JP4443293B2 - 光ディスク用光学系および光ディスク用対物レンズ - Google Patents

光ディスク用光学系および光ディスク用対物レンズ Download PDF

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Description

この発明は、記録密度や保護層の厚みが異なる複数種類の光ディスクに対するデータの記録または再生を行う光情報記録再生装置に用いられる光学系および対物レンズに関する。
光ディスクには、記録密度や保護層の厚みが異なる複数の規格が存在する。例えば、CD(コンパクトディスク)よりもDVD(デジタルバーサタイルディスク)の記録密度は高く、保護層が薄い。そこで、規格が異なる光ディスクの切り替え時には、保護層の厚みによって変化してしまう球面収差を補正しつつ、情報の記録または再生に使用する光の開口数(NA)を変化させて記録密度の違いに対応した有効光束径が得られるようにする必要がある。
例えば、保護層厚が比較的薄く記録密度が高い光ディスクの記録/再生には、保護層厚が比較的厚く記録密度が低い光ディスク専用の光学系より高NAにしてビームスポットを絞る必要がある。スポット径は波長が短いほど小さくなるため、DVDを利用する光学系では、CD専用の光学系で用いられていた780〜830nmより短い635〜665nmの発振波長のレーザー光源を用いる。そのため近年、光情報記録再生装置には、波長の異なるレーザー光を発振可能な光源部を有する光ディスク用光学系が使用されている。なお、本文において、光情報記録再生装置と記した場合には、情報の記録専用装置、情報の再生専用装置、情報の記録および再生兼用装置、の全てを含むものとする。
保護層の厚みが異なる複数種類の光ディスクに対して、それぞれ良好な状態で各光ディスクの記録面位置にレーザー光を収束させる手段の一つとして、片側の一面に輪帯状の微細な段差を有する回折構造を設けた対物レンズを光ディスク用光学系に搭載する技術が実用化されている。該対物レンズとしては、例えば下記の特許文献1に開示される
特開2000−81566号公報
上記特許文献1に例示されるような対物レンズは、該回折構造によって発生する球面収差が入射光束の波長に依存して変化する特徴を利用して、規格の異なる光ディスクを使用した場合であっても、常に記録面上にレーザー光が良好な状態で収束するようにしている。
該対物レンズの回折構造が設けられた面は、詳しくは光軸近傍に位置する内側領域と、該内側領域の外側にある外側領域とに分けられる。内側領域は、CDに対する情報の記録または再生用の光が該CDの記録面において良好に結像し、かつDVDに対する情報の記録または再生用の光が該DVDの記録面において良好に結像するような回折構造を備えている。外側領域は、CDに対する情報の記録または再生用の光をいわゆるフレア光として拡散させることにより、該CDの記録面において形成されるスポットが過度に絞られるのを防ぎつつ、DVDに対する情報の記録または再生用の光が該DVDの記録面において良好に結像するような回折構造を備えている。
上記のような構造により、CDに対する情報の記録または再生時は、光源から発振されたレーザー光のうち、内側領域を透過した光束のみが記録面上で結像する。従って、該記録面において比較的大径のスポットが形成される。また、DVDに対する情報の記録または再生時は、光源から発振されたレーザー光は、内側領域と外側領域のどちらを透過する光束も収束するためNAが大きくなる。従って、記録密度の高いDVDに対する情報の記録または再生に適した小径のスポットが形成される。
ここで、CDに対する情報の記録または再生時における、スポット近傍に発生するフレア光は、記録面で反射して信号生成部によって検出されると、FE(Focus Error)信号やTE(Tracking Error)信号にノイズとして表れるおそれがある。そこで、上記特許文献1のような構成をとりつつ少しでもFE信号等に表れるノイズのレベルを低減させようと、特許文献2をはじめとする種々の提案がなされている。
特開2002−333576号公報
特許文献2は、CDに対する情報の記録または再生時、外側領域に入射したレーザー光が複数の異なる次数の回折光に配分されるように該外側領域の回折構造を設計する。従って、不要光であるフレア光は広範囲に拡散され、CDの記録面においてスポット近傍に分布するフレア光のレベルは低減する。これにより上記各信号に発生するノイズが抑制される。
