JP4022274B2 - 有機el発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL発光装置に関する。さらに詳しくは、各種情報用ディスプレーに好適に用いられる有機EL発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた有機EL装置において、色純度を上げるため発光の取り出し方向にカラーフィルタを配置する技術は知られている。
高精細ディスプレイにおいては、二つの電極のうち光取り出し方向に設けられる電極は透明または半透明が好ましく、その透明電極の直下又はそれに非常に近してカラーフィルタを配置する必要があるが、従来用いられてきた有機顔料を用いたカラーフィルタの場合、有機顔料又はそれを分散した透明レジンが吸湿しており、有機EL素子の対向電極を水分が浸食して素子を劣化させるという問題があった。
なお、透明電極の直下にカラーフィルタを配置し、赤色光等を取り出す素子が開示されている(特開平7−142169号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この場合、カラーフィルタには有機顔料を分散した透明レジン等が用いられおり、この有機質である透明レジンは、吸湿しており、これにより生じる水分が有機EL素子の陰極を容易に酸化するという問題があった。
また、吸湿した水分を完全に除くためには、カラーフィルタを200℃以上、好ましくは250℃として焼き出す必要があるが、有機カラーフィルタの耐熱性は200℃以下であり、焼き出しにより熱劣化するのを避けることができないので、完全に脱水することは極めて困難であった。
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、カラーフィルタにより有機EL素子が劣化するのを抑制するとともに、色純度やコントラストに優れた有機EL発光装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、基板上に、その少なくとも一つが透明な二つの電極間に発光層を含む有機物層を挟持した有機EL素子を平面状に複数分離配置してなる有機EL発光装置において、基板と透明電極との間であって、有機EL素子の配置に対応した位置に、無機カラーフィルタを配設してなることを特徴とする有機EL発光装置が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機EL発光装置の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、本発明の有機EL発光装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。また、図2は、本発明に用いられる保護層の配設状況を模式的に示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、本発明の有機EL発光装置は、基板1上に、少なくとも一つが透明な二つの電極2,3間に発光層を含む有機物層4を挟持した有機EL素子10を平面状に複数分離配置してなり、基板1と透明電極2との間であって、有機EL素子10の配置に対応した位置に、好ましくは保護層6を被覆した、無機カラーフィルタ5を配設してなる。
以下、本発明の有機EL発光装置の各構成要素およびその作製方法をさらに具体的に説明する。
【0012】
1.基板
本発明に用いられる基板1としては、透明で平坦かつ耐熱性(400℃以上)を有するものであれば、特に制限はない。たとえば、ガラス,石英,セラミックスを好適例として挙げることができる。
【0013】
2.有機EL素子
本発明においては、基板上1に、発光層を含む有機物層4を基板電極2と対向電極3との間に挟持した有機EL素子10を平面状に複数分離配置している。
本発明に用いられる有機EL素子10においては、有機物層4として、再結合領域および発光領域を少なくとも有するものが用いられる。この再結合領域および発光領域は、通常発光層に存在するため、本発明においては、有機物層4として発光層のみを用いてもよいが、必要に応じ、発光層以外に、たとえば正孔注入層,電子注入層,有機半導体層,電子障壁層,付着改善層なども用いることができる。
【0014】
次に本発明に用いられる有機EL素子の代表的な構成例を示す。もちろん、これに限定されるものではない。
▲1▼透明電極(陽極)/発光層/電極(陰極)
▲2▼透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電極(陰極)
▲3▼透明電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極(陰極)
▲4▼透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注入層/電極(陰極)
▲5▼陽極/有機半導体層/発光層/陰極
▲6▼陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
▲7▼陽極/正孔注入層/発光層/付着改善層/陰極
などの構造を挙げることができる。
これらの中で、通常▲4▼の構成が好ましく用いられる。
【0015】
(1)陽極
陽極(基板電極2,または対向電極3)としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属,合金,電気伝導性化合物またはこれらの混合 を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI,ITO,SnO2 ,ZnO,InZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
陽極は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で、薄膜を形成させることにより作製することができる。
