわらず、酵素活性は認められず、これらの位置におけるLys残基には触媒活性に対する本質的な関与があることを示している。又、Lys89Alaも活性が残存するものの、実施例8のペクチン酸リアーゼ(rPAL;未変異)の比活性の約20%までに低下している。この変異酵素もSDS−PAGEの結果から単一のタンパクとして完全精製され、分子量も何ら他の変異体あるいは未変異体と変わることはない。従って、何らかの機構で、ペクチン酸リアーゼ活性に影響を与えるLys残基であることを示している。これらLys残基の触媒に係わる重要性は、本発明酵素と相同性が認められないErwinia chrysanthemi EC16(Kita et al., J. Biol. Chem., 271, 26529-26535, 1996)以外の過去の如何なるペクチン酸リアーゼを含むペクチン分解酵素群でも知られておらず、本発明で初めて明らかにしたものである。このLys残基の本質的役割は、Lys残基の特異的阻害剤であるトリニトロベンゼンスルホン酸を本発明ペクチン酸リアーゼに加えると、大幅に活性が低下することからも(実施例13)疑いの余地の無いこととなった。
【0074】
次にLevyらの方法(J. Biol. Chem., 238, 3654-3651,1963)に従って、本発明酵素活性とトリニトロベンゼンスルホン酸濃度の関係を調べた。活性の半減期の長さ(t1/2)の逆数の対数〔log(1/t1/2)〕とlog〔トリニトロベンゼンスルホン酸〕の傾きから0.73という値が得られ、特定のアミノ酸、Lys、1個が少なくとも関与していることが判明した。従って、部位特異変異の結果(表7)とも考え合わせると、少なくとも4個のLys残基のうち、少なくとも1個以上のLys残基が活性発現に関与していることは、ここでも明白な事実となった。
【0075】
一方、本発明のアミノ酸配列中、図9中に示した箇所で、PelA〜PelDまでの配列と相同性があるのが41位のLysである(配列番号1参照)。当然、この位置のLysも触媒に関係する可能性があったが、図6で示したように、SDS−PAGEで単一なタンパクバンドを与えるにもかかわらず、酵素の比活性は、何ら天然型酵素と変わることは無い。従って、本発明においてこの位置のLys残基は、触媒に直接係っていない基であることを示唆している。この推定は以下の様にして、証明した。
実施例8で得たペクチン酸リアーゼ(rPAL)をイオン交換水で脱塩濃縮し、280nmにおける吸光度が約4になるように調整した。この酵素液100μl(約0.6mgのタンパクを含む)、100μlの0.5M ホウ酸緩衝液(pH9.5)、300μlの脱イオン水を順次加え、次いで50μlの0.22M トリニトロベンゼンスルホン酸を加えて30℃で30分間、暗所に保持した。この処理液をDCカラム(Bio−Rad社製)で脱塩して、過剰のトリニトロベンゼンスルホン酸と緩衝液を除去した。脱塩サンプル(500μl)に50μlの1M リン酸緩衝液(pH8.0)、20μlの0.1M EDTA(pH7.0)、10μlの1mg/mlのV8プロテアーゼを加えて37℃で5時間処理して、消化した。沸騰水中で5分間処理して反応を停止し、遠心分離(12,000×g,10分間)で不溶物を除去した後、上清200μlをODSカラム(TSK gel ODS 80Ts, φ4.6mm×300mm;東ソー社製)に注入した。アセトニトリルの0→60%/60分、次いで60→100%/20分間の2段階濃度勾配法で溶出分画(1ml/画分)したところ、350nmに吸収を存する画分が3つ得られた(画分55,64,73)。これらの画分について、500μlをPro SorbフィルターにブロッティングしてABI社の674型プロテイン・シークエンサーでN−末端アミノ酸配列を決定した。その結果、画分55と73からは明瞭なアミノ酸配列が読み取ることができなかったが、これからは、トリニトロフェニル化されたLys残基がN−末端に存在していることが予想された。一方、画分64からはAsn−Gln−X−Proのアミノ酸配列が認められた。このXがトリニトロフェニル化Lys残基とすると、これは41位Lys残基である。この様に、41位のLys残基は、トリニトロベンゼンスルホン酸により、トリニトロフェニル化されているにもかかわらず、表7に示した様にこの位置でのAlaへの置換による比活性の低下が全く認められないのであるから、本発明において、この位置のLysは触媒に関与していないと結論した。
【0076】
一方、図9のアミノ酸配列中、132位のArg残基が他の比較した酵素のアミノ酸配列の相当位置のArg残基と完全に相同性が認められる。このことは、Lysと同じ塩基性アミノ酸であるArgも、本発明の酵素の触媒に直接関係している可能性があった。
