JP4334361B2 - 寒天分解酵素およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は寒天分解酵素およびその利用に関し、更に詳細には従来の寒天分解酵素に比べ、重合度が6以上のオリゴ糖を効率よく生産でき、かつ酵素の安定性を容易に調節しうる新規な寒天分解酵素およびその利用に関する。
寒天は、テングサ、オゴノリ等の紅藻類から得られる多糖類であり、その主成分はアガロースである。また、寒天中にはアガロースに硫酸、硫酸ピルビン酸等がエステル結合したアガロペクチンと総称される多糖も少量存在している。
アガロースを寒天分解酵素であるβ−アガラーゼにより加水分解することによりネオアガロオリゴ糖が得られるが、このものは、デンプン老化防止作用が強く、加熱処理により静菌作用を生じることや、低カロリー性等の面から食品分野で高機能性食品の原料として有用である(例えば、非特許文献1参照)。また、海藻成分をβ−アガラーゼにより加水分解して得られるオリゴ糖には免疫機能活性化機能(例えば、非特許文献2参照)、肌への美白、保湿効果(例えば、非特許文献3参照)が認められている。
一方、寒天分解酵素を用いて海藻類の強固な細胞組織を分解し、生理活性物質を抽出したり、あるいは該酵素を用いて作成したプロトプラスト(例えば、非特許文献4参照)を利用して海藻の有用品種の開発をすることは未開発の海洋生物資源の新たな有効利用として期待されている。
しかしながら、従来知られている寒天分解酵素(例えば、特許文献1参照)は、生産性が低く、高価であるために工業的利用が難しいという問題や、重合度6以下の寒天由来オリゴ糖に作用するため、重合度6以上の寒天由来オリゴ糖を効率良く生産できないという問題があった。
また、食品や化粧品に用いるためのオリゴ糖製造の際には、酵素反応終了後に酵素を失活させる必要があるが、既存の容易に熱で失活させうる酵素は、高温条件下での効率の良いオリゴ糖生成反応には適さないとう問題があり、産業界で広く利用されるという状態にはない。
特開平6−284888号公報 河野敏明、「寒天オリゴ糖(ネオアガロオリゴ糖)」、食品包装、(1990)、22(1):100-105 Yoshizawa Y., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., (1995), 59(10):1933-1937 Kobayashi R., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., (1997), 61(1):162-163 Araki T., et al., J. Mar. Biotechnol., (1998), 6(3):193-197
従って、本発明は、従来知られている寒天分解酵素に比べ、重合度6以上の寒天由来オリゴ糖を効率良く生産でき、かつ熱に対する安定性を制御することによって、高温でのオリゴ糖生成と比較的低温での失活の両立が可能で、更に大量生産可能な寒天分解酵素および遺伝子工学技術を利用した当該酵素の製造に利用可能なその遺伝子の提供をその課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、寒天分解酵素を産生する微生物について鋭意探索したところ、極めて高い寒天を分解する能力を有する海洋性細菌、マイクロブルビファー エスピー A94(Microbulbifer sp. A94)が、重合度6以上の寒天由来オリゴ糖を効率よく生産でき、かつ金属塩の濃度を変化させることでその酵素活性を制御でき、高温でのオリゴ糖生成と比較的低温での失活の両立が可能な寒天分解酵素を産生することを見出した。また、この微生物の寒天分解酵素遺伝子をクローニングし、これを利用することで上記寒天分解酵素の遺伝子組換え技術による大量生産が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の性質を有する寒天分解酵素を提供するものである。
(1)作用:
アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロヘキサオースを主成分とする重合度の異なるネオアガロオリゴ糖を生成する。
(2)基質特異性:
少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成するが、重合度6以下の寒天由来オリゴ糖はほとんど分解しない。
(3)金属塩が酵素の安定性に与える影響および失活の条件:
金属塩の濃度が高い場合には熱に対する安定性が高まり、金属塩の濃度が低い場合には熱に対する安定性が低下する。
また、本発明は配列番号1で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する上記寒天分解酵素並びに配列番号1の479−1175番のアミノ酸配列で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する前記の寒天分解酵素を提供するものである。
更に、本発明は、前記の寒天分解酵素のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、下記(a)〜(h)からなる群
(a)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチド
(b)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠
失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
するポリヌクレオチド
(c)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド
(d)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列中の1個もしくは
複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(e)配列表の配列番号2に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(f)配列表の配列番号2に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(g)配列表の配列番号2に示す1690−3783番のヌクレオチド配列を有するポ
