JP4409073B2 - ペクチン酸リアーゼ及びその遺伝子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄剤、食品加工剤、繊維処理剤等として有用なペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼ及びそれをコードする遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペクチン酸リアーゼは、植物細胞壁構成多糖であるポリガラクツロン酸を分解する酵素であり、食品工業において果汁の清澄化、柑橘類のひょう嚢の除去等に用いられているが、その性質からペクチン含有排水の後処理、植物細胞の分解・除去、綿繊維の精練、洗浄剤への配合等への利用が期待されている。
ペクチン酸リアーゼ(EC4.2.2.2.)は、1962年、Bacillus polymyxaErwinia carotovoraの培養液に初めて見出されたもので、それ以降、Erw inia属、Pseudomonas属、Bacillus属、Amycolata属、Fusarium属、Penicilium属、Aspergillus属等に属する微生物が生産することが知られている。これらの中で、Bacillus属の生産するペクチン酸リアーゼについては、StarrとMoranがBacillus polymyxaの培養液にペクチン酸リアーゼを見出して以来、Bacillus pumilus(Dave & Vaughn, J. Bacteriol., 198, 166-174, 1971)、Bacillus subtilis(Chesson & Codner, J. Appl. Bacterion., 44, 347-364, 1978)、好熱性Bacillus属細菌(Karbassi & Luh, J. Food Sci., 44, 1156-1161, 1979)等により生産されることが報告されている。また、Sakamotoら(Biosci. Biotech. Biochem., 58, 353-358, 1994)は、Bacillus subtilis IFO3134株の生産するプロトペクチナーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼ(protopectinase-N)の報告を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のペクチン酸リアーゼは工業用酵素として入手可能であるが、高価格、低比活性、更に他の糖質分解酵素が混在しているなどの問題点がある。また、木綿繊維の精練においてより高い精練効果を得る観点からは、アルカリ性条件下で行うことが望まれている。従って、高アルカリ性条件下において良好に作用しうる高純度のペクチン酸リアーゼを安価にかつ大量に生産することが望まれている。また、自然界においてペクチン質はペクチン酸がメチルエステル化されたペクチンとして存在していることから、効率良くペクチンを分解するためにはペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼであれば、所期の目的が達成されるが、未だ開発されていない。
【0004】
本発明は、洗浄剤、繊維処理等、広く産業界において有用なペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼ、これを高純度で且つ大量生産を可能にするための該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター及び形質転換体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、ペクチン酸リアーゼを産生する微生物を自然界から探索し、遺伝子工学技術を利用して、その遺伝子の特性及びその大量生産技術を確立すべく種々検討してきたところ、土壌から分離したBacillus属細菌が産生する新規なペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼを見出し、更にその遺伝子のクローニング、遺伝子組換えによる生産技術を確立した。
【0006】
すなわち、本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するペクチン酸リアーゼ及びこれをコードする遺伝子を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、上記のペクチン酸リアーゼ遺伝子を含有する組換えベクター及び該組換えベクターを含む形質転換体を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のペクチン酸リアーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する。ペクチンメチルエステラーゼ活性並びにペクチン酸リアーゼ活性を失わない限り、該アミノ酸配列中のアミノ酸の欠失、置換又は付加(以下、変異ということがある)は特に制限されない。また、配列番号1のアミノ酸配列におけるN−末端には、1〜数個のアミノ酸が付加・欠失していてもよい。また本発明ペクチン酸リアーゼには、配列番号1に示すアミノ酸配列と80%以上、特に90%以上の相同性を有する酵素が含まれる。
【0009】
