JP4016089B2 - 光ピックアップ装置用対物レンズおよびその設計方法 - Google Patents

光ピックアップ装置用対物レンズおよびその設計方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体の記録および再生のために用いられる対物レンズに関し、特に、基板厚みの異なる2種類の光記録媒体の何れ対してもその光記録媒体に応じた良好な集光特性を満足させることのできる有限共役型の光ピックアップ装置用対物レンズおよびその設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なDVD用の再生装置は、DVDだけでなく、コンパクトディスク(CD)の再生と近年急速に普及した追記型CD(CD−R)の再生または記録が必要とされる。DVDを再生する再生光には、650nm帯の赤色レーザが用いられ、CDまたはCD−Rを再生する再生光には、780nm帯の赤外レーザが用いられる。従って、現状のDVD再生装置には、赤色レーザ光を生成する赤色半導体レーザ素子と赤外レーザ光を生成する赤外半導体レーザ素子との2つの半導体レーザ素子が搭載されている。
【0003】
また、パソコン等の情報機器に対する小型・薄型化の要望に伴い、DVD再生装置の小型・薄型化が必要とされている。これを実現するためには、DVD再生装置の小型および薄型化が必要不可欠となる。光ピックアップの小型・薄型化の方法として、光学系の簡素化があげられる。その一つの方法として、単一の対物レンズでDVDとCDの互換を達成することである。DVDとCDでは、ディスクの基板厚、レーザ波長、レーザを使用する対物レンズの開口数NAが異なり、単一の対物レンズでDVDとCDの互換を達成する方式が提案されている。
【0004】
例えば、特開平11−96585号公報には、図16(a)(b)に示すように光軸近傍の第1光束Sd1は第1の結像位置の記録又は再生と、第2の結像位置の記録又は再生に利用すると共に、前記第1光束Sd1よりも外側の第2光束Sd2は主に第2の結像位置の記録又は再生に利用し、前記第2光束Sd2よりも外側の第3光束Sd3は主に第1の結像位置の記録又は再生に利用するものが提案されている。
【0005】
この場合、上述の対物レンズは、対物レンズと発光源であるレーザとの間にコリメートレンズを挿入して、対物レンズに入射する光を平行光とすることにより、異なるディスクの基板厚およびレーザ波長に対して、対物レンズの開口数NAおよび結像位置を切り替るレンズ設計を容易にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ディスクの変動に対して変位する対物レンズに対して、常に平行に光が入射するためには、対物レンズの変位量に対して十分大きなコリメートレンズを必要とする。その結果、単一の対物レンズを用いたとしても、コリメートレンズが大きく、さらに無限光学系となるため光路長も長く、小型化が妨げられるという問題があった。
【0007】
また、光ピックアップの小型・薄型化の方法としては、1枚のレンズで光学系を構成できる有限共役型対物レンズが望ましい。しかし、発散光では、ディスクの変動に対して変位する対物レンズに入射する角度が常に変化し、かつ発光波長も変わった場合、レンズ設計は非常に困難であり、未だ実現されていない。
【0008】
一方、半導体レーザ素子としては、赤色半導体レーザ素子と赤外半導体レーザ素子の集積化が実現されはじめている。現状のDVD再生装置は、赤色半導体レーザ素子用および赤外半導体レーザ素子用の2つの光学系部品から構成されており、赤色と赤外の2つの半導体レーザ素子を集積化することにより光学系部品を共有することが可能となるので、光ピックアップの小型および薄型化が実現できるためである。
【0009】
例えば、図17に示すように赤色半導体レーザ素子および赤外半導体レーザ素子の集積化としては、一の基板上に集積されたモノリシック型の半導体レーザ素子アレイが、特開平11−186651号公報に開示されている。
【0010】
赤外半導体レーザ素子の発光部と赤色レーザ素子の発光部との間隔は、半導体拡散プロセスのフォトリソグラフィの精度で制御できるため、ハイブリッドにレーザチップを組み立てるものに比べて非常に高精度に設けることができ、かつ270μm以下にすることができる。
【0011】
本発明は、一の基板上に集積された波長が異なる発光部を持つモノリシック型の半導体レーザ素子アレイの発光部の間隔を非常に高精度かつ270μm以下とできることに着目し、かつ、対物レンズと発光部との相対的な位置を固定することにより、波長が異なる発光部からの発散光に対する対物レンズの開口数NAおよび結像位置を切り替るレンズ設計を容易にし、異種の光記録媒体に対して適合できる有限共役型対物レンズを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の光ピックアップ装置用対物レンズは、レーザ光を対物レンズを介して記録面の高さの異なる第1及び第2の光記録媒体に照射して、前記第1及び第2の光記録媒体の記録または再生を行う光ピックアップ装置において、前記光ピックアップ装置は異なる発光波長の発光部を持つ半導体レーザ素子アレイを有し、前記対物レンズは開口数の切り替えを前記異なる発光波長の切り替えで制御して前記第1または第2の光記録媒体に結像するように設計されているものである。
