JP3484038B2 - 対物レンズおよびそれを用いた光ヘッド - Google Patents
対物レンズおよびそれを用いた光ヘッドInfo
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Description
的に情報を再生する光ディスク装置に係り、特に基板厚
さが異なる光ディスクからそれぞれ異なる光波長の光源
を用いて信号を再生する光ヘッドおよびそれに用いる対
物レンズに関する。
して近年めざましく進歩を続けている。そのため記録再
生方式や記録密度、ディスクサイズが多岐にわたってお
り、それらの互換性の確保が困難となりつつある。特に
これまで最も普及しているのがCD(Compact Disc)で
あり、これと再生互換性のある記録可能なCDであるC
D−R(Compact Disk - Recordable)も付随的して普
及している。新たな光ディスクの開発にあたってはこれ
らCD、CD−Rとの互換性の要求が大きい。これらに
続く次世代高密度ROMとして、最近DVD(Digital
Video Disk)が発売された。ここでは記録密度を向上さ
せるために対物レンズの開口数(Numerical Aperture:N
A)を従来CDの0.45から0.6に向上させてい
る。光ディスク上の集光スポットの大きさは使用するレ
ーザ光源の波長をλとしたとき、λ/NAに比例するた
め、波長を短く、NAを大きくすればそれにしたがって
光スポットを小さくすることができる。光スポットが小
さければ高密度の情報ピットを品質良く再生することが
できるので、光ディスクの記録密度を向上させることが
できるのである。そこでDVDではまず使用する半導体
レーザ波長をCDの780nmから650nmとしてい
る。ところが一方、NAの増大は、ディスクが傾いたと
きに生じるコマ収差を急激に増大させ、光スポットをか
えって劣化させるため、むやみに行うことができない。
そこでDVDは基板厚さをCDの1.2mmから0.6
mmに薄くして、NA増大とともにそれによるディスク傾
きのコマ収差を抑えている。ところが基板の厚さをCD
と変えてしまうとDVD専用の対物レンズでCDを再生
するときに今度は球面収差が生じて光スポットがぼけて
しまう。光ディスク用の対物レンズでは特定の基板厚さ
に対応してそれを補償する球面収差を持つようにあらか
じめ設計されているからである。
プティカル・レビュー第1巻第1号1994年27ー2
9頁(Optical Review ,Vol.1,No.1 (1994) pp.27-2
9.)に記載されている。ここでは0.6mm用対物レン
ズ表面にホログラムを形成し、その回折光によってCD
を再生し、透過光によてDVDを再生するというもので
ある。ここではCDを再生するときに生じる球面収差を
補償するようにホログラムのパターンをあらかじめ設計
しておくのである。しかしながらこれにおいてはホログ
ラムを使用するため、CDを再生するときにもDVD用
の光スポットが生じ、DVDを再生するときにもCD用
の光スポットが生じる。またディスクで反射した光も再
び回折されてしまう。これらにより光量の損失が避けら
れないという欠点がある。
ス、開発No.9507(平成7年6月21日)に記載されて
いる。これは0.6mm用の対物レンズと、1.2mm用の対物レ
ンズを両方光ヘッドに搭載し、可動アクチュエータによ
って2つのレンズを切り替えて使用するというものであ
る。しかしこれにおいては2つのレンズを切り替えるた
め、レンズを2個使用することによるコストの増大、レ
ンズの位置の再現性や、アクチュエータが大きく、重く
なることによる応答特性の劣化などの問題がある。
96年1月29日号(No.654)15ー16頁に記
載されている。ここでは液晶による制限開口を設け、C
Dの再生にあたってはNAを0.35まで小さくして収
差を小さくしている。しかしここではCD、DVDとも
波長635nmの半導体レーザを用いているため、CD
のNAをここまで低減できたが、780nmより短い波
長の光では反射率が著しく低下するCD−Rの再生時に
はこの方法は使えないという欠点がある。
に記載されている。これは本発明者らによって発明され
た方法であるが、波長650nmでDVDとCDの両方
の互換をとるために、対物レンズの内側と外側で最適化
する基板厚を変えるというものである。しかしCDを波
長780nmで再生する場合にはこの分割のNAを少な
くともNA0.45以上にする必要があり、この場合に
はDVDを再生するときの収差が非常に大きくなってし
まうという欠点があった。
く、安価に、精度よく波長780nmの光で基板厚さ
1.2mmのCDを再生し、波長650nmの光で基板
厚さ0.6mmのDVDを再生することである。
めに本発明においては、2つの波長のレーザ光を異なる
基板厚さの光ディスクに集光するにあたって、一方の波
長の集光スポットの収差を、他方のスポットに影響を与
