JP2007281501A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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Hisahiro Azuma
久洋 東
Toshio Sakai
俊男 酒井
Kenichi Fukuoka
賢一 福岡
Chishio Hosokawa
地潮 細川
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Abstract

【課題】長時間の駆動あるいは高温の環境下においても結晶化が抑制され、耐久性の向上した実用的な有機EL素子を提供すること。
【解決手段】少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を一対の電極で挟持してなる有機EL素子において、有機化合物層の少なくとも一層が、一般式(I)
Figure 2007281501

(X及びYはC6 〜C50のアリール基又はC3 〜C50の一価の複素環式基、ArはC6 〜C80のアリーレン基、二価のトリフェニルアミン残基又は二価の複素環式基)
で表される化合物と結晶化阻害物質を含む有機EL素子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスを「EL」と略記する。)及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、長時間の駆動あるいは高温の環境下においても結晶化が抑制され、耐久性の向上した実用的な有機EL素子及びその製造方法に関するものである。
電界発光を利用したEL素子は、自己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いてなる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素子とがあり、このうち、特に有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くしうる上、小型化が容易であって、消費電力が小さく、面発光が可能であり、かつ三原色発光も容易であることから、次世代の発光素子としてその実用化研究が積極的になされている。
この有機EL素子の構成については、陽極/有機発光層/陰極の構成を基本とし、これに正孔注入輸送層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/陰極や、陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極などの構成のものが知られている。
このような有機EL素子の実用化に当たっては、長時間の駆動安定性及び車搭載などにおける高温環境下での駆動安定性や保存安定性などが求められている。その中にあって、大きな弊害となっているのが、これらの環境下において構成材料が結晶化し、最終的に素子の破壊を誘発することである。長時間の駆動においては、素子自体の発熱による温度上昇や、外的環境変化による熱により、素子の構成材料は大きな熱変動を受けることになる。その結果、有機化合物が結晶化する現象が知られている。これは結晶化が素子の短絡や欠陥を発生させることがあるからである。したがって、このような結晶化を抑える技術の研究がなされてきた。
結晶化を防止する方法としては、例えば各構成材料の耐熱性(具体的にはガラス転移温度など)を向上させることが試みられている(特許文献1)。しかしながら、この場合、材料の分子設計が重要となり、化合物の合成が非常に難しくなり材料コストがかさんだり、また、耐熱性を重視する場合、化合物の分子量が大きくなり溶媒に難溶となるため、精製が困難となり、EL素子性能が低下したりするなどの問題があった。
特開平10−110163号公報
本発明は、このような状況下で、長時間の駆動あるいは高温の環境下においても結晶化が抑制され、耐久性の向上した実用的な有機EL素子及びその製造方法を提供するこを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を一対の電極で挟持してなる有機EL素子において、上記有機発光層に発光材料と結晶化阻害物質を含有させることにより、あるいは、上記有機化合物層の少なくとも一層に特定の構造の化合物と結晶化阻害物質を含有させることにより、長時間の駆動や高温の環境下においても結晶化が抑制され、耐久性の向上した素子が得られることを見出した。また、上記特定の構造の化合物と結晶化阻害物質を、別々の蒸着源又は同一の蒸着源がら蒸着させ、有機化合物層の少なくとも一層を形成させることにより、上記特性を有する有機EL素子が容易に得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は
(1)少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機EL素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層が、一般式(I)
Figure 2007281501
(式中、X及びYは、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Arは炭素数6〜80のアリーレン基、二価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の二価の複素環式基を示す。)
で表される化合物と結晶化阻害物質とを含み、
前記結晶化阻害物質と共に、有機化合物層の少なくとも一層を形成する有機化合物の少なくも一つが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による分析において、全体のピーク面積に対する一般式(I)の化合物に由来する面積の割合が98%以上であることを特徴とする有機EL素子、
(2)少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機EL素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層が、前記一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質とを含み、
一般式(I)で表される化合物のエネルギーギャップをEg1 、結晶化阻害物質のエネルギーギャップをEg2 とした場合、式
Eg2 >Eg1 −0.1eV
の関係を満たすことを特徴とする有機EL素子、
