JP4017366B2 - 高純度多孔質酸化チタン及びその製造方法 - Google Patents

高純度多孔質酸化チタン及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、触媒担体あるいは触媒として有用な高比表面積で熱安定性に優れ、細孔の大きさが精密に制御され、その細孔分布がシャープな高純度多孔質酸化チタンとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化チタンを製造する従来技術を大別すると、四塩化チタンを酸素で燃焼して製造する気相法と、硫酸チタンあるいは硫酸チタニルの加水分解、四塩化チタン又は硫酸チタンのアルカリ中和、チタンアルコキシドの加水分解等の方法により酸化チタンの前駆物質である含水酸化チタンを製造し、次いでこの含水酸化チタンを乾燥、焼成して酸化チタンを製造する液相法とが知られている。
上記液相法による酸化チタンの代表的な製造方法には、以下のものが挙げられる。
【0003】
硫酸チタニルの加水分解による方法として、硫酸チタニルを170℃以上に加熱し、その飽和蒸気圧以上の圧力下で加水分解して含水酸化チタンを製造し、次いで400〜900℃の温度で焼成し、球状のアナターゼ型二酸化チタンを製造する方法(特開平05-163,022号公報)、硫酸チタニルの中和による方法として、硫酸チタニルの針状結晶粒子をアルカリ水溶液と接触させ、得られた針状含水酸化チタンを乾燥、焼成し針状酸化チタンを製造する方法(特開平05-139,747号公報)、及び、チタンアルコキシドを加水分解するゾル・ゲル法として、チタニウムテトラアルコキシドと水の混合により得られた沈殿物を濾過・水洗した後、水を加えてスラリーとし、水熱処理して得られた生成物を乾燥し、細孔容積が0.1〜0.5ml/g、平均細孔径が3〜30nmのメソポーラス酸化チタン多孔体を製造する方法(特開2001-031,422号公報)等がある。
【0004】
しかしながら、これら従来の方法で製造される多孔質酸化チタンは、一般的に熱安定性が極めて悪く、高温あるいは長時間の焼成により比表面積が急激に低下し、高比表面積を維持することができないという問題がある。この原因は、含水酸化チタンを乾燥、焼成する際に、含水酸化チタンの水酸基が脱離して含水酸化チタンの結晶粒子が大きく成長すること、及び高温焼成時に酸化チタンがシンタリングをすること等による。
【0005】
従来技術においても、高い比表面積を有し、熱安定性に優れた多孔質酸化チタンを製造する試みが行われている。例えば、酸化チタンにシリカ、アルミナ、燐等の第二成分を加えて熱安定性を改良した多孔質酸化チタンを製造する試みである。
このような試みの具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
【0006】
特開平07-275,701号公報には、酸性溶液中にケイ素化合物及びチタン化合物を溶解し、更に塩基性物質を添加して共沈、熟成してシリカ−チタニア(二酸化チタン)を製造することが提案されている。この方法においては、シリカに対するチタニアの割合を1〜50wt%の範囲(実施例ではチタニアの割合が13wt%である)とし、500℃で3時間焼成して得られたシリカ−チタニア触媒はその比表面積が558m2/gと極めて高い。しかし、チタニアはシリカよりも含有量が少なく、シリカに対してチタニアを添加したものとなっており、高純度多孔質酸化チタンということはできない。
【0007】
また、特開平08-257,399号公報には、(1-x)TiO2・xSiO2(x=0〜0.5)のモル比のチタンアルコキシド及びシリコンアルコキシドの加水分解ゾルをゲル化した後、350〜1200℃で焼成してチタニア系触媒を製造することが提案されている。このチタニア系触媒においては、チタニアに対するシリカの添加割合が少なく、実施例によれば、チタニア対シリカのモル比(TiO2:SiO2)は0.95:0.05であって500℃で2時間焼成して得られたチタニア触媒の比表面積は160m2/gの値を示している。
【0008】
更に、特開2,000-254,493号公報においては、チタンアルコキシドとケイ素アルコキシドの混合物をアルコール溶媒中で反応させ、反応生成物を焼成し、触媒担体用のシリカ修飾チタニアを製造する方法が提案されている。この触媒担体用のシリカ修飾チタニアは、Ti/Si原子比が5〜50であって、800℃以上の高温雰囲気で焼成した場合にもBET表面積が90m2/g以上である。実施例によれば、Ti/Si原子比が10の場合、600℃で焼成したシリカ修飾チタニアが比表面積185m2/gの値を示している。
【0009】
更にまた、特開平2,000-220,038号公報には、▲1▼チタンアルコキシドを溶媒に溶解させ、水分を添加して加水分解反応及び重合反応を行ない重合体を生成させ、▲2▼該重合体を有機溶媒に溶解させて紡糸液を作り、▲3▼該紡糸液を紡糸して前駆体繊維を得、▲4▼前駆体繊維を焼成前及び/又は焼成時に水蒸気処理し触媒成分含有チタニア繊維を製造することが提案されている。この方法では、工程▲1▼あるいは工程▲2▼において、好ましくはシリカ含有量が約5〜30wt%となるようにケイ素化合物を添加しており、また、実施例によれば、シリカ12wt%及びV2O519wt%を含み、空気中で500℃、1時間焼成して得られた触媒チタニア繊維が比表面積173m2/gの値を有している。
【0010】
また、特開平5-184,921号公報によれば、アルミナに対してチタニアのモル比が2.0以下で、かつ前記チタニアに対してハイドロオキシカルボン酸のモル比が0.2〜2.0となるように、チタンのハイドロオキシカルボン酸塩及び/又はチタンの酸化物、水酸化物のゾルとハイドロオキシカルボン酸を、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物に添加して混練し、焼成することを特徴とするアルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法がある。実施例によれば、600℃で2時間焼成し、TiO2/Al2O3のモル比が1.53でハイドロオキシカルボン酸/TiO2比が1.0となる担体の比表面積は200m2/gの値を示している。
【0011】
また、特開平08-057,322号公報においては、チタニウム塩を加水分解して得られたチタニア水和物ケーキに所定量の燐酸を添加し、捏和して可塑化し、所定の処方に従って成形、焼成することにより、燐を酸化物換算で1〜5wt%含有するチタニア担体の調整方法が提案されている。この方法は、実施例においては、P2O5を5wt%含み、500℃で2時間焼成して得られたチタニア担体が比表面積108m2/gの値を示している。
【0012】
更に、特開平07-232,075号公報には、チタンの酸化物又は水和酸化物と燐の化合物とをチタニアに対する燐の混合量が0.1〜6wt%となるように混合し、得られた混合物を450〜800℃で焼成して焼成体とし、この焼成体にバナジウムを担持させて窒素酸化物除去用触媒を製造する方法が提案されており、実施例によれば、550℃で2時間焼成して調製され、チタニアに対する燐の割合が2.5wt%であるバナジウム担持前のチタニア焼成体が比表面積125m2/gの値を示している。