リヌクレオチド
(h)配列表の配列番号2に示す1690−3783番ヌクレオチド配列中の1個もし
くは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有
するポリヌクレオチド
より選ばれるポリヌクレオチドを提供するものである。
また更に、本発明は、前記ポリヌクレオチドを有するベクターおよび当該ベクターにより形質転換された微生物を提供するものである。
更にまた、本発明は、前記微生物を培養し、培養物より寒天分解酵素を採取することを特徴とする寒天分解酵素の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、藻類に前記寒天分解酵素を作用させてネオアガロオリゴ糖やプロトプラストを製造する方法を提供するものである。
本発明により、新規寒天分解酵素およびこの寒天分解酵素をコードするヌクレオチド配列が提供される。
そして、この寒天分解酵素を用いることにより、医薬品、化粧品、飲食品の分野で有用な寒天由来オリゴ糖を工業的に大量生産する方法を提供することが可能となった。
また、この酵素を海藻等に作用させることにより、海藻中の生理活性物質等の有用物質の抽出や、藻類の有用品種開発に利用することができる。
更に、上記ヌクレオチド配列を遺伝子工学的に利用することにより、本発明寒天分解酵素を、簡便かつ生産性良く製造することが可能となる。
本発明の寒天分解酵素(以下、「本発明酵素」という)は、従来の寒天分解酵素と比べ、重合度6以上の寒天由来オリゴ糖を効率良く生産でき、かつ熱に対する安定性を金属塩の濃度により容易に制御できるので、高温でのオリゴ糖生成と、比較的低温での失活の両立が可能なものである。また、酵素としても、次のような特性を有するものである。
なお、本明細書において酵素の活性は、特に記述しない限り0.2%精製寒天(ナカライ社製)を基質として0.5MのNaCl、10mMのCaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)中で行った。また、酵素反応によって生成した還元糖は3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法により測定した。従って、本発明において酵素の活性は、1分間当たり1μmolのD−ガラクトースに相当する量の還元糖を生成する酵素活性を1単位(U)として表示する。
(1)作用:
アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロヘキサオースを主成分とするネオアガロオリゴ糖を生成する。
(2)基質特異性:
少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成するが、重合度6以下の寒天由来オリゴ糖はほとんど分解しない。
(3)金属塩が酵素の安定性に与える影響および失活の条件:
金属塩の濃度が高い場合には熱に対する安定性が高まり、金属塩の濃度が低い場合には熱に対する安定性が低下する。ここで金属塩の濃度とは、本発明酵素または本発明酵素を産生する微生物を含む酵素溶液や反応溶液(以下、単に「反応溶液」という)中の金属塩の濃度をいう。具体的な金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等の1価の金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の2価の金属塩が挙げられるが、特にこれらの塩に限定されるものではない。
上記1価の金属塩の濃度が1〜4Mである場合、30℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、15分間)場合の80%以上、好ましくは90%以上であり、40℃で15分間熱処理後の残存活性は60%以上、好ましくは70%以上である。
また、上記2価の金属塩の濃度が0.1〜0.4Mである場合、40℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない場合の80%以上、好ましくは85%以上である。
一方、上記1価の金属塩の濃度が0.1M以下であり、かつ上記2価の金属塩の濃度が0.1mM以下の場合、40℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない場合の10%以下である。
(4)温度安定性および作用最適温度:
反応溶液中のCaClの濃度が0.01〜1Mである場合、45℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、15分間)場合の80%以上、好ましくは90%以上であり、50℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない場合の70%以上、好ましくは80%以上である。この場合の作用温度は20〜55℃であり、最適作用温度は40〜50℃である。
反応溶液中のMgClの濃度が0.1〜0.4Mである場合、30℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない場合の90%以上、好ましくは95%以上であり、40℃で15分間処理後の残存活性は、80%以上、好ましくは85%以上である。この場合の作用温度は20〜50℃であり、最適作用温度は35〜45℃である。
反応溶液中のNaClの濃度が1〜4Mである場合、30℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない場合の80%以上、好ましくは90%以上であり、40℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない場合の60%以上、好ましくは70%以上である。この場合の作用温度は20〜50℃であり、最適作用温度は30〜40℃である。
(5)pH安定性および作用最適pH:
pH6〜9の範囲で安定である。作用pH範囲は5〜8であり、最適pHは6〜8である。
(6)分子量:
60〜130kDa(SDS−PAGEによる測定)
(7)金属塩等が活性に与える影響:
Al3+、Co2+、Cu2+、Hg2+、Fe2+、Fe3+、Pb2+、Zn2+により強く阻害され、Cs、K、Li、Mn2+によっては阻害されない。
(8)化学薬品に対する耐性:
0.1mMのN−ブロモスクシンイミドで阻害される。0.5mMのヨードアセトアミドおよび−(クロロメルクリ)安息香酸、1mMのN−エチルマレイミド、10mMのジチオトレイトールおよび2−メルカプトエタノールで阻害されない。
このような本発明酵素を生産する微生物は、特に限定はされるものではないが、例えば次のようにして得ることができる。まず、微生物群を寒天またはアガロースを含む平板培地上で培養し、寒天を分解する能力を有する微生物を選抜する。この培地は寒天を含む培地に、窒素源、無機化合物等の栄養成分を適当量含有するものであれば、天然培地、合成培地の何れも使用することができる。次いで、前記した本発明酵素の特性を元に、これを産生する微生物をスクリーニングすればよい。
このようにして得られた微生物の一例としては、本発明者らが相模湾や、若狭湾の海底の泥から得た下記の菌学的性質を有する微生物を挙げることができる。
菌学的性質:
<形態>
マリンブロス2216培地(ディフコ社製)に生育した細胞についての形態。
細胞の形態:桿菌
細胞の大きさ:0.6〜0.8μm×3.0〜6.0μm
運動性:有
鞭毛:有
グラム染色性:陰性
胞子形成:無
<生育状態>
液体培養における生育状態。
最適温度:20〜52℃で良好に生育
食塩濃度:1〜5%で良好に生育
<生理学的性質>
O−Fテスト:F
カタラーゼテスト:陽性
オキシダーゼテスト:陽性
ゼラチン分解能:有
デンプン分解能:有
ONPGテスト:陰性
ウレアーゼ生産:無
硫化水素生産:無
インドール生産:無
硝酸還元能:有
資化性(L−アラビノース、セロビオース、D−ガラクトース、
D−グルコース):有
また、上記の菌学的性質を有する微生物の16S rDNA配列をCLUSTAL X Multiple Sequence Alignment Program(version 1.81)を用いて分類学的位置を解析した。解析した結果をneighbor−joining法に基づき記載した系統樹を図1に示す。
上記微生物は、16S rDNA配列の解析の結果によりマイクロブルビファー(Microbulbifer)属であると判断されたが、前記した菌学的性質と総合すると、マイクロブルビファー属に属する微生物であるとされる可能性が強いものの、その他の属の微生物である可能性も捨てきれない。
そこで本出願人らは16S rDNA解析の結果に基づき、上記微生物を一応マイクロブルビファー属の新種であるとした上で、これをマイクロブルビファー エスピー A94(Microbulbifer sp. A94)と命名した。そしてこれをA94として、2003年3月6日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)へ国際寄託した(寄託番号FERM BP−8321)。
本発明酵素を得るには、例えば上記本発明酵素を産生する微生物(以下、「本発明微生物」という)を常法に従って培地に接種した後培養し、次いでこの培養物中から本発明酵素を回収すればよい。
本発明微生物の培養に用いる培地は、寒天またはアガロース、寒天分解物等を炭素源として含むことが望ましい。その他、培地中には、本菌株が資化し得る炭素源及び窒素源を適当量含有せしめておくことも可能である。上記の寒天、アガロースは、市販のもの、あるいは加工、精製される前の紅藻類を単独、併用して用いることができる。また、その他の炭素源及び窒素源については特に制限はないが、窒素源としては、例えば、肉エキス、酵母エキス、カゼイン分解物、トリプトン、ペプトン等が挙げられるが、好ましくは酵母エキス、ペプトンが用いられる。これらの窒素源は寒天、アガロース以外の炭素源としても使用できる。更に塩類としては、塩化ナトリウム、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、臭化カリウム、塩化ストロンチウム、ホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム等を組み合わせて用いることができる。また、寒天、アガロース以外の前記成分を含んだマリンブロス2216(ディフコ社製)に、寒天またはアガロースを含む物質等を加えて用いることもできる。更に、前記塩類を適度に含む人工海水を用い、これにペプトン、酵母エキス、寒天またはアガロースを含む物質等を加えた培地を用いることもできる。寒天またはアガロースの濃度は、0.1〜1.5%が好ましく、この際、寒天またはアガロースの濃度を任意に変えることにより固体培地、液体培地を作り分けることが可能であるが、酵素生産を目的とする場合は、濃度0.1〜0.4%の液体培養が好ましく、菌体の保存を目的とするときは、濃度1.2〜1.5%の固体培養が好ましい。
本発明微生物の培養条件は、培地の組成によって多少異なるが、培養温度は、20〜50℃、好ましくは25〜40℃であり、培養時間は、15〜48時間、好ましくは18〜24時間である。
かくして得られる培養物中からの本発明酵素の回収は、一般の酵素の採取の手段に準じて行うことができる。この回収法は、特に限定はされないが、例えば超音波破砕法、フレンチプレス法、ガラスビーズ破砕法、ダイノミル破砕法等の菌体破砕法で菌体を破砕し、得られた菌体破砕物、あるいは培養物を遠心、ろ過等の操作によって菌体と培養上清に分離する方法が挙げられ、得られた培養上清は、粗酵素液として用いることができる。
この粗酵素液は、そのまま使用することもできるが、必要に応じて、例えば塩析法、沈澱法、限外濾過法等の分離手段、例えばイオン交換クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等の公知の方法を組み合わせて、更に分離精製したものとして使用することもできる。
また、本発明酵素を得るための別の方法としては、上記の本発明微生物から本発明酵素をコードする遺伝子を取り出した後、遺伝子工学技術を用いて組換え微生物を作製し、当該組換え微生物を培養する方法が挙げられる。具体的には、本発明酵素のアミノ酸配列コードするヌクレオチド配列を、例えば前記マイクロブルビファー エスピー A94より取得し、次いでこのヌクレオチド配列を適当なベクターに組込み、更に、このベクターにより大腸菌等の宿主を形質転換し、これを培養して本発明酵素を産生させ、培養物より本発明酵素を採取すればよい。以下に具体的な遺伝子工学技術を用いた本発明酵素の製造方法について説明する。