えずに低減させる輪帯状の位相シフタを該対物レンズと
一体として付加させる。
く集光するための基板厚さが異なるレンズに、2つの波
長のレーザ光の集光スポットの収差をともに低減させる
輪帯状の位相シフタを該レンズと一体として付加させ
る。
の半導体レーザと、光ディスクからの反射光を半導体レ
ーザから光ディスクまでの光路から分岐させる分岐手段
と、これによって分岐された反射光から集光スポット位
置制御信号と再生信号を検出するための検出手段から少
なくとも構成される光ヘッドでそれぞれの波長の光を異
なる基板厚さの光ディスクに集光するのにあたって上記
の対物レンズを用いる。
ーザと、そのそれぞれの波長の光を異なる基板厚さの光
ディスクに集光する対物レンズと、光ディスクからの反
射光を該半導体レーザから該光ディスクまでの光路から
分岐させる分岐手段と、該分岐手段によって分岐された
反射光から集光スポット位置制御信号と再生信号を検出
するための検出手段から少なくとも構成される光ヘッド
において、それぞれの波長の集光スポットの収差をとも
に低減させる輪帯状の位相シフタを付加する。
ーザと、光ディスクからの反射光を該半導体レーザから
該光ディスクまでの光路から分岐させる分岐手段と、該
分岐手段によって分岐された反射光から集光スポット位
置制御信号と再生信号を検出するための検出手段から少
なくとも構成される光ヘッドにおいて、それぞれの波長
の光を異なる基板厚さの光ディスクに集光する内側と外
側で収差なく集光するための基板厚さが異なる対物レン
ズを用い、それぞれの波長の集光スポットの収差をとも
に低減させる輪帯状の位相シフタを付加する。
て説明する。
イメージ図である。本発明によるDVD用対物レンズ1
は通常のDVD用対物レンズにドーナツ状の輪帯位相シ
フト領域101が付加されている。輪帯位相シフト領域
101は薄膜を装荷してもよいし、最初からレンズをそ
のような形状に直接加工しても良い。通常のDVD用の
レンズは基板厚0.6mmのときに無収差となるように
設計されているので、波長650nmのレーザ光でDV
Dを再生するときにはこの位相シフタによって加わる収
差をなるべく小さくなるようにする。これに対して、波
長780nmのレーザ光で基板厚1.2mmのCDを再
生するときには、基板厚誤差0.6mmにより発生する
球面収差を低減するようにする。
する。図2に焦点位置が最適化された場合の球面収差の
波面形状概略図を示す。ここで横軸は対物レンズの瞳の
半径座標、縦軸は波面収差量である。CDとDVDの基
板厚の違いにより、DVD専用レンズでCDを再生する
場合の光スポットは概略このような4次関数で表される
ような波面形状となる。これに対して、輪帯状に位相シ
フトをさせた場合の波面形状の概略図を図3に示す。位
相シフトにより収差の最大値が小さくなっていることが
わかる。
を再生する場合にDVDの収差が大きくなってはならな
い。そのための1つの方法としては、CDを再生する波
長とDVDを再生する波長の違いを用いて、CDでのみ
位相がシフトし、DVDでは位相がシフトしないように
すればよい。そのためにはCD再生波長をλ1、DVD
再生波長をλ2、CD再生時に生ずる位相差をφとし
て、
い。またこれで適当なm、nがない場合には位相シフト
のさせかたを図4のようにしてもよい。この場合は輪帯
領域を除いたそれ以外の領域に―φの位相シフトを加え
ることにより、図3と同じ波面形状をで実現できる。し
たがってこの場合は、
λ1を780nm、λ2を650nmとすれば、それぞ
れにおける位相差φは図5のようになる。このように位
相差を選べば、DVDの波面にまったく影響を与えずに
CD再生時の球面収差を低減することができる。ここで
の逆輪帯位相シフタは空気よりも屈折率の大きい膜を付
加する場合など位相ずれを位相遅れによって実現する場
合を念頭においた命名である。レンズをけずるなど位相
ずれを位相進みによって実現できる場合には輪帯領域を
直接けずればよい。これはどちらでも等価であるが、以
後はこの場合も含めて逆輪帯位相シフタと呼ぶことにす
る。
の最適化について説明する。光スポットの評価指標とし
ては無収差スポットの中心強度で規格化した収差のある
光スポットの中心強度であるストレール強度があるが、
これだと制限開口がある場合のNAの違いが現れない。
そこで制限開口がある場合も含めて、対物レンズの瞳に
入射する全光量に対するスポット中心強度の比を新たな
評価指標とする。これを用いると例えば同じ口径でもN
Aが大きく、スポット径が小さくて中心強度が大きい方
がこの評価指標が大きいことになる。この評価指標は
径で規格化した制限開口半径Rの2乗の積に比例するこ
とがわかる。以下、このストレール強度に規格化制限開
口半径の2乗をかけた値をηとする。通常のCDピック
アップでは波長780nm、対物レンズNA0.45で
あるのでDVDの対物レンズNA0.6に対しては無収
差であれば、η=1×(0.45/0.6)^2=0.