上記特許文献2のような構成の対物レンズは使用されるCDが所定位置に配置されている、つまり対物レンズの光軸に対してディスクの記録面が略直交するように配置されている場合には極めて高い効果を得ることができる。しかし、使用されるCDが傾いている場合、特許文献2のような構成の対物レンズの内側領域を透過してスポットを形成し、記録面で反射された強度の高い光の一部が、該対物レンズの外側領域に入射してしまう。外側領域の広い範囲に対して光が入射するならば、往路、すなわち光源から出射され対物レンズを通ってディスクに向かった光が回折構造の作用により大きく拡散されたのと同様に、復路、すなわちディスクで反射され対物レンズを通って受光部へと戻っていく光束も当然回折作用を受け大きく拡散される。しかし、CDが微小量(1°以下程度)傾いた状況のように、外側領域のうち内側領域近傍の一部分にしか光が入射しない場合、そこに含まれる回折輪帯の数が少ないためほとんど回折作用を受けず、光束は大きく拡がらないまま本来入射すべきでない受光部にいわゆる不要光として入射してしまう。該不要光により、FE信号やTE信号、特に3ビーム法など複数のビームにより生成されるTE信号にノイズが発生してしまう。そのため、上記の各特許文献の構成や特徴を活かしつつも、光ディスクの傾きに起因して発生する不要光を有効に抑えるような改善が要望されている。
そこで本発明は上記の事情に鑑み、記録密度の異なる複数種類の光ディスクに対する情報の記録または再生を実現する光ディスク用光学系および対物レンズであって、特に比較的記録密度の低い光ディスクに対する情報の記録または再生において、該光ディスクが傾いた状況においても、複数のセンサーを利用して生成するTE信号等のノイズの原因となる不要光を有効に抑えることができる光ディスク用光学系および対物レンズを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の光ディスク用光学系は、光源部と、光源部から照射された異なる波長の光束をそれぞれ対応する光ディスクの記録面に結像させる対物レンズと、光ディスクに記録された情報の再生に使用する主ビームの戻り光を受光する主受光部と、主受光部近傍に配設された副受光部とを有する受光部と、光源部と光ディスクとの間に、記録密度が異なる少なくとも二種類の光ディスクに対して記録または再生の互換性を満足させるための光学素子と、を有し、該光学素子は、比較的記録密度が低い第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための内側領域と、内側領域の外側にあり、第一の光ディスクよりも記録密度が相対的に高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための外側領域と、外側領域のうち内側領域と外側領域の境界近傍に位置する中間領域とを有し、中間領域は、光ディスクからの反射光束に対して光路長差を与える複数の微小幅の輪帯から構成されており、複数の微小幅の輪帯は、輪帯間で符号の異なる光路長差を与える輪帯の繰り返しであり、中間領域は、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した第一の波長の第一光束に対する透過率が低く設定されることを特徴とする。
ここで、第一の光ディスクとは例えばCDやCD−Rが該当する。また、第二の光ディスクとは例えばDVDが該当する。このように、複数種類の光ディスクに対する互換性を持たせるために、例えば上記特許文献1あるいは特許文献2に記載の、回折作用を利用した対物レンズのような光学素子における外側領域のうち内側領域近傍の一部に上記のような中間領域を設けることにより、傾いたディスクの記録面でスポットを形成した強度の高い光の一部が外側領域を介して副受光部に入射し、TE信号生成時にノイズ発生原因となる不要光を低減することができる。
より詳しくは、本発明に係る光ディスク用光学系は、第一の光ディスクの記録または再生時に光ディスクが微小量傾いた際、記録面からの戻り光のうち、中間領域に入射した光束の強度は、副受光部付近において該副受光部の光量検出の妨げとならない程度に低く設定される。
本発明の一実施形態によれば、中間領域における、上記の第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクに対応する波長の光束に対する透過率を、内側領域あるいは外側領域と略同じに設定することにより、第二の光ディスクを利用する際には高い光利用効率を確保することができる。なお、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生は、前記内側領域、前記中間領域、および前記外側領域を透過した全ての光束を用いて行われる。
また、本発明の一実施形態によれば、中間領域の第一光束に対する透過率は、内側領域の透過率の約半分以下に設定されることが好ましい。
また、本発明の光ディスク用光学系の別の例は、微小幅の輪帯間で与えられる光路長差の絶対値は、第一の光ディスクに対する記録または再生に適した第一の波長を持つ第一光束に対してはほぼ波長の(N+0.5)倍(但し、Nは自然数)、であるように構成される。これにより、中間領域の各輪帯を通過した光は回折作用により拡散し、第一の光ディスクの記録または再生時に光ディスクが微小量傾いた際、記録面からの戻り光のうち中間領域に入射した光束の強度を副受光部付近において、該副受光部の光量検出の妨げとならない程度に低くすることができる。
