JP4441486B2 - 寒天分解酵素およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は寒天分解酵素およびその利用に関し、更に詳細には従来の寒天分解酵素に比べ、酵素活性や耐熱性が高い新規な寒天分解酵素およびその利用に関する。
寒天は、テングサ、オゴノリ等の紅藻類から得られる多糖類であり、その主成分はアガロースである。また、寒天中にはアガロースに硫酸、硫酸ピルビン酸等がエステル結合したアガロペクチンと総称される多糖も少量存在している。
アガロースを寒天分解酵素であるβ−アガラーゼにより加水分解することによりネオアガロオリゴ糖が得られるが、このものは、デンプン老化防止作用が強く、加熱処理により静菌作用を生じること、低カロリー性等の面から食品分野で高機能性食品の原料として有用である(例えば、河野敏明、「寒天オリゴ糖(ネオアガロオリゴ糖)」、食品包装、(1990)、22(1):100−105参照)。また、海藻成分をβ−アガラーゼにより加水分解して得られるオリゴ糖には免疫機能活性化機能や(例えば、Yoshizawa Y.,et al.,Biosci.Biotechnol.Biochem.,(1995),59(10):1933−1937参照)、肌への美白、保湿効果(例えば、Kobayashi R.,et al.,Biosci.Biotechnol.Biochem.,(1997),61(1):162−163参照)が認められている。
一方、寒天分解酵素を用いて海藻類の強固な細胞組織を分解し、生理活性物質を抽出したり、あるいは該酵素を用いて作成したプロトプラスト(例えば、Araki T.,et al.,J.Mar.Biotechnol.,(1998),6(3):193−197参照)を利用して海藻の有用品種の開発をすることは未開発の海洋生物資源の新たな有効利用として期待されている。
しかしながら、従来知られている寒天分解酵素(例えば、特開平6−284888号公報参照)は、生産性が低く、高価であるために工業的利用が難しいという問題や、酵素活性や耐熱性等も十分でないという問題があり、産業界で広く利用されるという状態にはない。
従って、本発明は、従来知られている寒天分解酵素よりも寒天を分解する能力や耐熱性等に優れ、かつ大量生産可能な寒天分解酵素および遺伝子工学技術を利用した当該酵素の製造に利用可能なその遺伝子の提供をその課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、自然界から寒天分解酵素を産生する微生物について鋭意探索したところ、海底土壌から分離した新規マイクロブルビファー(Microbulbifer)属微生物が極めて高い寒天を分解する能力を有し、耐熱性等にも優れた寒天分解酵素を産生することを見出した。また、この微生物の寒天分解酵素遺伝子をクローニングし、これを利用することで寒天分解酵素の遺伝子組換え技術による大量生産が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の目的は、次の性質を有する寒天分解酵素を提供することである。
(1)作用:
アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロオリゴ糖を生成する。
(2)基質特異性:
少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成する。
(3)温度の影響:
54℃以上で30分間の熱処理を行っても活性が残存する。
本発明の第2の目的は、マイクロブルビファー(Microbulbifer)属微生物由来の上記寒天分解酵素を提供するものである。
本発明の第3の目的は、マイクロブルビファー属微生物が、寄託番号FERM BP−8320のマイクロブルビファー エスピー 1325−A7(Microbulbi fer sp.1325−A7)であり、54℃以上で30分間の熱処理後の残存活性が、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の25%以上である上記寒天分解酵素を提供するものである。
本発明の第4の目的は、マイクロブルビファー属微生物が、寄託番号FERM BP−8319のマイクロブルビファー エスピー 1325−A3(Microbulbi fer sp.1325−A3)であり、60℃以上で30分間の熱処理後の残存活性が、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の20%以上である前記の寒天分解酵素を提供するものである。
本発明の第5の目的は、マイクロブルビファー属微生物が、寄託番号FERM BP−8321のマイクロブルビファー エスピー A94(Microbuibifer sp.A94)であり、60℃以上で30分間の熱処理後の残存活性が、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の7%以上である前記の寒天分解酵素を提供するものである。
更に、本発明の他の目的は、配列番号1、配列番号5または配列番号9で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する前記の寒天分解酵素を提供するものである。
更にまた、本発明の他の別の目的は、上記配列番号1、配列番号5および配列番号9で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを有するベクターおよび当該ベクターにより形質転換された微生物を提供するものである。
また更に、本発明の別の他の目的は、前記の形質転換された微生物を培養し、培養物より寒天分解酵素を採取することを特徴とする寒天分解酵素の製造方法、藻類に前記寒天分解酵素を作用させてネオアガロオリゴ糖やプロトプラストを製造する方法およびDNAをアプライしたアガロースゲルに、前記寒天分解酵素を作用させてアガロースゲル中のDNAを回収するアガロースゲル中のDNAの回収方法を提供するものである。
図1は、マイクロブルビファー エスピー 1325−A7の分類学的位置を示す図面である。
図2は、マイクロブルビファー エスピー 1325−A3の分類学的位置を示す図面である。
図3は、マイクロブルビファー エスピー A94の分類学的位置を示す図面である。
図4は、RagaA7の加水分解生成物のTLC分析の結果を示す図面である(Pはatlantica由来の酵素で調製されたネオアガロオリゴ糖のレーン、GはD−ガラクトースのレーン、NA4はネオアガロテトラオースを示し、NA6はネオアガロヘキサオースを示す)。
図5は、RagaA7の酵素活性とpHの関係を示す図面である。
図6は、40℃で30分間保温後のRagaA7の酵素活性とpHの関係を示す図面である。
図7は、RagaA7の酵素活性と温度の関係を示す図面である。
図8は、RagaA7およびPSAの温度安定性を示す図面である(●はRagaA7、○はPSA)。
図9は、RagaA7およびPSAのSDSに対する安定性を示す図面である(●はRagaA7、○はPSA)。
図10は、RagaA3の加水分解生成物のTLC分析の結果を示す図面である(Pはatlantica由来の酵素で調製されたネオアガロオリゴ糖のレーン、GはD−ガラクトースのレーン、NA4はネオアガロテトラオースを示し、NA6はネオアガロヘキサオースを示す)。
図11は、RagaA3の酵素活性とpHの関係を示す図面である。
図12は、40℃で30分間保温後のRagaA3の酵素活性とpHの関係を示す図面である。
図13は、RagaA3の酵素活性と温度の関係を示す図面である。
図14は、RagaA3およびPSAの温度安定性を示す図面である(●はRagaA3、○はPSA)。
図15は、RagaA3およびPSAのSDSに対する安定性を示す図面である(●はRagaA3、○はPSA)。
図16は、RagaBの加水分解生成物のTLC分析の結果を示す図面である(Pはatlantica由来の酵素で調製されたネオアガロオリゴ糖のレーン、GはD−ガラクトースのレーン、NA4はネオアガロテトラオースを示し、NA6はネオアガロヘキサオースを示す)。
図17は、RagaBの酵素活性とpHの関係を示す図面である。
図18は、40℃で30分間保温後のRagaBの酵素活性とpHの関係を示す図面である。
図19は、RagaBの酵素活性と温度の関係を示す図面である。
図20は、RagaBおよびPSAの温度安定性を示す図面である(●はRagaB、○はPSA)。
図21は、RagaBおよびPSAのSDSに対する安定性を示す図面である(●はRagaB、○はPSA)。
本発明の寒天分解酵素(以下、「本発明酵素」という)は、従来の寒天分解酵素と比べ、寒天の分解能力や耐熱性が著しく高いものであり、好ましくはマイクロブルビファー(Microbulbifer)属微生物由来のものである。なお、「マイクロブルビファー属微生物由来の」とは、本発明酵素の存在が、マイクロブルビファー属微生物において初めて見出されたということを意味するのみのものであり、マイクロブルビファー属微生物から取得した本発明酵素をコードするポリヌクレオチドを利用して他の微生物に産生させた本発明酵素や、他の属に属する微生物から得た同一の性質を有する寒天分解酵素も本発明酵素に含まれる。
本発明酵素の代表的なものの例としては、マイクロブルビファー エスピー1325−A7(Microbulbifer sp.1325−A7)が産生するRagaA7と名付けられた寒天分解酵素、マイクロブルビファー エスピー 1325−A3(Microbulbi fer sp.1325−A3)が産生するRagaA3と名付けられた寒天分解酵素およびマイクロブルビファー エスピー A94(Microbulbifer sp.A94)が産生するRagaBと名付けられた3つの酵素が挙げられる。以下、これらについて順次説明する。
(A1)RagaA7の特性
(1)作用:
アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロオリゴ糖を生成する。
(2)基質特異性:
少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成する。
(3)温度の影響:
作用温度は15〜70℃であり、最適作用温度は45〜55℃である。54℃で30分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の35%以上、好ましくは40%以上、70℃で25%以上、好ましくは35%以上である。また、80℃においても、25%以上、好ましくは35%以上である。
(4)界面活性剤の影響:
1%のNonidet P40、Triton X100、Tween 20およびSDSで阻害されない。
(5)SDSに対する安定性:
1.5%のSDS中、40℃で1時間処理後は未処理の場合と同等の活性を維持する。