本発明酵素は、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列、当該配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列、または当該配列と57%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、好ましくは配列番号1で示されるアミノ酸配列またはこの配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドであるから、ヌクレオチド配列として、これに対応したポリヌクレオチドを使用することが必要である。また、現代のタンパク工学的手法によれば酵素の活性発現に必要な領域を見い出すのは、容易なことであるので、ヌクレオチド配列として本酵素の加水分解能力を発揮できる領域、例えば配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドや、上記アミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドあるいは上記アミノ酸配列と49%以上の相同性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、好ましくは配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用することができる。なお、上記相同性としては、好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上が挙げられる。
本発明酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の例としては、具体的に、下記(a)〜(i)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドが挙げられる。
(a)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチド
(b)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠
失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード
するポリヌクレオチド
(c)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチド
(d)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列中の1個もしくは
複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(e)配列表の配列番号2に示すヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(f)配列表の配列番号2に示すヌクレオチド配列中の1個もしくは複数個の塩基が欠
失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(g)配列表の配列番号3に示す1690−3783番のヌクレオチド配列を有するポ
リヌクレオチド
(h)配列表の配列番号3に示す1690−3783番のヌクレオチド配列中の1個も
しくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を
有するポリヌクレオチド
(i)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド
また、本発明酵素のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列のその他の例としては、上記(a)〜(h)からなる群より選ばれるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドが挙げられる。ここで、ストリンジェントな条件としては、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハルト、100mg/mlニシン精子DNAを含む溶液中、プローブとともに55℃で一晩保温するという条件が挙げられる。また、ハイブリダイゼーションは、例えば、サムブルックら(Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T., Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, (1982))の方法により実施することができる。
本発明酵素を生産する組換え微生物の作製は、公知の手段を組み合わせることにより行うことができる。すなわち、上記マイクロブルビファー エスピー A94からの本発明酵素をコードするヌクレオチド配列の取得やその増幅、ベクターへのヌクレオチド配列の挿入、当該遺伝子による宿主の形質転換等は、この分野の成書に記載された方法を適宜利用することにより行われる。
このうち、組換え微生物の製法の一例としては、特に限定はされないが、次に示す方法を挙げることができる。すなわち、マイクロブルビファー エスピー A94等の本発明酵素の生産菌から、ショットガンクローニング、あるいは特定のプライマーを用いたPCR増幅等によって、本発明酵素遺伝子を取得する。この遺伝子を、EK系の.coli等に代表されるグラム陰性菌、あるいはBS系の.subtilis等に代表されるグラム陽性菌に導入して、組換え体を取得する。形質転換にはプラスミド等の核外遺伝子をベクターにして利用、あるいは宿主菌本来有しているDNA取り込み能力等を利用する方法を用いることができる。
また、上記のようにして作製された組換え微生物の培養、培養物からの本発明酵素の取得、当該酵素の精製も、前記した方法や公知方法あるいはこれに準じた方法により行うことができる。
この本発明酵素は、従来の寒天分解酵素と同様に、例えば寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖を含む藻類の破砕物または抽出物を原料とした寒天由来オリゴ糖等の製造等に使用することができる。また、本発明酵素は藻類、特に紅藻類からのプロトプラストの製造や有用物質の抽出等の用途に使用することができる。
