JP4020396B2 - 製品を追跡するための装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の製品のある個体に不良が発生した場合にその不良が同じく発生するその製品の別の個体を追跡する製品追跡装置等に関する。
自動車等の製品に不良が発生すると、その不良が発生した製品について、例えば、リコールが行われる。かかるリコールは、不良が発生した製品の製品シリアル番号と不良を起こした部品とが判明した場合であれば、その不良を起こした部品と同じロットの部品を使った製品を特定して行う必要がある。また、不良が発生した製品の製品シリアル番号と不良を起こした工程とが判明した場合であれば、その工程が不良であった間にその工程を通過した製品を特定して行う必要がある。
現状、そのようなリコール対象製品の特定は、製品シリアル番号や部品シリアル番号や作業記録等を辿ることにより、手作業で行われている。
一方、製品と構成品の関係を示す構成品表を管理すること(例えば、特許文献1参照。)や、製品の製造の工程における作業時間や工程内容に係る工程情報を管理すること(例えば、特許文献2参照。)は、従来から行われていた。
特開2001−255926号公報(第1、2頁、第2図) 特開平7−239878号公報(第12、13頁、第15図)
しかしながら、これらの特許文献の発明は、その管理する情報をリコール対象製品の特定のために用いるものではない。従って、リコール対象製品の特定を手作業で行うことによって生ずる次のような問題点を解決することはできない。
第1の問題点は、例えば、同月生産品、同ロットを使った可能性のある製品群等、「疑いがある」製品は全てリコールの対象とせざるを得ないため、実際には不良でない製品もリコールしてしまっているという問題である。製造記録等に基づく手作業では、100%のトラッキングは不可能だからである。
第2の問題点は、当然ながら、手作業ゆえ記録を辿る方法も人それぞれで、トラッキングに莫大な人手と時間と費用とがかかってしまうという問題である。
このような問題点は、個々の製品ごとに、その製品の製造に用いられた部品の部品シリアル番号やロット番号等を全て記録しておき、一方、工程ごとに、その工程で組み付けた部品のロット番号や作業条件等を全て記録しておくことで、理論的には解決可能である。しかしながら、例えば、自動車の部品は、総数約3万点もあり、1つの部品が組み付けられるたびにそのロット番号等を記録することなど、経済的に非現実的である。
尚、同様の問題は、自動車等の機械製品に限られず、複数の構成要素からなる様々な製品について起こり得ると考えられる。
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的は、不良製品の製品シリアル番号と不良を起こした構成要素又は工程が判明した場合に、リコール等の対象製品のトラッキングの成功率を向上することにある。
また他の目的は、そのようなトラッキングの成功率の向上を、製品の全ての構成要素に関する情報採取等の手間をかけることなく効率的に実現できるようにすることにある。
かかる目的のもと、本発明は、複数の部品からなる製品を追跡するために、その複数の部品のうちの特定の部品を、特定の製品を後に追跡するための部品(追跡要素)としてあらかじめ定めておき、各製造工程においてその追跡要素に関する情報を採取するようにしている。即ち、本発明の第1の装置は、追跡要素のそれぞれについて、その追跡要素の識別情報と、製品の所定の製造工程を個々の追跡要素が通過した時刻とを記録する第1の記録部と、追跡要素を使用した製品のそれぞれについて、個々の製品の識別情報を個々の追跡要素の識別情報と関連付けて記録する第2の記録部とを備えている。尚、ここでは、第1の装置のうち、個々の追跡要素に関する情報を記録する機能部分を第1の記録部と捉え、これらの記録を個々の製品に関する情報とリンクして1つのまとまった記録とする機能部分を第2の記録部と捉えている。また本明細書において、通過した「時刻」又は「通過時刻」という場合、一定の時間帯として特定される場合を含む。
また、本発明は、このようにして採取した追跡要素に関する情報を参照することにより、リコール等の対象となる製品を追跡するための装置として捉えることができる。即ち、本発明の第2の装置は、個々の製品ごとに、追跡要素を特定するための第1の情報を記憶する第1のデータベースと、製品の製造工程ごとに、その製造工程を通過した個々の追跡要素とその通過時刻とを特定するための第2の情報を記憶する第2のデータベースと、第2のデータベースに記憶された第2の情報を参照することにより、特定の製造工程を特定の時間帯に通過した追跡要素を特定する追跡要素特定手段と、第1のデータベースに記憶された第1の情報を参照することにより、追跡要素特定手段により特定された追跡要素を使用して製造された特定の製品を特定する製品特定手段とを備えている。
更に、本発明は、所定の製品の特定の構成要素を追跡要素に決定する追跡要素決定装置として捉えることもできる。その場合、本発明の追跡要素決定装置は、製品の完成品をルートとする二進木上で、その製品の複数の構成要素にそれぞれ対応する複数のリーフを特定する第1の情報と、その製品の複数の製造工程にそれぞれ対応する複数のノード群を特定する第2の情報とを記憶する二進木情報記憶部と、この二進木情報記憶部に記憶された第2の情報により特定された複数のノード群のそれぞれについて、そのノード群からルートに至るまでに経由するノード群の数を求め、求めた数が最大となるノード群を選択するノード群選択部と、二進木情報記憶部に記憶された第1の情報により特定された複数のリーフの中から、ノード群選択部により選択されたノード群に接続するリーフのうちの任意の1つを、追跡要素に対応するリーフとして選択するリーフ選択部とを備えている。
更にまた、本発明は、複数の部品からなる製品を追跡するために、その複数の部品のうちの特定の部品を、特定の製品を後に追跡するための部品(追跡要素)としてあらかじめ定めておき、リコール等の対象となる製品を追跡するための方法として捉えることができる。その場合、本発明の方法は、個々の製品ごとに、追跡要素を特定するための第1の情報を第1のデータベースに記憶するステップと、製品の製造工程ごとに、その製造工程を通過した個々の追跡要素とその通過時刻とを特定するための第2の情報を第2のデータベースに記憶するステップと、第2のデータベースに記憶された第2の情報を参照することにより、特定の製造工程を特定の時間帯に通過した追跡要素を特定するステップと、第1のデータベースに記憶された第1の情報を参照することにより、特定された追跡要素を使用して製造された特定の製品を特定するステップとを含んでいる。
