JP3508805B2 - 多色発光装置およびその製造方法 - Google Patents

多色発光装置およびその製造方法

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JP3508805B2
JP3508805B2 JP25102796A JP25102796A JP3508805B2 JP 3508805 B2 JP3508805 B2 JP 3508805B2 JP 25102796 A JP25102796 A JP 25102796A JP 25102796 A JP25102796 A JP 25102796A JP 3508805 B2 JP3508805 B2 JP 3508805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多色発光装置およ
びその製造方法に関する。さらに詳しくは、発光層の平
坦性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機
EL素子)、およびそれを簡易な工程で効率よく製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子(EL素
子)は、自己発光型素子であるため視認性が高く、完全
固体のため耐衝撃性に優れるという特徴を有する。この
素子の実用化への試みの一つとして、多色発光装置を挙
げることができる。このような有機EL素子を用いた多
色発光装置におけるカラー表示として、いくつかの方法
が提案されている。そのうちの一つとして、赤,緑,青
の各発光層材料を画素毎に配置する方法がある。このよ
うな方法としては、たとえば各発光層を並べて成膜して
単純マトリックス型に素子化したものが提案されている
(特開平6−124781号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような各
色発光層材料を画素毎に成膜配置するためには、各発光
層を成膜するごとにマスクを交換し、または同一マスク
を必要なだけ移動する工程が必要であった。このような
工程では、複数のマスクを正確に設置しなければならな
いことや、マスク移動を正確に位置決めしなければなら
ないという問題があった。また図4に示すように、各発
光層が段差を形成するため、対向電極の凹凸が大きくな
り、断線等により良好な表示ができないという問題があ
った。
【0004】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもの
であり、発光層の平坦性に優れ、電極の断線を有効に防
止し得る多色発光装置、およびそれを簡易な工程で効率
よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明によれば、基板上に、下部電極、発光層を有する
有機物層、および対向電極を順次積層して有する多色発
光装置において、発光層を有する有機物層が、複数の画
素を構成し、その一の画素が、下部電極に対応して平面
的に並置して配設された、二の小画素である第一小画素
および第二小画素からなり、その第一小画素が、第一発
光層と、それとは異なる光を発する第二発光層とを順次
積層して有し、かつ第二小画素が、第一発光層および第
二発光層とは異なる光を発する第三発光層と、第二発光
層とを順次積層して有し、第一発光層を構成する第一の
発光材料が、第二発光層を構成する第二の発光材料に拡
散しており、第三発光層を構成する第三の発光材料が、
第二発光層を構成する第二の発光材料に拡散しているこ
とを特徴とする多色発光装置が提供される。
【0006】また、基板上に、下部電極、発光層を有す
る有機物層、および対向電極を順次積層して有する多色
発光装置において、発光層を有する有機物層が、複数の
画素を構成し、その一の画素が、下部電極に対応して平
面的に並置して配設された、三の小画素である第一小画
素,第二小画素および第三小画素からなり、その第一小
画素が、第一発光層と、それとは異なる光を発する第二
発光層とを順次積層して有し、第二小画素が、第一発光
層および第二発光層とは異なる光を発する第三発光層
と、第二発光層とを順次積層して有し、かつ第三小画素
が第二発光層のみを有し、第一発光層を構成する第一の
発光材料が、第二発光層を構成する第二の発光材料に拡
散しており、第三発光層を構成する第三の発光材料が、
第二発光層を構成する第二の発光材料に拡散しているこ
とを特徴とする多色発光装置が提供される。
【0007】また、その好ましい態様として、前記第一
発光層(並びに第三発光層が)、赤系統色または緑系統
色、並びに第二および第三発光層が、緑系統色または青
系統色をそれぞれ発光するものであることを特徴とする
多色発光装置が提供される。
【0008】
【0009】また、下部電極が形成された基板上に、発
光層を有する有機物層、および対向電極を順次積層して
配設する多色発光装置の製造方法において、正孔輸送層
又は電子輸送層を、下部電極上に連続した層として設
け、微小な開口または開口スリットを複数有する単一の
マスクを通して、第一の発光材料を、基板上に、その法
線方向と特定の角度をなす第一の方向から配設して、第
一発光層を形成し、前記第一または第二の発光材料のい
ずれかに含まれるものとは異なる有機化合物を少なくと
も一種含有する第三発光材料を前記第一発光層が形成さ
れた基板上にその法線方向および前記第一の方向とは異
なる第二の方向から第一発光層と並置するようにして第
三発光層を形成して、その後、前記マスクを取り外し、
第一および第三の発光材料に含まれるものとは異なる有
機化合物を少なくとも一種含有する第二の発光材料を、
第一発光層および第三発光層が形成された基板上に、そ
の法線方向から配設して、第二発光層を形成することを
特徴とする多色発光装置の製造方法が提供される。
【0010】また、その好ましい態様として、前記第一
発光層および第三発光層の形成が、第一発光層および第
三発光層を、第一発光層および第三発光層の寸法の0.
