JP4025383B2 - 3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法 - Google Patents

3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法に関し、詳しくは、メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応による3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物ないしは留分に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランを分解することにより、これらの分留を容易にして、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを高純度に精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランをヒドロシレーション反応した後、この生成物を分留することにより3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを製造する方法は周知である{Polymer,26,437(1985)参照}。この生成物を分留する際には、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランのゲル化を防止するための重合禁止剤が一般に添加され、この重合禁止剤として、塩化錫、塩化アンチモン、塩化水銀、塩化銅、塩化ビスマス、塩化コバルト等の金属ハロゲン化物を用いることにより、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを収率よく分留できることも知られている(特開平5−271248号公報および特開平5−301881号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、分留によっても3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを高純度に精製することはできなかった。本発明者らは、この原因について検討したところ、メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応により生成する3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物ないしはこの生成物を分留して得られる留分には、このヒドロシレーション反応による副生成物である1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランが少量含まれており、この1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランと3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランは各々の沸点が近接しており、これらを分離することは困難であるため、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの純度が低くなることが確認された。この3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランに含まれる1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランは時に不都合を生じ、例えば、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランは次の分解反応および交換反応により、ジメチルジクロロシラン等の不純物を生成するという問題があった。
【化1】
Figure 0004025383
【0004】
さらに、本発明者らは、分留する際の重合禁止剤としての金属ハロゲン化物について検討したところ、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランが選択的に分解されていることを見いだし、これらのシランを十分に分解した後、これらを分留することにより、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを高純度に精製できることを見いだし、本発明に到達した。さらに、この分解反応を比較的穏和な条件下で行うためには、塩化銅(I)および/または塩化銅(II)が有効であり、特に、塩化銅(I)が塩化銅(II)に比較して、特に穏和な条件下(低温)で、この分解反応を迅速に行うことができることを見いだし、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明の目的は、メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応による3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物ないしは留分に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランを分解することにより、これらの分留を容易にして、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを高純度に精製する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法は、メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応による3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物ないしは留分に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランをルイス酸性を示す金属ハロゲン化物により分解した後、これらを分留することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法を詳細に説明する。
本発明の精製方法では、メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応により、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物、ないしは、この生成物を分留して得られる留分を用いる。このジメチルハロシランまたはメチルジハロシランとしては、ジメチルフロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルブロモシラン、ジメチルヨードシラン、メチルジフロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジブロモシラン、メチルジヨードシランが例示され、好ましくは、ジメチルクロロシラン、メチルジクロロシランである。このヒドロシレーション反応を促進する触媒としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の遷移金属系触媒が例示され、好ましくは、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸のケトン溶液、塩化白金酸のエーテル溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、白金黒、白金坦持シリカ粉末、白金担持活性炭粉末等の白金系触媒である。
【0008】
このヒドロシレーション反応において、有機溶剤の使用は任意であり、また、公知の重合禁止剤の添加も任意である。このような有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶剤等のヒドロシレーション反応を阻害しない溶剤が例示される。また、このような重合禁止剤としては、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、キノン系化合物、ポリフェノール誘導体、酸素が例示される。
【0009】
このヒドロシレーション反応により得られる3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物、ないしは、この生成物を分留して得られる留分には、その反応の副生成物である1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランが少量含まれている。本発明の精製方法では、この1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランをルイス酸性を示す金属ハロゲン化物により選択的に分解することにより、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製分離を容易にするのである。
【0010】
