JP4020339B2 - 車高調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、セルフポンピング作用で走行中の車両における適正な車高の維持を可能にすると共に外部操作で停車中の車両における車高調整をも可能にする車高調整装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルフポンピング作用で走行中の車両における適正な車高の維持を可能にすると共に外部操作で停車中の車両における車高調整をも可能にする車高調整装置としては、従来から種々の提案があるが、たとえば、特開平7−174181号公報に開示の提案では、以下のような構成とされている。
【0003】
すなわち、この従来例としての車高調整装置にあっては、車両の車体側と車軸側の間に配在されて車体の相対上下動に応じて伸縮する伸縮体がセルフポンピング作用で一定の伸縮状態を維持する、すなわち、一定の車高を維持するように設定されてなる一方で、セルフポンピング作用をする伸縮体におけるポンピング機構の作動時に反力源となる高圧側の油圧室がノーマルクローズの開閉弁を有する通路を介してリザーバとなる低圧側のチャンバに連通されると共に油圧室からの油の通過は許容するがその逆流を阻止するチェック弁を備えるノーマルチェックの切換弁を有する通路を介してアキュムレータに連通されてなるとしている。
【0004】
少し説明すると、まず、セルフポンピング作用を実現するポンピング機構は、伸縮体を構成し車体側部材とされるシリンダと、同じく車軸側部材とされシリンダ内にピストンを介して摺動可能に挿通される中空なピストンロッドとに関連して構成されている。
【0005】
すなわち、このポンピング機構は、中空なピストンロッド内に隙間を有して挿入されたポンプシリンダ内にこのポンプシリンダの上端から中空なポンプロッドを挿入してポンプシリンダの下端側内にポンプ室を区画すると共に、このポンプ室をポンプシリンダの下端に配在の吐出弁および上記の隙間を介して油圧室に連通させ、かつ、ポンプ室をポンプロッドの下端に配在の吸込弁およびポンプロッド内の通路を介して低圧側のチャンバに連通させるとしている。
【0006】
その一方で、このポンピング機構は、ポンプロッドの中間部に油圧室とポンプロッド内の通路との連通を可能にするレベリングポートが形成されてなるとしており、このレベリングポートがポンプシリンダの上端内周から離れて開放されるときに油圧室がチャンバに連通されることになり、ポンピング作動が中止されるとしている。
【0007】
さらに、このポンピング機構にあっては、シリンダ内は、中空なピストンロッドに連設されたピストンによってピストン上室とピストン下室に区画されると共に、このピストン上室とピストン下室が共に上記の油圧室に設定されていてピストンに配在の減衰バルブを介して相互に連通可能とされ、かつ、ピストン上室の受圧面積がピストン下室の受圧面積に勝るとして、このピストン上室を主たる油圧室に設定している。
【0008】
それゆえ、この従来例としての車高調整装置によれば、ポンピング機構によるセルフポンピング作用で走行中の車両における車高が一定の車高に維持されると共に、外部操作で停車中の車両における車高を低車高に調整することが可能になる。
【0009】
すなわち、高圧側の油圧室と低圧側のチャンバを連通する通路中の開閉弁を外部操作で切り換えて開放することで、油圧室からの油をチャンバに解放して伸縮体を圧縮させることが可能になり、その結果、この伸縮体を介在させる車両における車高を下げて所望の低車高状態にし、積荷の積み降ろしや人の乗降を容易にすることが可能になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来提案としての車高調整装置にあっては、以下のような不具合があることが指摘されている。
【0011】
すなわち、まず、伸縮体が伸縮してポンピング機構が作動するとき、ポンプ室からの油が油圧室に吐出されると共に油圧室からの油がアキュムレータに吐出されるが、ポンプ室からの吐出量がポンプロッドの断面積で決まると共に油圧室からの吐出量がピストンロッドの断面積で決まり、かつ、ピストンロッドの断面積の方がポンプロッドの断面積に勝るから、伸縮体においては圧縮動作を伴いながらのポンピング作用で伸長動作をすることになる。
【0012】
