JP3319807B2 - ペロブスカイト型化合物微細粒子粉末およびその製造法 - Google Patents

ペロブスカイト型化合物微細粒子粉末およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】産業上の利用分野 本発明は、易焼結性であり、かつ緻密で微細なグレイン
からなるセラミックスが得られることを特徴とするチタ
ン酸ストロンチウム系ペロブスカイト型化合物微細粒子
粉末に関する。
【0002】従来の技術 近年、電子材料は益々小型高性能化しているが、TiO
2系ペロブスカイト型化合物を用いた強誘電体セラミッ
クスもまた同様であり、小型高性能化を目的として配合
技術、成形技術、焼結技術等の面で種々検討が行われて
きた。しかしながら、このような技術の改善だけではい
まや小型高性能化は限界に達しており、現状よりもさら
に小型高性能化するにはその素材自体の特性を改善する
必要があるとされている。特に、粒界絶縁型の半導体コ
ンデンサの分野ではセラミックスのグレインの大きさを
従来の数十μmから1μm以下に小さくすることによ
り、見掛け比誘電率の大きさを従来よりも大幅に改善で
き、しかも積層化の際には一層の厚さを薄くできること
から小型大容量化が達成できるとされている。即ち、1
μm以下好ましくは0.5μm以下の直径を有し、粒度
分布が狭くかつ球形状のチタン酸ストロンチウム粉末の
開発が切望されている。このような性状のペロブスカイ
ト型化合物の微細粒子粉末の開発が切望されているの
は、粒径が小さければ表面エネルギーが高くなり、粒子
の大きさがそろっていれば成形時のパッキングがよくな
って、焼結性が著しく改善され、より低い温度で緻密な
高強度セラミックスが得られると考えられているからで
ある。この他にも、該ペロブスカイト型化合物の微細粒
子粉末の用途として、液晶表面膜添加材料およびコピア
現像剤添加材料への応用が期待されている。
【0003】上記のような観点から、微粒子のTiO2
系ペロブスカイト型化合物粉末あるいはその製法が盛ん
に開発されているが、チタン酸ストロンチウムについて
も同様な試みが種々なされている。例えば、公開特許公
報昭59−45928号公報には、チタン化合物の加水
分解生成物と水溶性ストロンチウム塩とを強アルカリ水
溶液中で反応させてチタン酸ストロンチウム微粒子を得
る方法が開示されている。しかしながら、該製法では合
成時に添加されるアルカリを洗浄工程で除去し難く、該
添加アルカリ成分が不純物として合成粉末中に混入する
との問題点だけでなく、粒子が100〜200オングス
トロームと小さすぎるため添加物との混合を行う際にス
ラリー中に均一に分散させることが困難であるという問
題点を有している。
【0004】公開特許公報昭61−146711号公報
はTi加水分解生成物、水溶性Ba塩、Sr塩とを強ア
ルカリ水溶液中で反応させてチタン酸バリウム・ストロ
ンチウム固溶体粉末を得る方法を開示しており、公開特
許公報昭61−146712号公報は含水酸化チタンと
Ba塩等をアルカリ金属水酸化物とを水の存在下で反応
させてチタン酸バリウム・ストロンチウム固溶体粉末を
得る方法を開示している。また、公開特許公報昭61−
146713号公報は含水酸化チタン、Ba(O
H)2、Sr(OH)2、アルカリ金属水酸化物とを水の
存在下で反応させてチタン酸バリウム・ストロンチウム
固溶体粉末を得る方法を開示している。更に、公開特許
公報昭62−72525号公報はTiCl4にBaまた
はSr化合物を溶解し、NaOH等を加えて水熱反応さ
せてチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウム粉
末を得る方法を開示している。しかしながら、上記の製
法はいずれも公開特許公報昭59−45928号公報と
同様、合成時に添加されるアルカリを洗浄工程で除去し
難く、該添加アルカリ成分が不純物として合成粉末中に
混入するとの問題点を有している。
【0005】公開特許公報昭61−146709号公報
は低温で焼結可能なチタン酸ストロンチウム粉末とし
て、平均粒径が0.07〜0.5μm、比表面積が3〜
20m2/gで、かつ粒形を真球と仮定して平均粒径か
ら計算される値の2.5倍を越えない値であり、粉末X
線回折像のピークの半値幅から計算される結晶子径が
0.05μm以上0.4μm以下で、その形状が球形状
であるチタン酸ストロンチウム粉末を開示している。該
チタン酸ストロンチウム粉末は、含水酸化チタン、水酸
化ストロンチウムおよび水を窒素雰囲気下で撹拌混合し
つつ60℃以上110℃未満に加熱することにより合成
される。該粉末は公知のチタン酸ストロンチウム粉末に
比べ焼結温度が100℃以上も低い1200℃であり、
かつ均一な微構造の焼結体を与えるとしている。しかし
ながら、チタン酸ストロンチウムをセラミックコンデン
サーに使用する場合、焼結に必要とされる温度が高い場
合ほど電極の焼き付け温度を高めるためにPdを多く含
む電極材料を使用する必要があり、電極のコストを引き
上げるため、さらなる焼結温度の低下が望まれていた。
また、焼結の際に粒子が成長しやすく、得られる焼結体
のグレイン径が大きくなってしまうという問題点があっ
た。
【0006】公開特許公報昭60−90825号公報は