このように発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくすることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
なお、光の取り出し側に配設される電極、たとえば基板電極2は、透明または半透明であることが好ましい。
また、前述のように、本発明においては、陽極として用いる電極は、その形成位置から、基板電極2または対向電極3のいずれであってもよい。
【0016】
(2)有機物層
本発明における有機物層4は、たとえば、赤系統色,緑系統色および青系統色の発光層等を含む。
▲1▼発光層
有機物層4に含まれる発光層の発光材料(ホスト材料)としては、一般式(I)
【0017】
【化1】
【0018】
で表わされるジスチリルアリレーン系化合物が好ましく用いられる。この化合物は、特開平2−247278号公報に開示されている。
【0019】
上記一般式において、Y1 〜Y4 はそれぞれ水素分子、炭素数1〜6のアルキル基,炭素数1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,置換あるいは無置換の炭素数6〜18のアリール基,置換あるいは無置換のシクロヘキシル基,あるいは無置換の炭素数6〜18のアリールオキシ基,炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。ここで置換基は、炭素数1〜6のアルキル基,炭素数1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,炭素数6〜18のアリールオキシ基,炭素数1〜6のアシル基,炭素数1〜6のアシルオキシ基,カルボキシル基,スチリル基,炭素数6〜20のアリールカルボニル基,炭素数6〜20のアリールオキシカルボニル基,炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基,ビニル基,アニリノカルボニル基,カルバモイル基,フェニル基,ニトロ基,水酸基あるいはハロゲンを示す。これらの置換基は単一でも複数でもよい。また、Y1 〜Y4 は同一でも、また互いに異なってもよく、Y1 とY2 およびY3 とY4 は互いに置換している基と結合して、置換あるいは無置換の飽和五員環または置換あるいは無置換の飽和六員環を形成してもよい。Arは置換あるいは無置換の炭素数6〜20のアリレーン基を表わし、単一置換されていても、複数置換されていてもよく、また結合部分は、オルト,パラ,メタいずれでもよい。但し、Arが無置換フェニレン基の場合、Y1 〜Y4 はそれぞれ炭素数1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,置換あるいは無置換のナフチル基,ビフェニル基,シクロヘキシル基,アリールオキシ基より選ばれたものである。このようなジスチルアリーレン系化合物としては、たとえば、下記のものを挙げることができる。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
また、別の好ましい発光材料(ホスト材料)として、8−ヒドロキシキノリン、またはその誘導体の金属錯体を挙げることができる。具体的には、オキシン(一般に8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキサノイド化合物である。このような化合物は高水準の性能を示し、容易に薄膜形態に成形される。このオキサノイド化合物の例は、下記構造式を満たすものである。
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、Mtは金属を表わし、nは1〜3の整数であり、Zはそのそれぞれの位置が独立であって、少なくとも2以上の縮合芳香族環を完成させるために必要な原子を示す。)
ここで、Mtで表わされる金属は、一価,二価または三価の金属とすることができるものであり、たとえばリチウム,ナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、あるいはホウ素またはアルミニウムなどの土類金属である。
一般に、有用なキレート化合物であると知られている一価,二価,または三価の金属はいずれも使用することができる。
【0025】
また、Zは、少なくとも2以上の縮合芳香族環の一方がアゾールまたはアジンからなる複素環を形成させる原子を示す。ここで、もし必要であれば、上記縮合芳香族環に他の異なる環を付加することが可能である。また、機能上の改善がないまま嵩ばった分子を回避するため、Zで示される原子の数は18以下に維持することが好ましい。
さらに、具体的にキレート化オキサノイド化合物を例示すると、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alqと略記する),ビス(8−キノリノール)マグネシウム,ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキシド,トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム,8−キノリノールリチウム,トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガリウム,ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム,5,7−ジクロル−8−キノリノールアルミニウム、トリス(5,7−ジプロモ−8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウムなどがある。
【0026】