一方、本発明は、コンピュータに所定の機能を実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。
本発明によれば、不良製品の製品シリアル番号と不良を起こした構成要素又は工程が判明した場合に、リコール等の対象製品のトラッキングの成功率が向上する。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
本実施の形態では、自動車等の製品が、例えば、図1のような工程(製造工程)を経て製造されることを前提とする。図1に示すように、製造の工程は、一般に、直線的であるとは限らない。即ち、車体に対する溶接、塗装の工程と並行に、部品の組立てが行われ、これが車体組立ての工程で車体に組み付けられている。その後、最終工程で、完成車の検査が行われている。
ところで、このような製品の製造の流れは、アセンブリバイナリツリー(以下、「ABT」という)によって抽象的に表現することができる。
図2は、ABTの一例を示した図である。この例は、完成品をルート(根)とし、各部品をリーフ(葉)とする二進木(二分木ともいう)を用いて、全ての部品を組み付けながら製品が完成するまでの過程を表したものである。実際には、1つの基盤部品に同時に3つの部品が組み付けられるような場合もあるが、それらも微視的又は便宜的に後先の順序を付けて二進木で表すことにする。
また、二進木の各交点は、2つの部品が合体されることを意味し、「Junction」と呼ぶことにする。また、製造の工程は、図2において楕円で示しており、これを「Process」と呼ぶ。1つのJunctionが1つのProcessを構成することもあるし、複数のJunctionが1つのProcessを構成することもある。図2では、1つのProcessは、必ず一連のJunctionの集合で表されることになる。尚、Junctionは、リーフを除くノード(節)に対応する概念である。
因みに、ABTは、部品構成表(以下、「BOM」という)とは異なるものである。具体的には、次の点が異なる。
第一に、BOMは、部品の主従関係を記述するものであるのに対し、ABTは、部品の組立ての順序関係を記述するものである。
第二に、BOMでは、1つの主部品に対して複数の従部品がある場合に、その複数の従部品の組立て順序は表されないが、ABTでは、全ての部品について組立て順序が表される。
第三に、BOMでは、別の主部品に帰属する従部品は、互いに離れた位置に配置される。これに対し、ABTでは、かかる場合でも、特定の工程で先に組み立てられるのであれば、組立て順序に従いその工程内に記述される。
即ち、ABTは、アセンブリ工程の設定と部品構成の情報とに基づき、実際の組立て順序を反映されて記述されるものである。
また、図2に示したABTに従った組立てを、時間軸で表すと図3のようになる。ここでは、1つの工程は、短時間で終了するものとし、時間軸に垂直な平面(グラフ右側にその一部を示す)上に表している。具体的には、時刻T=tにおいて2つの工程での作業が行われ、時刻T=tにおいて次の1つの工程での作業が行われ、時刻T=tにおいて次の1つの工程での作業が行われ、時刻T=tにおいて最終工程での作業が行われている(t<t<t<t)。このように、上流の組立て工程の方が、下流の組立て工程よりも、必ず時間軸に関しては、下側(過去)に位置している。但し、各工程での作業が行われる時刻は、工程の種類によって様々である。
尚、図3に示したものは、ある製品の1つの個体が完成するまでの各工程の時間的な順序関係であった。ところが、ある製品の複数の個体が完成するまでの各工程の時間的な順序関係は、一般に、このような単純なものとはならない。例えば、A、B、C、Dという4つの個体がこの順序で完成されたとしても、その完成に至るまでの途中の工程において、中間製品は必ずしもこの順序で組み立てられないのである。これは、各工程で使われる半完成品は、部品の輸送や在庫の出し入れ等の都合により、必ずしも先に作った部品から先に使われるのではなく、後先はばらばらで使われるからである。また、1つの工程でもラインが複数あって、4つの個体が同一のラインで組み立てられるとは限らない。
従って、一般的には、4つの個体のある工程での順序は、その部品の最初の工程への投入順序や、製品の完成の順序とは全く無関係であると考えなければならない。それゆえ、製品のある個体に不良が発生してその製品シリアル番号と不良を起こした部品が判明したとしても、その部品と同じロットの部品を使用した他の個体の特定は困難だったのである。また、製品シリアル番号と不良を起こした工程が判明したとしても、不良が発生していた時間にその工程を通過した他の個体の特定は困難だったのである。
そこで、再びある製品のABTを考え、新しい概念を導入する。即ち、図4に示すように、ABTの枝の末端(リーフ)に、追跡用の部品であるTP(Traced Parts)を定義する。尚、図4では、TPを、文字列「TP」を「○」で囲んだ記号により表している。
TPは、図4に白抜きの矢印で示すように、ABTの全ての工程が、少なくとも1つのTPによって通過されるように決める。或いは、それよりも多くのTPを決めてもよい。また、TPは、バーコードやRFID(Radio Frequency IDentification)を貼り付け易く、また、検出し易い等の条件も勘案して選択する。更に、本来的に重要部品であり、シリアルナンバーで管理されるようなものを優先的にTPとしてもよい。例えば、自動車のエンジンのメインフレームのような部品である。
TPとして定義された部品には、TPの各個体を識別するシリアル番号(以下、「TP−ID」という)が振られ、組立ての最初の工程から、部品に貼り付けられたバーコードやRFIDを読み取ることによりトレースされる。尚、部品への貼り付けが難しければ、部品ごとの付票として管理してもよい。
また、もう1つの新しい概念として、TPのマージを考える。
