JP4018755B2 - 色信号変換用トーンカーブ作成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿画像を読み込んで得られるC、M、Yの3色信号を所望の調子再現性を有するC、M、Y、Kの4色信号に変換するための色信号変換用トーンカーブ作成方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、印刷・製版の分野において、作業工程の合理化、画像品質の向上等を目的として読取原稿に記録された画像情報を電気的に処理し、フイルム原版を作成する画像読取記録再生システムが広範に用いられている。
【0003】
この場合、前記画像読取記録再生システムでは、読取原稿をスキャンして得られたC、M、Yの3色信号を、トーンカーブを用いて所望の調子再現性を有するC、M、Y、Kの4色信号に変換した後、前記4色信号に応じた各色のフイルム原版を作成している。読み取ったC、M、Yの3色信号からC、M、Y、Kの4色信号に変換する際に行われる画像処理としては、例えば、特開平4−124666号、特開平4−253472号、特開平4−253474号の各公報に記載された方法が用いられる。
【0004】
ここで、前記トーンカーブは、フイルム原版における原稿画像の調子再現性を左右する基本条件となるもので、グレーの原稿画像の濃度に対して出力されるC、M、Y、Kの4色信号の網%値として設定される。
【0005】
従来、前記トーンカーブは、原稿濃度の測定値とフイルム原版として再現したい網%値との関係を数値入力することにより設定登録していた。この設定登録作業においては、良好な調子再現性を得るために、トーンカーブが滑らかになるように数値設定する必要があるが、そのような数値の選択には相当な熟練を要する。また、数値そのものの入力には、相当な時間を要するという不具合がある。従って、原稿の種類等に応じて多数のトーンカーブを設定登録しようとすると、かなりの時間と労力とが必要になってしまう。しかも、前記のようにして設定したトーンカーブは、テスト画像の調子再現性を確認して最終的に確定できるものであり、調子再現性が不良の場合には、再度トーンカーブの設定登録作業を行わなければならなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであり、トーンカーブの設定登録を容易且つ効率的に行うことのできる色信号変換用トーンカーブ作成方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原稿画像を読み取って得られる色信号をCMYKの網%信号に変換するための色信号変換用トーンカーブの作成方法において、
登録された複数の基本階調カーブ、複数のグレーバランスカーブおよび複数の墨版カーブからそれぞれ1つを選択するステップと、
選択された前記基本階調カーブ、前記グレーバランスカーブおよび前記墨版カーブの組み合わせによってトーンカーブを作成するステップと、
サンプル画像を読み取って得られる色信号を前記トーンカーブにより変換し、得られたCMYKの前記網%信号に基づいてプルーフ画像を作成するステップと、
前記プルーフ画像を所望の画像とすべく、前記トーンカーブを調整するステップと、
調整した前記トーンカーブを登録するステップと、
からなり、予め登録されたトーンカーブを修正することにより、所望のトーンカーブを容易且つ効率的に作成することができる。
また、本発明は、原稿画像を読み取って得られる色信号をCMYKの網%信号に変換するための色信号変換用トーンカーブの作成装置において、
複数の基本階調カーブ、複数のグレーバランスカーブおよび複数の墨版カーブを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の前記基本階調カーブ、複数の前記グレーバランスカーブおよび複数の前記墨版カーブからそれぞれ1つを選択する選択手段と、
選択された前記基本階調カーブ、前記グレーバランスカーブおよび前記墨版カーブの組み合わせによってトーンカーブを作成するトーンカーブ作成手段と、
サンプル画像を読み取って得られる色信号を前記トーンカーブにより変換し、得られたCMYKの前記網%信号に基づいてプルーフ画像を作成するプルーフ画像作成手段と、
