JP4020482B2 - 乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂ペレットなどの粉粒体を、乾燥空気などの乾燥ガスにより乾燥させる乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂ペレットなどの粉粒体を乾燥空気などの乾燥ガスにより乾燥させる乾燥装置が知られている。このような乾燥装置では、粉粒体を受け入れるホッパと、このホッパに乾燥ガスを送風するための乾燥ブロワと、ホッパに送風される乾燥ガスを加熱するための乾燥ヒータと、乾燥ホッパから排出された乾燥ガス中の湿り成分を除去するための吸着器とにより閉鎖乾燥ラインを形成しており、乾燥ヒータによって適切な温度に加熱された乾燥ガスを、乾燥ブロワによってホッパに送風して、ホッパ内の粉粒体の湿り成分を乾燥ガスに含ませることにより粉粒体を乾燥させて、次いで、ホッパから排出された乾燥ガスに含まれた湿り成分を、吸着器内で吸着除去することにより乾燥ガスを再生させ、これによって、乾燥ガスを閉鎖乾燥ラインにおいて循環して使用するようにしている。
【0003】
また、この乾燥装置は、吸着器と、吸着器に再生ガスを送風するための再生ブロワと、吸着器に送風される再生ガスを加熱するための再生ヒータとによって形成される再生ラインを備えており、再生ヒータにより適切な温度に加熱された再生ガスを、再生ブロワによって吸着器に送風して、湿り成分を吸着した吸着器の再生を行なうようにしている。すなわち、吸着器は、吸着剤が充填されているか、あるいは吸着器自体が吸着剤で成形されており、吸着器回転モータにより、回転しながら、乾燥ガスが流入して乾燥ガス中の湿り成分を吸着する吸着領域と、再生ガスが流入して吸着された湿り成分を取り除く再生領域とを順次循環して、吸着および再生が繰り返されるように構成されている。
【0004】
しかるに、このような乾燥装置においては、ホッパ内の粉粒体の量が増減すれば、それに伴って乾燥に必要とされる乾燥ガスの送風量が変化し、また、この乾燥ガスの送風量が変化すれば、乾燥ガスに伴われて吸着器に流入される湿り成分の量も変化し、さらに、吸着器に流入される湿り成分の量が変化すれば、吸着器を吸着領域および再生領域に滞在させる時間も変化する。
【0005】
このため、たとえば、特公平3−79052号公報には、ホッパ内に受け入れられる粉粒体の量の増減(言い換えれば、ホッパ内の水分量の増減)に依存して変化する、ホッパから排出された乾燥ガスの温度を検知して、この検知温度に基づいて、乾燥ブロワや吸着器回転モータのモータ回転速度を制御し、あるいは、乾燥ラインにおけるホッパーの入口側に開度調節可能な絞り用の弁を設けるなどして、乾燥ガスの送風量および吸着器の回転速度が最適となるような条件で運転を行ない、運転時のエネルギー損失を減少させるようにした乾燥装置が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、乾燥ガスの送風量と吸着器の回転とを最適条件として運転するのみでは、再生ガスは常に一定の送風量で吸着器に送風され、たとえ、吸着器を吸着領域および再生領域に最適の滞在時間となるように回転させても、再生ラインにおける運転の効率化を図ることはできない。
【0007】
一方、乾燥装置全体としての効率化を図るべく、乾燥ガスの温度および送風量、再生ガスの温度および送風量、吸着器の回転速度など、すべての運転条件を最適化しようとすると、乾燥ヒータ、乾燥ブロワ、再生ヒータ、再生ブロワおよび吸着器回転モータなどをそれぞれ制御する必要があり、装置の複雑化、大型化を招き、製造コストが増大するとともに、ランニングコストの低減もそれほど図ることはできない。