組立て工程が進むに従って、ある工程で2つのTPが1つの半完成品に組み込まれるケースが出て来る。この場合には、あらかじめ決められたマスターTPにスレーブTPが吸収される。そこで、マスターTPのTP−IDとスレーブTPのTP−IDとのリンクを記録し、その後の(下流の)組立て工程では、マスターTPのみがトレースされるようにする。一旦、半完成品に組み込まれ、各TPの関係が記録されれば、その後は1つのTPを代表にしてトレースすれば十分だからである。これをTPのマージ(Merger)と呼ぶことにする。尚、図4では、マージを、文字「M」を「○」で囲んだ記号により表している。
そして、ABT上でどの枝の末端にどの部品が対応付けられているか、また、ABT上のどのJunctionの組み合わせにどの工程が対応付けられているか等の情報が、工程定義情報として所定の記憶装置に記憶される。
また、TPについては、各個体がどのロットに属していたかの情報も、所定の記憶装置に記憶するものとする。即ち、TP−IDとロット番号との対応が記憶される。
次に、図4に示した各工程を各TPが通過した場合のTP履歴情報の記録方法について説明する。尚、ここでは、3つのTPが定義されているものとし、それらを部品として識別するための情報(以下、「部品情報」という)を「TP100」、「TP110」、「TP111」とする。また、工程は5つ存在するものとし、それらを工程として識別するための情報(以下、「工程情報」という)を「PR100−1」、「PR110−1」、「PR110−2」、「PR111−1」、「PR111−2」とする。
図5は、これに限られるものではないが、TP履歴情報の一例を示す図である。
この履歴情報は、以下のような手順で作成される。
1)TP「TP111」が組み付けられた時点で、そのTPのTP−ID「TP111−IDxx」のレコードが記録される。
2)TP「TP111」が組み付けられた工程「PR111−1」について、工程ID「PR111−1−IDxx」とその工程を通過した時刻「TIMExx」とが、TP−ID「TP111−IDxx」のレコードに記録される。尚、工程IDとは、1つの工程の中に複数の製造ライン等がある場合に、その中の実際に通過した製造ライン等を識別するための情報である。また、時刻をあらわす「TIMExx」は、特定の時刻データを含んでもよいし、特定の時間帯を示す識別記号を含んでもよい。
3)工程「PR111−1」で製造された半完成品に対し、工程「PR111−2」で組み付けが行われる時、工程ID「PR111−2−IDxx」とその工程を通過した時刻「TIMExx」とが、TP−ID「TP111−IDxx」のレコードに追記される。
4)一方、TP「TP110」が上記1)、2)、3)とは独立に組み付けを開始した時、TP−ID「TP110−IDxx」のレコードが生成される。
5)その後、工程「PR110−1」について、工程ID「PR110−1−IDxx」とその工程を通過した時刻「TIMExx」とが、TP−ID「TP110−IDxx」のレコードに記録される。
6)工程「PR110−2」では、2つの半完成品が出会うことになり、TP−ID「TP111−IDxx」のTPは、TP−ID「TP110−IDxx」のTPとマージされることになる。
7)この工程で、「TP111−IDxx」のレコードと「TP110−IDxx」のレコードとの間にリンクが張られることになる。リンクの記述は、後で上下双方向からトレースが容易になるような方法で行う。即ち、「TP111−IDxx」のレコードにおいては、"Merged to"の後に、マスターとなる「TP110−IDxx」を記述する。また、同時に、「TP110−IDxx」のレコードにおいては、"Link from"の後に、スレーブとなる「TP111−IDxx」を記述する。
8)更に、TP−ID「TP110−IDxx」のTPは、TP−ID「TP100−IDxx」のTPにマージされ、その際に、2つのレコードはリンクされる。
9)最終的に、「TP100−IDxx」のレコードは、製品シリアル番号「FGA−IDxx」にリンクされる。これにより、製品シリアル番号「FGA−IDxx」の個体に対するTP履歴情報が完成する。
同様に、他の製品シリアル番号の個体についても、TP履歴情報が作成される。
尚、TPにRFID等を貼り付け、RFIDから情報を読み取る検出ゲートを各工程に設けることにより、TP履歴情報の元となるTP−ID等を収集することもできる。RFIDタグが取り付けられた部品や、RFIDタグからTP−IDを読み取る検出ゲートのイメージは、図1にも示した。
また、各工程に設定された検出ゲートとTP履歴情報を管理する装置とを有線又は無線回線により接続した構成としてもよい。このような構成において、検出ゲートに、TP−IDと工程IDと通過時刻とを送出する機能を設ければ、TPの通過の検出からTP履歴情報の記録までを自動化することができる。
一方、各工程については図6のような工程管理情報が記録される。尚、工程管理情報は、1つの工程に複数の製造ライン等がある場合は、その個々の製造ライン等ごとに記録される。記録の方法、データの構成等は規定しないが、概念としては、図6に示すような情報が時間軸上に記録されていく。
例えば、図6は、工程「PR111−2」の工程ID「PR111−2−IDxx」に対する工程管理情報を示す。この例では、作業者のシフト、使用ツール(工具等)のID、この工程で組み付けられる非TPの部品のロット番号が記録されている。或いは、図6には示していないが、温度、湿度等の作業条件を記録するようにしてもよい。
そして、この工程管理情報には、あるマスターTPがどの時刻にこの工程を通過したかが、そのTPのTP−IDと共に記録される。尚、この通過の記録は、その工程でTP−IDが読み取られ、図5のTP履歴情報に書き込まれる時にこの工程管理情報にも記録されるようにすればよい。RFID等を利用すれば、この記録は自動的に無人で行うことも可能である。
以上のようにして、製品の個体ごとのTP履歴情報と、工程ごとの工程管理情報とが蓄積されていく。これらの情報は、工程IDとTP−IDと時刻によって互いに関連付けられている。これにより、課題であった100%のトレースが可能となる。
図7は、かかるトレースを実現する製品追跡装置の概略構成を示した図である。