【0013】
以上のとおり、シリカ、アルミナ、燐等の第二成分を添加することにより、熱安定性が改良され、高温の熱処理によっても高い比表面積を有する多孔質酸化チタンを製造することが提案されている。しかしながら、これらの従来技術においては酸化チタンの細孔及び細孔分布をシャープに制御することは行われていない。
【0014】
各種の化学反応に用いられる触媒担体や触媒においては、単に高比表面積で熱安定性に優れているというだけでなく、細孔径や細孔分布等の細孔構造が精密に制御されていることが重要である。これは、化学反応に関与する反応分子が触媒の活性点に容易に拡散して接触し、また、反応終了後には容易に脱離することが重要であるからである。このため、触媒担体や触媒においては、その比表面積や熱安定性に加えて、その細孔径及び細孔分布等の細孔構造が触媒の活性、選択性、及び寿命に大きな影響を与える重要な物性である。
そして、従来においても、細孔径及び細孔分布等の細孔構造が制御された多孔質酸化チタンを製造する試みが行われている。
【0015】
特開平06-340,421号公報には、加水分解性チタン化合物、例えば四塩化チタンにアンモニア水を添加して水和酸化チタンを生成し、これに多塩基性カルボン酸を添加しキレート化せしめ、更にアルカリでpHを弱酸性から中性領域にして有機酸化チタン化合物を析出させ、得られた有機酸化チタン化合物を無機酸により解膠し、更に仮焼して多孔性酸化チタンを製造することが提案されており、その実施例には、300℃で24時間仮焼して得られた多孔質酸化チタンが全細孔容積0.348ml/g、BET比表面積112m2/g、細孔半径32〜120Åを有し、また、その細孔分布が半径120Åをメインピークとして半径20〜500Åの範囲にあると記載されている。
【0016】
また、特開平11-322,338号公報には、チタンアルコキシドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液に、弱酸と弱塩基、弱酸と強塩基及び弱塩基と強酸の中和により得られる塩より選ばれる1種又は2種以上と、水と、希土類元素に属する金属を含む塩より選ばれる1種又は2種以上とを添加してチタン−金属複合化合物を調製し、次いで酸処理して複合化金属を除去することにより、また、この際に必要により加水分解抑制剤を共存させることにより、微細構造が良好に制御された多孔質酸化チタンを製造することが提案されており、その実施例には、600℃で2時間焼成して得られた多孔質酸化チタンが比表面積90m2/g以上、細孔分布が100〜600Åの範囲にあると記載されている。
【0017】
更に、特開昭56-120,508号公報には、触媒担体として好適な細孔構造に調整された無機酸化物の製造方法が提案されている。この方法は、チタニア等のヒドロゲル形成物質を原料として多孔質無機酸化物を製造する方法であり、a)ヒドロゲルの形成物質からのそのヒドロゲルを得る工程、b)ヒドロゲルのpHを、ヒドロゲル溶解領域とヒドロゲル沈殿領域との間を交互に変動させると共に、ヒドロゲル溶解領域及びヒドロゲル沈殿領域に少なくとも一方の領域へのpH変動に際して、ヒドロゲル形成物質を添加し、最終的に結晶成長し、疎凝集体を形成したヒドロゲルを得る工程、c)ヒドロゲルを乾燥してキセロゲルにした後、焼成して無機酸化物に変換する工程を含むものである。そして、この方法により製造される多孔質無機酸化物は、任意のサイズの細孔径に制御されたシャープな細孔分布を有するものであるが、チタニアの場合その熱安定性は高いとはいえない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の方法で得られる多孔質酸化チタンは、その純度、比表面積、熱安定性、あるいは細孔径や細孔分布等の細孔構造のいずれかの点で問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
【0019】
そこで、本発明者らは、酸化チタンの純度が97wt%以上で、高い熱安定性、すなわち500℃、3時間の高温条件で焼成してもなお80m2/g以上の高比表面積を有し、しかも、細孔径の大きさが任意にかつ精密に制御され、かつ、その細孔分布がシャープである高純度多孔質酸化チタンを製造することについて鋭意検討した結果、合成・乾燥・焼成前の含水酸化チタン中に粒子成長調整剤として微量のケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を存在させることにより、細孔径が制御された状態でかつ高比表面積で熱安定性に優れた高純度多孔質酸化チタンを製造できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、細孔径が精密に制御された含水酸化チタン粒子の熱的に離脱し易い水酸基が熱的に離脱し難い上記元素の多価イオンにイオン交換され、更に、立体的な作用によりイオン交換された上記元素の多価イオンは、近傍の水酸基の脱離による縮重合をも防止する効果を発現し、これによって乾燥や焼成の熱処理時に含水酸化チタン粒子の水酸基が脱離してその粒子が成長するのを効果的に抑制し、また、防止することができることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
従って、本発明の目的は、高比表面積で熱安定性に優れ、細孔の大きさが精密に制御され、かつ、その細孔分布がシャープな高純度多孔質酸化チタンを提供することにある。この細孔の大きさを精密に制御するということは、酸化チタン粒子の粒子径を均一に、かつ精密に制御することをも意味する。
また、本発明の他の目的は、このように高比表面積で熱安定性に優れ、細孔の大きさが精密に制御され、かつ、その細孔分布がシャープな高純度多孔質酸化チタンを製造する方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、含水酸化チタンを乾燥し、焼成して得られる多孔質酸化チタンであり、酸化チタンの純度が酸化物(TiO2)基準で97wt%以上であってケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素を含み、500℃、3時間の条件で焼成したときの細孔シャープネス度が50%以上であって細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ、比表面積が80m2/g以上であることを特徴とする高純度多孔質酸化チタンである。
【0022】
また、本発明は、水系溶媒中でチタン原料とpH調整剤とを反応させて含水酸化チタンを合成し、次いでこの含水酸化チタンを乾燥し、焼成して請求項1に記載の多孔質酸化チタンを製造するに際し、焼成前の含水酸化チタン中にケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を存在せしめることを特徴ととする高純度多孔質酸化チタンの製造方法である。