具体的に、寒天由来オリゴ糖の製造は、特に限定はされないが、次に示す方法を用いることができる。すなわち、アガロース、寒天等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合、α−1,3結合した骨格を持つ多糖類または同様の骨格を有するオリゴ糖を含む藻類の破砕物または抽出物を原料とし、これに、本発明の寒天分解酵素を加え、pH4〜10、30〜50℃の範囲に保持することで寒天由来オリゴ糖等のオリゴ糖を生成できる。
上記の寒天由来のオリゴ糖の製造方法においては、次のように本発明酵素の特性を利用することにより、より効率を上げることができる。
上記寒天由来のオリゴ糖製造に際し、原料を懸濁、あるいは溶解する溶液は、特に以下の例に限定されないが、例えば1mM以上の塩化カルシウム、0.1M以上の塩化マグネシウム、0.5M以上の塩化ナトリウム、0.5M以上の塩化カリウムの何れか、またはこれらのうちの複数の金属塩類を含む溶液を用いることができる。例えば、通常、上記金属塩類を含むことが知られている海水を、そのまま用いてもよい。寒天を望ましい重合度まで分解したのち、寒天分解反応を停止させるには、反応液中の上記金属塩の濃度を下げ、例えば40℃以上、15分以上保温するという穏やかな加熱条件で、容易に熱失活させることが可能である。反応液中の金属塩の濃度を下げる方法としては、特に限定はされないが、例えば、イオン交換樹脂の利用、キレート剤の添加、希釈、電気的溶出等が挙げられる。
なお、本発明酵素を用いて得られるオリゴ糖は、本発明酵素が重合度6以下の寒天由来オリゴ糖に作用しないため、ネオアガロヘキサオースが主成分となる。
かくして得られる寒天由来オリゴ糖等のオリゴ糖は、特に限定はされないが、例えば、以下に示す用途に使用される。すなわち、低カロリー性食品や、加熱処理後に生じるある種の微生物に対する静菌作用やデンプン老化防止作用を有する飲食品改良剤として使用される。また、薬理作用、例えば免疫機能調節機能、血圧降下作用、抗腫瘍作用、腸のぜん動運動を活性化する機能を有する医薬品や高機能性飲食品として、あるいは保湿、美白作用を有する化粧品の成分等として用いることができる。
また、寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を持つ多糖類を細胞組織成分に有する藻類を原料としたプロトプラストの製造は、特に限定はされないが、例えば以下に示す方法で行うことができる。すなわち、供試海藻に、0.7Mのマンニトール含有MES緩衝液(pH7.5)中でパパインを作用させる。その後0.7Mのマンニトール含有MES緩衝液(pH7.5)を用いて、40μmのナイロンメッシュでろ過洗浄し、洗浄した葉体をナイフで数ミリ片に裁断する。次いで、裁断片を本発明酵素、市販のセルラーゼオノズカRSおよびマイセロチームR−10を含む0.7Mのマンニトールおよび10mMの塩化カルシウムを含有する含有MES緩衝液(pH7.5)中で振とうすることによって、プロトプラストを得ることができる。
かくして得られるプロトプラストは、特に限定はされないが例えば、海藻中の生理活性物質等の有用物質の抽出、海藻組織培養、海藻細胞の生化学的、生理学的研究、細胞融合や遺伝子導入等を利用した海藻有用品種開発に用いることができる。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
なお、以下の実施例において、染色体DNAとプラスミドDNAはそれぞれサイトウら(Saito H, Miura K., Biochem. Biophys. Acta, 72: 619-629, (1963))およびバーンボイムら(Birnboim HC, Doly J., Nucleic Acids Res., 7:1513-1523,(1979))の方法に従って調製した。他の基本的遺伝子操作はサムブルックら(Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T., Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2nd edn Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, (1982))の方法に基づいて行った。また、形質転換は、ハナハンら(Hanahan D., J. Mol. Gen. Genet., 166: 557-580, (1983))の方法、バチルス.ズブチリス(B. subtilis)の形質転換はチャンら(Chang S., Cohen SN., Mol. Gen. Genet., 168:111-115, (1979))の方法で行った。
実 施 例 1
寒天分解菌のスクリーニング:
海洋科学技術センターに保存されている海底土壌のサンプルをマリンブロス2216培地(ディフコ社製)で適宜希釈し、マリンアガー平板培地に接種し、15〜55℃の様々な温度で16〜48時間培養した。コロニー周辺の寒天を分解し、用いた平板培地にくぼみを形成した菌を、更に別のマリンアガー平板培地に接種し、その菌に適した温度で培養した。続いて、同培地で画線培養を繰り返し寒天分解細菌を単離した。
上記スクリーニングで得られた寒天分解菌のうち、従来知られている寒天分解酵素よりも高活性の寒天分解酵素を産生する微生物として、A94株を取得した。この株の16S rDNA配列を、CLUSTAL X Multiple Sequence Alignment Program(version 1.81)を用いて分類学的位置を解析した結果、A94株はマイクロブルビファー(Microbulbifer)属の新種である可能性が強いと判断された。そこで、このA94株をマイクロブルビファー エスピー A94と命名した。しかしながら、その他の属の微生物である可能性もすてきれない。
実 施 例 2
(1)アガラーゼ遺伝子の解析
