JP2004121257A - 耐熱性キシラナーゼ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 以下の理化学的性質を有する、バチルス属に属する微生物由来の耐熱性キシラナーゼXP2。
(1)作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロース及びキシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2)基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3)至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は4.5〜9である。
(4)作用適温の範囲:60〜90℃の範囲にある。
(5)至適温度:80℃である。
(6)熱安定性:70℃、30分の処理で約90%以上の残存活性を示す。
(7)等電点:8.5付近である。
(8)分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約32,000である。
(9)阻害:Mn2+、Co2+、Cu2+、EDTA、ヨード酢酸により弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
【選択図】 なし
Description
(1) 作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2) 基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は3〜9である。
(4) 作用適温の範囲:50〜80℃の範囲にある。
(5) 熱安定性:50℃、30分の処理で約90%以上の酵素活性を保持し、60℃、30分の処理でも約50%以上の残存活性を示す。
(6) 等電点:8.1付近である。
(7) 分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約22,500である。
(8) 阻害:ヨード酢酸、EDTAにより弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
(1) 作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロース及びキシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2) 基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は4.5〜9である。
(4) 作用適温の範囲:60〜90℃の範囲にある。
(5) 熱安定性:70℃、30分の処理で約90%の残存活性を示す。
(6) 等電点:8.5付近である。
(7) 分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約32,000である。
(8) 阻害:Mn2+、Co2+、Cu2+、EDTA、ヨード酢酸により弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
(1) 作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2) 基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は3〜9である。
(4) 作用適温の範囲:50〜80℃の範囲にある。
(5) 熱安定性:50℃、30分の処理で約90%以上の酵素活性を保持し、60℃、30分の処理でも約50%以上の残存活性を示す。
(6) 等電点:8.1付近である。
(7) 分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約22,500である。
(8) 阻害:ヨード酢酸、EDTAにより弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
(1) 作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロース及びキシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2) 基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は4.5〜9である。
(4) 作用適温の範囲:60〜90℃の範囲にある。
(5) 熱安定性:70℃、30分の処理で約90%以上の残存活性を示す。
(6) 等電点:8.5付近である。
(7) 分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約32,000である。
(8) 阻害:Mn2+、Co2+、Cu2+、EDTA、ヨード酢酸により弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
(1) 作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2) 基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は3〜9である。
(4) 作用適温の範囲:50〜80℃の範囲にある。
