JP3737311B2 - 画像処理装置およびそれを備える画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、デジタルカラー複写機等のデジタルカラー画像形成装置に用いられる画像処理装置およびそれを備える画像形成装置に関し、特に階調補正処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
階調補正処理に関する従来技術は、特開平4−180354号公報に開示されている。前記公報の濃度補正装置を備えたデジタル複写機は、電子写真方式の印刷機を備える。前記印刷機内において、感光フィルムは変調された光ビームによって露光され、光ビームの変調は光変調信号によって制御される。前記濃度補正装置は、処理対象の画像信号を光変調信号に変換するのと同時に、階調補正処理を行う。このために前記濃度補正装置は、予め設定されるデジタル複写機の所望特性と、予め定める基準変換テーブルとを記憶している。前記所望特性は、画像信号の濃度値に対する記録濃度の変化を示す。前記基準変換テーブルは、画像信号内の濃度値に対する光変調信号の値の予め定める変化を示す基準の補正曲線である。
【0003】
前記濃度補正装置は、画像信号の処理時に実際に用いる補正曲線である信号変換テーブルの作成のために、以下の手順の処理を行う。まず濃度補正装置は、濃度値が相互に異なる複数の基準画像信号を発生させ、基準変換テーブルに基づいて各基準画像信号を光変調信号にそれぞれ変換し、印刷機に与える。印刷機は、各光変調信号に基づいて光ビームを変調し、該光ビームを用いて感光フィルムを露光し、露光後の感光フィルムを現像することによって、各基準画像信号に対応する記録画像を印刷する。濃度補正装置は、印刷された各記録画像の濃度を測定し、各濃度に対する前記所望特性上の濃度値を求める。
【0004】
次いで濃度補正装置は、各記録画像の濃度に対する前記所望特性上の濃度値に対する前記基準変換テーブル上の光変調信号の値と、該各記録画像に対応する基準画像信号の濃度値に対する該基準変換テーブル上の光変調信号の値との偏差を、算出する。次いで濃度補正装置は、求められた基準画像信号の濃度値の偏差を用いた補間処理を行い、基準画像信号の濃度値以外の他の濃度値の偏差を得て、濃度値の偏差を連続的なデータにする。前記補間処理は、一般的に公知の補間処理であり、スプライン補間法、直線補間法と平滑化法との組合わせ、またはn次関数近似法で実現される。
【0005】
最後に前記濃度補正装置は、基準変換テーブルを補正して、信号変換テーブル上の値を得る。各記録画像の濃度に対する前記所望特性上の濃度値に対する信号変換テーブル上の補正値には、該各記録画像に対応する基準画像信号の濃度値に対する基準補正曲線上の光変調信号の値が代入される。各記録画像の濃度に対する前記所望特性上の濃度値以外の他の濃度値に対する信号変換テーブル上の補正値は、基準変換テーブルを連続的な偏差のデータに基づいて補正することによって、得られる。以上の処理の結果得られた信号変換テーブルが、濃度補正装置で実際に用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特開平4−180354号公報の濃度補正装置は、連続的な濃度値の偏差のデータを得るために、補間処理を行う。補間処理は、スプライン補間法、直線補間法と平滑化法との組合わせ、またはn次関数近似法で実現されている。これらの公知の補間法が用いられる場合、偏差の補間処理の際に基準変換テーブルが参照されない。これによって信号変換テーブルの出力特性が信頼性に欠けるものになり易い。
【0007】
本発明の目的は、階調補正処理で実際に用いられる補正曲線の出力特性の信頼性を向上することができる画像処理装置およびその画像処理装置を含む画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
(a)前記指定濃度値XPi,XPi+1に対する補正値YP(XPi),YP(XPi+1)を、前記指定濃度値XPi,XPi+1に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値XPi,XPi+1に対応する補正量とを加算して算出し、
(b)前記指定濃度値XPi,XPi+1両端とする区間である第1区間ΔXPi内にある前記補正曲線の形状を、前記指定濃度値に対する補正値YP(XPi),YP(XPi+1)を両端とする区間である第2区間ΔYBi内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(c)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(d)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(e)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(f)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、階調補正処理手段は、補間演算線形補間法を用いた場合よりは滑らかな補正曲線を、スプライン補間法またはn次関数近似法を用いた場合よりも簡易な計算で高速に作成することができる。
また、指定濃度値を両端とする第1区間毎の補正曲線の出力特性は、第1区間の両端と同じ指定濃度値に対する補正曲線上の補正値を両端とする第2区間の基準補正曲線の出力特性と相似になる。これによって、基準補正曲線に基づく出力特性がほぼ線形である出力区間は、作成された補正曲線に基づく補正が成された後も、ほぼ線形な出力特性を有する。
【0010】
前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量であるので、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができる。
【0012】
画像処理装置は、前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段をさらに含み、
前記階調補正処理手段は、前記第1の補正量の決定時に、
(a)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(c)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(d)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定するので、前記画像処理装置内の前記階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に対して最も適切な第1の補正量を、設定することができる。
【0013】
前記階調補正処理手段は、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止するので、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、画像パターンの読取り時に、画像入力手段によって正確に区別することの難しい濃度が得られた場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止する。
区別の難しい濃度としては、画像入力手段が読取り可能な濃度の範囲において、下限濃度よりも僅かに高い濃度、および飽和濃度よりも僅かに低い濃度が挙げられる。下限濃度よりも僅かに高い濃度の画像パターンは、人の目から見て薄い色になる。飽和濃度よりも僅かに低い濃度の画像パターンは、人の目から見て飽和濃度よりもやや薄い色になる。画像入力手段は、下限濃度よりも僅かに高い濃度の画像パターンの濃度を、誤って下限濃度として読取ってしまう。画像入力手段は、飽和濃度よりも僅かに低い濃度の画像パターンの濃度を、誤って飽和濃度であると認識してしまう。
区別の難しい濃度を用いた補正値の算出が行われないので、画像出力手段が出力可能な濃度の範囲内の低濃度部および高濃度部内にある指定濃度値に対応する第1の補正量は、より適切なものになる。
【0014】
また本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和である補正量を記憶している補正量記憶手段と、
画像の階調補正処理に関して設定される前記調整量を入力して前記補正量記憶手段に与える調整量入力手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
(a)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、
(b)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 両端とする区間である第1区間Δ XP i 内にある前記補正曲線の形状を、前記指定濃度値に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を両端とする区間である第2区間Δ YB i 内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(c)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(d)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(e)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(f)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置である。
本発明に従えば、画像処理装置は、画像の階調補正処理に関して設定される調整量を入力する調整量入力手段をさらに含み、
前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和であるので、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができ、かつ調整量に基づいた濃度値の補正処理を行うことができる。
【0015】
また本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像に対して、ディザ方式の中間調補正処理を施す中間調補正処理手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
(a)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、
(b)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 両端とする区間である第1区間Δ XP i 内にある前記補正曲線の形状を、前記指定濃度値に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を両端とする区間である第2区間Δ YB i 内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を算出し、
前記基準補正曲線および前記指定濃度値に対応する補正量は、前記中間調補正処理手段が用いることができるディザマトリクスのサイズ毎に設定されていることを特徴とする画像処理装置である。
本発明に従えば、画像処理装置は、前記画像に対して、ディザ方式の中間調補正処理を施す中間調補正処理手段をさらに含み、
前記基準補正曲線および前記指定濃度値に対応する補正量は、前記中間調補正処理手段が用いることができるディザマトリクスのサイズ毎に設定されているので、前記画像処理装置内の前記階調補正処理手段は、各ディザマトリクスのサイズ毎に適切な階調補正処理を行うことができる。
【0016】
また本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段と、
前記補正曲線を記憶する補正曲線記憶手段とを含み、
前記補正曲線は、入力濃度値に対する補正値の変化を示し、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線と、
前記画像出力手段が出力する画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線とに基づいて、
(a)入力濃度値の範囲内で相互に間隔をあけて指定された入力濃度値である複数の各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力させ、
(c)出力された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 を読取らせ、
(d)各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 に対する前記目標特性曲線上の入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を算出し、
(e)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) に対する補正値 YP(YM i ),YP(YM i+1 ) として、前記指定濃度値 XP i , XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) , YB(XP i+1 ) を採用し、
(f)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を両端とする第4区間Δ XB(YMi) 内にある補正曲線の形状を、第4区間の両端の入力濃度値に対する曲線値 V(YM i ),V(YM i+1 ) を両端とする第5区間Δ V(YM i ) 内にある前記基準補正曲線の形状を濃度値軸方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記第4区間Δ XB(YM i ) 内の入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を算出して、作成されており、
前記階調補正処理手段は、
前記第1の補正量の決定時に、
前記読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置である。
また本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和である補正量を記憶している補正量記憶手段と、
画像の階調補正処理に関して設定される前記調整量を入力して前記補正量記憶手段に与える調整量入力手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段と、
前記補正曲線を記憶する補正曲線記憶手段とを含み、
前記補正曲線は、入力濃度値に対する補正値の変化を示し、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線と、
前記画像出力手段が出力する画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線とに基づいて、
(a)入力濃度値の範囲内で相互に間隔をあけて指定された入力濃度値である複数の各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力させ、
(c)出力された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 を読取らせ、
(d)各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 に対する前記目標特性曲線上の入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を算出し、
(e)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) に対する補正値 YP(YM i ),YP(YM i+1 ) として、前記指定濃度値 XP i , XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) , YB(XP i+1 ) を採用し、
(f)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を両端とする第4区間Δ XB(YMi) 内にある補正曲線の形状を、第4区間の両端の入力濃度値に対する曲線値 V(YM i ),V(YM i+1 ) を両端とする第5区間Δ V(YM i ) 内にある前記基準補正曲線の形状を濃度値軸方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記第4区間Δ XB(YM i ) 内の入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を算出して、作成されており、