1倍から10倍の間隔を持って並置することを特徴とす
る多色発光装置の製造方法が提供される。
【0011】
【0012】また、その好ましい態様として、第一,第
三および第二発光層の形成後、さらに30℃〜200℃
の温度で熱アニールをすることを特徴とする多色発光装
置の製造方法が提供される。
【0013】さらに、その好ましい態様として、前記第
一発光層並びに第三発光層が、赤系統色または緑系統
色、並びに第二および第三発光層が、緑系統色または青
系統色をそれぞれ発光するものであることを特徴とする
多色発光装置の製造方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。 I.多色発光装置 本発明の多色発光装置では、これらの各有機エレクトロ
ルミネッセンス(EL)素子が画素毎に配列された構成
となっている。図1は、本発明の一の実施形態である、
三の小画素からなる画素を複数有する多色発光装置の基
本的な構成を模式的に示す断面図である。図1に示すよ
うに、基板1上に下部電極2が形成され、その上に、正
孔輸送層3および発光層4からなる有機物層5並びに対
向電極6がそれぞれ積層形成されている。この場合、下
部電極2上に、さらに、複数の層間絶縁壁を平行に並置
させてもよい。このようにすることによって各小画素の
境界を明確にすることができる。発光層4は、三の小画
素からなる複数の画素7を形成する。この実施形態では
一つの画素7は三つの小画素、すなわち第一発光層4
aと第二発光層4bとを順次積層したもの、第三発光
層4cと第二発光層4bとを順次積層したもの、および
第二発光層4bのみからなるものを一組として、平面
的に複数並置されている。このように構成することによ
って、発光層4の上面および対向電極6は平坦性が保持
され、断線を発生させることがない。
【0015】上記発光層4は、(1)電界印加時に陽極
または正孔輸送層により、正孔を注入することができ、
かつ陰極または、電子注入層より電子を注入することが
できる注入機能、(2)注入した電荷(正孔と電子)を
電界の力で移動させる輸送機能、(3)正孔と電子の再
結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる
発光機能等を有する。
【0016】ここで、第一および第二発光層は、それぞ
れ異なった色を発光するものとし、また、第三発光層
は、第一または第二発光層のいずれかとは異なった発光
をするものとする。このためにはそれらを形成する発光
材料を、それぞれ少なくとも一種の異なる有機化合物を
含有させるようにするとよい。具体的には発光機能を有
する発光材料を単成分で形成する場合や発光機能を有す
るホスト物質にその発光に応答し発光を放出する蛍光色
素をドーパントとして微量混入させた、いわゆるドーピ
ング法の場合がある。たとえば、第一発光層を、赤系統
色または緑系統色を発光するものとした場合には、第二
および第三発光層を、緑系統色または青系統色を発光す
るものとすることを挙げることができる。すなわち、順
に、赤/緑/青,赤/青/緑とすることができる。
【0017】本発明の多色発光装置の各構成要素につい
ては、特に制限はなく、汎用されているものを適宜使用
することができる。たとえば、 (1)基板 基板を光取り出し面とする場合には、透明基板を用い
る。この透明基板は、発光層からの発光(EL光)に対
して高い透過性(概ね80%以上)を与える物質からな
っていればよく、その具体例としてはアルカリガラス、
無アルカリガラス等の透明ガラスや、ポリエチレンテレ
フタレート,ポリカーボネート,ポリエーテルスルホ
ン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリフッ化ビニル,
ポリアクリレート,ポリプロピレン,ポリエチレン,非
晶質ポリオレフィン,フッ素系樹脂等の透明樹脂、また
は石英等からなる板状物やシート状物、もしくはフィル
ム状物が挙げられる。どのような透明基板を用いるか
は、目的とする有機EL素子の用途等に応じて適宜選択
可能である。一方、基板を光取り出し面としない場合に
は、上述した透明基板以外のものについても基板として
利用することができる。この場合の基板は無機物であっ
てもよいし有機物であってもよい。 (2)有機EL素子 本発明に用いられる有機EL素子においては、有機化合
物層として、再結合領域および発光領域を少なくとも有
するものが用いられる。この再結合領域および発光領域
は、通常発光層に存在するため、本発明においては、有
機化合物層として発光層のみを用いてもよいが、必要に
応じ、発光層以外に、たとえば正孔注入層,電子注入
層,有機半導体層,電子障壁層,付着改善層なども用い
ることができる。
【0018】次に本発明に用いられる有機EL素子の代
表的な構成例を示す。もちろん、これに限定されるもの
ではない。 (1)透明電極(陽極)/発光層/電極(陰極) (2)透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電極
(陰極) (3)透明電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極
(陰極) (4)透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注
入層/電極(陰極) (5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極 (6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極 (7)陽極/正孔注入層/発光層/付着改善層/陰極 などの構造を挙げることができる。これらの中で、通常
(4)の構成が好ましく用いられる。
【0019】(2)−1.陽極 陽極としては、仕事関数の大きい(4ev以上)金属,
合金,電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物
質とするものが好ましく用いられる。このような電極物
質の具体例としては、Au等の金属、CuI,ITO,
SnO2 ,ZnO等の誘電性透明材料が挙げられる。陽
極は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等
の方法で、薄膜を形成させることにより作製することが
できる。このように発光層からの発光を陽極から取り出
す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きく
することが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百
Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、
通常10nm〜1μm、好ましくは、10〜200nm
の範囲で選択される。
【0020】(2)−2.発光層 本発明における発光層においては、発光材料(ホスト材
料)として、一般式(I)
【0021】
【化1】
【0022】で表わされるジスチリルアリレーン系化合
物が好ましく用いられる。この化合物は、特開平2−2
47278号公報に開示されている。
【0023】上記一般式において、Y1〜Y4はそれぞれ
水素分子、炭素数1〜6のアルキル基,炭素数1〜6の
アルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,置換ある
いは無置換の炭素数6〜18のアリール基,置換あるい
は無置換のシクロヘキシル基,ルコキシ基を示す。ここ
で置換基は、炭素数1〜6のアルキル基,炭素数1〜6
のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,炭素数
6〜18のアリールオキシ基,炭素数1〜6のアシル