したがって、車両においては、伸縮体の圧縮で車体が下がる傾向になるときにポンピング作用による伸縮体の伸長で車体が上がる傾向になり、その結果、車体が上下動しながら車高が高くなる危惧があると共に、アキュムレータへの蓄圧が速やかに実現されなくなる危惧がある。
【0013】
つぎに、ポンピング機構の作動時にポンプ室から吐出される油は、一旦油圧室に吐出されてからアキュムレータに吐出されることになるから、このアキュムレータにおける内圧は、油圧室における油圧に基づいて設定されることになり、油圧室における油圧に大きく勝るようには設定し得ないことになる。
【0014】
また、車両が空車状態で走行している場合や良路を走行している場合には、伸縮体が伸縮してもポンピング機構がほとんど作動せず、したがって、アキュムレータへの油の供給、すなわち、適度の蓄圧が実現されないことになる。
【0015】
その結果、アキュムレータは、たとえば、走行中の車両が路面突起を乗り上げた場合に大量の油の流入を許容するとしても、たとえば、車両の車高が停車中の積載荷重の増加などによって低下したような場合には、いわゆる低車高状態にある車高を上げて走行中のいわゆる腹摺りを防止するとしてもこれを実現し得なくなる。
【0016】
すなわち、上記の開閉弁を閉じたままで油圧室とアキュムレータを連通する通路中の切換弁を切り換えてアキュムレータの油を油圧室に供給しようとしても、アキュムレータに十分な蓄圧がなく、したがって、所望の高車高状態への調整が不可能になると言い得る。
【0017】
そして、上記の車高上げを実現可能にするには、断面積を大きくすべくアキュムレータをより大径のものにしなければならず、アキュムレータを大径のものにすれば、ポンピング機構の作動を実現させるためにシリンダやピストンロッドさらにはポンプシリンダやポンプロッドなどの関連する部材の大径化を招来することになり、結果的には、いわゆるイタチごっこになる不合理がある。
【0018】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、セルフポンピング作用で走行中の車両における車高を一定の車高に維持するのはもちろんのこと、ポンピング機構の作動による車高上げ動作を円滑に実現させると共に、停車中の車両における車高が積載荷重の増加などで下がった場合にも外部操作で確実に適正な車高に調整することを可能にするのに最適となる車高調整装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、 車軸側に連結される外筒と、この外筒内に同芯に配置したシリンダと、車体側に連結されると共に上記シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入した中空なピストンロッドと、上記シリンダ内にピストンを介して隔成したピストン上室及びピストン下室と、上記ピストンに設けられて上記ピストン上室とピストン下室とを連通する減衰バルブと、上記シリンダと外筒との間に隔成された低圧側チャンバ及び高圧側チャンバと、上記ピストンロッド内に挿入した中空なポンプシリンダと、このポンプシリンダ内に下方に向けて摺動自在に挿入させた中空なポンプロッドと、上記ポンプシリンダ内に上記ポンプロッドで隔成されたポンプ室と、上記ポンプシリンダの外周と上記ピストンロッドの内周との間に隔成された筒状通路と、上記ポンプロッドの外周に軸方向に沿って形成されて上記ピストン下室に開口する切欠き通路と、上記ポンプシリンダに形成されて上記筒状通路を上記切欠き通路に連通または遮断させる開口と、上記ポンプロッド内に形成されて上記ポンプ室を上記低圧側チャンバに吸込み弁を介して連通させる通路と、同じく上記ポンプロッドに形成されて上記通路を上記ピストン下室に開閉させるレベリングポートと、を備えた車高調整装置において、上記ポンプ室と上記筒状通路とを接続する流路を設け、上記ポンプシリンダ内に上記ポンプ室から上記流路へのみ油の流れを許容する吐出弁を設け、上記流路の途中に上記ポンプ室から上記筒状通路へのみ油の流れを許容するチェック弁を設け、更に上記吐出弁と上記チェック弁との間の流路にアキュムレータを接続させたことを特徴とするものである。
【0020】