前記階調補正処理手段は、
前記第1の補正量の決定時に、
前記読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置である。
【0017】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、階調補正処理手段が用いる補正曲線は、補間演算に線形補間法を用いて作成された補正曲線よりも滑らかになっており、補間演算にスプライン補間法またはn次関数近似法を用いて作成された補正曲線と同じくらい滑らかになっている。補正曲線は、スプライン補間法またはn次関数近似法を用いた補間演算よりも比較的簡易な計算で高速に作成することができる。指定濃度値を両端とする第1区間毎の補正曲線の出力特性は、第1区間の両端と同じ指定濃度値に対する補正曲線上の補正値を両端とする第2区間の基準補正曲線の出力特性と相似になる。これによって、基準補正曲線に基づく出力特性がほぼ線形である出力区間は、作成された補正曲線に基づく補正が成された後も、ほぼ線形な出力特性を有する。また画像処理装置は、補正曲線自体を予め作成して記憶しているので、第1の発明の画像処理装置よりも、補正曲線を作成する時間の分だけ速く、階調補正処理を行うことができる。
【0018】
また本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を用いた補間演算により算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(a)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(c)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(d)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置である。
【0019】
また本発明は、画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和である補正量を記憶している補正量記憶手段と、
画像の階調補正処理に関して設定される前記調整量を入力して前記補正量記憶手段に与える調整量入力手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),Y P(XP i+1 ) を用いた補間演算により算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(a)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(c)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(d)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置である。
【0020】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、補間演算時に、
(a)前記指定濃度値に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) に対する基準補正曲線上の入力濃度値 XB(YB i ),XB(YB i+1 ) を両端とする区間である第3区間Δ XB i を算出し、
(b)前記第3区間Δ XB i の両端と前記第1区間Δ XP i の両端とが一致するように、第3区間内の入力濃度値 J i を第1区間内の入力濃度値 XX(J i ) に対応付け、
(c)前記第3区間内の入力濃度値 J i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(J i ) を、該入力濃度値 J i に対応付けられる前記第1区間内の入力濃度値 XX(J i ) に対する補正値 YP(XX(J i )) として用いることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、階調補正処理手段は、第1区間内の入力濃度値に対する補正曲線上の補正値を、第3区間内の入力濃度値と該入力濃度値に対する補正曲線上の補正値とに基づいて、算出することができる。
【0022】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記第3区間内の入力濃度値 J i に対応付ける前記第1区間内の入力濃度値 XX(J i ) の決定時に、
(a)前記第3の区間の幅 XB(YB i+1 )-XB(YB i ) に対する前記第1の区間の幅 XP i+1 -XP i の比率と、該第3区間の一方端から該第3区間内の入力濃度値までの距離 J i -XB(YB i ) との積に、前記第1の区間の一方端の指定濃度値 XP i を加算した値を算出し、
(b)算出された和を予め定める桁数に丸め、丸められた値と等しい前記第1区間内の入力濃度値 XX(J i ) を、前記第3区間内の入力濃度値 J i に対応付けることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、階調補正処理手段は、入力濃度値の桁数が予め定められている場合、第1区間内の入力濃度値に対する補正曲線上の補正値を、第3区間内の入力濃度値と該入力濃度値に対する補正曲線上の補正値とに基づいて、算出することができる。
【0024】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記第1の区間Δ XP i 内の補正曲線の形状が前記基準補正曲線の前記第2の区間Δ YB i 内の部分を濃度値軸に平行な方向Xに伸長した形状となる補間演算を行う場合、
前記第1の区間内の全入力濃度値のうち、前記第3の区間内の入力濃度値 J i に対応付けられる入力濃度値 XX(J i ) 以外の残余の入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を、補間演算によって求めることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、第1区間が第3区間よりも広い場合、第1区間内の全入力濃度値のうちの一部が、第3区間内の入力濃度値に対応付けられない。階調補正処理手段は、第3区間内の入力濃度値に対応付けられていない第1区間内の入力濃度値に対する補正値を、補間演算によって、容易に求めることができる。
【0026】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記第1の区間Δ XP i 内の補正曲線の形状が前記基準補正曲線の前記第2の区間Δ YB i 内の部分を濃度値軸に平行な方向Xに圧縮した形状となる補間演算を行う場合、
前記第1の区間内の単一の入力濃度値 XX(J i ) に前記第3の区間内の複数の入力濃度値が重複して対応付けられるとき、重複する前記第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正曲線上の補正値のうち、最後に算出された補正値を、前記第1の区間内の入力濃度値 XX(J i ) に対する補正値 YP(XX(J i )) として用いることを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、第1区間が第3区間よりも狭い場合、階調補正処理手段は、補正曲線をより速く作成することができる。
【0028】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記第1の区間Δ XP i 内の補正曲線の形状が前記基準補正曲線の前記第2の区間Δ YB i 内の部分を濃度値軸に平行な方向Xに圧縮した形状となる補間演算を行う場合、
前記第1の区間内の単一の入力濃度値 XX(J i ) に前記第3の区間内の複数の入力濃度値が重複して対応付けられるとき、重複する前記第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正曲線上の補正値の中央値を、前記第1の区間内の入力濃度値 XX(J i ) に対する補正値 YP(XX(J i )) として用いることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、第1区間が第3区間よりも狭い場合、基準補正曲線の第2区間内の部分を水平方向に圧縮した形状と比較して、階調補正処理手段によって作成される補正曲線の第1区間内の部分の形状が崩れにくくなっている。これによって階調補正処理手段は、さらに画像出力手段に適した補正曲線を作成することができる。
【0030】
また本発明は、前記複数の指定濃度値のうちの1つは、前記入力濃度値の範囲の下限濃度値であることを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段によって作成される補正曲線において、下限濃度値以外の他の指定濃度値よりも小さい入力濃度値に対する補正値が、より適切な値になる。これによって階調補正処理手段は、より適切な階調補正を行うことができる。
【0032】
また本発明は、前記複数の指定濃度値のうちの1つは、前記入力濃度値の範囲の上限濃度値であることを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段によって作成される補正曲線において、上限濃度値以外の他の指定濃度値よりも大きい入力濃度値に対する補正値が、より適切な値になる。これによって階調補正処理手段は、より適切な階調補正を行うことができる。
【0034】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記補正曲線の作成時に、前記入力濃度値の範囲内の上限濃度値から予め定める第1の入力濃度値までの区間、および前記入力濃度値の範囲内の下限濃度値から予め定める第2の入力濃度値までの区間のうちの少なくとも一方にある各入力濃度値に対する補正値として、各入力濃度値毎に予め定められている値を常に用いることを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、前記画像処理装置は、上限濃度値から予め定める第1の入力濃度値までの区間内の各入力濃度値に対する補正曲線上の補正値が常に予め定められる値になっている場合、前記区間内の出力特性を予め定める特性(飽和濃度)に常に維持することができる。また画像処理装置は、下限濃度値から予め定める第2の入力濃度値までの区間内の各入力濃度値に対する補正曲線上の補正値が常に定められる値になっている場合、前記区間内の出力特性を予め定める特性(出力しない)に常に維持することができる。
【0036】
また本発明は、前記基準補正曲線記憶手段が複数の前記基準補正曲線を記憶する場合、前記階調補正処理手段は、前記画像出力手段固有の出力特性に応じて、複数の基準補正曲線のうちのいずれか1つを選び、選ばれた基準補正曲線を前記補正曲線の作成に用いることを特徴とする。
【0037】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、画像出力手段固有の出力特性に応じて選ばれた基準補正曲線が、補正曲線の作成に用いられる。これによって前記階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性により適した補正曲線を、作成することができる。
【0038】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記基準補正曲線の選択時に、
(a)前記複数の指定濃度値の画像パターンを、階調補正処理を施すことなく、前記画像出力手段によって出力させ、
(b)出力された画像パターンの濃度値を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(c)読取られた濃度値を、前記各基準補正曲線と対応付けられた予め定める基準特性曲線と比較し、
(d)読取られた濃度値に最も近い基準特性曲線に対応付けられる基準補正曲線を、選択することを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に対して最も適当な基準補正曲線を選択することができる。
本発明は、前述のディザ方式の中間調補正処理手段を含む画像処理装置において、前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量であることを特徴とする。
本発明に従えば、前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量であるので、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができる。
【0040】
また本発明は、画像の階調補正処理に関して設定される調整量を入力する調整量入力手段をさらに含み、
前記指定濃度値に対応する補正量は、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量であることを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、前記画像処理装置において、指定濃度値に対応する補正量は、調整量に基づいて定められる。調整量が画像出力手段固有の出力特性に応じて設定されている場合、階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができる。調整量が画像形成装置の利用者が望む濃度値の補正処理に関する調整量である場合、階調補正処理手段は、調整量に基づいた濃度値の補正処理を、γ補正処理(本発明では、調整量による補正は含まず、画像出力手段固有の出力特性を補正する場合、γ補正処理と称している。)と同時に行うことができる。
本発明は、前述のディザ方式の中間調補正処理手段を含む画像処理装置において、画像の階調補正処理に関して設定される調整量を入力する調整量入力手段をさらに含み、
前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和であることを特徴とする。
本発明に従えば、画像処理装置は、画像の階調補正処理に関して設定される調整量を入力する調整量入力手段をさらに含み、
前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和であるので、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができ、かつ調整量に基づいた濃度値の補正処理を行うことができる。
【0042】
また本発明は、前記調整量入力手段から複数の調整量が入力される場合、前記第2の補正量は、各調整量毎に定められる補正量の総和であることを特徴とする。
【0043】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、補正量が重複して入力される場合、第2の補正量を容易に算出することができる。
【0044】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、前記読取られた各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i と前記目標特性曲線との比較時に、
(a)各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i に対する前記目標特性曲線上の入力濃度値 XB(YM i ) を算出し、
(b)算出された入力濃度値 XB(YM i ) に対する補正値 V(YM i ) として、前記指定濃度値 XP i に対する基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) を用い、
(c)指定濃度値の両側にあり補正値が算出されている入力濃度値 XB(YM a ) , XB(YM b ) を両端とする第4区間Δ XB(YM i ) 内の曲線の形状を、第4区間の両端の入力濃度値に対する補正値 V(YM a ),V(YM b ) を両端とする第5区間Δ V(YMa) を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、各指定濃度値 XP i に対する補正値 V(XP i ) を算出し、
(d)算出された指定濃度値に対する補正値 V(XP i ) と、該指定濃度値に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) との差を、該指定濃度値 XP i に対応する第1の補正量 s i として用いることを特徴とする。