【0013】
この構成により、異なる波長の発光部を持つ半導体レーザ素子の各発光部と対物レンズまでの距離が略同一となることにより、有限光学系の発散光であっても発光波長の切り換えで開口数NAの切り換えを制御し、光記録媒体に結像することができる。
【0014】
本発明の光ピックアップ装置用対物レンズは、さらに前記対物レンズと前記半導体レーザ素子アレイとが相対的に固定されて配置するように設計されていることが好ましい。
【0015】
本発明の光ピックアップ装置用対物レンズは、さらに異なる波長の発光部を持つ半導体レーザ素子アレイの発光部間の距離が270μm以下であることが好ましい。この好ましい構成によれば、各光記録媒体に結像するスポットの波面収差を許容される範囲にすることができる。
【0016】
本発明の光ピックアップ装置用対物レンズは、さらに前記第1の光記録媒体に適合する一方の波長のレーザ光を透過させて前記第1の光記録媒体に照射させた場合に、レンズ光軸を含む円形の中心部と、その外周にある環状の中間部を透過するレーザ光が記録面に結像し、前記第2の光記録媒体に適合する他方の波長のレーザ光を透過させて前記第2の光記録媒体に照射させた場合に、前記中心部と、前記中間部の外周にある環状の外囲部を透過するレーザ光が記録面に結像するように、開口数の切り換えを発光波長の切り換えで制御することが好ましい。この好ましい構成によれば、記録媒体の基板厚の相違にあわせて結像位置を変更および開口数NAの切り換えをすることができる。
【0017】
本発明の光ピックアップ装置用対物レンズは、さらに前記中心部と、前記中間部が同一のレンズ関数で定義されていることが好ましい。
【0018】
本発明の光ピックアップ装置用対物レンズの設計方法は、異なる発光波長の発光部を持つ半導体レーザ素子アレイに対し固定された位置に対物レンズを設ける場合に、前記対物レンズの開口数の切り替えを前記異なる発光波長の切り替えで制御でき、かつ前記異なる発光波長のレーザ光が前記第1または第2の光記録媒体に結像するように前記対物レンズを設けるものである。
【0019】
この構成によれば、有限光学系の発散光であっても発光波長の切り換えで開口数NAの切り換えを制御し、光記録媒体に結像することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る光ピックアップ装置用対物レンズ及びその設計方法について図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明に用いる各図は、本発明を理解することができる程度に概略的に示してあるにすぎず、本発明が各図に示す例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0021】
図1(a)は、本実施形態の対物レンズを備えた光ピックアップ装置の概略構成を示す図であり、図1(b)は、本実施形態の対物レンズの領域を表す正面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、光ピックアップ装置100は、LD・PD集積ユニット101、回折光学素子102及び対物レンズ(本実施形態の対物レンズ)103が一体的に固定配置されたユニットとして構成されており、対物レンズ103側が、記録・再生の対象となる光記録媒体110と対向している。ここで、LD・PD集積ユニット101は、発光波長が異なる第1の発光部101a及び第2の発光部101bを持つ半導体レーザ素子(LD)アレイと、受光素子(PD)とが集積されて1部品となったものである。すなわち、光ピックアップ装置100においては、対物レンズ103は、第1の発光部101a及び第2の発光部101b、つまりLDアレイに対して固定した位置に配置されている。また、光ピックアップ装置100は、第1の光記録媒体であるCD又はCD−Rと、第1の光記録媒体よりも基板厚の小さい第2の光記録媒体であるDVDとに対して共用されるものである。言い換えると、光記録媒体110は、第1及び第2の光記録媒体のうちから選択された光記録媒体であって、光記録媒体110の種類によって光ピックアップ装置100は光記録媒体110に対する位置を変える。
【0023】
尚、図1(a)において、光記録媒体110の記録面(光記録媒体110の主面のうち対物レンズ103の反対側の面)を、光記録媒体110がCD又はCD−R(第1の光記録媒体)である場合には実線で、光記録媒体110がDVD(第2の光記録媒体)である場合には破線で示している。
【0024】