また、より具体的には、ポンピング機構が伸縮体を構成し車軸側部材とされるシリンダと、伸縮体を構成し車体側部材とされシリンダ内に摺動可能に収装されて油圧室としてのピストン上室とピストン下室を区画するピストンを下端に保持して下端側がシリンダ内に出没可能に挿通される中空なピストンロッドと、この中空なピストンロッド内に隙間を有して挿入されてピストンロッドとの間に筒状通路を形成するポンプシリンダと、このポンプシリンダ内に挿通されてポンプシリンダ内にポンプ室を区画すると共に内部の通路が低圧側のチャンバに連通される中空なポンプロッドとを有してなり、中空なピストンロッドの上端を介してポンプ室に流路の上流端が接続されると共に、中空なピストンロッドとポンプシリンダとの間の筒状通路に流路の下流端が接続されてなり、ポンプシリンダの上端に吐出弁が配在されると共に、ポンプシリンダの下端部にこのポンプシリンダの内周側と上記筒状通路とを連通させる開口が開穿されてなり、ポンプロッドの上端に吸い込み弁が配在されると共に、ポンプロッドの中間部の外周に上記開口を介しての筒状通路のピストン下室への連通を可能にする通路が形成され、かつ、ポンプロッドの上端側にこのポンプロッドの外周側と内部の通路とを連通させるレベリングポートが開穿されてなるとする。
【0021】
そして、好ましくは、流路に配在のチェック弁が外部操作で開放ポジションに切り換わる切換弁に組み込まれてなるとし、さらに、流路に接続しアキュムレータに接続するアキュムレータ用流路に外部操作で開放ポジションに切り換わるノーマルチェックの切換弁が配在されると共に、この切換弁におけるチェックポジションがポンプ室からの油の通過は許容するがアキュムレータからの油の通過を阻止するように設定されてなるとする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による車高調整装置は、図1および図2に示すように、基本的には、車軸側に連結される外筒14と、この外筒14内に同芯に配置したシリンダ11と、車体側に連結されると共に上記シリンダ11内にピストン12を介して移動自在に挿入した中空なピストンロッド13と、上記シリンダ11内にピストン12を介して隔成したピストン上室R1及びピストン下室R2と、上記ピストン12に設けられて上記ピストン上室R1とピストン下室R2とを連通する減衰バルブ12aと、上記シリンダ11と外筒14との間に隔成された低圧側チャンバ及び高圧側チャンバと、上記ピストンロッド13内に挿入した中空なポンプシリンダ22と、このポンプシリンダ22内に下方に向けて摺動自在に挿入させた中空なポンプロッド23と、上記ポンプシリンダ22内に上記ポンプロッド23で隔成されたポンプ室Pと、上記ポンプシリンダ22の外周と上記ピストンロッド13の内周との間に隔成された筒状通路13aと、上記ポンプロッド23の外周に軸方向に沿って形成されて上記ピストン下室R2に開口する切欠き通路23bと、上記ポンプシリンダ22に形成されて上記筒状通路13aを上記切欠き通路23bに連通または遮断させる開口22aと、上記ポンプロッド23内に形成されて上記ポンプ室Pを上記低圧側チャンバに吸込み弁24を介して連通させる通路23aと、同じく上記ポンプロッド23に形成されて上記通路23aを上記ピストン下室R2に開閉させるレベリングポート23cとを備えてなるとしている。
そして、この車高調整装置において、上記ポンプ室Pと上記筒状通路13aとを接続する流路Lを設け、上記ポンプシリンダ22内に上記ポンプ室Pから上記流路Lへのみ油の流れを許容する吐出弁21を設け、上記流路Lの途中に上記ポンプ室Pから上記筒状通路13aへのみ油の流れを許容するチェック弁Cを設け、更に上記吐出弁21と上記チェック弁Cとの間の流路LにアキュムレータAを接続させてなるとしている。
さらに詳しく説明すると、この車高調整装置は、車両(図示せず)における車体(図示せず)側と車軸(図示せず)側との間に配在されて車体の相対上下動に応じて伸縮すると共に伸縮時にセルフポンピング作用をするポンピング機構を内蔵する伸縮体1と、この伸縮体1に内蔵のポンピング機構に連通するアキュムレータAとを有してなり、かつ、ポンピング機構を構成するポンプ室Pが吐出弁21を介してアキュムレータAに連通されてなるとしている。
【0023】
そして、ポンプ室Pが伸縮体1を構成し伸縮体1における反力源となる油圧室に流路Lを介して連通可能とされると共に、流路Lにポンプ室Pからの油の通過は許容するがその逆流を阻止するチェック弁Cを有し、かつ、流路Lにおけるチェック弁Cと上記吐出弁21との間にアキュムレータAが接続されてなるとしている。