56、マレシャルの基準によるストレール強度下限値
0.8ではη=0.45となる。基板厚誤差による球面
収差は4次の球面収差が
nは屈折率を表している。これらを用いて半径R1から
R2までの位相をφ遅らせる輪帯位相シフタを加えた収
差は
大とするR1、R2、φ、制限開口のNA、W20、W
00を求める。実際には数式処理ソフトを用いて、W2
0、W00は解析的に求め、R1、R2、φ、制限開口
のNAを数値的に求めた。その結果、位相シフタの内径
はNA0.20、外径はNA0.42、制限開口のNA
を0.46とし、位相差を0.265λ(λ=780n
m)のとき、η=0.48が最大となり、マレシャルの
基準によるη=0.45を上回っていることがわかっ
た。一方、位相シフタを用いず、制限開口のみで最適化
するとNA0.39でη=0.34が最大であった。つ
まりNA0.45に換算すれば、ストレール強度で0.
61から0.86まで改善したことに相当する。この位
相差に対してDVD再生時に生じる収差はRMS波面収
差で0.033λ(λ=650nm)であった。これは
ほぼレンズの加工精度と同等であり、実際上問題は生じ
ないと考えられる。
たDVDに影響を与えない位相差と比較すると、最も近
いのはm=2、n=1のときの逆輪帯位相マスク、また
はm=4、n=3のときの輪帯位相マスクの0.333
λであることがわかる。しかしmが大きくなると位相差
を生じさせる膜、あるいはレンズの段差が厚くなり、半
導体レーザに波長ずれが生じた場合の位相差のずれが大
きくなるので、ここでは逆輪帯位相マスクの方が望まし
い。このDVDに影響を与えない位相差に固定した場合
の位相シフタの形状を求めると、内径がNA0.20、
外径がNA0.44、制限開口NA0.48のとき、η
=0.47が最大となった。これは上記の最適な位相差
と比べてほとんど遜色ない。
明をしたが、これは必ずしも実際の開口を必要とするこ
とを意味しない。実際にはRMS波面収差を評価関数と
して最適な焦点位置を求めるときの、瞳の評価範囲を指
定するのとほぼ等価であると考えられる。制限開口の範
囲内でなるべくRMS波面収差が小さくなるように焦点
ずれを調整したとすると、制限開口の範囲外の光は当然
収差が大きくなり、波面の傾斜も大きくなる。このため
そのような領域の光線は焦点からは大きくはずれた位置
で焦点面と交差する。したがって集光スポットに対し
て、このような光線は存在しないのとほぼ等価となる。
合に、スポット性能は改善されるものの、NA0.45
でのストレール強度換算で0.86相当では、光学部品
のずれや、ディスクの傾き、焦点ずれなどによるスポッ
トの劣化を見込むと必ずしも十分でない可能性がある。
そこでさらにこれに組み合わせてレンズの内側と外側で
最適化する基板厚を変える。以下これを分割レンズと呼
ぶ。これは発明者らによって波長650nmでDVDと
CDの両方の互換をとる方法として発明された(特願平
7―342203)が、CDを波長780nmで再生す
る場合にはこの分割のNAを少なくともNA0.45以
上にする必要があり、この場合にはDVDを再生すると
きの収差が非常に大きくなってしまうという欠点があっ
た。そこで位相シフタと分割レンズを組み合わせて、位
相シフタ形状、位相差、内外分割半径、内側基板厚を同
時に最適化したところ、分割レンズで発生する波長78
0nmでのCD再生時の収差と、波長650nmでのD
VD再生時の収差を両方とも低減し、CDのスポット性
能がさらに改善される解があることがわかった。以下こ
れについて説明する。
合の波面収差は
シフタ内径、R2が分割半径、R3が輪帯位相シフタ外
径、R4が制限開口半径である。分割半径を境として無
収差となるためのディスク基板厚が異なり、外側ではD
VDに合わせて0.6mm、内側では最適化によってこ