【0045】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、指定濃度値に対する曲線値(補正値)を、該指定濃度値を一端とする第1区間内にある基準補正曲線の形状に基づいた出力特性に応じた補間演算によって算出する。これによって階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた第1の補正量として、より適切な補正量を算出することができる。
【0046】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、
前記指定濃度値 XP i の画像パターンの読取られた濃度 YM i を該指定濃度値 XP i よりも大きい他の指定濃度値 XP i+1 の画像パターンの読取られた濃度 YM i+1 から減算した差が正の値である場合、前記濃度 YM i , YM i+1 をそれぞれ用いた補正値の算出を行い、
前記差が負の値である場合、前記濃度 YM i , YM i+1 をそれぞれ用いた補正値の算出を停止することを特徴とする。
【0047】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、2つの指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度の差が負の値である場合、該指定濃度値を用いた曲線値の算出を停止する。これは、前記差が負の値である場合、画像出力手段の不安定さ、または画像入力手段の濃度の測定誤差に起因して、画像パターンの読取られた濃度が不自然なものになっていると考えられるためである。前記差が負の値である場合、該差を用いた曲線値の算出が行われないので、階調補正処理手段は、より滑らかな補正曲線を作成することができる。
【0048】
また本発明は、前記階調補正処理手段は、
前記指定濃度値 XP i の画像パターンの読取られた濃度 YM i を該指定濃度値 XP i よりも大きい他の指定濃度値 XP i+1 の画像パターンの読取られた濃度 YM i+1 から減算した差が正の値である場合、前記濃度 YM i , YM i+1 をそれぞれ用いた補正値の算出を行い、
前記差が負の値である場合、
前記指定濃度値の濃度 YM i および前記他の指定濃度値の濃度 YM i+1 の2つの平均濃度を算出し、
前記平均濃度に対する目標特性曲線上の入力濃度値を算出し、
算出された入力濃度値に対する補正値として、前記指定濃度値 XP i および他の指定濃度値 XP i+1 の平均の入力濃度値に対応する前記基準補正曲線上の補正値を用いることを特徴とする。
【0049】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、2つの指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度の差が負の値である場合、該濃度の平均濃度と該指定濃度値の平均の入力濃度値とを用いて補正値を求める。これによって階調補正処理手段は、第1補正量の算出時の補間演算において、補間演算に用いられるデータが少なくなりすぎることを防止することができる。
【0050】
また本発明は、前記画像がカラー画像である場合、前記基準補正曲線および前記指定濃度値に対応する補正量は、複数の各色成分毎に設定されていることを特徴とする。
【0051】
本発明に従えば、前記画像処理装置内の階調補正処理手段は、各色成分毎に適切な階調補正処理を行うことができる。
【0052】
また本発明は、前述の画像処理装置を含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0054】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像処理装置が備えられた画像形成装置11の構成を示す正面断面の略図である。画像形成装置11はデジタルカラー複写機で実現される。画像形成装置1の本体内部には、画像入力手段である画像入力装置13と、画像処理装置14と、画像出力手段である画像出力装置15とが設けられる。画像形成装置11の本体の上面には、透明な原稿台111と、操作パネル16とが設けられる。
【0055】
原稿台111の上面には、両面自動原稿送り装置(RADF:Reversing Automatic Document Feeder)112が装着されている。両面自動原稿送り装置112は、原稿台111に対して開閉可能な状態で支持され、かつ原稿台111の面に対して所定の位置関係を有する。両面自動原稿送り装置112は、まず原稿の一方の面が原稿台111の所定位置において画像入力装置13に対向するように、原稿を搬送し、該一方の面についての読取りが終了した後に、原稿の他方の面が原稿台111の所定位置において画像入力装置13に対向するように、原稿の表裏を反転させつつ原稿台111に向かって搬送する。両面自動原稿送り装置112における原稿の搬送動作および表裏反転の動作は、画像形成装置11全体の動作に関連して制御される。
【0056】
画像入力装置13は、両面自動原稿送り装置112によって原稿台111上に搬送された原稿の画像を読取るために、原稿台111の下方に配置されている。画像入力装置13は、原稿台111の下面に平行に往復移動する原稿走査体と、光学レンズ115と、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ116とを有している。
【0057】
前記原稿走査体は、第1の走査ユニット113と第2の走査ユニット114とから構成される。第1の走査ユニット113は、原稿表面を露光する露光ランプと、原稿からの反射光像を所定の第1の方向に向かって偏向する第1ミラーとを有する。第1の走査ユニット113は、原稿台111の下面に対して所定の距離を保ちながら、原稿台111の下面に平行に、往復移動する。第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113の第1ミラーによって偏向された原稿からの反射光像を、所定の第2の方向に向かってさらに偏向するために、第2ミラーおよび第3ミラーを有する。第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113と所定の速度関係を保ちつつ、原稿台111の下面に平行に、往復移動する。
【0058】
光学レンズ115は、第2の走査ユニットの第3ミラーによって偏向された反射光像を縮小し、縮小された反射光像をCCDラインセンサ116上の所定位置に結像させる。CCDラインセンサ116は、結像された反射光像を順次光電変換して、電気信号であるアナログ画像信号を出力する。画像形成装置11に備えられるCCDラインセンサ116は、具体的には3ラインのカラーCCDラインセンサである。3ラインカラーCCDラインセンサは、白黒画像またはカラー画像を読取り、反射光像を赤(R)、緑(G)、および青(B)の色成分の像に色分解して、これら3つの色成分の像に対応する信号から成る反射率信号を出力する。CCDラインセンサ116によって生成された反射率信号は、画像処理装置14に与えられる。なお以後の説明において、赤・緑および青の3色を「RGB」と総称する。
【0059】
画像処理装置14は、与えられたRGBの反射率信号に、後述する所定の処理を施す。この結果、RGBの反射率信号は、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄(Y)、および黒(K)の色成分の像にそれぞれ対応する信号から成るデジタル画像信号(以後「画像データ」と称する)に変換される。なお以後の説明において、シアン・マゼンタ・黄・および黒の4色を「CMYK」と総称する。
【0060】
画像出力装置15の下方には、用紙トレイを備えた給紙機構211が設けられる。本実施の形態の画像形成装置11では、記録媒体であるカットシート状の紙が、用紙Pとして用いられる。給紙機構221は、概略的には、前記用紙トレイ内の用紙Pを1枚ずつ分離して、画像出力装置15に向かって供給する。また両面印刷が行われる場合、給紙機構211は、片面に画像が形成された用紙Pを、画像出力装置15の画像形成タイミングに合わせて画像出力装置15に再供給されるように、搬送する。給紙機構221において、用紙トレイから送り出された用紙Pが給紙機構221内の給紙搬送経路のガイド内に用紙Pが供給されると、給紙搬送経路内に設けられるセンサが、用紙Pの先端部分を検知して、検知信号を出力する。
【0061】
画像出力装置15の手前には、一対のレジストローラ212が、配置される。レジストローラ212は、給紙搬送経路内のセンサからの検知信号に基づいて、搬送される用紙Pを一旦停止させる。分離供給された用紙Pは、レジストローラ212によって制御される供給タイミングで、画像出力装置15に搬送される。
【0062】
画像出力装置15内には、第1画像形成部Paと、第2画像形成部Pbと、第3画像形成部Pcと、第4画像形成部Pdと、転写搬送ベルト機構213と、定着装置217とが設けられる。転写搬送ベルト機構213は、画像出力装置15内の下方部に配置される。転写搬送ベルト機構213は、駆動ローラ214と、従動ローラ215と、これらローラ214,215の間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216とを有する。転写搬送ベルト216の下側に近接して、パターン画像検出ユニット232が設けられている。
【0063】
第1画像形成部Pa、第2画像形成部Pb、第3画像形成部Pc、および第4画像形成部Pdは、画像出力装置15内の転写搬送ベルト216の上方に、転写搬送ベルト216に近接して、用紙搬送経路の上流側から順に並設される。定着装置217は、用紙搬送路における転写搬送ベルト機構213の下流側に配置される。第1画像形成部Paと給紙機構21との間に、用紙吸着用帯電器228が設けられる。第4画像形成部Pdと定着装置217との間でありかつ駆動ローラ214のほぼ真上の位置に、用紙剥離用の除電器229が設けられる。
【0064】
転写搬送ベルト機構213は、概略的には、レジストローラ212によって供給された用紙Pを、転写搬送ベルト216に静電吸着させつつ搬送する構成になっており、具体的には以下のように動作する。用紙吸着用帯電器228は、転写搬送ベルト216の表面を帯電させる。転写搬送ベルト216は、駆動ローラ214によって、図1において矢印Zで示す方向に駆動される。ゆえに転写搬送ベルト216は、給紙機構211を通じて給送される用紙Pを担持しつつ、第1画像形成部Pa、第2画像形成部Pb、第3画像形成部Pc、および第4画像形成部Pdに、用紙Pを順次搬送する。転写搬送ベルト216の表面が用紙吸着用帯電器228によって帯電されているので、転写搬送ベルト機構213は、給紙機構211から供給された用紙Pを転写搬送ベルト216に確実に吸着させた状態で、第1画像形成部Paから第4画像形成部Pdまでの間、用紙Pを位置ずれを起こさないように、安定して搬送することができる。静電吸着されている用紙Pを転写搬送ベルト216から分離するために、用紙剥離用の除電器229には交流電流が印加されている。
【0065】
第1画像形成部Pa、第2画像形成部Pb、第3画像形成部Pc、および第4画像形成部Pdは、実質的には、相互に等しい構成を有している。各画像形成装置Pa.Pb,Pc,Pdは、図1において矢印Fで示す方向に回転駆動される感光体ドラム222a,222b,222c,222dをそれぞれ含む。感光体ドラム222a〜222dの周辺には、帯電器223a,223b,223c,223dと、現像装置224a,224b,224c,224dと、転写部材225a,225b,225c,225dと、クリーニング装置226a,226b,226c,226dとが、感光体ドラム222a〜222dの回転方向Fに沿って順次配置されている。
【0066】
感光体ドラム222a〜222dの上方には、レーザビームスキャナユニット227a,227b,227c,227dがそれぞれ設けられている。レーザビームスキャナユニット227a〜227dは、半導体レーザ素子と、偏向装置であるポリゴンミラー240a,240b,240c,240dと、fθレンズ241a,241b,241c,241dと、2つのミラー242a,242b,242c,242d;243a,243b,243c,243dとをそれぞれ有している。なお図1において、半導体レーザ素子は図示されていない。
【0067】
第1画像形成部Paのレーザビームスキャナユニット227aには、画像処理装置14からの画像データ内の、カラー原稿画像の黒の色成分像に対応する信号が入力される。第2画像形成部Pbのレーザビームスキャナユニット227bには、画像データ内のカラー原稿画像のシアンの色成分像に対応する信号が入力される。第3画像形成部Pcのレーザビームスキャナユニット227cには、画像データ内のカラー原稿画像のマゼンタの色成分像に対応する信号が入力される。第4画像形成部Pdのレーザビームスキャナユニット227dには、画像データ内のカラー原稿画像の黄の色成分像に対応する信号が入力される。
【0068】
帯電器223a〜223dは、感光体ドラム222a〜222dをそれぞれ一様に帯電させる。レーザビームスキャナユニット227a〜227dの半導体レーザ素子は、該ユニットに与えられた信号に応じて変調されたレーザ光を発する。ポリゴンミラー240a〜240dは、半導体レーザ素子からのレーザ光を、予め定める主走査方向に偏向させる。fθレンズ241a〜241dおよびミラー242a〜242d;243a〜243dは、ポリゴンミラー240a〜240dによって偏向されたレーザ光を、帯電された感光体ドラム222a〜222d表面に結像させる。これによってカラー原稿画像の4つの色成分に対応する静電潜像が、感光体ドラム222a〜222d上に形成される。
【0069】
第1画像形成部Paの現像装置224aには、黒色のトナーが収容されている。第2画像形成部Pbの現像装置224bには、シアン色のトナーが収容されている。第3画像形成部Pcの現像装置224cには、マゼンタ色のトナーが収容されている。第4画像形成部Pdの現像装置224dには、黄色のトナーが収容されている。現像装置224a〜224dは、感光ドラム222a〜222d上の静電潜像を、収容されているトナーによって現像する。これによって画像出力装置15において、原稿画像が、黒、シアン、マゼンタ、および黄色のトナー像として再現される。
【0070】
転写部材225a〜225dは、転写搬送ベルト216によって搬送される用紙Pの一方面に、感光体ドラム222a〜222d上のトナー像を転写する。クリーニング装置226a〜226dは、転写後の感光体ドラム222a〜222d上に残留するトナーを、それぞれ除去する。
【0071】
第4画像形成部Pdにおいてトナー像の転写が完了した後、用紙Pは、除電器229によって、先端部分から順次、転写搬送ベルト219から剥離され、定着装置217へ導かれる。定着装置217は、用紙P上に転写されたトナー像を、用紙P上に定着させる。
【0072】
定着装置217が備える定着ローラ間のニップを通過した用紙Pは、搬送方向切換えゲート218を通過する。搬送方向切換えゲート218は、トナー像定着後の用紙Pの搬送経路を、画像形成装置11本体の外へ用紙Pを排出するための第1の経路と、画像出力装置15に向かって用紙Pを再供給するための第2の経路との間で選択的に切換える。搬送方向切換えゲート218によって搬送経路が第1の経路に切換えられた場合、用紙Pは、排出ローラによって、画像形成装置11の本体の外壁に取付けられている排紙トレイ220上に排出される。搬送方向切換えゲート218によって搬送経路が第2の経路に切換えられた場合、用紙Pはスイッチバック搬送経路221に搬送され、スイッチバック搬送経路221によって表裏が反転された後、給紙機構211を経由して画像出力装置15に再度供給される。
【0073】
上述の説明では、レーザビームスキャナユニット227a〜227dによってレーザ光を走査し露光することによって、感光体222a〜222dへの光書込みを行っている。レーザビームスキャナユニット227a〜227dの代わりに、発光ダイオードアレイと結像レンズアレイとからなる書込み光学系であるLED(Light Emitting Diode)ヘッドが用いられても良い。LEDヘッドは、レーザビームスキャナユニットと比べてサイズが小さく、かつ可動部分がないために無音である。ゆえに複数の光書込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー画像形成装置では、LEDヘッドが好適に用いられる。また上述の説明では、画像出力装置15は、電子写真方式の印刷機で実現されている。画像出力装置15は、電子写真方式の印刷機に限らず、他の装置、たとえばインクジェット方式の印刷機で実現されてもよい。
【0074】
