JP4018473B2 - 粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋性水溶性高分子粉末の製造方法に関し、詳しくは特定の単量体とポリカチオン架橋剤を必須成分とし、適宜(C)水溶性アニオン性ビニル単量体及び(D)水溶性非イオン性単量体から選択される一種以上を加えた単量体混合物からなる高濃度の水溶液を重合させ、低水分濃度の重合物を得た後、適宜乾燥工程を経て細粒化することを特徴とする粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カチオン性水溶性高分子は活性汚泥処理で生じる有機性汚泥の脱水などにカチオン性高分子凝集剤として使用される。カチオン性高分子凝集剤の製品形状は、粉末状品のほか低濃度水溶液状品、エマルジョン状品、懸濁液状品など様々である。粉末状品は、有効成分濃度が高く製造コスト及び輸送コストが安い点や、製品の経日安定性に優れるなどの特徴がある。一方で、汚泥発生量の増加および汚泥性状の悪化により、従来のカチオン性高分子凝集剤では、汚泥の処理量に限界があり、乾燥ケーキ含水率、SS回収率、ケーキのろ布からの剥離性などの点で処理状態は必ずしも満足できるものではなく改善が求められている。これら従来のカチオン性高分子凝集剤の欠点を改良するために、メチレンビスアクリルアミド等の架橋剤を用いて交叉結合された有機高分子組成物が種々の固液分離に有効であると提案されている。例えば、特開昭64−85199や特開平2−219887では、メチレンビスアクリルアミド等の架橋剤を用いた汚泥脱水剤が示されており、乾燥ケーキ含水率の低下など優れた点が発現する。しかし、これらはいずれも逆相乳化重合で合成されており、製品の不溶化を避けるため、架橋剤の添加量も低い範囲である。さらに、輸送コストのかからない粉末状品を得るために、逆相乳化重合で重合後噴霧乾燥して粉末状架橋品を得る方法が提案されているが、製造時の操作が煩雑で製造コストがかかるといった問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
高濃度でイオン水溶性架橋高分子を重合し、乾燥、粉末化する方法は、当該業者間では容易に想像できる方法であるが、一般的に使用されているメチレンビスアクリルアミド等の架橋剤を用いて重合を行うと、架橋剤を少量添加するだけで容易に不溶化し高分子凝集剤として性能を発揮し得ない。また架橋剤の添加量が少ないがため、架橋性高分子凝集剤として性能を発揮する架橋度に調整することは非常に難しいという問題があった。こうした背景の中で、高分子凝集剤の高性能化と低価格化が求められている。従って本発明の目的は、低価格かつ高性能で容易に製造できる架橋性イオン性水溶性高分子粉末の製造方法を開発することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、(A)下記A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体5〜100mol%、下記C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体0〜50mol%、下記D群のアクリルアミド0〜95mol%、及び前記単量体(A),(C),(D)に対し下記一般式(1)で表わされる(B)ポリカチオン架橋剤が5〜20000ppm含まれ、40〜95重量%の範囲にある水溶液を重合させるに際し、重合時の重合熱により前記水溶液の水分を蒸発させ、低含水率の重合物を乾燥した後、粉砕し細粒化して得た粉末からなることを特徴とする架橋性イオン性水溶性高分子によって上記課題を解決できることを見出し本発明に達した。
A群;水溶性カチオン性ビニル単量体
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリレートの第三級アミノ基含有ビニル単量体、左記単量体の塩酸、硫酸、酢酸の塩、左記第三級アミノ基含有ビニル単量体とメチルクロライド、ベンジルクロライド、エピクロロヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩、ビニルイミダゾリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物
C群;水溶性アニオン性ビニル単量体
ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、p−カルボキシスチレン
【化1】
一般式(1)
【化2】
ただしAは、
一般式(2)
(R1、R2:水素、炭素数1〜3のアルキル基またはベンジル基。ただし水素である場合は、部分的に前記一般式[1]中のAに置換されても良い。R3:水素またはメチル基、R4、R5:炭素数1〜3のアルキル基、R6:炭素数2〜4のアルキレン基またはヒドロキシ置換アルキレン基、n:0〜70の整数、B:−O−またはNH−、X−は陰イオンである。)
【0005】
請求項2の発明は、前記一般式(1)中のnが1〜50であることを特徴とする請求項1に記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子である。
【0006】
請求項3の発明は、前記架橋性イオン性水溶性高分子が、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中で極限粘度を測定した場合、0.1〜20.0dl/gであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子である。
【0007】