ここで、上記Nの最適な値は、第一の波長と、それ以外のディスクに対応する光の波長、および素子の屈折率の波長分散により変化する。例えば、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に使用する第一の光束の波長(第一の波長)として780nm、第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に使用する第二の光束の波長(第二の波長)として660nmを想定し、光路長差を1170nm(ここでは便宜上、屈折率の波長分散を無視する)とする。この光路長差は、第一の光束にとっては1.5波長分(すなわちN=1)となり、大きく拡散する。一方、第二の光束にとっては1.77波長分となり、2に比較的近いが十分近いとは言えない。そのため、第二の光束はある程度は回折作用の影響を受けずに透過するが、一部は拡散するため光利用効率の低下が起きる。
上記の光路長差を1950nmに設定すると、第一の光束にとっては2.5波長分(N=2)となり、大きく拡散する。また、第二の光束にとっては2.95波長分、つまり波長の整数倍に略等しくなる。そのため、回折作用の影響による拡散はほとんど発生せずに透過する。すなわち、この例によれば、N=2とすることで、第一の光束を大きく拡散させて副受光部に不要光が戻るのを防ぎつつ、第二の光束はほぼ全て利用できることがわかる。
ただし、付加する光路長差が大きくなればなるほど、輪帯間の段差が大きくなるため、精度良く製造するのが困難になる。そのため、N=5以下の範囲で選択するのが適当である。
なお、N=1を選択すると、中間領域に形成される段差はかなり小さくすることができる。つまり、光学系を比較的容易に製造することができて、かつ第一の光束を拡散させる対物レンズが提供される。
本発明の一実施形態によれば、上記光学素子を使用することにより、第一の光ディスク以外の光ディスク(例えば第二の光ディスク)に対応する波長の光束に対して、中間領域の微小幅の輪帯間で付与される光路長差は、略波長の整数倍(ただし、0を除く)となる。そのため、中間領域の各輪帯を通過した光同士の干渉作用による拡散は生じず、第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクを利用する際には高い光利用効率を確保できる。なお、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生は、内側領域、中間領域、および外側領域を透過した全ての光束を用いて行われる。
本発明の一実施形態によれば、中間領域の構造は、符合の異なる光路長差を与える輪帯が繰り返し形成されていることが望ましい。
本発明の一実施形態によれば、中間領域が符合の異なる光路長差を与える輪帯の繰り返しにより構成されている場合、各輪帯の幅は凹部よりも凸部の方が広く構成されていることが望ましい。
本発明の一実施形態によれば、中間領域に形成された微小幅の輪帯の幅は、光学系の基準軸に直交する平面に射影した場合において、0.005mm以上0.020mm以下であることが望ましい。幅が狭すぎると、輪帯が精度良く形成できず、幅が広すぎると、輪帯間の干渉作用が適切に起こるのに必要な複数の輪帯に光が入射せず、発明の効果が十分得られない。
本発明の一実施形態によれば、光学系の基準軸に直交する平面に射影した中間領域全体の幅をW(mm)、第一の波長に対する対物レンズの焦点距離をf(mm)、第一の光ディスクの記録または再生時の対物レンズの使用倍率をM、内側領域の径をφ(mm)、内側領域に入射した光束の対物レンズの光源側の面での光束径をφ(mm)としたとき、以下の条件(1)、
0.0035<{W・(φ/φ)}/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(1)
を満たす。
条件(1)において、下限を下回ると、ディスクが傾いたときに不要光が副受光部に入射しないように抑制する効果が小さくなりすぎ、実効性に乏しい。また上限を上回ると、第二の光ディスク等の第一の光ディスク以外の光ディスクを使用する場合に特性が劣化する。
本発明の一実施形態によれば、互換性を満足させるための光学面を備えた光学素子は対物レンズであっても良い。これにより、付加的な素子が不要となり、光学系を単純化することができる。
本発明の一実施形態によれば、中間領域は内側領域に隣接していても良い。また、中間領域は内側領域に隣接していなくても良い。これらは、中間領域がなかった場合に不要光の発生する場所と、副受光部の配置とにより適宜選択することができる。