れが0.6mmと1.2mmの間となる。したがってそ
れにともなって球面収差の収差係数W60、W40が添
字1、2をつけて異なるように表示されている。また焦
点ずれW201、W202は分割の内外でRMS波面収
差を最小にするように球面収差量から決まり、定数項W
001、W002は分割の内外で波面収差の平均値が同
じなるようにして決まり、全体のRMS波面収差を最適
化する。W201とW202、W001とW002の差
はレンズ内外の対応基板厚差で決まり、W202、W0
02を与えられた位相シフタの条件下でRMSを最小と
する条件から、数式処理ソフトで解析的に求めることで
W201とW001も求めた。さらに与えられた内側対
応基板厚、分割半径R2について、R1、R3、R4、
位相差を数値的に変えてηを最大とする条件を求めた。
その結果を図6に示す。ここで横軸は分割レンズの分割
半径、縦軸はηであり、中心部基板厚を変えて最適条件
での計算結果をプロットしている。またグラフ中にCD
の無収差と、ストレール強度0.8相当の下限レベル、
上記の最適位相シフタ、固定位相シフタを波線で示して
いる。これらは分割レンズを用いていないのでこのグラ
フ上にはポイントではプロットできない。一方、このと
きDVD再生で生じるRMS波面収差を図7に示した。
図6と図7を見比べるとわかるように中心部基板厚を
1.2mmに近づければ近づけるほどCDの性能は上が
り、DVDの収差は増大する。したがってこれらのポイ
ントの内、どこを最適点として採用するかは、システム
のいろいろなマージンの配分によって判断が分かれる。
しかし例えば中心基板厚0.76mm、分割の境界のN
A0.45のときの、CD性能η=0.526(CDス
トレール強度換算0.94)、DVDのRMS波面収差
0.03程度であればほぼ許容できるのではないかと考
えられる。このポイントではCD性能の最大値と、DV
D収差の最小値が一致している。またこのとき輪帯位相
シフタの位相差は0.2985λ(λ=780nm)、
内径はNA0.2145であり、外径はNA0.45で
分割の境界のNAと一致していた。図8に逆輪帯位相マ
スク作りつけの分割レンズ模式図を示す。逆輪帯マスク
がレンズに作りつけであるため、輪帯位相マスクの領域
が凹んでいる。このときディスク側の比較的曲率がゆる
やかな面にも分割レンズによる段差を示しているが、こ
れは設計上、像側のみにすることも可能である。
スポット性能ηの値を示す。横軸の範囲は±20nmあ
るが、実際上、温度変化などでずれる波長範囲は±10
nm程度と考えられる。この範囲だとη=0.53から
波長ずれー10nmでη=0.52程度の劣化であり、
NA0.45でのストレール強度換算で0.93から
0.92程度の変化で、ほとんど影響はない。図中には
先に述べた最適輪帯位相シフタ、固定輪帯位相シフタに
ついても合わせて表示している。
の波長ずれに対するRMS波面収差であり、分割レンズ
と最適位相シフタを組み合わせた場合、収差は0.03
0λから、波長ずれー10nmで0.036λまで増加
している。これも十分、許容範囲内と考えられる。また
図中には先に述べた最適輪帯位相シフタ、固定輪帯位相
シフタについても合わせて表示している。固定位相シフ
タについてはDVDでは収差が発生しないような位相差
が選ばれているので、波長ずれ0で収差は0となってい
る。最適位相シフタのみについては位相差がDVDで収
差を生じない位相差からずれているため、その位相差に
なる波長ずれ量に向けて線形に波面収差が変化してい
る。
の波面収差形状を示している。それぞれ制限開口のNA
範囲で焦点ずれを最適化し、横軸はNA0.6の全開口
にわたる瞳の半径座標で示しているため、周辺部は収差
が非常に大きくなっている。またそのとき縦軸は±0.