更に、本発明は、上記高純度多孔質酸化チタンの製造方法において、その含水酸化チタンの合成時に、含水酸化チタンの沈殿領域pHと溶解領域pHとの間を交互に複数回以上スイングせしめる方法である。
【0023】
本発明の高純度多孔質酸化チタンにおいて、その酸化チタンの純度は酸化物(TiO2)基準で97wt%以上、好ましくは98wt%以上であるのがよく、また、500℃、3時間の条件で焼成したときの細孔容積は0.3ml/g以上、更に、細孔シャープネス度は50%以上、好ましくは60%以上であるのがよく、更にまた、比表面積は80m2/g以上、好ましくは100m2/g以上であるのがよい。
【0024】
ここで、多孔質酸化チタンの特性を強く発現させる触媒として用いるためには、酸化チタンは高純度である必要がある。そして、この酸化チタンは軽油の脱硫反応に使用した場合、Ramirezら(J. Ramirez, S. Fuentes, G. Diaz, M. Vrinat, M. Breysse, M. Lacroix, Appl. Catal., 52, 211(1989))によれば単位比表面積当りの脱硫活性はアルミナのおよそ4倍であると報告されている。また、戸河里ら(Togari, O., Ono, T., Nakamura, M., Sekiyu Gakkaishi, 22, (6), 336(1979))によれば、触媒担体Al2O3・TiO2 及びSiO2・TiO2の複合化合物において、それぞれAl2O3及びSiO2の含有量が増加すると触媒担体の酸強度が大きくなることが示されている。更に、特開平08-57,322号公報にも述べられているように、酸化チタン中に燐の含有量が増えると強い酸点を発現する。石油留分の水素化脱硫反応においては、触媒上の強い酸点により、コークが生成し触媒の活性劣化が起こり易くなる。
【0025】
従って、酸化チタンに特有な単位比表面積当たりの高い脱硫活性を維持し、更にコークの生成を抑制するためには、触媒担体として利用する酸化チタンの純度は酸化物(TiO2)基準で97wt%以上、好ましくは98wt%以上であるのがよい。
【0026】
また一般に、触媒反応では、反応分子の細孔径内における分子拡散が律速とならないようにすることは重要であり、このため各反応分子に最適となるサイズの細孔径を有する触媒をあるいは触媒担体を選定、採用する努力がなされている。例えば、石油留分の水素化脱硫においては、軽油、重質油等の処理対象とする留分に応じた最適な細孔径を有する触媒が使用されている。
【0027】
本発明では、細孔シャープネス度として、最適細孔径範囲を規定している。すなわち、全細孔容積の50%における細孔径(メディアン直径)を求め、次にメディアン直径の対数値の±5%の細孔径範囲内に有する細孔容積(PVM)を求め、その細孔容積(PVM)と全細孔容積(PVT)から、以下の式
細孔シャープネス度(%)=(PVM/PVT)×100
により細孔分布の細孔シャープネス度を求め、この細孔シャープネス度が50%以上であれば、ほとんどの細孔径が最適細孔径の近傍にあるといえる。この細孔シャープネス度が50%未満では、反応に有効に使われる細孔容積が少なく、触媒の活性が低下する。従って、本発明の酸化チタンにおいては、その細孔シャープネス度が50%以上であるのがよい。
【0028】
更に、本発明の酸化チタンに各種触媒金属を担持させる場合、触媒金属の担持により細孔容積は減少する。例えば、軽油の脱硫触媒では、一般的に触媒金属としてモリブデンを担体に担持する。本発明の酸化チタンにモリブデンを酸化物(MoO3)として13wt%担持させた場合、細孔容積は0.04ml/gの減少が見られる。加えて、コーク劣化が起こり易い重油の脱硫反応では、先に述べたシリカ、アルミナ及び燐等により発現する酸点や高温、低水素分圧条件でコークが生成し、触媒細孔を閉塞する。例えば、戸河里ら(Togari, O., Takahashi, H., Nakamura, M., Sekiyu Gakkaishi, 23, (4), 256(1980))によれば、常圧残油の水素化処理でアルミナ担体の触媒で700時間運転を行なった場合に、生成したコーク等により、使用前に0.51ml/gであった細孔容積は、使用後に0.33ml/gにまで減少し、0.18ml/gの細孔容積の閉塞が起こっている。
【0029】
従って、本発明の酸化チタンには担持金属による細孔容積の減少、及びコーク等の生成による触媒細孔の閉塞に対応する必要があり、先に述べたように金属担持に必要な細孔容積を0.04ml/gとし、コーク等による触媒細孔の閉塞に対応するための細孔容積を0.18ml/gとした場合に、これらに対応するための細孔容積は0.22ml/gとなる。従って、本発明の酸化チタンの担体は、その細孔容積が0.3ml/g以上であるのがよい。
【0030】
更にまた、軽油の脱硫反応における最高反応温度は、380℃付近であり、また減圧軽油の水素化処理反応における反応温度は430℃付近である。従って、本発明の多孔質酸化チタンをこれらの水素化処理触媒として使用する場合は、これらの処理温度よりも高い温度、すなわち500℃で焼成処理を行なえば、触媒の熱安定性は十分である。また、本発明の多孔質酸化チタンを500℃で焼成する場合の時間は、焼成を3時間以上とすることで重量が定常となる。従って、本発明の多孔質酸化チタンの焼成は、500℃で3時間とするのがよい。
【0031】
また、本発明の酸化チタンの比表面積を80m2/g以上とする理由は、軽油の脱硫に用いられる市販のアルミナ担体触媒の比表面積が約250m2/gであり、また、先に引用したように酸化チタンを担体とした触媒の比表面積当りの軽油の脱硫活性は、アルミナのおよそ4倍となっている。従って、アルミナ担体触媒の相対活性を1とすると、比表面積が80m2/gである酸化チタン担体の触媒の相対活性は1.3と予想され、アルミナ担体触媒を上回ることとなる。従って、本発明の酸化チタンの比表面積については80m2/g以上、好ましくは100m2/gとするのがよい。
【0032】
本発明の高純度多孔質酸化チタンの製造方法において、乾燥・焼成前の含水酸化チタンの合成に使用するチタン原料については、チタンの塩化物、弗化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、蓚酸塩、フッ酸塩、ケイ酸塩、ヨウ素酸塩等のチタン塩、チタン酸、チタンのオキソ酸塩及びチタンのアルコキシド類等を挙げることができ、好ましいものとしては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、オルトチタン酸、メタチタン酸、四臭化チタン、四弗化チタン、三弗化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム等を挙げることができる。これらのチタン原料は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0033】