さらに、特開平5−198378号公報に記載されているフェノラート置換8−ヒドロキシキノリンの金属錯体は、青色発光材料として、好ましい物である。このフェノラート置換8−ヒドロキシキノリンの金属錯体の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(ο−クレゾラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(m−クレゾラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−クレゾラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(ο−フェニルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(m−フェニルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6ジメチルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム(III) ,ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム(III) などが挙げられる。
これらの発光材料は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
以下、さらに具体的に説明する。
本発明に用いられる発光層としては、各種公知の発光材料が用いることができるが、好ましい発光層としては、上記オキサノイド化合物に緑色蛍光色素を0.2〜3重量%微量添加したものを挙げることができる。ここで添加される緑色蛍光色素としては、クマリン系、キナクリドン系である。これらを添加することにより発光層を保有する素子は、5〜20(lm/w)の高効率の緑色発光を実現することができる。
一方、発光層から高効率にて黄色または橙色を取り出したい場合には、オキシノイド化合物にルブレンおよびその誘導体、ジシアノピラン誘導体、ペリレン誘導体を0.2〜3重量%添加したものを用いる。これらの素子は3〜10(lm/w)の高効率で発光出力をすることが可能である。また、緑色蛍光色素と赤色蛍光色素を同時に添加しても橙色が可能である。たとえば、好ましくはクマリンとジシアノピラン系色素、キナクリドンとペリレン色素、クマリンとペリレン色素を同時に用いてもよい。
他の特に好ましい発光層はポリアリーレンビニレン誘導体である。これは緑色または橙色を高効率に出力することが可能である。
また、本発明に用いられる発光層としては各種公知の青色発光材料を用いることができる。たとえばジスチリルアリレーン誘導体,トリススチリルアリーレン誘導体,アリルオキシ化キノリラート金属錯体が高水準な青色発光材料である。また、ポリマーとしては、ポリパラフェニリン誘導体を挙げることができる。
【0028】
本発明に用いられる素子における発光層の形成方法としては、たとば、蒸着法、スピンコート法,キャスト法,LB法などの公知の方法により薄膜化することで形成することができるが、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、該化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態または液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜は、、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)と凝集構造,高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区別することができる。
また、この発光層は、樹脂などの結着材と共に溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。
このようにして形成された発光層の膜厚については、特に制限はなく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、好ましくは1nm〜10μm、特に好ましくは5nm〜5μmの範囲がよい。
【0029】
▲2▼正孔注入層
次に、有機物層4には正孔注入層を含んでいてもよい。すなわち、正孔注入層は、必ずしも本発明に用いられる素子に必要なものではないが、発光性能の向上のために用いた方が好ましいものである。この正孔注入層は 発光層への正孔注入を助ける層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが、通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入層としては、より低い電界で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、たとえば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒以上であればなお好ましい。
このような正孔注入材料については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷輸送材として慣用されているものや、EL素子の正孔注入層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0030】
具体例としては、例えば
トリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、
オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、
イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、
ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、
ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、
フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、
アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、
アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、
オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、
フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、
ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、
スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93445号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、
シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、
ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、
アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、
特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0031】
上記ポルフィリン化合物の代表例としては、
ポルフィン、
1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、
5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、
シリコンフタロシアニンオキシド、
アルミニウムフタロシアニンクロリド、
フタロシアニン(無金属)、
ジリチウムフタロシアニン、
銅テトラメチルフタロシアニン、
銅フタロシアニン、
クロムフタロシアニン、
亜鉛フタロシアニン、
鉛フタロシアニン、
チタニウムフタロシアニンオキシド、
Mgフタロシアニン、
銅オクタメチルフタロシアニン
等を挙げることができる。
【0032】
また、前記芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(以下TPDと略記する)、4,4’−ビス[N,N−ジ−(3−トリル)アミノ]−4”−フェニル−トリフェニルアミン(以下、TPD74と略記する)、
2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、
N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノフェニル、
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、
N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、
4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、
4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、
3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、
N−フェニルカルバゾール、
米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下NPDと略記する)、また、特開平4−308688号公報で記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(以下MTDATAと略記する)等を挙げることができる。
また、発光層の材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型−Si,p型SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料として使用することができる。
【0033】
正孔注入層は、上述した化合物を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入層は、上述した材料の一種または二種以上からなる一層で構成されていてもよいし、または、前記正孔注入層とは別種の化合物からなる正孔注入層を積層したものであってもよい。
また、有機半導体層は、発光層への正孔注入または電子注入を助ける層であって、10-10 S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや含アリールアミンオリゴマーなどの導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマーなどの導電性デンドリマーなどを用いることができる。
【0034】
▲3▼電子注入層
有機物層4には、電子注入層を含んでもよい。
電子注入層は、発光層への電子の注入を助ける層であって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この電子注入層の中で、特に陰極との付着が良い材料からなる層である。電子注入層に用いられる材料としては、たとえば8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体、あるいはオキサジアゾール誘導体が好ましく挙げられる。また、付着改善層に用いられる材料としては、特に8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。
上記8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキサノイド化合物が挙げられる。
一方、オキサジアゾール誘導体としては、一般式(II),(III) および(IV)
【0035】
【化5】
【0036】
(式中Ar10〜Ar13はそれぞれ置換または無置換のアリール基を示し、Ar10とAr11およびAr12とAr13はそれぞれにおいて互いに同一であっても異なっていてもよく、Ar14置換または無置換のアリレーン基を示す。)
