JP4020471B2 - 回転カップ式塗布装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶パネル用のガラス基板等のように矩形状をした被処理物表面に対して、現像液を塗布したり、被膜形成用液を塗布する際に使用する回転カップ式塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗布雰囲気に乱流を起こさない装置として特開平3−293055号公報に回転カップ式の処理装置が提案されている。
この処理装置は固定されたアウターカップ内にインナーカップを配置し、上記インナーカップの中心部には被処理基板の下面を吸着保持するチャックを設け、このチャック上に被処理物をセットし、被処理物表面に現像液や塗布液を滴下し、この後インナーカップの上面開口を蓋体で閉塞した状態で、インナーカップを回転せしめることで、遠心力でインナーカップ内を減圧し塗布液中に溶存している気体を除去するとともに遠心力で塗布液を被処理物表面に均一に拡散するようにしたものである。
【0003】
上記のインナーカップは高さの低い有底円筒状をなし、特にガラス基板のような矩形状をなす被処理基板に塗布するために、インナーカップ上面に矩形枠を設けるか或いは矩形状凹部を設け、この矩形枠内或いは矩形状凹部内にガラス基板をセットし、出来るだけ乱れが生じない雰囲気中で塗布処理が行えるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来にあってはインナーカップの外形形状を変えることなく内側に矩形枠を設ける等の手段によって、矩形状をなす被処理基板に対処している。
しかしながら、インナーカップのうち矩形枠よりも外側の部分については、矩形状被処理基板に塗布する場合には、余分な部分であり、この部分だけ重量が嵩んでしまう。
特に最近では、液晶基板の寸法が大きくなる傾向にあり、液晶基板の寸法が大きくなっても所定枚数の液晶基板を1枚のガラス基板から得るには、ガラス基板自体の寸法(一辺)が1mを超えるものとなり、このような大寸法のガラス基板に合わせて従来のインナーカップを製造すると、大重量のインナーカップとなってしまい、インナーカップの回転速度を所定値まで上げるための時間(立上がり時間)が長くなってしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本願の請求項1に記載の発明は、アウターカップ内に回転可能なインナーカップを配置し、これらアウターカップ及びインナーカップの上面開口を別々の蓋体で閉塞するとともに、インナーカップ用蓋体はインナーカップと一体的に回転するように支持した回転カップ式塗布装置において、前記インナーカップ及びインナーカップ用蓋体は外形形状を被処理基板の形状と略相似の非円形状とした。
インナーカップを被処理基板の形状に合せて矩形状とすることにより、インナーカップの軽量化を図ることができ、結果として立上がり時間が短縮される。
【0006】
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記インナーカップをインナーカップ用蓋体で閉塞した状態で、インナーカップ用蓋体の上方には隙間を介して上部整流板が配置され、インナーカップの下方には隙間を介して下部整流板が配置された構成とした。
インナーカップの外形形状を被処理基板に合せた矩形状等にすることで、インナーカップ外側とアウターカップ内側の空間では、雰囲気が乱れることが予想されるが、インナーカップを上下の整流板間に位置せしめることで、その影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0007】
また、前記インナーカップの構造としては、内側縁部に廃液回収路を設けた構造、或いはインナーカップの各隅部に一段深くなった廃液回収部を設けた構造とすることで、廃液の回収を効率よく行うようにすることが可能である。
【0008】
また、インナーカップの裏面にその直径がインナーカップの短辺の長さよりも若干短い円形状のリブを設け、この円形状のリブを境にして内側領域には第1の放射状リブを設け、また円形状のリブを境にして外側領域には第1の放射状リブとそのピッチを異にする第2の放射状リブを設けることで、必要な強度を維持しつつインナーカップの軽量化を達成することができる。
【0009】
更に、アウターカップ及びインナーカップの上面開口を閉塞する蓋体については、進退動可能且つ昇降動可能なフレームに支持することで、メンテナンス性が向上し、特にフレームを門型にすれば、大重量の蓋体であっても充分に支持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る回転カップ式塗布装置の正面図、図2は同回転カップ式塗布装置の側面図、図3はアウターカップ用蓋体が上昇した状態を示す側面図である。