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成により、乾燥装置全体としての効率を高め、ランニングコストの低減を図ることができる、乾燥装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも、粉粒体を受け入れる乾燥塔と、前記乾燥塔に乾燥ガスを送風するための乾燥側送風手段と、前記乾燥塔に送風される乾燥ガスを加熱するための乾燥側加熱手段と、前記乾燥塔から排出された乾燥ガス中の湿り成分を除去するための吸着器とが接続される乾燥ライン、少なくとも、前記吸着器と、前記吸着器に再生ガスを送風ための再生側送風手段と、前記吸着器に送風される再生ガスを加熱するための再生側加熱手段とが接続される再生ライン、および、前記乾燥塔から排出される乾燥ガスの温度を検知するための排出温度検知手段を備え、前記吸着器には、前記吸着器を、前記乾燥ラインから乾燥ガスが流入され、乾燥ガス中の湿り成分を吸着するための吸着領域と、前記再生ラインから再生ガスが流入され、吸着領域において吸着された湿り成分を除去するための再生領域とを、順次循環するように回転させるための吸着器回転手段が備えられている、乾燥装置において、少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段に運転開始のための始動契機を周期的に与える始動契機入力手段と、前記始動契機入力手段により与えられる始動契機によって運転が開始された、少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、停止させるための温度停止手段とを備え、前記温度停止手段は、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、まず、前記乾燥側加熱手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を停止させ、次いで、所定の時間が経過したときに、前記乾燥側送風手段および前記再生側送風手段の運転を停止させるための第1ディレイ制御手段を備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、始動契機入力手段により、乾燥側送風手段、乾燥側加熱手段、再生側送風手段、再生側加熱手段、および吸着器回転手段の各手段に、運転開始のための始動契機が周期的に与えられ、また、周期的に運転が開始された各手段は、停止手段により停止させることができる。そのため、乾燥塔内の粉粒体が十分に乾燥し得る状態となる条件を停止手段が作動する条件としておけば、その条件の到来とともに各手段の運転は停止されるので、各手段はそれ以上の、粉粒体の乾燥が過剰に行なわれるような運転を行なわなくてすみ、無駄な運転をなくすことができる。一方で、各手段には、始動契機入力手段により運転開始のための始動契機が周期的に与えられるので、この周期を適切に選択しておけば、乾燥塔内の粉粒体が良好に乾燥しない状態となる前に周期的に各手段の運転が開始されるので、乾燥塔内の粉粒体を常に適切に乾燥させることができる。
【0012】
また、このような構成によれば、排出温度検知手段によって検知される所定の乾燥状態を、乾燥塔内の粉粒体が過剰に乾燥されないような上限の乾燥状態として設定しておけば、その乾燥状態が排出温度検知手段によって検知されたときには、温度停止手段によって、乾燥側送風手段、乾燥側加熱手段、再生側送風手段、再生側加熱手段、および吸着器回転手段の各手段の運転が停止される。
【0013】
また、乾燥塔から排出される乾燥ガスの温度は、乾燥塔内の水分量に依存するので、乾燥塔内の水分量が多い状態、つまり、乾燥塔内の粉粒体が十分に乾燥していない状態では排出される乾燥ガスの温度が低く、また、乾燥塔内の水分量が少ない状態、つまり、乾燥塔内の粉粒体が十分に乾燥している状態では排出される乾燥ガスの温度が高くなる。そのため、この排出温度検知手段を使用すれば、たとえば、乾燥塔内における水分を測定せずとも、実際の乾燥状態に応じた適切な停止を行なえる。
さらに、乾燥側加熱手段および再生側加熱手段には、停止した後も所定の時間の間、乾燥ガスおよび再生ガスが送風されるので、乾燥側加熱手段および再生側加熱手段の損傷を防止することができる。