(6)比活性:
100U/mg以上、好ましくは、200U/mg以上である。
(7)pH安定性および作用最適pH:
pH4〜10の範囲で安定である。作用pH範囲は3〜10であり、最適pHは5〜7.5である。
(8)分子量:
30〜49kDa(SDS−PAGEによる測定)
(9)金属塩等の影響:
Hg2+、Pb3+、Zn2+により強く阻害される。Ca2+、Mg2+、K、Al3+、Co2+、Cs、Fe3+、Li、Mn2+により阻害されない。1MのNaCl中で約80%の活性を維持する。100mMのEDTA中、40℃で1時間処理後は約60%の活性を維持する。
(10)等電点:
3.5〜4.5
(11)化学薬品に対する耐性:
0.1mMのN−ブロモスクシンイミドで阻害される。0.5mMのヨードアセトアミドおよび−(クロロメルクリ)安息香酸、1mMのN−エチルマレイミド、10mMのジチオトレイトールおよび2−メルカプトエタノールで阻害されない。
上記のRagaA7を産生する、マイクロブルビファー エスピー1325−A7(Microbulbifer sp.1325−A7)は、次のような菌学的性質を有している。
(A2)マイクロブルビファー エスピー1325−A7(Microbulbifer sp.1325−A7)の菌学的性質:
<形態>
マリンブロス2216培地(ディフコ社製)に生育した細胞についての形態。
細胞の形態:桿菌
細胞の大きさ:0.5〜0.8μm×1.5〜5.0μm
運動性:有
鞭毛:有
グラム染色性:陰性
胞子形成:無
<生育状態>
液体培養における生育状態。
最適温度:10〜43℃で良好に生育
食塩濃度:0.5〜10%で良好に生育
<生理学的性質>
O−Fテスト:F
カタラーゼテスト:陽性
オキシダーゼテスト:陽性
ゼラチン分解能:有
デンプン分解能:有
ONPGテスト:陰性
ウレアーゼ生産:無
硫化水素生産:無
インドール生産:無
硝酸還元能:無
資化性(L−アラビノース、セロビオース、D−フルクトース、D−ガラクトース、D−グルコース):有
(B1)RagaA3の特性
(1)作用:
アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロオリゴ糖を生成する。
(2)基質特異性:
少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成する。
(3)温度の影響:
作用温度は5〜70℃であり、最適作用温度は50〜60℃である。60℃で30分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の40%以上、好ましくは50%以上、80℃においても、20%以上、好ましくは30%以上である。
(4)界面活性剤の影響:
1%のNonidet P40、Triton X100およびTween 20で阻害されない。
(5)SDSに対する安定性:
少なくとも1%のSDS中、40℃で1時間処理後は未処理の場合の40%の活性を維持する。
(6)比活性:
300U/mg以上、好ましくは350U/mg以上である。
(7)pH安定性および作用最適pH:
pH5〜10の範囲で安定である。作用pH範囲は3.5〜9.5であり、最適pHは6.5〜7.5である。
(8)分子量:
30〜66kDa(SDS−PAGEによる測定)
(9)金属塩等の影響:
Hg2+、Cu2+、Pb3+、Zn2+により強く阻害される。Fe2+によりやや阻害される。Ca2+、Mg2+、K、Co2+、Cs、Fe3+、Li、Mn2+により阻害されない。
1MのNaCl中で約90%の活性を維持する。
100mMのEDTA中、40℃で1時間処理後は約80%の活性を維持する。
(10)等電点:
3.5〜4.5
(11)化学薬品に対する耐性:
0.1mMのN−ブロモスクシンイミドで阻害される。0.5mMのヨードアセトアミドおよび−(クロロメルクリ)安息香酸、1mMのN−エチルマレイミド、10mMのジチオトレイトールおよび2−メルカプトエタノールで阻害されない。
上記のRagaA3を産生する、マイクロブルビファー エスピー1325−A3は、は次のような菌学的性質を有している。
(B2)マイクロブルビファーエスピー1325−A3(Microbulbifer sp.1325−A3)の菌学的性質:
<形態>
マリンブロス2216培地(ディフコ社製)に生育した細胞についての形態。
細胞の形態:桿菌
細胞の大きさ:0.4〜0.6μm×4.0〜8.0μm
運動性:無
鞭毛:無
グラム染色性:陰性
胞子形成:無
<生育状態>
液体培養における生育状態。
最適温度:15〜35℃で良好に生育
食塩濃度:1〜5%で良好に生育
<生理学的性質>
O−Fテスト:F
カタラーゼテスト:陽性
オキシダーゼテスト:陽性
ゼラチン分解能:有
デンプン分解能:有
ONPGテスト:陽性
ウレアーゼ生産:無
硫化水素生産:無
インドール生産:無
硝酸還元能:有
資化性(L−アラビノース、セロビオース、D−フルクトース、D−ガラクトース、D−グルコース):有
(C1)RagaBの特性
(1)作用:
アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロオリゴ糖を生成する。
(2)基質特異性:
少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成する。
(3)温度の影響:
作用温度は10〜70℃であり、最適作用温度は50〜60℃である。60℃で30分間の熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の25%以上、好ましくは30%以上であり、80℃においても7%以上、好ましくは10%以上である。
(4)界面活性剤の影響:
1%のNonidet P40、Triton X100、Tween 20およびSDSで阻害されない。
(5)SDSに対する安定性:
2.0%のSDS中、40℃で1時間処理後は未処理の場合と同等の活性を維持する。
0.4%のSDS中、40℃で1時間処理後は未処理の場合の2倍の活性を有する。
(6)比活性:
400U/mg以上、好ましくは、450U/mg以上である。
(7)pH安定性および作用最適pH:
pH8〜9の範囲で安定であり、pH4〜10の範囲で約50%の活性が残存する。作用最適pHは6.5〜7.5である。
(8)分子量:
30〜49kDa(SDS−PAGEによる測定)
(9)金属塩等の影響:
Hg2+、Cu2+、Pb3+、Zn2+により強く阻害される。Fe2+によりやや阻害される。Ca2+、Mg2+、K、Al3+、Co2+、Cs、Fe3+、Li、Mn2+により阻害されない。1MのNaCl中で約90%の活性を維持する。100mMのEDTA中、40℃で1時間処理後は約74%の活性を維持する。
(10)等電点:
3.7〜5.2
(11)化学薬品に対する耐性:
0.1mMのN−ブロモスクシンイミドで阻害される。0.5mMのヨードアセトアミドおよび−(クロロメルクリ)安息香酸、1mMのN−エチルマレイミド、10mMのジチオトレイトールおよび2−メルカプトエタノールで阻害されない。
上記のRagaBを産生する、マイクロブルビファー エスピーA94(Micro bulbifer sp.A94)は次のような菌学的性質を有している。
(C2)マイクロブルビファーエスピーA94(Microbulbifer sp.A94)の菌学的性質:
<形態>
マリンブロス2216培地(ディフコ社製)に生育した細胞についての形態。
細胞の形態:桿菌
細胞の大きさ:0.6〜0.8μm×3.0〜6.0μm
運動性:有
鞭毛:有
グラム染色性:陰性
胞子形成:無
<生育状態>
液体培養における生育状態。
最適温度:20〜52℃で良好に生育
食塩濃度:1〜5%で良好に生育
<生理学的性質>
O−Fテスト:F
カタラーゼテスト:陽性
オキシダーゼテスト:陽性
ゼラチン分解能:有
デンプン分解能:有
ONPGテスト:陰性
ウレアーゼ生産:無
硫化水素生産:無
インドール生産:無
硝酸還元能:有
資化性(L−アラビノース、セロビオース、D−ガラクトース、D−グルコース):有
上記の微生物を含む本発明酵素を生産する微生物は、以下に示す方法に特に限定はされないが、例えば次のようにして得ることができる。まず、採取した微生物群を寒天またはアガロースを含む平板培地上で培養し、寒天を分解する能力を有する微生物を選抜する。この培地は寒天を含む培地に、窒素源、無機化合物等の栄養成分を適当量含有するものであれば、天然培地、合成培地の何れも使用することができる。
上記したマイクロブルビファー エスピー1325−A7、マイクロブルビファー エスピー1325−A3およびマイクロブルビファーエスピーA94は、いずれも、本発明者らが相模湾や、駿河湾の海底の泥から得たマイクロブルビファー(Microbulbifer)属の微生物である。
そして、上記各マイクロブルビファー属株の16S rDNA配列をCLUSTAL X Multiple Sequence Alignment Program(version 1.81)を用いて分類学的位置を解析した。解析した結果をneighbor−joining法に基づき記載した系統樹を図1、図2および図3に示すが、この結果から、マイクロブルビファー エスピー1325−A7、マイクロブルビファー エスピー1325−A3およびマイクロブルビファーエスピーA94はマイクロブルビファー(Microbulbifer)属の新種であることが判明した。
なお、マイクロブルビファー エスピー1325−A7およびマイクロブルビファーエスピーA94については、運動性等の点からマイクロブルビファー属以外の新属である可能性もあるが、便宜的に最も近縁となったマイクロブルビファー属の新種とした。
そこで本出願人らはこれを、それぞれ1325−A7、1325−A3およびA94と命名し、各々2003年3月6日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)へ国際寄託した(寄託番号FERM BP−8319〜8321)。
上記のマイクロブルビファー エスピー1325−A7、1325−A3およびA94を含む本発明酵素を産生する微生物から、本発明酵素を得るには、例えばこれを常法に従って培養し、次いで培養物中から本発明酵素を回収すればよい。
