JP2003272857A - 白色系有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

白色系有機エレクトロルミネッセンス素子

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JP2003272857A
JP2003272857A JP2002076619A JP2002076619A JP2003272857A JP 2003272857 A JP2003272857 A JP 2003272857A JP 2002076619 A JP2002076619 A JP 2002076619A JP 2002076619 A JP2002076619 A JP 2002076619A JP 2003272857 A JP2003272857 A JP 2003272857A
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JP2002076619A
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Kenichi Fukuoka
賢一 福岡
Chishio Hosokawa
地潮 細川
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色変化が少ない白色系有機EL素子を提供す
る。 【解決手段】 陽極2、ホスト材料と青色系ドーパント
を含む青色系発光層5、青色系発光層と同一のホスト材
料と黄色〜赤色系ドーパントを含む黄色〜赤色系発光層
6及び陰極8をこの順序に積層して含み、青色系発光層
5と黄色〜赤色系発光層6から発光層が構成される白色
系有機エレクトロルミネッセンス素子1。発光層を2分
割するタイプにおいて、発光層の発光領域が偏りやすい
陽極2側の発光層を青色系発光層5とすることで、発光
色が赤色に偏りがちな傾向を打ち消すことができる。従
って、黄色〜赤色系発光層6の膜厚を厚くできるため色
度変化が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色系有機エレク
トロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略
記する)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、白色系有機EL素子の開発は、モ
ノカラー表示装置としての用途、バックライト等の照明
用途及びカラーフィルターを使用したフルカラー表示装
置等に使用できるため積極的に行われている。白色系有
機EL素子の色度変化は、製品としての品位を損なうだ
けではなく、例えばカラーフィルターと組み合わせたフ
ルカラー表示ディスプレイでは色再現性の低下を引き起
こす原因となるため、色度変化の少ない白色系有機EL
素子が要求される。
【0003】有機ELにより白色発光を得る方法は数多
く開示されている。これらの方法は、1種類の発光材料
だけで白色を得るものは少なく、通常は2種類又は3種
類の発光材料を一つの有機ELの中で、同時に発光させ
ている。3種類の発光材料を使用する場合は、光の三原
色に対応する赤、青、緑の発光の組み合わせで白色にす
るが、色度制御が困難であり繰り返し再現性が悪いとい
う問題があった。2種類の発光材料を使用する場合は、
青系とその補色となる黄色〜赤色系の発光材料を選択す
るが、黄色〜赤色系の発光が強くなることが多く、色度
変化を引き起こし易い。例えば、特開2001−528
70の参考例1及び2に示されているように、従来の白
色有機ELは青色が低下し易く、色度変化の問題点を有
している。また、青色系ドーパントと黄色〜赤色系ドー
パントを同時にドープし、ドープ比を調整することで
も、白色発光が得られるが、赤が強くなりやすいことに
加え、青から赤へエネルギー移動し易いため、赤味を帯
びた白色になりがちである。従って、白色を得るには、
黄色〜赤色系ドーパントを非常に希薄にドープする必要
があり、やはり再現性が難しいという問題があった。
【0004】さらに、発光層に隣接する正孔輸送層に、
黄色〜赤色系材料をドーピングする方法がある。この方
法では、正孔輸送層には電子が注入しにくいため、発光
が偏りがちな黄色〜赤色系をドープしても強く赤が光ら
ない。よって白色発光を得るための青色系発光と黄色〜
赤色系発光のバランスを取りやすく、発光効率にも優れ
ていて寿命も長いという長所がある。しかし、エネルギ
ー移動の距離依存性の問題から、連続駆動時や高温保存
時の色度変化が大きいという重大な問題があった。本発
明者らの知見では、励起された赤色発光の分子は正孔輸
送層側界面に集中しているため、劣化により電子とホー
ルのバランスが崩れ、界面への集中度合いが例え僅かで
も変化すると、青色発光はそれほど変化していないの
に、赤色発光は大きく変化してしまうことが色度変化の
原因である。
【0005】また、発光層を2分割するタイプにおい
て、陽極側発光層を黄色〜赤色系発光層、陰極側を青色
発光層とした積層型がある。この場合、効率の面で優れ
ているが、白色を得るためには黄色〜赤色系発光を押さ
えるため、黄色〜赤色系発光層を青色系発光層に比べ
て、膜厚を薄くしたり、ドープ濃度を薄くする必要があ
り、素子作製が難しくなっていた。具体的には黄色〜赤
色系発光層の膜厚を、1〜2nm程度にしなければ、白
色発光とならないことが多かった。この膜厚は、通常の
低分子系有機ELの分子サイズと同等レベルの薄さであ
ることから制御が極めて難しいと言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題に鑑
み、色変化が少ない白色系有機EL素子を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明者らは、発光層を2分割するタイプにおいて、
発光層の発光領域が偏りやすい陽極側の発光層を青色系
発光層とすることで、発光色が赤色に偏りがちな傾向を
打ち消せることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】本発明の第一の態様によれば、陽極と、ホ
スト材料と青色系ドーパントを含む青色系発光層と、青
色系発光層と同一のホスト材料と黄色〜赤色系ドーパン
トを含む黄色〜赤色系発光層と、陰極と、をこの順序に
積層して含み、青色系発光層と黄色〜赤色系発光層から
発光層が構成される白色系有機エレクトロルミネッセン
ス素子が提供される。
【0009】好ましくは、青色系発光層は酸化剤を含
む。好ましくは、陽極と青色系発光層の間に、第1の有
機層を含み、第1の有機層は酸化剤を含む。好ましく
は、黄色〜赤色系発光層は還元剤を含む。好ましくは、
陰極と黄色〜赤色系発光層の間に、第2の有機層を含
み、第2の有機層は還元剤を含む。好ましくは、陽極及
び/又は陰極に接して無機化合物層を含む。
【0010】好ましくは、ホスト材料は、スチリル誘導
体、アントラセン誘導体又は芳香族アミンである。好ま
しくは、スチリル誘導体は、ジスチリル誘導体、トリス