図7に示すように、製品追跡装置は、トレースエンジン10と、工程定義データベース(以下、「DB」という)20と、TPロット対応DB30と、TP履歴DB40と、工程管理DB50とから構成される。
トレースエンジン10は、製品追跡装置の中核となるエンジン部分であり、各DBを参照しながら製品を追跡する処理を行う。
工程定義DB20は、図4に示したような二進木において、各部品がどのリーフに対応するか、各工程がどのノード群に対応するかといった工程定義を記憶するDBである。
TPロット対応DB30は、TP−IDとロット番号の対応を記憶するDBである。
TP履歴DB40は、図5に示したようなTP履歴情報を、製品の全個体について記憶するDBである。
工程管理DB50は、図6に示したような工程管理情報を記憶するDBである。尚、図7では、工程管理DB50が工程IDごとに作成されることを想定し、複数の工程管理DB50が図示されているが、これらは、1つのDBに集約しても構わない。
ここで、トレースエンジン10と各DBとの間の情報のやり取りを簡単に説明しておく。
トレースエンジン10は、工程定義DB20に対しては、第一に、部品情報を受け渡すことにより、工程情報を受け取る。第二に、TPについての部品情報を受け渡すことにより、工程情報を受け取る。第三に、部品情報を受け渡すことにより、TPについての部品情報を受け取る。
トレースエンジン10は、TPロット対応DB30に対しては、TP−IDを受け渡すことにより、ロット番号及びそのロットの中に含まれるTPのTP−IDリストを受け取る。
トレースエンジン10は、TP履歴DB40に対しては、第一に、製品シリアル番号と工程情報とを受け渡すことにより、工程IDと時刻とを受け取る。第二に、製品シリアル番号とTPについての部品情報とを受け渡すことにより、TP−IDを受け取る。第三に、TP−IDを受け渡すことにより、製品シリアル番号を受け取る。
トレースエンジン10は、工程管理DB50に対しては、第一に、工程IDと部品情報と時刻とを受け渡すことにより、ロット番号及び同じロットの使用時に通過したTPのTP−IDリストを受け取る。第二に、工程IDと時刻とを受け渡すことにより、その時刻の近くに起こった全ての出来事の情報を受け取る。第三に、工程IDと時間帯とを受け渡すことにより、その時間帯における全てのTPのTP−IDリストを受け取る。
このようなトレースエンジン10の機能構成を図8に示す。
図8に示すように、トレースエンジン10は、情報受付部11と、工程特定部12と、時間帯特定部13と、TP特定部14と、製品特定部15とから構成される。
情報受付部11は、製品シリアル番号及び不良部品の部品情報や、製品シリアル番号及び不良工程の工程情報を受け付ける部分である。
工程特定部12は、情報受付部11が製品シリアル番号及び不良部品の部品情報を受け付けた場合に、工程定義DB20を参照してその不良部品を使用した工程を特定する部分である。
時間帯特定部13は、その製品シリアル番号の製品が工程を通過した時刻における問題が発生している時間帯を特定する部分である。
TP特定部14は、工程管理DB50を参照してその工程をその時間帯に通過したTPのTP−IDを特定する部分である。
製品特定部15は、そのTP−IDのTPを使用して製造された製品の製品シリアル番号を特定する部分である。
次に、本実施の形態によるトレースの処理について、詳細に説明する。
ケース1として、不良が発生した製品の製品シリアル番号と、不良を起こした部品(TPではない)が判明している場合の例を説明する。例えば、図9において「×」を付した部品Qに不良が見つかったとする。この場合、トレースエンジン10は、図10に示すような動作を行う。
まず、情報受付部11が、不良を発生した製品の製品シリアル番号と不良を起こした部品を特定する部品情報を受け付ける(ステップ101)。図9の例の場合、部品Qを特定する部品情報を受け付ける。
次に、工程特定部12は、工程定義DB20を参照し、部品情報により特定される部品を組み付ける工程を特定する(ステップ102)。図9の例の場合、部品Qを組み付ける工程「PR111−2」を特定する。
一方、時間帯特定部13は、TP履歴DB40にて管理される製品シリアル番号ごとのTP履歴情報の中から、ステップ101で受け付けた製品シリアル番号に対するTP履歴情報を取り出す。そして、ステップ102で特定した工程に関する記述に着目し、その工程の中で実際に通過した作業ライン等の工程IDと通過時刻とを求める(ステップ103)。図9の例の場合、工程ID「PR111−2−IDxx」とその通過時刻とを求める。これにより、不良を起こした部品Qが「PR111−2−IDxx」でどの時刻に組み付けられたかを知ることができる。
また、その工程IDに対する工程管理DB50を参照し、ステップ103で求めた時刻において、不良を発生した部品について使用されていたロットを特定する(ステップ104)。図9の例の場合、工程ID「PR111−2−IDxx」に対する工程管理情報において、部品Qについて使用されていたロットのロット番号を得る。
そして、得られたロット番号を工程管理DB50の同工程の記録を参照することにより、そのロットが使用されていた時間帯を問題が発生した時間帯として特定する(ステップ105)。
これにより、TP特定部14は、その工程をその時間帯に通過したTPのTP−IDをリストする(ステップ106)。図9の例の場合、工程「PR111−2」を通過するTPは、TP「TP111」なので、そのTPのTP−IDがリストされる。
そして、製品特定部15は、リストされたTP−IDから1つのTP−IDを選択し(ステップ107)、選択されたTP−IDをキーとして、TP履歴DB40のその工程の部分をサーチする(ステップ108)。TP−IDが見つかると、そのTP履歴情報を逆に辿り、そのTPが組み込まれた製品の製品シリアル番号を求め、例えば、不良製品シリアル番号リストに書き出す(ステップ109)。
最後に、リストされたTP−IDが他にあるかどうかが判定される(ステップ110)。その結果、TP−IDがあれば、ステップ107〜109の処理を繰り返し、TP−IDがなければ、処理を終了する。
以上の処理により、問題の部品と同一ロットの部品を使用した製品の製品シリアル番号を全てリストすることができる。