5λの範囲内に折り畳んで表示しているため、周辺部は
急激に振動しているように見えている。これらは制限開
口のみで最適化した場合に比べてより広いNAで収差が
抑えられている。また制限開口NAの範囲の外側の波面
の立ち上がりも急峻となっており、収差の大きいことに
よる制限開口の効果もより顕著となることが期待され
る。
時の波面収差である。図11での制限開口のみの場合
と、固定位相シフタのみの場合には波面収差は完全に0
となるので、ここでは分割レンズと最適位相シフタを組
み合わせた場合と、最適位相シフタのみの場合を表示し
ている。収差のまったく発生しない最外周部分でも収差
が0となっていないことから、全体に若干焦点ずれを生
じさせていることがわかる。これは位相シフタで発生し
た位相差を収差と考えた場合に、若干焦点ずれさせた方
が全体のRMS波面収差が小さくなるためである。いず
れにせよグラフ縦軸の値はかなり小さく、波面形状の特
異さは実際上影響を及ぼさない程度のRMS波面収差に
抑えられている。
グラフの横軸はスポットのピーク強度に対してexp
(ー2)倍の強度のスポットの全幅、縦軸はサイドロー
ブの強度を中心強度で規格化した値である。したがって
スポット、サイドローブ共に小さい方が望ましいので、
プロット点がグラフの左下に近いほど分解能が高いスポ
ットであるということができる。ここで対物レンズの瞳
の強度分布としては対称なガウス分布を仮定し、瞳にお
けるガウス分布の中心の強度に対してexp(ー2)倍
の強度の範囲の幅に対するレンズ口径の比が0.1、レ
ンズの中心部分の強度に対する周辺部分の強度が0.9
8となる場合の計算結果である。図中白抜きの丸印が無
収差のCDであり、これに近いほどCDと同レベルの再
生性能が期待できる。黒い四角は通常のDVDレンズに
制限開口のみを用いた場合であり、実際に制限開口を挿
入した場合、その焦点位置でそのまま制限開口をとりは
らった場合、制限開口をとりはらってスポット中心強度
が最大となるように焦点位置をずらした場合の3つのプ
ロット点がある。この場合はいずれも無収差CDよりも
スポット分解能が劣っている。黒い三角印は最適輪帯位
相シフタのみを挿入した場合であり、同様にして3つの
プロット点がある。制限開口のみに比べてスポット径は
かなり改善しているが、制限開口がないとサイドローブ
がかなり大きくなっている。白抜きの四角は分割レンズ
と最適輪帯位相シフタを組み合わせた場合である。同様
にして3つのプロット点があるが、この3つがかなり接
近していることがわかる。つまりこの場合には制限開口
はあってもなくてもほとんど変わらず、仮想的な制限開
口の範囲外の光の収差が急峻に増大しているためスポッ
ト形成には実質的に影響を与えていないことがわかる。
この場合光スポットはCD無収差に比べてスポット径が
やや小さく、サイドローブが若干大きめとなっている。
これでスポット性能の評価指標であったηの値がCDと
ほぼ同等から若干劣る程度であったのは、おそらく、サ
イドローブを低減しきれていない影響をスポット径を小
さくして相殺している状況となっているのではないかと
推測される。一方DVDを再生する場合のスポットの計
算結果を白抜きの三角とひし形でグラフの左下にプロッ
トしている。ひし形がDVDを無収差で再生するスポッ
ト、三角が最適分割レンズと最適位相シフタを組み合わ
せた場合である。DVDについてはほとんど同じスポッ
ト形状となっている。
レーザ4からの光をコリメートレンズ5により平行光と
してビーム成形プリズム61、62により楕円ビームを
円形ビームとする。ビーム成形プリズムは光学系の効率
が十分高いか、ディスクのトラックピッチがディスク上
の光スポットの主ローブと第1暗線の間隔より広い場合
に、取り除いた方が部品点数、隣接トラッククロストー
ク低減のために有利となる場合もある。さらにこの光は
ビームスプリッタ71を透過し、さらに立ち上げミラー
8により反射され、2次元アクチュエータ9に搭載され
た本発明による対物レンズ3により光ディスク上に集光
される。光ディスクはCDでもDVDでもよい。2次元
アクチュエータ9はトラッキング誤差信号により、ディ
スク半径方向に可動し、光スポットをトラック上に位置
決めし、焦点誤差信号により光軸方向に可動し、焦点位
置をディスク上に位置決めする。反射光は再び、対物レ
ンズ3、立ち上げミラー8を経由して、ビームスプリッ
タ71を反射し、検出光学系に導かれる。ビームスプリ