また、含水酸化チタンの合成に用いるpH調整剤としては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、四臭化チタン、四弗化チタン、三弗化チタン等の他に、硝酸、塩酸、硫酸等の酸や、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリを挙げることができ、これらのpH調整剤についても、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0034】
更に、含水酸化チタンを合成する際に用いる水系溶媒としては、特に制限されるものではないが、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性有機溶剤の水溶液等を用いることもできる。
【0035】
ここで、この含水酸化チタンを合成する際の反応条件について、含水酸化チタンを合成する時の水系溶媒中におけるチタンの濃度は、酸化チタン換算で通常0.1〜15wt%、好ましくは0.5〜10wt%であるのがよく、反応温度は常温から300℃、好ましくは常温から180℃、より好ましくは常温から100℃であり、また、反応圧力が常圧(0MPa)から9.0MPa、好ましくは0〜1.0MPa、より好ましくは0〜0.5MPaであり、更に、pH値は通常0.5〜11、好ましくは1〜10の範囲であるのがよい。
【0036】
そして、本発明の製造方法においては含水酸化チタン中に粒子成長調整剤として微量のケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を存在せしめる。
この粒子成長調整剤が、含水酸化チタン粒子の成長を抑制するメカニズムは以下の様な作用によるものと考えられる。
【0037】
すなわち、含水酸化チタン微粒子は水溶液中で帯電する。含水酸化チタンの等電点はアナターゼ結晶型ではpHが6.1近傍である。そして、pHが等電点未満の溶液中では、含水酸化チタン粒子表面の水酸基は正に帯電し、溶液中で負に帯電しているアニオンがこの含水酸化チタン粒子の表面に容易に付着し、また、pHが等電点を超える溶液中では、含水酸化チタン粒子表面の水酸基は負に帯電し、溶液中で正に帯電しているカチオンがこの含水酸化チタン粒子の表面に容易に付着する。また、このような場合に、溶液中のアニオンあるいはカチオンは、静電気的な作用で含水酸化チタン粒子表面に高分散し、表面水酸基に対して比較的少量でも有効にかつ強固に結合する。このため、含水酸化チタンを焼成した場合に、アニオンあるいはカチオンでイオン交換された部分は、アニオンあるいはカチオンと強固に結合しているために含水酸化チタンの結晶格子(Ti-O-Ti)が形成されず、結晶の成長にはつながらないものと考えられる。更に、アニオンあるいはカチオンの結合部分に近接した水酸基は、アニオンあるいはカチオン部分の立体障害を受けるため、他のチタニア粒子表面の水酸基と結合し難くなるものと考えられる。
【0038】
なお、上述のように含水酸化チタンの粒子の成長を抑制するアニオンあるいはカチオンは、1価のもよりも多価のものがより多くの水酸基と結合が可能であり、乾燥・焼成時により優れた含水酸化チタン粒子の成長阻害効果を発現する。そして、このような多価のアニオンあるいはカチオンを形成し、含水酸化チタンの粒子成長調整剤として用いるのに好適な元素の化合物が、上記のケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、及びジルコニウムの化合物である。
【0039】
ここで、上記含水酸化チタンの粒子成長調整剤として用いられる元素の化合物としては、具体的には以下のようなものを例示することができ、これらの化合物は1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用してもよい。
すなわち、ケイ素系の化合物としては、四塩化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩、無水ケイ酸、ケイ酸モリブデン、ケイ酸イオン等を挙げることができる。
また、燐系の化合物としては、燐酸、亜燐酸、メタ燐酸、ピロ燐酸、酸化燐、燐酸のアンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等を挙げることができる。
【0040】
更に、マグネシウム系の化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、弗化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、炭化マグネシウム、マグネシウムを含む有機酸、マグネシウム、マグネシウムイオン、モリブデン酸マグネシウム及び以上の化合物の水和物等を挙げることができる。
【0041】
カルシウム系の化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、弗化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、炭化カルシウム、カルシウムを含む有機酸、カルシウム、カルシウムイオン、モリブデン酸カルシウム及び以上の化合物の水和物等を挙げることができる。
【0042】
バリウム系の化合物としては、硝酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホウ酸バリウム、酢酸バリウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、弗化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、炭化バリウム、バリウムを含む有機酸、バリウム、バリウムイオン、モリブデン酸バリウム及び以上の化合物の水和物等を挙げることができる。
【0043】
ジルコニウム系の化合物としては、硫酸ジルコニウム、硫酸化ジルコニア、炭化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、水素化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムn-プロポキシド、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、水酸化ジルコニル、硫酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、ジルコニウム及び以上の化合物の水和物等を挙げることができる。
【0044】
マンガン系の化合物としては、硝酸マンガン、硫酸マンガン、硫酸アンモニウムマンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガン、酢酸マンガン、酸化マンガン、水酸化マンガン、弗化マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、炭化マンガン、マンガンを含む有機酸、マンガン、過マンガン酸塩、モリブデン酸マンガン及び以上の化合物の水和物等を挙げることができる。