基,炭素数1〜6のアシルオキシ基,カルボキシル基,
スチリル基,炭素数6〜20のアリールカルボニル基,
炭素数6〜20のアリールオキシカルボニル基,炭素数
1〜6のアルコキシカルボニル基,ビニル基,いはハロ
ゲンを示す。これらの置換基は単一でも複数でもよい。
また、Y1〜Y4は同一でも、また互いに異なってもよ
く、 Y1とY2およびY3とY4は互いに置換している基
と結合して、置換あるいは無置換の飽和五員環または置
換あるいは無置換の飽和六員環を形成してもよい。Ar
は置換あるいは無置換の炭素数6〜20のアリレーン基
を表わし、単一置換されていても、複数置換されていて
もよく、ェニレン基の場合、Y1〜Y4はそれぞれ炭素数
1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,
置換あるいは無置換のナフチル基,ビフェニル基,シク
ロヘキシル基,アリールオキシ基より選ばれたものであ
る。このようなジスチルアリーレン系化合物としては、
たとえば、下記のものを挙げることができる。
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】また、別の好ましい発光材料(ホスト材
料)として、8−ヒドロキシキノリン、一般に8−キノ
リノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを
含む金属キレートオキシノイド化合物である。このよう
な化合物は高水準の性能を示し、容易に薄膜形態に成形
される。このオキシノイド化合物の例は、下記構造式を
満たすものである。
【0027】
【化4】
【0028】(式中、Mtは金属を表わし、nは1〜3
の整数であり、Zはそのそれぞれの位置が独立であっ
て、少なくとも2以上の縮合芳香族環を完成させるため
に必要な原子を示す。) ここで、Mtで表わされる金属は、一価,二価または三
価の金属とすることができるものであり、たとえばリチ
ウム,ナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属、マグ
ネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、あるい
はホウ素またはアルミニウムなどの土類金属である。一
般に、有用なキレート化合物であると知られている一
価,二価,または三価の金属はいずれも使用することが
できる。
【0029】また、Zは、少なくとも2以上の縮合芳香
族環の一方がアゾールまたはアジンからなる複素環を形
成させる原子を示す。ここで、もし必要であれば、上記
縮合芳香族環に他の異なる環を付加することが可能であ
る。また、機能上の改善がないまま嵩ばった分子を回避
するため、Zで示される原子の数は18以下に維持する
ことが好ましい。さらに、具体的にキレート化オキシノ
イド化合物を例示すると、トリス(8−キノリノール)
アルミニウム,ビス(8−キノリノール)マグネシウ
ム,ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛,ビス(2
−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキシ
ド,トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス
(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム,8−
キノリノールリチウム,トリス(5−クロロ−8−キノ
リノール)ガリウム,ビス(5−クロロ−8−キノリノ
ール)カルシウム,5,7−ジクロル−8−キノリノー
ルアルミニウム、トリス(5,7−ジプロモ−8−ヒド
ロキシキノリノール)アルミニウムなどがある。
【0030】さらに、特開平5−198378号公報に
記載されているフェノラート置換8−ヒドロキシキノリ
ンの金属錯体は、青色発光材料として、好ましい物であ
る。このフェノラート置換8−ヒドロキシキノリンの金
属錯体の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノ
リノラート)(フェノラート) アルミニウム(III),
ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(ο−クレゾ
ラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8
−キノリノラート)(m−クレゾラート) アルミニウ
ム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)
(p−クレゾラート)アルミニウム(III),ビス(2
−メチル−8−キノリノラート) (ο−フェニルフェ
ノラート)アルミニウム(III), ビス(2−メチル−
8−キノリノラート)(m−フェニルフェノラート)ア
ルミニウム(III), ビス(2−メチル−8−キノリノ
ラート)(p−フェニルフェノラート) アルミニウム
(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)
(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム(II
I),ビス(2−メチル−8−キノリノラート) (2,
6ジメチルフェノラート)アルミニウム(III), ビス
(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチ
ルフェノラート)アルミニウム(III), ビス(2−メ
チル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノ
ラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8
−キノリノラート) (3,5−ジ−t−ブチルフェノ
ラート)アルミニウム(III), ビス(2−メチル−8
−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラー
ト)アルミニウム(III), ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラー
ト)アルミニウム(III)などが挙げられる。これらの
発光材料は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0031】本発明に用いられる素子における発光層の
形成方法としては、たとば、蒸着法、スピンコート法,
キャスト法,LB法などの公知の方法により薄膜化する
ことで形成することができるが、特に分子堆積膜である
ことが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、該化合物の
気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶
融状態または液相状態から固体化され形成された膜のこ
とである。通常、この分子堆積膜は、、LB法により形
成された薄膜(分子累積膜)と凝集構造,高次構造の相
違や、それに起因する機能的な相違により区別すること
ができる。また、この発光層は、樹脂などの結着材と共
に溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法
などにより薄膜化して形成することができる。このよう
にして形成された発光層の膜厚については、特に制限は
なく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、好ましく
は1nm〜10μm、特に好ましくは5nm〜5μmの
範囲がよい。
【0032】(2)−3.正孔注入層 次に、正孔注入層は、必ずしも本発明に用いられる素子