(5) 熱安定性:50℃、30分の処理で約90%以上の酵素活性を保持し、60℃、30分の処理でも約50%以上の残存活性を示す。
(6) 等電点:8.1付近である。
(7) 分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約22,500である。
(8) 阻害:ヨード酢酸、EDTAにより弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
(1) 作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロース及びキシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2) 基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3) 至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は4.5〜9である。
(4) 作用適温の範囲:60〜90℃の範囲にある。
(5) 熱安定性:70℃、30分の処理で約90%以上の残存活性を示す。
(6) 等電点:8.5付近である。
(7) 分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約32,000である。
(8) 阻害:Mn2+、Co2+、Cu2+、EDTA、ヨード酢酸により弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。
(1)酵素の理化学的性質
先ず、本発明の耐熱性キシラナーゼXP1と耐熱性キシラナーゼXP2の理化学的性質について説明すると、以下の通りである。
キシラン(カバ材由来、シグマ社製)の1%溶液(pH7.0、40mMリン酸ナトリウム緩衝液)5mlにXP1及びXP2をそれぞれ10 Uずつ添加し、60℃にて反応させた。所定時間反応後に煮沸して反応を停止し、10μlを薄層クロマトグラフィーに供した。薄層はメルク社製のHPTLC Kieselgel60 F254を用い、展開溶媒はn−ブタノール:酢酸:水=10:5:1とした。発色はジフェニルアミン−アニリン試薬を噴霧し、120℃にて10分間加熱して行った。
カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
各酵素の反応至適pH及びpH安定性を、グリシン−塩酸緩衝液(pH3以下)、酢酸緩衝液(pH4〜5)、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6〜7)、トリス−塩酸緩衝液(pH8〜9)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.1〜10.1)を用いて測定した。それぞれのpHで各酵素の酵素活性を測定した。
キシラナーゼ活性の測定は次のように行った。キシラン(カバ材由来、シグマ社製)の1%溶液(pH6.5、1/10 McIlvaine緩衝液)200μlに被検液50μlを添加し、70℃にて5分間反応させる。DNS試薬を500μl添加して5分間煮沸した後、直ちに氷冷して4mlの蒸留水を加えて500nmの吸光度を測定する。検量線は濃度既知のキシロースを用いて作製する。キシラナーゼの活性単位については上記の条件で1分間に1μmolの還元糖を生成する酵素量を1Unit(ユニット:U)とした。
反応温度を変えて各酵素の酵素活性を測定した。結果を図4に示す。図中、「○」はXP1、「■」はXP2を表す。図4より、至適温度はXP1では70℃、XP2では80℃であった。また、所定の温度で50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)中に各酵素を30分間放置した後に酵素活性を測定した。
SERVA社製PRECOAT pH3〜10による等電点電気泳動を行った結果、XP1の等電点は8.1、XP2の等電点は8.5であった。
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定し、XP1の分子量は約22,500、XP2の分子量は約32,000であった。
種々の金属塩を1mMになるように酵素液に添加して4℃で一晩保持した後、反応液中にも同種の金属塩を1mMになるように添加してXP1及びXP2の酵素活性を測定した。
本発明の酵素を従来のキシラナーゼと比較した結果を表3に示す。
次に、本発明の耐熱性キシラナーゼを生産する微生物について説明する。本発明において使用される微生物は、バチルス属に属し、耐熱性キシラナーゼ生産能を有する菌株であって、その具体例としては、バチルス・エスピー2113又はバチルス・エスピー208が挙げられる。
A.バチルス・エスピー2113
バチルス・エスピー2113は、本発明者らが土壌中から分離した菌株であり、カバキシランまたはコムギキシラン1%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4・7H2O 0.02%、pH7.0の培地を用いた45℃の培養でよく生育する。本菌株の菌学的性質は次の通りである。
i) 0.3〜0.6×2〜5μmの運動性を有する桿菌である。2〜3連の連鎖形態を示すことがある。菌体の中央に胞子を形成する。
ii) グラム染色性は不定で抗酸性は陰性である。