で表わされる電子伝達化合物が挙げられる。ここで、アリール基としてはフェニル基,ビフェニル基,アントラニル基,ペリレニル基,ピレニル基などが挙げられ、アリレーン基としてはフェニレン基,ナフチレン基,ビフェニレン基,アントラセニレン基,ペニレニレン基,ピレニレン基などが挙げられる。また、置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基またはシアノ基などが挙げられる。この電子伝達化合物は、薄膜形成性のものが好ましい。
上記電子伝達化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0037】
【化6】
【0038】
(3)陰極
陰極(基板電極2,または対向電極3)としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属,合金,電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる.このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2 O3 )、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。
また、これらの金属、合金を15nm以下と薄く形成した後に、透明電極であるZnO:Al,InSnOなどを50〜300nmの範囲で形成したものも透明陰極として用いることができる。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。
【0039】
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、50〜200nmの範囲が好ましい。
なお、本発明に用いられる有機EL素子においては、光取り出し側に配設される、陽極または陰極のいずれか一方は、透明または半透明であることが、発光を透過するため、発光の取り出し効率がよいので好ましい。
なお、前述のように、本発明においては、陰極として用いる電極は、その形成位置から、基板電極2または対向電極3のいずれであってもよい。
【0040】
3.無機カラーフィルタ
(1)構成
本発明に用いられる無機カラーフィルタ5は、電場発光の一部を吸収し、発光の色純度を向上するために配設するものであって、光取り出し方向に透明な電極面より数十μm(たとえば30〜40μm)以下の距離で配設することが好ましい。このようにすることによってカラーフィルタがパターン化された場合、視野角による色ずれを防止することができる。
【0041】
好ましい無機質のカラーフィルタとしては、有色の酸化物、たとえば赤色フィルタとしてαFe2 O3 ,青色フィルタとしてCoO・Al2 O3 (アルミナにCoOを分散したもの)などを挙げることができる。緑色フィルタとしてはCoO・Al2 O3 (アルミナCoOを分散したもの)を同様に用いることができる。またZnO・CoO・TiO2 ・NiO(ZnO,CoO,TiO2 ,NiOの混合顔料)も用いることができる。
【0042】
別の好ましい例としては、可視域にバンドギャップの値をもつ半導体、たとえばCdS,CdSSe(CdSとCdSeとの混晶)、ZnSe,ZnSSe(ZnSとZnSeとの混晶),GaInN(GaNとInNとの混晶)などを挙げることができる。また、ZnCdSSe(ZnS,ZnSe,CdS,CdSeの混晶)およびZnSeTeなどを用いることができる。バンドギャップの値は、たとえば文献:応用物理Vol.65,No7,1996,688頁などに記載されているので、これらの半導体を層状に設けることによってバンドギャップよりも大きなエネルギーを保有する光をカットすることができ、フィルタとして好適に用いることができる。赤色フィルタとしてCdSSeまたはCdS,ZnSeTeなどを用いることができる。緑色と赤色とを透過するフィルタとしては、ZnSe,ZnSSeなどを用いることができる。CdSxSe1-xを赤色フィルタとして使うときは好ましくは0.3<x<0.85とする。
【0043】
また、非結晶質SiCも層状または薄膜にしてフィルタとして好適に用いることができる。SiCの組成によりバンドギャップの値を変えることができる。所望のバンドギャップ値を公知の文献等を参考にして選ぶことができる。
以上の有色の半導体層の好ましい膜厚は、0.1〜1.5μmである。
【0044】
(2)無機カラーフィルタの作製方法
▲1▼無機顔料層の場合
無機顔料である粒径10〜200nmの酸化物微粒子をポリビニルアルコールと重クロム酸塩(例えばアンモニウム塩)との混合水溶液を分散させ、スラリーとする。これをスピンコートし、ガラス板などの透明基材上に塗布し、フォトマスクを通して露光する。露光された場所は水に不溶となり、これを温純水などにより現像する。以上は一つの無機カラーフィルタのパターンの形成手順であるが、複数のカラーフィルタ、パターンたとえば青色,緑色,赤色のパターンが必要なときには、上記の手順を3回繰り返すことになる。最後に完成したカラーフィルタを好ましくは250℃以上で乾燥し、脱水を完全に行なう。好ましくは300℃以上で30〜60分間乾燥し、焼き出す。
【0045】
▲2▼有色の半導体層を形成する場合
CdS,CdSSe,ZnSc,ZnSSe,ZnCdSSeなどの半導体を電子ビーム蒸着方法またはスパッタリングにより所定の膜厚まで透明基材上に成膜する。表面が平坦で、しかも透明度が高い膜としてはスパッタリングで形成するものが好ましい。
これらの膜のパターニングについては、公知のフォトレジストを用い、露光後、残存する部分とマスクするエッチング法により簡易に実施することができる。
【0046】
図2に示すように、保護層6は、必要に応じ無機カラーフィルタ(無機CF)5の凹凸を平坦化するために用いられる透明層である。また、この層は、透明電極2のエッチング工程の際、無機カラーフィルタ5を保護する機能を有する。
本発明においては、250℃以上の耐熱性を保有する材料で構成し、乾燥し、脱水できるようにすることが好ましい。