また、ケース2として、不良が発生した製品の製品シリアル番号と、不良を起こした工程が判明している場合の例を説明する。例えば、図11において雷マークで示した工程「PR110−2」に不良が見つかったとする。この場合、トレースエンジン10は、図12に示すような動作を行う。
まず、情報受付部11が、不良を発生した製品の製品シリアル番号と不良を起こした工程を特定する工程情報を受け付ける(ステップ201)。図11の例の場合、工程「PR110−2」を特定する工程情報を受け付ける。
一方、時間帯特定部13は、TP履歴DB40にて管理される製品シリアル番号ごとのTP履歴情報の中から、ステップ201で受け付けた製品シリアル番号に対するTP履歴情報を取り出す。そして、ステップ201で特定した工程に関する記述に着目し、その工程の中で実際に通過した作業ライン等の工程IDと通過時刻とを求める(ステップ202)。図11の例の場合、工程ID「PR110−2−IDxx」とその通過時刻とを求める。これにより、TP「TP110」が工程「PR110−2」をどの時刻に通過したかを知ることができる。
また、その工程IDに対する工程管理DB50を参照し、ステップ202で求めた時刻において、工程の異常がどのような原因でいつからいつまで続いたかを、解析等により特定する(ステップ203)。図11の例の場合、工程ID「PR110−2−IDxx」に対する工程管理情報における異常の時間帯を特定する。
尚、ステップ203における解析等には、工程管理DB50に残っているデータを用いた解析以外の調査、推定等も含むものとする。例えば、ある部分の塗装不良があり、その原因が空調の故障による湿度の変化にあったような場合、その空調の故障がどの時間範囲に及んだか等は、必ずしも工程管理DB50に残っているとは限らないからである。
これにより、TP特定部14は、その工程をその時間帯に通過したTPのTP−IDをリストする(ステップ204)。図11の例の場合、工程「PR110−2」を通過するTPは、TP「TP110」なので、そのTPのTP−IDがリストされる。
そして、製品特定部15は、リストされたTP−IDから1つのTP−IDを選択し(ステップ205)、選択されたTP−IDをキーとして、TP履歴DB40のその工程の部分をサーチする(ステップ206)。TP−IDが見つかると、そのTP履歴情報を逆に辿り、そのTPが組み込まれた製品の製品シリアル番号を求め、例えば、不良製品シリアル番号リストに書き出す(ステップ207)。
最後に、リストされたTP−IDが他にあるかどうかが判定される(ステップ208)。その結果、TP−IDがあれば、ステップ205〜207の処理を繰り返し、TP−IDがなければ、処理を終了する。
以上の処理により、問題の工程を異常が発生していた時間帯に通過した製品の製品シリアル番号を全てリストすることができる。
最後に、ケース3として、不良が発生した製品の製品シリアル番号と、不良を起こした部品(TP)が判明している場合の例を説明する。例えば、図13において「×」を付したTP「TP111」に不良が見つかったとする。この場合、トレースエンジン10は、図14に示すような動作を行う。
まず、情報受付部11が、不良を発生した製品の製品シリアル番号と不良を起こしたTPを特定する部品情報を受け付ける(ステップ301)。図13の例の場合、TP「TP111」を特定する部品情報を受け付ける。
一方、時間帯特定部13は、TP履歴DB40にて管理される製品シリアル番号ごとのTP履歴情報の中から、ステップ301で受け付けた製品シリアル番号に対するTP履歴情報を取り出す。そして、ステップ301で特定したTPに関する記述に着目し、そのTP−IDを求める(ステップ302)。図13の例の場合、TP−ID「TP111−IDxx」を求める。
また、TPロット対応DB30を参照し、そのTP−IDのTPが含まれていたロットを特定する(ステップ303)。
これにより、TP特定部14は、ステップ303で特定されたロットと同じロットに含まれていたTPのTP−IDをリストする(ステップ304)。
そして、製品特定部15は、リストされたTP−IDから1つのTP−IDを選択し(ステップ305)、選択されたTP−IDをキーとして、TP履歴DB40のそのTPの部分をサーチする(ステップ306)。TP−IDが見つかると、そのTP履歴情報を逆に辿り、そのTPが組み込まれた製品の製品シリアル番号を求め、例えば、不良製品シリアル番号リストに書き出す(ステップ307)。
最後に、リストされたTP−IDが他にあるかどうかが判定される(ステップ308)。その結果、TP−IDがあれば、ステップ305〜307の処理を繰り返し、TP−IDがなければ、処理を終了する。
以上の処理により、問題のTPと同一ロットのTPを使用した製品の製品シリアル番号を全てリストすることができる。
尚、本実施の形態では、図6の工程管理DB50に非TP部品のロットのみを記録し、TPについては、TP−IDとロットとの関係を記録したTPロット対応DB30を設けた。これは、TPについては前もってTP−IDを貼る又は関連付ける作業があるはずで、その際にTP−IDとロットとの関連付けも容易にできると考えたからである。また、工程管理DB50に記録しないことにより、TPについてはロットごとに使い切るとの制約もなくなる。しかしながら、勿論、TPも他の部品と同様にロットごとに使い切るとの制約を設け、工程管理DB50にロットを記録するように構成することも可能である。
また、以上の説明では、製品を追跡する際に用いるTPは、全ての工程が少なくとも1つのTPによって通過されるように決定されるものとした。以下、このような決定をコンピュータにより行う場合の一例を説明する。
ここで再度、図15に示すような二進木について考える。かかる二進木において、全ての部品は、リーフに対応付けられており、「0」と「1」とを組み合わせた文字列で表すことができる。
即ち、完成品をルートとし、図15における上方向への枝分かれを「0」、下方向への枝分かれを「1」とすると、部品Aは「E000」と表すことができ、部品Bは「E1001」と表すことができる。尚、ここでは、後述の工程と区別するため、文字列の先頭にEdgeであることを示す「E」を付けている。