【0024】
まず、伸縮体1は、車軸側部材とされるシリンダ11と、車体側部材とされて下端側がシリンダ11内に挿通されると共に下端にシリンダ11内に摺動可能に収装されて油圧室としてのピストン上室R1とピストン下室R2を区画するピストン12を保持する中空なピストンロッド13と、シリンダ11の外周側に配在されてシリンダ11との間に筒状の容室を形成する外筒14とを有してなり、複筒型の油圧緩衝器の態様に形成されている。
【0025】
すなわち、この伸縮体1は、ピストン12に減衰バルブ12aを有しており、この減衰バルブ12aを介してのピストン上室R1とピストン下室R2の減衰力発生を伴う相互連通を可能にする一方で、ピストン下室R2の受圧面積の方がピストン上室R1の受圧面積よりも勝るとして、このピストン下室R2をこの伸縮体1における反力源となる主たる油圧室に設定している。
【0026】
また、この伸縮体1は、シリンダ11の下端をボトムブロック15で封止すると共に、このボトムブロック15に開穿されたポート15aを介してピストン下室R2をシリンダ11と外筒14との間に形成の上記筒状の容室に連通させるとしている。
【0027】
この筒状の容室は、複筒型の油圧緩衝器においてリザーバ室とされるもので、図示する実施の形態では、上記のピストン下室R2に連通する油圧室としての高圧側のチャンバを有すると共に、ポンピング機構におけるポンプ室Pに吸入される油を貯留するリザーバとしての低圧側のチャンバを有するとしている。
【0028】
ところで、この筒状の容室内に形成の油圧室としての高圧側のチャンバは、ボトムブロック15の下端側の外周に下端が保持されてその内周とシリンダ11の外周との間に適宜の隙間を有する状態に配在されるリテーナ16を有してなると共に、このリテーナ16によって外筒14の内周に定着されたブラダ17を有してなる。
【0029】
そして、ブラダ17と外筒14の間を密封されたガス室Gに設定すると共に、リテーナ16とブラダ17の間を油室R3に設定し、この油室R3をボトムブロック15に開穿のポート15aを介して主たる油圧室としてのピストン下室R2に連通させている。
【0030】
また、この筒状の容室内に形成のリザーバとしての低圧側のチャンバは、筒状の容室内の上半側に形成されてなるもので、油面Oを境にするガス室G1を有しており、この低圧側のチャンバをリテーナ16とシリンダ11との間に形成の隙間およびボトムブロック15に開穿のポート15bを介して後述するポンピング機構に連通させている。
【0031】
ちなみに、外筒14の下端は、ボトムブロック15を担持するボトム部材18で封止され、外筒の上端は、シリンダ11の上端を閉塞すると共にピストンロッド13を挿通させる軸封部材19で封止されている。
【0032】
以上のように形成されたこの実施の形態による伸縮体1にあっては、ピストン12がシリンダ11内を下降する圧縮作動時に、ピストン下室R2の油がピストン12に配在の減衰バルブ12aを介してピストン上室R1に流入すると共に、ピストン下室R2で余剰となる侵入ピストンロッド体積分に相当する量の油がシリンダ11と外筒14との間に形成の高圧側のチャンバたる油室R3に流入する。
【0033】
また、ピストン12がシリンダ11内を上昇する伸長作動時には、ピストン上室R1の油がピストン12に配在の減衰バルブ12aを介してピストン下室R2に流出すると共に、このピストン下室R2で不足となる退出ロッド体積分に相当する量の油が油室R3から補充される。
【0034】
その結果、この伸縮体1の伸縮時には、油が減衰バルブ12aを通過することで所定の大きさの減衰力が発生すると共に、油室R3に対して油が流出入することでいわゆるガスばね効果の発揮を期待できることになる。
【0035】
つぎに、ポンピング機構は、上記のシリンダ11と中空なピストンロッド13とに関連して構成されているもので、図示する実施の形態では、上記のシリンダ11および中空なピストンロッド13の他に、ポンプシリンダ22と中空なポンプロッド23を有してなる。
【0036】
少し説明すると、ポンプシリンダ22は、中空なピストンロッド13内に隙間を有して挿入されてピストンロッド13との間に筒状通路13aを形成し、その上端内部にチェック弁からなる吐出弁21を配在させている。