また、請求項2に記載の発明は、少なくとも、粉粒体を受け入れる乾燥塔と、前記乾燥塔に乾燥ガスを送風するための乾燥側送風手段と、前記乾燥塔に送風される乾燥ガスを加熱するための乾燥側加熱手段と、前記乾燥塔から排出された乾燥ガス中の湿り成分を除去するための吸着器とが接続される乾燥ライン、少なくとも、前記吸着器と、前記吸着器に再生ガスを送風ための再生側送風手段と、前記吸着器に送風される再生ガスを加熱するための再生側加熱手段とが接続される再生ライン、および、前記乾燥塔から排出される乾燥ガスの温度を検知するための排出温度検知手段を備え、前記吸着器には、前記吸着器を、前記乾燥ラインから乾燥ガスが流入され、乾燥ガス中の湿り成分を吸着するための吸着領域と、前記再生ラインから再生ガスが流入され、吸着領域において吸着された湿り成分を除去するための再生領域とを、順次循環するように回転させるための吸着器回転手段が備えられている、乾燥装置において、少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段に運転開始のための始動契機を周期的に与える始動契機入力手段と、前記始動契機入力手段により与えられる始動契機によって運転が開始された、少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、停止させるための温度停止手段とを備え、前記温度停止手段は、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、まず、前記乾燥側送風手段および前記乾燥側加熱手段の運転を停止させ、次いで、所定の時間が経過したときに、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を停止させるための第2ディレイ制御手段を備えていることを特徴としている。
このような構成によると、乾燥ラインの各要素を先に停止し、次いで再生ラインの各要素を停止できるので、乾燥ライン送風が停止した状態において吸着器の再生を十分に行なうことができ、より効率的な運転を行なうことができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、乾燥装置の運転が開始されてから、前記排出温度検知手段によって所定の温度が最初に検知されるまでは、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段が連続して運転され、前記排出温度検知手段によって所定の温度が最初に検知されたときに、前記始動契機入力手段および前記温度停止手段が作動することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の乾燥装置の一実施形態を示す概略説明図である。図1において、この乾燥装置は、乾燥ガスの流れ方向において、乾燥ガスを送風するための乾燥側送風手段としての乾燥ブロワ2と、この乾燥ブロワ2の下流側に、順次、乾燥ガス中の湿り成分(主には水分であるため、以下水分として述べる。)を除去する吸着器3と、乾燥ガスを加熱するための乾燥側加熱手段としての乾燥ヒータ4と、粉粒体を受け入れる乾燥塔としての乾燥ホッパ1と、乾燥ガスに混入した粉塵を取り除くための乾燥フィルタ5と、乾燥ガスを冷却するためのクーラ6とが配設され、これらを連結管からなる各ライン7、8、9、10、11、12で接続することによって、閉鎖乾燥ラインを形成している。この閉鎖乾燥ラインには、空気などの乾燥ガスが流される。
【0017】
そして、この閉鎖乾燥ラインにおいて、乾燥ホッパ1内に受け入れられた樹脂ペレットなどの粉粒体中の水分は、次のように取り除かれる。
すなわち、ライン7を通過した乾燥ガスは、乾燥ヒータ4によって、粉粒体を乾燥するに適した温度まで加熱され、ライン8を介して乾燥ホッパ1内に流入する。ライン8の先端は乾燥ホッパ1内の下部で漏斗状に開口しており、ホッパ1内の下部において流出した乾燥ガスは、供給口13aから供給され乾燥ホッパ1内を降下する粉粒体と接触しながら上昇し、粉粒体を脱湿および乾燥しながら、つまり乾燥ガス自らは冷却されて水分を吸収または同伴しながら、乾燥ホッパ1の上部からライン9へ排出される。
【0018】
なお、供給口13aから供給された粉粒体は、乾燥ホッパ1の底部に設けられた排出口13bから排出されて、図には示していないが、成形機などに送られる。