【0045】
アルミニウム系の化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、弗化アルミニウム、水酸化アルミニウム、乳酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、三弗化アルミニウム、アルミニウム及び以上の化合物の水和物等を挙げることができる。
【0046】
ところで、含水酸化チタンの粒子成長調整剤のケイ素化合物や燐化合物は、酸化物として安定であることから、水溶液中でオキシアニオンの形態で存在する場合にその効果が大きい。水溶液中での化合物形態はケイ素化合物では主にSiO3 2-であり、燐化合物ではPO4 3-であると考えられ、更に、イオン化傾向が大きいマグネシウム、カルシウム、バリウム、ジルコニウム、及びマンガンの化合物は、水溶液中でカチオンの形態で存在する場合に効果が大きい。これらの粒子成長調整剤の水溶液中での化合物形態はそれぞれMg2+、Ca2+、Ba2+、Zr4+、Mn2+であると考えられる。また、アルミニウムの化合物は、水酸化物Al2O3・xH2Oとして比較的安定であり、また、アニオンあるいはカチオンのいずれの形をも取り得るので、アニオンとしてはAlO3 3-として存在し、また、カチオンとしてはAl3+の形態で存在すると考えられる。
【0047】
本発明の製造方法において、含水酸化チタン中にその粒子成長調整剤として存在させるケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物の濃度は、得られた多孔質酸化チタンを少なくとも97wt%以上の高純度に維持する必要があることから、酸化物基準で、酸化チタン中に0.1〜3wt%の範囲以内、好ましくは0.2〜2wt%の範囲内であるのが効果的である。この含水酸化チタン中の粒子成長調整剤の濃度が0.1wt%より少ないと、酸化チタンの比表面積を増大させる効果が充分に発現せず、反対に、3wt%より多くすると、高純度の多孔質酸化チタンが得られなくなるほか、酸化チタン自身の比表面積もあまり向上しない。
【0048】
なお、含水酸化チタン中に粒子成長調整剤として存在させる元素の化合物は、含水酸化チタンの高比表面積を維持する効果を発現させることのほか、酸化チタンの細孔分布制御の際にその障害にならないこと、多孔質酸化チタン中に酸化物として存在して触媒毒にならないこと、及び経済性の観点から安価であることなども重要な要素である。
【0049】
本発明の製造方法において、含水酸化チタン中に粒子成長調整剤としてケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を所定の割合で存在せしめる方法については、特に制限されるものではなく、含水酸化チタンのヒドロゾル又はヒドロゲルの製造時に、当該含水酸化チタンの合成原料(例えば、チタン化合物、pH調整剤、水系溶剤等)中、合成時の反応溶媒中、又は合成後脱水前のいずれの段階で添加してもよい。
【0050】
原料のチタン塩化物をアンモニアで中和して含水酸化チタンを製造した場合には、含水酸化チタンのヒドロゾルあるいはヒドロゲル中に塩素やアンモニア等の不純物が残存し、これらの不純物を洗浄水で洗浄して除去する必要がある。例えば、この含水酸化チタン合成後のろ過・洗浄工程で用いる洗浄水として所定の粒子成長調整剤を含む洗浄水、好ましくは粒子成長調整剤をその元素の酸化物基準で1〜100ppmの範囲で含む洗浄水を用い、この洗浄水を介して含水酸化チタン中に粒子成長調整剤を添加してもよく、また、洗浄後のゲル状含水酸化チタンに粒子成長調整剤を混合してもよい。これらの方法によれば、含水酸化チタン中に粒子成長調整剤を添加する操作を大幅に簡略化できる。また、含水酸化チタンの粒子成長調整剤は乾燥処理後の含水酸化チタンに添加することもできる。
【0051】
なお、含水酸化チタンの粒子成長調整剤として多価アニオンを添加する場合には、含水酸化チタンのゾル又はゲルのpH値をチタン水酸化物の等電点未満とするのがよく、また、含水酸化チタンの粒子成長調整剤として多価カチオンを添加する場合には、含水酸化チタンのゾル又はゲルのpH値をチタン水酸化物の等電点を超えた値とするのがよい。また、含水酸化チタンの粒子成長調整剤として多価アニオンと多価カチオンを共に添加する場合には、含水酸化チタンのゾル又はゲルのpH値をチタン水酸化物の等電点±0.5とすることにより、含水酸化チタンのゾルあるいはゲルに粒子成長調整剤を有効に付着させることができる。
【0052】
更に、本発明の製造方法において、水系溶媒中でチタン原料とpH調整剤とを反応させて含水酸化チタンのヒドロゾル又はヒドロゲルを合成する際には、酸化チタンの電気化学ポテンシャル図(M.Pourbaix,"Atlas of Electrochemical Equilibria in Aquieous Solution",Pergamon Press,London(1966),p.218)に示される含水酸化チタンの沈殿領域pHと溶解領域pHとの間を交互に複数回以上、通常2〜20回スイングせしめるのがよく、この際の沈殿領域pHの値、溶解領域pHの値、及びスイングの回数を調整することにより、合成される含水酸化チタン粒子の細孔径及び細孔分布等の細孔構造をより高度に制御することができる。
【0053】
例えば、pH1とpH7との間を2回スイングさせた時には細孔分布において細孔径のピークが8.2nmであって、また、pH1とpH7との間を4回スイングさせた時には細孔分布において細孔径のピークが16.1nmである等、細孔構造が厳密に制御された多孔質酸化チタンを製造することができる。
【0054】
このようにして製造された含水酸化チタンは、次にろ過、脱水、乾燥、焼成されて多孔質酸化チタンとなるが、この際に、含水酸化チタンを固形物基準で含水量200〜900wt%、好ましくは250〜600wt%にまで脱水あるいは乾燥し、所要の形状に成形した後、更に温度40〜350℃、好ましくは80〜200℃で0.5〜24時間、好ましくは0.5〜5時間乾燥し、その後に温度350〜1200℃、好ましくは400〜700℃で0.5〜24時間、好ましくは0.5〜5時間焼成する。これら一連の製造操作によって、触媒担体あるいは触媒として有用な高比表面積で熱安定性に優れ、また、細孔構造が精密に制御され、その細孔分布がシャープな高純度多孔質酸化チタンを製造することができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。なお、ここで記載する実施例は、本発明を具体的に説明するためのものであって、これらの実施例によって本発明が限定されるものではない。
また、以下の実施例及び比較例において、比表面積、細孔容積及び細孔分布、並びに細孔シャープネス度は以下の方法により測定した。
【0056】
〔比表面積〕
多孔質酸化チタンの比表面積は、測定機器としてマウンテック社製Macsorb Model-1201を使用し、BET(詳しくは、S. Brunauer, P. H. Emmett, E. Teller., J. Am. Chem., Soc., 60, 309(1938))の三点法により測定した。