【0037】
そして、このポンプシリンダ22は、その下端が中空なピストンロッド13の下端との間で封止されることで筒状通路13aをピストン下室R2から遮断する一方で、下端部に開穿された開口22aを介して筒状通路13aをこのポンプシリンダ22の内周側に連通させている。
【0038】
中空なポンプロッド23は、その下端がボトムブロック15の上端軸芯部に連設されてシリンダ11の軸芯部に起立されており、上端側がポンプシリンダ22内に挿通されてこのポンプシリンダ22内にポンプ室Pを区画すると共に内部の通路23aがボトムブロック15に開穿のポート15bを介して低圧側のチャンバに連通されるとしている。
【0039】
そして、このポンプロッド23にあっては、上端にポンプ室Pに対向するチェック弁からなる吸い込み弁24が配在されてなると共に、中間部の外周に上記開口22aを介しての筒状通路13aのピストン下室R2への連通を可能にする通路23bが形成されてなるとし、かつ、上端側にこのポンプロッド23の外周側と内部の通路23aとを連通させるレベリングポート23cが開穿されてなるとしている。
【0040】
以上のように形成されたポンピング機構にあっては、さらに、中空なピストンロッド13の上端に流路Lの上流端が接続されると共に、中空なピストンロッド13の上端部の外周に流路Lの下流端が接続されてなるとしている。
【0041】
そして、この流路Lに配在のチェック弁Cは、図示する実施の形態では、切換弁に組み込まれる構成とされており、この切換弁は、チェック弁Cを有するチェックポジション31と開放ポジション32を有する態様に形成されていて、たとえば、励磁信号の入力などの外部操作で開放ポジション32に切り換り、励磁信号の解除操作でチェックポジション31に切り換るように設定されている。
【0042】
そして、このチェックポジション31におけるチェック弁Cは、いわゆるバックアップされていて、ポンプ室Pからの圧力が主たる油圧室としてのピストン下室R2よりも一定値以上高くならないと開放しないリリーフ弁的にも機能するように設定されている。
【0043】
なお、アキュムレータAは、周知の構造に設定されているので、その詳しい説明は省略する。
【0044】
それゆえ、以上のように形成されたこの実施の形態によるポンピング機構にあっては、伸縮体1の圧縮作動で中空なピストンロッド13がシリンダ11内に没入されるとき、この中空なピストンロッド13内に中空なポンプロッド23が没入されることになり、このときに、ポンプ室Pにおける油を吐出弁21を開放して流路Lに吐出する。
【0045】
そして、この流路Lに吐出された油は、切換弁のチェックポジション31、すなわち、チェック弁Cの設定圧を超えるまではアキュムレータAに流入し、チェック弁Cの設定圧を超える状況になると、このチェック弁Cを介して中空なピストンロッド13の内周側に形成の筒状通路13a,ポンプシリンダ22に開穿の開口22aおよびポンプロッド23の外周に形成の通路23bを介してシリンダ11内の主たる油圧室としてのピストン下室R2に流入する。
【0046】
しかしながら、このときには、前記したように、ピストン下室R2では、中空なピストンロッド13の侵入でピストン下室R2において余剰となる油がシリンダ11外の油圧室に流入し、ピストン下室R2の圧力は中空なピストンロッド13の侵入前の圧力よりも高い状況になっているから、チェック弁Cを閉じる作用が起きる。
【0047】
このため、上記のポンプ室Pから吐出される油は、そのほとんどがアキュムレータAに流入されることになり、したがって、アキュムレータAへの所望の蓄圧が実現される。
【0048】
また、このときに、この実施の形態にあっては、アキュムレータAにおける内圧をポンプ室Pにおける内圧に基づいて設定できる上に、ピストン下室R2の内圧がチェック弁CでアキュムレータAに及ぶことが阻止されているから、ピストン下室R2の内圧より高い内圧でアキュムレータAに蓄圧できることになる。
【0049】
そしてまた、この実施の形態にあっては、ポンプ室Pから吐出される油は、前記した従来例とは異なり、アキュムレータAに直接流入されるから、車高が低下傾向にならずして車高上げを実現し得ることになり、車体が上下動しないのはもちろんのこと、アキュムレータAへの蓄圧が速やかに実現されることになる。
【0050】