本発明酵素を得るための微生物の培養方法は、以下に示す方法に特に限定はされないが、例えば次の方法を用いることができる。培地に菌株を接種し、常法に従って培養すればよい。培養に用いる培地は、寒天またはアガロース、寒天分解物等を炭素源として含むことが望ましい。その他、培地中には、本菌株が資化し得る炭素源及び窒素源を適当量含有せしめておくことも可能である。寒天、アガロースは、市販のもの、あるいは加工、精製される前の紅藻類を単独、併用して用いることができる。その他の炭素源及び窒素源について特に制限はないが、窒素源としては、例えば、肉エキス、酵母エキス、カゼイン分解物、トリプトン、ペプトン等が挙げられるが、好ましくは酵母エキス、ペプトンを用いる。これらの窒素源は寒天、アガロース以外の炭素源としても使用できる。更に、塩類としては、塩化ナトリウム、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、臭化カリウム、塩化ストロンチウム、ホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム等を組み合わせて用いる。寒天、アガロース以外の前記成分を含んだマリンブロス2216(ディフコ社製)に、寒天またはアガロースを含む物質等を加えて用いることもできる。また、前記塩類を適度に含む人工海水を用い、これにペプトン、酵母エキス、寒天またはアガロースを含む物質等を加えた培地を用いることもできる。寒天またはアガロースの濃度は、0.1〜1.5%が好ましく、この際、寒天またはアガロースの濃度を任意に変えることにより固体培地、液体培地を作り分けることが可能であるが、酵素生産を目的とする場合は、濃度0.1〜0.4%の液体培養が好ましく、菌体の保存を目的とするときは、濃度1.2〜1.5%の固体培養が好ましい。培養条件は、培地の組成によって多少異なるが、培養温度は、10〜43℃、好ましくは25〜39℃、培養時間は、15〜48時間、好ましくは18〜24時間である。
かくして得られる培養物中の目的物質である寒天分解酵素の回収法は、一般の酵素の採取の手段に準じて行うことができる。以下に示す方法に特に限定はされないが、例えば超音波破砕法、フレンチプレス法、ガラスビーズ破砕法、ダイノミル破砕法等の菌体破砕法で得られた菌体破砕物、あるいは培養物を遠心、ろ過等の操作によって菌体と培養上清に分離することで得られた培養上清を、粗酵素液として用いることができる。
この粗酵素液は、そのまま使用することもできるが、必要に応じて、例えば塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分離手段、例えばイオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等の公知の方法を組み合わせて、更に分離精製したものも使用することができる。
また、本発明酵素を得るための別の方法としては、本発明酵素を産生する微生物、例えば、マイクロブルビファー エスピー1325−A7、マイクロブルビファー エスピー1325−A3、マイクロブルビファーエスピーA94等から本発明酵素をコードする遺伝子を取り出した後、遺伝子工学技術を用いて組換え微生物を作製し、当該組換え微生物を培養する方法が挙げられる。具体的には、本発明酵素のアミノ酸配列コードするヌクレオチド配列を上記菌株より取得し、次いでこのヌクレオチド配列を適当なベクターに組込み、更に、このベクターにより大腸菌等の宿主を形質転換し、これを培養して本発明酵素を産生させ、培養物より本発明酵素を採取すればよい。
以下に具体的な遺伝子工学技術を用いた本発明酵素の製造方法について説明する。
本発明酵素のうち、RagaA7は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列、当該配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列または当該配列と56%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、好ましくは配列番号1で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
従って、遺伝子工学技術を用いてRagaA7に対応する本発明酵素を製造するには、これに対応したヌクレオチド配列を使用することが必要である。なお、上記相同性としては56%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上が挙げられる。
RagaA7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の例としては、具体的に、下記(a1)〜(d1)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドが挙げられる。
(a1)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b1)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c1)配列表の配列番号2に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(d1)配列表の配列番号2に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
同様、本発明酵素のうち、RagaA3は、配列表の配列番号5で示されるアミノ酸配列、当該配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列または当該配列と56%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、好ましくは配列番号5で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
従って、遺伝子工学技術を用いてRagaA3に対応する本発明酵素を製造するには、これに対応したヌクレオチド配列を使用することが必要である。なお、上記相同性としては56%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上が挙げられる。
RagaA3のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の例としては、具体的に、下記(a2)〜(d2)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドが挙げられる。
(a2)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b2)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c2)配列表の配列番号6に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(d2)配列表の配列番号6に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
更に、本発明酵素のうち、RagaBは、配列表の配列番号9で示されるアミノ酸配列、当該配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列または当該配列と63%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、好ましくは配列番号9で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
従って、遺伝子工学技術を用いてRagaA3に対応する本発明酵素を製造するには、これに対応したヌクレオチド配列を使用することが必要である。なお、上記相同性としては63%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上が挙げられる。
RagaBのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の例としては、具体的に、下記(a3)〜(d3)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドが挙げられる。
(a3)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b3)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c3)配列表の配列番号10に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(d3)配列表の配列番号10に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
本発明酵素を生産する組換え微生物の作製は、公知の手段を組み合わせることにより行うことができる。すなわち、上記マイクロブルビファー エスピー1325−A7、マイクロブルビファー エスピー1325−A3またはマイクロブルビファーエスピーA94からの本発明酵素をコードするヌクレオチド配列の取得やその増幅、ベクターへのヌクレオチド配列の挿入、当該遺伝子による宿主の形質転換等は、この分野の成書に記載された方法を適宜利用することにより行われる。
このうち、組換え微生物の製法の一例としては、以下に示す方法に特に限定はされないが、次に示す方法を用いることができる。寒天分解酵素の生産菌から、ショットガンクローニング、あるいは特定のプライマーを用いたPCR増幅等によって、寒天分解酵素遺伝子を取得する。本遺伝子を、EK系のcoli等に代表されるグラム陰性菌、あるいはBS系のsubtilis等に代表されるグラム陽性菌に導入して、組換え体を取得する。形質転換にはプラスミド等の核外遺伝子をベクターにして利用、あるいは宿主菌本来有しているDNA取り込み能力等を利用するする方法を用いることができる。
また、上記のようにして作製された組換え微生物の培養、培養物からの本発明酵素の取得、当該酵素の精製も、前記した方法や公知方法あるいはこれに準じた方法により行うことができる。
なお、本発明において酵素の活性は、0.2%精製寒天(ナカライ社製)を基質として、特に記述しない限り、50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)中で行った。酵素反応によって生成した還元糖を3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法により測定した。従って、本発明において酵素の活性は、1分間当たり1μmolのD−ガラクトースに相当する量の還元糖を生成する酵素活性を1単位(U)として表示する。
以上のようにして得られる本発明酵素は、従来の寒天分解酵素と同様に、例えば寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖を含む藻類の破砕物または抽出物を原料とした寒天由来オリゴ糖等の製造や、研究用試薬として、アガロースゲルにアプライしたDNAを電気泳動後にゲルから回収する方法等に使用することができる。更にまた藻類、得に紅藻類からのプロトプラストの製造や有用物質の抽出等の用途に使用することができる。