好ましい材料としては、たとえばSiOx(x=1〜2),TiO2 ,Al2 O3 、透明性SiON,ポリイミド,ポリアクリレートなどを挙げることができる。SiOx ,TiO2 はゾルゲル溶液によりスピンコートし、250〜300℃で焼成後、形成できるものが市販されている。また透明性ポリイミド,ポリアクリレートなども市販され容易に入手することができる。これらポリマーはスピンコートにて所定の膜厚になるように配設し、形成することができる。また、プラズマCVDによるSiO2 ,Si3 N4 膜などを用いることもできる。
【0047】
保護層の厚さとしては、平坦化できるように無機CF5の膜厚よりも厚くし、また透明電極2と無機CF5の距離が離れないように50μm以下の厚さにすることが好ましい。
【0048】
4.本発明の有機EL発光装置の作製方法
本発明の有機EL発光装置を作製する工程は、たとえば下記▲1▼〜▲7▼の工程とすることができる。
▲1▼透明基板1の洗浄工程
▲2▼無機カラーフィルタ5の成膜工程
▲3▼無機カラーフィルタ5のパターニング工程
▲4▼保護層6の成膜工程
▲5▼透明電極2の成膜およびパターニング工程
▲6▼有機層4の成膜工程
▲7▼対向電極3成膜工程
【0049】
▲1▼に関しては、特に制限はなく、たとえばイソプロピルアルコール等の溶媒中で超音波洗浄した後、UV照射により、基板上の有機物の灰化処理をすれば十分である。
▲2▼に関しては、前述のように各種成膜方法を用い、成膜を行なうことができる。
▲3▼に関しては、フォトマスクを通して露光後、所定のパターンで膜が残存するようにすればよい。また、別の方法では、成膜後、その上よりフォトレジストを成膜し、フォトマスクを通して露光後、フォトレジストパターンが残存するようにする。さらにフォトレジストが残存していない箇所を無機カラーフィルタ5が可溶な溶媒でエッチング除去することにより、上記のパターニングを行なうことができる。
▲4▼に関しては、上記(3)で説明したように、ゾルゲル溶液からスピンコート後、焼成し、SiO2 などの酸化物保護層を形成する方法の他、スパッタリング,プラズマCVD,熱CVD,ECR−CVDなど各種酸化物または窒化物の膜を形成する方法を好適例として挙げることができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
[実施例1]
▲1▼無機カラーフィルタおよび保護層の形成
水10g中にポリビニルアルコール0.5g、重クロム酸アンモニウム塩0.01g、CoO・Al2 O3 無機顔料(化成オプトロニクス社製)0.1gを混合し、スリラー とした。
このスリラーを毎分1000回転にて75mm×75mm厚さ1mmのガラス基板上にスピンコートし、さらにフォトマスクを通し、紫外線を照射し露光処理した。
これを温純水に浸漬させ、現像を行ない、ピッチ100μm、ギャップ20μmの短冊状パターンを得た。
これを無機カラーフィルタ層とした。
次に、このガラス基板を空気中350℃にて焼成し、乾燥した。
乾燥後、SiO2 形成用塗布液OCDtype7(東京応化社製)を毎分1000回転でスピンコートし、450℃で焼成し、膜厚1μmの保護層を形成した。
【0051】
▲2▼有機EL素子の形成による有機EL発光装置の作製
次に、上記の無機カラーフィルタを設けたガラス基板の全面に、インジウム(In)の原子比In/(In+Zn)が、0.83であるIn−Zn−O系酸化物の焼結体を、スパッタリングターゲットとして用いたDCマグネトロンスパッタリング法により膜厚200nmのIn−Zn−O系非晶質導電性酸化物膜を成膜した。このときのスパッタリングは、アルコンガスと酸素ガスとの混合ガス(体積比がAr:O2 =1000:2.8)を雰囲気として真空度を0.2Pa、スパッタリング出力は2W/cm2 として行なった。
次に、12%HBr水溶液をエッチャントとして、さらに露光したフォトレジストをマスクとしエッチング加工し、100μmピッチ、ギャップ30μmのストライプ状非晶質透明導電膜を得、透明電極を形成した。
次に、透明電極を形成した後のガラス基板について、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に、前記透明電極を覆うようにして膜厚80nmの4,4’−ビス[N,N−ジ(3−メチルフェニル)アミノ]−4”−フェニル−トリフェニルアミン膜(以下「TPD74膜」と略記する。)を成膜した。このTPD74膜は、第一の正孔注入層(正孔輸送層)として機能する。
TPD74膜の成膜に続けて、このTPD74膜上に膜厚20nmの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル膜(以下「NPD膜」」と略記する。)を成膜した。このNPD膜は、第2の正孔注入層(正孔輸送層))として機能する。
さらに、NPD膜の成膜に続けて、このNPD膜上に膜厚40nmの4,4’−ビス[2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル膜(以下「DPVBi膜」と略記する。)を成膜した。このDPVBi膜は、青色発光層として機能する。
そして、DPVBi膜の成膜に続けて、このDPVBi膜上に膜厚20nmのトリス(8−キノリノール)アルミニウム膜(以下「Alq膜」と略記する。)を成膜した。このAlq膜は、電子注入層として機能する。
この後、上記のAlq膜まで成膜した透明電極ライン付ガラス基板の下方(蒸着源側)に、開口200μmの開口ラインを300μmピッチで所定本数所有しているマスクを装着し、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)とを二元蒸着させて、短冊状を呈する膜厚200nmのMg:Ag合金膜を前述した透明電極ラインと平面視状直交するようにして、前記のAlq膜上の所定本数成膜した。
このとき、Mgの蒸着レートは2nm/秒とし、Agの蒸着レートは0.1nm/秒とした。各Mg:Ag合金膜は、陰極(対向電極)として機能する。
上記の陰極(対向電極)ラインまで形成することにより有機EL発光装置(A1)を得た。この有機EL発光装置は、有機EL素子からなる画素がX−Yマトリックス状に二次元配置されているものである。
透明電極の10ライン分をまとめて+極に、MgAg電極の10ライン分をまとめて一極とした。