過剰なSrを除去する方法として、湿式反応生成物を1
000℃以下の温度で仮焼した後、弱酸で洗浄する方法
を開示しているが、この方法は化学量論組成付近の特定
組成を有するチタン酸ストロンチウムを再現性よく得る
という目的に対しては有効な手段とはなり得ない。更
に、該方法では粒子の表面のみが酢酸で洗われてTi過
剰組成となるために、焼結性が著しく低下するとの問題
点を有している。
【0007】公開特許公報WO91/02697号公報
は、常圧加熱反応法で得られた結晶性の悪いチタン酸ス
トロンチウムを結晶性の良好なチタン酸ストロンチウム
に変換する方法として、常圧加熱反応法により合成した
SrO/TiO(モル比)が1.01〜1.40の組
成のチタン酸ストロンチウム粉末を1000〜1100
℃に加熱した後、過剰なSrを酸で溶解除去する方法を
開示している。しかしながら、該方法は特定組成、例え
ば化学量論組成のチタン酸ストロンチウムを再現性よく
合成する手段としては好ましい方法ではない。即ち、S
rO/TiO(モル比)が1.01〜1.40の組成
のチタン酸ストロンチウム粉末を1000〜1100℃
に加熱すると、反応生成物がチタン酸ストロンチウム
(SrTiO3)とSr2TiO4との2相混合物に変化
し、次の酸処理工程でSr2TiO4中のSrは酸に溶解
しやすいが、Tiは酸に溶解せず含水酸化チタンとして
チタン酸ストロンチウム中に残存するために、化学量論
組成のチタン酸ストロンチウム粉末を再現性よく合成し
難い。
【0008】公開特許公報昭61−31345号公報は
上記問題点を、水溶液中に溶存しているSr2+を水不溶
性の形にした後に濾過、水洗、乾燥する方法で解決でき
たとしている。しかしながら、該公報により得られるチ
タン酸ストロンチウム粉末は見かけ上化学量論組成を有
しているものの、チタン酸ストロンチウムの単一層では
なく、反応により生成したチタン酸ストロンチウム、未
反応のチタン化合物および水不溶化されたストロンチウ
ム化合物の3相混合物である。従って、該チタン酸スト
ロンチウム粉末を焼結して得られるセラミクッスは、組
成が不均一なものになり、このため異常成長粒子を含む
焼結体になりやすく、物理的特性や電気的特性のバラツ
キが多いという欠点があった。更に、該チタン酸ストロ
ンチウムを合成する際の反応容器に高価な圧力容器を使
用しているため製造コストが高くなるという問題も有し
ていた。
【0009】解決しようとする課題 本発明の目的は、従来のペロブスカイト型化合物の微細
粒子粉末が有していない、より低温で高密度、かつ微細
なグレインからなるセラミックスが得られる強誘電性セ
ラミックス用の新規なペロブスカイト型化合物粉末を提
供することである。
【0010】課題を解決する手段 本発明者らは上記の課題を解決する為鋭意研究を行った
結果、平均粒径が0.03〜0.3μmであり、粒度分
布が四分偏差を平均粒径で割った値で0.2以下であ
り、SO3を0.04〜0.14重量%含有するペロブ
スカイト型化合物微細粒子粉末が所望の特徴を実現し得
ることを見い出し本発明を完成したものである。
【0011】本発明のペロブスカイト型化合物微細粒子
粉末は、透過型電子顕微鏡観察により測定した平均粒径
が0.03〜0.3μmの範囲にあり、どの粒子もほぼ
同一の粒径を有しており、四分偏差を平均粒径で割った
値は0.2以下である。平均粒径とは透過型電子顕微鏡
写真から等価円直径により測定される重量基準の50%
粒径であり、四分偏差とは透過型電子顕微鏡写真から等
価円直径により測定される重量基準の75%粒径と25
%粒径の差で表される。
【0012】なお、本発明の微細粒子粉末のように非常
に小さな粒径を有する粉末の場合、粉末製造後に分級な
どの公知の手段によって粒度分布を調整することは実際
上不可能であり、製造時に分布のシャープな粉末を製造
することが必要とされる。
【0013】本発明のペロブスカイト型化合物微細粒子
粉末は、含水酸化チタンスラリーに塩酸または硝酸を添
加して、該スラリーのpHを1.5以下に調整して得た
チタニアゾルの分散液に、アルカリを添加した後洗浄
し、Srの水酸化物を添加して、該スラリーの組成を、
含水酸化チタン0.1〜0.8モル/リットル、好まし
くは0.2から0.5モル/リットル、Srと含水酸化
チタンの混合割合をモル比で0.9〜1.2、好ましく
は0.95から1.10に調整し、次いで該スラリーを
一時間当たり40℃以下の昇温速度で50℃以上の反応
温度に昇温して、該反応温度に0.5〜5時間保持する
ことで合成される。
【0014】SO3含有量がTiO2に対して0.1〜
0.3重量%である含水酸化チタンスラリーを用いて合
成すれば、SO3を0.04〜0.14重量%含有する
ペロブスカイト型化合物微細粒子粉末が得られる。SO
3を含有しない場合に比べて、より微細な1μm以下の
グレインを有し、かつ緻密なセラミックスが得られる。
SO3は不純物であるが、この存在が焼結時の粒子成長
を妨げ、得られる焼結体のグレイン径を小さくすると考
えられている。すなわち、不純物として従来は含有量を
極力少なくすべく努力されていたSO3を一定量以上含
むことにより予想外の効果が得られたのである。
【0015】SO3含有量がTiO2に対して0.1〜
0.3重量%である含水酸化チタンは、硫酸チタニル水