スチリル誘導体、テトラスチリル誘導体又はスチリルア
ミン誘導体である。好ましくは、アントラセン誘導体
は、フェニルアントラセン骨格を含有する化合物であ
る。好ましくは、芳香族アミンは、芳香族に置換された
窒素原子を2、3又は4つ含有する化合物であり、さら
に好ましくは、アルケニル基を少なくとも一つ含有する
化合物である。
【0011】好ましくは、青色系ドーパントは、スチリ
ルアミン、アミン置換スチリル化合物又は縮合芳香族環
含有化合物より選択される少なくとも一種類の化合物で
ある。好ましくは、黄色〜赤色系ドーパントは、フルオ
ランテン骨格を複数有する化合物である。好ましくは、
黄色〜赤色系ドーパントは、電子供与性基とフルオラン
テン骨格を含有する化合物である。好ましくは、黄色〜
赤色系ドーパントの蛍光ピーク波長は、540nm〜7
00nmである。好ましくは、青色系発光層及び黄色〜
赤色系発光層の膜厚は、5nm以上である。
【0012】
【発明の実施の態様】本発明では、陽極、青色系発光
層、黄色〜赤色系発光層及び陰極がこの順序に積層して
いて、発光層が、青色系発光層及び黄色〜赤色系発光層
の2層から構成されている。青色系発光層は陽極側に、
黄色〜赤色系発光層は陰極側にあって、さらに、青色系
発光層と黄色〜赤色系発光層のホスト材料は、同一物質
である。青色系発光層と黄色〜赤色系発光層の間には、
他の層を介在させることができる。また、陽極と青色系
発光層の間、又は黄色〜赤色系発光層と陰極の間に、他
の有機層又は無機層を介在させることができる。介在層
は、電子及び正孔を輸送でき、透明なものであれば制限
されない。好ましい例としては、酸化In、酸化Sn、
酸化Zn、硫化Zn、硫化Cd、窒化Gaが挙げられ
る。本発明の白色系有機EL素子の構成として、例えば 陽極/青系発光層/黄色〜赤色系発光層/陰極 陽極/正孔輸送層/青系発光層/黄色〜赤色系発光層/
陰極 陽極/青系発光層/黄色〜赤色系発光層/電子輸送層/
陰極 陽極/正孔輸送層/青系発光層/黄色〜赤色系発光層/
電子輸送層/陰極 陽極/正孔注入層/正孔輸送層/青系発光層/黄色〜赤
色系発光層/電子輸送層/陰極 陽極/正孔注入層/正孔輸送層/青系発光層/黄色〜赤
色系発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極 等があるが、青色系発光層が黄色〜赤色系発光層より陽
極側に積層しているならば特に限定されるものではな
い。
【0013】図1は本発明の白色系有機EL素子の一実
施形態の模式図である。白色系有機EL素子1は、陽極
2、正孔注入層(第一の有機層)3、正孔輸送層4、青
色系発光層5、黄色〜赤色系発光層6、電子輸送層(第
二の有機層)7及び陰極8を積層した構造を有してい
る。この白色系有機EL素子1は、発光層が青色系発光
層5と黄色〜赤色系発光層6の二層積層のみからなる。
【0014】本発明の白色系有機EL素子において、陽
極側が青色系発光層であるため、発光色が赤色に偏りが
ちな傾向を打ち消すことができる。従って、白色を得る
ために黄色〜赤色系発光を押さえる必要がなく、黄色〜
赤色系発光層を青色系発光層に比べて、膜厚を薄くした
り、ドープ濃度を薄くする必要がない。その結果、黄色
〜赤色系発光層の膜厚を従来より厚くできるため、色度
変化が少ない。また、青色系発光層と黄色〜赤色系発光
層のホスト材料は、同一物質であるので、青色発光層が
界面に発光が集中しにくく、界面の変動による影響を受
け難い。さらに、黄色〜赤色系発光層の膜厚が十分大き
いので、界面の変動による影響を受け難い。従って、本
発明の白色系有機EL素子は色変化が少なく、特に、高
温環境下や連続駆動時で色変化が生じにくいので、情報
表示機器、車載表示機器、照明器具等に好適に使用でき
る。
【0015】以下、本発明の特徴的な部分である青色系
発光層及び黄色〜赤色系発光層について中心に説明す
る。従って、その他の有機層、無機化合物層、陽極、陰
極等の構成や製法については、一般的な構成を採ること
ができるため、簡単に説明する。
【0016】1.発光層 (1)青色系発光層 青系発光層はホスト材料と青色系ドーパントからなる。
ホスト材料は、スチリル誘導体、アントラセン誘導体又
は芳香族アミンであることが好ましい。スチリル誘導体
は、ジスチリル誘導体、トリスチリル誘導体、テトラス
チリル誘導体及びスチリルアミン誘導体の中から選ばれ
る少なくとも一種類であることが特に好ましい。アント
ラセン誘導体は、フェニルアントラセン骨格を有する化
合物であることが特に好ましい。芳香族アミンは、芳香
族置換された窒素原子を2〜4個有する化合物であるこ
とが好ましく、芳香族置換された窒素原子を2〜4個有
し、かつアルケニル基を少なくとも一つ有する化合物が
特に好ましい。
【0017】上記スチリル誘導体及びアントラセン誘導
体としては、例えば下記一般式〔1〕〜〔5〕で示され
る化合物が、上記芳香族アミンとしては、例えば下記一
般式〔6〕〜〔7〕で示される化合物が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】〔式中、R〜R10は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置
換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、
置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ
基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30のアリー
ルオキシ基、置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20
のアルキルチオ基、置換もしくは未置換の炭素原子数6
〜30のアリールチオ基、置換もしくは未置換の炭素原
子数7〜30のアリールアルキル基、未置換の炭素原子
数5〜30の単環基、置換もしくは未置換の炭素原子数
10〜30の縮合多環基又は置換もしくは未置換の炭素
原子数5〜30の複素環基である。Ar及びAr
は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の炭素原子
数6〜30のアリール基又は置換もしくは未置換のアル
ケニル基であり、置換基としては、置換もしくは未置換
の炭素原子数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置
換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは
未置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換
もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキルチオ
基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30のアリー