請求項4の発明は、前記(A)前記A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体、前記(C)前記C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体及び前記(D)アクリルアミドの合計重量に対して、(B)ポリカチオン架橋剤が5〜2000ppmの範囲にあるとき、下記数式(2)で表現されるカチオン保持率aが0.9<a≦1.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子である。
a=b/c ・・・数式(2)
ただし、bは架橋性水溶性高分子のカチオン当量値、cは(B)ポリカチオン架橋剤を除く単量体が同一組成において重合した場合の水溶性高分子のカチオン当量理論値である。
【0008】
請求項5の発明は、前記(A)下記A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体、前記(C)下記C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体及び前記(D)アクリルアミドの合計重量に対して、(B)ポリカチオン架橋剤が5〜20000ppmの範囲にあるとき、下記数式(2)で表現されるカチオン保持率aが0.5≦a≦0.9の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子である。
a=b/c ・・・数式(2)
ただしa,bは請求項4の定義と同じ
【0009】
請求項6の発明は、下記A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体5〜100mol%、下記C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体0〜50mol%、アクリルアミド0〜95mol%、及び前記A群,C群,D群の単量体に対し下記一般式(1)で表わされる(B)ポリカチオン架橋剤が5〜20000ppm含まれる40〜95重量%の範囲にある水溶液を重合させるに際し、重合時の重合熱により前記水溶液の水分を蒸発させ、低含水率の重合物を乾燥した後、細粒化することを特徴とする粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子の製造方法である。
A群;水溶性カチオン性ビニル単量体
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリレートの第三級アミノ基含有ビニル単量体、左記単量体の塩酸、硫酸、酢酸の塩、左記第三級アミノ基含有ビニル単量体とメチルクロライド、ベンジルクロライド、エピクロロヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩、ビニルイミダゾリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物
C群;水溶性アニオン性ビニル単量体
ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、p−カルボキシスチレン
【化1】
一般式(1)
【化2】
ただしAは、
一般式(2)
(R1、R2:水素、炭素数1〜3のアルキル基またはベンジル基。ただし水素である場合は、部分的に前記一般式[1]中のAに置換されても良い。R3:水素またはメチル基、R4、R5:炭素数1〜3のアルキル基、R6:炭素数2〜4のアルキレン基またはヒドロキシ置換アルキレン基、n:0〜70の整数、B:−O−またはNH−、X−は陰イオンである。)
【0010】
請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子を溶解して水溶液とし、生物処理後の有機汚泥に添加、混合した後、脱水機により脱水することを特徴とする粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子の使用方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の架橋性イオン水溶性高分子粉末は、(A)水溶性カチオン性ビニル単量体及び(B)下記一般式(1)で表わされるポリカチオン架橋剤を必須成分とし、適宜(C)水溶性アニオン性ビニル単量体及び(D)水溶性非イオン性単量体から選択される一種以上を加えた単量体混合物からなる高濃度の水溶液を重合させることにより重合物を得た後、適宜乾燥工程を経て細粒化して製造することができる。細粒化の方法としては、一般的に当該業者間で知られているいずれの方法も使用することができる。例えば、分散剤および分散媒の存在下で懸濁重合を行い噴霧乾燥する方法、貧溶媒中で分散剤の存在下分散重合し乾燥する方法、高濃度で水溶液重合した後強熱乾燥し粉砕する方法等があげられる。製造コストや製造の容易さを考慮すると、高濃度で水溶液重合した後乾燥し粉砕する方法が好適である。
【0012】
本発明の架橋性イオン水溶性高分子粉末を重合する場合、重合時の水溶液中の単量体濃度は40〜95重量%の範囲であり、好ましくは70重量%〜95重量%の範囲である。40重量%以下では、重合後の乾燥工程に多大なエネルギーと作業が要求され不必要なコストがかかる。また本発明の重合反応では70重量%以上の濃度で水溶液重合を行うと、重合熱を利用することで水分を除去する乾燥工程において有利となる。95重量%以上の濃度では、高分子量のカチオン水溶性架橋高分子を製造することが難しいだけでなく、単量体の濃縮、精製過程に不必要な作業とコストがかかり不利である。
【0013】
従来、高濃度重合した後、直接重合物を粉砕して高分子の粉末を製造する方法においては、架橋剤は添加して重合しないことが一般的であった。その理由として、この方法では、N,N−メチレンビスアクリルアミドのような従来の架橋剤を添加して重合すると架橋反応が進みすぎて多くの場合、高分子ゲルを生成し、水溶性高分子を得ることは非常に困難であった。すなわち、対単量体当たり、重量で1〜数ppmの架橋剤を添加すれば水溶性高分子を得ることは、可能であっても目的とする架橋度の水溶性高分子を安定して製造することは、不可能に近い。その点本発明で使用するポリカチオン架橋剤は、水溶性高分子を製造する場合、添加量範囲が非常に広く架橋度をコントロールすることが容易である。例えば対単量体当たり、重量で5〜20000ppm添加しても製造条件を変えることにより水溶性高分子を製造することができる。