溶液の加水分解生成物を水洗した後、さらにアルカリを
添加して、含水酸化チタンに吸着している硫酸根を除去
することにより得ることができる。また、四塩化チタン
水溶液を加水分解して得た含水酸化チタンに適量の硫酸
を添加することによっても得ることができる。
【0016】硫酸チタニル水溶液の加水分解生成物は大
きい凝集体を形成しているので、このままペロブスカイ
ト型化合物合成用の原料に用いると、粒度分布が広く、
焼結性の劣った粉末しか得られない。そこで、狭い粒度
分布を有し、化学量論組成付近で所望のアルカリ土類金
属とTiO2との比率を有するペロブスカイト型化合物
を得ることを目的として、硫酸チタニル水溶液を加水分
解して得られた含水酸化チタンのSO3含有量を洗浄に
よりTiO2に対して0.1〜0.3重量%に調整した
後、塩酸または硝酸を添加してチタニアゾルとする。こ
の時、スラリーのpHは1.5以下が適当である。
【0017】チタニアゾルの粒子の大きさは加水分解条
件により決まるが、300オングストローム以下が好ま
しい。この値よりも大きいと、狭い粒度分布を有するペ
ロブスカイト型化合物を得ることが困難となるからであ
る。
【0018】次いで、チタニアゾル粒子に吸着している
塩素イオン、あるいは硝酸イオンを除去する目的で該チ
タニアゾルの分散液にアルカリを添加するが、この時に
使用し得るアルカリは、NaOH、KOH、NH4OH
等である。以上の工程で得られる含水酸化チタンはX線
回折による測定でアナターゼ型のピークを示す。この他
含水酸化チタンには、非晶質のものやX線回折による測
定でルチル型の結晶構造を示すものが存在する。
【0019】ルチル型の結晶構造を有するチタニアゾル
とは、X線回折による測定でルチル型結晶のピークを示
す微小含水酸化チタンのゾルであり、その平均径は通常
50〜120オングストロームである。このゾルは例え
ば、硫酸法二酸化チタン顔料の製造において、二酸化チ
タンのルチル化を促進することを目的として硫酸チタニ
ル水溶液の加水分解時に種晶として添加されるものであ
り、たとえば以下のような方法で製造することができ
る。
【0020】a)硫酸チタニル水溶液あるいは四塩化チ
タン水溶液を5〜30℃に保持しながら、水酸化ナトリ
ウムなどのアルカリ水溶液を添加して含水酸化チタンを
析出させ、該沈澱を60〜80℃で1〜10時間熟成す
る。
【0021】b)メタチタン酸あるいはオルトチタン酸
などの含水酸化チタンを水酸化ナトリウム水溶液中に分
散させ、80℃〜沸点で1〜10時間加熱処理した後、
濾過、洗浄し、その後塩酸溶液中で80℃〜沸点で1〜
10時間加熱処理する。
【0022】チタニアゾルの洗浄作業を容易にするに
は、TiO2源としてアナターゼ型の結晶構造を有する
チタニアゾルを使用する場合には該スラリーのpHを6
付近に調整することが好ましく、また、ルチル型の結晶
構造を有するチタニアゾルを使用する場合の該スラリー
のpHは4付近が好ましい。
【0023】尚、チタニアゾル粒子に吸着している塩素
イオン、あるいは硝酸イオンを除去する目的でチタニア
ゾルの分散液に添加するアルカリ源としてNaOHやK
OHを使用した場合には、該スラリーのpHを7以上に
しないことが特に重要である。該スラリーのpHを7以
上に調整すると、含水酸化チタンにNa+やK+が吸着
し、この為合成されるペロブスカイト型化合物のNaや
Kの含有量が多くなり好ましくないからである。
【0024】本発明で用いられるアルカリ土類金属の水
酸化物は、一般に結晶水を含む白色固体であるが、これ
はそのまま使用してもよく、また、あらかじめ水に溶か
して用いてもよい。アルカリ土類金属の水酸化物は空気
中の二酸化炭素と容易に反応して炭酸塩になるが、炭酸
塩は水に対する溶解度が水酸化物よりも小さい為ペロブ
スカイト型化合物の生成反応の系外に存在する形となる
ので好ましくない。また、洗浄後も反応生成物中に残存
するため組成の調整が難しくなる。更に、水酸化アルカ
リ土類金属水溶液中で生成する炭酸塩は、ペロブスカイ
ト型化合物粒子とは別の単独の粒子として成長する為ペ
ロブスカイト型化合物粒子粉末の組成の不均一化に繋が
るので好ましくない。従って、水酸化アルカリ土類金属
は、反応に供する前に充分精製して炭酸塩を除去するだ
けではなく、ペロブスカイト型化合物生成反応中および
反応後の洗浄工程においても該水溶液が二酸化炭素と接
触しないように注意する必要がある。尚、水酸化アルカ
リ土類金属の精製は公知の方法で行えば充分であり、ペ
ロブスカイト型化合物の合成反応および洗浄は窒素雰囲
気下で操作すればよい。
【0025】水酸化ストロンチウムと含水酸化チタンの
混合割合はSr/TiO2のモル比で0.9〜1.2で
ある。即ち、チタン酸ストロンチウム系ペロブスカイト
型化合物の場合には、ストロンチウム過剰組成まで容易
に反応が進行するために、得られる粉末の組成は、ほぼ
上記の混合割合と同じになる。従って、化学量論組成付
近で所望のSr/TiO2モル比の混合割合にすれば所
望の組成のペロブスカイト型化合物微細粒子粉末が得ら
れる。
【0026】水酸化ストロンチウムの濃度は、0.1〜
0.8モル/リットルの範囲が好ましい。即ち、該濃度
が0.1モル/リットルよりも小さい場合には反応に長
時間を必要とするのみならず、得られる反応生成物のロ