前記プルーフ画像を所望の画像とすべく、前記トーンカーブを調整するトーンカーブ調整手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施形態の画像読取記録再生システムの概略構成図である。このシステムは、透過型原稿に記録された画像を読み取るスキャナである透過型入力機10と、ディスプレイを用いて画像の処理操作を行うワークステーション12と、前記処理操作に従って画像処理を行う画像処理ユニット14と、処理された画像をフイルム原版としてC、M、Y、Kの色別に出力する出力機16と、前記画像処理ユニット14から前記出力機16に対する信号の出力処理を行う出力インタフェースユニット18とから基本的に構成される。なお、前記透過型入力機10には、必要に応じて、反射型原稿に記録された画像を読み取るスキャナである反射型入力機20が接続される。
【0009】
透過型入力機10は、反射型入力機20からの画像信号を受信し、あるいは、当該透過型入力機10において処理された画像信号をワークステーション12に送信する入出力インタフェース22と、CPU24と、CCD等を用いて透過型原稿の画像を読み取る画像読取部26と、前記画像読取部26で得られた画像信号を電圧信号から電流信号に変換し、前記電流信号を対数変換する等の前処理を行い、C、M、Yの色信号を得る前処理回路28と、前記色信号を一時的に保持する画像バッファ30とを備える。
【0010】
ワークステーション12は、透過型入力機10からの色信号を受信し、あるいは、前記色信号を画像処理ユニット14に送信する入出力インタフェース32と、CPU34と、色信号を一時的に保持する画像バッファ36と、画像操作のためのディスプレイ38、キーボード40およびマウス42からなるコンソールとを備える。
【0011】
画像処理ユニット14は、ワークステーション12に対する信号の送受信および出力インタフェースユニット18に対する信号の送受信を行う入出力インタフェース44と、CPU46と、C、M、Yの色信号に対して所定の階調処理、輪郭処理、倍率処理等を行い、C、M、Y、Kの色信号を得る画像処理回路48と、前記画像処理回路48における各処理条件を修正する画像処理条件修正回路50と、各種画像処理条件のパラメータを記憶するパラメータ記憶部52と、階調処理に用いられるトーンカーブを記憶するトーンカーブ記憶部54とを備える。
【0012】
出力インタフェースユニット18は、画像処理ユニット14からの色信号を受信し、あるいは、前記色信号を出力機16に送信する入出力インタフェース56と、CPU58と、出力機16に対する色信号の出力処理を行う出力処理部60と、色信号を一時的に保持する画像バッファ62とを備える。
【0013】
本実施形態の画像読取記録再生システムは、基本的には以上のように構成される。次に、このシステムにおける色信号変換用トーンカーブ作成方法について、図2に示すフローチャートに従い説明する。
【0014】
先ず、画像処理ユニット14におけるトーンカーブ記憶部54に、予め基準とする仮のトーンカーブを構成する基本階調カーブ、グレーバランスカーブおよび墨版カーブの各データを登録しておく(ステップS1)。
【0015】
基本階調カーブは、例えば、Cの色信号に対して所望の調子再現性を付与するものであり、図3に示すように、Cの濃度に対する網%値として設定されている。なお、この基本階調カーブの形状は、後述するように、+3、+2、+1、標準、−1、−2、−3、S字、逆S字等を予め準備しておく。ここで、+3、+2、+1、−1、−2等は調整の方向と程度を符号化したものであり、例えば、+2は標準カーブに対して中間濃度部分を上側に10%膨らませるよう設定される。
【0016】
グレーバランスは、例えば、所定の網%値のCの色信号に対してグレー色を得ることのできるMおよびYの網%値として定義する。図4Aは、原稿濃度に対してグレー色を与えるC、M、Yの網%値の関係を示す図である。原稿濃度diにおけるCの網%値acに対するM、Yの網%値am、ay(%)として設定されるものがグレーバランスカーブであり、図4Bおよび図4Cに示される。なお、後述するように、条件を選択することにより種々の設定条件が選択可能であるものとする。
【0017】
墨版カーブは、図5に示すように、原稿濃度に対するKの網%値の関係として設定されている。なお、この墨版カーブは、前述した基本階調カーブと同様に、+3、+2、+1、標準、−1、−2、−3、S字形状、逆S字形状等を予め準備して設定しておくものとする。
【0018】
次に、オペレータは、ワークステーション12のキーボード40あるいはマウス42を用いて、ディスプレイ38に図6に示す「カーブエディタ」の画面を表示し、ステップS1で登録した仮の基本階調カーブ、グレーバランスカーブおよび墨版カーブから所望のカーブを選択する(ステップS2)。