ライン9に流入した、水分を含んだ乾燥ガスは、乾燥フィルタ5に流入して粉塵などが除去された後に、ライン10を介してクーラ6に流入し、吸着器3での水分の除去を容易にするために冷却される。そして、ライン11を介して乾燥ブロワ2に送られ、この乾燥ブロワ2によって、ライン12を介して吸着器3へと送風される。次いで、吸着器3内において乾燥ガス中の水分が除去されて、再びライン7へ送られる。このようにして、乾燥ガスは閉鎖乾燥ラインにおいて循環して使用される。
【0019】
また、この乾燥装置は、水分を吸着した吸着器3を再生して使用するための再生ラインを備えており、この再生ラインは、再生ガスの流れ方向において、吸着器3に再生ガスを送風するための再生側送風手段としての再生ブロワ17と、この再生ブロワ17の下流側に、順次、再生ガスを加熱するための再生側加熱手段としての再生ヒータ18と、吸着器3とが配設され、これらを連結管からなる各ライン19、20、21で接続することによって再生ラインを形成している。
【0020】
そして、空気などを再生ガスとして用い、再生ブロワ17によって送風された再生ガスを、再生ヒータ17によって吸着器3を再生するのに適した温度まで加熱した後に、吸着器3に供給するようにしている。なお、再生ブロワ17の上流側には、再生フィルタ38が接続されており、再生ブロワ17が外気を取り込むときの粉塵の除去を行なっている。また、ライン21の遊端側は、大気に開放されており、吸着器3から排出された再生ガスを大気に放出できるようにしている。
【0021】
吸着器3は、略円柱形状をなし、図には示していないが、乾燥ガスの流れ方向に沿って、ごばん目状の貫通孔が複数形成されたハニカム状のセラミック体から構成されている。このセラミック体は、水分を吸着し得るゼオライトなどを含有する組成から構成されている。この吸着器3は、乾燥ガス中の水分を吸着するための吸着領域22と、吸着領域22において吸着された水分を除去するための再生領域23と、再生領域23で再生された後に冷却するための冷却領域24との3つに区画された領域を順次通過するように回転される。なお、吸着器3は、ハニカム状のセラミック体の他、筒状の容器に公知の吸着剤を充填してもよく、また、複数のポット状の吸着器3を用意して、これらを吸着領域22、再生領域23および冷却領域24において順次循環させるように構成してもよい。
【0022】
吸着領域22においては、吸着器3の下方側には、乾燥ブロワ2から延びるライン12が接続されるとともに、その上方側には、乾燥ヒータ4へ延びるライン7が、それぞれ接続されている。また、再生領域23においては、吸着器3の上方側には、再生ヒータ18から延びるライン20が接続されるとともに、その下方側には、遊端側が大気に開放されているライン21がそれぞれ接続されている。また、冷却領域24においては、吸着器3の下方側には、乾燥ブロワ2から延びるライン12から分岐したライン25が接続されるとともに、その上方側には、乾燥ホッパ1と乾燥フィルタ5とを接続するライン9に合流するライン26がそれぞれ接続されている。さらに、吸着器3の下方には、この吸着器3を回転させるための吸着器回転手段としての回転モータ15が配設されており、この回転モータ15は、駆動軸14を介して吸着器3に接続されている。そして、回転モータ15の駆動によって、吸着器3は、駆動軸14を中心として、矢印16の方向に回転して、吸着領域22、再生領域23および冷却領域24を順次循環するように構成されている。
【0023】
そして、吸着領域22に位置した吸着器3の部分には、閉鎖乾燥ライン中を流れる乾燥ガスがライン12から流入され、吸着領域22に位置した吸着器3の部分が、この乾燥ガス中の水分を吸着する。吸着領域22に位置した吸着器3の部分は、水分の吸着の増加とともに吸着能力が低下していくが、吸着領域22に所定時間滞在した後には、回転モータ15の駆動により再生領域23に移動される。再生領域23に位置した吸着器3の部分には、再生ガスがライン20から流入され、この再生ガスによって、吸着領域22で吸着された水分が除去される。これによって、水分を含んだ吸着器3は再生される。また、再生領域23に位置した吸着器3の部分は、再生ガスの通過によって加熱されるが、加熱された高い温度のまま吸着領域22に移動させても、良好な吸着性能を発揮することができないため、次に冷却領域23に移動される。