に必要なものではないが、発光性能の向上のために用い
た方が好ましいものである。この正孔注入層は発光層へ
の正孔注入を助ける層であって、正孔移動度が大きく、
イオン化エネルギーが、発光材料(ホスト材料)のその
値より小さい。このような正孔注入層としては、より低
い電界で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さら
に正孔の移動度が、たとえば104〜106V/cmの電
界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であれば
なお好ましい。このような正孔注入材料については、前
記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はな
く、従来、光導伝材料において、正孔の電荷輸送材とし
て慣用されているものや、EL素子の正孔注入層に使用
される公知のものの中から任意のものを選択して用いる
ことができる。具体例としては、例えば、
【0033】トリアゾール誘導体(米国特許3,11
2,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体
(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミ
ダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参
照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,61
5,402号明細書、同第3,820,989号明細
書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−5
55号公報、同51−10983号公報、特開昭51−
93224号公報、同55−17105号公報、同56
−4148号公報、同55−108667号公報、同5
5−156953号公報、同56−36656号公報等
参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米
国特許第3,180,729号明細書、同第4,27
8,746号明細書、特開昭55−88064号公報、
同55−88065号公報、同49−105537号公
報、同55−51086号公報、同56−80051号
公報、同56−88141号公報、同57−45545
号公報、同54−112637号公報、同55−745
46号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国
特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10
105号公報、同46−3712号公報、同47−25
336号公報、特開昭54−53435号公報、同54
−110536号公報、同54−119925号公報等
参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,56
7,450号明細書、同第3,180,703号明細
書、同第3,240,597号明細書、同第3,65
8,520号明細書、同第4,232,103号明細
書、同第4,175,961号明細書、同第4,01
2,376号明細書、特公昭49−35702号公報、
同39−27577号公報、特開昭55−144250
号公報、同56−119132号公報、同56−224
37号公報、西独特許第1,110,518号明細書等
参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,5
26,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体
(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のも
の)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837
号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,7
17,462号明細書、特開昭54−59143号公
報、同55−52063号公報、同55−52064号
公報、同55−46760号公報、同55−85495
号公報、同57−11350号公報、同57−1487
49号公報、特開平2−311591号公報等参照)、
スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、
同61−228451号公報、同61−14642号公
報、同61−72255号公報、同62−47646号
公報、同62−36674号公報、同62−10652
号公報、同62−30255号公報、同60−9344
5号公報、同60−94462号公報、同60−174
749号公報、同60−175052号公報等参照)、
シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細
書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公
報)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46
234号公報等参照)、アニリン系共重合体(特開平2
−282263号公報)、特開平1−211399号公
報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオ
フェンオリゴマー)等を挙げることができる。正孔注入
層の材料としては上記のものを使用することができる
が、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965
号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物お
よびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,4
12号明細書、特開昭53−27033号公報、同54
−58445号公報、同54−149634号公報、同
54−64299号公報、同55−79450号公報、
同55−144250号公報、同56−119132号
公報、同61−295558号公報、同61−9835
3号公報、同63−295695号公報等参照)、特に
芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。上
記ポルフィリン化合物の代表例としては、ポルフィン、
1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23
H−ポルフィン銅(II)、1,10,15,20−テト
ラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)
5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)−21H,23H−ポルフィン、シリコンフタ
ロシアニンオキシド、アルミニウムフタロシアニンクロ
リド、フタロシアニン(無金属)、ジリチウムフタロシ
アニン、銅テトラメチルフタロシアニン、銅フタロシア
ニン、クロムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉛
フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキシド、
Mgフタロシアニン、銅オクタメチルフタロシアニン等
を挙げることができる。また、前記芳香族第三級アミン
化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジア
ミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス
−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]
−4,4’−ジアミン(以下TPDと略記する)、2,
2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニ
ル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ−p
−トリル−4,4’−ジアミノフェニル、1,1−ビス
(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニル
シクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチ
ルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリ
ルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,
4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テト
ラフェニル−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、
4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニ
ル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ
−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルア
ミノ)スチリル]スチルベン、4−N,N−ジフェニル
アミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メト
キシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼ
ン、N−フェニルカルバゾール、米国特許第5,06
1,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分
子内に有する、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナ
フチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下NP
Dと略記する)、また、特開平4−308688号公報
で記載されているトリフェニルアミンユニットが3つス
ターバースト型に連結された4,4’,4''−トリス
[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]
トリフェニルアミン(以下MTDATAと略記する)等
を挙げることができる。また、発光層の材料として示し
た前述の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型−S
i,p型SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料とし
て使用することができる。正孔注入層は、上述した化合
物を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト
法,LB法等の公知の方法により薄膜化することにより
形成することができる。正孔注入層としての膜厚は、特
に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正
孔注入層は、上述した材料の一種または二種以上からな
る一層で構成されていてもよいし、または、前記正孔注
入層とは別種の化合物からなる正孔注入層を積層したも
のであってもよい。また、有機半導体層は、発光層への
正孔注入または電子注入を助ける層であって、10-10
S/cm以上の導電率を有するものが好適である。この
ような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリ
ゴマーや含アリールアミンオリゴマーなどの導電性オリ
ゴマー、含アリールアミンデンドリマーなどの導電性デ
ンドリマーなどを用いることができる。
【0034】(2)−4.電子注入層 一方電子注入層は、発光層への電子の注入を助ける層で
あって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この
電子注入層の中で、特に陰極との付着が良い材料からな
る層である。電子注入層に用いられる材料としては、例
えば8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯
体、あるいはオキサジアゾール誘導体が好ましく挙げら
れる。また、付着改善層に用いられる材料としては、特
に8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体
が好適である。上記8−ヒドロキシキノリンまたはその
誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に
8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキ
レートを含む金属キレートオキシノイド化合物が挙げら
れる。一方、オキサジアゾール誘導体としては、一般式
(II),(III) および(IV)
【0035】
【化5】
【0036】(式中Ar10〜Ar13はそれぞれ置換また
は無置換のアリール基を示し、Ar10とAr11およびA
12とAr13はそれぞれにおいて互いに同一であっても
異なっていてもよく、Ar14置換または無置換のアリレ
ーン基を示す。)で表わされる電子伝達化合物が挙げら
れる。ここで、アリール基としてはフェニル基,ビフェ
ニル基,アントラニル基,ペリレニル基,ピレニル基な
どが挙げられ、アリレーン基としてはフェニレン基,ナ
フチレン基,ビフェニレン基,アントラセニレン基,ペ
ニレニレン基,ピレニレン基などが挙げられる。また、
置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1
〜10のアルコキシ基またはシアノ基などが挙げられ
る。この電子伝達化合物は、薄膜形成性のものが好まし
い。上記電子伝達化合物の具体例としては、
【0037】
【化6】
【0038】(2)−5.陰極 陰極としては、仕事関数の小さい(4ev以下)金属,
合金,電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物
質とするものが用いられる.このような電極物質の具体
例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、
マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アル
ミニウム/酸化アルミニウム(Al23)、アルミニウ
ム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げ
られる。この陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッ
タリングなどの方法により、薄膜を形成させることによ
り、作製することができる。また、陰極としてのシート
抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm
〜1μm、50〜200nmの範囲が好ましい。なお、
本発明に用いられるEL素子においては、該陽極または
陰極のいずれか一方が透明または半透明であることが、
発光を透過するため、発光の取り出し効率がよいので好
