JP4014406B2 - 多孔質酸化チタンおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御された細孔径を有すると共に高比表面積を有し、機械的強度に優れた触媒担体あるいは触媒として有用な多孔質酸化チタンとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔質酸化チタン(チタニア)にモリブデンを担持させたモリブデン担持チタニア触媒は、モリブデン担持アルミナ触媒に比べ、チオフェンの水素化脱硫反応に対してより優れた比活性を示すことが知られているが(PPM、1994年9月号第68〜76頁)、チタニア触媒はアルミナ触媒に比べて比表面積が小さく、機械的強度が劣るという問題も知られている。
【0003】
本発明者らは、このチタニアの表面積が小さいという問題点を解決してチタニアの優れた性能を引き出すために、いわゆるpHスイングの技術を応用して細孔径が均一に制御された多孔質酸化チタンを製造する具体的な方法について検討を重ね、これまでに幾つかの成果を収めてきた(特願2000-213,535号、特願2001-227,076号、特願2001-333,799号、及び2001-333,800号)。
【0004】
pHスイングの技術により均一な細孔構造の多孔質酸化チタンが得られるということは、均一な分子サイズを有する反応物質を取り扱う場合には極めて有効ではある。しかしながら、軽油および重質油の硫黄含有化合物または重質油や残渣油中のメタル含有化合物は分子量分布を持つ、このような分子量分布を持つ原料を水素化精製する場合、触媒の細孔径依存性が反応活性に影響し、触媒設計に際しては分子量分布に合致した細孔径分布とする必要がある(第15回 石油学会 石油化学討論会1985 pp16-21)。すなわち、細孔分布がシャープであると共に反応分子量分布に沿った細孔径分布となるよう小細孔を含んで細孔分布が非対称となるように設計された触媒は反応性がさらに向上する。
【0005】
また、チタニア担体が有する上述した問題点を解決するための方法として、CVD法等の手段によりアルミナ上にチタニアの薄膜を蒸着させ、これによってアルミナとチタニアのそれぞれの欠点を補ったTiO2/Al2O3担体も提案されている(上記のPPM、1994年9月号第68〜76頁、特開平06-106061)。
しかしながら、このTiO2/Al2O3担体においては、大量にチタニアを蒸着させる場合、例えば、アルミナに対して15%以上蒸着させる場合には、アルミナ成型体の固定された細孔内へチタニアを蒸着することから、細孔径および細孔容積を閉塞させる恐れがあり、また、四塩化チタン蒸着後に水蒸気による加水分解処理を複数に渡って行う等、操作も煩雑で四塩化チタンおよび塩化水素含有排ガスの処理設備が必要となる等付帯設備が多くなり経済的な製造法ではない。さらに、モリブデンを担持した触媒によるベンゾチオフェンの水素化脱硫反応においては、活性はチタニア担体よりやや劣る結果も示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、制御された細孔径を有すると共に均一球状粒子に制御された多孔質酸化チタンよりさらに高比表面積を有し、しかも、機械的強度においても優れており、触媒担体あるいは触媒として有用な多孔質酸化チタンについて鋭意検討した結果、細孔分布がシャープであると共に所定の範囲で小細孔を含んで細孔分布が非対称となるように制御された細孔制御含水酸化チタンを合成することにより、任意の細孔径に制御され、かつ反応分子量分布に沿った細孔分布形状を有し、均一粒子径に制御された多孔質酸化チタンよりさらに高比表面積を有し、しかも、機械的強度にも優れた多孔質酸化チタンが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
従って、本発明の目的は、任意の細孔径に制御され、かつ反応分子量分布に沿った細孔分布形状を有し、均一粒子径に制御された多孔質酸化チタンよりさらに高比表面積を有し、しかも、機械的強度にも優れた多孔質酸化チタンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、含水酸化チタンを乾燥、焼成した多孔質酸化チタンが、下記の計算式
細孔非対称係数 N = (A−C)/(B−A)
[A:メディアン径の対数値、B:2%細孔容積の細孔径の対数値、C:98%細孔容積の細孔径の対数値]
で表される細孔非対称係数Nが1.5≦N≦4の範囲内であることを特徴とする多孔質酸化チタンである。
【0009】