本発明に係る光ディスク用対物レンズは、少なくとも一面に、比較的記録密度が低い第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための内側領域と、内側領域の外側にあり、第一の光ディスク以外の、第一の光ディスクよりも記録密度が相対的に高い光ディスク(例えば、第二の光ディスク)に対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための外側領域と、外側領域のうち内側領域と外側領域の境界近傍に位置する中間領域とを有し、中間領域は、光ディスクからの反射光束に対して光路長差を与える複数の微小幅の輪帯から構成されており、複数の微小幅の輪帯は、輪帯間で符号の異なる光路長差を与える輪帯の繰り返しであり、中間領域における、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した第一の波長の第一光束に対する透過率を、内側領域の透過率よりも低く設定することを特徴とする。
本発明の一実施形態によれば、中間領域の、第二の光ディスクに対応する波長の光束に対する透過率は、内側領域あるいは外側領域とほぼ同じなので、第一の光ディスク以外の光ディスクを利用する際には高い光利用効率を確保できる。
より詳しくは、本発明に係る光ディスク用対物レンズは、第一の光ディスクの記録または再生時に光ディスクが微小量傾いた際に、対物レンズの内側領域を透過して記録面から戻ってきた光束のうち、内側領域の外側にずれて中間領域に入射した光束がほとんど透過しないように構成される。
上記のように構成された光ディスク用対物レンズは、中間領域が対物レンズの光源側の面に設けられており、対物レンズの光軸に直交する平面に射影した中間領域全体の幅をW(mm)、第一の波長に対する対物レンズの焦点距離をf(mm)、第一の光ディスクの記録または再生時の対物レンズの使用倍率をMとすると、以下の条件(2)、
0.0035<W/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(2)
を満たすことが望ましい。
条件(2)において、下限を下回ると、ディスクが傾いたときに不要光が副受光部に入射しないように抑制する効果が小さくなりすぎ実効性に乏しい。上限を上回ると、第二の光ディスク等の第一の光ディスク以外の光ディスクを使用する場合に特性が劣化する。
以上のように、本発明によれば、記録密度が比較的低い光ディスクに必要なNAを確保するための内側領域と、記録密度が相対的に高い光ディスクに必要なNAを確保するための外側領域の間に所定の波長選択性を持つ領域を設けることにより、記録密度が比較的低い光ディスクが傾いていても、TE信号等のノイズの原因となる不要光を有効に抑えることができる光ディスク用光学系および光ディスク用対物レンズを提供することができる。
以下、この発明に係る光ディスク用対物レンズの実施形態を説明する。図1は、実施形態に係る光ディスク用対物レンズ10を備える光ピックアップ光学系100を表す図である。光ピックアップ光学系100は、保護層の厚みや記録密度が異なる二種類の光ディスク20A、20Bに対して互換性を有する。光ピックアップ光学系100は、光源30A、30B、ハーフミラー40、コリメートレンズ50、信号生成部60を有する。光学系の基準軸は、図中一点鎖線で表示されている。図の状態では、対物レンズの光軸は光学系の基準軸と一致しているが、トラッキング動作などにより対物レンズの光軸が光学系の基準軸から外れる状態もある。
光ディスク20A(20B)は、図示しないターンテーブル上に載置され回転駆動される。なお本明細書では、保護層が厚く記録密度が低い光ディスク(例えばCDやCD−R等)を第一の光ディスク20Aと記す。また、保護層が薄く記録密度が高い光ディスク(例えばDVD)を第二の光ディスク20Bと記す。
第一の光ディスク20Aに対して情報の記録または再生を行う際には、比較的大きな径のビームスポットを形成するために最適な、比較的波長の長いレーザー光(以下、第一のレーザー光という)が第一光源30Aから照射される。また、記録密度の高い第二の光ディスク20Bに対して記録または再生を行う際には、記録面上において小径のスポットを形成するために最適な、第一のレーザー光よりも波長の短いレーザー光(以下、第二のレーザー光という)が第二光源30Bから照射される。なお、本明細書において、第一のレーザー光が有する波長を第一の波長、第二のレーザー光が有する波長を第二の波長という。
まず、ターンテーブル上に載置された光ディスクが傾いていない場合、つまり対物レンズ10の光軸に略直交する面内に記録面が位置する場合の、該光ディスクに対する情報の記録または再生について概説する。
ターンテーブル上に載置された光ディスクに対応する光源から発振されたレーザー光は、ハーフミラー40によって偏向され、コリメートレンズ50に入射する。コリメートレンズ50によって平行光束に変換されたレーザー光は、対物レンズ10に入射する。なお、図1中、第一のレーザー光の光路を破線で示し、第二のレーザー光の光路を実線で表す。