【0014】
次に本発明で使用するポリカチオン架橋剤について説明する。前記ポリカチオン架橋剤は、(E)エピハロヒドリンと(F)アンモニア、第一級アミン、または第ニ級アミン、および(G)第三級アミノ基含有アクリルモノマーを反応させ、その反応物の末端の少なくともニつがビニル基を有する。(E)エピハロヒドリンは、特に制限はなく、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどを挙げることができる。これらの(E)成分は一種を単独で用いることができ、あるいは、ニ種以上を組み合わせて用いることもできる。これらのエピハロヒドリンの中で、好ましくは、エピクロロヒドリンである。
【0015】
(F)成分のアンモニア、第一級アミンおよび第ニ級アミンは、それぞれを単独で用いることができ、アンモニアと第一級アミン、アンモニアと第ニ級アミン、第一級アミンと第ニ級アミンのニ成分を組み合わせて用いることもでき、あるいはアンモニアと第一級アミンと第ニ級アミンの三成分を組み合わせて用いることもできる。前記第1級アミンは、特に制限はなく、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミンなどを挙げることができる。これらの第一級アミンは一種を単独で用いることができ、あるいは、ニ種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの第一級アミンの中で、好ましくは、メチルアミンおよびエチルアミンである。前記第ニ級アミンは、特に制限はなく、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、ジベンジルアミンなどを挙げることができる。これらの第ニ級アミンの中で、好ましくは、ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびメチルエチルアミンである。
【0016】
(G)の第三級アミノ基含有アクリルモノマーは、特に制限はなく、例えばN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの(F)成分は一種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらモノマーのうち、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドは、分子中にエステル結合をもつ第三級アミノ基含有アクリルモノマーよりも耐アルカリ加水分解性があるので、本発明の(C)成分に用いる(F)第三級アミノ基含有アクリルモノマーとして好ましい。
【0017】
本発明で使用するポリカチオン架橋剤は、その末端の少なくとも二つがビニル基を有するものである。それ以外の末端の構造については特に制限はなくアミノ基、第ニ級アミン構造、第三級アミン構造、ハロヒドリン構造、グリシジル基、ヒドロキシプロピル基などとすることができる。前記一般式(1)で表される構造単位数nは、(E)成分に対する(F)成分の比により任意に調節する事ができるが、nは好ましくは1以上70以下であり、さらに好ましくは1以上50以下である。一般的に(E)成分と(F)成分の反応物は分子量の異なる高分子の混合物であるが、nが0である反応物は架橋剤としての反応性が高く、本発明の水溶性架橋高分子の製造に使用した場合、高分子が不溶化しやすく不都合である。nが71以上のポリカチオン架橋剤を製造することは難しく、さらにnが50以上の反応物を製造するためには多量の残存単量体が残る条件が必要であり、残存単量体の影響が大きい系では好ましくない。
【0018】
本発明で使用する水溶性ポリカチオン架橋剤は、(E)成分と(F)成分および(G)成分を反応させて製造することができる。本発明の水溶性ポリカチオン架橋剤の製造方法に特に制限はなく、例えば(E)成分を反応器に仕込み(F)成分を滴下し、(E)成分と(F)成分を反応した後、(G)成分を加えて反応することができる。好ましい方法は、(E)成分を反応器に仕込み、(F)成分を滴下し、(E)成分と(F)成分を反応した後、(G)成分を加えて反応する方法が好ましい。(F)成分と(G)成分を混合するとミカエル付加反応により反応し不都合である。また、(E)成分を先に反応器に仕込むことで、(E)成分と(F)成分を反応して得られるカチオン性高分子の末端が、グリシジル基及び/またはハロヒドリン構造になりやすくなり、(G)成分を反応するのに好都合である。(E)成分に対する(F)成分のモル比は、所望する架橋剤の性状、構造、分子量などによって適宜選択されるが一般的には0.25〜1.20の範囲である。(E)成分に対する(F)成分のモル比が0.25以下の場合、(E)成分が残存する。(E)成分に対する(F)成分のモル比が1.20以上の場合、(E)成分と(F)成分の反応により得られるカチオン性高分子の末端にハロヒドリン構造および/またはグリシジル基が存在せず、(G)成分と反応しない。
【0019】
(E)成分に対する(G)成分のモル比は特に制限はないが、好ましくは0.24以下の範囲である。(E)成分に対する(G)成分のモル比が0.24より大きいとポリカチオン架橋剤中に(G)成分が残存する。(E)成分と(F)成分は容易に反応するため、カチオン性高分子を得ることができる。またエピハロヒドリンに対してモル比で1.0以下の範囲の、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を加えて反応を行うこともできる。反応を行う温度の範囲は、所望する架橋剤の性状、構造、分子量などによって適宜選択されるが一般的には10〜90℃、好ましくは20〜60℃の範囲である。反応を行う温度が20℃以下では、反応速度が遅く実用的でないし、60℃以上では(E)成分と(F)成分の反応により得られるカチオン性高分子の末端のハロヒドリン構造が加水分解され(G)成分と反応せしめることができなくなる。反応時間は反応温度などにより左右されるが通常は24時間以内で充分である。