本発明の精製方法で用いるルイス酸性を示す金属ハロゲン化物中の金属としては、錫、チタン、ベリリウム、アンチモン、水銀、銅、ビスマス、コバルト、カルシウム、鉄、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ホウ素、リン、バナジウム、クロム、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、テルル、タンタル、タングステンが例示され、この金属ハロゲン化物中のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示される。このような金属ハロゲン化物としては、ハロゲン化錫、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ベリリウム、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化水銀、ハロゲン化銅、ハロゲン化ビスマス、ハロゲン化コバルト、ハロゲン化カルシウム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化カドミウムが例示され、ハロゲン化銅、ハロゲン化鉄、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化コバルトが好ましく、特に、塩化銅(I)、塩化銅(II)等のハロゲン化銅、塩化鉄(II)等のハロゲン化鉄、塩化亜鉛(II)等のハロゲン化亜鉛、および塩化コバルト(II)等のハロゲン化コバルトが好ましい。また、塩化鉄(II)等のハロゲン化鉄、塩化亜鉛(II)等のハロゲン化亜鉛、塩化アルミニウム(III)等のハロゲン化アルミニウム等のルイス酸性の強い金属ハロゲン化物は、厳しい条件下ではケイ素原子−メチル基間の結合を切断したり、目的物である3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランまでも分解するおそれがあるので、この分解反応の条件には特に注意する必要がある。このため、この金属ハロゲン化物としては、比較的ルイス酸性の弱い塩化錫(IV)等のハロゲン化錫、塩化チタン(IV)等のハロゲン化チタン、塩化ベリリウム(II)等のハロゲン化ベリリウム、塩化アンチモン(V)等のハロゲン化アンチモン、塩化水銀(II)等のハロゲン化水銀、塩化銅(I)、塩化銅(II)等のハロゲン化銅、塩化ビスマス(II)等のハロゲン化ビスマス、塩化コバルト(II)等のハロゲン化コバルト、塩化カルシウム(II)等のハロゲン化カルシウム、塩化カドニウム(II)等のハロゲン化カドニウムであることが好ましく、特に、塩化銅(I)および/または塩化銅(II)であることが好ましく、穏和な条件下でも、比較的効率よく作用することができることから、特に、塩化銅(I)であることが好ましい。また、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランのハロゲン原子と金属ハロゲン化物のハロゲン原子とが置換される場合があるので、これらのハロゲン原子は同一であることが好ましい。
【0011】
1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランをルイス酸性を示す金属ハロゲン化物により分解して生成する化合物としては、メタクリロキシジメチルハロシランまたはメタクリロキシメチルジハロシラン、プロペン、ジメチルジハロシラン、またはメチルトリハロシランが例示され、これらの化合物の沸点は、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの沸点よりも低いために、これらを分留することにより、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを高純度に精製することができるのである。
【0012】
この金属ハロゲン化物の添加量は限定されず、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランを分解反応する条件に依存するが、一般には、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシラン100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲内であることが好ましく、特には、0.1〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0013】
この分解反応は無溶剤で行うことが好ましいが、有機溶剤の存在下で行っても良く、また、この分解反応は室温でも行うことができるが、50〜200℃に加熱して行うことが反応速度の点から好ましい。この分解反応を行った後、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを分留する際には、これらのシランの重合を抑制するために、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、キノン系化合物、酸素等の公知の重合禁止剤を添加してもよい。
【0014】
【実施例】
本発明の3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法を実施例により詳細に説明する。
【0015】
[比較例1]
攪拌装置付き4つ口フラスコに、メタクリル酸アリル100g(794ミリモル)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチルジメチルアンモニウムクロリド0.1gを投入し、さらに白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を白金金属がメタクリル酸アリルに対して重量単位で20ppmとなる量投入した。この系を窒素雰囲気下で90℃に加熱し、ジメチルクロロシランを少量滴下した。ヒドロシレーション反応の開始を確認した後、この系を水冷または空冷によって、反応温度を85〜95℃に保ちながら、総量68.2g(722ミリモル)のジメチルクロロシランを滴下した。滴下終了後、80℃で30分間加熱攪拌して、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシランからなる生成物を得た。この生成物をキャピラリカラムおよびFID検出器を装着したガスクロマトグラフィー(以下、キャピラリGLC)、および13C−核磁気共鳴分析により分析した結果、この生成物には約2モル%の1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランが含まれていることが判明した。
【0016】
次に、この生成物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、5mmHgの減圧下で蒸留して、92〜105℃の留分126.1gを得た。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、式:
【化2】
Figure 0004025383
で示される3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン93.1%、式:
【化3】
Figure 0004025383
で示される1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシラン2.4%、式:
【化4】
Figure 0004025383
で示される3−メタクリロキシプロピル(メタクリロキシ)ジメチルシラン1.3%、式:
【化5】
Figure 0004025383
で示されるメタクリロキシジメチルクロロシラン0.6%、ジメチルジクロロシラン0.8%、その他の成分1.8%からなることが判明した。
【0017】
[実施例1]
比較例1で得られた留分66.6gに塩化銅(II)1gを添加して、この系を窒素雰囲気下で100℃に加熱攪拌した。この反応混合物を一定時間ごとに採取して、この反応混合物に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランの含有率を13C−核磁気共鳴分析により追跡したところ、8時間後には0.37%、10時間後には0.2%となり、12時間後には完全に消失していた。この12時間後の反応混合物を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン93.1%、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシラン0.0%、3−メタクリロキシプロピル(メタクリロキシ)ジメチルシラン2.0%、メタクリロキシジメチルクロロシラン0.7%、ジメチルジクロロシラン1.1%、その他の成分3.1%からなることが判明した。
【0018】
次に、この反応混合物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01gを添加して、5mmHgの減圧下で蒸留して、97〜105℃の留分61gを得た。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、この留分は、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン98.5%、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシラン0.0%、3−メタクリロキシプロピル(メタクリロキシ)ジメチルシラン0.4%、メタクリロキシジメチルクロロシラン0.0%、ジメチルジクロロシラン0.0%、その他の成分1.1%からなることが判明した。
【0019】
[比較例2]