本発明酵素と他の酵素との相同性についてGENETYX−MAC(ver.9、ソフトウエア開発株式会社製)を用いて検討を行うと、配列番号1に示すアミノ酸番号256〜363の配列が、Pseudomonas fluorescensに由来するキシラナーゼxynC(Kellett et al., Biochem. J., 272, 369-376, 1990)のアミノ酸番号178〜285との間と、同じくP. fluorescensに由来するキシラナーゼxynD(Ferreira et al., Biochem. J., 294, 349-355, 1993)のアミノ酸番号177〜284との間に35.8%の相同性を有していた。キシラナーゼにおけるこれらの領域はその機能が明確でないとされている。次に、配列番号1に示すアミノ酸番号799〜1055の配列については、Azospirillum irakenseに由来するペクチン酸リアーゼPelA(Bekri et al., J. Bacteriol., 181, 2440-2447, 1999)のアミノ酸番号168〜424と、またBacillus sp. KSM-P15株に由来するペクチン酸リアーゼPel15E(Sawada et al., Eur. J. Biochem., 267, 1510-1515, 2000)のアミノ酸番号70〜320との間に、それぞれ35.3%、46.0%の相同性が認められた。更に、アミノ酸番号1104〜1327の配列では、Solanum lycopersiumに由来するペクチンメチルエステラーゼPMU1(Gaffe, PLant Physiol., 110, 1436, 1996)のアミノ酸番号274〜491と、Arabidopsis thalianaに由来するペクチンエステラーゼ(GeneBank accession no. AF077409)のアミノ酸番号218〜444及びErwinia chrysanthemiに由来するペクチンメチルエステラーゼpme(GeneBank no.Y00549)のアミノ酸番号31〜269との間に、それぞれ35.6%、36.2%、37.7%の相同性を有していることが明らかになった。
【0010】
このように本発明の酵素は、ペクチン酸リアーゼとペクチンメチルエステラーゼにそれぞれ相同性の高いドメインを有しており、事実双方の活性の発現が認められる。従来このようなペクチン分解酵素の存在は知られておらず、新規なペクチン酸リアーゼであると判断される。
【0011】
本発明のペクチン酸リアーゼは、前記の如く土壌から分離したバチルス属に属する微生物(例えばバチルス エスピー KSM−P358株(FERM P-17560)やそれらの変異株)を培養し、得られた培養物から採取することによって製造できるが、該ペクチン酸リアーゼを産生する微生物から、該ペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子を取得し、これを用いて組換えベクターを作製し、該組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、培養物からペクチン酸リアーゼを採取することによっても得られる。
【0012】
本発明のペクチン酸リアーゼ遺伝子は、配列番号1のアミノ酸配列又はその前記変異体をコードするものであればよいが、配列番号2で示される塩基配列又は該塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するものが好ましい。又、本発明遺伝子には、配列番号2で示される塩基配列と80%以上、特に90%以上の相同性を有する遺伝子が含まれる。
【0013】
本発明のペクチン酸リアーゼ遺伝子は、例えばBacillus sp. KSM-P358株(FERM P-17560)等からクローニングすることができる。該クローニング手段としては、既知の手段、例えばショットガン法、PCR法で目的とする遺伝子をクローニングする方法等が挙げられる。
【0014】
前記ペクチン酸リアーゼ遺伝子を含む組換えベクターを作製するには、目的とする宿主内で遺伝子を発現するのに適した任意のベクターにペクチン酸リアーゼ遺伝子を組み込めば良い。かかるベクターとしては、大腸菌を宿主とする場合、pUC18、pUC19、pBR322等が挙げられ、枯草菌を宿主とする場合、pUB110、pHSP64(Sumitomo et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 59, 2172-2175, 1995)等が挙げられる。
【0015】
かくして得られた組換えベクターを用いて宿主を形質転換するには、常法、例えばプロトプラスト法、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法等により行われる。宿主としては、特に制限されないが、微生物が好ましく、Bacillus subtilis(枯草菌)をはじめとするBacillus属、Streptomyces属(放線菌)等のグラム陽性菌;Escherichiacoli(大腸菌)等のグラム陰性菌;Saccharomyces属(酵母)、Aspergillus属(カビ)等の真菌が挙げられる。
【0016】
得られた形質転換体を培養し、当該培養液からペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼを採取することができる。培養は、微生物の資化可能な炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従って行えば良い。かくして得られた培養液から、一般に知られている酵素の採取及び精製方法に準じた方法により、望むべき形態としての酵素標品を得ることができる。
【0017】
本発明ペクチン酸リアーゼのより詳細な酵素学的性質は以下の通りである。
【0018】
(1)作用