【0019】
すなわち、オペレータは、図6に示す「カーブエディタ」の画面から「ファイル」の新規作成を選択することにより、図7に示す「カーブ設定画面」を表示する。次いで、この「カーブ設定画面」から所望の基本階調カーブ、グレーバランスカーブ、墨(K)版カーブを選択する。なお、基本階調カーブの形状は、図8Aに示す+3、+2、+1、標準、−1、−2、−3、S字、逆S字から選択することができる。グレーバランスカーブは、Cの網%値に対するM、Yの網%値として図8Bに示す条件1、条件2、条件3を選択することができる。墨版カーブは、図8Cに示す+3、+2、+1、標準、−1、−2、−3、S字、逆S字から選択することができる。
【0020】
前記のようにして所望の基本階調カーブ、グレーバランスカーブ、墨版カーブがメニュー上で選択され、且つ、ハイライトおよびシャドウの所望の濃度対網%値、墨版カーブのスタートポイントの濃度が設定されると、次に、染料スケール、カラーチャート等の基準となるサンプル原稿を透過型入力機10あるいは反射型入力機20から読み込み(ステップS3)、ステップS2で選択されたトーンカーブを用いてプルーフの作成を行う(ステップS4)。
【0021】
この場合、原稿濃度SMPLD(i)(i=1〜n:nはサンプル数)は、ハイライト濃度UHLVD 、シャドウ濃度USHVD を用いて正規化され、
SORGD(i)=SMPLD(i)・(USHVD −UHLVD ) …(1)
として正規化された原稿濃度SORGD(i)が得られる。そして、ステップS2で選択された基本階調カーブを用いて、所定の補間関数Fbc によりCの色信号に係る原稿濃度SORGD(i)と網%値SDOTPC(i) との関係が次のようにして求められる。
【0022】
SDOTPC(i) =Fbc(SORGD(i)) …(2)
ここで用いられる補間関数Fbc としては、状況に応じて種々の補間関数が使用できる。例えば、直線補間の他、例えば、準エルミート補間、あるいはスプライン補間等を用いることができる。
【0023】
次いで、ステップS2で選択されたグレーバランスカーブを用いて、所定の補間関数GcyおよびGcmによりYおよびMの色信号に係る網%値SDOTPY(i)およびSDOTPM(i)が次のようにして求められる。
【0024】
SDOTPY(i) =Gcy(SDOTPC(i)) …(3)
SDOTPM(i) =Gcm(SDOTPC(i)) …(4)
さらに、ステップS2で選択された墨版カーブを用いて、所定の補間関数Fbk によりKの色信号に係る網%値SDOTPK(i) が次のようにして求められる。
【0025】
SDOTPK(i) =Fbk(SORGD(i)) …(5)
以上のようにして、C、M、Y、Kの各色信号に係る網%値SDOTPC(i) 、SDOTPM(i) 、SDOTPY(i) 、SDOTPK(i) によりトーンカーブが作られる。トーンカーブは画像処理ユニット14に設定され、設定されたトーンカーブを用いてサンプル原稿のプルーフを作成する(ステップS4)。この場合、サンプル原稿に係るC、M、Yの色信号は、透過型入力機10からワークステーション12を介して画像処理ユニット14に転送され、前記(1)式〜(5)式の関係式を用いてC、M、Y、Kの網%値に変換された後、出力インタフェースユニット18を介して出力機16によりプルーフが作成される。
【0026】
そこで、オペレータは、前記プルーフとサンプル原稿とを比較し、プルーフの確認を行う(ステップS5)。そして、前記プルーフが所望のものであれば、この場合に使用したトーンカーブを正規のものとして登録する(ステップS7)。
【0027】
前述したステップS4では、プルーフを作成して調整する場合について説明したが、サンプル原稿の所定の部位における望ましい網%値が明らかである場合は、プルーフを作ることなく所望の網%値となるよう調整を行えばよい。
【0028】
一方、前記プルーフが所望のものでない場合、トーンカーブの修正作業を行う(ステップS6)。この場合、ワークステーション12のディスプレイ38には、図9に示す「ユーザカーブ画面」が表示され、この画面のメニューに従ってトーンカーブの修正が行われる。そして、ステップS4〜S6の処理を繰り返すことにより所望のトーンカーブが設定され、トーンカーブ記憶部54に格納される。あるいは、「カーブエディタ」の画面において、原稿濃度に対する登録網%値を修正して登録する。
【0029】