一方、伸縮体1の伸長作動で中空なピストンロッド13がシリンダ11内から抜け出るとき、この中空なピストンロッド13内から中空なポンプロッド23が抜け出ることになり、このときに、低圧側のチャンバからの油がボトムブロック15のポート15b,ポンプロッド23の通路23aおよび吸い込み弁24を介してポンプ室Pに供給される。
【0051】
このとき、前記したように、ピストン下室R2では、中空なピストンロッド13の退出でピストン下室R2において不足となる量の油がシリンダ11外の油室R3から補給される。
【0052】
そして、中空なピストンロッド13内に対する中空なポンプロッド23の出没が繰り返されると、アキュムレータAに十分な油が蓄積され、その圧力が高くなるので、ポンプ室Pから吐出される油がアキュムレータAに流入し得ずして、切換弁のチェックポジション31、すなわち、チェック弁Cを押し開いて油圧室としてのピストン下室R2に流入し、このとき、シリンダ反力、すなわち、ロッド反力が増大されてピストンロッド13がシリンダ11内から突出する傾向になって、このときに、車両の車高が適正な高車高傾向に調整されることになる。
【0053】
ピストン下室R2への油の流入が継続されて、中空なポンプロッド23が中空なピストンロッド13から大きく抜き出る状態になると、このとき、ポンプシリンダ22における開口22aとポンプロッド23の外周の通路23bとの連通が遮断されると共に、ポンプロッド23に形成のレベリングポート23cがポンプシリンダ22の下端内周から離れてピストン下室R2に開口する。
【0054】
そして、この状態では、ピストン下室R2がレベリングポート23c,ポンプロッド23内の通路23aおよびボトムブロック15のポート15bを介してリザーバたる低圧側のチャンバに連通することになり、この限りでは、ポンプ室PからのアキュムレータAへの油の吐出もなく、油圧室たるピストン下室R2とアキュムレータAとの間も通路23b,開口22aおよび筒状通路13aからなるいわゆる戻り通路が閉止されているので、アキュムレータAからの油の流入もないことになる。
【0055】
その結果、伸縮体1やポンプ機構におけるいわゆる油漏れで伸縮体1が圧縮傾向になって、レベリングポート23cがポンプシリンダ22によって閉塞されない限り、伸縮体1が一定の長さを有した状態で伸縮する、すなわち、車両における車体の高さ位置を一定に維持することになる。
【0056】
一方、上記の状態から、車両の走行が中止されて伸縮体1が伸縮し得ない状況になっているときに、たとえば、積載荷重や乗員の増加で車高が下がった場合には、走行中のいわゆる腹摺りを防止するために、言わば低車高状態にある車高を上げる必要があり、このときには、主たる油圧室としてのピストン下室R2にアキュムレータAからの油を供給すれば足りる。
【0057】
すなわち、この実施の形態にあっては、レベリングポート23cがポンプシリンダ22によって閉塞されているのはもちろんであるが、このポンプシリンダ22に形成の開口22aがポンプロッド23の外周に形成の通路23bに連通する状況になっていることを条件にして、流路Lにおける切換弁を外部操作で開放ポジション32に切り換えると、アキュムレータAからの油が筒状隙間13a,開口22aおよび通路23bを介して主たる油圧室としてのピストン下室R2に供給される。
【0058】
そして、アキュムレータAからの油がピストン下室R2に供給されることで、ピストン上室R1とピストン下室R2との受圧面積の差でピストン12がシリンダ11内を上昇することになり、このときのロッド反力で車両における車高が高車高状態に調整される。
【0059】
なお、この実施の形態形態では、前記したように、アキュムレータAにおける内圧を主たる油圧室としてのピストン下室R2における内圧よりも高く設定し得るから、上記の車高上げ動作が確実に実現されることになる。
【0060】
図2は、この発明の他の実施の形態による車高調整装置を示すものであるが、この実施の形態においては、伸縮体1の構成を前記した実施の形態の場合と同一とするが、ポンピング機構を構成するポンプロッド23に形成のレベリングポート23cの高さ位置に特徴がある他、流路Lにおけるチェック弁Cの構成および流路Lにさらなる切換弁が配在されている点に特徴がある。
【0061】