具体的に、寒天由来オリゴ糖の製造は、以下に示す方法に特に限定はされないが、次に示す手順を用いることができる。アガロース、寒天等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合、α−1,3結合した骨格を持つ多糖類または同様の骨格を有するオリゴ糖を含む藻類の破砕または抽出物に、本発明の寒天分解酵素を混ぜ、pH4〜10、30〜55℃の範囲で保温することで寒天由来オリゴ糖等のオリゴ糖を生成できる。
かくして得られる寒天由来オリゴ糖等のオリゴ糖は、以下に示す用途に特に限定はされないが例えば、低カロリー性食品として、または加熱処理後に生じるある種の微生物に対する静菌作用やデンプン老化防止作用を有する飲食品改良剤、薬理作用、例えば免疫機能調節機能、血圧降下作用、抗腫瘍作用、腸のぜん動運動を活性化する機能を有する医薬品、または高機能性飲食品、保湿、美白作用を有する化粧品の成分等の用途に用いることができる。
一方、アガロースゲルにアプライしたDNAを電気泳動後にゲルから回収する方法は、以下に示す方法に特に限定はされないが、例えば次に示す方法を用いることができる。DNAを電気泳動で分画後、目的のDNA断片含むアガロースゲル断片に本発明酵素を加えて、溶解する。溶解後、必要であればDNA断片含む溶液を、例えばフェノール処理、エタノール沈澱、カラムや樹脂を使用した精製等の精製方法をを単独、あるいは併用して更に精製することも可能である。
また、寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を持つ多糖類を細胞組織成分に有する藻類を原料としたプロトプラストの製造は、以下に示す方法に特に限定はされないが、例えば以下の手順で行うことができる。供試海藻を0.7Mのマンニトール含有MES緩衝液(pH7.5)中でパパインを作用させる。その後0.7Mのマンニトール含有MES緩衝液(pH7.5)を用いて、40μmのナイロンメッシュでろ過洗浄し、洗浄した葉体をナイフで数ミリ片に裁断する。裁断片を本発明酵素と市販のセルラーゼオノズカRSならびに、マイセロチームR−10、それに0.7Mのマンニトール含有MES緩衝液(pH6.0)中で振とうすることによって、プロトプラストを得ることができる。
かくして得られるプロトプラストは、以下に示す用途に特に限定はされないが例えば、海藻中の生理活性物質等の有用物質の抽出、海藻組織培養、海藻細胞の生化学的、生理学的研究、細胞融合や遺伝子導入等を利用した海藻有用品種開発に用いることができる。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
なお、以下の実施例において、染色体DNAとプラスミドDNAはそれぞれサイトウら(Saito H,Miura K.,Biochem Biophys Acta,72:619−629,(1963))およびバーンボイムら(Birnboim HC,Doly J.,Nucreic Acids Res.,7:1513−1523,(1979))の方法に従って調製した。他の基本的遺伝子操作はサムブルックら(Sambrook J,Fritsch EF,Maniatis T.,Molecular Cloning:a Laboratory Manual,2nd edn Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,(1982))の方法に基づいて行った。また、形質転換は、ハナハンら(Hanahan D.,J.Mol.Gen.Genet.,166:557−580,(1983))の方法、バチルス.ズブチリス(subtilis)の形質転換はチャンら(Chang S.,Cohen SN.,Mol. Gen.Genet.,168:111−115,(1979))の方法で行った。
寒天分解菌のスクリーニング:
海洋科学技術センターに保存されている海底土壌のサンプルをマリンブロス2216培地(ディフコ社製)で適宜希釈し、マリンアガー平板培地に接種し、15〜55℃の様々な温度で16〜48時間培養した。コロニー周辺の寒天を分解し、用いた平板培地にくぼみを形成した菌を、更に別のマリンアガー平板培地に接種し、その菌に適した温度で培養した。続いて、同培地で画線培養を繰り返し寒天分解細菌を単離した。
上記スクリーニングで得られた寒天分解菌のうち、従来知られている寒天分解酵素よりも高活性の寒天分解酵素を産生する微生物として、1325−A7株、1325−A3株およびA94株を取得した。この株の16S rDNA配列を、CLUSTAL X Multiple Sequence Alignment Program(version 1.81)を用いて分類学的位置を解析した結果、1325−A7株、1325−A3株およびA94株は何れもマイクロブルビファー(Microbulbifer)属の新種である可能性が強いと判断された。しかしながら、1325−A7株およびA94株については、運動性等の点からマイクロブルビファー属以外の新属である可能性もすてきれない。
(1)アガラーゼ遺伝子の解析(1)
マイクロブルビファー エスピー 1325−A7株(以下、「1325−A7株」と省略する)の染色体DNAをHindIIIとEcoRIで消化してDNA断片を得た。このDNA断片をHigh Pure PCR Product Purification Kit(Roche社製)を用いて精製し、精製DNA断片とした。この精製DNA断片と予めHindIIIとEcoRIで消化しておいたプラスミドベクターpUC18(TaKaRa社製)とをDNA Ligation Kit ver.2.0(TaKaRa社製)を用いてライゲーションした。このライゲーション混合液を用いてColi HB101(F’supE44 hsdS20 recA13 ara−14 proA2 lacY1 galK2 rpsL20 xyl−5 mtl−1 leuB6 thi−1)を形質転換して形質転換体を作製した。
上記で作製した形質転換体を寒天培地に接種し、寒天培地にくぼみをつくるコロニーを寒天分解活性のあるクローンとして検出した。検出した寒天分解活性のあるクローンをLB寒天培地(バクトペプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1%、テトラサイクリン7.5μg/mlあるいはアンピシリン50μg/ml)上において37℃で一晩、画線培養した。その後、ヨウ素溶液で培地を染色し、菌体の周囲が、寒天由来の還元糖が生成されたためと考えられる、透明なハローとなったものを目的クローンとして得た。かくして得られたクローンをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地培養し、得られた細胞より、プラスミドDNAを調製することによって、組換えプラスミドpUA7を得た。
この組換えプラスミドpUA7の挿入断片のヌクレオチド配列を、pUC18のマルチクローニング部位の上流および下流の配列に相応する下記のプライマーを用いて解析を行った。
Figure 0004441486
この組換えプラスミドpUA7の挿入断片のヌクレオチド配列を決定した結果(配列番号3)、挿入断片の大きさは2,747bp、G+C含量は55%であり、1,326bpから成るオープンリーデイングフレーム(ORF)を検出した。本ORFは441アミノ酸からなるタンパクをコードしていた。また開始コドンの8bp上流には、リボソーム結合部位(RBS)と推定される配列5’−AAGGAG−3’が存在し、64bp上流にはcoliのシグマ70タイプのプロモーターと推定される配列5’−TTCAAA−3’(−35領域)と5’−TAACCT−3’(−10領域)(GENETYX−MAC 10.1プロモーター検索で、スコア50.9)が存在していた。終止コドンの36bp下流にはインバーティッドリピート配列が存在し、転写ターミネーターの役割をしていると予想される。
また、上記ORF(以下、これを「AgaA7」という)がコードしているアミノ酸配列のFASTA相同性検索(http://ddbj.nig.ac.jp)を行った結果、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)ND137株、アエロモナス エスピー(Aeromonas sp.)B9株、シュードアルテロモナス アトランティカ(Pseud oalteromonas atlantica)、ゾベリア ガラクタニノボランス(Zobellia galact aninovorans)Dsij株(2種)、マイクロシーラ エスピー(Microscilla sp.)PRE1株、ストレプトミセス セリカラー(coelicolor)A3(2)株由来のβ−アガラーゼと全アミノ酸(441アミノ酸)を通じてそれぞれ55.3%、54.3%、52.6%、47.5%、41.2%、37.5%、34.5%一致した。
(2)アガラーゼの発現と精製(1)
AgaA7をコードするDNA断片を発現用ベクターpHSP64(Sumitomo N,Ozaki K,Hitomi J.Kawaminami S,Kobayashi T.Kawai S,Ito S.(1995).Biosci.Biotechnol.Biochem.59,2172−2175)に導入し、得られた組換えプラスミドをpA7AGとした。pA7AGを用いてcoli HB101を形質転換した。得られた形質転換体をLB寒天培地上で一晩培養後、寒天上のくぼみから、coli HB101における組換え体のアガラーゼ活性を確認した。
なお、組換えアガラーゼの高発現はグラム陽性菌であるsubtilis ISW1214(leuA8 metB5 hsrM1)を宿主として行った。pA7AGを用いてsubtilis ISW1214を形質転換し、得られた形質転換体をCSL培地(コーンスティープリカー10%、魚肉エキス0.5%、酵母エキス0.05%、リン酸二水素カリウム0.2%、硫酸マグネシウム七水和物0.02%、塩化カルシウム0.05%、マルトース6%、テトラサイクリン15μg/ml、pH6.8)で72時間培養し、その培養上清82.5mlを得た。