なお、トーンカーブは、サンプル原稿の種類等に応じて作成して登録しておけば、必要に応じて所望のものを選択して使用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、予め登録した基本階調カーブ、グレーバランスカーブおよび墨版カーブの中から選択して組み合わせることにより作られるトーンカーブを用いてサンプル画像の色変換処理を行ってプルーフを作成し、そのプルーフから前記トーンカーブを修正して登録することができるため、その設定登録を容易且つ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の画像読取記録再生システムの構成図である。
【図2】本実施形態の色信号変換用トーンカーブ作成方法のフローチャートである。
【図3】基本階調カーブの説明図である。
【図4】図4A〜図4Cは、原稿濃度に対するC、M、Yの網%値、Cの網%値に対するMの網%値、Yの網%値を示す図である。
【図5】墨版カーブの説明図である。
【図6】カーブエディタ画面の説明図である。
【図7】カーブ設定画面の説明図である。
【図8】図8Aは基本階調カーブを選択するプルダウンメニューの説明図、図8Bはグレーバランスカーブを選択するプルダウンメニューの説明図、図8Cは墨版カーブを選択するプルダウンメニューの説明図である。
【図9】ユーザカーブ画面の説明図である。
【符号の説明】
10…透過型入力機 12…ワークステーション
14…画像処理ユニット 16…出力機
18…出力インタフェースユニット 20…反射型入力機
Claims (6)
- 原稿画像を読み取って得られる色信号をCMYKの網%信号に変換するための色信号変換用トーンカーブの作成方法において、
登録された複数の基本階調カーブ、複数のグレーバランスカーブおよび複数の墨版カーブからそれぞれ1つを選択するステップと、
選択された前記基本階調カーブ、前記グレーバランスカーブおよび前記墨版カーブの組み合わせによってトーンカーブを作成するステップと、
サンプル画像を読み取って得られる色信号を前記トーンカーブにより変換し、得られたCMYKの前記網%信号に基づいてプルーフ画像を作成するステップと、
前記プルーフ画像を所望の画像とすべく、前記トーンカーブを調整するステップと、
調整した前記トーンカーブを登録するステップと、
からなることを特徴とする色信号変換用トーンカーブ作成方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記基本階調カーブ、前記グレーバランスカーブおよび前記墨版カーブのそれぞれを選択するステップが、表示画面上のメニューの選択により行われることを特徴とする色信号変換用トーンカーブ作成方法。 - 請求項1または2記載の方法において、
前記トーンカーブを調整するステップは、前記色信号を前記トーンカーブにより変換して得られる網%値を表示画面上で修正して行われることを特徴とする色信号変換用トーンカーブ作成方法。 - 原稿画像を読み取って得られる色信号をCMYKの網%信号に変換するための色信号変換用トーンカーブの作成装置において、
複数の基本階調カーブ、複数のグレーバランスカーブおよび複数の墨版カーブを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の前記基本階調カーブ、複数の前記グレーバランスカーブおよび複数の前記墨版カーブからそれぞれ1つを選択する選択手段と、
選択された前記基本階調カーブ、前記グレーバランスカーブおよび前記墨版カーブの組み合わせによってトーンカーブを作成するトーンカーブ作成手段と、
サンプル画像を読み取って得られる色信号を前記トーンカーブにより変換し、得られたCMYKの前記網%信号に基づいてプルーフ画像を作成するプルーフ画像作成手段と、
前記プルーフ画像を所望の画像とすべく、前記トーンカーブを調整するトーンカーブ調整手段と、
を備えることを特徴とする色信号変換用トーンカーブ作成装置。 - 請求項4記載の装置において、
複数の前記基本階調カーブ、複数の前記グレーバランスカーブおよび複数の前記墨版カーブをメニューから選択可能に表示する表示手段を備えることを特徴とする色信号変換用トーンカーブ作成装置。 - 請求項4または5記載の装置において、
前記色信号を前記トーンカーブにより変換して得られる網%値を調整可能に表示する表示手段を備えることを特徴とする色信号変換用トーンカーブ作成装置。
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