(3)少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機EL素子を製造するに当たり、前記一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を、それぞれ別の蒸着源から蒸着させることにより、有機化合物層の少なくとも一層を形成させることを特徴とする有機EL素子の製造方法、
及び
(4)少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機EL素子を製造するに当たり、前記一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を同一の蒸着源から蒸着させることにより、有機化合物層の少なくとも一層を形成させることを特徴とする有機EL素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、長時間の駆動あるいは高温の環境下においても結晶化が抑制され、耐久性の向上した実用的な有機EL素子が得られる。
本発明の有機EL素子は、例えば情報機器のディスプレイなどに好適に用いられる。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極とからなる一対の電極の間に、少なくとも有機発光層を有する有機化合物層が設けられたものであって、上記有機化合物層は、発光層からなる層であってもよく、また、発光層とともに、正孔注入輸送層,電子注入層などを積層した多層構造のものであってもよい。この有機EL素子の素子構成としては、例えば陰極/発光層/陽極,陰極/発光層/正孔注入輸送層/陽極,陰極/電子注入層/発光層/陽極,陰極/電子注入層/発光層/正孔注入輸送層/陽極などを挙げることができる。
本発明の有機EL素子には、二つの態様があり、その一つは上記有機化合物層の中の有機発光層が発光材料と結晶化阻害物質を含むものであり、また他の一つは、上記有機化合物層の少なくとも一層が、ジスチリルアリーレン系化合物、特に好ましくは、一般式(I)
Figure 2007281501
で表される化合物と結晶化阻害物質を含むもである。これらの有機EL素子の中では、有機化合物層の中の有機発光層が、該一般式(I)で表される化合物の中から選ばれた発光材料と結晶化阻害物質を含む素子が好ましく、特に有機発光層が青色発光可能な層である素子が好適である。
前記一般式(I)において、X及びYは、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、上記アリール基は、一価の単環式,多環式,縮合多環式芳香族基のいずれであってもよく、また、上記複素環式基は、一価の単環,多環,縮合多環複素環式基のいずであってもよい。このX及びYは、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、Arは炭素数6〜80のアリーレン基,二価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の二価の複素環式基であり、上記アリーレン基は、二価の単環式,多環式,縮合多環式芳香族基のいずれであってもよく、また、上記複素環式基は、二価の単環,多環,縮合多環複素環式基のいずれであってもよい。なお、X,Y及びArは、それぞれ芳香環,複素環上に適当な置換基が一つ以上導入されていてもよい。この置換基の例としては、炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基若しくはアリールオキシ基,アミノ基,シアノ基,ニトロ基,水酸基,ハロゲン原子などが挙げられる。
この一般式(I)で表される化合物は、本発明においては、有機化合物層の少なくとも一層に、結晶化阻害物質と共に含有されるが、この場合、結晶化阻害物質と共に該有機化合物層を形成する有機化合物の少なくとも一つは、ゲルパミエーションクロマトクラフィー法(GPC法)による分析において、全体のピーク面積に対する一般式(I)の化合物に由来する面積の割合が98%以上であるものが、本発明の効果の点から好ましい。
このような純度の高い有機化合物を得る方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば昇華精製法,再結晶法,再沈殿法,ゾーンメルティング法,カラム精製法,吸着法などを用いることができるが、再結晶法及び昇華性を有する有機化合物であれば、昇華精製法を採用するのが有利である。
この一般式(I)で表される化合物は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機EL素子の研究開発においては8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体(ALQ)をホストとしてこれに微量蛍光物質をドープした有機発光層を有する素子(特開昭63−264692号公報)、ALQをホストして、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(特開平3−255190号公報)などが知られている。これらは発光効率の改善あるいは長寿命化に大きな寄与があることが知られている。
また、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体またはトリススチリルアリーレン誘導体を電荷注入補助剤として用いることにより、発光層のエネルギーギャップが該電荷注入補助剤のエネルギーギャップより大きな有機EL素子においては、印加電圧が低く、発光効率が高い上、長寿命化に寄与することが知られている。
本発明における結晶化阻害物質の概念とは、これらのドーピングの考え方、あるいは電荷注入補助剤としての考え方とは異なり、結晶化阻害剤を含有させた場合に、含有させない場合の駆動電圧や発光効率などの電気的性能の劣化や前記電気的性能の劣化によって引きおこされる寿命低下に影響を及ぼすものではなく、ただ、長時間での駆動あるいは熱的環境変化があった場合において、素子が結晶化してしまうことを防止するという概念である。具体的には、有機発光層においては、発光材料のエネルギーギャップに比べて、結晶化阻害物質のエネルギーギャップの方が大きいことが望ましく、この場合、エネルギー移動が生じる確率は、非常に低いものと予想される。従って、実質的には結晶化阻害剤は発光過程には関与しないことが好ましい。
本発明において用いられる結晶化阻害物質としては、直空蒸着が可能であって、前記一般式(I)で表される化合物の結晶化を阻害しうる化合物であればよく、特に制限されず、蛍光性を有する化合物であってもよいし、無蛍光性の化合物であってもよい。