ルチオ基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30の
アリールアルキル基、未置換の炭素原子数5〜30の単
環基、置換もしくは未置換の炭素原子数10〜30の縮
合多環基又は置換もしくは未置換の炭素原子数5〜30
の複素環基である。〕
【0020】
【化2】
【0021】〔式中、R〜R10は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置
換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、
置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ
基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30のアリー
ルオキシ基、置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20
のアルキルチオ基、置換もしくは未置換の炭素原子数6
〜30のアリールチオ基、置換もしくは未置換の炭素原
子数7〜30のアリールアルキル基、未置換の炭素原子
数5〜30の単環基、置換もしくは未置換の炭素原子数
10〜30の縮合多環基又は置換もしくは未置換の炭素
原子数5〜30の複素環基である。Ar及びAr
は、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の炭素原子
数6〜30のアリール基又は置換もしくは未置換のアル
ケニル基であり、置換基としては、置換もしくは未置換
の炭素原子数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置
換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは
未置換の炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換
もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキルチオ
基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30のアリー
ルチオ基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30の
アリールアルキル基、未置換の炭素原子数5〜30の単
環基、置換もしくは未置換の炭素原子数10〜30の縮
合多環基、置換もしくは未置換の炭素原子数5〜30の
複素環基又は置換もしくは未置換の炭素原子数4〜40
のアルケニル基である。nは1〜3、mは1〜3、かつ
n+m≧2である。〕
【0022】
【化3】
【0023】〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換も
しくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、置換
もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30のアリールオ
キシ基、置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のア
ルキルチオ基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜3
0のアリールチオ基、置換もしくは未置換の炭素原子数
7〜30のアリールアルキル基、未置換の炭素原子数5
〜30の単環基、置換もしくは未置換の炭素原子数10
〜30の縮合多環基又は置換もしくは未置換の炭素原子
数5〜30の複素環基である。Ar及びArは、そ
れぞれ独立に、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜3
0のアリール基又は置換もしくは未置換のアルケニル基
であり、置換基としては、置換もしくは未置換の炭素原
子数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素
原子数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは未置換の
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは
未置換の炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、置換も
しくは未置換の炭素原子数6〜30のアリールチオ基、
置換もしくは未置換の炭素原子数6〜30のアリールア
ルキル基、未置換の炭素原子数5〜30の単環基、置換
もしくは未置換の炭素原子数10〜30の縮合多環基、
置換もしくは未置換の炭素原子数5〜30の複素環基又
は置換もしくは未置換の炭素原子数4〜40のアルケニ
ル基である。〕
【0024】
【化4】
【0025】〔式中、R11〜R20は、それぞれ独立
に水素原子、アルケニル基、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、アルコキシル基、アリーロキシ基、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基又は置換してもよ
い複素環式基を示し、a及びbは、それぞれ1〜5の整
数を示し、それらが2以上の場合、R11同士又はR
同士は、それぞれにおいて、同一でも異なっていても
よく、またR11同士又はR12同士が結合して環を形
成していてもよいし、R13とR14、R15
16、R17とR18、R19とR20がたがいに結
合して環を形成していてもよい。Lは単結合又は−O
−、−S−、−N(R)−(Rはアルキル基又は置換し
てもよいアリール基である)又はアリーレン基を示
す。〕
【0026】
【化5】
【0027】〔式中、R21〜R30は、それぞれ独立
に水素原子、アルケニル基、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、アルコキシル基、アリーロキシ基、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基又は置換してもよ
い複数環式基を示し、c、d、e及びfは、それぞれ1
〜5の整数を示し、それらが2以上の場合、R21
士、R22同士、R26同士又はR27同士は、それぞ
れにおいて、同一でも異なっていてもよく、またR21
同士、R22同士、R26同士又はR27同士が結合し
て環を形成していてもよいし、R23とR24、R28
とR29がたがいに結合して環を形成していてもよい。
は単結合又は−O−、−S−、−N(R)−(Rは
アルキル基又は置換してもよいアリール基である)又は
アリーレン基を示す。〕
【0028】
【化6】
【0029】〔式中、Ar、Ar及びArは、そ
れぞれ独立に炭素原子数6〜40の置換若しくは無置換
の一価の芳香族基を示し、それらの中の少なくとも一つ
はスチリル基を含んでいてもよく、gは1〜4の整数を