【0011】
回転カップ式塗布装置はベース1上にアウターカップ2が取り付けられ、このアウターカップ2の上面開口がアウターカップ用蓋体3にて閉塞される構造になっている。
【0012】
アウターカップ用蓋体3は門型フレーム4に支持され、この門型フレーム4は以下に述べる機構により昇降動及び前後動を行う。
即ち、ベース1の左右の側面には前後方向にガイドレール5が設けられ、このガイドレール5にスライド部材6及び中空支柱7が移動可能に係合している。
【0013】
スライド部材6には第1アーム8が基端部を中心として回動自在に支持され、この第1アーム8の先端に2本の第2アーム9,10が回動自在に取り付けられ、一方の第2アーム9の先端は前記門型フレーム4に連結し、他方の第2アーム10の先端は前記中空支柱7に連結している。
【0014】
また、前記ガイドレール5と平行にベルト11が配置され、このベルト11に前記スライド部材6を決着し、プーリ13を介してモータ12の駆動力でベルト11を走行せしめることで、スライド部材6がガイドレール5に沿って往復動する。
【0015】
一方、中空支柱7内には上下方向のガイドレール14が設けられ、このガイドレール14に前記門型フレーム4が上下動可能に係合し、更に中空支柱7内にはシリンダユニット15が上下方向に配置され、このシリンダユニット15のロッド16が前記門型フレーム4に結着せしめられている。
【0016】
而して、中空支柱7を固定した状態で、モータ12を駆動し、図2において、スライド部材6を右方向に移動せしめると、第1アーム8が上方に回動し、第2アーム9,10が徐々に広がり、最終的には図3に示す位置まで、門型フレーム4が上昇して停止する。この状態でアウターカップ2からアウターカップ用蓋体3は上方に離れている。
【0017】
そして、スライド部材6が中空支柱7に当たるまで移動した後、スライド部材6に中空支柱7を係合せしめてから中空支柱7のロック状態を解除する。この状態で、スライド部材6を図3において左方向に移動せしめることで、図の想像線で示す位置までアウターカップ用蓋体3が移動し、アウターカップ2上面が開放される。そこで、必要なメンテナンス等を行う。
【0018】
ここで、シリンダユニット15も門型フレーム4を昇降動せしめるが、本実施例にあってはモータ12の駆動力が主で、シリンダユニット15の駆動力は補助的なものである。
【0019】
次に、アウターカップ及びインナーカップの縦断面図である図4及びインナーカップの平面図である図5に基づいてアウターカップ及びインナーカップ内の構造について説明する。
アウターカップ2の底面中央部にはベアリング20を介して中空回転軸21が支持され、中空回転軸21内には真空ポンプにつながる吸引パイプ22が挿通され、また中空回転軸21の上端にはインナーカップ23が固着されている。
【0020】
インナーカップ23の外形形状は矩形状をなし中央部には吸着用の吸引穴23bが多数形成され、またインナーカップ23の内側周縁部には廃液回収路24が形成され、更に廃液回収路24の一部をなす四隅には周りから1段低くなった廃液回収部25が形成され、塗布終了後に蓋を開け、廃液回収部25に吸引パイプを上方から差込んで廃液の回収を行うようにしている。
またインナーカップ23は全体の重量を軽量化するため、その肉厚を薄くするとともにリブにて補強している。
【0021】
即ち、図5に示すように、インナーカップ23の裏面にはその直径がインナーカップの短辺の長さよりも若干短い円形状のリブ23aが設けられ、この円形状のリブを境にして内側領域には第1の放射状リブ23a-1が設けられ、また円形状のリブ23aを境にして外側領域には第1の放射状リブ23a-1とそのピッチを異にする第2の放射状リブ23a-2が設けられている。
このように、第1の放射状リブ23a-1と第2の放射状リブ23a-2のピッチを異ならせることで、必要な強度を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0022】
また、アウターカップ2の底面でベアリング20よりも外側にはセンサ26を設け、このセンサ26にて中空回転軸21に取り付けたプレート27を検知することで、インナーカップ23が所定の位置で停止したか否かを判断するようにし、アウターカップ2の底面の周縁部には排気管28を接続し、更にアウターカップ2の底面から若干上方位置には下部整流板29をインナーカップ23下面との間に隙間を開けて配置している。