この結晶化阻害物質としては、それを含む有機化合物層において、共存する他の有機化合物に対して不活性であって、素子の発光効率や寿命に対して悪影響を及ぼさないものが好ましい。ここで、不活性とは共存する有機化合物と反応したり、エネルギーの授受もなく、素子の電気的性能へ影響を与えるものではないという意味である。さらに、前記一般式(I)で表される化合物のエネルギーギャップをEg1 、結晶化阻害物質のエネルギーギャップをEg2 とした場合、式
Eg2 >Eg1 −0.1eV
の関係を満たすものが好適である。
このような結晶化阻害物質としては、例えば一般式(I')
Figure 2007281501
(式中、X’及びY’は、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、それらはたがいに同一で異なっていてもよく、Ar’は炭素数6〜80のアリーレン基、二価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の二価の複素環式基を示す。)
で表される化合物、その部分構造化合物及び同じ系統の化合物の中から選ばれたもの、あるいはジスチリルアリーレン化合物の部分構造よりなる化合物やスチリルアリーレン化合物、例えば前記一般式(I)で表される化合物の部分構造化合物、より具体的には一般式(II)
Figure 2007281501
(式中、X1 及びY1 は、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Ar1 は炭素数6〜80のアリール基、一価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の一価の複素環式基を示す。)
で表される化合の中から選ばれたものを挙げることができる。また、上記一般式(I')とは全く異なる系統の化合物(例えば、錯体あるいは縮合多環式芳香族化合物、ポリマー化合物など)であってもよい。また、別種の結晶化阻害物質として芳香族アミン化合物、好ましくはエネルギーギャップが2.8eV以上の化合物が電気的性能に著しい影響を与えず結晶化を抑制する機能を保有する。
上記一般式(I')におけるX’,Y’及びAr’は、それぞれ前記一般式(I)におけるX,Y及びArで説明したとおりである。この一般式(I')で表される化合物の中から、併用される一般式(I)で表される化合物とは異なるものを適宜選択して、結晶化阻害物質として使用することができる。
上記一般式(II)において、X1 及びY1 は、それぞれ一般式(I)におけるX及びYと同様であるが、併用される一般式(I)の化合物におけるX及びYと、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。また、Ar1 は、一般式(I)におけるArの二価を一価に置き換えたものと同様であるが、併用される一般式(I)の化合物におけるArの二価を一価に置き換えたものと同一であってもよく、異なっていてもよい。
これらの結晶化阻害物質の中で、特に前記一般式(I')で表される化合物あるいは一般式(II)で表される化合物の中から選ばれたものが好ましい。この理由は、一般式(I)の化合物と化学構造が類似している化合物〔一般式(I')〕あるいは一般式(I)の化合物の部分構造化合物〔一般式(II)〕は、スタッキングに乱れを生じさせ、結晶化を抑制することが可能であるからである。また、結晶化阻害物として用いた場合、一般式(I)の化合物とエネルギーレベルが同等であるか、あるいはよりエネルギーギャップが大きくなる〔一般式(II)〕方へシフトするため、エネルギー移動が起こりにくくなるからである。
このように、本発明で用いる結晶化阻害物質の作用は、前述のドーピングや電荷注入補助剤の作用とは明らかに異なるものである。
本発明で用いられる結晶化阻害物質を分子量で分類すると、(A)分子量が一般式(I)の化合物の分子量の0.1倍〜0.5倍の範囲にあるもの、(B)分子量が一般式(I)の化合物の分子量の0.5倍より大きく2倍以下の範囲にあるもの及び(C)分子量が一般式(I)の化合物の分子量の2倍より大きく50倍以下のもの、に大別される。本発明においては、上記(A),(B)及び(C)の分子量を有する化合物、すなわち、一般式(I)の分子量の0.1倍〜2倍の分子量を有する化合物の中から少なくとも一種を選択して用いることができるが、(B)の分子量を有するものの中から選択するのが、本発明の効果及び蒸着性などの点で好ましい。
この結晶化阻害物質の具体例としては、以下に示す構造の化合物を挙げることができる。
Figure 2007281501
Figure 2007281501
Figure 2007281501
本発明においては、有機化合物層の少なくとも一層に、前記一般式(I)で表される化合物と上記結晶化阻害物質を含有させるが、その重量比は1:10-12 〜1:1の範囲にあるのが、素子の性能の点から好ましい。
一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質とを所望の割合で含む有機化合物層を形成させるには、以下に示す本発明の方法を採用するのが有利である。 すなわち、本発明の方法によれば、一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を、それぞれ別の蒸着源に仕込み、蒸着速度の比率を調節して蒸着させることにより、あるいは一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を同一の蒸着源に仕込み、その仕込み比率を調節して蒸着させることにより、所望の有機化合物層を形成することができる。
この方法においては、結晶化阻害物質の蒸発温度が、一般式(I)の化合物の蒸発温度に近いことが望ましいため、前記(B)の分子量を有する結晶化阻害物質が好ましく、特に一般式(I')で表される化合物の中から選ばれた結晶化阻害物質が好適である。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、以下に示す構造の化合物を挙げることができる。
Figure 2007281501
Figure 2007281501
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これらの化合物は、有機EL素子における発光材料や正孔注入輸送材料などとして有効である。
本発明の有機EL素子においては、有機化合物層、すなわち発光層,正孔注入輸送層,電子注入層などの少なくとも一層に、前記一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を含有させるが、特に、発光層にこれらを含有させることが好ましい。この場合、発光層は、一般式(I)の化合物の中から選ばれた発光材料と結晶化阻害物質を、前述したように別々の蒸着源又は同一の蒸着源から蒸着して、形成させるのが有利である。