同様に、各ジャンクションも「0」と「1」とを組み合わせた文字列で表すことができるので、全ての工程は、各工程における最も下流のジャンクションを表す文字列で表すことができる。例えば、工程Cは「J1」と表すことができ、工程Dは「J1000」と表すことができる。尚、上述の部品と区別するため、文字列の先頭にJunctionをあらわす「J」を付けている。
このような、二進木上で各部品に対応するリーフを特定する情報、及び、二進木上で各工程に対応するノード群を特定する情報が、以上のような規則に基づく文字列として、工程定義DB20に記憶されるものとする。本実施の形態では、TP決定装置が、かかる工程定義DB20の内容を読み込んで、効率よくTPを決定する。
まず、図16を参照して、TP決定装置の機能構成について説明する。
図16に示すように、TP決定装置60は、情報取得部61と、二進木情報記憶部62と、ノード群選択部63と、リーフ選択部64と、ノード群削除部65とから構成される。
情報取得部61は、工程定義DB20から、部品のバイナリ記述のリストと工程のバイナリ記述のリストとを取得又は作成する部分である。
二進木情報記憶部62は、情報取得部61が取得又は作成したこれらのリストを記憶する部分である。
ノード群選択部63は、二進木情報記憶部62に記憶された工程のバイナリ記述のリストから、段数が最大の工程のバイナリ記述を選択する部分である。
リーフ選択部64は、二進木情報記憶部62に記憶された部品のバイナリ記述のリストから、選択されたバイナリ記述の工程で使用される任意の1つの部品のバイナリ記述を選択する部分である。
ノード群削除部65は、二進木情報記憶部62に記憶された工程のバイナリ記述から、ノード群選択部63が選択したバイナリ記述、及び、そのバイナリ記述の工程から最終工程までの工程のバイナリ記述を削除する部分である。
次に、TP決定装置60の動作について、図17を参照して説明する。
まず、情報取得部61が、工程定義DB20に記憶された情報のうち、各部品に対応するリーフを特定する情報を取得し、部品のバイナリ記述リストとして二進木情報記憶部62に記憶する(ステップ401)。本明細書で例示している二進木の場合は、以下のようなリストとなる。
「E000」、「E001」、「E01」、「E10000」、「E100010」、「E1000110」、「E1000111」、「E1001」、「E101」、「E110」、「E1110」、「E1111」。
また、工程定義DB20に記憶された情報のうち、各工程に対応するノード群を特定する情報を取得し、工程のバイナリ記述リストとして二進木情報記憶部62に記憶する(ステップ402)。本明細書で例示している二進木の場合は、以下のようなリストとなる。
「J(最終工程)」、「J1」、「J10」、「J1000」、「J111」。
尚、この例では、説明を簡単にするため、部品リストに含まれるバイナリ記述を12個、工程リストに含まれるバイナリ記述を5個としている。しかしながら、例えば、自動車のように3万点の部品組み立てとなると、部品リストに含まれるバイナリ記述は3万個となり、また、一工程に含まれるJunctionを平均8個と仮定すると、工程リストに含まれるバイナリ記述は4千個となる。
次に、ノード群選択部63は、全ての工程についてその段数を計算する(ステップ403)。即ち、工程のバイナリ記述に基づき、各工程が最終工程からさかのぼって何段目の工程であるかを計算する。計算は、各工程のバイナリ記述と先頭部分が一致する他の工程のバイナリ記述の数をカウントすることによって行う。
例えば、工程「J1000」は、工程「J10」、工程「J1」、工程「J」と先頭部分が一致するので、4段目であることが分かる。また、工程「J111」は、工程「J1」、工程「J」と先頭部分が一致するので、3段目であることが分かる。
以上により、工程「J(最終工程)」は1段目、工程「J1」は2段目、工程「J10」は3段目、工程「J1000」は4段目、工程「J111」は3段目となる。
また、ノード群選択部63は、全ての工程の中から、段数が最も大きいものを選択する(ステップ404)。そうすると、その工程は、全ての工程の末端に位置し、その前工程は無いはずである。
従って、リーフ選択部64は、ステップ404で選択された工程で組み付けられる部品の1つをTPに決定する(ステップ405)。尚、その工程で組み付けられる部品が複数ある場合には、例えば、バーコードやRFIDのタグの付け易さ、その後工程での読み取り易さ等を加味して、任意に選択する。
上記の例では、工程「J1000」が選択され、その工程で組み付けられる部品「E10000」、「E100010」、「E1000110」、「E1000111」の中から「E100010」をTPに決定することにする。
尚、その工程で組み付けられる部品の特定は、工程リストと部品リストとを対照することで自動的にリストできる。即ち、この工程は末端であり、それ以前の工程はないはずであるから、工程「J1000」の記述からそこで組み付けられる部品は、最初に「1000」の文字列を含む4つの部品「E10000」、「E100010」、「E1000110」、「E1000111」であることが自動的に判別できる。
次に、ノード群削除部65は、工程リストから、ステップ404で選択された工程のバイナリ記述と、その工程のバイナリ記述と先頭部分が一致するバイナリ記述とを削除する(ステップ406)。それらの工程は、ステップ405で決定したTPによって通過されるからである。
その後、工程リストにバイナリ記述が残っているかどうかが判定される(ステップ407)。その結果、バイナリ記述が残っていれば、ステップ403〜406の処理を繰り返す。
上記の例では、ステップ406でバイナリ記述を削除することにより、工程「J111」が残っている。従って、ノード群選択部63は、ステップ403において、工程「J111」だけからなる工程リストに対し、各工程の段数を再計算する。計算は、各工程のバイナリ記述と先頭部分が一致する他の工程のバイナリ記述の数をカウントすることによって行う。工程「J111」に関して再計算された段数は1段である。また、ステップ404では、工程「J111」が段数最大の工程として選択される。そして、ステップ405では、工程「J111」で組み付けられる部品「E1111」をTPに決定することができる。