【0020】
本発明の架橋性イオン性水溶性高分子粉末を製造する場合使用する、水溶性カチオンビニル単量体は、共重合する場合使用するアニオン性単量体や水溶性非イオン性単量体と共重合可能な水溶性カチオンビニル単量体であれば特に制限はなく、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリレート等の第三級アミノ基含有ビニル単量体または、塩酸、硫酸あるいは酢酸等の無機または有機酸の塩類、あるいは、左記第三級アミノ基含有ビニル単量体とメチルクロライド、ベンジルクロライドもしくはエピクロロヒドリン等の四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩、ビニルイミダゾリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、あるいはジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物といったジメチルジアリルアンモニウム系単量体である。これら水溶性カチオン性ビニル単量体は、その一種または二種以上を用いることができる。また、水溶性非イオン性単量体は、共重合可能な任意ものが使用できるが、最もこのましいのはアクリルアミドである。
【0021】
両性水溶性高分子を製造する場合には、前記水溶性カチオン性ビニル単量体と水溶性非イオン性ビニル単量体に加えて、さらに一般式(3)で表される水溶性アニオン性ビニル単量体を共重合する。その例としては、スルフォン基でもカルボキシル基でもさしつかいなく、両方を併用しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
【0022】
前記水溶性カチオン性ビニル単量体、水溶性非イオン性ビニル単量体および水溶性カチオン性ビニル単量体の架橋性水溶性イオン性高分子中の共重合モル%は、以下のようになる。すなわち、架橋性水溶性カチオン性高分子の場合は、水溶性カチオン性ビニル単量体5〜100モル%、水溶性非イオン性ビニル単量体0〜95モル%であり、好ましくは水溶性カチオン性ビニル単量体20〜100モル%、水溶性非イオン性ビニル単量体0〜80モル%である。また、架橋性水溶性両性高分子の場合は、水溶性カチオン性ビニル単量体5〜100モル%、水溶性非イオン性ビニル単量体0〜90モル%、水溶性アニオン性ビニル単量体5〜50モル%であり、好ましくは水溶性カチオン性ビニル単量体20〜100モル%、水溶性非イオン性ビニル単量体0〜80モル%、水溶性アニオン性ビニル単量体10〜50モル%である。またその使用目的によって適宜選択されることは当然であるが、汚泥の脱水剤等、高いカチオン密度が要求される場合は一般的には、水溶性カチオン性ビニル単量体50〜100mol%、水溶性非イオン性ビニル単量体0〜50mol%である。
【0023】
本発明のカチオン水溶性架橋高分子を重合する場合、ラジカル重合開始剤としては一般的な水溶性ポリマーの重合に用いられるラジカル重合開始剤のいずれも用いることができる。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系、さらには、可視光または紫外線照射によって開始される光ラジカル重合開始系のいずれでも重合することが可能である。例えば油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリルなどがあげられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などがあげられる。
【0024】
またレドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせがあげられる。過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−トなどをあげることができる。光ラジカル重合開始剤の例としては、ベンゾインエチルエステル、ベンゾインイソプロピルエステル、ベンゾインイソブチルエステル等のベンゾインエステル類、あるいは2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類などのような1成分系、また、ベンジル、ベンゾフェノン、アントラキノン、チオキサントン等の芳香族ケトンとN−メチル−N,N−ジエタノールアミン等の水素供与体の組み合わせである2成分系があげられる。水素供与体の例としてはN−メチル−N,N−ジエタノールアミン等のアミン類のほか、イソプロピルアルコール等のアルコール類、2−メルカプトエタノール等のチオール類をあげることができる。また、開始剤の無い状態でラジカルを発生させることができる放射線重合を行うこともできる。
【0025】
重合開始剤の濃度は、通常アゾ化合物では単量体の重量に対して5〜50000ppmの重量の範囲、レドックス開始剤の過酸化物と還元剤はどちらも単量体の重量に対して5〜50000ppmの重量の範囲であり、光ラジカル重合開始剤では1成分系ではモノマーの重量に対して5〜50000ppmの重量の範囲、2成分系では芳香族ケトンと水素供与体ともに単量体の重量に対して5〜50000ppmの重量の範囲である。
【0026】
重合反応は、不活性ガス雰囲気下で反応温度15〜100℃にて行われ、好ましくは20〜90℃の範囲である。反応温度が20℃以下では重合速度が遅く非効率的であるし、90℃以上では反応速度が速く、高分子鎖の枝分かれ等目的の高分子を得るのに不都合な反応が発生しやすい。