冷却領域24に位置した吸着器3の部分には、クーラ6で冷却された乾燥ガスがライン25から流入される。この乾燥ガスは、吸着器3内を冷却しながら通過しライン26へと送られる。これによって、冷却領域24に位置した吸着器3の部分は、乾燥ガスを吸着するのに好適な温度に冷却される。なお、ライン12から分岐されたライン25の送風量は、ライン12の送風量より少なく設定されており、しかも、冷却領域24に位置する吸着器3の部分の温度は非常に高いため、乾燥ガス中の水分を実質的に吸着することはない。このようにして、吸着器3は、吸着、再生、冷却を順次繰り返すことにより、乾燥ガス中の水分を効率的に除去している。
【0024】
また、乾燥ホッパ1における乾燥ガスの排出側に接続されるライン9には、乾燥ホッパ1から排出される乾燥ガスの温度を検知するための排出温度検知手段としての排出温度センサ31が設けられている。乾燥ホッパ1から排出される乾燥ガスの温度は、乾燥ホッパ1の水分量に依存するので、乾燥ホッパ1内の水分量が多い状態、つまり、乾燥ホッパ1内の粉粒体が十分に乾燥していない状態では排出される乾燥ガスの温度が低く、また、乾燥ホッパ1内の水分量が少ない状態、つまり、乾燥ホッパ1内の粉粒体が十分に乾燥している状態では、排出される乾燥ガスの温度が高くなる。そのため、この排出温度センサ31でホッパ1内の乾燥状態を検知でき、排出温度センサ31によって検知される所定の温度(後述する停止温度)を、所定の乾燥状態として設定することができる。このように、排出温度センサ31をホッパ1内の乾燥状態を検知すれば、たとえば、乾燥塔内における水分を測定せずとも、簡易な構成により、実際の乾燥状態に応じた適切な検知を行なうことができる。
【0025】
なお、乾燥ヒータ4と再生ヒータ18とは、ともにヒータ温度センサ27および28を備えて、このヒータ温度センサ27および28によって加熱温度を検知し、送風される乾燥ガスおよび再生ガスを適切な温度となるように制御している。また、乾燥ヒータ4と再生ヒータ18とは、加熱防止センサ29および30を備えており、過度の加熱を防止している。また、乾燥ガスおよび加熱ガスは、特にその種類を問わず、たとえば、窒素ガスなどを使用してもよい。さらに、乾燥ラインおよび再生ラインには、他の要素が接続されていてもよく、また、乾燥ブロワ2や再生ブロワ17などは、乾燥装置の能力に応じて複数個接続されていてもよい。
【0026】
図2には、この乾燥装置の主な送風駆動機構をブロック図として現している。図2において、乾燥ブロワ2、乾燥ヒータ4、再生ブロワ17、再生ヒータ18、回転モータ15(以下、これらをまとめて総称するときには、送風駆動機構32と称する。)、排出温度センサ31、ROM33およびRAM34の各部は、CPU35に接続されている。CPU35は、ROM33およびRAM34に格納されたプログラムなどに基づき送風駆動機構32の運転を制御する。
【0027】
ROM33内には、送風駆動機構32の運転に通常必要なプログラムの他、始動契機入力手段としての始動契機入力プログラム、停止プログラム、および、始動契機入力プログラムおよび停止プログラムを実行して乾燥装置を運転する運転プログラムなどが格納されている。RAM34は、これらプログラムを実行するときなどの一時記憶メモリとして使用される。
【0028】
始動契機入力プログラムでは、所定の制御周期Tが設定され、その設定された制御周期Tごとに、運転開始のための、始動契機としてのトリガ信号を送風駆動機構32に与える。一方、停止プログラムでは、始動契機入力プログラムのトリガ信号によって運転が開始された送風駆動機構32を、停止させる。これによって、送風駆動機構32を全体として運転し、または停止させることができる。また、この停止プログラムは、所定の停止温度を設定しておき、排出温度センサ31によってこの停止温度が検知されたときに、送風駆動機構32の運転を停止させる温度停止手段としての温度停止モードを備えている。
【0029】