また、本発明は、チタン原料とpH調整剤を交互に添加し、pHをスイングしながら含水酸化チタンを合成し、次いで乾燥し、焼成して上述した多孔質酸化チタンを製造する方法において、含水酸化チタンの合成時にpHを1<pH(a)≦4と5.6≦pH(e)≦6.5の間、あるいは9≦pH(b)≦12と5.6≦pH(e)≦6.5の間をスイングさせることを特徴とする多孔質酸化チタンの製造方法である。
【0010】
ここで、具体的なpHスイング方法は、チタン原料とpH調整剤を交互に添加し、pHをスイングしながら含水酸化チタンを合成する方法において、pHを1<pH(a)≦4と5.6≦pH(e)≦6.5の間、あるいは9≦pH(b)≦12と5.6≦pH(e)≦6.5の間をスイングさせることにより調製することにより行われる。
【0011】
本発明方法において、含水酸化チタンは、乾燥、焼成後にその細孔非対称係数Nが1.5≦N≦4の範囲内に制御されているものであれば、どのような方法で調製されたものであってもよいが、通常は、含水酸化チタンのスラリー中にチタン原料とpH調整剤とを交互に添加し、このスラリーのpH値を、酸化チタンの電気化学ポテンシャル図[M.Pourbaix,"Atlas of Electrochemical Equilibria in Aquieous Solution",Pergamon Press,London(1966),p.218]に示される含水酸化チタンの非溶解pH領域内で、かつ、含水酸化チタンの等電点を境に、その酸側領域とアルカリ側領域との間でpHスイングさせることにより調製される。ここで、酸化チタンの電気化学ポテンシャル図に示される含水酸化チタンの非溶解pH領域は1<pH≦12の範囲内であり、また、含水酸化チタンの等電点におけるpH値はpH6.1である。
【0012】
ここで細孔非対称係数が1から1.5の範囲のものは、均一な粒子の集合体であり、均一細孔径となり細孔径分布がシャープになることより機械的強度が比較的弱く、反応対象物の分子サイズが均一なものに限られる。また、細孔非対称係数が4以上のものは種々の粒子径をもつものの集合体となり、各粒子径のものが細密に充填された状態となることからpHスイング回数を増加しても細孔径を制御することができず、かつ細孔径および細孔容積が小さなものが得られるため、触媒担体として好ましい細孔構造とはならない。これに対して細孔非対称係数が1.5から4の範囲のものは小粒子径のものを含有することから、均一粒子径のものよりさらに高表面積となり、かつ、小粒子が補強剤となって機械的強度の向上が図れる。さらに、分子量分布をもつ反応物質に対して有効な細孔径分布とすることで活性を高めることができる特徴を有する。
【0013】
そして、含水酸化チタン合成溶液のpH値をpHスイングさせる際の酸側領域とアルカリ側領域のpH値については、好ましくは酸側領域のpH値が1<pH(a)≦4、より好ましくは1.1≦pH(a)≦2.0であり、また、好ましくはアルカリ側領域のpH値が9≦pH(b)≦12、より好ましくは10≦pH(b)≦11.9である。ここで、酸側領域のpH値について、pH(a)1以下またはアルカリ側領域のpH値が12より高いと微小粒子が溶解し均一粒子となり比表面積および機械的強度が改善されず、均一な細孔径となることから分子量に分布を持つ反応対象物に対して効果的ではないという問題が生じ、反対に、pH(a)が4より高いまたはpH(b)が9より低いと細孔径制御ができず、細孔容積が低下し触媒担体として不適切な細孔構造になるという問題が生じる。
【0014】
このpHスイングを実施する回数については、特に制限はなく、通常1〜20回スイングせしめるのがよく、この際の酸側領域のpH値、アルカリ側領域のpH値、スイングの回数等を調整することにより、合成される含水酸化チタン粒子の細孔径及び細孔分布形状等の細孔構造をより高度に制御することができる。
【0015】
例えば、pH(a)1.5とpH(e)6.2との間を4回スイングさせた時には細孔分布において細孔径のピークが10nmであって細孔非対称係数Nが2であり、また、pH(b)11.5とpH(e)5.9との間を6回スイングさせた時には細孔分布において細孔径のピークが33nmであって細孔非対称係数Nが3.4である等、細孔構造が厳密に制御された多孔質酸化チタンを製造することができる。
【0016】
本発明の多孔質酸化チタンの製造方法において、含水酸化チタンの合成に使用するチタン原料については、チタンの塩化物、弗化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、蓚酸塩、フッ酸塩、ケイ酸塩、ヨウ素酸塩等のチタン塩、チタン酸、チタンのオキソ酸塩及びチタンのアルコキシド類等を挙げることができ、好ましいものとしては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、オルトチタン酸、メタチタン酸、四臭化チタン、四弗化チタン、三弗化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム等を挙げることができる。これらのチタン原料は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0017】