示す。〕
【化7】
【0030】〔式中、Ar、Ar、Ar11、Ar
13及びAr14は、それぞれ独立に炭素原子数6〜4
0の置換若しくは無置換の一価の芳香族基を示し、Ar
10及びAr12は、それぞれ独立に炭素原子数6〜4
0の置換若しくは無置換の二価の芳香族基を示し、Ar
〜Ar14の少なくとも一つはスチリル基又はスチリ
レン基を含んでいてもよく、h及びkはそれぞれ0〜2
の整数、i及びjはそれぞれ0〜3の整数である。〕
【0031】青色系ドーパントは、スチリルアミン、ア
ミン置換スチリル化合物及び縮合芳香族環含有化合物の
中から選ばれる少なくとも一種類であることが好まし
い。そのとき、青色系ドーパントは異なる複数の化合物
から構成されていもよい。上記スチリルアミン及びアミ
ン置換スチリル化合物としては、例えば下記一般式
〔8〕〜
〔9〕で示される化合物が、上記縮合芳香族環
含有化合物としては、例えば下記一般式〔10〕で示さ
れる化合物が挙げられる。
【0032】
【化8】
【0033】〔式中、Ar、Ar及びArは、そ
れぞれ独立に、炭素原子数6〜40の置換もしくは無置
換の芳香族基を示し、それらの中の少なくとも一つはス
チリル基を含み、pは1〜3の整数を示す。〕
【0034】
【化9】
【0035】〔式中、Ar15及びAr16は、それぞ
れ独立に、炭素原子数6〜30のアリーレン基、E
びEは、それぞれ独立に、炭素原子数6〜30のアリ
ール基もしくはアルキル基、水素原子又はシアノ基を示
し、qは1〜3の整数を示す。U及び/又はVはアミノ
基を含む置換基であり、該アミノ基がアリールアミノ基
であると好ましい。〕
【0036】
【化10】
【0037】〔式中、Aは炭素原子数1〜16のアルキ
ル基もしくはアルコキシ基、炭素原子数6〜30の置換
もしくは未置換のアリール基、炭素原子数6〜30の置
換もしくは未置換のアルキルアミノ基、又は炭素原子数
6〜30の置換もしくは未置換のアリールアミノ基、B
は炭素原子数10〜40の縮合芳香族環基を示し、rは
1〜4の整数を示す。〕
【0038】(2)黄色〜赤色系発光層 黄色〜赤色系発光層はホスト材料と黄色〜赤色系ドーパ
ントからなる。ホスト材料は青色系発光層で使用するホ
スト材料と同一のものを使用する。異なるホスト材料を
用いた場合は、色変化が大きくなるため好ましくない。
黄色〜赤色系ドーパントは、少なくとも一つのフルオラ
ンテン骨格又はペリレン骨格を有する蛍光性化合物が使
用でき、例えば下記一般式〔11〕〜〔27〕で示され
る化合物が挙げられる。
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
【化18】
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
【化23】
【0052】
【化24】
【0053】
【化25】
【0054】〔一般式〔11〕〜〔25〕式中、X
20は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐もし
くは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、直鎖、分
岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリール
基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30のアリー
ルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30
のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素原子数
1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の炭
素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ基又は置換
もしくは無置換炭素原子数8〜30のアルケニル基であ
り、隣接する置換基及びX〜X20は結合して環状構
造を形成していてもよい。隣接する置換基がアリール基
の時は、置換基は同一であってもよい。〕また、一般式
〔11〕〜〔25〕式の化合物は、アミノ基又はアルケ
ニル基を含有すると好ましい。
【0055】
【化26】
【0056】
【化27】
【0057】〔一般式〔26〕〜〔27〕式中、X21
〜X24は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜20のア
ルキル基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30の
アリール基であり、X21とX22及び/又はX23
24は、炭素−炭素結合又は−O−、−S−を介して
結合していてもよい。X25〜X36は、水素原子、直
鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のアルキル
基、直鎖、分岐もしくは環状の炭素原子数1〜20のア
ルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜30
のアリール基、置換もしくは無置換の炭素原子数6〜3
0のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素原子
数6〜30のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の
炭素原子数1〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは
無置換の炭素原子数7〜30のアリールアルキルアミノ
基又は置換もしくは無置換炭素原子数8〜30のアルケ
ニル基であり、隣接する置換基及びX25〜X36は結
合して環状構造を形成していてもよい。各式中の置換基
25〜X36の少なくとも一つがアミン又はアルケニ
ル基を含有すると好ましい。〕
【0058】また、フルオランテン骨格を有する蛍光性
化合物は、高効率及び長寿命を得るために電子供与性基
を含有することが好ましく、好ましい電子供与性基は置
換もしくは未置換のアリールアミノ基である。さらに、
フルオランテン骨格を有する蛍光性化合物は、縮合環数
5以上が好ましく、6以上が特に好ましい。これは、蛍
光性化合物が540〜700nmの蛍光ピーク波長を示
し、青色系発光材料と蛍光性化合物からの発光が重なっ
て白色を呈するからである。上記の蛍光性化合物は、フ
ルオランテン骨格を複数有すると、発光色が黄色から赤
色領域となるため好ましい。特に好ましい蛍光性化合物
は、電子供与性基とフルオランテン骨格又はペリレン骨
格を有し、540〜700nmの蛍光ピーク波長を示す
ものである。
【0059】青色系発光層の膜厚は、好ましくは5〜3
0nm、より好ましくは7〜30nm、最も好ましくは
10〜30nmである。5nm未満では発光層形成が困
難となり、色度の調整が困難となる恐れがあり、30n
mを超えると駆動電圧が上昇する恐れがある。黄色〜赤