対物レンズ10は、光源側から順に第一面10aと第二面10bを有する。対物レンズ10は、図1に示すように両面10a、10bとも非球面である両凸のプラスチック製単レンズである。上述した通り、第一の光ディスク20Aと第二の光ディスク20Bでは、保護層の厚さが異なる。このため、情報の記録または再生に使用される光ディスクによって球面収差が変化する。そこで、本実施形態においては、対物レンズ10の少なくとも一方の面(本実施形態では面10a)に光軸を中心とした複数の微細な段差を有する輪帯状の回折構造を設ける。
図2は、対物レンズ10の光軸AXを含む面での断面形状の第一面10a近傍の拡大図である。対物レンズ10における第一面10aは、以下のように形成される。第一面10aは、光軸の周囲に位置する内側領域11と、内側領域11よりも外周側に位置する外側領域12とを有する。そして、外側領域12は、内側領域と外側領域の境界近傍に位置する中間領域13を有する。上記のとおり、各領域11〜13は、複数の微細な輪帯状の段差を有している。そして、各輪帯状の段差は、面10aの内側から外側に向かって、換言すれば光軸AXから離れるにつれて、レンズの厚みが増すように形成される。該回折構造の作用により、保護層によって発生する球面収差を打ち消して、どちらのディスクを使用した場合であっても記録面に良好なスポットが形成されるようにしている。
図2に模式的に示すように、面10aの内側領域11は、第一の光ディスク20Aに対する情報の記録または再生時に必要とされるNAに対応し、ブレーズ化された回折構造になっている。なお、ブレーズ化波長は、目的に合わせて適切に選定すれば良い。本実施形態では、第一、第二双方の光ディスクに対して比較的高い光利用効率が得られるように、第一のレーザー光と第二のレーザー光の中間的な波長をブレーズ化波長に設定する。従って、内側領域11を透過した第一のレーザー光、第二のレーザー光のいずれも収束し、光ディスクの記録面においてスポットの形成に寄与する。
面10aの外側領域12は、複数の輪帯状の段差部(輪帯段差)によって形成される複数の輪帯(C1、C2、C3、…)を有する回折構造になっている。すなわち、外側領域12は、個別の非球面係数によって規定される複数の面C1〜Cn(nは自然数)の集合である。該回折構造は、第一のレーザー光が拡散して第一の光ディスク20Aの記録面においてスポットの形成に寄与せず、かつ第二のレーザー光が第二の光ディスク20Bの記録面において良好に結像するように設計される。具体的には、外側領域12は、該領域12を透過した第二のレーザー光の波面が、内側領域11を透過した第二のレーザー光の波面と略連続するように構成される。
上記構成の対物レンズ10を透過した第一のレーザー光は、内側領域11を透過した成分のみが第一の光ディスク20Aの記録面に良好に結像する。これにより該記録面には、第一の光ディスク20Aに対する情報の記録または再生に好適な、比較的大径のスポットが形成される。なお、該スポットの周囲には、外側領域12を透過することにより拡散状態にある第一のレーザー光がフレア光として表れる。
また対物レンズ10を透過する第二のレーザー光は、高NAとなって、第二の光ディスク20Bの記録面上において小径のスポットを形成する。
該記録面で反射した第一のレーザー光は、対物レンズ10、コリメートレンズ50、ハーフミラー40の順に透過して、信号生成部60の第一受光部60Aに入射する。図3は、信号生成部60の第一受光部60Aおよび該受光部60Aに入射した光のスポットダイアグラムを表す模式図である。第一受光部60Aは、中央に配設されるメインセンサ(主受光部)61と、該メインセンサ61の両側に配設される二つのサブセンサ(副受光部)62、63を有する。
図3に示すように、第一のレーザー光のうち、対物レンズ10の内側領域11を介して記録面で収束しスポットを形成した強度の高い光は、再び内側領域11を透過してメインセンサ61に入射する。また、第一のレーザー光のうち、対物レンズ10の外側領域12を介して記録面で拡散した光(フレア光)は、内側領域11、および外側領域12を透過して各サブセンサ62、63に入射する。図3中、メインセンサ61内にある点の集合が上記強度の高い光を示し、該点の集合の周囲に散在する無数の点がフレア光に対応する光を示す。第一受光部60Aは、ディスクの記録情報に応じて変調された光をメインセンサ61で受光して情報の読み取りを行い、かつ非点収差法によってFE信号を生成する。なお対物レンズ10に入射する光は、図示しないが、一部分割されて二本のサブビームとなり、記録面で収束する。各サブビームは、再び対物レンズを透過し、各サブセンサ62,63に入射する。各サブセンサ62、63は、各サブビームを受光し、メインセンサ61は、上述の通り強度の高い光を受光する。各サブセンサ62〜63で受光された光に基づき3ビーム法によってTE信号が生成される。