また、この含水酸化チタンの合成に用いるpH調整剤としては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、四臭化チタン、四弗化チタン、三弗化チタン等の他に、硝酸、塩酸、硫酸等の酸や、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリを挙げることができ、これらのpH調整剤についても、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。これらのpH調整剤はチタン原料のみでは所定のpH値に制御できない場合には、チタン原料と共に用いて、pH値を最適に制御することにも用いられる。
【0018】
更に、含水酸化チタンを合成する際に用いる水系溶媒としては、特に制限されるものではないが、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性有機溶剤の水溶液等を用いることもできる。
【0019】
ここで、この含水酸化チタンを合成する際の反応条件について、含水酸化チタンを合成する時の水系溶媒中におけるチタンの濃度は、酸化チタン換算で通常0.1〜15wt%、好ましくは0.5〜10wt%であるのがよく、反応温度は常温から300℃、好ましくは常温から180℃、より好ましくは常温から100℃であり、また、反応圧力が常圧(0MPa)から9.0MPa、好ましくは0〜1.0MPa、より好ましくは0〜0.5MPaである。
【0020】
本発明の製造方法において、含水酸化チタンの調製時に、含水酸化チタン中にその粒子成長調整剤としてケイ素(Si)、燐(P)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、及びジルコニウム(Zr)から選ばれた1種又は2種以上の元素の化合物を添加し、含水酸化チタン粒子の成長を効率良く制御することもできる。
【0021】
合成した含水酸化チタンは、次にろ過、脱水、乾燥、焼成されて多孔質酸化チタンとなるが、この際に、含水酸化チタンを固形物基準で含水量200〜900wt%、好ましくは250〜600wt%にまで脱水あるいは乾燥し、所要の形状に成形した後、更に温度40〜350℃、好ましくは80〜200℃で0.5〜24時間、好ましくは0.5〜5時間乾燥し、その後に温度350〜1200℃、好ましくは400〜700℃で0.5〜24時間、好ましくは0.5〜5時間焼成する。
【0022】
本発明の方法によれば、上述した一連の製造操作によって、任意の細孔径を有すると共にシャープであって所定の細孔非対称係数Nを有する細孔分布形状に制御され、均一粒子径に制御された多孔質酸化チタンよりさらに高比表面積を有し、しかも、機械的強度にも優れており、触媒担体あるいは触媒として有用な多孔質酸化チタンを製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。なお、ここで記載する実施例は、本発明を具体的に説明するためのものであって、これらの実施例によって本発明が限定されるものではない。
また、以下の実施例及び比較例において、比表面積、細孔容積(TPV)、細孔非対称係数N、及び機械的強度[SCS(Side Crushing Strength)]は以下の方法により測定した。
【0024】
〔比表面積〕
多孔質酸化チタンの比表面積は、測定機器としてマウンテック社製Macsorb Model-1201を使用し、BET(詳しくは、S. Brunauer, P. H. Emmett, E. Teller., J. Am. Chem., Soc., 60, 309(1938))の三点法により測定した。
【0025】
〔細孔容積(TPV)〕
多孔質酸化チタンの細孔容積は、測定機器として島津製作所製オートポア9200形(水銀ポロシメータ)を使用し、水銀圧入法(詳しくは、E. W. Washburn, Proc. Natl. Acad. Sci., 7, 115(1921), H. L. Ritter, L. E. Drake, Ind. Eng. Chem. Anal., 17, 782, 787(1945), L. C. Drake, Ind. Eng. Chem., 41, 780(1949),及びH. P. Grace, J. Amer. Inst. Chem. Engrs., 2. 307(1965)などの文献に記載されている)により測定した。水銀の表面張力は0.48N/mとし、使用接触角は140°とし、絶対水銀圧力を0.08〜414MPaまで変化させて測定した。