色系発光層の膜厚は、好ましくは10〜50nm、より
好ましくは20〜50nm、最も好ましくは30〜50
nmである。10nm未満では発光効率が低下する恐れ
があり、50nmを超えると駆動電圧が上昇する恐れが
ある。
【0060】2.他の有機層 (1)第一の有機層 陽極と青色系発光層の間に、第一の有機層として、正孔
注入層、正孔輸送層又は有機半導体層等を設けることが
できる。正孔注入層又は正孔輸送層は、発光層への正孔
注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移
動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以
下と小さい。正孔注入層はエネルギーレベルの急な変化
を緩和する等、エネルギーレベルを調整するために設け
る。このような正孔注入層又は正孔輸送層としてはより
低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好まし
く、さらに正孔の移動度が、例えば104〜106V/c
mの電界印加時に、少なくとも10−6cm /V・秒
であるものが好ましい。正孔注入層又は正孔輸送層を形
成する材料としては、前記の好ましい性質を有するもの
であれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正
孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機E
L素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中か
ら任意のものを選択して用いることができる。
【0061】このような正孔注入層又は正孔輸送層の形
成材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導
体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オ
キサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号
明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−1
6096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体
(米国特許3,615,402号明細書、同第3,82
0,989号明細書、同第3,542,544号明細
書、特公昭45−555号公報、同51−10983号
公報、特開昭51−93224号公報、同55−171
05号公報、同56−4148号公報、同55−108
667号公報、同55−156953号公報、同56−
36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピ
ラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細
書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−8
8064号公報、同55−88065号公報、同49−
105537号公報、同55−51086号公報、同5
6−80051号公報、同56−88141号公報、同
57−45545号公報、同54−112637号公
報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジ
アミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細
書、特公昭51−10105号公報、同46−3712
号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53
435号公報、同54−110536号公報、同54−
119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体
(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,1
80,703号明細書、同第3,240,597号明細
書、同第3,658,520号明細書、同第4,23
2,103号明細書、同第4,175,961号明細
書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−3
5702号公報、同39−27577号公報、特開昭5
5−144250号公報、同56−119132号公
報、同56−22437号公報、西独特許第1,11
0,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導
体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、
オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号
明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体
(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノ
ン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、
ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明
細書、特開昭54−59143号公報、同55−520
63号公報、同55−52064号公報、同55−46
760号公報、同55−85495号公報、同57−1
1350号公報、同57−148749号公報、特開平
2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体
(特開昭61−210363号公報、同第61−228
451号公報、同61−14642号公報、同61−7
2255号公報、同62−47646号公報、同62−
36674号公報、同62−10652号公報、同62
−30255号公報、同60−93455号公報、同6
0−94462号公報、同60−174749号公報、
同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体
(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラ
ン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共
重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−
211399号公報に開示されている導電性高分子オリ
ゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることが
できる。
【0062】正孔注入層又は正孔輸送層の材料として
は、上記のものを使用することができるが、ポルフィリ