図3は、送風駆動機構32の運転および停止、乾燥ホッパ1内の水分量、および排出温度センサ31の検知温度の各関係を相互に現したタイミング図である。次に、図3を参照して、始動契機入力プログラムおよび停止プログラムを実行させて、乾燥装置を運転する一例を説明する。なお、この運転は、ROM33内の運転プログラムによって実行される。
【0030】
まず、この乾燥装置の立ち上げ運転時、つまり、乾燥装置の運転の開始から粉粒体を定常的に乾燥し得る定常運転となるまでの間においては、連続運転が行なわれる。この連続運転によって、図3に示すように、水分量は良好に減少し続け、乾燥状態とされる乾燥水分目標値に達する。また、この立ち上げ運転時において、乾燥ホッパ1内の水分が多いときには、排出温度センサ31の検知温度は、ほぼ一定した低い温度が検知される状態がしばらく続き、乾燥ホッパ1内の水分がなくなり始めた時点pから上昇し始め、定常的に乾燥し得る状態となる停止温度に達する。なお、仮想線は、定常運転をも連続運転として運転した場合の排出温度センサ31の検知温度を示している。
【0031】
次いで、排出温度センサ31が停止温度を検知したときから、始動契機入力プログラムおよび停止プログラムの温度停止モードが作動して、送風駆動機構32は、排出温度センサ31が停止温度を検知する毎に停止する一方で、始動契機入力プログラムのトリガ信号が送風駆動機構32に周期的に与えられる。そのため、周期Tを適切に選択しておけば、乾燥ホッパ1内の粉粒体の乾燥が不十分となることなく送風駆動機構32の運転が行なわれるので、乾燥ホッパ1内の粉粒体を常に適切に乾燥させることができる。
【0032】
すなわち、図3に示すように、立ち上げ運転時から定常的に乾燥し得る状態となる定常運転時に達したときには、それ以上の過剰の乾燥が行なわれるような運転を防止するため、乾燥ホッパ1内の粉粒体が十分に乾燥する温度、言い換えると、乾燥ホッパ1内の粉粒体が過剰に乾燥されないような上限の温度を停止温度として設定しておき、排出温度センサ31が停止温度を検知する毎に送風駆動機構32を停止して、実際の乾燥状態に応じたより適切な運転を行なうようにする。この停止温度は、乾燥する粉粒体の種類および目的によって異なるが、たとえば、汎用の樹脂ペレットでは、室温〜150℃の間で適宜設定すればよい。これによって、乾燥装置全体としての効率をより高めることができ、適切な乾燥を行なえながらも、よりランニングコストを低減することができる。
【0033】
一方、周期Tは、粉粒体の乾燥に過不足のない時間として設定される。この周期Tは、乾燥装置の容量や能力、あるいは、乾燥する粉粒体の種類によって異なり、経験的に見い出されるものであるが、たとえば、汎用の樹脂ペレットでは、5〜30分の間で適宜設定すればよい。当該周期Tがあまりに長いと、停止温度が検知され送風駆動機構32が停止した後、いつまでもトリガ信号が与えられず、粉粒体の乾燥が不十分となる場合があり、一方、周期Tがあまりに短いと、停止温度が検知される前に送風駆動機構32にトリガ信号が与えられたり、あるいは、停止温度が検知され送風駆動機構32が停止した直後にトリガ信号が与えられ、送風駆動機構32の停止する間隔が短く、過剰乾燥を招くとともに、ランニングコストの低減を図ることができない場合がある。
【0034】
このような運転によって、定常運転時において、乾燥ホッパ1内の粉粒体を適切に乾燥し得る条件下において、送風駆動機構32の運転が開始および停止され、乾燥装置全体としての効率が高められる。したがって、乾燥ホッパ1内の粉粒体を良好に乾燥できながらも、送風駆動機構32の停止によってランニングコストの低減を大幅に図ることができる。
【0035】
なお、定常運転時において、乾燥ホッパ1内の水分が急激に増えた場合には、排出温度センサ31は、停止温度よりもかなり低い温度を検知するので、その間は、送風駆動機構32が複数の周期Tにわたって連続運転される。一方、粉粒体が乾燥ホッパ1から排出されず、乾燥ホッパ1内で待機している状態では、乾燥状態は実質的に保持されるので、送風駆動機構32は、図3に示すように、その乾燥状態を維持するためにわずかに運転されるだけで、ほとんど運転されることがない。そのため、この待機状態では、ランニングコストの低減が著しく図られる。
【0036】
