JP4022317B2 - 仮設足場用ブラケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の外壁の塗装やタイル貼り等の工事を行うときに作業の邪魔にならないように足場板を取り付けたまま跳ね上げて退避させることのできるラケットに関し、特に足場の跳ね上げ時にブラケット上に掛け渡した足場板の脱落を防止することができる仮設足場用ブラケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の建築工事においては、図に示すように建築物の側近に足場枠Aを建築物の高さに応じて何段にも積み上げて仮設足場を形成している。このとき、足場枠Aは建築物の側近に積み上げるようにはしているものの、足場枠Aと建築物との間に隙間が生じる場合があり、その場合には仮設足場用ブラケット1を用意し、ブラケット1の支柱材2に備えた取付け具3によって足場枠Aの建地に取り付け、隣接するブラケット1の係止用アーム4間に足場板Bを掛け渡して足場枠Aと建築物との間の隙間に墜落防止用の足場を形成している。
【0003】
そして、建築物の外壁の塗装やタイル貼り等の工事を行うときには、ブラケット1間に掛け渡した足場板Bが作業の邪魔となってやりにくい場合があり、足場板Bを係止するブラケット1の係止用アーム4を支柱材2に対して回動できるようにしておいて作業の邪魔となる場合には足場板Bを掛け渡したまま係止用アーム4を跳ね上げて作業用の空間を確保するようにしている。
【0004】
このとき、跳ね上げた足場板Bが係止用アーム4より離脱しないように、図10に示すように、係止用アーム4の先端部に略コ字形状のクランプ留め金具5を係止用アーム4の軸線方向に出没自在とすると共に、係止用アーム4没した状態とすると係止用アーム4の外周部に沿って回動自在となり、また、突出させた状態で固定される留め金具固定手段を備えて足場板Bのクランプを留めるようにしたものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のクランプ留め金具では、足場板を掛け留めた状態で係止用アームを跳ね上げたとき、足場板の自重がクランプ留め金具に係止用アームの軸線方向に加わり、状況によっては、クランプ留め金具が没した状態となって係止用アームの外周部に沿って回動可能となり、そこに水平力が加わるとクランプ留め金具の掛け留め状態が解除されるおそれがある。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、係止用アームを跳ね上げたとき、足場板を掛け止めるクランプ留め金具の掛け留め状態が解除されることのない安全な仮設足場用ブラケットを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、足場枠への取付け手段を備えた支柱材に足場板を係止する係止用アームを取り付けた仮設足場用ブラケットにおいて、所定長さの棒状体を略コ字形状に折曲して足場板のクランプに掛け留めるクランプ留め金具を形成し、該クランプ留め金具の一端部を前記係止用アームの遊端部の外周部に係止用アームの軸方向と直交方向へ貫設した透孔に出没自在に嵌入すると共に、バネを介装してクランプ留め金具の他端部が前記係止用アーム内に没する方向に付勢し、更に前記係止用アームの遊端部の外周部に前記クランプ留め金具の他端部を没入させる透孔を穿設し、クランプ留め金具で足場板のクランプを掛け留めた状態で係止用アームを略垂直に跳ね上げたときに、足場板の自重がクランプ留め金具に垂直方向に作用してもクランプ留め金具の掛け留めが解除されることのないように構成したことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る仮設足場用ブラケットにあっては、クランプ留め金具により足場板のクランプを掛け留めた係止用アームを跳ね上げたとき、クランプ留め金具は水平方向には出没可能な状態となるが、垂直方向には移動しないため、足場板の自重がクランプを介してクランプ留め金具に垂直方向にかかってもクランプ留め金具のクランプに対する掛け留めが解除されることがない。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
先ず、図〜図に基づいて説明すると、10は本発明のブラケットであって、所定長さの角パイプから成る支柱材11を垂直部材とし、該支柱材11の中間位置には足場枠への取り付け手段である取付け具12をボルト・ナット13により固着している。前記支柱材11の上端部には断面略コ字形状をした所定長さの回動用部材14をその凹部が支柱材11に嵌り込むような形で位置させ、その上部付近にボルト15を貫通させて回動用部材14を回動自在に軸着している。
【0011】
そして、回動用部材14の下端部には足場板Bを係止する水平材である係止用アーム16を回動用部材14に対して直角に固着してあり、これによって係止用アーム16はその固着した回動用部材14を支柱材11に当接して水平に保持されると共に、回動用部材14と一体で前記ボルト15の軸着部を中心に上方回動させて跳ね上げできる構造としている。
【0012】