ッタ72を透過した光は集光レンズ111により集光光
束とされ、ビームスプリッタ73に入射する。ここでは
透過光はシリンドリカルレンズ12を透過し、4分割光
検出器13に入射する。この分割検出器の対角成分の和
信号どうしの差動信号を差動増幅器141により出力
し、焦点ずれ信号とする。一方ビームスプリッタ73で
反射した光は2分割光検出器15に入射し、それぞれの
出力の差動信号を差動増幅器142により出力すること
により、トラッキング誤差信号を得る。またビームスプ
リッタ72を反射した光は集光レンズ112により光検
出器16に集光され光電変換された信号は、アンプ17
で増幅され再生信号を得る。再生信号はサーボ信号検出
用のディテクタの出力の和信号から検出しても差し支え
ない。この場合、信号帯域まで検出した信号をローパス
フィルタなどで帯域制限してサーボ信号を検出すればよ
い。サーボ検出光学系は一例であり、他の方式を用いる
ことも可能である。
りつけられている実施例を説明してきたが、図15はD
VD専用の対物レンズ18と、独立した輪帯位相シフタ
19をハイブリッドに一体化して2次元アクチュエータ
に搭載した実施例である。ここでは図14の立ち上げミ
ラーからディスクまでの光学系に相当する部分だけを置
き換えることを想定し、その部分だけを示した。
外で無収差となる基板厚が異なる対物レンズを最適に組
み合わせることにより、波長650nmのレーザ光で基
板厚0.6mmのDVDを、波長780nmのレーザ光
で基板厚1.2mmのCDを、制限開口を必要とするこ
となく1つのレンズで再生することが可能となり、小型
で安価な光ヘッドを提供できる。
図。
量。
CD再生スポット性能。
状模式図。
能の変化。
収差。
に一体化された実施例。
位相シフト領域、2‥‥球面収差波面、102‥‥逆輪
帯位相シフト領域、3‥‥逆輪帯位相シフタ一体型分割
レンズ、4‥‥半導体レーザ、5‥‥コリメートレン
ズ、61、62‥‥ビーム成形プリズム、71、72、
73‥‥ビームスプリッタ、8‥‥立ち上げミラー、9
‥‥2次元アクチュエータ、10‥‥光ディスク、11
1、112‥‥集光レンズ、12‥‥シリンドリカルレ
ンズ、13‥‥4分割ディテクタ、141、142‥‥
差動アンプ、15‥‥2分割ディテクタ、16‥‥ディ
テクタ、17‥‥アンプ、18‥‥DVD用対物レン
ズ、19‥‥輪帯位相シフタ。
Claims (4)
- 【請求項1】 第1の波長のレーザ光を第1の厚さの基板に
集光し、前記第1の波長とは波長の異なる第2の波長の
レーザ光を前記第1の厚さとは異なる厚さの第2の厚さ
の基板に集光する対物レンズであって、 前記対物レンズは輪帯位相シフタを有し、前記輪帯位相
シフタは凹型であり、前記対物レンズと前記輪帯位相シ
フタは1の材料で構成され、 前記輪帯位相シフタが形成された領域が、前記第1の波
長による波面収差が、前記輪帯位相シフタがないときに
比べてゼロに近づくように正の方向に移動し、かつ、前
記第2の波長による波面収差が前記輪帯位相シフタがな
いときに比べてゼロに近づくように負の方向に移動する
ように、前記輪帯位相シフタが構成されたことを特徴と
する対物レンズ。 - 【請求項2】 前記第1の波長は780nmであり、前記
第2の波長は650nmであることを特徴とする請求項
1記載の対物レンズ。 - 【請求項3】 前記第1の厚さは1.2mmであり、前記
第2の厚さは0.6mmであることを特徴とする請求項
1または2記載の対物レンズ。 - 【請求項4】 第1の波長と、前記第1の波長と波長の異な
る第2の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ光源
と、 前記レーザ光を基板に集光する対物レンズとを有し、 前記対物レンズは輪帯位相シフタを有し、前記輪帯位相
シフタは凹型であり、前記対物レンズと前記輪帯位相シ
フタは1の材料で構成され、 前記輪帯位相シフタが形成された領域が、前記第1の波
長による波面収差が、前記輪帯位相シフタがないときに
比べてゼロに近づくように正の方向に移動し、かつ、前
記第2の波長による波面収差が前記輪帯位相シフタがな
いときに比べてゼロに近づくように負の方向に移動する
ように、前記輪帯位相シフタが構成されたことを特徴と
する光ヘッド。
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