図2は、図1の画像形成装置11内に備えられる画像処理装置14の構成を示すブロック図である。画像処理装置14は、アナログ/デジタル(以後「A/D」と略称する)変換部21、シェーディング補正部22、入力階調補正部23、色補正部24、像域分離処理部25、墨生成下色除去部26、空間フィルタ処理部27、中間調出力階調処理部28、基準補正曲線記憶部(基準補正曲線記憶手段、以後「曲線記憶部」と略称する)31、および補正量記憶部(補正量記憶手段)32を含む。曲線記憶部31は、少なくともデータが読出し可能である不揮発性の記憶部、たとえばROM(Read Only Memory)で実現される。補正量記憶部32は、データの書込みおよび読出しが可能である記憶部、たとえばRAM(Random Access Memory)で実現され、好ましくは、データの書込みおよび読出しが可能でありかつ不揮発性である記憶部で実現される。
【0075】
A/D変換部21は、画像入力装置13から与えられるRGBの反射率信号を、デジタル信号に変換する。シェーディング補正部は、A/D変換された反射率信号に対して、シェーディング補正処理を施す。シェーディング補正処理は、画像入力装置13の照明系・結像系・および撮像系の構成に起因して画像信号に生じる各種の歪みを取除くために行われる。
【0076】
入力階調補正処理部23は、シェーディング補正処理が施された反射率信号に、入力階調処理を施す。入力階調補正処理は、反射率信号を、濃度信号等であるような画像処理装置14が扱いやすい信号に変換する処理である。入力階調補正部23は、反射率信号に、カラーバランス処理をさらに施しても良い。
【0077】
色補正部24は、RGBの濃度信号をCMYの濃度信号に変換し、かつ画像出力装置15における色再現の忠実化実現のために、CMYの濃度信号に色補正処理を施す。色補正処理は、具体的は、不要吸収成分をそれぞれ含むCMYのトナーの分光特性に基づいた色濁りを、CMYの濃度信号から取除く処理である。
【0078】
像域分離処理部25は、色補正部24から出力されたCMYの濃度信号に基づき、領域分離処理を行う。像域分離処理部25における分離結果は、墨生成下色除去部26・空間フィルタ処理部27・中間調出力階調処理部28に与えられる。像域分離処理部25における分離結果は、画像出力装置15に与えられても良い。
【0079】
墨生成下色除去部26は、色補正部24から出力された濃度信号を構成するCMYの色信号に基づいて、黒の色信号を生成する墨生成処理を行う。また墨生成下色除去部26は、CMYの色信号に対して下色除去処理を施す。下色除去処理は、CMYの色信号から墨生成処理で生成された黒の色信号を差引いて、新たなCMYの色信号を得る処理である。これらの処理の結果、CMYの濃度信号は、CMYKの色信号から成る画像信号である画像データに変換される。
【0080】
空間フィルタ処理部27は、墨生成下色除去部26で得られたCMYK画像データに対して、デジタルフィルタを用いた空間フィルタ処理を施す。これによって画像の空間周波数特性が補正されるので、画像出力装置15が出力する画像にぼやけまたは粒状性劣化が生じることを防止することができる。
【0081】
中間調出力階調処理部28は、曲線記憶部31および補正量記憶部32の記憶内容を参照しつつ、空間フィルタ処理後のCMYK画像データに対して、階調補正処理および中間調生成処理を施す。中間調生成処理は、画像を複数の画素に分割して各画素の階調を再現できるようにする処理である。また中間調出力階調処理部28は、画像データの濃度値を、画像出力装置15の特性値である網点面積率に変換する処理を行っても良い。中間調出力階調処理部28によって処理された濃度信号が、画像出力装置15に与えられる。
【0082】
画像入力装置13が読取る原稿画像に文字および写真が混在しているならば、像域分離処理部25によって、画像は、黒文字として抽出される文字領域と、写真として判別される写真領域とに分離される。文字領域は、場合によっては色文字を含む。画像が文字領域と写真領域とに分離される場合、好ましくは、文字領域に関しては、空間フィルタ処理部27が高域周波数の強調量が大きい鮮鋭度強調処理を施し、中間調出力階調処理部28が高周波数再現に適した高解像度のディザ処理を行う。これは、画像内の黒文字あるいは色文字の再現性を高めるためである。また画像が文字領域と写真領域とに分離される場合、写真領域に関しては、好ましくは、空間フィルタ処理部27がローパスフィルタ処理を施し、中間調出力階調処理部28が階調再現性を重視したディザ処理を行う。これは、写真領域内の網点成分を除去するためである。
【0083】
本実施の形態の画像処理装置14は、中間調出力階調処理部28における階調補正処理に特徴がある。階調補正処理の概略的な実行手順は、以下のとおりである。階調補正処理のために、図3に示すような基準の補正曲線が曲線記憶部31に予め記憶されており、かつ複数の補正量が予め設定されて補正量記憶部32に記憶されている。中間調出力階調処理部28は、CMYKの画像データが与えられた時点で、基準の補正曲線と補正量とを用いて実際に用いるべき補正曲線を作成し、作成された補正曲線を用いて階調補正処理を行う。このように、階調補正処理において、基準の補正曲線をそのまま用いるのではなく、作成された補正曲線を用いているのは、画像出力装置15固有の出力特性に製造上のばらつきがあるためである。
【0084】
基準の補正曲線(以後「基準補正曲線」と称する)は、中間調出力階調処理部28において、入力される画像データの濃度値に応じて出力される値を、どのような値に補正するかを定める際の基準となるものである。基準補正曲線および作成された補正曲線は、どちらも入力濃度値に対する補正値の変化を示す。入力濃度値は、中間調出力階調処理部28に入力される処理対象の濃度値である。補正値は、中間調出力階調処理部28から出力される値であり、画素濃度に対応している。以後の説明では「基準補正曲線上の補正値」を「基準補正値」と称する。
【0085】
補正量は、指定濃度値に、1対1で対応している。指定濃度値は、入力濃度値の範囲内において相互に間隔をあけて予め指定される入力濃度値である。或る指定濃度値に対応する補正量は、階調補正処理に実際に用いられる補正曲線上の指定濃度値に対する補正値と、指定濃度値に対する基準補正曲線上の補正値との差である。補正量は、指定濃度値に対応して基準補正曲線を元に設定されている。階調補正処理に関するデータの量を削減するために、指定濃度値の個数は入力濃度値の取得る数値の総数よりも少ない。本実施の形態では、指定濃度値は16個になっている。
【0086】
本実施の形態の階調補正処理は、補正曲線の作成処理にさらに特徴がある。補正曲線の概略的な作成手順を、図4の基準補正曲線GYBのグラフを用いて以下に説明する。中間調出力階調処理部28は、補正曲線GYPの作成の際、1以上でかつ指定濃度値の総数以下の任意の整数iに対して、まず、指定濃度値XPiに対する補正曲線上の補正値YP(XPi)を、指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)と、指定濃度値XPiに対応する補正量wiとを、加算して算出する。なお図4では、補正量wiが負の値になっている。
【0087】
次いで中間調出力階調処理部28は、補間演算によって、指定濃度値XPi以外の入力濃度値に対する補正曲線GYP上の補正値を算出する。この補間演算は、1以上でかつ指定濃度値の総数未満の任意の整数iに対して、指定濃度値XPi,XPi+1を両端とする区間ΔXPi内にある補正曲線の形状G3 i を、該指定濃度値XPi,XPi+1に対する補正曲線上の補正値YP(XPi),YP(XPi+1)を両端とする区間ΔYBi内にある基準補正曲線GYBの形状G4iが濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮された形状と一致させるように行われる。入力濃度値の範囲は、全指定濃度値の数よりも1少ない数の区間ΔXPiに区分されているので、上述の処理を指定濃度値を両端とする各区間ΔXPi毎に行うと、補正曲線GYPが得られる。
【0088】
以後の説明では、「指定濃度値を両端とする区間」を「第1区間」と称し、「第1区間の両端の指定濃度値に対する補正曲線上の補正値を両端とする区間」を「第2区間」と称する。本発明に特徴的な補間処理、すなわち、作成対象の曲線のある着目する区間の形状と、基準補正曲線の前記着目する区間と所定の関係で対応付けられた区間の形状を濃度軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状とを、一致させるように行われる補間処理を、「相似補間処理」と称する。本明細書では、濃度値軸に平行な方向Xは、補正曲線のグラフの水平方向に相当する。
【0089】
基準補正曲線および1組の補正量は、CMYKの各色成分毎にそれぞれ設定されていることが好ましい。この場合中間調出力階調処理部28は、各色成分の濃度値に対して階調補正処理を施す際に、各色成分毎に設定された基準補正曲線および補正量を用いる構成になっている。これによって中間調出力階調処理部28は、各色成分毎に適切な階調補正処理を行うことができる。
【0090】
本実施の形態の階調補正処理を、以下に詳細に説明する。なお以下の説明は、中間調生成処理がディザ処理で実現され、かつ階調補正処理がディザ処理の一部分を兼ねている場合の説明になっている。ゆえに以下の説明において、中間調出力階調処理部28は、階調補正処理を行う階調補正処理手段と中間調生成処理を行う中間調補正処理手段とを兼ねている。またCMYKの色の濃度値に対する階調補正処理は、用いられる基準補正曲線および補正量の具体値が相互に異なるだけであるので、以下の説明では、任意の1つの色の濃度値に対する階調補正処理だけを説明している。本実施の形態において、入力濃度値は0以上255以下の範囲内の整数であり、補正値は0以上で255のms倍以下の範囲内の整数になっている。「ms」は、ディザ処理で用いられるディザマトリクスの大きさである。補正値の範囲が0以上255×ms以下になっているのは、階調補正処理がディザ処理を兼ねているからである。
【0091】
単一の色の基準補正曲線は、複数本設定されていることが好ましい。この場合中間調出力階調処理部28は、画像出力装置15固有の出力特性に基づき、複数本の基準補正曲線のうちから、最適ないずれか1本の基準補正曲線を選択して用いる構成になっている。
【0092】
基準補正曲線の選択のために、中間調出力階調処理部28は、複数本の基準の特性曲線と、試験画像のデータとを予め備えている。
【0093】
たとえば図3に示す5本の基準補正曲線G21〜G25が曲線記憶部31に記憶されている場合、図5に示すような5通りの入力−出力特性を示す基準特性曲線G11〜G15が備えられる。基準特性曲線の入力−出力特性は、中間調出力階調処理部28と画像出力装置15とから構成される装置(以後「階調補正出力装置」と称する)の階調補正処理を施さない状態での入出力特性であり、画像出力装置15が印刷した画像の画素濃度に対応する値の入力濃度値に対する変化に相当する。後述するように、印刷された画像の画素濃度は画像入力装置13を用いて測定されるので、印刷された画像の画素濃度に対応する値として、画像入力装置13の出力値が用いられる。
【0094】
基準補正曲線と基準特性曲線とは、1対1で対応している。図3および図5において、参照符G11の基準特性曲線が参照符G21の基準補正曲線に対応し、以下同様に、参照符の末尾の数値が等しい曲線同士が対応している。基準特性曲線の勾配が大きいほど、対応する基準補正曲線の勾配は小さくなっている。階調補正出力装置の入出力特性のグラフが或る基準特性曲線と一致している場合、該基準特性曲線に対応する基準補正曲線を用いて階調補正処理を行えば、階調補正出力装置の入出力特性のグラフは、所定の目標特性曲線と一致する。
【0095】
試験画像は、たとえば図6に示すように、CMYKの各色毎に複数の指定濃度値にそれぞれ対応する濃度の画像パターンから構成される。このような画像パターンは、パッチと称される。
【0096】
図7は、基準補正曲線の選択処理を説明するためのフローチャートである。基準補正曲線の選択手順を、図7と、図3、図5、図8、および図9を用いて、以下に説明する。中間調出力階調処理部28は、ステップD1で、試験画像に対して階調補正処理を施さずに中間調生成処理だけを施し、中間調生成処理後の試験画像を画像出力装置15によって出力させる。これによって階調補正処理が施されていない試験画像(画像サンプル)が、記録紙(用紙P)に印刷される。ステップD2で、中間調出力階調処理部28は、印刷された試験画像(画像サンプル)を画像入力装置13によって読取らせ、印刷された試験画像の各パッチの濃度に対応する出力値(以後「出力測定値」と称する)を得る。各パッチの出力測定値は、該各パッチの指定濃度値に対応付けられる。これによって画像出力装置固有の出力特性が求められる。
【0097】
ステップD3で、中間調出力階調処理部28は、どの基準特性曲線が出力測定値に最も近いかを判別するために、出力測定値と各基準特性曲線とを比較する。このためには、まず、出力測定値と各基準特性曲線との差が、それぞれ求められる。図8は、3番目の基準特性曲線G13と任意の指定濃度値s(1),s(2)との差を求める例を示している。図8の例では、指定濃度値s(1)については、指定濃度値s(1)に対応する出力測定値OUT−m(s(1))と指定濃度値s(1)に対する基準特性曲線G13上の出力値OUT−b(s(1))との差ΔOS(1)が求められる。同様に、指定濃度値S(2)については、指定濃度値s(2)に対する出力測定値OUT−m(s(2))と指定濃度値S(2)に対する基準特性曲線G13上の出力値OUT−b(s(2))との差ΔOS(2)が求められる。各基準特性曲線と出力測定値との差が16個の指定濃度値全てについて求められた後、中間調出力階調処理部28は、求められた差を用いて、出力測定値の分布に最も近いいずれか1本の基準特性曲線を判別する。
【0098】
ステップD4で、中間調出力階調処理部28は、出力測定値に最も近いと判別された基準特性曲線に対応する基準補正曲線を選択して処理を終了する。16個の指定濃度値に対応する出力測定値が図9の黒丸のように表示されるならば、たとえば差の加重和または差の分散に基づき、3番目の基準特性曲線G13が出力測定値に最も近いことが分かるので、基準特性曲線G13に対応する3番目の基準補正曲線G23(図3)が選ばれる。画像出力装置15固有の出力特性に基づいて選択された基準補正曲線が補正曲線の作成に用いられる場合、中間調出力階調処理部28は、画像出力装置15固有の出力特性に応じた適切な補正曲線を作成することができる。
【0099】
選択された基準補正曲線をそのまま用いて階調補正処理が試験画像に施され、処理後の試験画像が画像出力装置15によって印刷され、印刷された試験画像が読取られた場合、入力濃度値に対する出力測定値の特性が、所定の目標特性曲線からずれる場合がある。このような場合、指定濃度値に対応する補正量は、画像出力装置15固有の出力特性に基づいて定められる。以後の説明では、画像出力装置15固有の出力特性だけに基づいて定められる補正量を「第1補正量」と称する。第1補正量の設定処理は、中間調出力階調処理部28によって行われる。基準補正曲線の選択処理が行われているならば、第1補正量の設定処理は、基準補正曲線の選択処理に続いて行われる。
【0100】
画像出力装置15固有の出力特性に基づいた第1補正量の設定処理を、図10および図11を用いて、以下に説明する。最初に、予め準備された試験画像に対して、基準補正曲線をそのまま用いた階調補正処理と中間調生成処理とが施される。次に、これら2つの処理後の試験画像を画像出力装置15によって記録紙に印刷させる。次に印刷された試験画像が画像入力装置13によって読取られる。この結果、各指定濃度値のパッチの出力測定値が得られる。なおパッチは複数の画素から構成されているので、好ましくは、画像入力装置13がパッチを構成する複数の画素をそれぞれ読取って画素の出力測定値を出力し、中間調出力階調処理部28がパッチを構成する複数の画素の出力測定値の平均値を算出して、該平均値をパッチの出力測定値とする。このように得られたパッチの出力測定値は、パッチの指定濃度値と1対1で対応付けられる。図10において、黒丸P1は、i番目の指定濃度値XPiに対応する出力測定値YMiを表示した点である。
【0101】
次に、目標特性曲線記憶部(目標特性曲線記憶手段)33から読出された目標特性曲線GYMと指定濃度値XPiに対応する出力測定値YMiとが比較され、図10に示すように、出力測定値YMiに対する目標特性曲線GYM上の入力濃度値XB(YMi)が求められる。なお以後の説明では、「出力測定値に対する目標特性曲線上の入力濃度値」を「出力目標濃度値」と称する。次に、図11に示すように、出力目標濃度値XB(YMi)に対する曲線値V(YMi)として、指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)が代入される。曲線値は、目標特性曲線GYMに応じて画像を出力させるために中間調出力階調処理部28が用いるべき補正曲線上の補正値であり、このような補正曲線は、第1補正量だけを用いて基準補正曲線を補正して得られる補正曲線に相当する。
【0102】