【0027】
以上のようにして得られる本発明の架橋性水溶性イオン性高分子は、本発明で使用する水溶性ポリカチオン架橋剤を共存させて重合した場合には、側鎖にカチオン性単位構造を持つグラフト共重合体を生成する。あるいはまた架橋点間に同一のカチオン性構造を持つブロック共重合体の構造からなる架橋型高分子である。すなわち、水溶性ポリカチオン架橋剤を製造する場合の原料となるエピハロヒドリンとアミン類との縮合物の構造単位を側鎖あるいは架橋点間に有するグラフト構造やブロック構造を有する水溶性イオン性高分子となる。
【0028】
本発明の架橋性水溶性イオン性高分子の25℃における1N硝酸ナトリウム水溶液中での極限粘度は、必要とされるカチオン水溶性高分子の性質、反応条件あるいは使用目的によって異なるが、一般的に0.1〜20dl/gの範囲であり、凝集剤として使用する場合は1〜20dl/gであり、好ましくは2〜15dl/gである。
【0029】
本発明の架橋性水溶性イオン性高分子は、前期水溶性ポリカチオン架橋剤が水溶性カチオン性ビニル単量体、水溶性非イオン性ビニル単量体及び水溶性アニオン性ビニル単量体の合計重量に対して、重量で5〜20000ppm含まれることが好ましい。水溶性ポリカチオン架橋剤が5ppm以下では、イオン性水溶性高分子に架橋した効果が現れないし、20000ppm以上では、架橋度の調整が困難であるだけでなく、不溶解分の増大による性能の低下と製造コストの増大につながり不利である。
【0030】
本発明における架橋剤を用いた架橋性水溶性イオン性高分子は、その物性から二つに分類することができる。第一は、架橋性水溶性イオン性高分子の分子量が相対的に高い場合である。この場合、架橋性水溶性イオン性高分子中の架橋度、すなわち重合連鎖中の架橋点の数であるが、この架橋度が少ない場合である。この場合、水溶性ビニル単量体の合計重量に対し5〜2000ppmの架橋剤を添加して重合する、いわゆる低架橋度の架橋性水溶性イオン性高分子(1)である。
【0031】
もう一つは、架橋性水溶性イオン性高分子の分子量が相対的に低い場合である。この場合、架橋性水溶性イオン性高分子中の架橋度が高い場合である。この場合、水溶性ビニル単量体の合計重量に対し100〜20000ppmの架橋剤を添加して重合する、いわゆる高架橋度の架橋性水溶性イオン性高分子(2)である。
【0032】
通常、カチオン性あるいは両性水溶性高分子は、コロイド滴定法等によりカチオン当量値を測定することができる。一般的に架橋性水溶性イオン性高分子は、架橋を架けていない水溶性イオン高分子と比較してカチオン当量値が低く測定され、架橋剤の添加量が多く架橋度が高いものほどカチオン当量値が低く測定される傾向がある。本発明では、数式(2)で表されるカチオン保持率aにより低架橋度のカチオン水溶性高分子(1)と高架橋度のカチオン水溶性高分子(2)を区分する。
a=b/c ・・・数式(2)
ただし、bはカチオン水溶性架橋高分子のカチオン当量値、cは同一組成で架橋剤を含まないカチオン水溶性高分子のカチオン当量理論値である。
【0033】
本発明の請求項4の発明は、請求項1〜3に記載の架橋性イオン性水溶性高分子において、水溶性単量体の合計重量に対して重量で5〜2000ppmの範囲にあるとき、数式(2)で表現されるカチオン保持率aが0.9<a≦1.0の範囲である。この架橋性水溶性イオン性高分子は、低架橋度の架橋性水溶性イオン性高分子(1)に充当する。
【0034】
本発明の請求項5の発明は、請求項1〜3に記載の架橋性イオン性水溶性高分子において、水溶性単量体の合計重量に対し100〜20000ppmの範囲で水溶性ポリカチオン架橋剤を添加した場合、数式(2)で表現されるカチオン保持率aが0.5≦a≦0.9の範囲である。また好ましくは0.8≦a≦0.9の範囲である。このカチオン水溶性架橋高分子は、高架橋度のカチオン水溶性高分子(2)に充当する。カチオン保持率aが0.8より低くなると0.8以上のものと比較して、汚泥脱水剤として用いた場合、凝集性能、汚泥の脱水性能等が低下する。さらに、0.5より低くなると凝集、汚泥の脱水に対してほとんど効果が無くなる。
【0035】
本発明の架橋性水溶性イオン高分子粉末は、例えば汚泥脱水剤として使用することができる。適用可能な汚泥は、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥であるが、最も適する汚泥は、都市下水の混合生汚泥および消化汚泥である。また、本発明のイオン性高分子の添加量は、汚泥固形分に対し重量で0.1〜3.0%であり、好ましくは0.2〜2.0%である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0037】
(架橋剤合成例)温度計、攪拌機、滴下漏斗を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、エピクロロヒドリン146.6gを仕込み、ジメチルアミンの50重量%水溶液123.8gを40〜45℃で2時間かけて滴下し、滴下終了後45℃で1時間反応した。コロイド滴定を行った結果、このもののジメチルアミンの反応率は100.0%だった。またアミンの中和滴定を行った結果、第3級アミンは1%以下だった。このものをガスクロマトグラフィーにより測定したところ、残存するエピクロロヒドリンは検出されなかった。反応後、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド21.0g添加して25℃で15時間反応し、36.5gのイオン交換水を加えて、70.0重量%濃度の淡黄色透明の水溶性ポリカチオン架橋剤327.9gを得た。アミンの中和滴定を行った結果、第三級アミンは8.5%だった。このものの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ、ポリアクリルアミド換算の重量平均分子量は、1,460であった。このもののカチオン当量値は、6.52meq/gだった。