ましい。
【0039】II.製造方法 以下、本発明の多色発光装置の製造方法を図面を参照し
つつ説明する。図2は、本発明の多色発光装置の製造方
法の一の実施形態である、三の小画素からなる画素を複
数有する場合を、工程順に模式的に示す説明図である。 1.第一および第三発光層の形成 まず、図2(A)に示すように、微小な開口または開口
スリットを複数有する単一のマスク10を通して、第一
の発光材料11を、下部電極2および必要に応じて正孔
輸送層および/または電子輸送層3が形成された基板1
上に、その法線方向と特定の角度をなす第一の方向から
配設して、第一発光層4aを形成する。具体的には、第
一の発光材料として、蒸着可能な材料を選択して、マス
ク10を通して斜方蒸着することを挙げることができ
る。
【0040】次に、同一のマスク10を取り付けたまま
第三の発光材料13を第一発光層4aが形成された基板
1上に、その法線方向、および第一の方向とは異なる第
二の方向から第一発光層と並置するように配設して第三
発光層4cを形成する。
【0041】マスクの形状およびその設置位置は、多色
発光装置における各画素の形状条件により決定され、そ
れに伴ない、斜方蒸着の角度も決定される。このような
関係を図3を参照しつつ説明する。発光画素のライン幅
L、画素ギャップgは特定値として決定されている。マ
スクの影部幅をD、開口幅をG、斜方蒸着がマスク板の
内部に入り込む長さをxとすると、
【0042】
【数1】
【0043】従って、マスク板厚Hより、マスク10と
基板1間のギャップdを制御することで角度θが決定さ
れる。ここでは第一発光材料も第三発光材料も互いに向
きの異なる角度θとしているが、必ずしも同じである必
要はなく、異なる角度であってもよい。
【0044】2.第二発光層の形成 次に、図2(B)に示すように、前記マスク10を取り
外して、第二の発光材料12を、第一および第三発光層
4a,4cが形成された基板1上に、その法線方向から
配設して、第二発光層4bを形成する。なお、蒸着する
第一発光材料,第二発光材料,および第三発光材料は、
単一化合物である必要はなく、複数の化合物から成って
いてもよい。すなわち、先の発光層の説明に記載したよ
うに、発光層は発光材料各成分から成っていてもよく、
また、ドーピングを実施してもよい。
【0045】3.熱アニール 本発明においては、図2(C)に示すように、第一およ
び第二発光層、または第一、第三および第二発光層を形
成した後、必要に応じて熱アニールする。その温度は、
30℃〜200℃が好ましい。30℃未満であると、第
一発光層や第三発光層内の発光材料または、ドーパント
の拡散が不十分であり、200℃を超えると、発光層の
下に正孔輸送層や電子輸送層がある場合、これらの膜性
が悪くなったり、下部電極が変性したり、発光層を形成
する化合物によっては再昇華する場合が多くなる。
【0046】4.発光材料 第一発光層および第三発光層には、赤系統発光材料また
は緑系統発光材料を含有し、第二発光層及び第三発光層
には、緑系統発光材料または青系統発光材料を含有す
る。熱アニールにより上記赤系統発光材料または緑系統
発光材料が緑系統発光材料または青系統発光材料中へ拡
散し、ドーパントとして作用することにより各画素の表
示性能が向上する。赤系統発光材料とは、エネルギーギ
ャップが、1.9〜2.3ev、緑系統発光材料とは、
エネルギーギャップが、2.3〜2.7ev、および青
系統発光材料とは、エネルギーギャップが、2.7〜
3.1evである化合物であり、第一発光層および第三
発光層に含有される赤系統発光材料、および緑系統発光
材料のエネルギーギャップより第二発光層に含有される
緑系統発光材料または青系統発光材料のその値が大きい
ことが好ましい。
【0047】具体的な化合物としては、特開平6−99
53号公報に挙げられているホスト物質およびドーパン
ト材料を挙げることができる。また、下部電極,対向電
極,正孔輸送層,電子輸送層等については、特開平6−
9953号公報のそれぞれ正極,負極,正孔注入材料,
電子注入材料についての記載を用いることができる。
【0048】5.有機ELパネル また、このような発光層の成膜を行なう基板としては、
平坦な板、好ましくは透明な平坦な板上に電極、好まし
くは透明電極をストライプ状に加工したものや、さらに
このような基板上に、特開平3−250583号公報に
示す層間絶縁膜を形成したもの、さらには特開平5−3
4659号公報や特願平07−275929号に記載さ
れている平面型表示装置の駆動素子を用いることができ
る。例えば、ストライプ状に加工された下部電極を有す
る基板上に正孔輸送層を全面に均一に成膜し、発光層を
成膜する工程に、前述の第一、第二および第三発光層の
成膜工程を実施する。この時のマスク形状により下部電
極のパターン上部に、それぞれ第一発光層/第二発光
層、第二発光層、第三発光層/第二発光層がストライプ
状に形成されるようにする。最後に、下部電極に対し垂
直に上部電極を形成することにより、図1に示すような
単純マトリックス型多色発光有機ELパネルが完成す
る。なお、上部電極下部にストライプ状に形成してもよ
い。また特開平5−34659号公報や特願平07−2
75929号に記載されているアクティブ駆動素子の場
合、下部電極が島状に配列しているので、各配列に対
し、ストライプ状に各発光層を配置することによりアク
ティブ型多色発光有機ELパネルが完成する。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。 [実施例1]ガラス基板上(基板サイズ75×75m
m)にITOをL=0.17mm,g=0.03mmの
ストライプ状に成膜加工した。このITO付ガラス基板
をイソプロピルアルコールにより5分間超音波洗浄を行
なった。さらに、乾燥チッソブローにより、本基板を乾
燥後、UVオゾン洗浄装置により10分間UVオゾン洗
浄を行なった。次に、この基板を市販の蒸着装置の基板
ホルダーに設置した。一方、モリブデン製抵抗加熱ボー
トへ各々一種ずつ、以下の化合物を200mgずつ入
れ、真空槽内に設置した。 N,N’−ビス(3−メチルフェニル−N,N’−ジフェニル [1,1’−ビ フェニル]−4,4’−ジアミン(略号TPD)・・・正孔輸送材料 4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(略号DPVBi ) …第二発光材料 [化7]に示すルモゲンFレッド …第一発光材料
【0050】
【化7】
【0051】 [化8]に示すクマリン6 …第三発光材料
【0052】
【化8】
【0053】トリス(8−キノリノール)アルミニウム
(略号Alq)・・・電子輸送材料また、別のモリブデ
ン製抵抗加熱ボートへマグネシウム1g、またタングス
テン製バスケットに銀ワイヤー500mgを入れ、同様
に真空槽へ設置した。また、断面形状が、H=0.5m
m、D=0.1mm、G=0.5mm、d=0.053
mmのステンレス製蒸着マスク(マスクサイズ75mm
×75mm)をマスクホルダーへ設置した。また、金属
電極パターン用マスクを金属電極がITOストライプパ
ターンに直交するように配置した。真空槽を圧力10-4
Paまで真空に引いた。その後、マスクを基板部に配置
せず、TPDを全面に100nmの膜厚に成膜し、正孔
輸送層とした。この時のボート温度は215℃〜220
℃、蒸着速度0.1〜0.2nm/sであった。その
後、マスクを蒸着源に対向させて基板の下端に配設し
た。そして、θ=56.6度の角度の方向から、ルモゲ
ンFレッドを膜厚5nm成膜した。ボート温度193℃
〜195℃、蒸着速度0.1〜0.3nm/sであっ
た。また、クマリン6を膜厚5nmでルモゲンFレッド
とは異なる方向よりθ=56.6度の角度で成膜した。
ボート温度328℃〜330℃、蒸着速度0.1〜0.