上記の培養上清の精製は4℃以下で行った。まず、培養上清を6,500×gで10分間の遠心により、菌体と培養上清とを分離した。得られた培養上清に硫酸アンモニウムを60%飽和になるように徐々に添加した。生じた塩析物を8,000×gで25分間の遠心によって回収し、沈澱物を少量の20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)に再懸濁し、前述の緩衝液に対して一晩透析を行った。8,000×gで15分間の遠心で不溶残査を取り除いた後、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)で予め平衡化したDEAE−Toyopearl 650Mカラム(東ソー社製、2.5×15cm)に吸着させた。50mMのNaClを含む前述の緩衝液200mlでカラムを洗浄した後、50mM〜500mMのNaClの直線濃度勾配法(総溶出量500ml)を用いて酵素の溶出を行った。アガラーゼ活性のある溶出画分を合わせ、限外ろ過膜PM−10(Amicon社製)を用いて濃縮、さらに2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)によって緩衝液交換を行い、5mlの酵素溶液とした。この酵素溶液を2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラム(日本ケミカル社製、2.5×15cm)に供したところ活性のほとんどが素通り画分に検出された。続いて限外ろ過膜PM−10を用いて同活性画分を濃縮した。得られた濃縮液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)に対して一晩透析し、酵素液(6.3ml)を得た。
アガラーゼ活性の測定は0.2%精製寒天(ナカライ社製)を基質として、50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)中で行った。酵素反応によって生成した還元糖を3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法により測定した。1分間あたり、1μmolのD−ガラクトースに相当する量の還元糖を生成する酵素活性を1単位(U)とした。また、タンパク濃度の定量はDC Protein Assay Kit(バイオラッド社製)を用いてBSAを標準品として定量を行った。
下記表1に示されるように、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー後の活性画分の酵素比活性(217U/mg protein)は、培養上清の比活性に比べて310倍に上昇し、活性収率は53.8%であった。得られた酵素溶液のSDS−PAGEと活性染色において単一のバンドであることから酵素が純粋に精製されていることを確認した。
Figure 0004441486
(3)精製アガラーゼの性質(1)
上記のようにして精製されたアガラーゼ(以下、「RagaA7」という)の下記の性質について調べた。なお、特に基質が記載されていない場合には、寒天を基質として使用した。
<作用>
汎用性アガロース(Agarose L 03:TaKaRa社製)を基質とした時のRagaA7の反応生成物の経時変化をTLCにより分析した(図4)。その結果、本発明酵素はアガロースのβ−1,4結合をエンド型に分解する反応を触媒するβ−アガラーゼであることが判明した。
<基質特異性>
Raga7の基質特異性を調べたところ、寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖等を生成するが、アガロースと共通の2糖の繰り返し単位を持つが、その糖の一部が硫酸基で置換された多糖類であるι、κ、λ−カラギーナンを分解しなかった。
<pH安定性および作用最適pH>
RagaA7の作用最適pHを、pH3〜pH9.5の間で50mMのブライトン−ロビンソン(Britton−Robinson)広域緩衝液を用いて測定したところ、中性のpH領域で活性を持ち、その最適pHはpH5〜7.5であった(図5)。また、RagaA7のpH安定性を、pH3〜pH12の間でブライトン−ロビンソン(Britton−Robinson)広域緩衝液中で40℃で30分間それぞれ保温した後の残存活性を測定したところ、pH4〜10の間で最大活性の50%以上の活性を保持していた(図6)。
<分子量>
SDS−PAGEにより測定したRagaA7の見かけの分子量は約39kDaであった。この値はAgaA7遺伝子がコードする成熟タンパクの推定分子量47kDaより小さい。RagaA7は宿主であるsubtilis ISW1214の分泌するプロテアーゼによって分解を受け、低分子化されていることが予想された。RagaA7のN末端アミノ酸配列を決定したところ、Met−Ala−Ala−Asp−Trp−Asp−Gly−Thr−Pro−Valであった。この配列は、RagaA7の18〜27番のアミノ酸配列に相当する。
<温度の影響>
RagaA7の熱安定性を調べるために、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液中(pH7.0)でいろいろな温度で保温した後の残存活性を測定したところ、15〜70℃の温度で安定であり、作用最適温度は45〜55℃であった(図7)。また、54.8℃で30分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の43%、62.3℃では42.6%、71.9℃では37.9%、80.0℃では37.9%であった。この酵素の耐熱性はPSAに比べて高かった(図8)。
<金属塩等の影響>
RagaA7を産生する微生物は海洋から単離された微生物であるので、海水中に含まれる様々なイオンの濃度が酵素活性に影響を与える可能性があると考え、これらのイオンに対する活性特性を調べた。まず本発明酵素活性に対するNaClの影響を調べた結果、RagaA7はその寒天分解活性にNaClを必ずしも必要とせず、NaCl濃度に依存した活性の変化はほとんど認められなかった。更に高濃度のNaCl(1M)を添加した場合でも約80%の活性を維持していた。
また、海水中の主要な金属イオンCa2+、Mg2+、K(5mMおよび100mM)の添加による活性の変化もほとんど認められなかった(100〜108%)。その他、海水中に含まれていると考えられる微量金属イオンのRagaA7の活性に与える影響を調べたところ、1mM濃度で、Hg2+、Pb2+、Zn2+によって強く阻害され(0〜20%)、Cu2+、Fe2+によりやや阻害された(56〜89%)。一方、Al3+、Co2+、Cs、Fe3+、Li、Mn2+によっては阻害されなかった(101〜108%)。また、このことより、RagaA7の活性にはSH基、CO基、NH基の関与する酵素タンパクの構造維持が必要であることが考えられた。
更に、EDTAによる酵素活性阻害実験を行った結果、40℃で1時間処理することにより、その酵素活性はEDTA濃度に比例して阻害されたが、100mM処理後でも約60%の活性を維持していた。この結果より、2価金属イオンはRagaA7の活性中心に関わるのではなく、一部の2価金属イオンがその構造維持に必要であることが考えられた。
<等電点>
RagaA7の等電点をMultiphore II gel electrofocusing system、polyacrylamide gel plateおよびBroad pl calibrationkit(Pharmacia Fine Chemica AB,Uppsala,Sweden)を用いた等電点電気泳動法によって測定した結果、3.5〜5.5であった。
<界面活性剤の影響>
RagaA7の界面活性剤による影響を下記表A2に示す種類と濃度で調べた。RagaA7に非イオン性界面活性剤であるNonidet P40(ナカライテスク社製)およびTriton X100(ナカライテスク社製)ならびに陰イオン性界面活性剤であるTween 20(和光純薬工業社製)およびSDS(バイオラッド社製)を0.1%および1%添加した場合の残存活性は、何も添加しない場合の100%以上であった。
Figure 0004441486
<SDSに対する安定性>
RagaA7のSDSに対する安定性を調べたところ、1.5%のSDS中で40℃で1時間処理した後でも未処理の場合と同等の活性を維持していた。また0.1%のSDSで同様に処理すると活性はSDSを加えない時の約1.5倍に上昇した。RagaA7のSDSに対する耐性はPSAよりも高かった(図9)。
<化学薬品に対する耐性>
RagaA7の化学薬品に対する耐性を下記表A3に示す種類と濃度で調べた。RagaA7は0.1mMのN−ブロモスクシンイミド(シグマ社製)では阻害されたが、0.5mMのヨードアセトアミド(関東化学社製)および−(クロロメルクリ)安息香酸(ナカライテスク社製)、1mMのN−エチルマレイミド(和光純薬工業社製)、10mMのジチオトレイトール(Pharmacia Biotech社製)および2−メルカプトエタノール(ナカライテスク社製)で阻害されなかった。
Figure 0004441486
(1)アガラーゼ遺伝子の解析(2)
マイクロブルビファー エスピー1325−A3株(以下、「1325−A3株」と省略する)の染色体DNAをHindIIIで消化してDNA断片を得た。このDNA断片をHigh Pure PCR Product Purification Kit(Roche社製)を用いて精製し、精製DNA断片とした。この精製DNA断片と予めHindIIIで消化し、続いてShrimp alkakine phosphatase(Roche社製)で処理しておいたプラスミドベクターpUC18(TaKaRa社製)とをDNA Ligation Kit ver.2.0(TaKaRa社製)を用いてライゲーションした。このライゲーション混合液を用いてcoli HB101(F’supE44 hsdS20 recA13 ara−14 proA2 lacY1 galK2 rpsL20 xyl−5 mtl−1 leuB6 thi−1)を形質転換して形質転換体を作製した。
上記で作製した形質転換体を寒天培地に接種し、寒天培地にくぼみをつくるコロニーを寒天分解活性のあるクローンとして検出した。検出した寒天分解活性のあるクローンをLB寒天培地(バクトペプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1%、テトラサイクリン7.5μg/mlあるいはアンピシリン50μg/ml)上において37℃で一晩、画線培養した。その後、ヨウ素溶液で培地を染色し、菌体の周囲が、寒天由来の還元糖が生成されたためと考えられる、透明なハローとなったものを目的クローンとして得た。かくして得られたクローンをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地培養し、得られた細胞より、プラスミドDNAを調製することによって、組換えプラスミドpUA3を得た。
この組換えプラスミドpUA3の挿入断片のヌクレオチド配列を、pUC18のマルチクローニング部位の上流および下流の配列に相応する下記のプライマーを用いて解析を行った。
Figure 0004441486