それゆえ、伸縮体1を含めてその構成の同一なるところについては、図中に同一の符号を付するのみとして、要する場合を除いてその詳しい説明を省略し、以下には、この実施の形態において特徴とするところについて説明する。
【0062】
すなわち、まず、ポンプロッド23に形成のレベリングポート23cの高さ位置についてであるが、前記した実施の形態の場合に比較して、ポンプロッド23の上端により近い位置にその高さ位置が設定されている。
【0063】
これによって、レベリングポート23cが閉塞されていながら、ポンプシリンダ22に形成の開口22aとポンプロッド23の外周に形成の通路23bとの連通が遮断されているストロークが長くなる。
【0064】
その結果、このストロークがなくなるまでの間は、ポンピング作用によるポンプ室Pからの油が油圧室たるピストン下室R2には流入し得なくなり、全ての油がアキュムレータAに流入され、したがって、このアキュムレータAにおける蓄圧を前記した実施の形態の場合よりも高くし得ることになる。
【0065】
また、上記のストロークの間にポンプ室Pからの油が全てアキュムレータAに流入されるから、前記した実施の形態の場合に比較して、アキュムレータAにおける蓄圧に要する時間が大幅に短縮化されることになる。
【0066】
つぎに、流路Lに配在されるチェック弁Cは、アキュムレータAからの油のピストン下室R2側への通過は許容するがその逆流を阻止する通常のチェック弁の態様に形成されている。
【0067】
また、このチェック弁Cが配在されている流路Lに接続しアキュムレータAに接続するアキュムレータ用流路L1には、ノーマルチェックの切換弁が配在されるとしており、この切換弁におけるチェックポジション33がポンプ室Pからの油の通過は許容するがアキュムレータAからの油の通過を阻止するように設定されてなるとしている。
【0068】
なお、この切換弁にあっても、チェックポジション33の他に開放ポジション32を有する態様に形成されていて、たとえば、励磁信号の入力などの外部操作で開放ポジション32に切り換り、励磁信号の解除操作でチェックポジション33に切り換るように設定されている。
【0069】
以上のように、アキュムレータ用流路L1に切換弁を配在し、流路Lにチェック弁Cを配在することによって、ピストン下室R2の圧力がチェック弁CによってアキュムレータA側に及ぶことが阻止されながら、ポンプ室Pから吐出される油がアキュムレータAに流入される。
【0070】
のみならず、ポンプ室Pから吐出される油は、チェック弁Cを介してピストン下室R2に流入され、ピストン下室R2における圧力を上昇させて、伸縮体1を伸長させる。
【0071】
このとき、この実施の形態にあっては、チェック弁Cは、前記した図1に示す実施の形態の場合のようなリリーフ弁的な作用は不要であるため、ポンプ室Pにおける圧力が、前記した図1に示す実施の形態の場合に比較して、ピストン下室R2よりも高くならない同圧となり、したがって、いわゆるロッド反力が小さくなって、車高上げの際の車両における乗り心地を悪化しない点で有利となる。
【0072】
前記したところは、この発明による車高調整装置を構成する伸縮体1が車両における車体側と車軸側との間に配在されて車体の相対上下動に応じて伸縮すると共に伸縮時にセルフポンピング作用をするポンピング機構を内蔵するように設定されていて、これが前記した従来例のように、車両の左右各輪部におけるサスペンションを構成する油圧緩衝器(ショックアブソーバ)とは別置きとなる車高調整ユニットに設定されるか、あるいは、車両の左右各輪部におけるサスペンションを構成する油圧緩衝器に設定されるかは、自由である。
【0073】
ただ、この車高調整装置が車両の左右各輪部におけるサスペンションを構成する油圧緩衝器に設定される場合には、少なくとも上記のようないわゆる別置きの事態を招来しないので、車両におけるいわゆるパーツ数を削減できる点で有利となる。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、この発明にあっては、従来の車高調整装置と同じく、ポンプシリンダやポンプロッド等からなるポンピング機構によるセルフポンピング作用で走行中の車両における車高を一定の車高に維持し得る。しかも、このとき、アキュムレータにおける内圧を油圧室たるシリンダ下室ではなくポンプ室における内圧に基づいて設定でき、しかも、シリンダ下室の内圧がチェック弁でアキュムレータに及ぶことを阻止するから、シリンダ下室の内圧より高い内圧でアキュムレータに蓄圧できることになる。