尚、この例では、部品数も工程数も少ないので、この段階で残された工程が1つだけになった。しかしながら、一般的には、決定したTPが通過する工程だけを削除するわけであるから、この段階では消去される工程は全体のごく一部にすぎない。
ステップ407での判定の結果、バイナリ記述が残っていない場合、処理は終了する。この時点で、必要な全てのTPが決まっており、全ての工程はいずれかのTPによって通過されることが保証される。上記の例の場合、全ての工程は、「E100010」、「E1111」のいずれかのTPによって通過される。但し、図4で決めたように、更に「E000」をTPに決定するようにしてもよい。
尚、上記の処理中で工程の段数が同じものが複数存在する場合にどれを選択するかという問題が残るが、これは任意でよいとする。
また、TPのマージにおいては、後に決定されたTPは、先に決定されたTPにマージされるという基本ルールとする。なるべく少数のTPが多くの段数をカバーするほうが、RFIDタグ等の実装を考える場合に有効であるからである。勿論、例外も可能で、現場の実態でどちらがどちらをマージするかを任意に選択して決めることも可能である。
最後に、TP履歴情報や工程管理情報を記録するための装置、製品追跡装置、TP決定装置のハードウェア構成について、説明しておく。
図18は、これらの装置として用いるのに好適なコンピュータのハードウェア構成の例を模式的に示した図である。
図18に示すコンピュータは、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)701と、M/B(マザーボード)チップセット702およびCPUバスを介してCPU701に接続されたメインメモリ703と、同じくM/Bチップセット702およびAGP(Accelerated Graphics Port)を介してCPU701に接続されたビデオカード704及びディスプレイ710と、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを介してM/Bチップセット702に接続された磁気ディスク装置(HDD)705、ネットワークインターフェイス706と、さらにこのPCIバスからブリッジ回路707およびISA(Industry Standard Architecture)バスなどの低速なバスを介してM/Bチップセット702に接続されたフレキシブルディスクドライブ708およびキーボード/マウス709とを備える。
尚、図18は本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成を例示するに過ぎず、本実施の形態を適用可能であれば、他の種々の構成を取ることができる。例えば、ビデオカード704を設ける代わりに、ビデオメモリのみを搭載し、CPU701にてイメージデータを処理する構成としてもよいし、外部記憶装置として、ATA(AT Attachment)やSCSI(Small Computer System Interface)等のインターフェイスを介してCD−R(Compact Disc Recordable)やDVD−RAM(Digital Versatile Disc Random Access Memory)のドライブを設けてもよい。
以上述べたように、本実施の形態では、製品の製品シリアル番号とTPのTP−IDとを対応付けたTP履歴DBと、工程ごとのTPの通過時間をTP−IDによって管理する工程管理DBとを備え、不良製品の製品シリアル番号と不良部品又は不良工程が判明した場合に、これらのDBを参照して、リコール等の対象とすべき製品の製品シリアル番号を特定するようにした。これにより、「疑いがある」もの全てをリコール等の対象とするのではなく、真にリコール等の対象とすべきもののみをリコール等の対象とすることが可能となる。
また、本実施の形態では、全ての工程を少なくも1つのTPが通過するように、必要最小限のTPを決定するためのTP決定装置も提案している。かかる装置を用いることにより、製品の追跡にかかる労力がより一層軽減されることになる。
尚、本実施の形態では、自動車等の機械製品を想定して説明したが、複数の構成要素からなる様々な製品に対し本発明は適用可能である。その場合、上記実施の形態における「部品」は「構成要素」と読み替え、追跡部品という意味で付けられた「TP」は「追跡要素」と読み替えて本発明を把握すればよい。
本発明の実施の形態が適用される製品の製造の工程を示したイメージ図である。 本発明の実施の形態で用いるABTについて説明するための図である。 本発明の実施の形態で用いるABTと時間軸との関係を説明するための図である。 本発明の実施の形態でABT上に定義されるTP及びマージについて説明するための図である。 本発明の実施の形態におけるTP履歴情報の一例を示した図である。 本発明の実施の形態における工程管理情報の一例を示した図である。 本発明の実施の形態における製品追跡装置の機能構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態におけるトレースエンジンの機能構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態におけるケース1の状況を説明するための図である。 本発明の実施の形態のケース1における製品追跡装置の動作を示したフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるケース2の状況を説明するための図である。 本発明の実施の形態のケース2における製品追跡装置の動作を示したフローチャートである。 本発明の実施の形態におけるケース3の状況を説明するための図である。 本発明の実施の形態のケース3における製品追跡装置の動作を示したフローチャートである。 本発明の実施の形態でABT上に配置される部品及び工程のバイナリ記述による表現方法について説明するための図である。 本発明の実施の形態におけるTP決定装置の機能構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態におけるTP決定装置の動作を示したフローチャートである。 本発明の実施の形態における各装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
符号の説明