曲線値の設定処理は、複数の出力測定値それぞれに対して、実行される。このように、目標特性曲線からずれた出力測定値YMiに基づいて、指定濃度値XPi以外の入力濃度値である出力目標濃度値XB(YMi)に対する曲線値V(YMi)が求められる。出力目標濃度値に対する曲線値が設定された後、設定された曲線値を用いた補間処理によって、指定濃度値に対する曲線値が求められる。
【0103】
補間処理が終了した後、各指定濃度値XPiに対する曲線値V(XPi)と各指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)との差が、それぞれ求められる。求められた差が、指定濃度値XPiに対応する第1補正量siとして用いられる。たとえば曲線値の入力濃度値に対する変化が図11の曲線GVで示されるならば、i番目の指定濃度値XPiに対応する第1補正量siは、指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)と曲線GV上の曲線値V(XPi)との差になる。補正曲線の作成のための補正量wiが画像出力装置15固有の出力特性だけに基づいて設定されることになっている場合、第1補正量siが指定濃度値に対する補正量wiとして、そのまま補正量記憶部32に記憶される。以上説明した手順を用いることによって、中間調出力階調処理部28は、画像出力装置15固有の出力特性に基づいた第1補正量を適切に設定することができる。
【0104】
上述したように、基準補正曲線の選択処理および第1補正量の設定処理のために、試験画像のデータが不図示の記憶部(メモり)に予め備えられている。試験画像のデータが備えられる代わりに、記録紙に印刷された試験画像が予め備えられていても良い。この場合中間調出力階調処理部28は、基準補正曲線の選択処理または第1補正量の設定処理の実行に先立ち、印刷された試験画像を画像入力装置13に読取らせ、この結果、作成される画像信号を試験画像のデータとして用いる。試験画像のデータが備えられる場合と印刷された試験画像が備えられる場合とを比較すると、前者の場合は画像入力装置13の読取り誤差等の影響を受けないので、前者の場合の方が好ましい。
【0105】
本実施の形態の画像処理装置14を備えた画像形成装置11において、使用者が、画像出力装置15が出力する画像に、所望の濃淡またはコントラストを付加したいと望む場合がある。この場合使用者は、付加しようとする濃淡またはコントラストに応じた調整量を設定して、操作パネル16から中間調出力階調処理部28に入力する。操作パネル16は、調整量の入力手段として用いられる。中間調出力階調処理部28は、調整量が入力された場合、調整量に基づいて定められる補正量(以後「第2補正量」と称する)をさらに求め、第1補正量と第2補正量との和を指定濃度値に対応する補正量として採用して、階調補正処理を行う構成になっている。
【0106】
【表1】
【0107】
wi=si+ti+ui+vi (i=1,2,…,N) …(1)
また複数の調整量が入力される場合、中間調出力階調処理部28は、各調整量に基づいてそれぞれ決定される補正量の総和を、第2補正量とすればよい。たとえば表1に示すように3つの調整量が設定される場合、或る指定濃度値に対応する補正量wiは、式1に示すように、該指定濃度値に対応する第1補正量siと、第1の調整量に基づいて定められる該指定濃度値に対応する補正量tiと、第2の調整量に基づいて定められる該指定濃度値に対応する補正量uiと、第3の調整量に基づいて定められる該指定濃度値に対応する補正量viとの和になる。これによって、各種の調整量が設定される場合、調整量に基づいた第2補正量が容易に算出される。
【0108】
図12は、画像形成装置11における原稿複写時の中間調出力階調処理部28の主制御処理を示すフローチャートである。なお原稿複写の指示に先立ち、基準補正曲線の選択処理と補正量の設定処理とが行われているので、1本の基準補正曲線が既に選択されており、かつ補正量が補正量記憶部32に記憶されている。
【0109】
使用者が操作パネル16から原稿複写の指示を入力すると、中間調出力階調処理部28は、ステップA2で、曲線記憶部31内の選択された基準補正曲線と補正量記憶部32内の1組の補正量とに基づいて補正曲線を作成し、作成された補正曲線に基づいてγ補正テーブルを作成する。γ補正テーブルは、作成された補正曲線に基づいて作られるディザマトリクス内の各画素毎の補正テーブルである。ステップA2の詳細な処理は後述する。
【0110】
γ補正テーブルが作成された後、中間調出力階調処理部28は、ステップA3で、処理対象の画像のデータを構成する入力濃度値を、空間フィルタ処理部27から読込む。中間調出力階調処理部28は、ステップA4で、読込まれた入力濃度値に対して、ディザマトリクス内のいずれの画素であるかに対応するγ補正テーブルを用いたγ補正処理を行う。これによって、読込まれた入力濃度値が入力濃度値に対する補正テーブルの値に置換えられ、結果的に、各画素の階調値が定まる。
【0111】
中間調出力階調処理部28は、ステップA5で、処理対象の画像データを構成する全入力濃度値を読込んだか否かを判断する。未だ読込まれていない入力濃度値が残っているならば、ステップA5からステップA3に戻る。画像データの全処理濃度値が読込まれているならば、主制御処理を終了する。
【0112】
以上図12で説明したように、中間調出力階調処理部28は、階調補正処理に用いるべき補正曲線を、基準補正曲線と1組の補正量とを用いて原稿複写時に作成する。作成される補正曲線の形状は、補正量に応じて変化する。ゆえに画像処理装置14は、補正量記憶部32が複数組の補正量を記憶し、中間調出力階調処理部28が原稿複写時にいずれか1組の補正量を選択して補正曲線の作成に用いる構成になっていることが好ましい。これによって中間調出力階調処理部28は、複数の目標の特性曲線にそれぞれ応じた階調補正処理を行うことができる。この際、1組の補正量はたとえば16個の値から構成されるので、1組の補正量のデータ量は1本の補正曲線のデータ量よりも少ない。すなわち補正量記憶部32は限られた所定量のデータである補正量の組を、処理の過程で蓄えていれば良い。ゆえに基準補正曲線および複数組の補正量を記憶するのに必要な記憶容量は、複数の目標の特性曲線にそれぞれ応じた補正曲線を記憶するのに必要な記憶容量よりも少なくなる。
【0113】
指定濃度値に対応する補正量が画像出力装置15固有の出力特性に基づいた第1補正量である場合、中間調出力階調処理部28は、実質的には、画像出力装置15固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を、階調補正処理として行うことができる。指定濃度値に対応する補正量が、第1補正量と調整量に基づいた第2補正量との和である場合、中間調出力階調処理部28は、実質的には、調整量に基づいた濃度値の補正処理と画像出力装置15固有の出力特性に基づいたγ補正処理とを、階調補正処理として行うことができる。また指定濃度値に対応する補正量は、第2補正量だけであっても良い。この場合中間調出力階調処理部28は、実質的には、基準補正曲線を用いたγ補正処理と調整量に基づく補正値の補正処理とを、階調補正処理として行うことができる。さらにまた指定濃度値に対応する補正量が第2補正量だけである場合、濃度値の補正に関する調整量の代わりに、画像出力装置15固有の出力特性に応じた調整量が、画像処理装置14に与えられても良い。この場合、第2補正量が画像出力装置15固有の出力特性に応じた量になるので、中間調出力階調処理部28は、画像出力装置15固有の出力特性に基づいたγ補正処理を、階調補正処理として行うことができる。
【0114】
図12のステップA2の処理において、前述したように補正量は指定濃度値に関してだけ求められているので、補正曲線の作成時に、指定濃度値以外の残りの入力濃度値に対する補正値を、指定濃度値に対する補正値と同じ手順で求めることは難しい。このために残りの入力濃度値に対する補正値として、図13で説明するように、指定濃度値に対する補正値を補間して得られる値が用いられる。
【0115】
図13は、図12の中間調出力階調処理部28の主制御処理のステップA2の処理の手順を示すフローチャートである。使用者が操作パネル16から原稿複写の指示を入力した後、ステップB2に進む。中間調出力階調処理部28は、ステップB2で、指定濃度値に対する基準補正曲線上の補正値と指定濃度値に対応する補正量との和を求め、求められた和を指定濃度値に対する補正値にする。中間調出力階調処理部28は、テップB3で、指定濃度値以外の残りの入力濃度値に対する補正値を、指定濃度値に対する補正値を用いて図4の相似補間処理によって求める。相似補間処理の詳細は後述する。このようにステップB2およびステップB3の処理によって、階調補正処理で実際に用いるべき補正曲線が作成される。中間調出力階調処理部28は、ステップB4で、作成された補正曲線に基づいてγ補正テーブルを作成し、処理を終了する。
【0116】
このように中間調出力階調処理部28は、図13で説明した処理によって、補正曲線を作成することができる。指定濃度値に対応する補正量が第1補正量と第2補正量との和である場合、図13で説明した手順で補正曲線を作成すると、階調補正処理のためのデータを記憶するために必要な記憶容量を、さらに削減することができる。
【0117】
図14は、図13のステップB3で行われる相似補正処理を説明するためのフローチャートである。図15は、相似補正処理を詳細に説明するために基準補正曲線の一部分および補正曲線の一部分を示す図である。図14、図15および図4を用いて、補正曲線の作成時に行われる相似補正処理を説明する。
【0118】
曲線記憶部31は、相似補間処理のために、基準補正曲線のテーブルの他に、基準補正曲線の逆関数のテーブルも記憶している。また中間調出力階調処理部28は、指定濃度値に対する補正曲線上の補正値のテーブルを記憶している記憶部(不図示)を、さらに備えている。
【0119】
中間調出力階調処理部28は、ステップC1で、各指定濃度値に対する補正値YP(XPi)と等しい、基準補正値YBiに対する基準補正曲線上の入力濃度値XB(YBi)を、基準補正曲線の逆関数のテーブルを用いて算出する。第1区間の両端の指定濃度値XPi,XPi+1に対する補正値と等しい基準補正値に対する基準補正曲線上の入力濃度値XB(YBi),XB(YBi+1)を両端とする区間ΔXBiを、以後「第3区間」と称する。基準補正曲線の第2区間ΔYBi内の部分は、基準補正曲線の第3区間ΔXBi内の部分と同一である。
【0120】
中間調出力階調処理部28は、ステップC2で、第3区間毎に、基準補正曲線の第3区間内の部分を、水平方向Xに平行に第1区間まで移動させ、基準補正曲線の第3区間内の部分を圧縮または伸長する。具体的には、まず、第3区間ΔXBi内の入力濃度値Jiが、式2を用いて変換される。変換対象の入力濃度値Jiは、式3で定義される。式2の右辺では、第3の区間幅XB(YBi+1)−XB(YBi)に対する第1の区間の幅XPi+1−XPiの比と、第3区間の小さいほうの一端の入力濃度値から変換対象の入力濃度値までの距離Ji−XB(YBi)とが乗算され、得られた積に、第1の区間の小さいほうの一端の指定濃度値XPiが加算されている。
【0121】
【数1】
【0122】
図15(A)に示す基準補正曲線の形状G4iを例とすると、式2によって得られた和XX0(Ji)をそのまま入力濃度値として、該入力濃度値に対する補正値に、変換前の入力濃度値Jiに対する基準補正値YB(Ji)を代入したならば、図15(B)に示す曲線が得られる。なお図15において、第1区間ΔXPiが第3区間ΔXBiよりも広く、曲線が伸長されている。和XX0(Ji)は整数値であるとは限らないが、入力濃度値は整数であると定義されている。
【0123】
次いで、和XX0(Ji)が丸められ、整数値にされる。和を丸める処理は、切上げ・切捨て・および四捨五入のどれを用いてもよく、本実施の形態では四捨五入している。丸められた和と等しい第1区間内の入力濃度値XX(Ji)が、第3区間内の入力濃度値Jiに対応付けられる。以上の処理によって、第3区間ΔXBiの両端の入力濃度値と第1区間ΔXPiの両端の指定濃度値とが一致するように、第3区間内の入力濃度値Jiが第1区間内の入力濃度値XX(Ji)に対応付けられる。中間調出力階調処理部28は、第3区間内の入力濃度値Jiと対応付けられた第1区間内の入力濃度値XX(Ji)に対する補正値に、第3区間内の入力濃度値Jiに対する基準補正値YB(Ji)を代入する。これによって図15(C)に示す曲線が得られる。
【0124】
曲線が圧縮されている場合、ステップC2の処理において、式2の和XX0(Ji)が四捨五入された結果、第3区間ΔXBi内の複数の入力濃度値が、第1区間ΔXPi内の単一の入力濃度値に対応付けられることがある。この場合、中間調出力階調処理部28は、重複する第3の区間内の入力濃度値のうち、最後に算出された入力濃度値を選び、該入力濃度値に対する基準補正値を、第1の区間内の入力濃度値の補正値YP(XX(Ji))に代入する。これによって中間調出力階調処理部28は、補正曲線をより速く作成することができる。このように作成された補正曲線の第1区間内の部分の形状は、基準補正曲線の第2区間内の部分を水平方向に圧縮した形状よりもやや崩れた形状になっている。
【0125】
補正曲線の崩れを回避するためには、中間調出力階調処理部28は、重複する前記第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正値の中央値を、第1の区間内の入力濃度値の補正値YP(XX(Ji))に代入する。重複する入力濃度値が偶数個であるならば、中央の2つの入力濃度値に対する基準補正値の平均値を中央値として用いる。これによって中間調出力階調処理部28は、第3区間内の入力濃度値に対応付けられていない第1区間内の入力濃度値に対する補正値を、補間演算によって容易に求めることができので、画像出力装置15にさらに適した補正曲線を作成することができる。
【0126】
曲線が伸長されている場合、ステップC1およびステップC2の処理だけでは、第1区間内の全入力濃度値に対する補正値が得られない。図15(C)の例では、補正値が算出された入力濃度値XX(Ji)のうち、濃度軸上で隣合う2つのものの間隔W2が1とは限らず、2以上になっている所がある。
【0127】
中間調出力階調処理部28は、残りの入力濃度値に対する補正値の算出のために、ステップC3で、まず補正値が算出された全入力濃度値のうち、式4に示すように、間隔W2が1より大きい入力濃度値XX(JJ),XX(JJ+1)を選ぶ。次いで、選ばれた入力濃度値XX(JJ),XX(JJ+1)を両端とする区間内に存在する残りの入力濃度値XXに対する補正値YP(XX)が、選ばれた入力濃度値に対する補正値YP(XX(JJ)),YP(XX(JJ+1))を用いた補間演算によって算出される。本実施の形態では、補正値の補間には式5で示す線形補間が用いられる。
【0128】
W2=XX(JJ+1)−XX(JJ)>1
ただし、JJ=XB(YBi),XB(YBi)+1,…,XB(YBi+1)−1…(4)
【0129】
【数2】
【0130】
式5の計算によって、図15(D)の例では、太線の補助線で示す入力濃度値に対する補正値が得られる。太線は、図15(D)において、補正値が算出された入力濃度値XX(Ji),XX(Ji+1)の区間の間隔が2以上になっている場合、該区間における1刻みの整数値に対して、線形補間によって補正値を求めた例を示している。以上の処理によって全入力濃度値に対する補正値が算出された後、図14のフローチャートの処理を終了する。
【0131】
図14の処理によって、中間調出力階調処理部28は、第1区間内の入力濃度値に対する補正値を、第3区間内の入力濃度値と該入力濃度値に対する基準補正曲線上の補正値とに基づいて、算出することができる。また図15で説明したように、ステップC2の処理時に和XX0(Ji)を丸める処理が行われるので、入力濃度値の桁数が小数点以上の桁に限定されている場合でも、第1区間内の入力濃度値に対する補正値を、第3区間内の入力濃度値と該入力濃度値に対する基準補正曲線上の補正値とに基づいて算出することができる。
【0132】
補正曲線の作成時の補間演算に本発明の相似補間法が用いられる場合、補間演算にスプライン補間法またはn次関数近似法を用いた場合よりも比較的簡易な計算で、補正曲線を高速に得ることができる。また、第1区間毎の補正曲線の出力特性は第2区間の基準補正曲線の出力特性と相似になる。これによって、基準補正曲線に基づく出力特性がほぼ線形である出力区間は、作成された補正曲線に基づく補正が成された後も、ほぼ線形な出力特性を有する。
【0133】
指定濃度値は、図16に示すように、入力濃度値の範囲の上限濃度値および下限濃度値を含むことが好ましい。これは、相似補間法を用いる補間演算の実行時に、入力濃度値の範囲の低濃度部および高濃度部における補間演算を確実に行うためである。本実施の形態では、上限濃度値は255であり、下限濃度値が0になっている。指定濃度値のうちの1つが下限濃度値である場合、下限濃度値以外の他の指定濃度値よりも小さい入力濃度値に対する補正値がより適切な値になる。指定濃度値のうちの1つが上限濃度値である場合、上限濃度値以外の他の指定濃度値よりも大きい入力濃度値に対する補正値がより適切な値になる。これらの理由によって、中間調出力階調処理部28は、より適切な階調補正を行うことができる。