【0023】
一方、前記門型フレーム4には中空ブロック30が取り付けられ、この中空ブロック30に前記アウターカップ用蓋体3が取り付けられ、またアウターカップ用蓋体3よりも下方位置にて、中空ブロック30にインナーカップ用蓋体31を取り付けている。
【0024】
インナーカップ用蓋体31は中空ブロック30に対し所定長さだけ上下方向に移動可能に支持されている。このような構造とすることで、門型フレーム4を下降させ、インナーカップ用蓋体31でインナーカップ23の上面開口を閉塞し、この後若干アウターカップ用蓋体3が下降してアウターカップ2の上面開口を閉塞することが可能になる。
【0025】
また、中空ブロック30の下端には、上部整流板32を取り付け、前記下部整流板29と上部整流板32との間にインナーカップ23が位置するようにしている。
【0026】
而して、図4に示すようにインナーカップ23内にガラス基板Wをセットし、アウターカップ2及びインナーカップ23を夫々の蓋体3,31で閉塞し、インナーカップ23を回転せしめて、ガラス基板Wの表面に滴下した液体を均一に塗布するのであるが、このとき非円形状のインナーカップ23は下部整流板29と上部整流板32との間の限られた空間内で回転するため、乱流の発生が抑制される。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、回転カップ式塗布装置のインナーカップの外形形状を被処理基板の形状に相似形の非円形状としたので、インナーカップの軽量化を図ることができ、結果として立上がり時間が短縮される。
【0028】
また、インナーカップの内側周縁部の各隅部に、一段深くなった廃液回収部を形成することで、上記の効果に加え、回転によって廃液が隅部に集中するので回収が効率よく行える。
【0029】
また、本願の請求項2に記載の発明は、前記インナーカップをインナーカップ用蓋体で閉塞した状態で、インナーカップ用蓋体の上方には隙間を介して上部整流板が配置され、インナーカップの下方とアウターカップ底面との隙間には下部整流板が配置された構成、即ち、インナーカップを上下の整流板間に位置せしめる構成とした。
このような構成とすることで、インナーカップの外形形状を非円形状とした不利を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転カップ式塗布装置の正面図
【図2】同回転カップ式塗布装置の側面図
【図3】アウターカップ用蓋体が上昇した状態を示す側面図
【図4】アウターカップ及びインナーカップの縦断面図
【図5】インナーカップの平面図
【符号の説明】
1…ベース、2…アウターカップ、3…アウターカップ用蓋体、4…門型フレーム、5,14…ガイドレール、6…スライド部材、7…中空支柱、8…第1アーム、9,10…第2アーム、11…ベルト、15…シリンダユニット、20…ベアリング、21…中空回転軸、23…インナーカップ、23a…リブ、24…廃液回収路、25…廃液回収部、29…下部整流板、30…中空ブロック、31…インナーカップ用蓋体、32…上部整流板。
Claims (1)
- アウターカップ内に回転可能なインナーカップを配置し、これらアウターカップ及びインナーカップの上面開口を別々の蓋体で閉塞するとともに、インナーカップ用蓋体はインナーカップと一体的に回転するように支持した回転カップ式塗布装置において、前記アウターカップはベースに取り付けられ、このベースの左右の側面には前後方向のレールが設けられ、このレールにはスライド部材が移動可能に取り付けられ、また前記レールには前記スライド部材に係合するまでは前記レールに対してロックされ前記スライド部材に係合することでスライド部材とともに移動する支柱が取り付けられ、この支柱には門型フレームが昇降自在に取り付けられ、この門型フレームに前記アウターカップ用蓋体が支持され、さらに前記スライド部材には第1アームの基端部が回動自在に取り付けられ、この第1アームの先端部に2本の第2アームの基端部が回動自在に取り付けられ、一方の第2アームの先端部は前記門型フレームに連結し、他方の第2アームの先端部は前記支柱に連結していることを特徴とする回転カップ式塗布装置。
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- 1997-10-30 JP JP29828697A patent/JP4020471B2/ja not_active Expired - Fee Related
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