【0057】
〔細孔容積及び細孔分布〕
多孔質酸化チタンの細孔容積と細孔分布は、測定機器として島津製作所製オートポア9200形を使用し、水銀圧入法(詳しくは、E. W. Washburn, Proc. Natl. Acad. Sci., 7, 115(1921), H. L. Ritter, L. E. Drake, Ind. Eng. Chem. Anal., 17, 782, 787(1945), L. C. Drake, Ind. Eng. Chem., 41, 780(1949),及びH. P. Grace, J. Amer. Inst. Chem. Engrs., 2. 307(1965)などの文献に記載されている)により測定した。水銀の表面張力は0.48N/mとし、使用接触角は140°とし、絶対水銀圧力を0.08〜414MPaまで変化させて測定した。
【0058】
〔細孔シャープネス度〕
水銀圧入法により測定された累積細孔分布曲線に関し、先に定義された細孔シャープネス度の計算式に基づいて求めた。
ここで求められる細孔シャープネス度は、全細孔容積に対する反応に最適な細孔容積の度合いを評価するための因子であり、細孔シャープネス度が大きい程、反応系に必要な細孔容積が多く存在するシャープな細孔分布を有して好ましいものである。
【0059】
実施例1
(含水酸化チタン粒子の合成工程)
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として四塩化ケイ素(SiCl4)を用い、上記四塩化ケイ素の水溶液〔ケイ素濃度(SiO2換算)0.29g/l〕5500gが入ったベッセル中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液165gと14wt%濃度のアンモニア水166gとを加え、含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーを合成した。このときの合成温度は60℃とした。
【0060】
得られた含水酸化チタンのヒドロゾルスラリー中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液165gを加えてpHを酸性側の含水酸化チタンの溶解領域に戻し、その後に166gの14wt%濃度のアンモニア水を加えてスラリーのpHをアルカリ側の含水酸化チタンの沈殿領域とするpHスイング操作を行い、更に引き続いてこのpHスイング操作を1回繰り返し、含水酸化チタン粒子を合成した。また、この際の含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を5とした。
【0061】
(ろ過・洗浄工程)
合成した含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーをろ過し、得られたゲル中の塩素及びアンモニウムイオンを洗い出すため、スラリー中に洗浄水として7.5リットルの水を混合し、次いでろ過・洗浄する操作を2回繰り返して行なった。このろ過・洗浄操作終了後、最終的に吸引ろ過を行って含水酸化チタンのゲルを得た。このゲルの含水量は固形物基準で300wt%であった。
【0062】
(押出成形工程)
ピストン型ゲル押出成形器を用い、含水酸化チタンのゲルを1.5mmφの円柱状に成形した。
【0063】
(乾燥・焼成工程)
押出成形工程で得られた含水酸化チタンヒドロゲルの1.5mmφの円柱状成形物を、乾燥器により120℃、3時間の条件で乾燥し、得られた乾燥物を電気炉で、500℃、3時間の条件で焼成し、多孔質酸化チタンを得た。なお、焼成後はデシケータ内で放冷した。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004017366
【0065】
実施例2
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として燐酸の水溶液〔燐濃度(P2O5換算)0.25 g/l〕を用いて合成温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0066】
実施例3
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として塩化マグネシウム六水和物の水溶液〔マグネシウム濃度(MgO換算)0.08g/l〕を用いて合成温度を100℃とし、また含水酸化チタンの生成量が実施例1と同じになる条件でpHスイングを2回行ない、更に含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を8とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0067】
実施例4
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として塩化カルシウム二水和物の水溶液〔カルシウム濃度(CaO換算)0.17g/l〕の塩化カルシウム水溶液を用いて合成温度を120℃とし、また含水酸化チタンの生成量が実施例1と同じになる条件でpHスイングを6回行ない、更に含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を8とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0068】
実施例5
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として塩化バリウム二水和物の水溶液〔バリウム濃度(BaO換算)0.24g/l〕を用いて合成温度を140℃とし、更に含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を8とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0069】
実施例6
含水酸化チタンの粒子成長調整剤としてオキシ塩化ジルコニウム八水和物の水溶液〔ジルコニウム濃度(ZrO2換算)0.33g/l〕を用いて合成温度を160℃とした以外は、実施例5と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0070】
実施例7
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として塩化マンガン四水和物の水溶液〔マンガン濃度(MnO換算)0.22g/l〕を用いて合成温度を180℃とし、また含水酸化チタンの生成量が実施例1と同じになる条件でpHスイングを2回行ない、更に含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を8とした以外は実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0071】