i) 肉汁寒天平板培地(Difco Beef Extract 1%、Bacto Peptone 1%、NaCl 0.5 %、寒天1.5%、pH7.0)では、コロニーの形はほぼ円形であり、その周縁はやや波状である。やや光沢のある半透明のコロニーである。肉汁寒天斜面培地(Difco Beef Extract 1%、Bacto Peptone 1%、NaCl 0.5%、寒天1.5%、pH7.0)では、やや光沢が有り、薄く拡布状に生育する。肉汁液体培地(Difco Beef Extract 1%、Bacto Peptone 1%、NaCl 0.5%、寒天1.5%、pH7.0)において、液面ではほとんど生育せず沈渣する。いずれも生育はあまり良くない。Difco 社のNutrient Brothを用いた肉汁寒天培地(Difco Nutrient Broth 0.8%、寒天1.5%、pH7.0)ではさらに生育は悪い。
ii) 肉汁寒天平板培地(Difco Beef Extract 1%、Bacto Peptone 1%、NaCl 0.5%、寒天1.5%、pH7.0)にNaClを2%添加した培地では生育するが、5%添加すると生育しない。
iii) 肉汁ゼラチン培地(Difco beef extract 1%、ペプトン1%、NaCl 0.5%、ゼラチン12% pH7.0)では液化しない。
(3) 生理学的性質を表4に示す。
バチルス・エスピー208は、カバキシランまたはコムギキシラン1%、ペプトン 0.5%、酵母抽出物 0.5%、K2HPO4 0.1 %、MgSO4・7H2O 0.02%、pH 7.0の培地を用いた45℃の培養でよく生育する。本菌の菌学的性質は次の通りである。
1) 0.3〜0.6 × 2〜5μmの運動性を有する桿菌である。2〜3連の連鎖形態を示すことがある。菌体の中央に胞子を形成する。
2)グラム染色性は不定で抗酸性は陰性である。
1) 肉汁寒天培地(Difco Nutrient Broth 0.8%, 寒天 1.5%, pH 7.0) ではコロニーの形はほぼ円形であり、その周縁はやや波状である。やや光沢のある半透明のコロニーであり生育はよい。
2) 肉汁寒天平板培地(Difco Nutrient Broth 0.8 %, 寒天 1.5%, pH 7) にNaClを2%添加した培地では生育するが、5%添加すると生育しない。
3) 肉汁ゼラチン培地(Difco Beef Extract 1%, ゼラチン 12%, pH7.0)では液化しない。
(3)生理学的性質を表5に示す。
キシラナーゼ遺伝子をクローニングするためにDNAライブラリーの作製を行う。DNAライブラリーは、バチルス・エスピー2113株又は208株から染色体DNAを抽出し、適当な制限酵素で処理したものを適当なベクターにつないだ後、適合する宿主に導入することで作製することができる。
次に、本発明の酵素の製造方法について説明する。
(1) 耐熱性キシラナーゼ生産菌の培養液からの本発明の酵素の精製
本発明のバチルス・エスピー2113株又は208株を培養することにより耐熱性キシラナーゼを生産することができる。培養のための炭素源、窒素源には、資化して耐熱性キシラナーゼを生産することのできるものであればいずれも用いることができる。例えば、炭素源としては、キシラン若しくはキシランを含む小麦ふすま、パルプ、バガス、コーンファイバー、稲わら等の農産廃棄物又は植物繊維等を使用することができる。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、各種アミノ酸、大豆、コーンスティープリカー、各種無機窒素等の窒素化合物を用いることができる。また、各種の塩類やビタミン、ミネラル等を適宜用いることができる。
本発明の耐熱性キシラナーゼは、クローニングされた遺伝子を発現させることにより精製することもできる(本発明において、遺伝子を発現させて得られた酵素を「遺伝子組換え型耐熱性キシラナーゼ」という)。その手法は、前記(3) によって得られたキシラナーゼ遺伝子を、適当な宿主・ベクターを用いて発現することにより高生産することができる。発現に用いられるベクターとしては、プラスミドベクター、ファージベクター等が主に使われる。宿主として、大腸菌、枯草菌、酵母等が主に使われる。培養のための炭素源、窒素源には、資化して耐熱性キシラナーゼを生産することができるものであればいずれも用いることができる。例えば、炭素源としては、キシラン若しくはキシランを含む小麦ふすま、パルプ、バカス、コーンファイバー、稲わら等の農業廃棄物又は植物繊維等を使用することができる。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、各種アミノ酸、大豆、コーンスティープリカー、各種無機窒素等の窒素化合物を用いることができる。また、各種塩類、ビタミン、ミネラル等を適宜用いることができる。培養温度及びpHは、菌が耐熱性キシラナーゼを生産する範囲であればいずれでも良く、培養温度は好ましくは37℃、pHは好ましくは7である。酵素の精製方法としては、硫安分画、ゲル濾過による分子量分画や各種イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイト、等電点分画等を適宜組み合わせ、また繰り返すことにより精製することができる。得られた精製酵素が求めるキシラナーゼであるかの確認は、得られた精製酵素の分子量、至適pH、至適温度、N末端アミノ酸配列等をバチルス・エスピー2113株の生産した耐熱性キシラナーゼと比較することにより判断できる。具体的な酵素の取得については、実施例に示す。