このようにして形成された発光層の膜厚について特に制限はなく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、通常5nmないし5μmの範囲で選定される。
なお、発光層以外の有機化合物層に、一般式(I)の化合物と共に結晶化阻害物質を含有させる場合には、この発光層に結晶化阻害物質を含有させなくてもよい。
このEL素子における発光層は、(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入輸送層により正孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。
なお、正孔の注入されやすさと、電子の注入されやすさに違いがあってもよいし、正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動することが好ましい。
この発光層に用いる前記一般式(I)で表される化合物は、一般にイオン化エネルギーが6.0eV程度より小さいので、適当な陽極金属又は陽極化合物を選べば、比較的正孔を注入しやすい。また電子親和力は2.8eV程度より大きいので、適当な陰極金属又は陰極化合物を選べば、比較的電子を注入しやすい上、電子,正孔の輸送能力も優れている。さらに固体状態の蛍光性が強いため、該化合物やその会合体又は結晶などの電子と正孔の再結晶時に形成された励起状態を光に変換する能力が大きい。
本発明の有機EL素子の構成は、各種の態様があるが、基本的には、一対の電極(陽極と陰極)間に、前記発光層を挟持した構成とし、これに必要に応じて、正孔注入輸送層や電子注入層を介在させればよい。介在方法としては、ポリマーへの混ぜ込みや同時蒸着がある。具体的には(1)陽極/発光層/陰極,(2)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極,(3)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入層/陰極,(4)陽極/発光層/電子注入層/陰極などの構成を挙げることができる。該正孔注入輸送層や電子注入層は、必ずしも必要ではないが、これらの層があると発光性能が一段と向上する。
また、前記構成の素子においては、いずれも基板に支持されていることが好ましく、該基板については特に制限はなく、従来EL素子に慣用されているもの、例えばガラス,透明プラスチック,石英などから成るものを用いることができる。
このEL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属,合金,電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属,CuI,ITO(インジウムチンオキシド),SnO2 ,ZnOなどの誘電性透明材料が挙げられる。該陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。この電極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nmないし1μm,好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属,合金,電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム,ナトリウム−カリウム合金,マグネシウム,リチウム,マグネシウム/銅混合物,Al/Al2 3 ,インジウムなどが挙げられる。該陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nmないし1μm,好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、このEL素子においては、該陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であることが、発光を透過するため、発光の取出し効率がよく好都合である。
本発明の有機EL素子の構成は、前記したように、各種の態様があり、前記(2)又は(3)の構成のEL素子における正孔注入輸送層は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。その上、発光層に陰極又は電子注入層より注入された電子は、発光層と正孔注入輸送層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内の界面付近に蓄積されEL素子の発光効率を向上させ、発光性能の優れたEL素子とする。
前記正孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合物は、電界を与えられた2個の電極間に配置されて陽極から正孔が注入された場合、該正孔を適切に発光層へ伝達しうる化合物であって、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /(V・秒)の正孔移動度をもつものが好適である。このような正孔伝達化合物については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導電材料において、正孔の電荷輸送材として慣用されているものやEL素子の正孔注入輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
該電荷輸送材としては、例えばトリアゾール誘導体(米国特許第3,112,197号明細書などに記載のもの)、オキサジアゾール誘導体(米国特許第3,189,447号明細書などに記載のもの)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報などに記載のもの)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許第3,615,402 号明細書,同3,820,989 号明細書,同3,542,544 号明細書,特公昭45−555号公報,同51−10983号公報,特開昭51−93224号公報,同55−17105号公報,同56−4148号公報,同55−108667号公報,同55−156953号公報,同56−36656号公報などに記載のもの)、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729 号明細書,同4,278,746 号明細書,特開昭55−88064号公報,同55−88065号公報,同49−105537号公報,同55−51086号公報,同56−80051号公報,同56−88141号公報,同57−45545号公報,同54−112637号公報,同55−74546号公報などに記載のもの)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404 