なお、第二のレーザー光は、信号生成部60の第二受光部60Bに入射する。第二受光部60Bは、従来ある手法(プッシュプル法など)を用いてTE信号をはじめとする種々の信号を生成する。
ここで、対物レンズ10の光軸に対して第一の光ディスク20Aが傾いている場合、記録面で反射した上記強度の高い光の一部が外側領域12を透過して、本来メインセンサ61に入射すべき光束の一部が、各サブセンサ62、63によって受光されてしまうおそれがある。これにより、TE信号にノイズが発生し、高精度でのトラッキング制御ができないという不都合がおこる。
上記不都合を解消すべく、対物レンズ10は、面10aに、内側領域11と外側領域12の間に所定の波長選択性を持つように構成された複数の輪帯(S1、S2、S3、・・・)を有する中間領域13を持つ。図2には便宜上3つの輪帯S1〜S3を有する中間領域13が示されているが、該輪帯の数は3つに限定されるものではない。詳しくは、中間領域13は、内側領域11の最も外周側の辺(以下、最周辺という)11aと、外側領域12の最も光軸よりの辺12aとによって規定される範囲に設けられる。中間領域13は、対物レンズ10の光軸に直交する面に射影された状態における幅をW(mm)、第一の波長に対する対物レンズの焦点距離をf(mm)、第一の光ディスクの記録または再生時の対物レンズの使用倍率をM、内側領域の径をφ1(mm)、内側領域に入射した光束の対物レンズの光源側の面での光束径をφ2(mm)としたときに、以下の条件(1)、
0.0035<{W・(φ/φ)}/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(1)
を満足するように構成されている。互換性を満足させるための光学面が、対物レンズの光源側の面に設けられている場合φ=φであるため、条件(1)は、以下の条件(2)、
0.0035<W/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(2)
に書き換えることができる。これらの式の上限を超えると、中間領域の幅が広くなりすぎ、第二のディスクを利用する際の特性、例えば光源の波長ずれに対する特性などに悪影響が出る。一方、下限を下回ると、中間領域の幅が狭くなりすぎ、TE信号のノイズを抑制する効果が十分に得られない。
波長選択性とは、入射するレーザー光の波長に応じて異なる特性を持つことをいう。中間領域13は、第一の波長をもつ第一のレーザー光に対して干渉作用により光を拡散させる効果をもち、かつ第二の波長を持つ第二のレーザー光に対しては干渉作用により光を拡散させるような効果をほとんどもたないような回折構造になっている。具体的には、中間領域13を構成する輪帯段差は、第一のレーザー光束に対して与える光路長差の絶対値が、第一の波長の約(N+0.5)倍となるように設計される。但し、Nは自然数である。該設計により、中間領域13に入射する第一のレーザー光束は大きく拡散され、強い強度の光がサブセンサ62、63に戻ることを防いでいる。これに対し、第二のレーザー光束に対して与える光路長差は、第二の波長の約整数倍に近いように設定されるため、中間領域13に入射した第二のレーザー光は、ほとんど拡散されずに該領域13を透過する。
なお、一般に、回折構造をもつレンズを射出成形する際、該回折構造と略対応する構造の金型が用いられる。該金型を使用すると、回折構造を持つ面を見たときにおける輪帯段差の凸面は、凹面よりも精確に成形されないといった製造上の問題がおこる。そこで本実施形態の対物レンズでは、凹面よりも凸面を広く設計することにより、製造時の誤差を低減させて中間領域13によって得られる効果を確保している。凹面に対して凸面をどの程度広く設計するかは、製造時の誤差量などによって任意に決定することができる。例えば、以下に示す各実施例では、凸面は凹面よりも約20%程広く構成されている。
次に上述した実施形態に基づく具体的な実施例を2例提示する。いずれの実施例も保護層の厚みが1.2mmの書き込み可能な第一の光ディスク20Aと、保護層の厚みが0.6mmの第二の光ディスク20Bとの互換性を有する光ディスク用対物レンズ10に関するものである。
実施例1の対物レンズ10の具体的な数値構成は表1に示される。また、実施例1の対物レンズ10を備える光ピックアップ光学系100の具体的な数値構成は表2に示されている。
Figure 0004443293
Figure 0004443293
表1中、Mおよびfはそれぞれ、対物レンズ10の倍率および焦点距離を表す。設計波長とは、第一の光ディスク20Aおよび第二の光ディスク20Bを記録または再生する際に最も適した波長のことである。つまり、実施例1において、第一の波長は785nmであり、第二の波長は660nmである。NAは対物レンズ10の像側の開口数である。