ところで、光ピックアップ装置100のように、対物レンズが固定されたユニットを異種の光記録媒体のそれぞれに対して移動させる方式を用いた一体化構造の光ピックアップ装置においては、光記録媒体の種類に応じて切り替え発光する半導体レーザ素子の2つの発光部が光路上の略同一位置に並ぶ。すなわち、各発光部から対物レンズまでの光路が固定されていると共に、各発光部と対物レンズとの間の距離が略同一になる。言い換えると、対物レンズから光記録媒体までの距離だけが可変になる。本願発明者らは、以上のような条件と、切り替え発光する2つの発光部から照射されるレーザ光の波長が異なることとを利用することによって、記録又は再生に必要なレーザ波長が異なる2種の光記録媒体のそれぞれに適合するように開口数NAが切り替わる対物レンズ及びその設計方法を発明した。
【0025】
具体的には、第1の光記録媒体(CD又はCD−R)及び第2の光記録媒体(DVD)のそれぞれの記録又は再生においては、必要なレーザ波長、対物レンズの開口数NA、記録面の高さ、及び結像したレーザ光のスポット径が異なる。それに対して、これらの相違と対応するために、光ピックアップ装置100の全体を移動させてレーザ光の焦点合わせを行なうことを前提として、本実施形態では対物レンズ設計を次のように行なう。すなわち、図1(b)に示すように、本実施形態の対物レンズ103は、レンズ光軸を含む円形の中心部103aと、環状の周縁部103cと、中心部103aと周縁部103cとにより挟まれた環状の中間部103bとを備えている。ここで、図1(a)に示すように、LD・PD集積ユニット101の第1の発光部101aがCD又はCD−Rと適合する一の波長(例えば790nm)のレーザ光105Aを発光する場合、レーザ光105Aは、回折光学素子102を透過した後に対物レンズ103に入射する。このとき、レーザ光105Aのうち中心部103a及び中間部103bをそれぞれ透過する部分がCD又はCD−R(第1の光記録媒体)の記録面上に結像し且つレーザ光105Aのうち周縁部103cを透過する部分がボケて該記録面上に結像しないように、対物レンズ103の設計を行なう。一方、図1(a)に示すように、LD・PD集積ユニット101の第2の発光部101bがDVDと適合する他の波長(例えば660nm)のレーザ光105Bを発光する場合、レーザ光105Bは、回折光学素子102を透過した後に対物レンズ103に入射する。このとき、レーザ光105Bのうち中心部103a及び周縁部103cをそれぞれ透過する部分がDVD(第2の光記録媒体)の記録面上に結像し且つレーザ光105Bのうち中間部103bを透過する部分がボケて該記録面上に結像しないように、対物レンズ103の設計を行なう。
【0026】
以上のような対物レンズ設計は、例えば、第1の光記録媒体であるCD又はCD−Rの記録又は再生に必要なスポット径を得るための対物レンズの開口数NAを0.45とする一方、第2の光記録媒体であるDVDの記録又は再生に必要なスポット径を得るための対物レンズの開口数NAを0.60とすることによって行なわれる。尚、レンズを透過して光記録媒体の記録面に結像する光が通るレンズの最大径の部分(レーザ光105Aの場合は中間部103bの外周であり、レーザ光105Bの場合は周縁部103cの外周である)を結像点から見たときの光軸に対する角度をθとすると共に屈折率をn(空気の場合はn=1)としたときに、開口数NAは、NA=n・sinθによって定義される。従って、透過した光がボケて記録面上に結像しないレンズ領域を、発光波長の切り換えにより制御することによって、開口数NAの切り換え、つまりスポット径の切り替えを制御することができる。また、レンズの所定領域を透過した光を記録面上でボケさせるためには、光記録媒体の種類に応じて半導体レーザ素子の発光波長を切り替えたときに、レンズの所定領域における球面収差が急激に変化するようにレンズ設計を行なえばよい。このレンズ設計は、具体的には、結像した光のスポット径が必要な値になると共にサイドローブが所定値以下になるように、レンズ特性を調整しながら行なわれる。
【0027】
尚、本実施形態の対物レンズ103においては、対物レンズ103の円形の中心部103aが、第1及び第2の光記録媒体での光の結像に共用されているので、対物レンズ103への入射光量の利用率が高くなる。
【0028】
次に、ユニットとしての前述の光ピックアップ装置100、及び対物レンズ103のそれぞれの具体的な設計例について説明する。
【0029】
図2(a)は、光記録媒体110がDVD及びCDのそれぞれである場合における、対物レンズ103の焦点距離、対物レンズ103における光の入射面側の有効径R1、対物レンズ103における光の出射面側の有効径R2、LD・PD集積ユニット101の発光部101a及び101bから光記録媒体110の記録面までの全光路長(TT)、発光部101a及び101bから対物レンズ103の入射面までの距離(OD)、対物レンズ103のレンズ厚(CT)、及び対物レンズ103の出射面から光記録媒体110の表面までの距離(WD)の設計例(設計例1及び設計例2)を示している。尚、有効径R1及びR2の値は、焦点距離との関係を考慮して、開口数NAがDVD及びCDのそれぞれのピット径に適合するように定められている。また、図2(a)に示す数値の単位は全てmmである。