係止用アーム16は外管材17に外管材17より若干径の小さい内管材18を挿入して出没自在とし、図、図に示すように、内管材18の両側面にはその基端部より先端部側に所定距離隔たった位置から先端部側に向けてプレス加工により直線状に窪ませ、内管材18を外管材17より出没させるときのガイド溝19を形成している。このように内管材18の両側面を窪ませてガイド溝19を形成することによって内管材18の断面係数は加工前の元の内管材の断面係数に比べてもさほど低い値にならなくて済む。
【0013】
一方、外管材17の内面の所定位置には内管材18のガイド溝19に嵌り込む突起部20をプレス加工によって成型している。この突起部20のプレス成型
は内管材18を外管材17に装着後に行えばよい。また、外管材17の先端下部にはナット21を固着し、該ナット21にはボルト22を螺着して外管材17を貫通させ、ボルト22によって出没自在の内管材18の下面を押しつけて内管材18を任意の位置に固定するようにしている。
【0014】
回動用部材14の軸着部付近には、回動用部材14を係合して固定する係合体23と、係合体23を引きつけるための引っ張りバネ24とから成る係合手段を配設してある。前記係合体23は棒状体を渦巻き状の略方形としたもので、係合体23の上部の一辺を支柱材11の側面に固着した管体25に装着して回動自在に取り付けている。そして、支柱11に固着した軸体26に取り付けた引っ張りバネ24によって前記係合体23を支柱材11側に引っ張るように付勢している。
【0015】
また、前記回動用部材14の上縁部は係止用アーム16を上方に跳ね上げたときに係合体23の下部辺23aが当接しながら回動できるように略円弧状とすると共に、上縁部の中央部には係合体23の下部辺23aが嵌る大きさの係合孔27を切り欠いており、係止用アーム16を跳ね上げて回動用部材14を水平にしたときに前記係合孔27に係合体23の下部辺23aが嵌り込んで係止用アーム16を跳ね上げた状態に保持できるようにしてある。
【0016】
また、外管材17の遊端部付近の下面には突出片28を固着し、該突出片28に補強材29の一端部をボルト・ナット30により回動自在に軸着している。この補強材29は外管材17が水平状態に位置したときに拘束していないその自由端部側が後述するように支柱材11に係止されて外管材17にかかる荷重を支える補強斜材として作用するものであり、その役目に見合った長さとしてある。
【0017】
そして、補強材29の自由端部側には連結材31の一端部がボルト・ナット32により回動自在に軸着し、その連結材31の他端部を支柱材11の側面に突出させた突出片33にボルト・ナット34により回動自在に軸着してリンク機構構造の補強用斜材を構成している。前記連結材31は外管材17を上方に跳ね上げたときにリンク機構を構成する補強材29と相まってほぼ垂直状態まで回動させることができるような長さとしている。
【0018】
また、支柱材11には外管材17を支持する補強材29の拘束していない自由端部を係止する係止体35を固着してあり、その固着位置は外管材17を下方に回動して水平状態としたときにリンク機構を構成する補強材29の自由端部が連結材31に誘導されて円弧状の移動軌跡に沿って移動して最終的に位置するところの支柱材11の側面である。
【0019】
また、内管材18の先端には外管材17と外径がほぼ同一の足場板Bを係止するカラー体36を嵌め入れて固着すると共に、足場板Bを係止したときに足場板Bが係止用アーム16に沿ってずれ落ちるのを防止するためのずれ止め片37を固着している。
【0020】
更に、前記カラー体36には図に示すように、足場板Bを係止したときに足場板Bのクランプを掛け留めるクランプ留め金具38を配設している。
【0021】
該クランプ留め金具38は棒状体を略コ字形状で一端部を長く、他端部を短く折曲したもので、その長い方の一端部を前記カラー体36から内管材18を貫通させて穿設した透孔39に圧縮バネ40を介装して挿入貫通させる共に、内管材18内に介装した前記圧縮バネ40の上端部を内管材18の内面上部に当接させる一方、下端部をクランプ留め金具38に挿入した押圧ピン41により受け止めてクランプ留め金具38が前記透孔39に対して出没自在とすると共に、クランプ留め金具38の短い方の端部がカラー体36の内側に没する方向にクランプ留め金具38を付勢する。また、カラー体36には前記クランプ留め金具38の長い方の一端部が出没するのに伴って、短い方の他端部を出没させる透孔42を穿設する。
【0022】
次に、上記の構造を有するブラケットの使用方法を図〜図9に基づいて説明する。
【0023】
先ず、図(a)のように、仮設足場の足場枠Aにブラケット10を取付け具12を介して取り付け、内管材18を収納する外管材17を自重により回動用部材14と一体として軸着部であるボルト15を中心に下方へ回動させると、断面略コ字形状の回動用部材14が支柱材11に当接して係止用アーム16を水平状態に保持する。このとき、外管材17に軸着した補強材29の拘束されない自由端部は連結材31に誘導されて支柱材11に配設した係止体35に係止される。この補強材29の自由端部は連結材31に規制されて位置ずれすることなく外管材17を下方より支持する補強用斜材として作用する。
【0024】