ペクチン酸(ポリガラクツロン酸)を分解すると同時にペクチンメチルエステラーゼ活性を有する。
(2)基質特異性
ポリガラクツロン酸及びペクチン(エステル化度28〜93%)に対し、ガラクツロン酸のα−1,4結合をβ−脱離によって分解する。また、ペクチンのメチルエステルを加水分解し、ポリガラクツロン酸及びメタノールを生成する。
(3)分子量
約165kDa(SDS-PAGE)
(4)最適pH(ペクチン酸リアーゼ活性)
pH9.5〜10.5
【0019】
【実施例】
Bacillus sp. KSM-P358株(FERM P-17560)は次の菌学的性質を有する。
【0020】
A 形態学的性質
(a)細胞の形、大きさ:桿菌(0.6〜0.8×2.4〜3.2μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子(大きさ、形、位置、膨潤の有無):楕円形、0.6〜0.8×1.2〜1.6μm、準端、膨潤有り
(e)グラム染色:不定(CVT寒天培地には生育せず)
(f)抗酸性:陰性
(g)肉汁寒天培地上での生育:白色、全縁のコロニーを形成
【0021】
B 生理学的性質
(a)硝酸塩の還元:+
(b)脱窒反応:−
(c)MRテスト:−
(d)VPテスト:−
(e)インドール生成:−
(f)硫化水素の生成:−
(g)デンプン加水分解:−
(h)ゼラチン加水分解:+
(i)カゼイン加水分解:+
(j)クエン酸の利用:−
(k)無機窒素の利用:−
(l)ウレアーゼ:+
(m)オキシダーゼ:+
(n)カタラーゼ:+
(o)リトマスミルク:色調の変化は認められない
(p)生育温度範囲:18〜41℃
(q)生育pH範囲:pH7〜9
(r)嫌気条件下での生育:生育せず
(s)OFテスト:−
(t)グルコースからのガス産生:−
(u)塩化ナトリウムに対する耐性:2%で生育せず
(v)糖からの酸生成:以下の糖類からの酸生成は認められなかった。ガラクトース、キシロース、アラビノース、シュークロース、グルコース、マンニトール、マンノース、イノシトール、ソルビトール、トレハロース、ラクトース、グリセリン、マルトース、フラクトース、ラフィノース、メリビオース、可溶性デンプン
【0022】
実施例1:Bacillus sp. KSM-P358株染色体DNAの調製
Bacillus sp. KSM-P358株をポリペプトンS(日本製薬製)を主成分とする液体培地にて、30℃で一晩振盪培養し、種培養とした。この種培養液を同様の培地に接種し、約8時間振盪培養したものを主培養とした。主培養液から遠心分離にて回収した菌体から、SaitoとMiuraの方法(Biochim. Biophys. Acta, 72, 619-629, 1963)にて染色体DNAを調製した。
【0023】
実施例2:P358ペクチン酸リアーゼのショットガンクローニング
実施例1で調製したBacillus sp. KSM-P358株染色体DNA約1μgを制限酵素HindIIIで切断し、エタノール沈澱にて回収した後、予め同様の制限酵素でマルチクローニングサイトを切断し、Bacterial Alkaline Phosphatase処理を行ったプラスミドpUC18(宝酒造社製)と混合し、T4 DNA Ligaseを用いて、16℃で2時間の結合反応を行った。この結合サンプルにてE. coli HB101コンピテントセル(宝酒造社製)の形質転換を行い、50μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に形質転換体を生育させた。目的とするペクチン酸リアーゼを生産する形質転換体は、Mcvoyらの方法(J. Bacteriol., 72, 3284-3292, 1990)に準じて重層法により検出した。
得られた形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを添加したLB液体培地1.5mLに接種し、37℃にて一晩振盪培養した後、遠心分離(12,000×g、5分)にて菌体を回収した。このようにして得られた菌体からプラスミド抽出キット(ベーリンガーマンハイム社製)を用いて組換えプラスミドの調製を行った。
【0024】
実施例3:P358ペクチン酸リアーゼ遺伝子のクローニング
実施例2で調製した組換えプラスミドの塩基配列の解析を行い、得られた配列をもとに配列番号3,4に示したプライマーを作製した。これらのプライマーと染色体DNAを制限酵素PstIで切断したのちに、T4 DNA Ligaseにて自己閉環させたものを鋳型DNAとして、inverse PCRを実施し、約4.0kbpの増幅断片を得た。
【0025】
実施例4:Bacillus sp. KSM-P358株のペクチン酸リアーゼ遺伝子の塩基配列決定
実施例2で調製したプラスミド及び実施例3で調製したPCR増幅断片(約0.2〜1.0μg)をそれぞれ鋳型として、プライマーとBigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(PEアプライド バイオシステム社製)及び377DNAシークエンサー(PEアプライドバイオシステム社製)を用いて、ペクチン酸リアーゼ遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、本発明酵素は配列番号2に示すように、4314塩基によりコードされ、配列番号1に示す1438アミノ酸より構成される酵素であることが判明した。また、N−末端アミノ酸配列から終止コドン(TAG)までの1406アミノ酸からなる分泌型成熟酵素の分子量は、155,666Daと推定された。
【0026】
実施例5:P358ペクチン酸リアーゼ発現プラスミドの作製