【0052】
[実施例2]
実施例1において、無機カラーフィルタおよび保護層の形成を下記に変えたこと以外は、実施例1と同様にし、有機EL発光装置(A2)を得た。すなわち、CdS0.63Se0.37の焼結体をスパッタリングターゲットとしてDCマグネトロンスパッタリング法により、ガラス基板上にCdSxSe1-xの半導体層を0.8μm成膜した(x=0.63)。この場合のスパッタリング条件は、真空度0.2Pa、スパッタ出力2.5w/cm2 、スパッタ雰囲気アルゴンガスとした。この半導体層は赤色フィルタとして稼動する。
次に、SiO2 の保護層とIn−Zn−Oの透明電極を設けた。
なお、発光層の蒸着時には、青色発光用のドーパントである[化7]に示すPAVBiを3mol%、電子注入層の蒸着時には赤色発光用のドーパントである[化8]に示すDCMを8mol%混入するようにドーパントを蒸着した。
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
[実施例3]
実施例2において、保護層の表面の凹凸の差を0.41μm以下で平均0.29μmとしたこと以外は実施例2と同様にし、有機EL発光装置(A3)を得た。
【0056】
[比較例1]
実施例1において、無機カラーフィルタおよび保護層の形成を下記に変えたこと以外は実施例1と同様にし、有機EL発光装置(B1)を得た。すなわち、
有機青色顔料を透明性レジン溶液に分散してある感光性カラーレジスト(富士ハント社製)を毎分1000回転にて75mm×75mm厚さ1mmのガラス基板上にスピンコートし、フォトマスクを通して露光後現像し、有機カラーフィルタとし、次に、ポリウレタン系コーティング剤(保土谷化学社製)をスピンコートし、100℃でベークした。
なお、この有機カラーフィルタは、ピッチ100μm、ギャップ20μmの短冊状のパターンを有するものであった。
【0057】
[比較例2]
実施例1において、無機カラーフィルタおよび保護層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にし、有機EL発光装置(B2)を得た。
【0058】
[比較例3]
実施例2において、無機カラーフィルタを形成しなかったこと以外は実施例2と同様にし、有機EL発光装置(B3)を得た。
【0059】
[比較例4]
実施例1において、保護層を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にし、有機EL発光装置(B4)を得た。
【0060】
(有機EL発光装置の評価)
実施例1〜3および比較例1〜4で得られた有機EL発光装置(A1)〜(A3)および(B1)〜(B4)について、下記の評価を実施した。
【0061】
(1)輝度,色度,色純度
(A1)および(B2)に直流8V、(A2)および(B3)に直流9Vをそれぞれ印加した。その結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1から、(A1)は(B2)に比べ、輝度は小さいものの色純度を向上させること、また、(A2)は(B3)に比べ、輝度は小さいものの、白色発光から色純度の良い赤色を得ることができることがわかった。
【0064】
(2)一定期間保存後の無発光部分面積割合
(A1),(A2),および(B1)を窒素ガス気流下で2週間または4週間室温で保存し、その後直流8Vを印加し、無発光部分の全体に占める面積の割合を測定した。その結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
表2から、(A1)および(A2)は、(B1)に比べ、2週間保存および4週間保存後のいずれの場合であっても、無機カラーフィルタを用いることにより格段に無発光面積を減少させることができることがわかった。
【0067】
(3)保護層表面の凹凸の影響
(A1),(A3)および(B4)に直流8Vの印加を、10,20,30回繰り返し、非発光箇所の増加具合を観察し、対向電極であるMg:Agの断線状況を把握した。その結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
(A1)および(A3)は、(B4)に比べ、対向電極の断線を有効に防止することがわかった。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、色純度が高く、かつ有機EL素子の劣化や電極の断線がなく長寿命な有機EL発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL発光装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に用いられる保護層の配設状況を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 基板(透明)電極
3 対向電極
4 発光層を含む有機物層
5 無機カラーフィルタ
6 保護層
10 有機EL素子
Claims (4)
- 基板上に、その少なくとも一つが透明な二つの電極間に発光層を含む有機物層を挟持した有機EL素子を平面状に複数分離配置してなる有機EL発光装置において、基板と透明電極との間であって、有機EL素子の配置に対応した位置に、電場発光の一部を吸収し、発光の色純度を向上する無機カラーフィルタ(ただし、無機顔料をガラス質中に分散し高温で焼き付けたものを除く)を配設してなることを特徴とする有機EL発光装置。
- 前記基板と透明電極との間に、酸化物または窒化物からなる保護層を配設してなることを特徴とする請求項1記載の有機EL発光装置。
- 前記酸化物または窒化物が、SiOx(x=1〜2)、TiO2、Al2O3、透明性SiON、Si3N4であることを特徴とする請求項2記載の有機EL発光装置。
- 前記保護層が50μm以下の厚さであることを特徴とする請求項2又は3記載の有機EL発光装置。
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