【0134】
また図17に示すように、上限濃度値以下で所定の第1の入力濃度値以上である上限濃度値の近傍区間WA1と、下限濃度値以上で所定の第2の入力濃度値以下である下限濃度値の近傍区間WA2とにおける出力特性を固定する場合がある。この場合、中間調出力階調処理部28は、補正曲線の作成時に、区間WA1,WA2内の入力濃度値に対する補正値を固定するために、該補正値に予め定める画素濃度に対応する濃度値を常に代入する。これによって、作成された補正曲線において、上限濃度値の近傍区間WA1および下限濃度値の近傍区間WA2内の出力特性が予め定める特性に常に維持される。図17に示す例では、区間WA1の入力濃度値に対しては飽和濃度が出力され、区間WA2の入力濃度値に対しては零が出力される(印刷されない)。
【0135】
図10および図11で第1補正量の算出処理において、曲線値の補間処理には、どのような補間法を用いてもよいが、図4で説明した相似補間処理を用いることが、最も好ましい。図18は、相似補正処理を用いた第1補正量の設定処理を説明するためのフローチャートである。なお図18の説明では、添字iは、1以上でかつ指定濃度値の総数以下の任意の整数であり、ステップE1〜E4までの処理は、図10および図11を用いて説明した第1補正量siの算出手順における試験画像の印刷から出力目標濃度値に対する曲線値までの処理と等しい。
【0136】
図18に示す処理の内容を、図11を用いて、以下に説明する。中間調出力階調処理部28は、ステップE1で、試験画像に対して、基準補正曲線をそのまま用いた階調補正処理と中間調補正処理とを施し、これら2つの処理後の試験画像を、画像出力装置15によって印刷させる。ステップE2で、中間調出力階調処理部28は、印刷された試験画像の各指定濃度値XPiのパッチの濃度を画像入力装置13に測定させ、各指定濃度値に対応する出力測定値YMiを得る。ステップE3で、中間調出力階調処理部28は、各指定濃度値に対応する出力測定値YMiに対する目標特性曲線GYM上の入力濃度値、すなわち出力目標濃度値XB(YMi)を算出する。ステップE4で、中間調出力階調処理部28は、式6に示すように、算出された出力目標濃度値XB(YMi)に対する曲線値V(YMi)に、指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)を代入する。
V(YMi)=YB(XPi) …(6)
【0137】
入力濃度値の範囲は、全指定濃度値に対応する出力測定値にそれぞれ基づいて算出された全出力目標濃度値によって、指定濃度値の総数よりも1少ない数の区間に区分される。出力目標濃度値XB(YMk),XB(YMk+1)を両端とする区間を、以後「第4区間ΔXB(YMk)」と称する。添字kは、1以上で出力目標濃度値の総数未満の任意の整数である。
【0138】
中間調出力階調処理部28は、ステップE5で、指定濃度値XPiに対する曲線値V(XPi)を、相似補間法に基づいて算出する。ステップE5の相似補間処理は、第4区間ΔXB(YMa)内の曲線GVの形状が、第4区間の両端の出力目標濃度値に対する曲線値V(YMa),V(YMb)を両端とする区間ΔV(YMa)内の基準補正曲線の形状と一致するように行われている。以後の説明では、「第4区間の両端の出力目標濃度値に対する曲線値を両端とする区間」を「第5区間」と称する。
【0139】
このために中間調出力階調処理部28は、まず、全曲線濃度値の中の指定濃度値XPi未満のもののうち、指定濃度値XPiに最も近い出力目標濃度値XB(YMa)と、全曲線濃度値の中のi番目の指定濃度値XPi以上のもののうち、該指定濃度値XPiに最も近い出力目標濃度値XB(YMb)とを選ぶ。次いで、選ばれた出力目標濃度値に対する曲線値V(YMa),V(YMb)とそれぞれ等しい基準補正値に対する基準補正曲線GYB上の入力濃度値XB(V(YMa)),XB(V(YMb))が、求められる。以後の説明では、「出力目標濃度値に対する曲線値と等しい基準補正値に対する基準補正曲線上の入力濃度値」を「曲線濃度値」と称する。
【0140】
次いで中間調出力階調処理部28は、式7を用い、指定濃度値XPiに対する曲線値V(XPi)を算出する。式7の右辺は、大括弧〔〕内の演算式の演算結果と等しい入力濃度値に対する基準補正値を示す。中間調出力階調処理部28は、ステップE5で、指定濃度値XPiに対する曲線値V(XPi)と指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)との差を算出して、式8に示すように、算出された差を指定濃度値XPiに対応する第1補正値siに代入する。全指定濃度値の第1補正量が得られた後、図18のフローチャートの処理を終了する。
【0141】
【数3】
【0142】
式7の右辺の大括弧〔〕内の式は、第6区間ΔXB(V(YMa))内の入力濃度値を、第4区間ΔXB(YMa)内の入力濃度値に変換するための演算式である。第6区間ΔXB(V(YMa))は、指定濃度値XPiが存在する第4区間の両端の出力目標濃度値に対する曲線値V(YMa),V(YMb)と等しい基準補正値に対する基準補正曲線上の入力濃度値XB(V(YMa)),XB(V(YMb))を両端とする区間である。このために大括弧内の式は、第4区間の幅XB(YMb)−XB(YMa)に対する第6区間の幅XB(V(YMb))−XB(V(YMa))の比と、第4区間の小さいほうの一端から指定濃度値までの距離XPi−XB(YMa)とを乗算し、得られた積を第4区間の小さいほうの一端XP(V(YMa))に加算している。これによって得られる和と等しい入力濃度値に対する基準補正値が、指定濃度値XPiに対する曲線値V(XPi)に代入される。式7の演算の際、入力濃度値は整数なので、大括弧内の式の算出結果を整数値に丸め、丸められた値と等しい入力濃度値に対する基準補正曲線GYB上の補正値を、指定濃度値に対する曲線値V(XPi)に代入してもよい。
【0143】
中間調出力階調処理部28は、第1補正量の設定処理の際に、好ましくは、図19に示すように、出力測定値が、画像入力装置13の出力値の範囲の上限出力値Out−maxに近い場合、該出力測定値を第1補正量の設定処理の演算パラメータから除く。また中間調出力階調処理部28は、第1補正量の設定処理の際に、好ましくは、図19に示すように、出力測定値が、画像入力装置13の出力値の範囲の下限出力値Out−mimに近い場合、該出力測定値を第1補正量の設定処理の演算パラメータから除く。これは以下の理由からである。
【0144】
画像入力装置13が読取り可能である濃度の範囲の上限濃度に近い濃度の画素の読取り時、および前記濃度の範囲の下限濃度に近い濃度の画素の読取り時に、画像入力装置13は、該画素の濃度を本来の濃度の前後の濃度と区別しにくい。ゆえに出力測定値が上限出力値または下限出力値に近い場合、画像出力装置13がパッチの濃度を読誤っている可能性がある。より適切な第1補正量を得るためには、画像入力装置13が読取りを誤りやすい濃度の範囲に相当する出力値の範囲、すなわち上限出力値近傍の範囲または下限出力値近傍の範囲内にある出力測定値を演算パラメータから除くことが好ましい。このために中間調出力階調処理部28は、画像入力装置13が読取りを誤りやすい濃度の範囲に相当する出力値の範囲外に出力測定値がある場合、該出力測定値を用いた曲線値の算出処理を行い、該出力値の範囲内に出力測定値がある場合、該出力測定値を用いた曲線値の算出処理を停止する。これによって低濃度部および高濃度部内にある指定濃度値に対応する第1補正量が、より適切なものになる。
【0145】
中間調出力階調処理部28は、第1補正量の設定処理の際に、図20に示すように、指定濃度値に対する出力測定値の変化パターンにおいて、出力測定値が単調増加していない部分がある場合、好ましくは、単調増加していない出力測定値を第1補正量の設定処理の演算パラメータから除く。これは、単調増加していない出力測定値は、画像出力装置15の不安定さ、または画像入力装置13の読取り誤差に起因して、不自然なデータになっているためである。前記変化パターンにおいて、i番目(この場合、「i」は1以上でかつ指定濃度値の総数未満の整数)の指定濃度値XPiからi+1番目の指定濃度値XPi+1までの部分が単調増加しているか否かは、変化パターンの勾配が正であるか負であるかを調べれば分かる。
【0146】
中間調出力階調処理部28は、i番目の指定濃度値の出力測定値YMiを、i+1番目の指定濃度値の出力測定値YMi+1から減算し、得られた差YMi+1−YMiの符号が正の値である場合、該出力測定値YMi,YMi+1をそれぞれ用いた曲線値の算出を行い、差YMi+1−YMiが負の値である場合、該出力測定値YMi,YMi+1をそれぞれ用いた曲線値の算出を停止する。これによって中間調出力階調処理部28は、より滑らかな補正曲線を作成することができる。
【0147】
また中間調出力階調処理部28は、出力測定値の差YMi+1−YMiが負の値である場合、出力測定値YMi,YMi+1を除く代わりに、これら出力測定値YMi,YMi+1の平均値を、各出力測定値と置換えて指定濃度値XPi,XPi+1に対応付けても良い。これによって中間調出力階調処理部28は、第1補正量の設定処理時の補間演算において、補間演算に用いられるパラメータが少なくなり過ぎることを防止することができる。さらに中間調出力階調処理部28は、出力測定値YMi,YMi+1の平均値に対する目標出力曲線上の入力濃度値を求め、求められた入力濃度値に対する補正値に、出力測定値YMi,YMi+1に対応する指定濃度値XPi,XPi+1の平均の入力濃度値に対する基準補正値を代入してもよい。
【0148】
前述したように、上述した階調補正処理は、ディザ処理を兼ねている。階調補正処理がディザ処理を兼ねている場合、基準補正曲線と指定濃度値に対応する補正量とは、ディザマトリクスのサイズ毎に、設定されていることが好ましい。
【0149】
【表2】
【0150】
表2は、2×2のディザマトリクス内の4つの画素にそれぞれ割当てられるテーブルを示す。ディザマトリクス内の第1画素D1に対応する補正テーブルの作成処理には、第1のテーブルが用いられる。第2画素D2に対応する補正テーブルの作成処理には、第2のテーブルが用いられる。第3画素D3に対応する補正テーブルの作成処理には、第3のテーブルが用いられる。第4画素D4に対応する補正テーブルの作成処理には、第4のテーブルが用いられる。補正曲線のグラフの縦軸が4等分され、分割結果である4つの領域が、最大の補正値の小さい領域から順に、第1テーブル、第2テーブル、第3テーブル、第4テーブルに順次割当てられる。各テーブルにおける入力濃度値に対する補正値は、補正曲線の割当てられた領域内にある一部分に応じて、定められる。
【0151】
第1〜第4のテーブルを用いて、入力濃度値に対応する補正曲線上の補正値を第1〜第4画素に振分けた値が求められる。これによって、各画素毎の補正テーブルを得ることができる。基準補正曲線および補正量がディザマトリクスのサイズ毎に設定されている場合、中間調出力階調処理部28は、ディザマトリクスのサイズに応じて適切な階調補正を行うことができる。以上の説明では、2×2のディザマトリクスが用いられる場合を例として説明したが、ディザマトリクスはこれに限らず、3×3以上のディザマトリクスが用いられても良い。
【0152】
本実施の形態の説明で用いた各種のパラメータの具体値は例示であり、他の値であってもよい。たとえば、基準補正曲線は、5本に限らず、少なくとも1本あればよい。指定濃度値は、16個に限らず、複数あればよい。入力濃度値の上限値は255に限らない。入力濃度値の下限値は0に限らない。階調補正処理がディザ処理の一部分を兼ねている場合、基準補正値の上限値は入力濃度値の上限値のms倍であればよく、兼ねていない場合、基準補正値の上限値は入力濃度値の上限値と等しければ良い。
【0153】
本実施の形態では、画像処理装置14は、中間調出力階調処理部28以外の他の処理部を含んでいる。画像処理装置14は、中間調出力階調処理部28と曲線記憶部31と補正値記憶部32とを少なくとも含んでいれば良く、他の処理部は適宜省略されてもよい。また本実施の形態の階調補正処理は、中間調生成処理を兼ねている。本実施の形態の階調補正処理と中間調生成処理とは、個別に実行されてもよい。また本実施の形態の階調補正処理は、入力階調補正処理を行う際に適用されてもよい。
【0154】
さらにまた本実施の形態の中間調出力階調処理部28が行う処理は、コンピュータが行っても良い。このために、中間調出力階調処理部28の処理を中央演算処理回路に行わせるための制御プログラムと、曲線記憶部21および補正量記憶部22に記憶されるデータとが、コンピュータが読取り可能な記憶媒体に記憶される。前記制御プログラムとデータとは、階調補正処理のための制御ソフトウエアを構成する。記憶媒体内の制御ソフトウエアがコンピュータにインストールされた後、コンピュータの中央演算処理回路が制御プログラムを実行すると、コンピュータは中間調出力階調処理部28と同じ処理を行うことができる。
【0155】
以上説明した画像処理装置は、階調補正処理に用いる補正曲線を、基準補正曲線と補正量とに基づいて、逐次算出している。補正曲線は、相似補間法を用いて予め作成されて、画像処理装置内に常に記憶されていてもよい。図21は、補正曲線が予め作成されている画像処理装置が備えられた場合の画像形成装置51の構成を示すブロック図である。図21の画像形成装置51の全構成のうち、図2の画像形成装置11と異なる構成だけを説明し、図2の画像形成装置11と同じ構成には同じ参照符を付して説明は省略する。
【0156】
画像処理装置54は、曲線記憶部31および補正量記憶部32の代わりに、階調補正処理に用いる補正曲線そのものを記憶している補正曲線記憶部(補正曲線記憶手段)53を有し、他の構成は図2の画像処理装置14と等しい。階調補正処理の実行時には、中間調出力階調処理部28は、補正曲線記憶部53から補正曲線を読出し、読出した補正曲線を用いてγ補正テーブルを作成する。これによって図21の画像形成装置51は、図2の画像形成装置11よりも、画像出力時に、補正曲線を作成する時間の分だけ速く、階調補正処理を行うことができる。
【0157】
補正曲線記憶部53に記憶される補正曲線上の補正値は、相似補間法を用い、図18で説明した第1補正量設定時の曲線値の算出手順と同じ手順で算出される。補正曲線の作成手順を以下に説明する。補正曲線の作成のために、基準補正曲線と目標特性曲線とが、予め用意される。
【0158】
まず、各指定濃度値XPiの画像パターンに、基準補正曲線を用いた階調補正処理が施され、階調補正処理された各指定濃度値XPiの画像パターンが画像出力装置15から出力される。次いで、出力された各指定濃度値XPiの画像パターンの濃度が読みとられ、各指定濃度値に対応する出力測定値YMiが得られる。次いで、各指定濃度値に対応する出力濃度値YMiに対する目標特性曲線上の入力濃度値XB(YMi)が算出され、算出された出力目標濃度値XB(YMi)に対する補正値YP(YMi)に、指定濃度値XPiに対する基準補正値YB(XPi)が代入される。
【0159】
最後に、相似補間法を用いた補間演算によって、出力目標濃度値XB(YMi)以外の他の入力濃度値に対する補正値が算出される。この際、補間演算は、指定濃度値XPiを挟む出力目標濃度値XB(YMa),XB(YMb)を両端とする第4区間ΔXB(YMa)内にある補正曲線の形状を、第4区間の両端の出力目標濃度値XB(YMa),XB(YMb)に対する補正値YP(XB(YMa)),YP(XB(YMb))を両端とする第5区間内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させるように、行われる。
【0160】
このように相似補間法を用いて作成された補正曲線は、補間演算にスプライン補間法またはn次関数近似法を用いて作成された補正曲線よりも、簡易な計算によって作成されていながら同じように滑らかになっている。また指定濃度値を両端とする第4区間毎の補正曲線の出力特性は、第1区間の両端と同じ指定濃度値に対する基準補正曲線上の補正値を両端とする第5区間の基準補正曲線の出力特性と相似になる。
【0161】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像処理装置において、階調補正処理手段は、基準補正曲線と指定濃度値に対する補正量とを用いて補正曲線を作成する場合、基準補正曲線のある着目する区間の形状を濃度値軸に平行な方向に移動させてかつ該方向に伸長または圧縮する補間演算によって、前記着目する区間と所定の関係で対応付けられた区間の補正曲線の形状を求める。これによって、補間演算にスプライン補間法またはn次関数近似法を用いた場合よりも簡易な計算によって滑らかな補正曲線が高速に得られる。また補正曲線の出力特性は基準補正曲線の出力特性と区間毎に相似になるので、補正曲線の信頼性が向上する。