実施例4で決定したP358ペクチン酸リアーゼ遺伝子の塩基配列を基に、配列番号5,6に示す配列のプライマーを作製し、実施例1にて調製したBacillus sp. KSM-P358株染色体DNAを鋳型としてPCRを実施し、P358ペクチン酸リアーゼをコードするDNA断片を増幅した。この際、使用するプライマーにはプラスミドベクターpHY300PLK(ヤクルト社製)のマルチクローニングサイトに効率よくクローニングすることが可能となるように、配列番号5に示すプライマーには制限酵素XbaIの認識配列を付加させた。PCRにて得られたP358ペクチン酸リアーゼ遺伝子増幅断片を制限酵素XbaIにて消化し、プラスミドベクターpHY300PLKを制限酵素SmaI、XbaIにて消化し、それぞれをGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(ファルマシア社製)にて精製した。精製試料を重量比で1:1となるように混合した後、T4 DNA Ligaseにより結合させ、この結合サンプルを用いて、E. coli HB101コンピテントセル(宝酒造社製)の形質転換を行った。得られた形質転換体の中から任意の形質転換体を選別し、選別した形質転換体からプラスミドの調製を行い、このプラスミドを制限酵素にて消化した後、アガロース電気泳動にてPCR増幅断片挿入の確認を行った。このようにして、目的とする断片の挿入の確認されたプラスミドをpHYK358PLとした。
【0027】
実施例6:枯草菌形質転換体によるP358ペクチン酸リアーゼの生産
プラスミドpHYK358PLを用い、プロトプラスト法(Chang and Choen, Mol. Gen. Genet., 168, 111-115, 1978)にてB.subtilis ISW1214株(ヤクルト社製)の形質転換を行った。得られた形質転換体を、15μg/mLのテトラサイクリンを添加したLB培地に接種し、30℃で一晩振盪培養を行い種培養とした。この種培養液をグルタミン酸ナトリウム、魚肉エキス、マルトースを主成分とする主培養培地20mLに1%(v/v)となるように接種し、30℃、210rpmで3日間、振盪培養を行った。組換えペクチン酸リアーゼの生産量は、この培養条件で1600〜2000U/L(宿主菌の生産するペクチン酸リアーゼ活性量を差し引いた値)、ペクチンメチルエステラーゼ活性は約120U/Lであった。
【0028】
実施例7:組換えP358ペクチン酸リアーゼの精製
実施例6で得られた培養上清液200mLを脱イオン水にて3倍に希釈し、予め1mM塩化カルシウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておいたSuperQ Toyopearl 650Mカラム(2.5×17cm)へ添着した。平衡化緩衝液を用いて非吸着画分を除いた後、0〜180mM塩化カリウムを用いた濃度勾配法により吸着タンパク質を溶出した。ペクチン酸リアーゼ活性を示す画分を集め、限外濾過(YM10メンブレン)にて濃縮脱塩を行った。この酵素液を予め1mM塩化カルシウム及び50mM塩化カリウムを含む10mM硼酸緩衝液(pH9.5)にて平衡化しておいたDEAE-Bio-Gel Aカラム(2.5×16cm)に添着し、同緩衝液にて洗浄後、50〜250mM塩化カリウムを用いた濃度勾配法により吸着タンパク質を溶出した。ペクチン酸リアーゼ活性を示す画分を集め、限外濾過(YM10メンブレン)にて濃縮を行った。次いで1M硫酸アンモニウム及び1mM塩化カルシウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)にて平衡化しておいたPhenyl-Toyopearlカラム(1.5×15cm)へ濃縮液を添着した。1〜0Mの硫酸アンモニウムの濃度勾配法により疎水吸着したタンパク質を溶出した。ペクチン酸リアーゼ活性を示す画分を集め、限外濾過にて濃縮脱塩を行った。この酵素液を70mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて平衡化しておいたHydroxyapatiteカラム(1.5×5cm)へ吸着させた。70〜250mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた濃度勾配法により吸着タンパク質を溶出した。ペクチン酸リアーゼ活性を示す画分を集め、限外濾過(YM10メンブレン)にて濃縮を行った。以上の精製操作により比活性で約10倍向上した電気泳動的にほぼ均一な酵素を得ることができた。
【0029】
実施例8:組換えP385ペクチン酸リアーゼの特性
実施例7で得られた精製酵素を用いて特性を評価した。尚、活性測定は以下に示す標準酵素活性測定法を用いた。
〔標準酵素活性測定法〕
ペクチン酸リアーゼ活性測定法:0.2mLの0.5Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10)、0.4mLの1%(w/v)ポリガラクツロン酸(ICNバイオメディカル;lot14482、水酸化ナトリウム溶液にてpH6.8に調整)、4mM塩化カルシウム溶液0.3mL、1.0mLの脱イオン水を加え、30℃で5分間恒温した。これに0.1mLの酵素液を添加し、10分間反応させたのち、2.0mLの50mM塩酸溶液を添加し、酵素反応を停止させた。攪拌・混合後に、分光光度計U-2000(日立製作所製)を用いて235nmの吸光度を測定した。尚、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液に50mM塩酸溶液を加えた後に酵素液を添加したものを用意した。生成される不飽和オリゴガラクツロニド量を不飽和ジガラクツロニドのモル分子吸光係数4600M-1cm-1を用いて求めた。酵素1単位(U)は上記反応条件下において1分間に1μmolの不飽和ジガラクツロニド相当の不飽和オリゴガラクツロニドを生成する酵素量と定義した。