ン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示
のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルア
ミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、
特開昭53−27033号公報、同54−58445号
公報、同54−149634号公報、同54−6429
9号公報、同55−79450号公報、同55−144
250号公報、同56−119132号公報、同61−
295558号公報、同61−98353号公報、同6
3−295695号公報等参照)、芳香族第三級アミン
化合物を用いることもできる。また米国特許第5,06
1,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分
子内に有する、例えば4,4’−ビス(N−(1−ナフ
チル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、また特開平
4−308688号公報に記載されているトリフェニル
アミンユニットが3つスターバースト型に連結された
4,4’,4"−トリス(N−(3−メチルフェニル)
−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等を挙げる
ことができる。さらに、発光層の材料として示した前述
の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型
SiC等の無機化合物も正孔注入層又は正孔輸送層の材
料として使用することができる。
【0063】この正孔注入層又は正孔輸送層は、上述し
た材料の1種または2種以上からなる一層で構成されて
もよいし、また、正孔注入層又は正孔輸送層とは別種の
化合物からなる正孔注入層又は正孔輸送層を積層したも
のであってもよい。正孔注入層又は正孔輸送層の膜厚
は、特に限定されないが、好ましくは、20〜200n
mである。
【0064】有機半導体層は、発光層への正孔注入また
は電子注入を助ける層であって、10-10S/cm以上
の導電率を有するものが好適である。このような有機半
導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや特開
平8−193191号公報に記載の含アリールアミンオ
リゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデン
ドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができ
る。有機半導体層の膜厚は、特に限定されないが、好ま
しくは、10〜1,000nmである。
【0065】(2)第二の有機層 陰極と黄色〜赤色系発光層の間に、第二の有機層とし
て、電子注入層又は電子輸送層等を設けることができ
る。 電子注入層又は電子輸送層は、発光層への電子の注
入を助ける層であって、電子移動度が大きい。電子注入
層はエネルギーレベルの急な変化を緩和する等、エネル
ギーレベルを調整するために設ける。 電子注入層又は電
子輸送層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキ
ノリン又はその誘導体の金属錯体が好適である。上記8
−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体
例としては、オキシン(一般に8−キノリノール又は8
−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレート
オキシノイド化合物、例えばトリス(8−キノリノー
ル)アルミニウムを用いることができる。そして、オキ
サジアゾール誘導体としては、下記一般式[28]〜[3
0]
【0066】
【化28】
【0067】(式中、Ar17、Ar18、Ar19
Ar21、Ar22及びAr25は、それぞれ置換基を
有する若しくは有しないアリール基を示し、Ar17
Ar 、Ar19とAr21、Ar22とAr
25は、たがいに同一でも異なっていてもよい。Ar
20、Ar23及びAr24は、それぞれ置換基を有す
る若しくは有しないアリーレン基を示し、Ar23とA
24は、たがいに同一でも異なっていてもよい。)で
表される電子伝達化合物が挙げられる。これら一般式
[28]〜[30]におけるアリール基としては、フェニル
基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピ
レニル基などが挙げられる。また、アリーレン基として
は、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ア
ントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが
挙げられる。そして、これらへの置換基としては炭素数
1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基
またはシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物
は、薄膜形成性の良好なものが好ましく用いられる。そ
して、これら電子伝達性化合物の具体例としては、下記
のものを挙げることができる。
【0068】
【化29】 電子注入層又は電子輸送層の膜厚は、特に限定されない
が、好ましくは、1〜100nmである。
【0069】陽極に最も近い有機層である青色系発光層
又は第一の有機層が、酸化剤を含有していることが好ま
しい。発光層又は第一の有機層に含有される好ましい酸
化剤は、電子吸引性又は電子アクセプターである。好ま
しくはルイス酸、各種キノン誘導体、ジシアノキノジメ
タン誘導体、芳香族アミンとルイス酸で形成された塩類
である。特に好ましいルイス酸は、塩化鉄、塩化アンチ
モン、塩化アルミニウム等である。
【0070】陰極に最も近い有機層である黄色〜赤色系
発光層又は第二の有機層が、還元剤を含有していること
が好ましい。好ましい還元剤は、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化
物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカ
リ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、アルカリ金
属と芳香族化合物で形成される錯体である。特に好まし
いアルカリ金属はCs、Li、Na、Kである。
【0071】3.無機化合物層 陽極及び/又は陰極に接して無機化合物層を有していて
もよい。無機化合物層は、付着改善層として機能する。
無機化合物層に使用される好ましい無機化合物として
は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類
酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロ
ゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO、AlO
SiN、SiON、AlON、GeO、LiO
LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、
TaN、C等各種酸化物、窒化物、酸化窒化物であ
る。特に陽極に接する層の成分としては、SiO、A
lO、SiN、SiON、AlON、GeO、C
が安定な注入界面層を形成して好ましい。また、特に陰
極に接する層の成分としては、LiF、MgF、Ca
、MgF、NaFが好ましい。無機化合物層の膜
厚は、特に限定されないが、好ましくは、0.1nm〜
100nmである。
【0072】発光層を含む各有機層及び無機化合物層を
形成する方法は、特に限定されないが、例えば、蒸着
法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方
法を適用することができる。また、得られる有機EL素
子の特性が均一となり、また、製造時間が短縮できるこ
とから、電子注入層と発光層とは同一方法で形成するこ
とが好ましく、例えば、電子注入層を蒸着法で製膜する
場合には、発光層も蒸着法で製膜することが好ましい。
【0073】4.電極 陽極としては、仕事関数の大きい(例えば、4.0eV
以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合
物を使用することが好ましい。具体的には、インジウム
チンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイ
ド、スズ、酸化亜鉛、金、白金、パラジウム等の1種を
単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0074】また、陽極の厚さも特に制限されるもので
はないが、10〜1,000nmの範囲内の値とするの
が好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのが
より好ましい。
【0075】陰極には、仕事関数の小さい(例えば、
4.0eV未満)金属、合金、電気電導性化合物又はこ
れらの混合物を使用することが好ましい。具体的には、
マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、
ナトリウム、銀等の1種を単独で、又は2種以上を組み
合わせて使用することができる。また陰極の厚さも特に
制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲
内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内
の値とするのがより好ましい。陽極又は陰極の少なくと
も一方は、発光層から放射された光を外部に有効に取り
出すことが出来るように、実質的に透明、より具体的に
は、光透過率が10%以上の値であることが好ましい。
電極は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法、電子ビーム蒸着法、CVD法、MOCVD
法、プラズマCVD法等により製造できる。
【0076】以下、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、各例で得られた有機EL素子の評価は下記の通り
である。 (1)初期性能:CIE1931色度座標にて色度を測
定し評価した。 (2)寿命:初期輝度1000cd/mで定電流駆動
し、輝度の半減期、及び色度の変化で評価した。 (3)耐熱性:105℃にて保存試験を実施し、500
時間後の色度変化で評価した。L/J変化は、輝度Lと
電流密度Jの比で表される初期のL/Jを、1としたと
きの変化である。
【0077】
【実施例】実施例1 (有機EL素子の形成)25mm×75mm×1.1m
m厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマ
ティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗
浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行な
った。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸
着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが
形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにし
て膜厚60nmのN,N’−ビス(N,N’−ジフェニ
ル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,
4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル膜(以下「TP
D232膜」と略記する)を成膜した。このTPD23
2膜は、正孔注入層として機能する。TPD232膜の
成膜に続けて、このTPD232膜上に膜厚20nmの
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル
アミノ]ビフェニル膜(以下「NPD膜」と略記する)
を成膜した。このNPD膜は正孔輸送層として機能す
る。
【0078】さらに、NPD膜の成膜に続けて、膜厚1
0nmにて式〔31〕で示されるスチリル誘導体DPV
PDANと、式〔32〕で示されるB1を40:1の重
量比で蒸着し成膜し、青色系発光層とした。次いで、3
0nmにてスチリル誘導体DPVPDANと式〔33〕
で示されるR1(蛍光ピーク波長545nm)を40:
1の重量比で蒸着し成膜し、黄色〜赤色系発光層とし
た。この膜上に、電子輸送層として膜厚10nmのトリ
ス(8−キノリノール)アルミニウム膜(以下「Alq
膜」と略記する。)を成膜した。この後、Li(Li
源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、電
子注入層としてAlq:Li膜を10nm形成した。こ
のAlq:Li膜上に金属Alを150nm蒸着させ金
属陰極を形成し有機EL発光素子を形成した。
【0079】
【化30】
【0080】
【化31】
【0081】
【化32】
【0082】(有機EL素子の性能評価)この素子は直
流電圧5Vで発光輝度100cd/m、効率7cd/
A最大発光輝度11万cd/mの白色発光が得られ
た。本材料で作製した素子はCIE1931色度座標に
て(x,y)=(0.282,0.281)であり白色
と確認された。この素子を初期輝度1000cd/m
で定電流駆動したところ寿命は1万時間であり優れてい
た。また、105℃にて保存試験を実施したところ、5
00時間後での色度は(0.278,0.271)であ
り、試験前後での色差は(−0.004,−0.01
0)であり優れていることが確認できた。実施例1及び