号明細書,特公昭51−10105号公報,同46−3712号公報,同47−25336号公報,特開昭54−53435号公報,同54−110536号公報,同54−119925号公報などに記載のもの)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450 号明細書,同3,180,703 号明細書,同3,240,597 号明細書,同3,658,520 号明細書,同4,232,103 号明細書,同4,175,961 号明細書,同4,012,376号明細書,特公昭49−35702号公報,同39−27577号公報,特開昭55−144250号公報,同56−119132号公報,同56−22437号公報,西独特許第1,110,518 号明細書などに記載のもの)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501 号明細書などに記載のもの)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203 号明細書などに記載のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報などに記載のもの)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報などに記載のもの)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462 号明細書,特開昭54−59143号公報,同55−52063号公報,同55−52064号公報,同55−46760号公報,同55−85495号公報,同57−11350号公報,同57−148749号公報などに記載されているもの)、スチルベル誘導体(特開昭61−210363号公報,同61−228451号公報,同61−14642号公報,同61−72255号公報,同62−47646号公報,同62−36674号公報,同62−10652号公報,同62−30255号公報,同60−93445号公報,同60−94462号公報,同60−174749号公報,同60−175052号公報などに記載のもの)などを挙げることができる。
これらの化合物を正孔伝達化合物として使用することができるが、次に示すポルフィリン化合物(特開昭63−295695号公報などに記載のもの)及び芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書,特開昭53−27033号公報,同54−58445号公報,同54−149634号公報,同54−64299号公報,同55−79450号公報,同55−144250号公報,同56−119132号公報,同61−295558号公報,同61−98353号公報,同63−295695号公報などに記載のもの)、特に該芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
該ポルフィリン化合物の代表例としては、ポルフィリン;5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン銅(II);5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィリン亜鉛(II);5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィリン;シリコンフタロシアニンオキシド;アルミニウムフタロシアニンクロリド;フタロシアニン(無金属);ジリチウムフタロシアニン;銅テトラメチルフタロシアニン;銅フタロシアニン;クロムフタロシアニン;亜鉛フタロシアニン;鉛フタロシアニン;チタニウムフタロシアニンオキシド;マグネシウムフタロシアニン;銅オクタメチルフタロシアニンなどが挙げられる。また該芳香族第三級化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン;N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン;2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミン)−4’−〔4(ジ−p−トリルアミン)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベン;N−フェニルカルバゾールなどが挙げられる。
上記EL素子における該正孔注入輸送層は、これらの正孔伝達化合物一種又は二種以上からなる一層で構成されてもよいし、あるいは、前記層とは別種の化合物からなる正孔注入輸送層を積層したものであってもよい。
なお、正孔伝達化合物として、前記一般式(I)で表される化合物の中から選ばれたものを用いる場合には、この化合物と共に結晶化阻害物質を用い、正孔注入輸送層を形成してもよい。
一方、前記(3)の構成のEL素子における電子注入層(電子注入輸送層)は、電子伝達化合物からなるものであって、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している。このような電子伝達化合物について特に制限はなく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。該電子伝達化合物の好ましい例としては、
Figure 2007281501
などのニトロ置換フルオレノン誘導体、
Figure 2007281501
などのチオピランジオキシド誘導体,
Figure 2007281501
などのジフェニルキノン誘導体〔「ポリマー・プレプリント( Polymer Preprints),ジャパン」第37巻,第3号,第681ページ(1988年)などに記載のもの〕、あるいは
Figure 2007281501
などの化合物〔「ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J.Apply.Phys.)」第27巻,第269頁(1988年)などに記載のもの〕や、アントラキノジメタン誘導体(特開昭57−149259号公報,同58−55450号公報,同61−225151号公報,同61−233750号公報,同63−104061号公報などに記載のもの)、フレオレニリデンメタン誘導体(特開昭60−69657号公報,同61−143764号公報,同61−148159号公報などに記載のもの)、アントロン誘導体(特開昭61−225151号公報,同61−233750号公報などに記載のもの)
また、次の一般式(III)又は(IV)