次に、本発明の酵素を用いたパルプの漂白方法について説明する。化学パルプ及び機械パルプ製造工程において、本発明の耐熱性キシラナーゼXP1(遺伝子組換え型を含む)及び/またはXP2(遺伝子組換え型を含む)及び/またはバチルス(Bacillus)属に属する菌株バチルス・エスピー2113若しくはバチルス・エスピー208の培養物でパルプを処理することで漂白を行うことができる。さらに酵素処理の前後、あるいは途中に化学漂白及び/またはアルカリ抽出を行うことでパルプの漂白を行うことができる。
キシラン(カバ材由来、シグマ社製)0.6%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO40.1%、MgSO4・7H2O 0.02%を含む液体培地10ml(pH7.0 )を、内径25mm試験管に採り、紙栓をした後121℃で15分間蒸気滅菌した。これにバチルス・エスピー2113を1白金耳植菌し、45℃で往復振盪培養した(振幅25mm、300往復/分)。培養終了後、遠心分離(10,000rpm ×10分)して培養上清を分離し、耐熱性キシラナーゼの粗酵素液を得た。
キシラン(カバ材由来、シグマ社製)0.6%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO40.1 %、MgSO4・7H2O 0.02%を含む液体培地(pH 7)10mlを内径25mmの試験管に採り、紙栓をした後121℃で15分間蒸気滅菌した。これにバチルス・エスピー208を1白金耳植菌し、45℃で往復振盪培養した(振幅25mm、300往復/分)。培養終了後、遠心分離(10,000rpm×10分)して培養上清を分離し、耐熱性キシラナーゼの粗酵素液を得た。培養上清中の耐熱性キシラナーゼ活性を次の方法により測定した。
キシラン(カバ材由来、シグマ社製)0.6 %、ペプトン0.5 %、酵母抽出物0.5 %、K2HPO40.1%、MgSO4・7H2O 0.02 %、pH7.0 の液体培地50mlを500 ml容坂口フラスコに取り綿栓をした後、121 ℃で15分間蒸気滅菌した。これに実施例1で得られた培養液を1ml加え、45℃、3日往復振盪培養(振幅10cm、100 往復/分)した。培養終了後、遠心分離(8,000rpm×10分) により培養上清を得た。この培養上清を硫安分画し、20〜60%画分を遠心分離(20,000rpm ×10分)にて回収した後、20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)を外液として透析を行った。得られた粗酵素液について、20mM酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化したCMトヨパール650-C (直径2.5cm ×30cm)を用いてイオン交換クロマトグラフィーを行った。
(1) 染色体遺伝子ライブラリーの作製
キシラン(カバ材由来、シグマ社製)0.6%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO40.1%、MgSO4・7H2O 0.02%、pH7.0の液体培地50mlを500ml 容坂口フラスコに取り綿栓をした後、121℃で15分間蒸気滅菌した。これにバチルス・エスピー2113株を1白金耳植菌し、45℃で一晩往復振盪培養(振幅10cm、100 往復/分)した。培養終了後、遠心分離(10,000 rpm×10分)により菌体を得た。
大腸菌クローニングベクターpUC19 (宝酒造社製)、1μgを制限酵素EcoRIで完全消化した後、アルカリホスファターゼ(Calf intestine由来)により脱リン酸化し、上記エタノール沈澱後のDNA500ng 及びT4 DNAリガーゼ2.5ユニットを含むライゲーションバッファー中で16℃、16時間反応させ、本発明の遺伝子とベクターとを連結した。
得られたDNAライブラリーを用いて、塩化カルシウム法により大腸菌JM109株を形質転換した。
XP1遺伝子のクローニング
上記染色体DNAライブラリーからのXP1キシラナーゼ遺伝子を含むクローンの選抜は、該DNAライブラリーを用いて大腸菌を形質転換した後、キシラン培地に塗布し、コロニー周辺のハロー形成を指標に行った。すなわち、該DNAライブラリーを用いて大腸菌を形質転換した後、100 μg/mlのアンピシリンを含むキシラン培地(1%キシラン(コムギ由来;シグマ社製)、1%ペプトン、0.5%酵母抽出物、0.5% NaCl、2%寒天(pH 7.0))に塗布し、37℃で一晩培養し、ハロー形成を観察した。得られたクローンよりプラスミドDNAをアルカリ抽出法により大量に調製し、超遠心分離(16時間, 20℃)により精製し、塩基配列を決定した。塩基配列の決定はUnited States Biochemical 社製のシーケナーゼのキットを用いて行なった。
XP1のN末端アミノ酸配列の決定は、バチルス・エスピー2113の培養上清より精製したXP1を試料とし、プロテインシーケンサー(Applied Biosystems(パーキンエルマー社)477A)及びPTHアナライザー(Applied Biosystems(パーキンエルマー社)120A)を用いて行った。その結果、成熟型キシラナーゼXP1のN末端配列は配列番号3に示す通りであった。