ット毎の組成のバラツキが大きくなるので好ましくな
い。更に、合成されるペロブスカイト型化合物の粒径が
0.3μmよりも大きくなり、このような粒径を持つ粉
末からは、1μm以下のグレイン径を有し、かつ高密度
のセラミックスを得ることが困難である。また、該濃度
が0.8モル/リットルよりも大きいときには、スラリ
ーの粘度が大きくなり、撹拌が困難となるので好ましく
ない。
【0027】ペロブスカイト型化合物の反応温度は50
℃以上であれば特に問題はないが、温度があまり高くな
るとそれだけ圧力の高い反応容器を必要とするため好ま
しくなく、実用的には50℃〜101℃の範囲が適切で
ある。
【0028】また、チタン酸ストロンチウムを主成分と
するペロブスカイト型化合物の場合には、合成反応を行
う際の昇温速度が粒度分布に大きな影響を与える。粒度
分布の狭い粉末を得るためには昇温速度が1時間当たり
40℃以下であることが必要である。ただし、あまりに
昇温速度が遅い場合にはそれだけ反応に時間が掛かるた
め好ましくなく、実用的には1時間当たりの昇温速度が
10〜30℃の範囲が適切である。
【0029】ペロブスカイト型化合物の反応時間は、
0.5時間以上であれば特に問題はないが、反応時間が
あまり長くなると、それだけ単位時間当たりに得られる
ペロブスカイト化合物の量が少なくなるため好ましくな
く、実用的には0.5〜5時間の範囲が適切である。
【0030】本発明のチタン酸ストロンチウム系化合物
には、SrTiO3が含まれる。ただし、Srは、M
g、CaおよびBaよりなる群から選択される1種以上
のアルカリ土類金属元素によって部分的に置換されるこ
とができ、また、Tiは、ZrおよびSnよりなる群か
ら選択される1種以上の元素によって部分的に置換され
ることができる。
【0031】Srの一部をMg、CaあるいはBa等で
部分的に置換したチタン酸ストロンチウム系ペロブスカ
イト型化合物を合成するには、Srと上記該元素との混
合水溶液中で該ペロブスカイト型化合物の合成を行えば
よい。その時、アルカリ土類金属の総量として0.1〜
0.8モル/リットルの濃度とし、含水酸化物とのモル
比を0.9〜1.2に調節することが必要である。
【0032】また、Tiの一部をZrやSn、あるいは
この2種の元素で部分的に置換したチタン酸ストロンチ
ウム系化合物を合成するには、チタニアゾルを作製後、
上記元素の塩化物を添加し、この後、該チタニアゾル分
散液にアルカリを添加して、含水酸化チタンとこれらの
元素の水酸化物との混合体としてペロブスカイト型化合
物合成用原料に使用すればよい。
【0033】得られたチタン酸ストロンチウム系ペロブ
スカイト型化合物粉末を焼結体にするには、0.5〜2
t/cm2の圧力で成形してグリーン成形体とし、11
50〜1250℃、好ましくは1150℃から1200
℃で2〜10時間焼成すればよい。得られる焼結体は、
理論密度に対して94%以上の焼結密度と1μm以下の
グレイン径を有する。すなわち、本発明にかかるチタン
酸ストロンチウム系ペロブスカイト型化合物粉末は低温
で焼結可能であり、得られる焼結体は高い焼結密度と小
さなグレイン径を有するのである。
【0034】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。以下の実施例は単に例示のために記すもの
であり、発明の範囲がこれらによって制限されるもので
はない。
【0035】実施例1 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が2200μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.2
4重量%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンス
ラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0として
チタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にN
aOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液
の電気伝導度が120μS/cmになるまで純水を用い
てデカンテーションによって洗浄した。得られた含水酸
化チタンをX線回折により調べたところアナターゼ型T
iO2のピークのみを示した。
【0036】以上のようにして得られた含水率91%の
メタチタン酸533g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)183.6g(0.66モル)を加え、
さらに蒸留水を加えて0.3モル/リットル(SrTi
換算)、SrO/TiO2モル比1.10のスラリ
ーに調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを沸騰温度
(101℃)まで26℃/Hで昇温し、沸点で3時間反
応を行った。反応後40℃まで冷却し、窒素雰囲気下に
おいて上澄み液を除去し、2.5リットルの純水を加え
てデカンテーションを行うという操作を2回繰り返して
洗浄を行った後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケ
ーキを110℃の大気中で4時間乾燥した。得られた粉
末をX線回折で調べたところ、チタン酸ストロンチウム
の単一相であった。また、電子顕微鏡による観察によっ
てもチタン酸ストロンチウム以外の粒子は観察されなか
った。該粉末のC含有量は0.25重量%であり、SO
3含有量は0.10重量%であった。また、電子顕微鏡
写真を用いて重量基準で算出した平均粒径は0.05μ
m、四分偏差を平均粒径で割った値は0.16であっ
た。該粉末のNa含有量は6ppmであった。該粉末の
SrO/TiO2モル比は1.08であった。
【0037】実施例2 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が2200μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.3
0重量%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンス
ラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0として
チタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にN
aOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液
の電気伝導度が180μS/cmになるまで純水を用い
てデカンテーションによって洗浄した。得られた含水酸
化チタンをX線回折により調べたところアナターゼ型T
iO2のピークのみを示した。
【0038】以上のようにして得られた含水率90%の
メタチタン酸160g(0.2モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)58.4g(0.21モル)を加え、さ
らに蒸留水を加えて0.1モル/リットル(SrTiO
換算)、SrO/TiO2モル比1.05のスラリー
に調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを70℃まで1
2℃/Hで昇温し、70℃で1時間反応を行った。反応
後40℃まで冷却し、窒素雰囲気下において上澄み液を
除去し、2.5リットルの純水を加えてデカンテーショ
ンを行うという操作を2回繰り返して洗浄を行った後、
ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを110℃の
大気中で4時間乾燥した。得られた粉末をX線回折で調
べたところ、チタン酸ストロンチウムの単一相であっ
た。また、電子顕微鏡による観察によってもチタン酸ス
トロンチウム以外の粒子は観察されなかった。該粉末の
C含有量は0.23重量%であり、SO3含有量は0.
13重量%であった。また、電子顕微鏡写真を用いて重
量基準で算出した平均粒径は0.20μm、四分偏差を
平均粒径で割った値は0.12であった。該粉末のSr
O/TiO2モル比は1.03であった。
【0039】実施例3 四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することによ
り加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄
し、該含水酸化チタンスラリーにTiO2に対するSO3
として0.24重量%の硫酸を添加した。次に該含水酸
化チタンスラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを
1.0としてチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾ
ル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを6.0と
して上澄み液の電気伝導度が80μS/cmになるまで
純水を用いてデカンテーションによって洗浄した。得ら
れた含水酸化チタンをX線回折により調べたところアナ
ターゼ型TiO2のピークのみを示した。
【0040】以上のようにして得られた含水率88%の
メタチタン酸399g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)166.9g(0.6モル)を加え、さ
らに蒸留水を加えて0.3モル/リットル(SrTiO
換算)、SrO/TiO2モル比1.00のスラリー
に調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを70℃まで2
4℃/Hで昇温し、70℃で3時間反応を行った。反応
後40℃まで冷却し、窒素雰囲気下において上澄み液を
除去し、2.5リットルの純水を加えてデカンテーショ
ンを行うという操作を2回繰り返して洗浄を行った後、
ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを110℃の
大気中で4時間乾燥した。得られた粉末をX線回折で調
べたところ、チタン酸ストロンチウムの単一相であっ
た。また、電子顕微鏡による観察によってもチタン酸ス
トロンチウム以外の粒子は観察されなかった。該粉末の
C含有量は0.25重量%であり、SO3含有量は0.