【0026】
〔細孔非対称係数N〕
細孔非対称係数 N = (A−C)/(B−A)は、図1に示す水銀ポロシメータで測定した累積細孔容積(縦軸)を細孔直径(横軸:対数表示)との関係で表した図を用いて求めた。すなわち、全細孔容積の50%のところの細孔径(メディアン直径)の対数値をAとし、全細孔容積の2%のところの細孔径の対数値をBとした。また、全細孔容積の98%のところの細孔径の対数値をCとして、上記関係式で示すように、AB間の距離とCA間の距離の比として表した。
【0027】
〔機械的強度(SCS)〕
機械的強度(SCS)は木屋式強度計を用いて測定した。すなわち、長さ6mm以下の円柱状押し出し成形物を直径10mmの円盤で圧縮し、下式により、その破壊時の加重を円柱状押し出し成形物の長さで割って求めた。
SCS=W/L
W=破壊時の加重(kg)
L=円柱状押し出し成形物の長さ(mm)
【0028】
実施例1
(含水酸化チタン粒子の合成工程)
水11kg中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gを加え合成溶液のpH値を1.5とし、その後14wt%濃度のアンモニア水340mlとを加えpH値を6.5とすることによって、含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーを合成した。この際の合成温度は60℃であった。
【0029】
次に、得られた含水酸化チタンのヒドロゾルスラリー中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gを加えてこのスラリーのpH値を含水酸化チタンの酸側領域のpH(a)1.5に戻し、次いで14wt%濃度のアンモニア水355mlを加えてスラリーのpH値を含水酸化チタンの等電点付近のpH (e)6.5とするpHスイング操作を繰り返して行い、合計2回と4回のpHスイング操作を行って含水酸化チタンの粒子を合成した。
【0030】
(ろ過・洗浄工程)
各pHスイング操作で合成した含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーをろ過し、得られたゲル中の塩素及びアンモニウムイオンを洗い出すため、スラリー中に洗浄水として7.5リットルの水を混合し、次いでろ過・洗浄の操作を2回繰り返して行なった。このろ過・洗浄操作終了後、最終的に吸引ろ過を行って含水酸化チタンのゲルを得た。このゲルの含水量は固形物基準で300wt%であった。
【0031】
(押出成形工程)
1.5mmφのダイスサイズのピストン型ゲル押出成形器を用い、各pHスイング操作で合成した含水酸化チタンのゲルを円柱状に成形した。
【0032】
(乾燥・焼成工程)
押出成形工程で得られた各pHスイング操作で合成した含水酸化チタンのヒドロゲルの円柱状成形物を、乾燥器により120℃、3時間の条件で乾燥し、得られた乾燥物を電気炉により500℃、3時間の条件で焼成し、多孔質酸化チタンを得た。なお、焼成後はデシケータ内で放冷した。
合成した含水酸化チタンより得られた多孔質酸化チタンの物性を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004014406
【0034】
実施例2
水11kg中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gを加え合成溶液のpH値を1.5とし、その後14wt%濃度のアンモニア水355mlを加えpH値を7.5とすることによって、含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーを合成した。このときの合成温度は75℃とした。
【0035】
次に、得られた含水酸化チタンのヒドロゾルスラリー中に、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gを加えてこのスラリーのpH値を含水酸化チタンの酸側領域のpH(a)1.5に戻し、次いで14wt%濃度のアンモニア水355mlを加えてスラリーのpH値を含水酸化チタンの等電点を越えてpHを7.5とするpHスイング操作を繰り返して行い、合計4回のpHスイング操作を行って含水酸化チタンの粒子を合成した。得られた合成含水酸化チタンを用い、上記実施例1と同様にして多孔質酸化チタンを調製した。この多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0036】