【0038】
【実施例1】
容器にメタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド100mol%(80重量%水溶液25.0g)と架橋剤合成例で合成した水溶性ポリカチオン架橋剤をメタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの重量に対して重量で10ppm(0.1重量%水溶液0.2g)を仕込み、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドをメタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの重量に対して0.1重量%(10重量%水溶液0.2g)添加後攪拌しモノマー溶液を得た。この溶液を、窒素雰囲気下50℃で2時間重合を行った。重合後、ポリビーカーから取り出し100℃で15時間乾燥した。乾燥後、粉砕して粉末状にし21.2gの架橋性水溶性カチオン性高分子粉末を得た。(試料1)このものの0.5%水溶液の粘度をブルックフィールド型粘度計で測定した。さらに、1N硝酸ナトリウム水溶液中での25℃において、0.2、0.1、0.05g/dlの各濃度の溶液を調製し、還元粘度をオストワルト型粘度計で測定したのち、濃度0に外挿することにより極限粘度を求めた。またコロイド滴定によるカチオン当量値を測定した。更に、この架橋性水溶性高分子のカチオン当量値と、同一組成で架橋剤を含まないカチオン水溶性高分子のカチオン当量理論値から数式(2)で表されるカチオン保持率を計算した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0039】
【実施例2〜7】
架橋剤合成例で合成したポリカチオン架橋剤と2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドの添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例1と同様な方法で架橋性水溶性イオン性高分子粉末を得た。(試料2〜7)これらの0.5%水溶液の粘度、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中での還元粘度、カチオン当量値とカチオン保持率を実施例1と同様に評価した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0040】
【実施例8〜11】
単量体の種類と組成、架橋剤合成例で合成したポリカチオン架橋剤および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドの添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例1と同様な方法で架橋性水溶性イオン性高分子粉末を得た。(試料8および9)これらの0.5%水溶液の粘度、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中での還元粘度、カチオン当量値とカチオン保持率を実施例1と同様に評価した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0041】
【比較例1】
架橋剤を添加しないこと以外は実施例1と同様な方法で架橋性水溶性イオン性高分子粉末を得た。(比較1)この重合物の0.5%水溶液の粘度、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中での還元粘度、カチオン当量値とカチオン保持率を実施例1と同様に評価した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0042】
【比較例2〜3】
架橋剤の種類と添加量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様な方法で架橋性水溶性カチオン性高分子粉末を得た。(比較2および3)これらの0.5%水溶液の粘度、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中での還元粘度、カチオン当量値とカチオン保持率を実施例1と同様に評価した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0043】
【比較例4】
単量体の種類と組成を表1に示すように変え、さらに架橋剤を添加しないこと以外は実施例1と同様な方法で架橋性水溶性イオン性高分子粉末を得た。(比較4)このものの0.5%水溶液の粘度、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中での還元粘度、カチオン当量値とカチオン保持率を実施例1と同様に評価した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0044】
【比較例5〜9】
単量体の種類と組成および架橋剤の種類と添加量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様な方法で架橋性水溶性イオン性高分子粉末を得た。(比較5および6)これらの0.5%水溶液の粘度、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中での還元粘度、カチオン当量値とカチオン保持率を実施例1と同様に評価した。組成を表1に、この重合の結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