Figure 2007281501
(式中、Ar2 〜Ar4 及びAr6 はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基を示し、Ar5 は置換又は無置換のアリーレン基を示す。)
で表される電子伝達化合物が挙げられる。ここで、アリール基としてはフェニル基,ナフチル基,ビフェニル基,アントラニル基,ペリレニル基,ピレニル基等が挙げられ、アリーレン基としてはフェニレン基,ナフチレン基,ビフェニレン基,アントラセニレン基,ペリレニレン基,ピレニレン基等が挙げられる。また、置換基としては炭素数1〜10のアルキル基,炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基等が挙げられる。この一般式(III)又は(IV) で表される化合物は、薄膜形成性のものが好ましい。
一般式(III)又は(IV) で表される化合物の具体例としては、
Figure 2007281501
Figure 2007281501
等が挙げられる。
「Appl.Phys.Lett. 」第55巻、第1489ページ(1989年)に開示されているオキサジアゾール誘導体などを挙げることができる。
なお、正孔注入輸送層及び電子注入層は電化の注入性,輸送性,障壁性のいずれかを有する層であり、上記した有機材料の他にSi系,SiC系,CdS系などの結晶性ないし非結晶性材料などの無機材料を用いることもできる。
有機材料を用いた正孔注入輸送層及び電子注入層は発光層と同様にして形成することができ、無機材料を用いた正孔注入輸送層及び電子注入層は真空蒸着法やスパッタリングなどにより形成できるが、有機及び無機のいずれの材料を用いた場合でも真空蒸着法により形成することが好ましい。
次に、本発明のEL素子を作製する好適な方法の例を、各構成の素子それぞれについて説明する。前記の陽極/発光層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製したのち、この上に、一般式(I)の化合物の中から選ばれた発光材料と結晶化阻害物質からなる薄膜を形成させ、発光層を設ける。該発光材料の薄膜化の方法としては、例えばスピンコート法,キャスト法,蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、前述の蒸着法が好ましい。
該発光材料の薄膜化に、この蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する発光層に用いる有機化合物の種類,分子堆積膜の目的とする結晶構造,会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜400℃,真空度10-5〜10-3Pa,蒸着速度0.01〜50nm/sec,基板温度−50〜+300℃,膜厚5nmないし5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。次にこの発光層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。なお、このEL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極,発光層,陽極の順に作製することも可能である。
また、一対の電極間に正孔注入輸送材料,発光材料,電子注入材料を混合させた形で電極間に挟持させ発光層とした、陽極/発光層/陰極からなる素子の場合の作製方法としては、例えば適当な基板の上に、陽極用物質からなる薄膜を形成し、正孔注入輸送材料,発光材料,結晶化阻害物質,電子注入材料,ポリビニルカルバゾール等の結着剤等からなる溶液を塗布するか、又はこの溶液から浸漬塗工法により薄膜を形成させ発光層とし、その上に陰極用物質からなる薄膜を形成させるものがある。ここで、作製した発光層上に、さらに発光層の材料となる素子材料(発光材料及び結晶化阻害物質)を真空蒸着し、その上に陰極用物質からなる薄膜を形成させてもよい。あるいは、正孔注入輸送材料,電子注入材料および発光材料と結晶化阻害物質を同時蒸着させ発光層とし、その上に陰極用物質からなる薄膜を形成させてもよい。
次に、陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極から成るEL素子の作製法について説明すると、まず、陽極を前記のEL素子の場合と同様にして形成したのち、その上に、正孔伝達化合物から成る薄膜をスピンコート法などにより形成し、正孔注入輸送層を設ける。この際の条件は、前記発光材料の薄膜形成の条件に準じればよい。次に、この正孔注入輸送層の上に、順次発光層及び陰極を、前記EL素子の作製の場合と同様にして設けることにより、所望のEL素子が得られる。なお、このEL素子の作製においても、作製順序を逆にして、陰極,発光層,正孔注入輸送層,陽極の順に作製することも可能である。
さらに、陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入層/陰極から成るEL素子の作製法について説明すると、まず、前記のEL素子の作製の場合と同様にして、陽極,正孔注入輸送層,発光層を順次設けたのち、この発光層の上に、電子伝達化合物から成る薄膜をスピンコート法などにより形成して、電子注入層を設け、次いでこの上に、陰極を前記EL素子の作製の場合と同様にして設けることにより、所望のEL素子が得られる。
なお、このEL素子の作製においても、作製順序を逆にして、陽極,電子注入層,発光層,正孔注入輸送層,陽極の順に作製してもよい。
このようにして得られた本発明の有機EL素子は、長時間の駆動あるいは高温の環境下においても結晶化が抑制され、耐久性の向上したものである。
この有機EL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+,陰極を−の極性として電圧1〜30V程度を印加すると、発光が透明又は半透明の電極側より観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+,陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