また表2中、rはレンズ各面の曲率半径(単位:mm)、dはレンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)、nはd線(588nm)での屈折率、νはd線でのアッベ数、hは光軸AXからの高さ、備考は各面番号が示す光学部材を表す。以下の各表においても同様である。なお、dが各光ディスク使用時で異なるのは、フォーカシングのために対物レンズ10が光軸方向に移動することにより、対物レンズ10からディスク表面までの距離(作動距離)が変化するためである。
表2に示すように、実施例1の対物レンズ10の第一面10a(面番号3)は、内側領域11および外側領域12、そして各領域の間に位置する中間領域13からなる。外側領域12は、輪帯段差によって形成される6つの輪帯C1〜C6を備える。中間領域13は、輪帯段差によって形成される3つの輪帯S1〜S3を備える。なお実施例1では、第一のレーザー光束について、単位面積あたりの、内側領域11の透過光量に対する中間領域13の透過光量の比は、0.4%に設定されている。
表2中、コリメートレンズ50の各面(面番号1、2)と、対物レンズ10の第一面10aおよび第二面10bは非球面である。該非球面の形状は光軸からの高さがhとなる非球面上の座標点の非球面の光軸上での接平面からの距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)をC、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次の非球面係数をA,A,A,A10,A12として、以下の式で表される。
Figure 0004443293
光ピックアップ光学系100における各非球面を規定する円錐係数と非球面係数は、表3に示される。
Figure 0004443293
表3に示すように、実施例1の対物レンズ10は、中間領域13を構成する3つの輪帯S1〜S3および外側領域12を構成する6つの輪帯C1〜C6がすべて異なる非球面形状になっている。表3中、d_shiftは、面頂点のシフト量である。面頂点のシフト量とは、図2中、破線で示すように各面を延長して光軸AXと交わる点をそれぞれP1、P2、P3、…とし、これら各点と実際の第一面10aが光軸AXと交わる点P0との距離を意味する。なお、表3における表記Eは、10を基数、Eの右の数字を指数とする累乗を表している。以下に示す各表においても同様である。
中間領域13と外側領域12の回折構造は、表2におけるhおよび表3におけるd_shiftによって表される。内側領域11の回折構造は、以下の光路差関数φ(h)により表される。
Figure 0004443293
光路差関数φ(h)は、回折レンズの機能を光軸からの高さhでの光路長付加量の形で表現したものである。P、P、P、…はそれぞれ2次、4次、6次、…の係数である。該回折構造を規定する光路差関数係数P、…は、表4に示される。mは利用する回折光の次数を表し、本実施例ではm=1としている。
Figure 0004443293
実施例1の対物レンズ10入射時に第一のレーザー光および第二のレーザー光が、内側領域11、中間領域13における各輪帯S1〜S3、外側領域12における各輪帯C1〜C6のそれぞれにおいて、一つ内側(光軸側)の輪帯に対して与えられる光路長差を表5に示す。
Figure 0004443293
表5に示すように、実施例1の対物レンズ10において、中間領域13の輪帯S2と輪帯S3は、第一のレーザー光に対して与える光路長差が第一の波長の約1.5倍(つまり、N=1)となるように設計されている。これにより、第一のレーザー光に対して強い拡散効果が得られる。なお、光路長差を第一の波長の約1.5倍にすると各輪帯のd_shiftを小さく抑えることができる。これにより、各段差の成形が容易になる。
表2に示すように、中間領域の各輪帯の幅は、0.010mmまたは0.012mmに設定されている。従って、光が入射する範囲が狭かったとしても、その光が複数の輪帯に分布することになるため、十分な干渉作用が得られる。また、互換性を満足させるための光学面は対物レンズの光源側の面に形成されている。中間領域の幅W=0.032mm、第一の光ディスクに対する波長での焦点距離f=3.02mm、第一の光ディスクに対する対物レンズの使用倍率M=−0.0009より、W/{(1−m)・f}=0.0106となり、(2)式を満足する。
以上の構成の対物レンズ10を使用すれば、第一の光ディスク20Aが傾くことによって、記録面でスポットを形成した強度の高い光の一部が内側領域11を透過しなかった場合でも、その光は外側領域12ではなく中間領域13に入射するため、十分に拡散される。そのため、その光が不要光としてサブセンサ62、63に入射することがなくなり、TE信号にノイズが発生するのを効果的に抑えることができる。
図4は、第一の光ディスク20Aの傾き角θとTE信号のノイズのレベルとの関係を表すグラフである。横軸が傾き角θであり、縦軸がTE信号のノイズレベルである。また、図4中、実線が実施例1の対物レンズ10使用時の関係を表し、破線が中間領域13を備えていない従来の対物レンズ使用時における関係を表す。後述の図5についても同様である。図4に示すように、実施例1の対物レンズ10を使用することにより、0°<θ<約0.5°の範囲にある値をとる場合に、従来の対物レンズ使用時よりもTE信号のノイズが良好に抑えられる。