【0077】
【表8】
【0078】
事実、図6と表8で示されるように、132位のArgをたとえばAlaに置換すると、驚いたことに、変異酵素は、ほとんど活性を失なう。従って、上述のLys同様、この位置のArgが触媒機能発現のために必須の残基と考えざるを得ない。そこで、アルギニン修飾剤である2,3−ブタンジオンを実施例13の方法に従って、未変異ペクチン酸リアーゼに加えて、その影響を調べた。すなわち、両酵素を0.1M ホウ酸緩衝液(pH9.5)中で2mMの2,3−ブタンジオンを加えて、30℃で30分間保持して、残存活性を測定したところ、両酵素とも約40%以上の阻害を受けることが判明した。この結果は、同じ塩基性アミノ酸残基の107位と129位のLys残基が、Arg又はHisでも良い可能性を想起する。また、132位のArg残基を他の塩基性アミノ酸残基に代えても活性を保持可能性ある。そこで、これらのLys残基とArg残基を以下の変異プライマーを用いて、それぞれの位置に他の塩基性アミノ酸残基で置換した変異酵素を、前述の方法で発現させた後、完全精製した。
【0079】
Lys107Arg 5′AAGGCGTATGACAGAGTGTTCCAAATC3′
Lys107His 5′AAGGCGTATGACCATGTGTTCCAAATC3′
Lys129Arg 5′GATGACATCGGGAGACTGGTTCGGCAG3′
Lys129His 5′GATGACATCGGGCATCTGGTTCGGCAG3′
Arg132Lys 5′GGGAAGCTGGTTAAGCAGAACGGAGGC3′
Arg132His 5′GGGAAGCTGGTTCACCAGAACGGAGGC3′
【0080】
その結果、少なくとも107位と129位のLys残基は、ArgとHisに置換すると、ほとんど活性を失ない、また132位のArg残基をLysに置換するともはや活性は認められないことが判明した。
【0081】
【表9】
【0082】
従って、少なくとも107位と129位のLys残基及び132位のArg残基は、他のアミノ酸に置き換えが不可能であり、それぞれLys、Lys及びArg残基が特異的に活性発現に関与すると言える。
【0083】
一方、Trp残基は配列番号1中には一個しか存在せず、PelA〜PelDとの相同性との比較においてよく保存されている(図9)。最近、種々の酵素で、Trp残基が触媒部位や基質結合部位にあって、何らかの機構により、活性発現に必要であることが示されている(例えば、Kawaminami et al., J. Biol. Chem., 269, 28752-28756, 1994;Ara et al., Biosci. Biotech. Biochem., 56, 62-65, 1992など)。事実、本発明の酵素も、特異的トリプトファン酸化剤であるN−ブロモスクシミドを処理すると大幅に阻害される。そこで当該Trp残基(78位)を下記のプライマーを用いて、Ala、Phe及びTyr残基に置換した。
【0084】
Trp78Ala 5′AATGTCATCGCGGAGGATGTTGGT3′
Trp78Phe 5′AATGTCATCTTCGAGGATGTTGGT3′
Trp78Tyr 5′AATGTCATCTACGAGGATGTTGGT3′
【0085】
その結果、変異タンパクはSDS−PAGEで均一に精製されるが(図6)、表10に示したようにTrp残基をAla残基に置換すると完全に活性を失なうが、Phe残基又はTyr残基に置換すると天然型酵素に匹敵する酵素活性を維持していることが判明した。他のアミノ酸では活性を有さないことから、78位のアミノ酸残基には芳香族アミノ酸が必要であることを示している。
【0086】
【表10】
【0087】
さらに、本発明酵素のアミノ酸配列の比較図(図9)で、120位にArg残基がPelA〜PelDに相異して特徴的に存在する。本アミノ酸残基が他の塩基性アミノ酸と置換可能か否かは非常に興味深い。そこで以下の変異プライマーを作製し、前述の方法で変異タンパクの完全精製品を調製した。
【0088】
Arg120Lys 5′GCAGCGGGGACGATCAACATTAAGAACTTCAGGGCC3′
【0089】
その結果を図6と表11に示したが、107位と129位のLys残基、132位のArg残基とは異なり、120位のArg残基は少なくともLys残基に置換しても同等の活性を有していた。
【0090】
【表11】
【0091】