また本発明によれば、指定濃度値に対応する補正量は、画像出力手段固有の出力特性に基づいて定められる。これによって階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができる。
【0162】
また本発明によれば、画像出力手段固有の出力特性に基づく補正量は、基準補正曲線を用いた階調補正処理が施された指定濃度値の画像パターンの出力結果に応じて設定される。これによって階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に対して最も適切な第1の補正量を、設定することができる。
【0163】
また本発明によれば、階調補正処理手段は、第1補正量設定のための画像パターンの読取り時に、画像入力手段によって正確に区別することの難しい濃度が得られた場合、該濃度を用いた曲線値の算出を停止する。これによって、画像出力装置が出力可能な濃度の範囲内の低濃度部および高濃度部内にある指定濃度値に対応する第1の補正量が、より適切なものになる。
また本発明によれば、指定濃度値に対応する補正量は、画像出力手段固有の出力特性と調整量とに基づいて定められる。これによって階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に基づいた適切なγ補正処理を行うことができ、かつ調整量に基づいた補正処理を行うことができる。
【0164】
また本発明によれば、指定濃度値に対応する補正量および基準補正曲線は、ディザマトリクスの大きさ毎にそれぞれ設定されている。これによって階調補正処理手段は、各ディザマトリクスサイズ毎に適切な階調補正処理を行うことができる。
【0165】
また以上のように本発明によれば、画像処理装置は、階調補正処理に用いる補正曲線そのものを記憶している。記憶される補正曲線は、基準補正曲線と複数の指定濃度値に対応する補正量とに基づいて作成され、かつ補正曲線の形状は、基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向に移動させてかつ該方向に伸長または圧縮する補間演算によって作成される。これによって補正曲線は簡易な計算によって作成することができ、かつ基準補正曲線と区間毎に相似になるので、信頼性が向上する。また画像処理装置は、補正曲線自体を予め作成して記憶しているので、補正曲線を作成する時間の分だけ速く、階調補正処理を行うことができる。
【0166】
また本発明によれば、階調補正処理手段は、補間演算時に、前記指定濃度値に対する補正値に対する基準補正曲線上の入力濃度値を両端とする第3区間を算出し、前記第3区間の両端と指定濃度値を両端とする前記第1区間の両端とが一致するように、第3区間内の入力濃度値を第1区間内の入力濃度値に対応付け、第3区間内の入力濃度値に対する前記基準補正曲線上の補正値を、該入力濃度値に対応付けられる第1区間内の入力濃度値に対する補正値として用いる。これによって階調補正処理手段は、第1区間内の入力濃度値に対する補正値を、第3区間内の入力濃度値と該入力濃度値に対する基準補正曲線上の補正値とに基づいて算出することができる。
【0167】
さらにまた本発明によれば、階調補正処理手段は、前記第3の区間の幅に対する前記第1の区間の幅の比と、該第3区間の一方端から該第3区間内の入力濃度値までの距離との積に、前記第1の区間の一方端の指定濃度値を加算し、算出された和を予め定める桁数に丸め、丸められた値と等しい第1区間内の入力濃度値を、第3区間内の入力濃度値に対応付ける。これによって階調補正処理手段は、入力濃度値の桁数が予め定められている場合、第1区間内の入力濃度値に対する補正値を算出することができる。
【0168】
また本発明によれば、階調補正処理手段は、第1の区間内の全入力濃度値のうち、第3の区間内の入力濃度値に対応付けられる入力濃度値以外の残余の入力濃度値に対する補正値を、補間演算によって求める。これによって階調補正処理手段は、第3区間内の入力濃度値に対応付けられていない第1区間内の入力濃度値に対する補正値を、補間演算によって、容易に求めることができる。
【0169】
さらにまた本発明によれば、階調補正処理手段は、第1の区間内の単一の入力濃度値に第3の区間内の複数の入力濃度値が重複して対応付けられるとき、重複する前記第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正曲線上の補正値のうち、最後に算出された補正値を、前記第1の区間内の入力濃度値に対する補正値として用いる。これによって階調補正処理手段は、補正曲線をより速く作成することができる。
【0170】
また本発明によれば、階調補正処理手段は、第1の区間内の単一の入力濃度値に第3の区間内の複数の入力濃度値が重複して対応付けられるとき、重複する第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正曲線上の補正値の中央値を、第1の区間内の入力濃度値に対する補正値として用いる。これによって階調補正処理手段は、補正曲線の形状の崩れを防止して、画像出力手段にさらに適した補正曲線を作成することができる。
【0171】
さらにまた本発明によれば、複数の指定濃度値のうちのいずれか1つは、入力濃度値の範囲の下限濃度値である。また本発明によれば、複数の指定濃度値のうちのいずれか1つは、入力濃度値の範囲の上限濃度値である。これらによって階調補正処理手段は、より適切な階調補正を行うことができる。
【0172】
さらにまた本発明によれば、入力濃度値の範囲の上限濃度値の近傍区間、および入力濃度値の範囲の下限濃度値の近傍区間のうちの少なくとも一方区間内にある入力濃度値に対する補正値が、常に固定されている。これによって前記少なくとも一方区間内の出力特性は、予め定める特性に常に維持される。
【0173】
また本発明によれば、複数の基準補正曲線が記憶される場合、補正曲線の作成に用いられる基準補正曲線は、画像出力手段固有の出力特性に応じて選ばれる。これによって階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性により適した補正曲線を、作成することができる。
さらにまた本発明によれば、基準補正曲線は、指定濃度値の画像パターンをそのまま画像出力装置に出力させた結果に基づいて選ばれる。これによって階調補正処理手段は、画像出力手段固有の出力特性に対して最も適切な基準補正曲線を、選択することができる。
【0174】
さらにまた本発明によれば、指定濃度値に対応する補正量は、調整量に基づいて定められる。これによって階調補正処理手段は、調整量に基づいた濃度値の補正処理をγ補正処理と同時に行うことができる。
さらにまた本発明によれば、複数の調整量が入力される場合、調整量に基づいて定められる補正量は、各調整量に基づいた補正量の総和になっている。これによって前記階調補正処理手段は、複数の調整量が入力される場合、複数の調整量に基づいた補正量を容易に算出することができる。
さらにまた本発明によれば、第1補正量の設定時に行われる補間演算は、基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向に移動させてかつ該方向に伸長または圧縮する補間演算によって実現される。これによって階調補正処理手段は、画像出力装置固有の出力特性に基づいた第1の補正量として、より適切な補正量を算出することができる。
【0175】
さらにまた本発明によれば、階調補正処理手段は、2つの指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度の差が負の値である場合、該指定濃度値を用いた曲線値の算出を停止する。これによって階調補正処理手段は、より滑らかな補正曲線を作成することができる。
また本発明によれば、階調補正処理手段は、2つの指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度の差が負の値である場合、該濃度の平均濃度と該指定濃度値の平均の入力濃度値とを用いて曲線値を求める。これによって階調補正処理手段は、第1補正量の算出時の補間演算において、補間演算に用いられるデータが少なくなりすぎることを防止することができる。
さらにまた本発明によれば、指定濃度値に対応する補正量および基準補正曲線は、各色成分毎にそれぞれ設定されている。これによって階調補正処理手段は、各色成分毎に適切な階調補正処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像処理装置が備えられた画像形成装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】図1の画像形成装置内の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の階調補正処理に使用される基準補正曲線を示すグラフである。
【図4】本発明における補正値の補間処理を説明するための補正曲線のグラフである。
【図5】本発明の階調補正処理に必要な基準補正曲線を選択するために用いられる基準特性曲線を示すグラフである。
【図6】本発明の階調補正処理に用いられる試験画像を示す図である。
【図7】基準補正曲線の選択処理を示すフローチャートである。
【図8】基準特性曲線の選択にあたり、指定濃度値に対応する出力測定値と基準特性曲線との差を求める手法を説明するためのグラフである。
【図9】指定濃度値に対応する出力測定値と基準特性曲線とを比較して最も近い基準特性曲線を選択する手法を説明するためのグラフである。
【図10】出力測定値に対する目標特性曲線上の入力濃度値を求める手法を説明するためのグラフである。
【図11】出力測定値に対する目標特性曲線上の入力濃度値に対する補正値を設定する手法を説明するためのグラフである。
【図12】図2の画像処理装置内の中間調出力階調処理部の主制御処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の階調補正処理に用いられるγ補正テーブルの作成手法を示すフローチャートである。
【図14】γ補正テーブルの作成に用いられる補正曲線の補間処理を示すフローチャートである。
【図15】図4の補間処理において、基準補正曲線を伸長または圧縮する際の処理方法を説明するためのグラフである。
【図16】図4の補間処理において、指定濃度値に上限濃度値および下限濃度値を含めておく場合を説明するためのグラフである。
【図17】図4の補間処理において、上限濃度値の近傍区間および下限濃度値の近傍区間の補正値を固定しておく場合を説明するためのグラフである。
【図18】図4の補間処理を用いた第1補正量の設定処理を示すフローチャートである。
【図19】出力測定値の選択にあたり、出力測定値が最大値または最小値に近い画素に対しては、該画素の指定濃度値に対する基準補正値を用いない場合を説明するためのグラフである。
【図20】出力測定値の選択にあたり、指定濃度値に対する出力測定値が単調増加になっていない場合を説明するためのグラフである。
【図21】補正曲線が予め記憶されている場合の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11,51 画像形成装置
13 画像入力装置
14,54 画像処理装置
15 画像出力装置
28 中間調出力階調処理部
31 基準補正曲線記憶部(基準補正曲線記憶手段)
32 補正量記憶部(補正量記憶手段)
53 補正曲線記憶部(補正曲線記憶手段)
Claims (26)
- 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
(a)前記指定濃度値XPi,XPi+1に対する補正値YP(XPi),YP(XPi+1)を、前記指定濃度値XPi,XPi+1に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値XPi,XPi+1に対応する補正量とを加算して算出し、
(b)前記指定濃度値XPi,XPi+1両端とする区間である第1区間ΔXPi内にある前記補正曲線の形状を、前記指定濃度値に対する補正値YP(XPi),YP(XPi+1)を両端とする区間である第2区間ΔYBi内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(c)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(d)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(e)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(f)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i , XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第 2の補正量との和である補正量を記憶している補正量記憶手段と、
画像の階調補正処理に関して設定される前記調整量を入力して前記補正量記憶手段に与える調整量入力手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
(a)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、
(b)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 両端とする区間である第1区間Δ XP i 内にある前記補正曲線の形状を、前記指定濃度値に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を両端とする区間である第2区間Δ YB i 内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(c)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(d)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(e)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(f)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像に対して、ディザ方式の中間調補正処理を施す中間調補正処理手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
(a)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、
(b)前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 両端とする区間である第1区間Δ XP i 内にある前記補正曲線の形状を、前記指定濃度値に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を両端とする区間である第2区間Δ YB i 内にある基準補正曲線の形状を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を算出し、
前記基準補正曲線および前記指定濃度値に対応する補正量は、前記中間調補正処理手段が用いることができるディザマトリクスのサイズ毎に設定されていることを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段と、
前記補正曲線を記憶する補正曲線記憶手段とを含み、
前記補正曲線は、入力濃度値に対する補正値の変化を示し、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線と、
前記画像出力手段が出力する画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線とに基づいて、
(a)入力濃度値の範囲内で相互に間隔をあけて指定された入力濃度値である複数の各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力させ、
(c)出力された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 を読取らせ、
(d)各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 に対する前記目標特性曲線上の入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を算出し、