3nm/sであった。次に、マスクを外し、基板法線方
向から全面にDPVBiを膜厚35nm成膜した。ボート
温度270℃〜273℃、蒸着速度0.1〜0.3nm
/sであった。さらに、基板法線方向から全面にAlq
を膜厚20nm成膜し、電子輸送層とした。ボート温度
260℃、蒸着速度0.05〜0.08nm/sであっ
た。その後、銀を0.1nm/sの蒸着速度で同時にマ
グネシウムを1.5nm/sの蒸着速度で蒸着し、マグ
ネシウムと銀との混合金属電極とした。膜厚は200n
mであった。この後これを真空槽から取り出し、各画素
を個別に電源に接続したところ断線もなく、全画素が良
好にそれぞれ青,緑,赤に発光した。
【0054】[実施例2]実施例1において、θ=5
6.6度の角度方向からルモゲンFレッドを膜厚1nm
成膜し、さらにクマリン6を向きの異なったθ=56.
6度の角度から1nmの膜圧成膜し、次に基板法線方向
から全面にDPVBiを膜厚40nm成膜し、この後、
基板温度を65℃に10分保持し、再度基板温度を室温
へ戻したこと以外は実施例1と同様にした。その後、A
lq,マグネシウム,銀を実施例1と同じ工程で成膜し
た。これを真空槽から取り出し、各画素を個別に電源に
接続したところ、断線もなく全画素が良好に青,緑,赤
に発光した。
【0055】[参考例] 実施例1と同じサイズのガラス基板上に、ITOをL=
0.19mm,g=0.03mmのストライプ状に成膜
加工した。その後、下記の工程により層間絶縁膜を形成
した。この下部電極(ITO)上に感光性ポリイミドコ
ーティング剤(TORAY社製、UR3140)をスピ
ンコートにて、スピンナー回転数4000rpmで30
秒間かけて塗布した。次いで、オーブンにて80℃、6
0分間の乾燥(プリベーク)を行ない、発光パターンの
フォトマスクを通して超高圧水銀灯(10mW/c
2)にて8秒間、フォトマスクとプリベークしたポリ
イミドコーティング面を密着させてコンタクト露光を行
なった。この後、現像液(TORAY社製、DU−14
0)に35〜40秒間浸漬し、さらにイソプロパノール
液に浸漬してから15秒間超音波処理を行なった。露光
された部分のポリイミドコーティング剤は基板よりとれ
て、層間絶縁膜であるポリイミドのパターニングが得ら
れた。続いて、窒素ガス雰囲気下のオーブン中で180
℃にて30分、さらに300℃にて30分乾燥硬化し
て、ガラス基板/ITO/層間絶縁膜を形成した。この
ようにして層間絶縁膜上に窓があり、ITO面が露出し
た構成の基板が得られた。層間絶縁膜の膜厚を触針膜厚
計にて測定したところ、1.2μmであった。この基板
を用いて実施例1と同様に洗浄、成膜工程を実施した。
このパネルの各画素を個別に電源に接続したところ、断
線もなく全画素が良好にそれぞれ青,緑,赤に発光し
た。
【0056】[比較例1]実施例1と同じ基板を作製
し、同じ洗浄方法により洗浄した基板を真空槽内の基板
ホルダーに設置した。また、幅0.17mm、長さ70
mmの窓が0.6mmピッチでストライプ状に開いた有
機層用マスクをマスクホルダーに設置し、金属電極用マ
スクがITOに直交するように配置できるように設置し
た。次に、有機化合物および金属を実施例1と同様に設
置した。この場合、TPDを実施例1と同じ条件で成膜
した。その後、有機層用マスクを基板に設置し、実施例
1と同じ条件でルモゲンFレッドおよびAlqを膜厚4
0nm,20nmそれぞれ成膜した。次に、有機層用マ
スクを0.2mm平行移動し、実施例1と同じ条件でD
PVBiおよびAlqを膜厚40nm,20nmそれぞ
れ成膜した。次に、有機層用マスクを0.2mm平行移
動し、実施例1と同じ条件でクマリン6およびAlqを
膜厚40nm,20nmそれぞれ成膜した。最後に、金
属電極用マスクへ交換し、実施例1と同じ条件でマグネ
シウム銀の金属電極を成膜した。このパネルを真空槽内
から取り出し、各画素を個別に電源に接続したところ、
単一画素を発光させようとしたところ、同時に複数画素
が発光したり、金属電極が断線し、発光しない画素があ
った。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、
発光層の平坦性に優れ、電極の断線を有効に防止し得る
多色発光装置、およびそれを簡易な工程で効率よく製造
する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施形態である、二または三の小
画素からなる画素を複数有する場合の多色発光装置の基
本的な構成を模式的に示す断面図であり、図1(A)
は、画素が二の小画素からなる場合、図1(B)は画素
が三の小画素からなる場合をそれぞれ示す。
【図2】本発明の一の実施形態である、三の小画素から
なる画素を複数有する場合の製造方法を、工程順に模式
的に示す説明図である。
【図3】マスクの形状および設置位置と、斜方蒸着の角
度との関係を示す説明図である。
【図4】従来の多色発光装置の発光層を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下部電極 3 正孔輸送層および/または電子輸送層 4 発光層 4a 第一発光層 4b 第二発光層 4c 第三発光層 5 有機物層 6 対向電極 7 画素 10 マスク 11 第一発光材料 12 第二発光材料 13 第三発光材料 71 第一小画素 72 第二小画素 73 第三小画素