ペクチンメチルエステラーゼ活性測定法:2.4mLの1%(w/v)ペクチン(Sigma;メチルエステル化度67%、水酸化ナトリウム溶液にてpH7.0に調整)、0.3mLの1M塩化ナトリウム、0.2mLの脱イオン水、0.1mLの酵素液を加え、pHメーターを使用し反応液のpHを7.0に調整した後、30℃で20分間恒温した。酵素反応に伴い反応液のpHが低下するのでpHメーターを使用し、10mM水酸化ナトリウム溶液により中和滴定を行いpHを7.0にした。酵素1単位(U)は上記反応条件下において1分間に1μmolのカルボン酸を生成する酵素量と定義した。
【0030】
1)分子量
ドデシル硫酸ナトリウム存在下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を行うことにより、本酵素の分子量を求めた結果、約165kDaであると推定された。尚、電気泳動用標準タンパク質としてHigh Molecular Weight-SDS Calibration Kit(ファルマシアバイオテック社製)を用いた。
【0031】
2)N−末端アミノ酸配列
精製酵素をPVDF(ポリビニリデンフルオライド)膜にブロッティングし、プロテインシークエンサー(476A:アプライド バイオシステム社製)を用いて、N−末端アミノ酸配列を決定した結果、Glu-Glu-Asn-Ile-Ala-Ser-Thrであった。
【0032】
3)ペクチン酸リアーゼの最適反応pH
標準酵素活性測定法のかわりに、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7〜9.5)、50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜11)を用い、最適反応pHを調べた。その結果、本酵素はpH9.5〜10.5(グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液)に最適反応pHを有することが判った(図1)。
【0033】
4)基質特異性
ペクチンメチルエステラーゼ活性とペクチン酸リアーゼ活性が共存することにより、種々のエステル化度のペクチンに対する分解速度が変化するか否かを調べた。
その結果、pH10においてポリガラクツロン酸に対するペクチン酸リアーゼ活性を100%とした場合、28、67、93%のエステル化度を有するシトラスペクチンに対する相対分解速度はそれぞれ101、77、37%であった。一方、pH7におけるポリガラクツロン酸に対するペクチン酸リアーゼ活性を100%とした場合、28、67、93%のエステル化度を有するシトラスペクチンに対する相対分解速度はそれぞれ197、208、93%であった。以上のことからペクチンメチルエステラーゼが良好に作用する中性領域においてはペクチンの脱メチル反応が進行し、ペクチン酸リアーゼが作用しやすい基質になるものと考えられる。
【0034】
【発明の効果】
本発明のペクチン酸リアーゼは、洗浄剤、食品加工剤、繊維処理剤等として有用であり、本発明遺伝子を用いれば、ペクチン酸リアーゼを単一且つ大量に生産することが可能である。
【0035】
【配列表】
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【0036】
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【0037】
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【0038】
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【0039】
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【0040】
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【図面の簡単な説明】
【図1】組換えペクチン酸リアーゼ(実施例7)のpH−活性曲線を示す。50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中、最大活性を示すpH10での値を100%として表示した。

Claims (6)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼ。
  2. 配列番号1に示すアミノ酸配列又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、ペクチンメチルエステラーゼ活性を有するペクチン酸リアーゼをコードする遺伝子。
  3. 列番号2に示す塩基配列又は該塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するものである請求項2記載の遺伝子。
  4. 請求項2又は3記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  5. 請求項4記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  6. 宿主が、微生物である請求項5記載の形質転換体。
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