比較例1で得られた留分を乾燥空気雰囲気下で100℃に12時間加熱攪拌した。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析したところ、組成に変化はなく、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランの分解は生じていなかった。
【0020】
[実施例2]
比較例1で得られた留分10gに塩化鉄(II)0.15gを添加して、この系を空気雰囲気下で100℃に8時間加熱攪拌した。この反応混合物を13C−核磁気共鳴分析したところ、この反応混合物中には1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランが含まれていないことが確認された。次に、この反応混合物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01gを添加して、5mmHgの減圧下で蒸留して、97〜105℃の留分を得た。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、この留分は、実施例1と同様の組成であることが確認された。
【0021】
[実施例3]
比較例1で得られた留分10gに塩化亜鉛(II)0.15gを添加して、この系を空気雰囲気下で100℃に8時間加熱攪拌した。この反応混合物を13C−核磁気共鳴分析したところ、この反応混合物中には1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランが含まれていないことが確認された。次に、この反応混合物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01gを添加して、5mmHgの減圧下で蒸留して、97〜105℃の留分を得た。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、この留分は、実施例1と同様の組成であることが確認された。
【0022】
[実施例4]
比較例1で得られた留分10gに塩化コバルト(II)0.15gを添加して、この系を空気雰囲気下で100℃に8時間加熱攪拌した。この反応混合物を13C−核磁気共鳴分析したところ、この反応混合物中には1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランが含まれていないことが確認された。次に、この反応混合物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.01gを添加して、5mmHgの減圧下で蒸留して、97〜105℃の留分を得た。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、この留分は、実施例1と同様の組成であることが確認された。
【0023】
[実施例5]
攪拌装置付き4つ口フラスコに、メタクリル酸アリル100g(794ミリモル)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチルジメチルアンモニウムクロリド0.1gを投入し、さらに白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を白金金属がメタクリル酸アリルに対して重量単位で20ppmとなる量投入した。この系を窒素雰囲気下で90℃に加熱し、ジメチルクロロシランを少量滴下した。ヒドロシレーション反応の開始を確認した後、この系を水冷または空冷によって、反応温度を85〜95℃に保ちながら、総量68.2g(722ミリモル)のジメチルクロロシランを滴下した。滴下終了後、80℃で30分間加熱攪拌して、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシランからなる生成物を得た。この生成物をキャピラリGLCおよび13C−核磁気共鳴分析により分析した結果、この生成物には約2モル%の1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランが含まれていることが判明した。
【0024】
次に、この生成物50gに塩化銅(I)0.55g(5.58ミリモル)を添加して、この系を100℃で3時間加熱攪拌した。その後、この生成物をキャピラリGLCにより分析したところ、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランの45%が分解していることが判明した。さらに、この系を100℃で3時間加熱攪拌した後、この生成物をキャピラリGLCにより分析したところ1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシランの97%が分解していることが判明した。そして、この生成物に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.03gを添加した後、5mmHgの減圧下で蒸留して、92〜105℃の留分を採取した。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン98.9%、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシラン0.0%、3−メタクリロキシプロピル(メタクリロキシ)ジメチルシラン0.3%、メタクリロキシジメチルクロロシラン0.0%、ジメチルジクロロシラン0.0%、その他の成分0.8%からなることが判明した。
【0025】
[比較例3]
攪拌装置付き4つ口フラスコに、メタクリル酸アリル100g(794ミリモル)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチルジメチルアンモニウムクロリド0.1gを投入し、さらに白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を白金金属がメタクリル酸アリルに対して重量単位で20ppmとなる量投入した。この系を窒素雰囲気下で90℃に加熱し、ジメチルクロロシランを少量滴下した。ヒドロシレーション反応の開始を確認した後、この系を水冷または空冷によって、反応温度を85〜95℃に保ちながら、総量68.2g(722ミリモル)のジメチルクロロシランを滴下した。滴下終了後、80℃で30分間加熱攪拌して、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシランからなる生成物を得た。
【0026】
次に、この生成物に塩化銅(II)1.0gおよび2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、5mmHgの減圧下で蒸留して、92〜105℃の留分を採取した。この留分を13C−核磁気共鳴分析および29Si−核磁気共鳴分析した結果、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン96.1%、1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルクロロシラン1.4%、3−メタクリロキシプロピル(メタクリロキシ)ジメチルシラン0.8%、メタクリロキシジメチルクロロシラン0.2%、ジメチルジクロロシラン0.2%、その他の成分1.3%からなることが判明した。
【0027】
【発明の効果】
本発明の3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法は、メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応による3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物ないしは留分に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランを分解することにより、これらの分留を容易にして、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランを高純度に精製することができるという特徴がある。

Claims (3)

  1. メタクリル酸アリルとジメチルハロシランまたはメチルジハロシランのヒドロシレーション反応による3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランからなる生成物ないしは留分に含まれている1−メチル−2−メタクリロキシエチルジメチルハロシランまたは1−メチル−2−メタクリロキシエチルメチルジハロシランをルイス酸性を示す金属ハロゲン化物により分解した後、これらを分留することを特徴とする、3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法。
  2. ルイス酸性を示す金属ハロゲン化物が、ハロゲン化銅、ハロゲン化鉄、ハロゲン化亜鉛、およびハロゲン化コバルトからなる群から選択される少なくとも一種のものであることを特徴とする、請求項1記載の3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法。
  3. ルイス酸性を示す金属ハロゲン化物が塩化銅(I)および/または塩化銅(II)であることを特徴とする、請求項1記載の3−メタクリロキシプロピルジメチルハロシランまたは3−メタクリロキシプロピルメチルジハロシランの精製方法。
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