【0030】
図2(b)は、光ピックアップ装置100と光記録媒体110との光学配置におけるTT、OD、CT及びWDの各設計パラメータ同士の関係を説明する図である。尚、図2(b)において、図1(a)と共通の構成要素には同じ符号を付けている。また、図2(b)に示すように、設計例1及び2において、発光部101a及び101bから回折光学素子102までの距離は0.685mmであり、回折光学素子102の厚さは2.8mmである。また、図示は省略しているが、いずれの設計例においても、発光部101aと発光部101bとの間の距離は120μmであり、光記録媒体110の表面から記録面までの距離は、DVDの場合で0.6mm、CDの場合で1.2mmである。さらに、いずれの設計例においても、回折光学素子102の素材の屈折率を1.525250に、対物レンズ103の素材の屈折率を1.530473に、光記録媒体110の屈折率を1.5585203にそれぞれ設定している。但し、前述の各屈折率は、レーザ波長が660nmのときのものである。
【0031】
ところで、本実施形態においては、対物レンズ103を、例えば下式に示すような非球面式で表されるレンズとして設計している。
【0032】
【数1】
Figure 0004016089
【0033】
上式において、zは、レンズ中心を基準とする厚さ方向のレンズ表面位置(光記録媒体側の位置が+)を示し、xは、レンズ中心を基準とする横幅方向のレンズ表面位置(厚さ方向の+側から見て右側の位置が+)を示している。また、Rはレンズ曲率を示し、k、A4 、A6 、A8 、A10はそれぞれ非球面係数を示している。
【0034】
具体的には、本実施形態の対物レンズ103は、DVD及びCD、CD−Rの共用域である、レンズ光軸を含む円形の中心部103aと、CD、CD−R専用の中間部103bとを1つのレンズAとして設計すると共にDVD専用の周縁部103cを1つのレンズBとして設計し、レンズA及びBを接合して一体化されたものでる。図3は、このように設計された対物レンズ103の外形形状を部分的に示している。図3において、一点鎖線はレンズ光軸を表している。図3に示すように、レンズAとレンズBとの接合部は段差形状を持つことがある。
【0035】
図4及び図5はそれぞれ、前述の設計例1及び設計例2のそれぞれの場合における非球面係数等を含む各設計パラメータの値を示している。尚、図4及び図5において、R1面は半導体レーザ素子側のレンズ面であり、R2面は光記録媒体側のレンズ面である。また、A領域は、DVD及びCD、CD−Rの共用域である中心部103aと、CD、CD−R専用の中間部103bとに対応する領域であり、B領域は、DVD専用の周縁部103cに対応する領域である。また、図4に示す設計例1の各値は、レンズエッジ厚が0.4mm以下となるように定められたものであり、図5に示す設計例2の各値は、レンズエッジ厚が0.8mm程度になり且つ他の設計事項が設計例1と同じになるように定められたものである。
【0036】
図6(a)及び(b)はそれぞれ、光記録媒体がDVDである場合の設計例1と対応する光路図(光ピックアップ装置100と光記録媒体110との光学配置におけるレーザ光の光路を示す図)、及び光記録媒体がCDである場合の設計例1と対応する光路図をそれぞれ示している。また、図7(a)及び(b)はそれぞれ、光記録媒体がDVDである場合の設計例2と対応する光路図、及び光記録媒体がCDである場合の設計例2と対応する光路図をそれぞれ示している。尚、図6(a)、(b)及び図7(a)、(b)のそれぞれにおいて、図1(a)と共通の構成要素には同じ符号を付けている。また、図6(a)及び図7(a)において符号110BはDVDを表しており、図6(b)及び図7(b)において符号110AはCDを表している。さらに、これらの光路図はいずれも、DVD110B又はCD110Aの記録面(対物レンズ103の反対側の面)に対して、光ピックアップ装置100を移動させて焦点合わせを行なった状態で合成されたものである。
【0037】
図8は、前述の設計例1及び設計例2のそれぞれの場合における対物レンズ103の光学倍率を示している。
【0038】
本発明は、レンズ特性によるボカしによって、開口数NAを変換する開口制限素子を設けた場合と同様の効果を得ようとするものであるが、実際に、開口数NAが大きいDVDの波面収差について、開口制限素子を用いた場合と略同等の効果が得られる。
【0039】
図9(a)は、光記録媒体がDVDである場合の設計例1における球面収差(spherical aberration)、非点収差(astigmatism )及びディストーション(distortion)を示しており、図9(b)は、光記録媒体がCDである場合の設計例1における球面収差、非点収差及びディストーションを示している。また、図10(a)は、光記録媒体がDVDである場合の設計例2における球面収差、非点収差及びディストーションを示しており、図10(b)は、光記録媒体がCDである場合の設計例2における球面収差、非点収差及びディストーションを示している。