下記の比較例1〜3で得られた有機EL素子の初期性
能、寿命及び耐熱性の測定結果を表1に示す。この表か
ら明らかなように、本実施例の有機EL素子は、寿命が
長く耐熱性が高く、色変化が少なかった。
【0083】比較例1 実施例1と同様に素子を作製した。ただし、NPD膜の
上に、10nmにてスチリル誘導体DPVDPANと化
合物(R1)を100:1の重量比で蒸着し黄色〜赤色
系発光層とし、さらに膜厚10nmにてスチリル誘導体
DPVDPANと化合物(B1)を40:1の重量比で
蒸着し成膜し、青色系発光層とした。しかし、色度が
(0.417,0.436)となり、白色ではなく、黄色
発光となった。105℃保存試験を実施したが、実施例
1に比べて色度変化が極めて大きかった。
【0084】比較例2 実施例1と同様に素子を作製した。ただし、NPD膜の
上に、5nmにてスチリル誘導体DPVDPANと化合
物(R1)を300:1の重量比で蒸着し黄色〜赤色系
発光層とし、さらに膜厚38nmにてスチリル誘導体D
PVDPANと化合物(B1)を40:1の重量比で蒸
着し成膜し、青色系発光層とした。色度が(0.321,
0.341)となり、良好な白色が得られた。しかし、
105℃保存試験において、実施例1に比べて色度変化
が大きくなった。
【0085】比較例3 実施例1と同様に素子作製をした。ただし、正孔輸送層
としてNPDと同時に(R1)を40:1の割合でドー
ピングした。さらに、発光層を青色系発光層のみとし、
青色系発光層の膜厚を40nmとした。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】本発明よれば、色変化が少ない白色系有
機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる白色系有機EL素
子の模式図である。
【符号の説明】
1 白色系有機EL素子 2 陽極 3 正孔注入層(第1の有機層) 4 正孔輸送層 5 青色系発光層 6 黄色〜赤色系発光層 7 電子輸送層(第2の有機層) 8 陰極

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極と、 ホスト材料と青色系ドーパントを含む青色系発光層と、 前記青色系発光層と同一のホスト材料と黄色〜赤色系ド
    ーパントを含む黄色〜赤色系発光層と、 陰極と、 をこの順序に積層して含み、 前記青色系発光層と前記黄色〜赤色系発光層から発光層
    が構成される白色系有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  2. 【請求項2】 前記青色系発光層が酸化剤を含む請求項
    1記載の白色系有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】 さらに、前記陽極と前記青色系発光層の
    間に、第1の有機層を含み、前記第1の有機層が酸化剤
    を含む請求項1記載の白色系有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。
  4. 【請求項4】 前記黄色〜赤色系発光層が還元剤を含む
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の白色系有機エレク
    トロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】 さらに、前記陰極と前記黄色〜赤色系発
    光層の間に、第2の有機層を含み、前記第2の有機層が
    還元剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の白色
    系有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】 さらに、前記陽極及び/又は前記陰極に
    接して無機化合物層を含む請求項1〜5のいずれか一項
    に記載の白色系有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 【請求項7】 前記ホスト材料が、スチリル誘導体、ア
    ントラセン誘導体又は芳香族アミンである請求項1〜6
    のいずれか一項に記載の白色系有機エレクトロルミネッ
    センス素子。
  8. 【請求項8】 前記スチリル誘導体が、ジスチリル誘導
    体、トリススチリル誘導体、テトラスチリル誘導体又は
    スチリルアミン誘導体である請求項7記載の白色系有機
    エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 【請求項9】 前記アントラセン誘導体が、フェニルア
    ントラセン骨格を含有する化合物である請求項7記載の
    白色系有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 【請求項10】 前記芳香族アミンが、芳香族に置換さ
    れた窒素原子を2、3又は4つ含有する化合物である請
    求項7記載の白色系有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  11. 【請求項11】 前記芳香族アミンが、さらにアルケニ
    ル基を少なくとも一つ含有する化合物である請求項10
    記載の白色系有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 【請求項12】 前記青色系ドーパントが、スチリルア
    ミン、アミン置換スチリル化合物又は縮合芳香族環含有
    化合物より選択される少なくとも一種類の化合物である
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の白色系有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  13. 【請求項13】 前記黄色〜赤色系ドーパントが、フル
    オランテン骨格を複数有する化合物である請求項1〜1
    2のいずれか一項に記載の白色系有機エレクトロルミネ
    ッセンス素子。
  14. 【請求項14】 前記黄色〜赤色系ドーパントが、電子
    供与性基とフルオランテン骨格を含有する化合物である
    請求項1〜13のいずれか一項に記載の白色系有機エレ
    クトロルミネッセンス素子。
  15. 【請求項15】 前記黄色〜赤色系ドーパントの蛍光ピ
    ーク波長が、540nm〜700nmである請求項1〜
    14のいずれか一項に記載の白色系有機エレクトロルミ
    ネッセンス素子。
  16. 【請求項16】 前記青色系発光層及び前記黄色〜赤色
    系発光層の膜厚が、5nm以上である請求項1〜15の
    いずれか一項に記載の白色系有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。
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