10…トレースエンジン、11…情報受付部、12…工程特定部、13…時間帯特定部、14…TP特定部、15…製品特定部、20…工程定義DB、30…TPロット対応DB、40…TP履歴DB、50…工程管理DB、60…TP決定装置、61…情報取得部、62…二進木情報記憶部、63…ノード群選択部、64…リーフ選択部、65…ノード群削除部

Claims (12)

  1. 複数の部品からなる製品を追跡するための装置であって、
    個々の前記製品ごとに、前記複数の部品のうち特定の製品を後に追跡するための要素としてあらかじめ定められた部品(追跡要素)を特定するための第1の情報を記憶する第1のデータベースと、
    前記製品の製造工程ごとに、当該製造工程を通過した個々の前記追跡要素とその通過時刻とを特定するための第2の情報を記憶する第2のデータベースと、
    前記製品の製造工程と当該製造工程で使用される当該製品の部品との対応を定義した第3の情報を記憶する第3のデータベースと、
    前記第3のデータベースに記憶された第3の情報を参照することにより、特定の部品が使用された製造工程を特定する製造工程特定手段と、
    前記第2のデータベースに記憶された第2の情報を参照することにより、前記製造工程特定手段により特定された製造工程を特定の時間帯に通過した前記追跡要素を特定する追跡要素特定手段と、
    前記第1のデータベースに記憶された第1の情報を参照することにより、前記追跡要素特定手段により特定された前記追跡要素を使用して製造された前記特定の製品を特定する製品特定手段と
    を備えた装置。
  2. 前記第1のデータベースは、個々の前記製品ごとに、各製造工程の通過時刻を特定する情報を更に記憶し、
    前記特定の製品の識別情報を含む入力情報に基づいて前記第1のデータベースを検索することにより、前記製造工程特定手段により特定された製造工程を当該特定の製品が通過した時刻を求め、当該時刻におけるロットの使用状況に基づき、前記特定の時間帯を決定する時間帯特定手段と
    を更に備えた請求項1記載の装置。
  3. 前記第1のデータベースは、個々の前記製品ごとに、各製造工程の通過時刻を特定する情報を更に記憶し、
    前記特定の製品の識別情報を含む入力情報に基づいて前記第1のデータベースを検索することにより、前記製造工程特定手段により特定された製造工程を当該特定の製品が通過した時刻を求め、当該時刻における作業環境の継続状況に基づき、前記特定の時間帯を決定する時間帯特定手段と
    を更に備えた請求項1記載の装置。
  4. 個々の前記追跡要素ごとに、当該追跡要素が属していたロットを特定するロット情報を記憶する第4のデータベースを更に備え
    前記追跡要素特定手段は、前記特定の部品が前記追跡要素である場合に、前記第4のデータベースに記憶されたロット情報を参照することにより、当該追跡要素が属していたロットに属する他の追跡要素を特定することを特徴とする請求項1記載の装置。
  5. 前記追跡要素は、前記製品の各々の製造工程が、少なくとも1つの追跡要素によって通過されるように定められている、請求項1記載の装置。
  6. 前記追跡要素は、前記製品の完成品をルートとし各々の前記部品をリーフとする二進木を用いて定められる請求項5記載の装置。
  7. 複数の部品からなる製品を追跡するための方法であって、
    個々の前記製品ごとに、前記複数の部品のうち特定の製品を後に追跡するための要素としてあらかじめ定められた部品(追跡要素)を特定するための第1の情報を第1のデータベースに記憶するステップと、
    前記製品の製造工程ごとに、当該製造工程を通過した個々の前記追跡要素とその通過時刻とを特定するための第2の情報を第2のデータベースに記憶するステップと、
    前記製品の製造工程と当該製造工程で使用される当該製品の部品との対応を定義した第3の情報を第3のデータベースに記憶するステップと、
    前記第3のデータベースに記憶された第3の情報を参照することにより、特定の部品が使用された製造工程を特定するステップと、
    前記第2のデータベースに記憶された第2の情報を参照することにより、特定された製造工程を特定の時間帯に通過した前記追跡要素を特定するステップと、
    前記第1のデータベースに記憶された第1の情報を参照することにより、特定された前記追跡要素を使用して製造された前記特定の製品を特定するステップと
    を含む方法。
  8. 前記第1のデータベースに記憶するステップでは、個々の前記製品ごとに、各製造工程の通過時刻を特定する情報を更に記憶し、
    前記追跡要素を特定するステップは、
    前記特定の製品の識別情報を受け付けるステップと、
    前記第1のデータベースを検索することにより、特定された製造工程を前記特定の製品が通過した時刻を求め、当該時刻におけるロットの使用状況に基づき、前記特定の時間帯を決定するステップと
    を更に含む請求項7記載の方法。
  9. 前記第1のデータベースに記憶するステップでは、個々の前記製品ごとに、各製造工程の通過時刻を特定する情報を更に記憶し、
    前記追跡要素を特定するステップは、
    前記特定の製品の識別情報を受け付けるステップと、
    前記第1のデータベースを検索することにより、特定された製造工程を前記特定の製品が通過した時刻を求め、当該時刻における作業環境の継続状況に基づき、前記特定の時間帯を決定するステップと
    を更に含む請求項7記載の方法。
  10. 個々の前記追跡要素ごとに、当該追跡要素が属していたロットを特定するロット情報を第4のデータベースに記憶するステップを更に含み
    前記追跡要素特定ステップは、前記特定の部品が前記追跡要素である場合に、前記第4のデータベースに記憶されたロット情報を参照することにより、当該追跡要素が属していたロットに属する他の追跡要素を特定する、請求項7記載の方法。
  11. 前記追跡要素は、前記製品の各々の製造工程が、少なくとも1つの追跡要素によって通過されるように定められている、請求項7記載の方法。
  12. 前記追跡要素は、前記製品の完成品をルートとし各々の前記部品をリーフとする二進木を用いて定められる請求項11記載の方法。
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