本実施例では、遺伝子組換え型耐熱性キシラナーゼXP1の製造を行った。プラスミドpUCXP1を、EcoRI消化して得られた本発明の遺伝子EcoRI断片500 ngと制限酵素EcoRIで完全消化した後、アルカリフォスファターゼ(Calf Intestine由来)により脱リン酸化した大腸菌・枯草菌シャトルベクターpHY3000PLK(宝酒造社製)1μgと、T4リガーゼ2.5 ユニットとをライゲーションバッファー中、16℃、2時間反応させ、連結させた。これを用いて塩化カルシウム法にて大腸菌JM109を形質転換した。
広葉樹酸素晒クラフトパルプ(カッパー価8.5、白色度46.0%)に実施例1で得られたバチルス・エスピー2113の培養上清(500 U/mlの耐熱性キシラナーゼを含む)をパルプ絶乾重量1gあたり2μl添加してパルプ濃度3%、pH7.0、70℃にて2時間反応させた。反応終了後、パルプ濃度を10%に調製して塩素−アルカリ−次亜塩素酸塩−二酸化塩素の順で漂白を行なった。なお、培養上清を添加せずに同様に処理したものを対照の漂白パルプとした。漂白の標準条件は次の通りである。
塩素処理:添加率はパルプ絶乾重量あたり1.6%で40℃、30分間処理
アルカリ抽出:アルカリ添加率は絶乾パルプあたり1.0%で60℃、100分間処理
次亜塩素酸塩処理:添加率は0.5%で45℃、120分間処理
二酸化塩素処理:添加率は0.2%で70℃、180分間処理
広葉樹酸素晒しクラフトパルプ(カッパー価8.5、白色度46.0%)に、実施例2で得られたバチルス・エスピー208の培養上清(500U/mlの耐熱キシラナーゼを含む)をパルプ絶乾重量1gあたり2μl添加してパルプ濃度3%、pH7.0、70℃にて2時間反応させた。反応終了後、パルプ濃度を10%に調整して塩素−アルカリ抽出−次亜塩素酸−二酸化塩素の順で常法により漂白を行った。なお、培養上清を添加せずに同様に処理したものを対照の漂白パルプとした。漂白の標準条件は次の通りである。
塩素処理:塩素添加率はパルプ絶乾重量あたり1.6%で40℃、30分間処理
アルカリ抽出:アルカリ添加率は絶乾パルプあたり1.0 %で60℃、100分間処理
次亜塩素酸処理:次亜塩素酸添加率は0.5 %で45℃、120分間処理
二酸化塩素処理:二酸化塩素添加率は0.2 %で70℃、180分間処理
各種市販酵素を用いてパルプの酵素処理及び漂白処理を行い、塩素、次亜塩素酸塩及びAOXの削減率を実施例6及び7の結果と比較した。比較例1としてチバガイギー(Chiba-Geigy)社製のIrgazyme 40-X4、比較例2として同社のIrgazyme 10A-X4 、比較例3としてノボ(Novo) 社製のPulpzyme HC 、比較例4としてアルコ(Alko) 社製のEcopulp 、比較例5としてサンド(Sandoz) 社製のCartazyme HSを用い、実施例6及び7で行った処理と同様の処理を行った。実施例6及び7で得られた結果並びに各比較例の結果を表6に示す。
配列の長さ:211
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
起源
生物名:バチルス・エスピー(Bacillus sp.)
株名:2113株
配列の特徴
1-23 S sig peptide
24-211 S mat peptide
配列番号:2
配列の長さ:1207
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:バチルス・エスピー(Bacillus sp.)
株名:2113株
配列の特徴
特徴を表す記号:P CDS
存在位置:379..1029
特徴を決定した方法:E
配列番号:3
配列の長さ:10
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
起源
生物名:バチルス・エスピー(Bacillus sp.)
株名:2113株
Claims (3)
- 以下の理化学的性質を有する、バチルス属に属する微生物由来の耐熱性キシラナーゼXP2。
(1)作用:キシランの1,4-β-D-キシロシド結合を加水分解し、キシロース及びキシロオリゴ糖の還元糖を生成する。
(2)基質特異性:カバキシラン、小麦キシラン等の調製キシランの他、キシランを含有する広葉樹クラフトパルプ、小麦フスマ等に作用する。
(3)至適pH及び安定pH範囲:反応の至適pH範囲はpH5〜8であり、安定pH範囲は4.5〜9である。
(4)作用適温の範囲:60〜90℃の範囲にある。
(5)至適温度:80℃である。
(6)熱安定性:70℃、30分の処理で約90%以上の残存活性を示す。
(7)等電点:8.5付近である。
(8)分子量:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で測定した結果、約32,000である。
(9)阻害:Mn2+、Co2+、Cu2+、EDTA、ヨード酢酸により弱く阻害を受け、Hg2+、SDSにより強く阻害される。 - バチルス属に属する微生物を培養し、得られる培養物から耐熱性キシラナーゼXP2を採取することを特徴とする請求項1記載の耐熱性キシラナーゼXP2の製造方法。
- 請求項1記載の耐熱性キシラナーゼXP2の生産能を有するバチルス属に属する微生物。
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