この組換えプラスミドpUA3の挿入断片の大きさは約3.9kbであった。pUA3の挿入断片の塩基配列を決定し、本遺伝子断片がコードしているアミノ酸配列と既知のタンパクのアミノ酸配列との相同性検索を行った。その結果、本遺伝子断片がコードしているアミノ酸配列の一部が他微生物由来のアガラーゼに相同性を示し、本遺伝子断片がアガラーゼの一部をコードしていることが示唆された。しかし、アガラーゼの一部をコードしていると推定される塩基配列には終止コドンが含まれておらず、アガラーゼのC末端部分が欠損していると考えられた。そこで本断片の下流域の塩基配列をインバースPCR法ならびにカセットライゲーションPCR法によって決定した。決定したpUA3の挿入断片及びその下流域の塩基配列を配列番号7に示した。その結果、1,809bpから成るオープンリーディングフレーム(ORF)が検出された。本ORFは602アミノ酸からなるタンパクをコードしていた。また開始コドンの6bp上流には、リボソーム結合部位(RBS)と推定される配列5’−AAGGAG−3’が存在し、136bp上流にはcoliのシグマ70タイプのプロモーターと推定される配列5’−TTGTTA−3’(−35領域)と5’−TATTAT−3’(−10領域)(GENETYX−MAC 10.1プロモーター検索で、スコア50.9)が存在していた。終止コドンの15bp下流にはインバーティッドリピート配列が存在し、転写ターミネーターの役割をしていると予想される。
また、上記ORF(以下、これを「AgaA3」という)がコードしているアミノ酸配列のFASTA相同性検索(http://ddbj.nig.ac.jp)を行った結果、シュードアルテロモナス アトランティカ(Pseudoalteromonas atlantica)、アエロモナス エスピー(Aeromonas sp.)B9株、ゾベリア ガラクタニノボランス( obellia galactaninovorans)Dsij株(2種)、シュードモナス エスピー( seudomonas sp.)ND137株、 ストレプトミセス セリカラー(coelicolo )A3(2)株、マイクロシーラ エスピー(Microscilla sp.)PRE1株由来のβ−アガラーゼと全アミノ酸(602アミノ酸)を通じてそれぞれ55.3%、54.3%、49.8%、36.8%、45.8%、34.6%、33.0%一致した。
(2)アガラーゼの発現と精製(2)
AgaA3をコードするDNA断片を発現用ベクターpHSP64(Sumitomo N,Ozaki K,Hitomi J.Kawaminami S,Kobayashi T.Kawai S,Ito S.(1995).Biosci.Biotechnol.Biochem.59,2172−2175)に導入し、得られた組換えプラスミドをpA3AGとした。pA3AGを用いてcoli HB101を形質転換した。得られた形質転換体をLB寒天培地上で一晩培養後、寒天上のくぼみから、coli HB101における組換え体のアガラーゼ活性を確認した。
なお、組換えアガラーゼの高発現はグラム陽性菌であるsubtilis ISW1214(leuA8 metB5 hsrM1)を宿主として行った。pA3AGを用いてsubtilis ISW1214を形質転換し、得られた形質転換体をCSL培地(コーンスティープリカー10%、魚肉エキス0.5%、酵母エキス0.05%、リン酸二水素カリウム0.2%、硫酸マグネシウム七水和物0.02%、塩化カルシウム0.05%、マルトース6%、テトラサイクリン15μg/ml、pH6.8)で72時間培養し、その培養上清82.5mlを得た。
上記の培養上清の精製は4℃以下で行った。まず、培養上清を6,500×gで10分間の遠心により、菌体と培養上清とを分離した。得られた培養上清に硫酸アンモニウムを90%飽和になるように徐々に添加した。生じた塩析物を8,000×gで25分間の遠心によって回収し、沈澱物を少量の20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)に再懸濁し、前述の緩衝液に対して一晩透析を行った。8,000×gで15分間の遠心で不溶残査を取り除いた後、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)で予め平衡化したDEAE−Toyopearl 650Mカラム(東ソー社製、2.5×15cm)に吸着させた。50mMのNaClを含む前述の緩衝液200mlでカラムを洗浄した後、50mM〜500mMのNaClの直線濃度勾配法(総溶出量500ml)を用いて酵素の溶出を行った。アガラーゼ活性のある溶出画分を合わせ、限外ろ過膜PM−10(Amicon社製)を用いて濃縮、さらに2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)によって緩衝液交換を行い、5mlの酵素溶液とした。この酵素溶液を2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラム(日本ケミカル社製、2.5×15cm)に供したところ活性のほとんどが素通り画分に検出された。続いて限外ろ過膜PM−10を用いて同活性画分を濃縮した。得られた濃縮液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)に対して一晩透析し、酵素液(2.0ml)を得た。
アガラーゼ活性の測定は0.2%精製寒天(ナカライ社製)を基質として、50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)中で行った。酵素反応によって生成した還元糖を3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法により測定した。1分間あたり、1μmolのD−ガラクトースに相当する量の還元糖を生成する酵素活性を1単位(U)とした。また、タンパク濃度の定量はDC Protein Assay Kit(バイオラッド社製)を用いてBSAを標準品として定量を行った。
下記表4に示されるように、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー後の活性画分の酵素比活性(364U/mg protein)は、培養上清の比活性に比べて530倍に上昇し、活性収率は64.9%であった。得られた酵素溶液のSDS−PAGEと活性染色において非常に近い分子量を持ち、アガラーゼ活性のある3つのタンパク質を含んでいた。
Figure 0004441486
(3)精製アガラーゼの性質(2)
上記のようにして精製されたアガラーゼ(以下、「RagaA3」という)の下記の性質について調べた。なお、特に基質が記載されていない場合には、寒天を基質として使用した。
<作用>
汎用性アガロース(Agarose L 03:TaKaRa社製)を基質とした時のRagaA3の反応生成物の経時変化をTLCにより分析した(図10)。その結果、本発明酵素はアガロースのβ−1,4結合をエンド型に分解する反応を触媒するβ−アガラーゼであることが判明した。
<基質特異性>
RagaA3の基質特異性を調べたところ、寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖等を生成するが、アガロースと共通の2糖の繰り返し単位を持つが、その糖の一部が硫酸基で置換された多糖類であるι、κ、λ−カラギーナンを分解しなかった。
<pH安定性および最適pH>
RagaA3の最適pHを、pH3〜pH9.5の間で50mMのブライトン−ロビンソン(Britton−Robinson)広域緩衝液を用いて測定したところ、中性のpH領域で活性を持ち、その最適pHはpH6.5〜7.5であった(図11)。また、RagaA3のpH安定性を、pH3〜pH12の間でブライトン−ロビンソン(Britton−Robinson)広域緩衝液中、40℃で30分間それぞれ保温した後の残存活性を測定したところ、pH4〜10.5の間で最大活性の50%以上の活性を保持していた(図12)。
<分子量>
SDS−PAGEにより測定したRagaA3の見かけの分子量は約34kDaであった。この値はAgaA3遺伝子がコードする成熟タンパクの推定分子量47kDaより小さい。RagaA3は宿主であるsubtilis ISW1214の分泌するプロテアーゼによって分解を受け、低分子化されていることが予想された。RagaA3のN末端アミノ酸配列を決定したところ、Ala−Leu−Ala−Ala−Asp−Trp−Asp−Asn−Ile−Proであった。この配列は、RagaA3の17〜26番のアミノ酸配列に相当する。
<温度の影響>
RagaA3の熱安定性を調べるために、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液中(pH7.0)でいろいろな温度で保温した後の残存活性を測定したところ、50℃まで安定であり、作用最適温度は50〜60℃であった(図13)。50℃で30分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の96.3%、64℃では52.3%、74℃では39.5%、83℃では32.6%であった。この酵素の耐熱性はPSAに比べて高かった(図14)。
<金属塩等の影響>
RagaA3を産生する微生物は海洋から単離された微生物であるので、海水中に含まれる様々なイオンの濃度が酵素活性に影響を与える可能性があると考え、これらのイオンに対する活性特性を調べた。まず本発明酵素活性に対するNaClの影響を調べた結果、RagaA3はその寒天分解活性にNaClを必ずしも必要とせず、NaCl濃度に依存した活性の変化はほとんど認められなかった。更に高濃度のNaCl(1M)を添加した場合でも約90%の活性を維持していた。
また、海水中の主要な金属イオンCa2+、Mg2+、K(5mMおよび100mM)の添加による活性の変化もほとんど認められなかった(107〜121%)。その他、海水中に含まれていると考えられる微量金属イオンのRagaA3の活性に与える影響を調べたところ、1mM濃度で、Hg2+、Cu2+、Pb2+、Zn2+によって強く阻害され(0〜13%の残存活性)、Fe2+によりやや阻害された(53%)。一方、Co2+、Cs、Fe3+、Li、Mn2+によっては阻害されなかった(100〜111%)。また、このことより、RagaA3の活性にはSH基、CO基、NH基の関与する酵素タンパクの構造維持が必要であることが考えられた。
更に、EDTAによる酵素活性阻害実験を行った結果、40℃で1時間処理しても、その酵素活性はほとんど阻害されず、100mM処理後でも約80%の活性を維持していた。この結果より、2価金属イオンはRagaA3の活性中心に関わるのではなく、一部の2価金属イオンがその構造維持に必要であることが考えられた。
<等電点>
RagaA3の等電点を、Multiphore II gel electrofocusing system、polyacrylamide gel plate、及びBroad pl calibration kit(Pharmacia Fine Chemica AB,Uppsala,Sweden)を用いた等電点電気泳動法によって測定した結果、3.5〜4.5であった。
<界面活性剤の影響>