実施例8
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として塩化アルミニウムの水溶液〔アルミニウム濃度(Al2O3換算)0.30g/l〕を用いて合成温度を40℃とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0072】
【表2】
Figure 0004017366
【0073】
表1及び表2のそれぞれの実施例において、本発明が目的とする酸化チタンの純度が97wt%以上、比表面積が80m2/g以上、細孔容積(PVT)が0.3ml/g以上でかつ細孔シャープネス度が50%以上となっている。
【0074】
実施例9
含水酸化チタンの粒子成長調整剤としてケイ素濃度(SiO2換算)0.05g/lの四塩化ケイ素水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0075】
実施例10
含水酸化チタンの粒子成長調整剤としてケイ素濃度(SiO2換算)及び燐濃度(P2O5換算)がそれぞれ0.09g/lの四塩化ケイ素・燐酸水溶液を用いて合成温度を80℃とし、また含水酸化チタンの生成量が実施例1と同じになる条件でpHスイングを6回行なった以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0076】
実施例11
含水酸化チタンの粒子成長調整剤として四塩化ケイ素、塩化カルシウム二水和物及び塩化マグネシウム六水和物を使用し、合成工程の水系溶媒としてケイ素濃度(SiO2換算)、カルシウム濃度(CaO換算)及びマグネシウム濃度(MgO換算)がそれぞれ0.15g/l、0.15g/l及び0.04g/lの四塩化ケイ素・塩化カルシウム・塩化マグネシウム水溶液を使用した。他に合成温度を100℃とし、また含水酸化チタンの生成量が実施例1と同じになる条件でpHスイングを9回行ない、更に含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を7とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0077】
実施例12
含水酸化チタンの粒子成長調整剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして含水酸化チタンヒドロゾルスラリーを調製し、得られたチタニアヒドロゲルスラリーの洗浄工程に用いる洗浄水として、ケイ素濃度(SiO2換算)、カルシウム濃度(CaO換算)及びマグネシウム濃度(MgO換算)がそれぞれ0.03g/l、0.03g/l及び0.01g/lの四塩化ケイ素・塩化カルシウム・塩化マグネシウム水溶液を用い、洗浄操作を行なった。これらの操作以外は実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0078】
実施例13
含水酸化チタンの粒子成長調整剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして洗浄を終了した含水酸化チタンヒドロゲルを得た。
TiO2重量として50gとなる含水酸化チタンヒドロゲル(含水量は固形物基準で300wt%)に、粒子成長調整剤として燐酸2水素アンモニウム粉末をP2O5換算で0.92gを加え、含水酸化チタン中に均一となるように混練した。
その後は実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
【0079】
実施例14
TiO2として50g相当の含水酸化チタンの成形乾燥物を、含水酸化チタンの粒子成長調整剤として燐濃度(P2O5換算)4.8g/lの燐酸溶液200ml中に浸漬し、その後、再度実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0080】
【表3】
Figure 0004017366
【0081】
実施例10、11は複数の含水酸化チタンの粒子成長調整剤を合成溶媒に添加した場合の効果であり、実施例12は含水酸化チタンの粒子成長調整剤をゲルの洗浄時に添加した場合であり、また実施例13及び14は、それぞれ含水酸化チタンゲルへの混練、あるいは乾燥物への含浸によって粒子成長調整剤を多孔質酸化チタンに添加した場合を示している。いずれの場合においても本発明が目的とする酸化チタンの純度が97wt%以上、比表面積が80m2/g以上、細孔容積(PVT)が0.3ml/g以上でかつ細孔シャープネス度が50%以上となっている。
【0082】
比較例1
2lの沸騰した水が入ったベッセル中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液0.3lを加え、更に液温を95℃に保持し、14wt%濃度のアンモニア水0.4lとを加え、含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーを合成した。その後、沸騰状態で四塩化チタン水溶液とアンモニア水を添加する同様の操作を2回繰り返し、含水酸化チタン粒子を合成した。また、この際の含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpH値を7とした。その後は実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表4に示す。
【0083】
比較例2
含水酸化チタンの粒子成長調整剤を使用せず、またpHスイングを行なわずに1回の反応で実施例1のpHスイング3回に相当する量の含水酸化チタンを合成し、含水酸化チタンヒドロゾルスラリーのpHを7とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表4に示す。
【0084】
比較例3
含水酸化チタンの合成工程でケイ素濃度(SiO2換算)0.009g/lの四塩化ケイ素水溶液を用いた以外は、実施例1と同様として多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表4に示す。
【0085】
比較例4
含水酸化チタンの合成工程でケイ素濃度(SiO2換算)0.60g/lの四塩化ケイ素水溶液を用いた以外は、上記実施例1と同様として多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表4に示す。
【0086】
比較例5
含水酸化チタンの合成工程でケイ素濃度(SiO2換算)1.68g/lの四塩化ケイ素水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表4に示す。
【0087】
比較例6
含水酸化チタンの合成工程でマグネシウム濃度(MgO換算)0.08g/lの塩化マグネシウム水溶液を用い、また、含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpHを4とした以外は、実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを得た。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表4に示す。