マイクロブルビファー エスピー A94株(以下、「A94株」と省略する)の染色体DNAをEcoRIで消化してDNA断片を得た。このDNA断片をHigh Pure PCR Product Purification Kit(Roche社製)を用いて精製し、精製DNA断片とした。この精製DNA断片と予めEcoRIで消化しておいたプラスミドベクターpUC18(TaKaRa社製)とをDNA Ligation Kit ver. 2.0(TaKaRa社製)を用いてライゲーションした。このライゲーション混合液を用いて.coli HB101(F’supE44 hsdS20 recA13 ara−14 proA2 lacY1 galK2 rpsL20 xyl−5 mtl−1 leuB6 thi−1)を形質転換して形質転換体を作製した。
上記で作製した形質転換体を寒天培地に接種し、寒天培地にくぼみをつくるコロニーを寒天分解活性のあるクローンとして検出した。検出した寒天分解活性のあるクローンをLB寒天培地(バクトペプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1%、テトラサイクリン7.5μg/mlあるいはアンピシリン50μg/ml)上において37℃で一晩、画線培養した。その後、ヨウ素溶液で培地を染色し、菌体の周囲が、寒天由来の還元糖が生成されたためと考えられる、透明なハローとなったものを目的クローンとして得た。かくして得られたクローンをアンピシリン50μg/mlを含むLB培地培養し、得られた細胞より、プラスミドDNAを調製することによって、組換えプラスミドpUAO1を得た。
この組換えプラスミドpUAO1の挿入断片のヌクレオチド配列を、pUC18のマルチクローニング部位の上流および下流の配列に相応する下記のプライマーを用いて解析を行った。
プライマー1:5’−GTGGAATTGTGAGCGGATAAC−3’
プライマー2:5’−CGAAAGGGGGATGTGCTGC−3’
この組換えプラスミドpUAO1の挿入断片のヌクレオチド配列を決定した結果、挿入断片の大きさは12,042bp、G+C含量は52%であり、3,528bpから成るオープンリーデイングフレーム(ORF)を検出した。本ORFとその上流、下流域を含むヌクレオチド配列を配列番号3に示した。本ORFは1,175アミノ酸からなるタンパクをコードしていた(配列番号1)。また、開始コドンの7bp上流には、リボソーム結合部位(RBS)と推定される配列5'−GGAG−3'が存在し、208bp上流には.coliのシグマ70タイプのプロモーターと推定される配列5'−TTGTTT−3'(−35領域)と5'−TACCGT−3'(−10領域)が存在していた。終止コドンの22bp下流には−147.9kJ/molの自由エネルギーを有するインバーティッドリピート配列が存在し、転写ターミネーターの役割をしていると予想される。
また、上記ORFがコードしているアミノ酸配列(以下、これを「AgaO」という)のFASTA相同性検索(http://ddbj.nig.ac.jp)を行った結果、マイクロブルビファー エスピー(Microbulbifer sp. )JAMB−A7株、アルテロモナス アガリティカ(Alteromonas agalytica)GJ1B株、 シュードアルテロモナス アトランティカ(Pseudoalteromonas atlantica)Tc6株由来のアガラーゼと全アミノ酸(1,175アミノ酸)を通じてそれぞれ、56.2%、32.3%、30.3%一致した。
(2)アガラーゼの発現と精製
AgaOをコードするDNA断片の一部、すなわち配列表の配列番号のヌクレオチド1277−3783番に相当するDNA断片を発現用ベクターpHSP64(Sumitomo N, Ozaki K, Hitomi J. Kawaminami S, Kobayashi T. Kawai S,Ito S. (1995). Biosci. Biotechnol. Biochem., 59, 2172-2175)に導入し、得られた組換えプラスミドをpHSPO1とした。pHSPO1を用いて.coli HB101を形質転換した。得られた形質転換体をLB寒天培地上で一晩培養後、寒天上のくぼみから、.coli HB101における組換え体のアガラーゼ活性を確認した。
なお、組換えアガラーゼの高発現はグラム陽性菌である.subtilis ISW1214(leuA8 metB5 hsrM1)を宿主として行った。pA7AGを用いて.subtilis ISW1214を形質転換し、得られた形質転換体をCSL培地(コーンスティープリカー10%、魚肉エキス0.5%、酵母エキス0.05%、リン酸二水素カリウム0.2%、硫酸マグネシウム七水和物0.02%、塩化カルシウム0.05%、マルトース6%、テトラサイクリン15μg/ml、pH6.8)で60時間培養し、その培養上清240mlを得た。
上記の培養上清の精製は4℃以下で行った。まず、培養上清を6,500×gで10分間の遠心により、菌体と培養上清とを分離した。得られた培養上清を20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)緩衝液に対して一晩透析を行った。8,000×gで15分間の遠心で不溶残査を取り除いた後、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)で予め平衡化したDEAE−Toyopearl 650Mカラム(東ソー社製、2.5×25cm)に吸着させた。150mMのNaClを含む前述の緩衝液200mlでカラムを洗浄した後、150mM〜350mMのNaClの直線濃度勾配法(総溶出量500ml)を用いて酵素の溶出を行った。アガラーゼ活性のある溶出画分を合わせ、限外ろ過膜PM−10(Amicon社製)を用いて濃縮、さらに5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)によって緩衝液交換を行い、5mlの酵素溶液とした。この酵素溶液を2.5mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラム(日本ケミカル社製、2.5×25cm)に吸着させた。15mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、300mlでカラムを洗浄した後、15mM〜85mMのリン酸ナトリウムの直線濃度勾配法(総溶出量500ml)を用いて酵素の溶出を行った。続いて限外ろ過膜PM−10を用いて同活性画分を濃縮した。得られた濃縮液をHi prep26/60 Sephacryl S−100HRカラム(アマシャムバイオサイエンス社製)に供し、150mMのNaClを含む50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)緩衝液320mlを用いて酵素の溶出を行った。得られた活性画分を限外ろ過膜PM−10を用いて濃縮したのち、5mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)に対して一晩透析し、酵素液(4.0ml)を得た。