【0040】
図11(a)は、光記録媒体がDVDである場合の設計例1における点像強度分布(開口制限なし)を示しており、図11(b)は、光記録媒体がCDである場合の設計例1における点像強度分布(開口制限なし)を示しており、図11(c)は、光記録媒体がCDである場合の比較設計例1における点像強度分布(開口制限あり)を示している。また、図12(a)は、光記録媒体がDVDである場合の設計例2における点像強度分布(開口制限なし)を示しており、図12(b)は、光記録媒体がCDである場合の設計例2における点像強度分布(開口制限なし)を示しており、図12(c)は、光記録媒体がCDである場合の比較設計例2における点像強度分布(開口制限あり)を示している。尚、比較設計例1は、設計例1の対物レンズ103におけるDVD専用の周縁部103cに開口制限を設けたものであり、比較設計例2は、設計例2の対物レンズ103におけるDVD専用の周縁部103cに開口制限を設けたものである。
【0041】
図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示すように、本実施形態の対物レンズ103によって、サイドローブが少なく且つクロストークの発生が抑えられた点像強度分布が得られており、本実施形態の対物レンズ103が十分に実用性を持つことが分かる。
【0042】
図13は、図11(a)〜(c)及び図12(a)〜(c)のそれぞれに示す点像強度分布から得られたスポット径及びサイドローブの値を示したものである。図13において、設計例1の開口制限ありの場合が図11(c)に示す比較設計例1と対応しており、設計例2の開口制限ありの場合が図12(c)に示す比較設計例2と対応している。また、図13において、CDXはCDにおけるX方向のスポット径を示しており、CDYはCDにおけるY方向のスポット径を示している。
【0043】
図13に示すように、開口制限をしない本実施形態の設計例と、開口制限素子を用いた比較設計例とを比べると、スポット径の値にはほとんど差がないことが分かると共に、本実施形態の場合のサイドローブの値が実用上十分な特性を示していることが分かる。
【0044】
図14(a)は、前述の設計例1の対物レンズ103に対して、DVD用のマスクとして、開口数NAが0.3〜0.45の範囲に相当する中間部103bを遮蔽する輪帯状のマスクを設けた場合を示している。また、図14(b)は、前述の設計例1の対物レンズ103に対して、CD用のマスクとして、開口数NAが0.45〜0.6の範囲に相当する周縁部103cを遮蔽する輪帯状のマスクを設けた場合を示している。図14(c)は、図14(a)及び(b)に示す対物レンズをDVD及びCDのそれぞれに対して用いた場合における、波面収差量、スポット径及びサイドローブの測定結果を示している。尚、図14(c)においては、マスクをしない設計例1の対物レンズ103をDVD及びCDのそれぞれに対して用いた場合における、波面収差量、スポット径及びサイドローブの測定結果も合わせて示している。
【0045】
図14(c)に示すように、マスクをしない本実施形態と、マスクを設けた場合とを比べると、波面収差量の測定値については若干差があるものの、スポット径及びサイドローブについては略同様の測定値が得られている。すなわち、図14(c)に示すデータは、マスクのない本実施形態のレンズ構成によって十分に使用可能な光学特性が得られることを裏付けている。
【0046】
また、図14(d)は、中間部103bと対応する開口数NAの範囲が0.35〜0.45であるとして対物レンズ103の設計を行なった場合において、図14(a)〜(c)と同様にして得られた測定結果を示している。図14(d)に示すデータも、マスクのない本実施形態のレンズ構成が、光学特性的に十分に使用可能なものであることを裏付けている。
【0047】
尚、図14(d)に示す結果は、加工誤差及び組込み誤差等を考慮して、マスク有りの場合における波面収差量が0.03λRMS以下になるようにレンズ設計を行なうことによって得られたものである。しかしながら、波面収差量をマレシャルの限界値程度まで劣化させるのであれば、中間部103bと対応する開口数NAの下限値をさらに大きくすることが可能である。
【0048】
図15は、図1(a)に示す光ピックアップ装置100の第1の発光部101a(CD用発光部)が光軸上に位置する場合において第1の発光部101aと第2の発光部101bとの間の距離(光源のずれ量)を変化させたときの、前述の設計例2における波面収差量の変化を示している。
【0049】
図15に示すように、CDのマレシャルの限界値程度まで波面収差量を劣化させるのであれば、本実施形態の対物レンズ設計は、発光部101a及び101b間の距離が270μm(0.27mm)以下の場合(図中の一点鎖線の左側)において有効である。言い換えると、光ピックアップ装置100の半導体レーザ素子アレイにおける各発光部同士の間の距離が270μm以下であると、光記録媒体110の記録面上に結像したレーザ光のスポットの波面収差を許容範囲に収めることができる。