25mm×75mm×1.1mmのサイズのガラス基板上にITO(インジウムチンオキサイド)電極を100nmの厚さに成膜したものを透明支持基板とした。これをイソプロピルアルコールにて5分間超音波洗浄したのち、純水で5分間洗浄し、最後にイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した。次にこの透明支持基板を市販の真空蒸着装置(日本真空技術社製)の基板ホルダーに固定した。また、この市販の蒸着装置には複数のモリブテン製の抵抗加熱ボートが配置され、それぞれ独立した抵抗加熱ボートに正孔注入材料としてMTDATA{4,4’,4’’−トリス−〔N−m−トリル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン}を200mg、正孔輸送材料としてNPD{N,N’−ジ−(ナフチル−1−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ベンジジン}を200mg、発光材料としてDPVTP{4,4’’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−タ−フェニル}を200mg、ドーピング材料としてDPAVBi{4,4’−ビス〔2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル〕ビフェニル}を200mg、結晶化阻害物質として化合物(1)(DPV−1)を200mg、電子輸送材料としてALQ{トリス(8−ヒドロキシキノリノール)}を200mg入れ、これらを蒸着用有機化合物とした。
真空チャンバー内を1×10-6toorまで減圧したのち、MTDATAの入った前記加熱ボートに通電して360℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で透明支持基板上に蒸着して60nmのMTDATA層を設けた。そして、NPDの入った前記加熱ボートに通電して260℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒でMTDATA層の上にNPDを蒸着して膜厚20nmのNPD層を設けた。さらに、DPVTP入りのボートとDPV−1入りのボートと、DPAVBi入りのボートを同時に加熱蒸発させて、混合発光層として40nm積層蒸着した。
この発光層における各成分の重量比は、DPVTP:DPV−1:DPAVBi=40:0.1:1であり、発光層中のDPV−1含有量は0.24重量%であった。
次に、これを真空槽から取出し、ステンレススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダーに固定した。次いで、アルミニウム及びリチウムから成るリチウム濃度5原子%の合金(Al−Li)母材を陰極形成用の蒸着材料として用い、蒸着時の真空度1×10-6torr、蒸着速度0.5〜1.0nm/秒の条件で蒸着し、膜厚150nmの陰極を形成した。以上のようにして得られた素子に、ITO電極を陽極、Al−Li合金電極を陰極にして、6Vの電圧を印加し、発光テストを行なったところ、青色の均一発光が得られた。初期性能は、印加電圧6Vで電流密度1.2mA/cm2 、輝度100cd/m2 、発光効率4.2ルーメン/Wであった。この素子を初期輝度100cd/m2 にて窒素気流中で定電流駆動させると、輝度が50cd/m2 になる半減時間は5000時間以上であった。この素子は、駆動中において光学顕微鏡観察にて結晶化の挙動は観測されなかった。また、この素子を封止後、60℃の耐久試験装置へセットし、任意の時間に取出して、未駆動状態あるいは駆動状態において光学顕微鏡にて観察したが、500時間の間に結晶化の挙動は全く観測されなかった。このように結晶化阻害物質を混入させることにより、結晶化を抑えることができた。
実施例2〜9及び比較例1
実施例1において、発光材料,結晶化阻害物質及びその量のいずれかを第1表に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、テストを行った。その結果を第1表に示す。
Figure 2007281501
(注)
〔C〕:ドーピング材料のDPAVBi
〔B〕含有量:〔A〕と〔B〕と〔C〕と合計量に対する重量%である。
Figure 2007281501
実施例及び比較例で使用した化合物の構造を以下に示す。
Figure 2007281501
Figure 2007281501
Figure 2007281501
実施例10
実施例1と同様にして成膜し、洗浄した透明支持基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。各抵抗加熱ボートに正孔注入材料としてMTDATAを200mg、正孔輸送材料としてNPDを200mg、発光材料としてのDPVQPと結晶化阻害物質としてのDPVDPQPとの重量比1:0.2混合物を200mg、ドーピング材料としてDPAVBiを200mg、電子輸送材料としてALQを200mgを入れ、これらを蒸着用有機化合物とした。
真空チャンバー内を1×10-6torrまで減圧したのち、MTDATAの入った前記加熱ボートに通電して360℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で透明支持基板上に蒸着して60nmのMTDATA層を設けた。そして、NPDの入った前記加熱ボートに通電して260℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒でMTDATA層の上にNPDを蒸着して膜厚20nmのNPD層を設けた。さらに、DPVQPとDPVDPQPとの混合物の入ったボートとDPAVBiの入ったボートを同時に加熱蒸発させて、混合発光層として40nm積層蒸着した。
次に、実施例1と同様にして陰極を形成した。このようにして得られた素子について、実施例1と同様にして発光テストを行ったところ、青色の均一発光が得られた。初期性能は、印加電圧6Vで電流密度1.5mA/cm2 、輝度100cd/m2 、発光効率3.5ルーメン/Wであった。この素子を初期輝度100cd/m2 にて窒素気流中で定電流駆動させると、輝度が50cd/m2 になる半減時間は5000時間以上であった。この素子は、駆動中において光学顕微鏡観察にて結晶化の挙動は観測されなかった。また、この素子を封止後、85℃の耐久試験装置へセットし、任意の時間に取出して、未駆動状態あるいは駆動状態において光学顕微鏡にて観察したが、500時間の間に結晶化の挙動は全く観測されなかった。このように結晶化阻害物質を混入させることにより、結晶化を抑えることができた。

Claims (16)

  1. 少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層が、一般式(I)
    Figure 2007281501
    (式中、X及びYは、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Arは炭素数6〜80のアリーレン基、二価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の二価の複素環式基を示す。)