10重量%であった。また、電子顕微鏡写真を用いて重
量基準で算出した平均粒径は0.08μm、四分偏差を
平均粒径で割った値は0.14であった。該粉末のSr
O/TiO2モル比は0.99であった。
【0041】実施例4 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が1300μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.2
5重量%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンス
ラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0として
チタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にN
aOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液
の電気伝導度が120μS/cmになるまで純水を用い
てデカンテーションによって洗浄した。得られた含水酸
化チタンをX線回折により調べたところアナターゼ型T
iO2のピークのみを示した。
【0042】以上のようにして得られた含水率92%の
メタチタン酸599g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)165.2g(0.594モル)とMg
(OH)2(純度99%)3.9g(0.066モル)
を加え、さらに蒸留水を加えて0.3モル/リットル
(Sr0.9Mg0.1TiO換算)、(SrO+MgO)
/TiO2モル比1.20のスラリーに調整した。窒素
雰囲気中で該スラリーを沸点まで28℃/Hで昇温し、
沸点で3時間反応を行った。反応後40℃まで冷却し、
窒素雰囲気下において上澄み液を除去し、2.5リット
ルの純水を加えてデカンテーションを行うという操作を
2回繰り返して洗浄を行った後、ヌッチェで濾過を行っ
た。得られたケーキを110℃の大気中で4時間乾燥し
た。得られた粉末をX線回折で調べたところ、チタン酸
ストロンチウムのピーク位置よりも高角側にピークがシ
フトしていることがわかった。該粉末のC含有量は0.
23重量%であり、SO3含有量は0.11重量%であ
った。また、電子顕微鏡写真を用いて重量基準で算出し
た平均粒径は0.22μm、四分偏差を平均粒径で割っ
た値は0.13であった。該粉末の(SrO+MgO)
/TiO2モル比は1.01であった。
【0043】実施例5 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が1300μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.2
5重量%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンス
ラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0として
チタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にN
aOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液
の電気伝導度が120μS/cmになるまで純水を用い
てデカンテーションによって洗浄した。得られた含水酸
化チタンをX線回折により調べたところアナターゼ型T
iO2のピークのみを示した。
【0044】以上のようにして得られた含水率93%の
メタチタン酸685g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)160.2g(0.576モル)とBa
(OH)2・8H2O(純度98.5%)46.2g
(0.144モル)を加え、さらに蒸留水を加えて0.
3モル/リットル(Sr0. 8Ba0.2TiO換算)、
(SrO+BaO)/TiO2モル比1.20のスラリ
ーに調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを沸点まで2
8℃/Hで昇温し、沸点で3時間反応を行った。反応後
40℃まで冷却し、窒素雰囲気下において上澄み液を除
去し、2.5リットルの純水を加えてデカンテーション
を行うという操作を2回繰り返して洗浄を行った後、ヌ
ッチェで濾過を行った。得られたケーキを110℃の大
気中で4時間乾燥した。得られた粉末をX線回折で調べ
たところ、チタン酸ストロンチウムのピーク位置よりも
低角側にピークがシフトしていることがわかった。該粉
末のC含有量は0.10重量%であり、SO3含有量は
0.09重量%であった。また、電子顕微鏡写真を用い
て重量基準で算出した平均粒径は0.14μm、四分偏
差を平均粒径で割った値は0.11であった。該粉末の
(SrO+BaO)/TiO2モル比は0.99であっ
た。
【0045】実施例6 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が1300μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.2
5重量%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンス
ラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0として
チタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にT
iO2に対して20モル%のオキシ塩化ジルコニウムを
添加し、その後NaOHを添加し、分散液のpHを6.