【0088】
【表4】
Figure 0004017366
【0089】
表4において比較例1は、特開昭56-120,508号公報の実施例2を1/5のスケールでpHスイングを3回行ない製造した多孔質酸化チタンであり、比較例2は含水酸化チタンの粒子成長調整剤を添加しないで製造した多孔質酸化チタンである。比較例1及び比較例2はいずれも比表面積は80m2/gよりも小さい。比較例3は、粒子成長調整剤が0.1wt%以下の場合で比表面積は80m2/gよりも小さく、また、比較例4及び5は、粒子成長調整剤が3wt%よりも大きく、酸化チタンの純度が97wt%よりも低い場合である。また、比較例6は合成溶媒中で多価カチオンとして存在すると考えられる含酸化チタンの粒子成長調整剤(塩化マグネシウム六水和物)を添加し、含水酸化チタンヒドロゾルスラリーの最終的な溶液のpHを、アナターゼ結晶の等電点よりも低い4とした場合であり、この条件では酸化チタン中にマグネシウムがわずかしか取り込まれないことを示している。
【0090】
実施例1、9及び比較例3〜5の結果に基づいて、含水酸化チタンの粒子成長調整剤の添加効果について説明する。
水5500 gが入ったベッセル中に、100g/l濃度のケイ酸ソーダの水溶液150 gを加え、次に20wt%の硫酸溶液を添加してpHを4とし、含水酸化ケイ素のヒドロゾルスラリーを合成した。その後同様の添加操作を2回繰り返し、pHスイングを3回行なった含水酸化ケイ素のヒドロゾルスラリーを得た。その後は実施例1と同様にして多孔質酸化ケイ素を得た。得られた純度99.4wt%の高純度酸化ケイ素について、その比表面積を測定したところ650m2/gの値を示した。これと比較例2で得られた酸化チタン純度99.2wt%の高純度多孔質酸化チタンの比表面積60m2/gの高純度多孔質酸化チタンとを混合した混合物の比表面積は酸化ケイ素と酸化チタンの混合割合比で表すことができる。
【0091】
実施例1、9及び比較例3〜5の多孔質酸化チタンは、その製造過程で含水酸化チタンの粒子成長調整剤として添加された四塩化ケイ素由来の多孔質酸化ケイ素を含んでいる。従って、添加した四塩化ケイ素由来の比表面積増加効果を除く含水酸化チタンの粒子成長調整剤単独の比表面積増加効果は、実施例1、9及び比較例3〜5と同じ割合で高純度酸化チタンと高純度酸化ケイ素を混合した混合物の比表面積の値との差(比表面積の増加分)として表すことができる。
【0092】
そこで、実施例1、9及び比較例3〜5における含水酸化チタンの粒子成長調整剤としてのみの添加効果を確認するために、各実施例1、9及び比較例3〜5の多孔質酸化チタン中の酸化ケイ素含有量に見合う酸化ケイ素由来の比表面積を除いた比表面積の増加分を求めた。
結果を、多孔質酸化チタンの酸化ケイ素含有率をx軸とし、比表面積の増加分をy軸とした図1に示す。
【0093】
この図1より明らかなように、酸化ケイ素含有率が3wt%までは比表面積の増加分が大きく、特に酸化ケイ素含有率が2wt%までの比表面積の増加分は顕著であり、含水酸化チタンの粒子成長調整剤が比表面積の増加に大きな効果を発現しているのが分かる。だたし、比較例3に示した酸化ケイ素含有率0.1wt%以下では、本発明の目的とする比表面積80m2/g以上を達成できていない。また、酸化ケイ素含有率が3wt%を越えると、比表面積の増加効果は徐々に低下し、この値を超えて含水酸化チタンの粒子成長調整剤を添加しても、その効果が小さいことが分かる。
【0094】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の高純度多孔質酸化チタンは、高比表面積で熱安定性に優れ、しかも、細孔の大きさが精密に制御され、かつ、その細孔分布がシャープであり、例えば触媒又は触媒担体として酸化チタンの性質を高度に求められる多くの用途に好適に用いられる。
また、本発明の製造方法によれば、このような高純度多孔質酸化チタンを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1、9及び比較例3〜5の多孔質酸化チタンを用いて含水酸化チタンの粒子成長調整剤の添加効果を調べたグラフ図である。

Claims (7)

  1. 含水酸化チタンを乾燥し、焼成して得られる多孔質酸化チタンであり、酸化チタンの純度が酸化物(TiO2)基準で97wt%以上であってケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素を含み、500℃、3時間の条件で焼成したときの細孔シャープネス度が50%以上であって細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ、比表面積が80m2/g以上であることを特徴とする高純度多孔質酸化チタン。
  2. ケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素を酸化物基準で0.1wt%以上3wt%未満の範囲で含有する請求項1に記載の高純度多孔質酸化チタン。
  3. 水系溶媒中でチタン原料とpH調整剤とを反応させて含水酸化チタンを合成し、次いでこの含水酸化チタンを乾燥し、焼成して請求項1又は2に記載の高純度多孔質酸化チタンを製造するに際し、焼成前の含水酸化チタン中にケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を存在せしめることを特徴とする高純度多孔質酸化チタンの製造方法。
  4. 含水酸化チタンの製造時に、含水酸化チタンの沈殿領域pHと溶解領域pHとの間を交互に複数回以上スイングさせる請求項3に記載の高純度多孔質酸化チタンの製造方法。
  5. 含水酸化チタンの製造時に、当該含水酸化チタンの合成原料中、合成時の反応溶媒中、合成後脱水前、又は、合成後焼成前のいずれかの時点に、含水酸化チタンの粒子成長調整剤としてケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を添加する請求項3又は4に記載の高純度多孔質酸化チタンの製造方法。
  6. 含水酸化チタンの製造時における含水酸化チタンのろ過洗浄工程において、含水酸化チタンの粒子成長調整剤であるケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を含む洗浄水により含水酸化チタンを洗浄する請求項3又は4に記載の高純度多孔質酸化チタンの製造方法。
  7. 洗浄水が、含水酸化チタンの粒子成長調整剤であるケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を、上記元素の酸化物基準で、1〜100ppmの範囲で含む請求項6に記載する高純度多孔質酸化チタンの製造方法。
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