    で表される化合物と結晶化阻害物質とを含み、
    前記結晶化阻害物質と共に、有機化合物層の少なくとも一層を形成する有機化合物の少なくも一つが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による分析において、全体のピーク面積に対する一般式(I)の化合物に由来する面積の割合が98%以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層が、一般式(I)
    Figure 2007281501
    (式中、X及びYは、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Arは炭素数6〜80のアリーレン基、二価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の二価の複素環式基を示す。)
    で表される化合物と結晶化阻害物質とを含み、
    一般式(I)で表される化合物のエネルギーギャップをEg1 、結晶化阻害物質のエネルギーギャップをEg2 とした場合、式
    Eg2 >Eg1 −0.1eV
    の関係を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 一般式(I)で表される化合物と結晶化阻物質とを含む有機化合物層の少なくとも一層が有機発光層である請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 有機発光層が有機分子よりなる青色発光可能な層である請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 結晶化阻害物質と共に、有機化合物層の少なくとも一層を形成する有機化合物の少なくも一つが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による分析において、全体のピーク面積に対する一般式(I)の化合物に由来する面積の割合が98%以上である請求項2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 有機化合物層の少なくとも一層が、一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質とを、重量比1:10-12 〜1:1の割合で含む請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 結晶化阻害物質が、一般式(I)で表される化合物の分子量の0.1倍〜2倍の分子量を有する有機化合物である請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 有機発光層に用いられる結晶化阻物質が発光材料よりエネルギーギャップが大きいものである請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 一般式(I)で表される化合物のエネルギーギャップをEg1 、結晶化阻害物質のエネルギーギャップをEg2 とした場合、式
    Eg2 >Eg1 −0.1eV
    の関係を満たす請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 結晶化阻害物質が、一般式(I')
    Figure 2007281501
    (式中、X’及びY’は、それぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環式基であり、それらはたがいに同一で異なっていてもよく、Ar’は炭素数6〜80のアリーレン基、二価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の二価の複素環式基を示す。)
    で表される化合物及びその部分構造化合物の中から選ばれたものである請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 結晶化阻害物質が一般式(I)で表される化合物の部分構造化合物の中から選ばれたものである請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 結晶化阻害物質が、一般式(II)
    Figure 2007281501
    (式中、X1 及びY1 はそれぞれ炭素数6〜50のアリール基又は炭素数3〜50の一価の複素環基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Ar1 は炭素数6〜80のアリール基、一価のトリフェニルアミン残基又は炭素数3〜80の一価の複素環式基を示す。)
    で表される化合物の中から選ばれたものである請求項11記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 結晶化阻害物質が、共存する他の有機化合物に対して不活性なものである請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するに当たり、請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を、それぞれ別の蒸着源から蒸着させることにより、有機化合物層の少なくとも一層を形成させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  15. 少なくとも有機発光層を有する有機化合物層を、陽極と陰極とで構成される一対の電極で挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子を製造するに当たり、請求項1又は2に記載の一般式(I)で表される化合物と結晶化阻害物質を、同一蒸着源から蒸着させることにより、有機化合物層の少なくとも一層を形成させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  16. 結晶化阻害物質と共に、有機化合物層の少なくとも一層を形成する有機化合物の少なくも一つが、ゲルパミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による分析において、全体のピーク面積に対する一般式(I)の化合物に由来する面積の割合が98%以上である請求項14又は15記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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