0として上澄み液の電気伝導度が160μS/cmにな
るまで純水を用いてデカンテーションによって洗浄し
た。得られた含水酸化チタンをX線回折により調べたと
ころアナターゼ型TiO2のピークのみを示した。
【0046】以上のようにして得られた含水率96%の
含水酸化物1330g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)183.6g(0.66モル)を加え、
さらに蒸留水を加えて0.3モル/リットル(SrTi
0.8Zr0.2換算)、SrO/(TiO2+ZrO2
モル比1.10のスラリーに調整した。窒素雰囲気中で
該スラリーを沸点まで30℃/Hで昇温し、沸点で3時
間反応を行った。反応後40℃まで冷却し、窒素雰囲気
下において上澄み液を除去し、2.5リットルの純水を
加えてデカンテーションを行うという操作を2回繰り返
して洗浄を行った後、ヌッチェで濾過を行った。得られ
たケーキを110℃の大気中で4時間乾燥した。得られ
た粉末をX線回折で調べたところ、チタン酸ストロンチ
ウムのピーク位置よりも低角側にピークがシフトしてい
ることがわかった。該粉末のC含有量は0.23重量%
であり、SO3含有量は0.11重量%であった。ま
た、電子顕微鏡写真を用いて重量基準で算出した平均粒
径は0.15μm、四分偏差を平均粒径で割った値は
0.11であった。該粉末のSrO/(TiO2+Zr
2)モル比は1.02であった。
【0047】比較例1 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が2200μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.2
7重量%になるまで洗浄した。得られた含水酸化チタン
をX線回折により調べたところアナターゼ型TiO2
ピークのみを示した。
【0048】以上のようにして得られた含水率91%の
メタチタン酸533g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)183.6g(0.66モル)を加え、
さらに蒸留水を加えて0.3モル/リットル(SrTi
換算)、SrO/TiO2モル比1.10のスラリ
ーに調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを沸騰温度
(101℃)まで24℃/Hで昇温し、沸点で3時間反
応を行った。反応後40℃まで冷却し、窒素雰囲気下に
おいて上澄み液を除去し、2.5リットルの純水を加え
てデカンテーションを行うという操作を2回繰り返して
洗浄を行った後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケ
ーキを110℃の大気中で4時間乾燥した。得られた粉
末をX線回折で調べたところ、チタン酸ストロンチウム
の単一相であった。また、電子顕微鏡による観察によっ
てもチタン酸ストロンチウム以外の粒子は観察されなか
った。該粉末のC含有量は0.24重量%であり、SO
3含有量は0.12重量%であった。また、電子顕微鏡
写真を用いて重量基準で算出した平均粒径は0.05μ
m、四分偏差を平均粒径で割った値は0.34であっ
た。該粉末のSrO/TiO2モル比は1.09であっ
た。
【0049】比較例2 硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チ
タンを純水で濾液の電気伝導度が2100μS/cmに
なるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaO
Hを添加して吸着している硫酸根をSO3として0.2
4重量%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンス
ラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0として
チタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にN
aOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液
の電気伝導度が140μS/cmになるまで純水を用い
てデカンテーションによって洗浄した。得られた含水酸
化チタンをX線回折により調べたところアナターゼ型T
iO2のピークのみを示した。
【0050】以上のようにして得られた含水率91%の
メタチタン酸533g(0.6モル)をSUS製反応容
器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間放置し反応容器
内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純
度95.5%)183.6g(0.66モル)を加え、
さらに蒸留水を加えて0.3モル/リットル(SrTi
換算)、SrO/TiO2モル比1.10のスラリ
ーに調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを沸騰温度
(101℃)まで76℃/Hで昇温し、沸点で3時間反
応を行った。反応後40℃まで冷却し、窒素雰囲気下に
おいて上澄み液を除去し、2.5リットルの純水を加え
てデカンテーションを行うという操作を2回繰り返して
洗浄を行った後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケ
ーキを110℃の大気中で4時間乾燥した。得られた粉
末をX線回折で調べたところ、チタン酸ストロンチウム
の単一相であった。また、電子顕微鏡による観察によっ
てもチタン酸ストロンチウム以外の粒子は観察されなか
った。該粉末のC含有量は0.28重量%であり、SO
3含有量は0.10重量%であった。また、電子顕微鏡
写真を用いて重量基準で算出した平均粒径は0.04μ
m、四分偏差を平均粒径で割った値は0.24であっ
た。該粉末のSrO/TiO2モル比は1.03であっ
た。
【0051】比較例3 四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することによ
り加水分解して得られた含水酸化チタンを上澄み液の電
気伝導度が70μS/cmになるまで純水を用いてデカ
ンテーションによって洗浄した。得られた含水酸化チタ
ンをX線回折により調べたところアナターゼ型TiO2
のピークのみを示した。
【0052】以上のようにして得られた含水率90%の
メタチタン酸240g(0.3モル)と純水0.5リッ
トルをSUS製反応容器に入れ、窒素ガスを吹き込み1
5時間放置し反応容器内を窒素ガス置換した。Sr(O
H)2・8H2O(純度95.5%)169.8g(0.