RagaA7の界面活性剤による影響を下記表5に示す種類と濃度で調べた。RagaA7に非イオン性界面活性剤であるNonidet P40(ナカライテスク社製)およびTriton X100(ナカライテスク社製)ならびに陰イオン性界面活性剤であるTween 20(和光純薬工業社製)を0.1%および1%添加した場合ならびにSDS(バイオラッド社製)を0.1%添加した場合の残存活性は、何も添加しない場合の100%以上であった。一方、SDSを1%添加した場合の残存活性は何も添加しない場合の約50%であった。
Figure 0004441486
<SDSに対する安定性>
RagaA3のSDSに対する安定性を調べたところ、少なくとも1%SDS中、40℃で1時間処理後、未処理の場合に比べ48%の活性を維持していた。RagaA3のSDSに対する耐性はPSAよりも高かった(図15)。
<化学薬品に対する耐性>
RagaA3の化学薬品に対する耐性を下記表6に示す種類と濃度で調べた。RagaA3は0.1mMのN−ブロモスクシンイミド(シグマ社製)では阻害されたが、0.5mMのヨードアセトアミド(関東化学社製)および−(クロロメルクリ)安息香酸(ナカライテスク社製)、1mMのN−エチルマレイミド(和光純薬工業社製)、10mMのジチオトレイトール(Pharmacia Biotech社製)および2−メルカプトエタノール(ナカライテスク社製)で阻害されなかった。
Figure 0004441486
(1)アガラーゼ遺伝子の解析(3)
マイクロブルビファー エスピー A94株(以下、「A94株」と省略する)の染色体DNAをPstIで消化してDNA断片を得た。このDNA断片をHigh Pure PCR Product Purification Kit(Roche社製)を用いて精製し、精製DNA断片とした。この精製DNA断片と予めPstIで消化した後shrimp alkakine phosphatase(Roche製)で処理しておいたプラスミドベクターpUC18(TaKaRa社製)とをDNA Ligation Kit ver.2.0(TaKaRa社製)を用いてライゲーションした。このライゲーション混合液を用いてco li HB101(F’supE44 hsdS20 recA13 ara−14 proA2 lacY1 galK2 rpsL20 xyl−5 mtl−1 le B6 thi−1)を形質転換して形質転換体を作製した。
上記で作製した形質転換体を寒天培地に接種し、寒天培地にくぼみをつくるコロニーを寒天分解活性のあるクローンとして検出した。検出した寒天分解活性のあるクローンをLB寒天培地(バクトペプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1%、テトラサイクリン7.5μg/mlあるいはアンピシリン50μg/ml)上において37℃で一晩、画線培養した。その後、ヨウ素溶液で培地を染色し、菌体の周囲が、寒天由来の還元糖が生成されたためと考えられる、透明なハローとなったものを目的クローンとして得た。かくして得られたクローンをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地培養し、得られた細胞より、プラスミドDNAを調製することによって、組換えプラスミドpUBを得た。
この組換えプラスミドpUBの挿入断片のヌクレオチド配列を、pUC18のマルチクローニング部位の上流および下流の配列に相応する下記のプライマーを用いて解析を行った。
Figure 0004441486
この組換えプラスミドpUBの挿入断片のヌクレオチド配列を決定した結果(配列番号11)、挿入断片の大きさは3,910bp、G+C含量は51%であり、1,302bpから成るオープンリーデイングフレーム(ORF)を検出した。本ORFは433アミノ酸からなるタンパクをコードしていた。またATG配列の9bp上流には、リボソーム結合部位(RBS)と推定される配列5’−AAGGAG−3’が存在し、開始コドンの42bp上流にはcoliのプロモーターコンセンサス配列5’−TTGACA−3’(−35領域)と5’−TATAAT−3’(−10領域)に相同性のある領域5’−TTGTAG−3’(−35領域)と5’−TATGGT−3’(−10領域)(GENETYX−MAC 10.1プロモーター検索で、スコア56.2)が存在していた。終止コドンの48bp下流にはインバーティッドリピート配列が存在し、転写ターミネーターの役割をしていると予想される。
また、上記ORF(以下、これを「AgaB」という)がコードしているアミノ酸配列のFASTA相同性検索(http://ddbj.nig.ac.jp)を行った結果、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)ND137株、アエロモナス エスピー(Aeromonas sp.)B9株、シュードアルテロモナス アトランティカ(Pseudo alteromonas atlantica)、ゾベリア ガラクタニノボランス(Zobellia galacta ninovorans)Dsij株(2種)、マイクロシーラ エスピー(Microscilla sp.)PRE1株、ストレプトミセス セリカラー(coelicolor)A3(2)株由来のβ−アガラーゼと全アミノ酸(433アミノ酸)を通じてそれぞれ61.8%、54.3%、52.1%、55.0%、44.6%、36.5%、37.5%一致した。
(2)アガラーゼの発現と精製(3)
AgaBをコードするDNA断片を発現用ベクターpHSP64(Sumitomo N,Ozaki K,Hitomi J.Kawaminami S,Kobayashi T.Kawai S,Ito S.(1995). iosci.Biotechnol.Biochem.59,2172−2175)に導入し、得られた組換えプラスミドをpBAG1とした。pBAG1を用いてcoli HB101を形質転換した。得られた形質転換体をLB寒天培地上で一晩培養後、寒天上のくぼみから、coli HB101における組換え体のアガラーゼ活性を確認した。
なお、組換えアガラーゼの高発現はグラム陽性菌であるsubtilis ISW1214(leuA8 metB5 hsrM1)を宿主として行った。pBAG1を用いてsubtilis ISW1214を形質転換し、得られた形質転換体をCSL培地(コーンスティープリカー10%、魚肉エキス0.5%、酵母エキス0.05%、リン酸二水素カリウム0.2%、硫酸マグネシウム七水和物0.02%、塩化カルシウム0.05%、マルトース6%、テトラサイクリン15μg/ml、pH6.8)で72時間培養し、その培養上清669mlを得た。
上記の培養上清の精製は4℃以下で行った。まず、培養上清を6,500×gで10分間の遠心により、菌体と培養上清とを分離した。得られた培養上清に硫酸アンモニウムを80%飽和になるように徐々に添加した。生じた塩析物を8,000×gで25分間の遠心によって回収し、沈澱物を少量の20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)に再懸濁し、前述の緩衝液に対して一晩透析を行った。8,000×gで15分間の遠心で不溶残査を取り除いた後、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)で予め平衡化したDEAE−Toyopearl 650Mカラム(東ソー社製、2.5×15cm)に吸着させた。50mMのNaClを含む前述の緩衝液200mlでカラムを洗浄した後、50mM〜500mMのNaClの直線濃度勾配法(総溶出量500ml)を用いて酵素の溶出を行った。アガラーゼ活性のある溶出画分を合わせ、限外ろ過膜PM−10(Amicon社製)を用いて濃縮、さらに2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)によって緩衝液交換を行い、5mlの酵素溶液とした。この酵素溶液を2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラム(日本ケミカル社製、2.5×15cm)に供したところ活性のほとんどが素通り画分に検出された。続いて限外ろ過膜PM−10を用いて同活性画分を濃縮した。得られた濃縮液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)に対して一晩透析し、酵素液(0.6ml)を得た。
アガラーゼ活性の測定は0.2%精製寒天(ナカライ社製)を基質として、50mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)中で行った。酵素反応によって生成した還元糖を3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法により測定した。1分間あたり、1μmolのD−ガラクトースに相当する量の還元糖を生成する酵素活性を1単位(U)とした。また、タンパク濃度の定量はDC Protein Assay Kit(バイオラッド社製)を用いてBSAを標準品として定量を行った。
下記表7に示されるように、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー後の活性画分の酵素比活性(459U/mg protein)は、培養上清の比活性に比べて219倍に上昇し、活性収率は9.0%であった。また、得られた酵素溶液のSDS−PAGEと活性染色において、単一のバンドであることから、純粋に精製されていることを確認した。
Figure 0004441486
(3)精製アガラーゼの性質(3)
上記のようにして精製されたアガラーゼ(以下、「RagaB」という)の下記の性質について調べた。なお、特に基質が記載されていない場合には、寒天を基質として使用した。
<作用>
汎用性アガロース(Agarose L 03:TaKaRa社製)を基質とした時のRagaBの反応生成物の経時変化をTLCにより分析した(図16)。その結果、本発明酵素はアガロースのβ−1,4結合をエンド型に分解する反応を触媒するβ−アガラーゼであることが判明した。
<基質特異性>
RagaBの基質特異性を調べたところ、寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖等を生成するが、アガロースと共通の2糖の繰り返し単位を持つが、その糖の一部が硫酸基で置換された多糖類であるι、κ、λ−カラギーナンを分解しなかった。
<pH安定性および最適pH>
RagaBの最適pHを、pH3〜pH11の間で50mMのブライトン−ロビンソン(Britton−Robinson)広域緩衝液を用いて測定したところ、中性のpH領域で活性を持ち、その最適pHはpH6.5〜7.5であった(図17)。また、RagaA3のpH安定性を、pH3〜pH12の間でブライトン−ロビンソン(Britton−Robinson)広域緩衝液中で40℃で30分間それぞれ保温した後の残存活性を測定したところ、pH4〜10の間で最大活性の50%以上の活性を保持していた(図18)。