以上の結果から、本発明ペクチン酸リアーゼは、そのアミノ酸配列中、107位Lys残基、129位Lys残基及び132位Arg残基がその酵素活性発現に強く関与しており、この位置を保存するように変異させることが望ましい。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、アルカリ側に最適反応pHを有する、全く新しいペクチン酸リアーゼ、その遺伝子及びその製造法が提供される。この酵素は、プロトペクチンに対しても作用し、洗浄剤、食品加工剤、繊維処理剤として有用である。
【0093】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ペクチン酸リアーゼ遺伝子クローニング用プライマー1及び2のDNA配列を示す図である。
【図2】プライマー1とプライマー2の間のDNA配列と推定アミノ酸配列及びプライマー3とプライマー4の位置を示す図である。
【図3】本発明ペクチン酸リアーゼ全領域を増幅するためのプライマー5とプライマー6を示す図である。実施例5で示したPCR増幅用プライマーで、生成する増幅断片(約1kbp)はSalIで消化された後、SalIとSmaIで消化されたpHSP64に連結される。
【図4】ペクチン酸リアーゼ(BPAL)遺伝子の分泌ベクター(pHSP64)への導入と創製されたペクチン酸リアーゼ発現分泌ベクターpHSP−A156を示す図である。
Amp:アンピシリン耐性マーカー遺伝子
Tet:テトラサイクリン耐性マーカー遺伝子
【図5】本発明ペクチン酸リアーゼである、BPAL(実施例3)とrPAL(実施例8)の完全精製標品のpH−活性曲線を示す。50mM グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液で最大活性を示すpH約10.5の値をそれぞれ100%として、相対活性を表示した。
−○−:rPAL、・・・●・・・:BPAL
【図6】本発明ペクチン酸リアーゼと各種変異ペクチン酸リアーゼの完全精製標品のSDS−PAGEの写真を示す。
それぞれの酵素のタンパクバンドの横にある矢印は、分子量測定用に用いた標準タンパクの分子量を示している。各レーンの酵素は次の通り。1:実施例3のBPAL、2:実施例8のrPAL、3:Cys67Ala、4:Cys71Ala、5:Trp78Ala、6:Arg120Lys、7:Lys41Ala、8:Lys89Ala、9:Lys107Ala、10:Lys129Ala、11:Arg132Ala
【図7】本発明ペクチン酸リアーゼ(BPAL(実施例3)とrPAL(実施例8))による木綿からのペクチン遊離活性のpH依存性(ブリットン−ロビンソン緩衝液中)を示す。
それぞれの酵素を40mMの各pHに設定したブリットン−ロビンソン緩衝液中で木綿に反応させた。BPALとrPALのプロトペクチナーゼ活性は最適pHが約10であり、これを100%として相対活性で表示している。
−○−:BPAL、−●−:rPAL
【図8】本発明ペクチン酸リアーゼ(BPAL(実施例3)とrPAL(実施例8))による木綿からのペクチン遊離活性のpH依存性(グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中)を示す。
図7と同じ条件で、0.1M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中で反応させ、両酵素の最適pH9.5の活性を100%として表示している。
−○−:BPAL、−●−:rPAL
【図9】本発明ペクチン酸リアーゼと他の酵素のアミノ酸配列の相同性を示す図である。
アミノ酸番号は、配列番号1の36から132を基準として、他のアミノ酸配列と相同性を合わせた。*印は5種の酵素で保存されているアミノ酸残基を示す。
BPAL:本発明のペクチン酸リアーゼ
PelA:Fusarium solani f. sp. pisi由来のペクチン酸リアーゼA
PelB:Fusarium solani f. sp. pisi由来のペクチン酸リアーゼB
PelC:Fusarium solani f. sp. pisi由来のペクチン酸リアーゼC
PelD:Fusarium solani f. sp. pisi由来のペクチン酸リアーゼD
【図10】本発明ペクチン酸リアーゼと他の酵素との相同性の比較に用いた部分アミノ酸配列を示す図である。
【図11】本発明ペクチン酸リアーゼ(BPAL)とPelAのアミノ酸配列のマッキシマムマッチングによるアミノ酸配列の相同性を示す図である。