また、停止プログラムによる送風駆動機構32の停止では、ディレイ制御手段(第1ディレイ制御手段や第2ディレイ制御手段)としてのディレイ制御プログラムを内蔵して、送風駆動機構32の各要素を段階的に停止させるように制御する。より具体的には、第1ディレイ制御手段では、停止プログラムによる停止信号が出力されると、まず最初に、乾燥ヒータ4、再生ヒータ18および回転モータ15を停止させ、それから所定の時間が経過した後に、乾燥ブロワ2および再生ブロワ17を停止するように制御する。これによって、乾燥ヒータ4および再生ヒータ18には、停止した後も所定の時間の間、乾燥ガスおよび再生ガスが送風されるので、乾燥ヒータ4および再生ヒータ18の損傷を防止することができる。
【0037】
また、このようなディレイ制御プログラム(第2ディレイ制御手段)によって、閉鎖乾燥ラインの各要素と再生ラインの各要素とを段階的に停止させてもよい。すなわち、第2ディレイ制御手段では、停止プログラムによる停止信号が出力されたときには、まず最初に、閉鎖乾燥ラインの各要素、すなわち、乾燥ブロワ2および乾燥ヒータ4を停止させ、次いで、所定の時間が経過した後に、再生ラインの各要素、すなわち、再生ブロワ17、再生ヒータ18および回転モータ15を停止するようにしてもよい。このように、閉鎖乾燥ラインの各要素を先に停止し、次いで再生ラインの各要素を停止するようにすれば、閉鎖乾燥ラインの送風が停止した状態において吸着器3の再生を十分に行なうことができ、より効率的な運転を行なうことができる。
【0038】
また、吸着器3の再生が進むにつれて、吸着器3から排出される再生ガスの温度が高くなることに着目して、図1には示していないが、吸着器3の排出側に接続されるライン21に温度センサを設けて、この温度センサによって吸着器3の再生が完了する所定の温度を検知することによって、再生ラインの各要素を停止するようにしてもよい。この場合には、所定の温度が検知されなければ再生ラインの運転が続くので、条件によっては、閉鎖乾燥ラインの各要素のみが運転の開始および停止を繰り返す一方で、再生ラインは連続運転をし続ける状態となることもある。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1および2に記載の発明によれば、乾燥側送風手段、乾燥側加熱手段、再生側送風手段、再生側加熱手段、および吸着筒回転手段の各手段は、乾燥塔内の粉粒体を適切に乾燥し得る条件下において、運転を開始および停止でき、乾燥装置全体としての効率を高めることができる。したがって、乾燥塔内の粉粒体を良好に乾燥できながらも、乾燥装置全体の停止によってランニングコストの低減を大幅に図ることができる。
【0044】
また、排出温度検知手段によって検知される所定の乾燥状態を、乾燥塔内の粉粒体が過剰に乾燥されないような上限の乾燥状態として設定しておけば、その乾燥状態が排出温度検知手段によって検知されたときには、温度停止手段によって、乾燥側送風手段、乾燥側加熱手段、再生側送風手段、再生側加熱手段、および吸着器回転手段の各手段の運転が停止される。そのため、実際の乾燥状態に応じてより適切に各手段を停止させることができ、乾燥装置全体としての効率をより高めることができる。したがって、より適切な乾燥を行なえながらも、ランニングコストをさらに低減することができる。
【0045】
また、排出温度検知手段を使用するので、簡易な構成により、実際の乾燥状態に応じた適切な停止を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾燥装置の一実施形態を示す概略説明図である。
【図2】図1に示す乾燥装置の主な送風駆動機構を示すブロック図である。
【図3】送風駆動機構の運転開始および停止、乾燥ホッパ内の水分量、および排出温度センサの検知温度の各関係を相互に現したタイミング図である。
【符号の説明】
1 乾燥ホッパー
2 乾燥ブロワ
3 吸着器
15 吸着器回転モータ
17 再生ブロワ
22 吸着領域
23 再生領域
4 乾燥ヒータ
18 再生ヒータ
33 ROM
34 RAM
35 CPU
31 排出温度センサ
Claims (3)