【0050】
以上に説明したように、光ピックアップ装置100は、発光波長が異なる第1の発光部101a及び第2の発光部101bを持つ半導体レーザ素子アレイを用いて、記録面の高さが異なるCD(又はCD−R)及びDVDのうちから選択された光記録媒体110に、光記録媒体110に適合する波長のレーザ光を照射することにより、光記録媒体110に情報を記録し又は光記録媒体110に記録された情報を再生する。本実施形態の対物レンズ103は、前述の半導体レーザ素子アレイを備えた光ピックアップ装置100に設けられる有限共役型の対物レンズである。また、対物レンズ103の開口数NAは、半導体レーザ素子アレイから照射されるレーザ光の波長に応じて変化し、それによって対物レンズ103を透過したレーザ光は光記録媒体110の記録面上に結像する。このとき、半導体レーザ素子アレイの各発光部101a及び101bと、対物レンズ103との間の距離が略同一であるため、有限光学系の発散光が対物レンズ103に入射する場合であっても、半導体レーザ素子アレイから照射されるレーザ光の波長の切り替えに応じて対物レンズ103の開口数NAの切り換えを制御できる。従って、対物レンズ103を通過したレーザ光を、記録面の高さが異なる複数の光記録媒体のうちから任意に選択された光記録媒体110の記録面上に確実に結像させることができる。
【0051】
また、本実施形態の対物レンズ103は有限共役型の対物レンズであるので、光ピックアップ装置100の小型化を図ることができる。さらに、光ピックアップ装置100の光学系が有限光学系となって光ピックアップ装置100の光学部品が少なくなるので、光ピックアップ装置100を高速化することができる。
【0052】
また、本実施形態の対物レンズ103は、発光部101a及び101bつまり半導体レーザ素子アレイに対して固定した位置に配置されている。このため、各発光部101a及び101bと対物レンズ103との間の距離を確実に略同一にできる。
【0053】
また、本実施形態の対物レンズ103は、レンズ光軸を含む円形の中心部103aと、環状の周縁部103cと、中心部103aと周縁部103cとにより挟まれた環状の中間部103bとを備えている。そして、第1の発光部101aがCD又はCD−Rと適合する波長のレーザ光105Aを発光する場合、レーザ光105Aのうち中心部103a及び中間部103bをそれぞれ透過する部分がCD又はCD−Rの記録面上に結像するように、対物レンズ103の開口数NAが変化する。一方、第2の発光部101bがDVDと適合する波長のレーザ光105Bを発光する場合、レーザ光105Bのうち中心部103a及び周縁部103cをそれぞれ透過する部分がDVDの記録面上に結像するように、対物レンズ103の開口数NAが変化する。すなわち、光記録媒体110の基板厚つまり記録面の高さの相違に合わせて、対物レンズ103の開口数NAの切り換えを確実に制御でき、それにより、対物レンズ103を通過したレーザ光の結像位置を確実に制御できる。また、本実施形態においては、対物レンズ103の中心部103a及び中間部103bが同一のレンズ関数によって定義されているので、レンズ設計を容易に行なうことができる。
【0054】
尚、本実施形態において、CD又はCD−RとDVDとに共用できる光ピックアップ装置用対物レンズについて説明してきた。しかし、半導体レーザ素子の発光波長に応じて開口数NAを変化させることにより、レンズの複数の領域のそれぞれを通過するレーザ光を記録面に結像させるか否かを制御するという本発明は、本実施形態に限られず、他の光記録媒体を対象とする光ピックアップ装置の光学系にも適用できるものである。
【0055】
【発明の効果】
本発明によると、半導体レーザ素子アレイの各発光部と対物レンズとの間の距離が略同一になるため、有限光学系の発散光が対物レンズに入射する場合であっても、レーザ波長の切り替えに応じて開口数NAの切り換えを制御できる。従って、対物レンズを通過したレーザ光を、記録面の高さが異なる複数の光記録媒体のうちから任意に選択された光記録媒体の記録面上に確実に結像させることができる。また、本発明の対物レンズは有限共役型の対物レンズであるので、光ピックアップ装置の小型化を図ることができる。さらに、光ピックアップ装置の光学系が有限光学系となって光ピックアップ装置の光学部品が少なくなるので、光ピックアップ装置を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る対物レンズを備えた光ピックアップ装置の概略構成を示す図であり、(b)は本発明の一実施形態に係る対物レンズの領域を表す正面図である。