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−216790(JP,A) 特開 平3−187192(JP,A) 特開 平3−233891(JP,A) 特開 平5−258859(JP,A) 特開 平7−235378(JP,A) 特開 平8−64862(JP,A) 特開 平8−213172(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、下部電極、発光層を有する有
    機物層、および対向電極を順次積層して有する多色発光
    装置において、 発光層を有する有機物層が、複数の画素を構成し、その
    一の画素が、下部電極に対応して平面的に並置して配設
    された、二の小画素である第一小画素および第二小画素
    からなり、その第一小画素が、第一発光層と、それとは
    異なる光を発する第二発光層とを順次積層して有し、か
    つ第二小画素が、第一発光層および第二発光層とは異な
    る光を発する第三発光層と、第二発光層とを順次積層し
    て有し、 第一発光層を構成する第一の発光材料が、第二発光層を
    構成する第二の発光材料に拡散しており、第三発光層を
    構成する第三の発光材料が、第二発光層を構成する第二
    の発光材料に拡散していることを特徴とする多色発光装
    置。
  2. 【請求項2】 基板上に、下部電極、発光層を有する有
    機物層、および対向電極を順次積層して有する多色発光
    装置において、 発光層を有する有機物層が、複数の画素を構成し、その
    一の画素が、下部電極に対応して平面的に並置して配設
    された、三の小画素である第一小画素,第二小画素およ
    び第三小画素からなり、その第一小画素が、第一発光層
    と、それとは異なる光を発する第二発光層とを順次積層
    して有し、第二小画素が、第一発光層および第二発光層
    とは異なる光を発する第三発光層と、第二発光層とを順
    次積層して有し、かつ第三小画素が第二発光層のみを有
    し、 第一発光層を構成する第一の発光材料が、第二発光層を
    構成する第二の発光材料に拡散しており、第三発光層を
    構成する第三の発光材料が、第二発光層を構成する第二
    の発光材料に拡散していることを特徴とする多色発光装
    置。
  3. 【請求項3】 前記第一発光層および第三発光層が、赤
    系統色または緑系統色、並びに第二および第三発光層
    が、緑系統色または青系統色をそれぞれ発光するもので
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の多色発光装
    置。
  4. 【請求項4】 下部電極が形成された基板上に、発光層
    を有する有機物層、および対向電極を順次積層して配設
    する多色発光装置の製造方法において、 正孔輸送層又は電子輸送層を、下部電極上に連続した層
    として設け、 微小な開口または開口スリットを複数有する単一のマス
    クを通して、第一の発光材料を、基板上に、その法線方
    向と特定の角度をなす第一の方向から配設して、第一発
    光層を形成し、 前記第一または第二の発光材料のいずれかに含まれるも
    のとは異なる有機化合物を少なくとも一種含有する第三
    発光材料を前記第一発光層が形成された基板上にその法
    線方向および前記第一の方向とは異なる第二の方向から
    第一発光層と並置するようにして、第三発光層を形成
    し、その後、 前記マスクを取り外し、第一および第三の発光材料に含
    まれるものとは異なる有機化合物を少なくとも一種含有
    する第二の発光材料を、第一発光層および第三発光層が
    形成された基板上に、その法線方向から配設して、第二
    発光層を形成することを特徴とする多色発光装置の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記第一発光層および第三発光層の形成
    が、第一発光層および第三発光層を、第一発光層および
    第三発光層の寸法の0.1倍から10倍の間隔をもって
    並置するように配設することによるものであることを特
    徴とする請求項4記載の多色発光装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第一および第二発光層、または第
    一,第三および第二発光層の形成後、さらに30℃〜2
    00℃の温度で熱アニールをすることを特徴とする請求
    項4又は5記載の多色発光装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第一発光層および第三発光層が、赤
    系統色または緑系統色、並びに第二および第三発光層
    が、緑系統色または青系統色をそれぞれ発光するもので
    あることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項記載
    の多色発光装置の製造方法。
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