PALのアミノ酸番号1は、成熱酵素のN−末端アミノ酸Ala残基から数える。PelAはオープン・リーディングフレームのN−末端Met残基を1としている。*は相同部位を示し、縦の破線はコンピューターが計算した相同領域を示している。
Claims (10)
- 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペクチン酸リアーゼ又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記ペクチン酸リアーゼの酵素活性を保持するペクチン酸リアーゼ。
- アミノ酸の欠失、置換若しくは付加が、配列番号1中107位リジン、129位リジン及び132位アルギニンを保存するようになされたものである請求項1記載のペクチン酸リアーゼ。
- 請求項1又は2記載のペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子。
- 配列番号1に示す塩基配列からなるペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子又は該塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ前記ペクチン酸リアーゼの酵素活性を保持するペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子。
- 請求項3又は4記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
- 請求項5記載の組換えベクターを含む形質転換体。
- 宿主が、微生物である請求項6記載の形質転換体。
- 請求項5又は6記載の形質転換体を培養し、培養物からペクチン酸リアーゼを採取することを特徴とする請求項1又は2記載のペクチン酸リアーゼの製造法。
- バチルス属細菌により産出され、下記の酵素学的性質を有するアルカリペクチン酸リアーゼ。
(1)作用
ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−脱離反応によってエンド的にα−1,4 結合を切断すると共に非還元末端のC4−C5位に二重結合を付与し不飽和ジガラク ツロニド、あるいは不飽和オリゴガラクツロニドを生成する。
(2)基質特異性
プロトペクチン、ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペク チンに作用する。
(3)最適反応pH
pH10.3〜10.7(50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸 を基質とした場合)
(4)安定pH
pH5〜11.5(30℃、40mMブリットン・ロビンソン広域緩衝液中60分間処 理)
(5)分子量
約20〜21kDa(超遠心平衡沈降法;SDSポリアクリルアミド電気泳動法で は約26kDa) - 下記の酵素学的性質を有するものである請求項9記載のアルカリペクチン酸リアーゼ。
(1)作用
ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)をβ−脱離反応によってエンド的にα−1,4 結合を切断すると共に非還元末端のC4−C5位に二重結合を付与し不飽和ジガラク ツロニド、あるいは不飽和オリゴガラクツロニドを生成する。
(2)基質特異性
プロトペクチン、ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)、酸可溶性ペクチン酸、ペク チンに作用する。
(3)最適反応pH
pH10.3〜10.7(50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチン酸 を基質とした場合)
(4)安定pH
pH5〜11.5(30℃、40mMブリットン・ロビンソン広域緩衝液中60分間処 理)
(5)最適反応温度
50〜55℃(pH10.5、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中、ペクチ ン酸を基質とした場合)
(6)耐熱性
約50℃(pH7.5、50mMトリス−塩酸緩衝液中、30分間処理)
(7)分子量
約20〜21kDa(超遠心平衡沈降法;SDSポリアクリルアミド電気泳動法で は約26kDa)
(8)等電点
pH10.3付近(等電点電気泳動法)
(9)阻害剤
エチレンジアミンテトラアセテート等のキレート剤によって阻害される。
(10)金属イオン
反応にCa2+を必要とする。
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