【0075】
また、このとき、ポンプ室から吐出される油がアキュムレータに直接流入されるから、車高が低下傾向にならずして車高上げを実現し得ることになり、車体が上下動しないのはもちろんのこと、アキュムレータへの蓄圧が速やかに実現されることになり、特に、車両における車高を一定の車高に維持するレベリング時とポンプ室からの油圧を油圧室に流入できるいわゆる戻り流路が閉塞されるときとの間を長く設定すれば、一層速やかにアキュムレータへの蓄圧が実現されることになる。
【0076】
そして、アキュムレータへの蓄圧が油圧室より高くして十分となるから、アキュムレータと油圧室とを連通する流路における切換弁を外部操作で開放することで、アキュムレータからの油の油圧室への供給で伸縮体を伸長させる車高上げ動作が実現されることになる。
【0077】
その結果、この発明によれば、セルフポンピング作用で走行中の車両における車高を一定の車高に維持するのはもちろんのこと、ポンピング機構の作動による車高上げ動作を円滑に実現させることが可能になり、しかも、停車中の車両における車高が積載荷重の増加などで下がった場合にも外部操作で確実に適正な車高に調整することが可能になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による車高調整装置を一部回路図にして示す縦断面図である。
【図2】 この発明の他の実施形態による車高調整装置を図1と同様に示す図である。
【符号の説明】
1 伸縮体
11 シリンダ
12 ピストン
12a 減衰バルブ
13 ピストンロッド
13a 筒状通路
14 外筒
21 吐出弁
22 ポンプシリンダ
23 ポンプロッド
23a,23b 通路
23c レベリングポート
24 吸い込み弁
32 開放ポジション
33 チェックポジション
A アキュムレータ
C チェック弁
L 流路
L1 アキュムレータ用流路
P ポンプ室
R1 ピストン上室
R2 ピストン下室
Claims (3)
- 車軸側に連結される外筒と、この外筒内に同芯に配置したシリンダと、車体側に連結されると共に上記シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入した中空なピストンロッドと、上記シリンダ内にピストンを介して隔成したピストン上室及びピストン下室と、上記ピストンに設けられて上記ピストン上室とピストン下室とを連通する減衰バルブと、上記シリンダと外筒との間に隔成された低圧側チャンバ及び高圧側チャンバと、上記ピストンロッド内に挿入した中空なポンプシリンダと、このポンプシリンダ内に下方に向けて摺動自在に挿入させた中空なポンプロッドと、上記ポンプシリンダ内に上記ポンプロッドで隔成されたポンプ室と、上記ポンプシリンダの外周と上記ピストンロッドの内周との間に隔成された筒状通路と、上記ポンプロッドの外周に軸方向に沿って形成されて上記ピストン下室に開口する切欠き通路と、上記ポンプシリンダに形成されて上記筒状通路を上記切欠き通路に連通または遮断させる開口と、上記ポンプロッド内に形成されて上記ポンプ室を上記低圧側チャンバに吸込み弁を介して連通させる通路と、同じく上記ポンプロッドに形成されて上記通路を上記ピストン下室に開閉させるレベリングポートとを備えた車高調整装置において、上記ポンプ室と上記筒状通路とを接続する流路を設け、上記ポンプシリンダ内に上記ポンプ室から上記流路へのみ油の流れを許容する吐出弁を設け、上記流路の途中に上記ポンプ室から上記筒状通路へのみ油の流れを許容するチェック弁を設け、更に上記吐出弁と上記チェック弁との間の流路にアキュムレータを接続させたことを特徴とする車高調整装置。
- 流路に配在のチェック弁が外部操作で開放ポジションに切り換わる切換弁に組み込まれてなる請求項1の車高調整装置。
- 流路に接続しアキュムレータに接続するアキュムレータ用流路に外部操作で開放ポジションに切り換わるノーマルチェックの切換弁が配在されると共に、この切換弁におけるチェックポジションがポンプ室からの油の通過は許容するがアキュムレータからの油の通過を阻止するように設定されてなる請求項1の車高調整装置。
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