【図2】(a)は光記録媒体がDVD及びCDのそれぞれである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1及び設計例2の設計パラメータの値を示す図であり、(b)は光ピックアップ装置と光記録媒体との光学配置における各設計パラメータ同士の関係を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法によって設計された対物レンズの外形形状を部分的に示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1における非球面係数等を含む各設計パラメータの値を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2における非球面係数等を含む各設計パラメータの値を示す図である。
【図6】(a)は光記録媒体がDVDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1と対応する光路図であり、(b)は光記録媒体がCDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1と対応する光路図である。
【図7】(a)は光記録媒体がDVDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2と対応する光路図であり、(b)は光記録媒体がCDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2と対応する光路図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1及び設計例2における対物レンズの光学倍率を示す図である。
【図9】(a)は光記録媒体がDVDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1の対物レンズによって生じる球面収差、非点収差及びディストーションを示す図であり、(b)は光記録媒体がCDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1の対物レンズによって生じる球面収差、非点収差及びディストーションを示す図である。
【図10】(a)は光記録媒体がDVDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2の対物レンズによって生じる球面収差、非点収差及びディストーションを示す図であり、(b)は光記録媒体がCDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2の対物レンズによって生じる球面収差、非点収差及びディストーションを示す図である。
【図11】(a)は光記録媒体がDVDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1の対物レンズによって生じる点像強度分布(開口制限なし)を示す図であり、(b)は光記録媒体がCDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1の対物レンズによって生じる点像強度分布(開口制限なし)を示す図であり、(c)は光記録媒体がCDである場合における、比較設計例1の対物レンズによって生じる点像強度分布(開口制限あり)を示す図である。
【図12】(a)は光記録媒体がDVDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2の対物レンズによって生じる点像強度分布(開口制限なし)を示す図であり、(b)は光記録媒体がCDである場合における、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2の対物レンズによって生じる点像強度分布(開口制限なし)を示す図であり、(c)は光記録媒体がCDである場合における、比較設計例2の対物レンズによって生じる点像強度分布(開口制限あり)を示す図である。
【図13】図11(a)〜(c)及び図12(a)〜(c)のそれぞれに示す点像強度分布から得られたスポット径及びサイドローブの値を示す図である。
【図14】(a)は本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1の対物レンズに対して、DVD用のマスクとして、開口数NAが0.3〜0.45の範囲に相当する中間部を遮蔽する輪帯状のマスクを設けたときの様子を示す図であり、(b)は本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例1の対物レンズに対して、CD用のマスクとして、開口数NAが0.45〜0.6の範囲に相当する周縁部を遮蔽する輪帯状のマスクを設けたときの様子を示す図であり、(c)は(a)及び(b)に示す対物レンズをDVD及びCDのそれぞれに対して用いた場合における、波面収差量、スポット径及びサイドローブの測定結果を示す図であり、(d)は、中間部と対応する開口数NAの範囲が0.35〜0.45であるとしてレンズ設計を行なった場合において(a)〜(c)と同様にして得られた測定結果を示す図である。