DMC:メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、DMQ:アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、AAM:アクリルアミド、MBAA:メチレンビスアクリルアミド、QCL:本発明一般式(1)で表されるポリカチオン架橋剤、V−50:2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、架橋剤添加量:対単量体重量ppm、重合開始剤添加量:対単量体重量ppm
【0046】
【表2】
0.5重量%水溶液粘度:mPa・s、カチオン当量値:meq/g
還元粘度:dl/g、測定不能は未溶解物が多く測定ができなかったことを示す。
架橋度分類:(イ)は請求項5記載の本発明低架橋度の架橋性水溶性イオン性高分子粉末、(ロ)は請求項6記載の本発明高架橋度の架橋性水溶性イオン性高分子粉末、(ハ)は(イ)、(ロ)のどちらにも属さない(架橋性)水溶性イオン性高分子粉末を示す。
【0047】
【表1】および【表2】の結果を考察すると明らかなように、実施例1〜9では本発明のポリカチオン架橋剤を用いており、いずれの架橋剤添加量においても水溶性の高分子が得られた。一方、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミドを用いた比較例3と6は僅かな添加量でも、水に不溶なゲル状の粉末となった。また比較例2と5では、水溶性の架橋性イオン高分子粉末が得られたが、比較例3、6よりさらに微量であり、本発明のポリカチオン架橋剤と比較すると、架橋剤の添加量に対する水溶性高分子のゲル化点は1/10以下の点であるため、架橋剤添加量の調整、すなわち架橋性水溶性高分子の架橋度の調整は非常に難しいと考えられる。
【0048】
【実施例12〜16】
つぎに、本発明のカチオン水溶性架橋高分子粉末の特徴を明らかにするため、都市下水混合生汚泥(pH5.56、全ss分25,750mg/L)200mlに関する脱水試験行った。前記汚泥をポリビ−カ−に採取し、表1中の試料1、試料3、試料5、試料9および試料11についてそれぞれを対汚泥固形分6000ppm添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lのナイロン製濾布により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2kg/m2で1分間脱水した。その後、濾布剥離性とケ−キ自己支持性(乾燥ケ−キの硬さ、含水率と関係)を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
【0049】
【比較例10〜13】
実施例12〜16と同様な操作により比較1、比較2、比較5及び比較8について試験を行った。結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
濾布剥離性、ケーキ支持性:◎>○>△>×の順に良好なことを示す。
【0051】
【実施例17〜21】
次に都市下水消化汚泥(pH7.37、全ss分11,250mg/L)に関する試験を行った。前期汚泥200mlをポリビ−カ−に採取し、表1中の試料1、試料3、試料5、試料9および試料11を、それぞれを対汚泥固形分18,000ppm添加し、ビ−カ−移し変え攪拌10回行った後、T−1179Lのナイロン製濾布により濾過し、30秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥をプレス圧2kg/m2で1分間脱水した。その後、濾布剥離性とケ−キ自己支持性(乾燥ケ−キの硬さ、含水率と関係)を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
【0052】
【比較例14〜17】
実施例17〜21と同様な操作により比較1、比較2、比較5及び比較8について試験を行った。結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
30秒後濾液量:ml、ケーキ含水率:質量%
濾布剥離性、ケーキ支持性:○>△>×の順に良好なことを示す。
【0054】
表3、表4の結果を考察すると明らかなように都市下水消化汚泥、都市下水混合生汚泥のいずれも、比較3を除くと水溶性カチオン高分子を架橋することで、30秒後濾液量、濾布剥離性、ケーキ支持性、ケーキ含水率のいずれも効果が良好な結果であった。本発明で使用するポリカチオン架橋剤を用いた場合、架橋度の区分が高架橋度(ロ)である試料3は汚泥の種類に関わらず特にケーキ含水率が低下した。一方、架橋度の区分が低架橋度(イ)である試料5は特に30秒後濾水量が多く効果良好であった。しかし、カチオン保持率aが0.62であった試料7は試料3と比較すると30秒後濾水量、濾布剥離性、ケーキ支持性、ケーキ含水率のいずれも効果は劣るものの、架橋剤を用いなかった比較1と比較すると効果同等かそれ以上の効果を示した。カチオン保持率aが0.5以下である比較3の試料は、30秒後濾水量、濾布剥離性、ケーキ支持性、ケーキ含水率のいずれも効果が極度に低下した。
【0055】
一般的にはケーキ含水率が低く、脱水された汚泥の濾液量は多いほうがよいが、必ずしも両方を満たしている必要はなく、脱水機の形状によって要求される性能が異なる。要求される性能により架橋度の調整が必要であるが、本発明のポリカチオンを用いた場合、架橋剤の添加量によりケーキ含水率と濾液量を調整することができ有利である。
【0056】
【発明の効果】
本発明のカチオン水溶性架橋高分子粉末の製造方法は、一般的にカチオン水溶性架橋高分子が使用できる用途に使用することができる。例えば、各種固液分離用のカチオン性高分子凝集剤、汚泥脱水剤、製紙用歩留向上剤、濾水性向上剤等への応用が期待される。
Claims (7)