実施例3
水11kg中に14wt%濃度のアンモニア水300mlを加えてpH9とし、次いで500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gと14wt%濃度のアンモニア水355mlとを用いてpHスイングの操作を酸側領域のpH(a)3.8と含水酸化チタンの等電点を越えたpH7.5との間で合計5回繰り返し、この間pH(e)6で約2分間保持した以外は、実施例2と同様にして多孔質酸化チタンを調製した。この多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0037】
実施例4
水11kg中にNaOHを加えてpH11.5とし、次いで500g/l濃度の四塩化チタン水溶液を加えpHを5.8としたpHスイングの操作を合計3回繰り返した以外は、実施例2と同様にして多孔質酸化チタンを調製した。この多孔質酸化チタンの物性を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004014406
【0039】
比較例1
pHスイングの操作に代えて、500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gと14wt%濃度のアンモニア水355mlとを同時に加える操作を合計4回行い、それ以外は、上記実地例1と同様にして多孔質酸化チタンを調製した。
得られた多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0040】
比較例2
35%塩酸と14wt%濃度のアンモニア水とを用い、スラリーの酸側領域のpH値をpH(a)0.5とし、また、アルカリ側領域のpH値をpH(b)6.5とした以外は、実施例2と同様にして多孔質酸化チタンを調製した。この多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0041】
比較例3
水11kg中に、先に14wt%濃度のアンモニア水355mlを加え、次に500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gを加えて含水酸化チタンのヒドロゾルスラリーを調製し、次いで14wt%濃度のアンモニア水355mlと500g/l濃度の四塩化チタン水溶液330gとを用いてpHスイングの操作をアルカリ側領域のpH(b)9.5と低pH領域のpH(a)7.5との間で合計4回繰り返した以外は、実施例2と同様にして多孔質酸化チタンを調製した。この多孔質酸化チタンの物性を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0004014406
【0043】
以上、実施例1でpHスイングの回数を変えることにより任意に細孔径を制御が可能であり、また、実施例1と比較例2を比較することによって、細孔非対称係数Nが大きい方がSCSが大きくなっており機械的強度が向上し、さらに、高表面積化も図られているのが分かる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、任意の細孔径において反応分子量分布に沿った細孔分布形状に制御され、均一球状粒子に制御されたものよりさらに高比表面積を有し、しかも、機械的強度にも優れた多孔質酸化チタンを得ることができ、触媒担体あるいは触媒としての目的、用途に合わせてこの多孔質酸化チタンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、細孔非対称係数Nの求め方を模式的に示したグラフ図である。

Claims (3)

  1. 含水酸化チタンを乾燥、焼成した多孔質酸化チタンが、下記の計算式
    細孔非対称係数 N = (A−C)/(B−A)
    [A:メディアン径の対数値、B:2%細孔容積の細孔径の対数値、C:98%細孔容積の細孔径の対数値]で表される細孔非対称係数Nが1.5≦N≦4の範囲内であることを特徴とする多孔質酸化チタン。
  2. チタン原料とpH調整剤を交互に添加し、pHをスイングしながら含水酸化チタンを合成し、次いで乾燥し、焼成して請求項1に記載の多孔質酸化チタンを製造する方法において、含水酸化チタンの合成時に、pHを1<pH(a)≦4と5.6≦pH(e)≦6.5との間、あるいは9≦pH(b)≦12と5.6≦pH(e)≦6.5との間でスイングさせることを特徴とする多孔質酸化チタンの製造方法。
  3. pHのスイングは、含水酸化チタンの等電点のpH値を越えて行なう請求項2に記載の多孔質酸化チタンの製造方法。
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