495モル)を90℃の水1リットルに溶解し、沸騰
後、炭酸ストロンチウムを除くため濾過し、濾液を空気
に触れさせないよう窒素ガス雰囲気下で充分注意を払い
つつ、メタチタン酸を入れてある反応容器に入れ、さら
に蒸留水を加えて0.15モル/リットル(SrTiO
3換算)、SrO/TiO2モル比1.65のスラリーに
調整した。窒素雰囲気中で該スラリーを沸点まで10℃
/Hで昇温し、沸点で8時間反応を行った。反応後40
℃まで冷却し、窒素雰囲気下において上澄み液を除去
し、2.5リットルの純水を加えてデカンテーションを
行うという操作を2回繰り返して洗浄を行った後、ヌッ
チェで濾過を行った。得られたケーキを110℃の大気
中で4時間乾燥した。得られた粉末をX線回折で調べた
ところ、チタン酸ストロンチウムの単一相であった。ま
た、電子顕微鏡による観察によってもチタン酸ストロン
チウム以外の粒子は観察されなかった。該粉末のC含有
量は0.25重量%であり、SO3含有量は0.01重
量%以下であった。また、電子顕微鏡写真を用いて重量
基準で算出した平均粒径は0.15μm、四分偏差を平
均粒径で割った値は0.14であった。該粉末のSrO
/TiO2モル比は1.11であった。得られた粉末を
1t/cm2の圧力で成形してグリーン成形体とし、1
150℃で2時間焼成して焼結体を作製した。該焼結体
の焼結密度をアルキメデス法により測定し、さらに焼結
体の研磨面に熱エッチングを施した後に走査型電子顕微
鏡によりグレインの大きさを測定したところ、焼結密度
は4.33g/cm3、グレイン径は2.5μmであっ
た。
【0053】実施例1〜6および比較例1〜3で得られ
た粉末を1t/cm2の圧力で成形してグリーン成形体
とし、1150℃で2時間焼成して焼結体を作製した。
該焼結体の焼結密度をアルキメデス法により測定し、さ
らに焼結体の研磨面に熱エッチングを施した後に走査型
電子顕微鏡によりグレインの大きさを測定した。結果を
第1表に示す。
【0054】
【表1】 上記の実施例に示されたように、本発明により得られる
チタン酸ストロンチウム系ペロブスカイト型化合物微細
粒子粉末は、低い温度で焼結でき、得られた焼結体は高
い焼結密度と、小さいグレイン径を有する。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/00 C01B 13/00 C04B 35/00 CA(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径が0.03〜0.3μm、四分偏
    差を平均粒径で割った値が0.2以下であり、SO3
    0.04〜0.14重量%含有し、1150〜1250
    ℃で焼結させたときの焼結体の焼結密度が4.7g/c
    3以上であり且つ該焼結体のグレイン径が1μm以下
    となることを特徴とするチタン酸ストロンチウム系ペロ
    ブスカイト型化合物微細粒子粉末。
  2. 【請求項2】SrがMg、CaおよびBaよりなる群よ
    り選択される元素の1種以上の元素で部分的に置換され
    ている請求項1のチタン酸ストロンチウム系ペロブスカ
    イト型化合物微細粒子粉末。
  3. 【請求項3】TiがZrおよびSnよりなる群より選択
    される1種以上の元素で部分的に置換されている請求項
    1のチタン酸ストロンチウム系ペロブスカイト型化合物
    微細粒子粉末。
  4. 【請求項4】平均粒径が0.03〜0.3μm、四分偏
    差を平均粒径で割った値が0.2以下であり、且つSO
    3を0.04〜0.14重量%含有するチタン酸ストロ
    ンチウム系ペロブスカイト型化合物微細粒子粉末の製造
    法であって、含水酸化チタンスラリーに塩酸または硝酸
    を添加して、該スラリーのpHを1.5以下に調整して
    得たチタニアゾルの分散液に、アルカリを添加して洗浄
    し、得られた含水酸化物に、Srの水酸化物を添加し
    て、Sr0.1〜0.8モル/リットル、Srと含水酸
    化物の混合割合をモル比で0.9〜1.2に調整し、次
    いで該スラリーを1時間当たり40℃以下の昇温速度で
    50℃以上の反応温度に昇温して、該反応温度に0.5
    〜5時間保持することにより合成されるチタン酸ストロ
    ンチウム系ペロブスカイト型化合物微細粒子粉末の製造
    法。
  5. 【請求項5】焼結密度が理論密度に対して94%以上で
    あり、かつグレイン径が1μm以下であるチタン酸スト
    ロンチウム系ペロブスカイト型化合物の焼結体。
  6. 【請求項6】請求項1から3のいずれか1項記載のチタ
    ン酸ストロンチウム系ぺロブスカイト型化合物を0.5
    〜2t/cm2の圧力で成形してグリーン成形体し、1
    150〜1250℃で2〜10時間焼成することを特徴
    とする請求項5記載の焼結体の製造方法。
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