<分子量>
SDS−PAGEにより測定したRagaBの見かけの分子量は約32kDaであった。この値はAgaB遺伝子がコードする成熟タンパクの推定分子量46kDaより小さい。RagaBは宿主であるsubtilis ISW1214の分泌するプロテアーゼによって分解を受け、低分子化されていることが予想された。組換え酵素RagaBのN末端アミノ酸配列を決定したところ、Tyr−Ala−Ala−Asp−Trp−Asp−Gly−Val−Pro−Valであった。この配列は、RagaBの19〜28番のアミノ酸配列に相当する。
<温度の影響>
RagaBの熱安定性を調べるために、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液中(pH7.0)でいろいろな温度で保温した後の残存活性を測定した。50℃以下の温度で安定であり、作用最適温度は50〜60℃であった(図19)。また、50℃で30分間の熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の88.0%、64℃では17.6%、74℃では15.1%、83℃では11.3%であった。この酵素の耐熱性はPSAに比べて高かった(図20)。
<金属塩等の影響>
RagaBを産生する微生物は海洋から単離された微生物であるので、海水中に含まれる様々なイオンの濃度が酵素活性に影響を与える可能性があると考え、これらのイオンに対する活性特性を調べた。まず本発明酵素活性に対するNaClの影響を調べた結果、この組換え酵素はその寒天分解活性にNaClを必ずしも必要とせず、NaCl濃度に依存した活性の変化はほとんど認められなかった。更に高濃度のNaCl(1M)を添加した場合でも約90%の活性を維持していた。
また、海水中の主要な金属イオンCa2+、Mg2+、K(5mMおよび100mM)の添加による活性の変化もほとんど認められなかった(96〜114%)。その他、海水中に含まれていると考えられる微量金属イオンのRagaBの活性に与える影響を調べたところ、1mM濃度で、Hg2+、Cu2+、Pb2+、Zn によって強く阻害された(0〜35%)。一方、Al3+、Co2+、Cs、Fe2+、Fe3+、Li、Mn2+、Ni2+によっては阻害されなかった(101〜118%)。また、このことより、RagaBの活性にはSH基、CO基、NH基の関与する酵素タンパクの構造維持が必要であることが考えられた。
更に、EDTAによる酵素活性阻害実験を行った結果、40℃で1時間処理することにより、その酵素活性はEDTA濃度に比例して阻害されたが、100mM処理後でも約74%の活性を維持していた。この結果より、2価金属イオンはRagaBの活性中心に関わるのではなく、一部の2価金属イオンがその構造維持に必要であることが考えられた。
<等電点>
RagaBの等電点をMultiphore II gel electrofocusing system、polyacrylamide gel plate、及びBroad pl calibration kit(Pharmacia Fine Chemica AB,Uppsala,Sweden)を用いた等電点電気泳動法によって測定した結果、3.7〜5.2であった。
<界面活性剤の影響>
RagaBの界面活性剤による影響を下記表8に示す種類と濃度で調べた。RagaBに非イオン性界面活性剤であるNonidet P40(ナカライテスク社製)およびTriton X100(ナカライテスク社製)ならびに陰イオン性界面活性剤であるTween 20(和光純薬工業社製)およびSDS(バイオラッド社製)を0.1%および1%添加した場合の残存活性は、何も添加しない場合の100%以上であった。
Figure 0004441486
<SDSに対する安定性>
RagaBのSDSに対する耐性を調べたところ、2.0%のSDS中、40℃で1時間処理した後でも未処理の場合と同等の活性を維持していた。また0.4%のSDSで同様に処理すると活性はSDSを加えない時の約2.0倍に上昇した。本発明酵素のSDSに対する耐性はPSAよりも高かった(図21)。
<化学薬品に対する耐性>
RagaBの化学薬品に対する耐性を下記表9に示す種類と濃度について調べた。RagaBは0.1mMのN−ブロモスクシンイミド(シグマ社製)では阻害されたが、0.5mMのヨードアセトアミド(関東化学社製)および−(クロロメルクリ)安息香酸(ナカライテスク社製)、1mMのN−エチルマレイミド(和光純薬工業社製)、10mMのジチオトレイトール(Pharmacia Biotech社製)および2−メルカプトエタノール(ナカライテスク社製)で阻害されなかった。
Figure 0004441486
本発明により、耐熱性を有する新規寒天分解酵素およびこの寒天分解酵素をコードするヌクレオチド配列が提供される。
そして、この酵素を用いることにより、医薬品、化粧品、飲食品の分野で有用な寒天由来オリゴ糖を工業的に大量生産する方法を提供することが可能となった。
また、この酵素を海藻等に作用させることにより、海藻中の生理活性物質等の有用物質の抽出や、藻類の有用品種開発に利用することができる。
更に、上記ヌクレオチド配列を遺伝子工学的に利用することにより、本発明寒天分解酵素を、簡便かつ生産性良く製造することが可能となる。

Claims (18)

  1. 次の性質を有する寒天分解酵素。
    (1)作用:
    アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロオリゴ糖を生成する。
    (2)基質特異性:
    少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成する。
    (3)最適作用温度:
    50〜60℃
    (4)最適作用pH:
    6.5〜7.5
    (5)分子量:
    34kDaまたは32kDa(SDS−PAGEによる測定)
  2. マイクロブルビファー(Microbulbifer)属微生物由来のものである請求項第1項記載の寒天分解酵素。
  3. マイクロブルビファー属微生物が、寄託番号FERM BP−8319のマイクロブルビファー エスピー 1325−A3(Microbulbifer sp. 1325-A3)であり、60℃以上で30分間の熱処理後の残存活性が、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の20%以上である請求項第2項記載の寒天分解酵素。
  4. マイクロブルビファー属微生物が、寄託番号FERM BP−8321のマイクロブルビファー エスピー A94(Microbulbifer sp. A94)であり、60℃以上で30分間の熱処理後の残存活性が、熱処理をしない(0℃、30分間)場合の7%以上である請求項第2項記載の寒天分解酵素。
  5. 配列番号5で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する請求項第1項記載の寒天分解酵素。
  6. 配列番号5で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する請求項第1項記載の寒天分解酵素。
  7. 配列番号9で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する請求項第1項記載の寒天分解酵素。
  8. 配列番号9で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する請求項第1項記載の寒天分解酵素。
  9. 下記(a2)〜(d2)からなる群から選ばれ、請求項第1項記載の寒天分解酵素のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
    (a2)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (b2)配列表の配列番号5に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (c2)配列表の配列番号6に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
    (d2)配列表の配列番号6に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドより選ばれるポリヌクレオチド。
  10. 下記(a3)〜(d3)よりなる群から選ばれ、請求項第1項記載の寒天分解酵素のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
    (a3)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (b3)配列表の配列番号9に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (c3)配列表の配列番号10に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
    (d3)配列表の配列番号10に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドより選ばれるポリヌクレオチド。
  11. 請求項第項または第10項記載のポリヌクレオチドを有する組換えベクター。
  12. 請求項第11項記載の組換えベクターにより形質転換された微生物。
  13. 請求項第12項記載の微生物を培養し、培養物より請求項第1項ないし第項の何れかの項記載の寒天分解酵素を採取することを特徴とする寒天分解酵素の製造方法。
  14. 藻類に、請求項第1項ないし第項の何れかの項記載の寒天分解酵素を作用させてネオアガロオリゴ糖を得ることを特徴とするネオアガロオリゴ糖の製造方法。
  15. 藻類に、請求項第1項ないし第項の何れかの項記載の寒天分解酵素を作用させてプロトプラストを得ることを特徴とする藻類のプロトプラストの製造方法。
  16. DNAをアプライしたアガロースゲルに、請求項第1項ないし第項の何れかの項記載の寒天分解酵素を作用させてアガロースゲル中のDNAを回収することを特徴とするアガロースゲル中のDNAの回収方法。
  17. 寄託番号FERM BP−8319のマイクロブルビファー エスピー 1325−A3(Microbulbifer sp. 1325-A3)。
  18. 寄託番号FERM BP−8321のマイクロブルビファー エスピー A94(Microbulbifer sp. A94)。
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