- 少なくとも、粉粒体を受け入れる乾燥塔と、前記乾燥塔に乾燥ガスを送風するための乾燥側送風手段と、前記乾燥塔に送風される乾燥ガスを加熱するための乾燥側加熱手段と、前記乾燥塔から排出された乾燥ガス中の湿り成分を除去するための吸着器とが接続される乾燥ライン、
少なくとも、前記吸着器と、前記吸着器に再生ガスを送風ための再生側送風手段と、前記吸着器に送風される再生ガスを加熱するための再生側加熱手段とが接続される再生ライン、および、
前記乾燥塔から排出される乾燥ガスの温度を検知するための排出温度検知手段を備え、
前記吸着器には、前記吸着器を、前記乾燥ラインから乾燥ガスが流入され、乾燥ガス中の湿り成分を吸着するための吸着領域と、前記再生ラインから再生ガスが流入され、吸着領域において吸着された湿り成分を除去するための再生領域とを、順次循環するように回転させるための吸着器回転手段が備えられている、乾燥装置において、
少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段に運転開始のための始動契機を周期的に与える始動契機入力手段と、
前記始動契機入力手段により与えられる始動契機によって運転が開始された、少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、停止させるための温度停止手段とを備え、
前記温度停止手段は、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、
まず、前記乾燥側加熱手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を停止させ、
次いで、所定の時間が経過したときに、前記乾燥側送風手段および前記再生側送風手段の運転を停止させるための第1ディレイ制御手段を備えていることを特徴とする、乾燥装置。 - 少なくとも、粉粒体を受け入れる乾燥塔と、前記乾燥塔に乾燥ガスを送風するための乾燥側送風手段と、前記乾燥塔に送風される乾燥ガスを加熱するための乾燥側加熱手段と、前記乾燥塔から排出された乾燥ガス中の湿り成分を除去するための吸着器とが接続される乾燥ライン、
少なくとも、前記吸着器と、前記吸着器に再生ガスを送風ための再生側送風手段と、前記吸着器に送風される再生ガスを加熱するための再生側加熱手段とが接続される再生ライン、および、
前記乾燥塔から排出される乾燥ガスの温度を検知するための排出温度検知手段を備え、
前記吸着器には、前記吸着器を、前記乾燥ラインから乾燥ガスが流入され、乾燥ガス中の湿り成分を吸着するための吸着領域と、前記再生ラインから再生ガスが流入され、吸着領域において吸着された湿り成分を除去するための再生領域とを、順次循環するように回転させるための吸着器回転手段が備えられている、乾燥装置において、
少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段に運転開始のための始動契機を周期的に与える始動契機入力手段と、
前記始動契機入力手段により与えられる始動契機によって運転が開始された、少なくとも、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、停止させるための温度停止手段とを備え、
前記温度停止手段は、前記排出温度検知手段によって所定の停止温度が検知されたときに、
まず、前記乾燥側送風手段および前記乾燥側加熱手段の運転を停止させ、
次いで、所定の時間が経過したときに、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段の運転を停止させるための第2ディレイ制御手段を備えていることを特徴とする、乾燥装置。 - 乾燥装置の運転が開始されてから、前記排出温度検知手段によって所定の温度が最初に検知されるまでは、前記乾燥側送風手段、前記乾燥側加熱手段、前記再生側送風手段、前記再生側加熱手段および前記吸着器回転手段が連続して運転され、
前記排出温度検知手段によって所定の温度が最初に検知されたときに、前記始動契機入力手段および前記温度停止手段が作動することを特徴とする、請求項1または2に記載の乾燥装置。
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