【図15】図1(a)に示す光ピックアップ装置の第1の発光部がレンズ光軸上に位置する場合において第1の発光部と第2の発光部との間の距離を色々変化させたときに、本発明の一実施形態に係る対物レンズの設計方法に基づく設計例2の対物レンズによって生じる波面収差量の変化を示す図である。
【図16】(a)は従来の光ピックアップ装置用対物レンズの断面図であり、(b)は(a)に示す対物レンズを光源側から見た正面図である。
【図17】赤色半導体レーザ素子及び赤外半導体レーザ素子が一つの基板上に集積されたモノリシック型の半導体レーザ素子アレイの斜視図である。
【符号の説明】
100 光ピックアップ装置
101 LD・PD集積ユニット
101a 第1の発光部
101b 第2の発光部
102 回折光学素子
103 対物レンズ
103a 円形の中心部
103b 環状の中間部
103c 環状の周縁部
105A レーザ光
105B レーザ光
110 光記録媒体

Claims (7)

  1. 異なる発光波長の発光部を持つ半導体レーザ素子アレイと受光素子と対物レンズとが一体的に固定配置されたユニットを備え、レーザ光を前記対物レンズを介して記録面の高さの異なる第1及び第2の光記録媒体に照射して、前記第1及び第2の光記録媒体の記録または再生を行う光ピックアップ装置に用いる有限共役型の光ピックアップ装置用対物レンズであって、
    前記異なる発光波長の発光部から前記対物レンズまでのレーザ光の光路は発光波長に関わらず同一であり、
    前記対物レンズにおいて、その開口数の切り替えを前記異なる発光波長の切り替えで制御でき、かつ前記異なる発光波長のレーザ光が前記第1または第2の光記録媒体に結像するように、前記半導体レーザ素子アレイ側の第1のレンズ面が第1の非球面レンズ関数のみによって定義され、前記光記録媒体側の第2のレンズ面のうちレンズ光軸を含む円形の中心部とその外周にある環状の中間部とが第2の非球面レンズ関数のみによって定義され、前記第2のレンズ面のうち前記中間部の外周にある環状の外囲部が第3の非球面レンズ関数のみによって定義されていることを特徴とする光ピックアップ装置用対物レンズ。
  2. 前記第1の光記録媒体に適合する一方の波長のレーザ光を透過させて前記第1の光記録媒体に照射させた場合に、前記中心部と前記中間部を透過するレーザ光が記録面に結像し、前記第2の光記録媒体に適合する他方の波長のレーザ光を透過させて前記第2の光記録媒体に照射させた場合に、前記中心部と前記外囲部を透過するレーザ光が記録面に結像するように、前記対物レンズの開口数の切り換えを発光波長の切り換えで制御することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置用対物レンズ。
  3. 前記半導体レーザ素子アレイの発光部間の距離が270μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置用対物レンズ。
  4. 前記半導体レーザ素子アレイは、一の基板上に集積された波長が異なる発光部を持つモノリシック型の半導体レーザ素子アレイであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用対物レンズ。
  5. 前記対物レンズのみによって前記開口数が切り替わることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置用対物レンズ。
  6. 異なる発光波長の発光部を持つ半導体レーザ素子アレイと受光素子と対物レンズとが一体的に固定配置されたユニットを備え、レーザ光を前記対物レンズを介して記録面の高さの異なる第1及び第2の光記録媒体に照射して、前記第1及び第2の光記録媒体の記録または再生を行う光ピックアップ装置に用いる有限共役型の光ピックアップ装置用対物レンズの設計方法であって、
    前記異なる発光波長の発光部から前記対物レンズまでのレーザ光の光路が発光波長に関わらず同一となる条件において、前記対物レンズの開口数の切り替えを前記異なる発光波長の切り替えで制御でき、かつ前記異なる発光波長のレーザ光が前記第1または第2の光記録媒体に結像するように、前記対物レンズにおいて、前記半導体レーザ素子アレイ側の第1のレンズ面が第1の非球面レンズ関数のみによって定義され、前記光記録媒体側の第2のレンズ面のうちレンズ光軸を含む円形の中心部とその外周にある環状の中間部とが第2の非球面レンズ関数のみによって定義され、前記第2のレンズ面のうち前記中間部の外周にある環状の外囲部が第3の非球面レンズ関数のみによって定義されていることを特徴とする光ピックアップ装置用対物レンズの設計方法。
  7. 前記対物レンズのみによって前記開口数が切り替わることを特徴とする請求項6記載の光ピックアップ装置用対物レンズの設計方法。
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