(e)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) に対する補正値 YP(YM i ),YP(YM i+1 ) として、前記指定濃度値 XP i , XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) , YB(XP i+1 ) を採用し、
(f)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を両端とする第4区間Δ XB(YMi) 内にある補正曲線の形状を、第4区間の両端の入力濃度値に対する曲線値 V(YM i ),V(YM i+1 ) を両端とする第5区間Δ V(YM i ) 内にある前記基準補正曲線の形状を濃度値軸方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記第4区間Δ XB(YM i ) 内の入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を算出して、作成されており、
前記階調補正処理手段は、
前記第1の補正量の決定時に、
前記読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和である補正量を記憶している補正量記憶手段と、
画像の階調補正処理に関して設定される前記調整量を入力して前記補正量記憶手段に与える調整量入力手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段と、
前記補正曲線を記憶する補正曲線記憶手段とを含み、
前記補正曲線は、入力濃度値に対する補正値の変化を示し、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線と、
前記画像出力手段が出力する画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線とに基づいて、
(a)入力濃度値の範囲内で相互に間隔をあけて指定された入力濃度値である複数の各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力させ、
(c)出力された各指定濃度値 XP i , XP i+1 の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 を読取らせ、
(d)各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i , YM i+1 に対する前記目標特性曲線上の入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を算出し、
(e)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) に対する補正値 YP(YM i ),YP(YM i+1 ) として、前記指定濃度値 XP i , XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) , YB(XP i+1 ) を採用し、
(f)算出された入力濃度値 XB(YM i ) , XB(YM i+1 ) を両端とする第4区間Δ XB(YMi) 内にある補正曲線の形状を、第4区間の両端の入力濃度値に対する曲線値 V(YM i ),V(YM i+1 ) を両端とする第5区間Δ V(YM i ) 内にある前記基準補正曲線の形状を濃度値軸方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、前記第4区間Δ XB(YM i ) 内の入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を算出して、作成されており、
前記階調補正処理手段は、
前記第1の補正量の決定時に、
前記読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補 正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量を記憶している補正量記憶手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を用いた補間演算により算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(a)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(c)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(d)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置。 - 画像を入力する画像入力手段からの画像を構成する画素の入力濃度値が与えられ、入力された画像に対して補正曲線を用いた階調補正処理を施す階調補正処理手段を備え、
前記階調補正処理手段は、前記入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を与え、階調補正処理が施された画像を画像出力手段に与える構成である画像処理装置において、
入力濃度値に対する補正値の予め定める変化を示す基準補正曲線を記憶している基準補正曲線記憶手段と、
入力濃度値の範囲内で相互に間隔を空けて指定された入力濃度値である複数の指定濃度値 XP i ,XP i+1 にそれぞれ対応して、該指定濃度値 XP i に対する前記基準補正曲線上の補正値 YB(XP i ) と、該指定濃度値に対する補正曲線上の補正値 YP(XP i ) との差であり、前記基準補正曲線を基に予め設定された補正量であって、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和である補正量を記憶している補正量記憶手段と、
画像の階調補正処理に関して設定される前記調整量を入力して前記補正量記憶手段に与える調整量入力手段と、
前記画像出力手段が出力する画像の画素の濃度の入力濃度値に対する予め定める変化を示す目標特性曲線を記憶している目標特性曲線記憶手段とを含み、
前記階調補正処理手段は、
階調補正処理に用いる補正曲線の作成のために、
前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する前記基準補正曲線上の補正値と前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対応する補正量とを加算して算出し、前記指定濃度値以外の入力濃度値に対する補正値を 、前記指定濃度値 XP i ,XP i+1 に対する補正値 YP(XP i ),YP(XP i+1 ) を用いた補間演算により算出し、
前記第1の補正量の決定時に、
(a)前記各指定濃度値 XP i の画像パターンに、前記基準補正曲線を用いた階調補正処理を施し、
(b)階調補正処理された各指定濃度値 XP i の画像パターンを、前記画像出力手段によって出力され、
(c)出力された各指定濃度値の画像パターンの濃度 YM i を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(d)読取らせた濃度 YM i を前記目標特性曲線と比較し、比較結果に基づいて第1の補正量を決定し、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が、前記画像入力手段が読取りを誤り易い予め定める濃度範囲外にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を行い、
前記指定濃度値の画像パターンの読取られた濃度が前記濃度範囲内にある場合、該濃度を用いた補正値の算出を停止することを特徴とする画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、補間演算時に、
(a)前記指定濃度値に対する補正値YP(XPi),YP(XPi+1)に対する基準補正曲線上の入力濃度値XB(YBi),XB(YBi+1)を両端とする区間である第3区間ΔXBiを算出し、
(b)前記第3区間ΔXBiの両端と前記第1区間ΔXPiの両端とが一致するように、第3区間内の入力濃度値Jiを第1区間内の入力濃度値XX(Ji)に対応付け、
(c)前記第3区間内の入力濃度値Jiに対する前記基準補正曲線上の補正値YB(Ji)を、該入力濃度値Jiに対応付けられる前記第1区間内の入力濃度値XX(Ji)に対する補正値YP(XX(Ji) )として用いることを特徴とする請求項1〜5のうちの1つに記載の画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、前記第3区間内の入力濃度値Jiに対応付ける前記第1区間内の入力濃度値XX(Ji)の決定時に、
(a)前記第3の区間の幅XB(YBi+1)-XB(YBi)に対する前記第1の区間の幅XPi+1-XPiの比率と、該第3区間の一方端から該第3区間内の入力濃度値までの距離Ji-XB(YBi)との積に、前記第1の区間の一方端の指定濃度値XPiを加算した値を算出し、
(b)算出された和を予め定める桁数に丸め、丸められた値と等しい前記第1区間内の入力濃度値XX(Ji)を、前記第3区間内の入力濃度値Jiに対応付けることを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、前記第1の区間ΔXPi内の補正曲線の形状が前記基準補正曲線の前記第2の区間ΔYBi内の部分を濃度値軸に平行な方向Xに伸長した形状となる補間演算を行う場合、
前記第1の区間内の全入力濃度値のうち、前記第3の区間内の入力濃度値Jiに対応付けられる入力濃度値XX(Ji)以外の残余の入力濃度値に対する前記補正曲線上の補正値を、補間演算によって求めることを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、前記第1の区間ΔXPi内の補正曲線の形状が前記基準補正曲線の前記第2の区間ΔYBi内の部分を濃度値軸に平行な方向Xに圧縮した形状となる補間演算を行う場合、
前記第1の区間内の単一の入力濃度値XX(Ji)に前記第3の区間内の複数の入力濃度値が重複して対応付けられるとき、重複する前記第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正曲線上の補正値のうち、最後に算出された補正値を、前記第1の区間内の入力濃度値XX(Ji)に対する補正値YP(XX(Ji))として用いることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、前記第1の区間ΔXPi内の補正曲線の形状が前記基準補正曲線の前記第2の区間ΔYBi内の部分を濃度値軸に平行な方向Xに圧縮した形状となる補間演算を行う場合、
前記第1の区間内の単一の入力濃度値XX(Ji)に前記第3の区間内の複数の入力濃度値が重複して対応付けられるとき、重複する前記第3の区間内の入力濃度値にそれぞれ対する基準補正曲線上の補正値の中央値を、前記第1の区間内の入力濃度値XX(Ji)に対する補正値YP(XX(Ji))として用いることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。 - 前記複数の指定濃度値のうちの1つは、前記入力濃度値の範囲の下限濃度値であることを特徴とする請求項1〜7のうちの1つに記載の画像処理装置。
- 前記複数の指定濃度値のうちの1つは、前記入力濃度値の範囲の上限濃度値であることを特徴とする請求項1〜7のうちの1つに記載の画像処理装置。
- 前記階調補正処理手段は、前記補正曲線の作成時に、前記入力濃度値の範囲内の上限濃度値から予め定める第1の入力濃度値までの区間、および前記入力濃度値の範囲内の下限濃度値から予め定める第2の入力濃度値までの区間のうちの少なくとも一方にある各入力濃度値に対する補正値として、各入力濃度値毎に予め定められている値を常に用いることを特徴とする請求項1〜7のうちの1つに記載の画像処理装置。
- 前記基準補正曲線記憶手段が複数の前記基準補正曲線を記憶する場合、前記階調補正処理手段は、前記画像出力手段固有の出力特性に応じて、複数の基準補正曲線のうちのいずれか1つを選び、選ばれた基準補正曲線を前記補正曲線の作成に用いることを特徴とする請求項1〜7のうちの1つに記載の画像処理装置。
- 前記階調補正処理手段は、前記基準補正曲線の選択時に、
(a)前記複数の指定濃度値の画像パターンを、階調補正処理を施すことなく、前記画像出力手段によって出力させ、
(b)出力された画像パターンの濃度値を、前記画像入力手段によって読取らせ、
(c)読取られた濃度値を、前記各基準補正曲線と対応付けられた予め定める基準特性曲線と比較し、
(d)読取られた濃度値に最も近い基準特性曲線に対応付けられる基準補正曲線を、選択することを特徴とする請求項16記載の画像処理装置。 - 前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量であることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
- 画像の階調補正処理に関して設定される調整量を入力する調整量入力手段をさらに含み、
前記指定濃度値に対応する補正量は、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。 - 画像の階調補正処理に関して設定される調整量を入力する調整量入力手段をさらに含み、
前記指定濃度値に対応する補正量は、前記画像出力手段の固有の出力特性に基づいた補正量である第1の補正量と、入力された調整量に基づいた補正量である第2の補正量との和であることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。 - 前記調整量入力手段から複数の調整量が入力される場合、前記第2の補正量は、各調整量毎に定められる補正量の総和であることを特徴とする請求項19または20に記載の画像処理装置。
- 前記階調補正処理手段は、前記読取られた各指定濃度値の画像パターンの濃度YMiと前記目標特性曲線との比較時に、
(a)各指定濃度値の画像パターンの濃度YMiに対する前記目標特性曲線上の入力濃度値XB(YMi)を算出し、
(b)算出された入力濃度値XB(YMi)に対する補正値V(YMi)として、前記指定濃度値XPiに対する基準補正曲線上の補正値YB(XPi)を用い、
(c)指定濃度値の両側にあり補正値が算出されている入力濃度値XB(YMa),XB(YMb)を両端とする第4区間ΔXB(YMi)内の曲線の形状を、第4区間の両端の入力濃度値に対する補正値V(YMa),V(YMb)を両端とする第5区間ΔV(YMa)を濃度値軸に平行な方向Xに伸長または圧縮した形状と一致させる補間演算によって、各指定濃度値XPiに対する補正値V(XPi)を算出し、
(d)算出された指定濃度値に対する補正値V(XPi)と、該指定濃度値に対する前記基準補正曲線上の補正値YB(XPi)との差を、該指定濃度値XPiに対応する第1の補正量siとして用いることを特徴とする請求項1,2,4〜7のうちの1つに記載の画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、
前記指定濃度値XPiの画像パターンの読取られた濃度YMiを該指定濃度値XPiよりも大きい他の指定濃度値XPi+1の画像パターンの読取られた濃度YMi+1から減算した差が正の値である場合、前記濃度YMi,YMi+1をそれぞれ用いた補正値の算出を行い、
前記差が負の値である場合、前記濃度YMi,YMi+1をそれぞれ用いた補正値の算出を停止することを特徴とする請求項22記載の画像処理装置。 - 前記階調補正処理手段は、
前記指定濃度値XPiの画像パターンの読取られた濃度YMiを該指定濃度値XPiよりも大きい他の指定濃度値XPi+1の画像パターンの読取られた濃度YMi+1から減算した差が正の値である場合、前記濃度YMi,YMi+1をそれぞれ用いた補正値の算出を行い、
前記差が負の値である場合、
前記指定濃度値の濃度YMiおよび前記他の指定濃度値の濃度YMi+1の2つの平均濃度を算出し、
前記平均濃度に対する目標特性曲線上の入力濃度値を算出し、
算出された入力濃度値に対する補正値として、前記指定濃度値XPiおよび他の指定濃度値XPi+1の平均の入力濃度値に対応する前記基準補正曲線上の補正値を用いることを特徴とする請求項22記載の画像処理装置。 - 前記画像がカラー画像である場合、前記基準補正曲線および前記指定濃度値に対応する補正量は、複数の各色成分毎に設定されていることを特徴とする請求項1〜7のうちの1つに記載の画像処理装置。
- 請求項1〜25のうちの1つに記載の画像処理装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
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