- (A)下記A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体5〜100mol%、(C)下記C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体0〜50mol%、(D)アクリルアミド0〜95mol%、及び前記単量体(A),(C),(D)に対し下記一般式(1)で表わされる(B)ポリカチオン架橋剤が5〜20000ppm含まれ、40〜95重量%の範囲にある水溶液を重合させるに際し、重合時の重合熱により前記水溶液の水分を蒸発させ、低含水率の重合物を乾燥した後、粉砕し細粒化して得た粉末からなることを特徴とする架橋性イオン性水溶性高分子。
A群;水溶性カチオン性ビニル単量体
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリレートの第三級アミノ基含有ビニル単量体、左記単量体の塩酸、硫酸、酢酸の塩、左記第三級アミノ基含有ビニル単量体とメチルクロライド、ベンジルクロライド、エピクロロヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩、ビニルイミダゾリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物
C群;水溶性アニオン性ビニル単量体
ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、p−カルボキシスチレン
ただしAは、
(R1、R2:水素、炭素数1〜3のアルキル基またはベンジル基。ただし水素である場合は、部分的に前記一般式(1)中のAに置換されても良い。R3:水素またはメチル基、R4、R5:炭素数1〜3のアルキル基、R6:炭素数2〜4のアルキレン基またはヒドロキシ置換アルキレン基、n:0〜70の整数、B:−O−または−NH−、X−は陰イオンである。) - 前記一般式(1)中のnが1〜50であることを特徴とする請求項1に記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子。
- 前記架橋性イオン性水溶性高分子が、25℃の1N硝酸ナトリウム水溶液中で極限粘度を測定した場合、0.1〜20.0dl/gであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子。
- 前記(A)A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体、前記(C)C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体及び前記(D)アクリルアミドの合計重量に対して、(B)ポリカチオン架橋剤が5〜2000ppmの範囲にあるとき、下記数式(2)で表現されるカチオン保持率aが0.9<a≦1.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子。
a=b/c ・・・数式(2)
ただし、bは架橋性水溶性高分子のカチオン当量値、cは(B)ポリカチオン架橋剤を除く単量体が同一組成において重合した場合の水溶性高分子のカチオン当量理論値である。 - 前記(A)A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体、前記(C)C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体及び前記(D)アクリルアミドの合計重量に対して、(B)ポリカチオン架橋剤が5〜20000ppmの範囲にあるとき、下記数式(2)で表現されるカチオン保持率aが0.5≦a≦0.9の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子。
a=b/c ・・・数式(2)
ただしb,cは請求項4の定義と同じ - (A)下記A群から選択される一種以上の水溶性カチオン性ビニル単量体5〜100mol%、(C)下記C群から選択される一種以上の水溶性アニオン性ビニル単量体0〜50mol%、(D)アクリルアミド0〜95mol%、及び前記単量体(A),(C),(D)に対し下記一般式(1)で表わされる(B)ポリカチオン架橋剤が5〜20000ppm含まれる40〜95重量%の範囲にある水溶液を重合させるに際し、重合時の重合熱により前記水溶液の水分を蒸発させ、低含水率の重合物を乾燥した後、細粒化することを特徴とする粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子の製造方法。
A群;水溶性カチオン性ビニル単量体
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリレートの第三級アミノ基含有ビニル単量体、左記単量体の塩酸、硫酸、酢酸の塩、左記第三級アミノ基含有ビニル単量体とメチルクロライド、ベンジルクロライド、エピクロロヒドリンとの反応によって得られる第四級アンモニウム塩、ビニルイミダゾリン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物
C群;水溶性アニオン性ビニル単量体
ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、p−カルボキシスチレン
ただしAは、
(R1、R2:水素、炭素数1〜3のアルキル基またはベンジル基。ただし水素である場合は、部分的に前記一般式(1)中のAに置換されても良い。R3:水素またはメチル基、R4、R5:炭素数1〜3のアルキル基、R6:炭素数2〜4のアルキレン基またはヒドロキシ置換アルキレン基、n:0〜70の整数、B:−O−または−NH−、X−は陰イオンである。) - 請求項1〜5のいずれかに記載の架橋性イオン性水溶性高分子粉末を溶解して水溶液とし、生物処理後の有機汚泥に添加、混合した後、脱水機により脱水することを特徴とする粉末からなる架橋性イオン性水溶性高分子の使用方法。
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