アガラーゼ活性の測定は0.2%精製寒天(ナカライ社製)を基質として、0.5MのNaCl、10mMのCaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)中で行った。酵素反応によって生成した還元糖を3,5−ジニトロサリチル酸(DNS)法により測定した。1分間あたり、1μmolのD−ガラクトースに相当する量の還元糖を生成する酵素活性を1単位(U)とした。また、タンパク濃度の定量はDC Protein Assay Kit(バイオラッド社製)を用いてBSAを標準品として定量を行った。
下記表1に示されるように、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー後の活性画分の酵素比活性(98U/mg protein)は、培養上清の比活性に比べて186倍に上昇し、活性収率は9.1%であった。得られた酵素溶液のSDS−PAGEと活性染色において単一のバンドであることから酵素が純粋に精製されていることを確認した。
Figure 0004334361
(3)精製アガラーゼの性質
上記のようにして精製されたアガラーゼ(以下、「RagO」という)について、下記の性質を調べた。なお、特に基質が記載されていない場合には、寒天を基質として使用した。
<作用>
汎用性アガロース(Agarose L 03:TaKaRa社製)を基質とした時のRagOの反応生成物の経時変化をTLCにより分析した(図2)。その結果、本発明酵素はアガロースのβ−1,4結合をエンド型に分解する反応を触媒するβ−アガラーゼであることが判明した。なお、図2中で検出されている、ネオアガロテトラオースやさらに低分子の糖は、アガロースを分解する過程で生じた重合度が10または重合度が8等のネオアガロオリゴ糖の加水分解反応で生じたものである。
<反応生成物>
汎用性アガロース(Agarose L 03:TaKaRa社製)を基質とし、RagOを48時間作用させた時の反応生成物をゲルろ過カラム(Asahipak GS220 G7:旭化成社製)をもちいた高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製)で定量した結果、検出された全オリゴ糖のうち、重量比で66.3%がネオアガロヘキサオースであり、21.2%がネオアガロテトラオースであった。
<基質特異性>
RagOの基質特異性を調べたところ、寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖等を生成するが、アガロースと共通の2糖の繰り返し単位を持ち、重合度が6であるネオアガロヘキサオースおよび重合度が4であるネオアガロテトラオースを分解しなかった。
<pH安定性および作用最適pH>
RagOの作用最適pHを、pH3〜pH9.5の間で0.5MのNaClを含む50mMのブライトン−ロビンソン(Britton-Robinson)広域緩衝液を用いて測定したところ、中性のpH領域で活性を持ち、その最適pHはpH6〜8であった(図3)。また、RagOのpH安定性を、pH3〜pH12の間で0.5MのNaClを含む50mMのブライトン−ロビンソン(Britton-Robinson)広域緩衝液中、25℃で30分間それぞれ保温した後の残存活性により測定した。この結果、pH6〜10の間で最大活性の80%以上の活性を保持していた(図4)。
<分子量>
SDS−PAGEにより測定したRagOの見かけの分子量は約76kDaであった。この値はRagO遺伝子がコードする成熟タンパクの推定分子量94kDaより小さかった。RagOは宿主である.subtilis ISW1214の分泌するプロテアーゼによって分解を受け、低分子化されていることが予想された。RagOの内部アミノ酸配列を液体クロマトグラフィー タンデムマススペクトロメトリーを用いて解析したところ、RagO遺伝子のコードするアミノ酸配列(配列番号1)の479〜1175番のアミノ酸配列に相当する配列を持ったタンパクであることが示された。
<金属塩が酵素の安定性に与える影響および失活の条件>
10mMのCaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)中、45℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、15分間)場合の97.6%、50℃で90.5%であった(図5)。前述の緩衝液中での活性を測定したところ、最適作用温度は40〜50℃であった(図6)。0.1MのMgClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)中で、30℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、15分間)場合の100%、40℃で94%であった。同緩衝液中での活性を測定した場合、最適作用温度は35〜45℃であった。1MのNaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)中で、30℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、15分間)場合の。91.3%、40℃で76.9%であった。同緩衝液中での活性を測定した場合、最適作用温度は30〜40℃であった。
また、20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5)中、40℃で15分間熱処理後の残存活性は、熱処理をしない(0℃、15分間)場合の1.5%であった。0.1mM以下のCaClを含む同緩衝液中で、同様に熱処理した場合は、7.1%以下、1mM以下のMgClを含む同緩衝液中で、同様に熱処理した場合は、7.6%以下、0.1M以下のNaClを含む同緩衝液中で、同様に熱処理した場合は、7.1%以下であった(図7)。