次に、仮設足場の足場枠Aに取り付けた隣接するブラケット10間に足場板Bを掛け渡すのであるが、足場枠Aと建築物の壁との間が広い場合には係止用アーム16を構成する外管材17の先端下部のボルト22を緩めて外管材17より内管材18を引き出す。
【0025】
内管材18の両側面にはガイド溝19を形成してあり、更に外管材17の内周面には前記ガイド溝19に嵌り込む突起部20を突設しているので、内管材18は突起部20に規制されて回転することなく引き出され、また、ガイド溝19は内管材18の基端部より先端部側に所定距離隔てて形成しているので、内管材18の引き出し時にはガイド溝19の終端部で停止して抜け落ちることがない。
【0026】
このように、内管材18を引き出した後にボルト22をねじ込んで内管材18を押しつけて固定し、足場板Bを内管材18と外管材17に渡って掛け渡して足場を形成するのである。
【0027】
また、建築物の外壁の塗装やタイル貼り等の工事を行うときには、ブラケット10により支持した足場板Bが邪魔になるので、図(b)、(c)に示すように足場板Bを取り付けたまま係止用アーム16を上方に向けて跳ね上げる。
【0028】
このとき、外管材17を一体的に固着した回動用部材14が軸着部のボルト15を中心に上方に回動し、それに伴って図(b)に示すように回動用部材14の上縁部が係合体23の下部辺23aを押し除けるように回転し、図(c)のように回動用部材14が水平状態になると上縁部の係合孔27が係合体23の下部辺23aに嵌り込んで固定される。
【0029】
また、ブラケット10から足場板Bが脱落しないようにクランプ留め金具38で固定しておくのであるが、このクランプ留め金具38の操作方法は、先ず、足場板Bを係止用アーム16に係止するときには、図の仮想線で示すようにクランプ留め金具38を圧縮バネ40に抗して上方に引き上げた後に足場板Bの係止の邪魔にならない位置まで回動させておく。
【0030】
そして、ブラケット10に足場板Bを掛け渡せばクランプ留め金具38を再びもとの位置に回動し、クランプ留め金具38の先端部をカラー体36に穿設した透孔42に嵌め入れて掛け留めを完了する。このように、クランプ留め金具38を足場板Bのクランプに掛け留めしておけばブラケット10を跳ね上げたとき足場板Bの自重がクランプ留め金具38に垂直方向に作用してもクランプ留め金具38は垂直方向に移動せず掛け留めが解除されることがなく、跳ね上げた足場板Bが脱落することがない。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の仮設足場用ブラケットにあっては、所定長さの棒状体を略コ字形状に折曲したクランプ留め金具の一端部を前記係止用アームの遊端部の外周部に穿設した透孔に出没自在に嵌入すると共に、バネを介装してクランプ留め金具の他端部が前記係止用アーム内に没する方向に付勢し、更に前記係止用アームの遊端部の外周部に前記クランプ留め金具の他端部を没入させる透孔を穿設したので、係止用アームを跳ね上げたとき、足場板の自重がクランプ留め金具に垂直方向にかかってもクランプ留め金具が容易に解除されないので、係止用アームに掛け渡した足場板が脱落するおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のブラケットの使用状況を示す説明図である。
【図2】 本発明に係る仮設足場用ブラケットの一実施例を示す正面図である。
【図3】 図1の側面図である。
【図4】 図1の平面図である。
【図5】 図1のC−C線拡大断面図である。
【図6】 外管材先端部の切り欠き部分断面図である。
【図7】 内管材先端部の切り欠き部分断面図である。
【図8】 係止用アーム先端のクランプ留め金具の動作を説明する図である。
【図9】 ブラケットの動作を説明する図である。
【図10】 従来のブラケットの図7に相当する部分断面図である。
【符号の説明】
10…ブラケット 11…支柱材
12…取付け金具 14…回動用部材
15…ボルト 16…係止用アーム
17…外管材 18…内管材
19…ガイド溝 20…突起部
23…係合体 24…引っ張りバネ
27…係合孔 29…補強材
31…連結材 35…係止体
36…カラー体 38…クランプ留め金具
39…透孔 40…圧縮バネ
41…押圧ピン 42…透孔

Claims (1)

  1. 足場枠への取付け手段を備えた支柱材に足場板を係止する係止用アームを取り付けた仮設足場用ブラケットにおいて、所定長さの棒状体を略コ字形状に折曲して足場板のクランプに掛け留めるクランプ留め金具を形成し、該クランプ留め金具の一端部を前記係止用アームの遊端部の外周部に係止用アームの軸方向と直交方向へ貫設した透孔に出没自在に嵌入すると共に、バネを介装してクランプ留め金具の他端部が前記係止用アーム内に没する方向に付勢し、更に前記係止用アームの遊端部の外周部に前記クランプ留め金具の他端部を没入させる透孔を穿設し、クランプ留め金具で足場板のクランプを掛け留めた状態で係止用アームを略垂直に跳ね上げたときに、足場板の自重がクランプ留め金具に垂直方向に作用してもクランプ留め金具の掛け留めが解除されることのないように構成したことを特徴とする仮設足場用ブラケット。
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