<金属塩等が活性に与える影響>
重金属イオンのRagOの活性に与える影響を調べたところ、1mM濃度で、Al3+、Co2+、Cu2+、Hg2+、Fe2+、Fe3+、Pb2+、Zn2+により強く阻害され、残存活性は0〜12%であった。一方、Cs、K、Li、Mn2+によっては阻害されず、残存活性は97〜111%であった。また、このことより、RagOの活性にはSH基、CO基、NH基の関与する酵素タンパクの構造維持が必要であることが考えられた。
<化学薬品に対する耐性>
RagOの化学薬品に対する耐性を下記表2に示す種類と濃度で調べた。RagOは0.1mMのN−ブロモスクシンイミド(シグマ社製)では阻害されたが、0.5mMのヨードアセトアミド(関東化学社製)および−(クロロメルクリ)安息香酸(ナカライテスク社製)、1mMのN−エチルマレイミド(和光純薬工業社製)、10mMのジチオトレイトール(Pharmacia Biotech社製)および2−メルカプトエタノール(ナカライテスク社製)で阻害されなかった。
Figure 0004334361
本発明の寒天分解酵素は、従来の寒天分解酵素に比べ、6糖以上のオリゴ糖を効率よく生産でき、かつ金属塩の濃度により活性を簡単に制御しうるものである。
従って、本発明の寒天分解酵素は、オリゴ糖を使用しうる医薬品、化粧品、飲食品等のあらゆる分野に有用である。
図1は、本発明酵素を産生する微生物の分類学的位置を示す図面である。 図2は、本発明酵素を用いてアガロースを分解した時に生じる加水分解生成物のTLC分析の結果を示す図面である(GalはD−ガラクトースのレーン、NA4はネオアガロテトラオースを示し、NA6はネオアガロヘキサオースを示す)。 図3は、本発明酵素の酵素活性とpHの関係を示す図面である。 図4は、25℃で30分間保温後の本発明酵素の酵素活性とpHの関係を示す図面である。 図5は、本発明酵素の酵素活性と温度の関係を示す図面である。 図6は、本発明酵素の温度安定性を示す図面である。 図7は、40℃で15分間保温後の本発明酵素の酵素活性と金属塩の濃度の関係を示す図面である(○はNaCl、●はMgCl、■はCaClをそれぞれ金属塩として含む場合)。

Claims (9)

  1. 次の性質を有し、配列番号1の479−1175番のアミノ酸配列で示されるアミノ酸配列、前記配列中の1個もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列、または前記配列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むアガラーゼ。
    (1)作用:
    アガロースのβ−1,4結合を加水分解し、ネオアガロヘキサオースを主成分とする重合度の異なるネオアガロオリゴ糖を生成する。
    (2)基質特異性:
    少なくとも寒天、アガロース等のD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互にβ−1,4結合およびα−1,3結合した骨格を有する多糖類ならびに同骨格を有するオリゴ糖に作用し、寒天由来オリゴ糖を生成するが、重合度6以下の寒天由来オリゴ糖はほとんど分解しない。
    (3)金属塩が酵素の安定性に与える影響および失活の条件:
    以下の金属塩の濃度が高い場合には熱に対する安定性が高まり、以下の金属塩の濃度が低い場合には熱に対する安定性が低下する。
    i)ナトリウム塩及びカリウム塩から選ばれる1価の金属塩
    ii)カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる2価の金属塩
  2. マイクロブルビファー(Microbulbifer)属微生物由来のものである請求項第1項記載のアガラーゼ。
  3. マイクロブルビファー属微生物が、寄託番号FERM BP−8321のマイクロブルビファー エスピー A94(Microbulbifer sp. A94)である請求項第2項記載のアガラーゼ。
  4. 請求項第1項記載のアガラーゼのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、下記(c)、(d)、(g)、(h)および(i)からなる群
    (c)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドをコードするポリヌクレオチド
    (d)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列中の1個もしくは
    複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加もしくは挿入されたアミノ酸配列を含むポ
    リペプチドをコードするポリヌクレオチド
    (g)配列表の配列番号3に示す1690−3783番のヌクレオチド配列を含むポリ
    ヌクレオチド
    (h)配列表の配列番号3に示す1690−3783番のヌクレオチド配列中の1個も
    しくは複数個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたヌクレオチド配列を
    含むポリヌクレオチド
    (i)配列表の配列番号1の479−1175番に示すアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする
    ポリヌクレオチド
    より選ばれるポリヌクレオチド。
  5. 請求項第4項記載のポリヌクレオチドを有する組換えベクター。
  6. 請求項第5項記載の組換えベクターにより形質転換された微生物。
  7. 請求項第6項記載の微生物を培養し、培養物よりアガラーゼを採取することを特徴とするアガラーゼの製造方法。
  8. 藻類、藻類の粉砕物または抽出物に、請求項第1項記載のアガラーゼを作用させてネオアガロオリゴ糖を得ることを特徴とするネオアガロオリゴ糖の製造方法。
  9. 藻類に、請求項第1項記載のアガラーゼを作用させてプロトプラストを得ることを特徴とする藻類のプロトプラストの製造方法。
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