なお表5に示すように、中間領域13は、第二のレーザー光に対しては第二の波長の略整数倍の光路長差を与えている。従って、中間領域13に入射した第二のレーザー光は、大きく拡散されることなく該領域13を透過しスポットの形成に良好に寄与する。
実施例2の対物レンズ10の具体的数値構成は表6に示される。また、実施例2の対物レンズ10を備える光ピックアップ光学系100の具体的な数値構成は表7に示される。
Figure 0004443293
Figure 0004443293
表6に示すように、実施例2において、第一の波長は790nmであり、第二の波長は655nmである。表7に示すように、実施例2の対物レンズ10の第一面10a(面番号3)も実施例1と同様に、内側領域11および外側領域12、そして各領域の間に位置する中間領域13からなる。外側領域12は、輪帯段差によって形成される4つの輪帯C1〜C4を備える。中間領域13は、輪帯段差によって形成される7つの輪帯S1〜S7を備える。なお実施例2では、第一のレーザー光束について、単位面積あたりの、内側領域11の透過光量に対する中間領域13の透過光量の比は、6.8%に設定されている。
実施例2の対物レンズ10も、実施例1と同様に、コリメートレンズ50の各面(面番号1、2)と、対物レンズ10の第一面10aおよび第二面10bは非球面である。各非球面を規定する円錐係数と非球面係数は表8に示される。
Figure 0004443293
表8に示すように、実施例2の対物レンズ10は、中間領域13を構成する7つの輪帯S1〜S7および外側領域12を構成する4つの輪帯C1〜C4がすべて異なる非球面形状になっている。中間領域13と外側領域12の回折構造は、表7におけるhおよび表8におけるd_shiftによって表される。また内側領域11の回折構造を規定する光路差関数係数P、…を表9に示す。
Figure 0004443293
実施例2の対物レンズ10入射時に第一のレーザー光および第二のレーザー光が、内側領域11、中間領域13における各輪帯S1〜S7、外側領域12における各輪帯C1〜C4のそれぞれにおいて、一つ内側(光軸側)の輪帯に対して与えられる光路長差を表10に示す。
Figure 0004443293
表10に示すように、実施例2の対物レンズ10では、中間領域13の輪帯は、第一のレーザー光に対して与える光路長差が第一の波長の約2.5倍(つまり、N=2)となるように設計されている。これにより、第一のレーザー光に対して強い拡散効果が得られる。
表7に示すように、中間領域の各輪帯の幅は、0.009mmまたは0.011mmに設定されている。従って、光が入射する範囲が狭かったとしても、その光が複数の輪帯に分布することになるため、十分な干渉作用が得られる。
また、互換性を満足させるための光学面は対物レンズの光源側の面に形成されている。中間領域の幅W=0.069mm、第一の光ディスクに対する波長での焦点距離f=2.52mm、第一の光ディスクに対する対物レンズの使用倍率M=−0.0009より、W/{(1−m)・f}=0.0274となり、(2)式を満足する。
以上の構成の対物レンズ10を使用すれば、第一の光ディスク20Aが傾くことによって、記録面でスポットを形成した強度の高い光の一部が内側領域11を透過しなかった場合でも、その光は外側領域12ではなく中間領域13に入射するため、十分に拡散される。そのため、その光が不要光としてサブセンサ62、63に入射することがなくなり、TE信号にノイズが発生するのを効果的に抑えることができる。
図5は、第一の光ディスク20Aの傾き角θとTE信号のノイズのレベルとの関係を表すグラフである。図5に示すように、実施例2の対物レンズ10を使用することにより、従来の対物レンズ使用時よりもTE信号のノイズが良好に抑えられる。
なお表10に示すように、中間領域13は、第二のレーザー光に対しては第二の波長の略整数倍の光路長差を与えている。従って、中間領域13に入射した第二のレーザー光は、他の各領域11、12と略同一の回折作用を受けて拡散されることなく該領域13を透過しスポットの形成に良好に寄与する。
以上が本発明の実施例である。なお、上記の各実施例はあくまでも本発明に係る光ディスク用光学系の一例である。つまり本発明に係る光ディスク用光学系は、各実施例の具体的数値構成に限定されるものではない。例えば互換性を満足させるための光学面はコリメーターレンズ上であっても良いし、全く別個の素子を追加しても良い。また、対物レンズに形成する場合でも、第一面10aではなく、第二面10bであってもよい。
さらには、表1の設計開口数も例示である。つまり本発明に係る対物レンズは、書き込み可能な第一の光ディスク20Aに必要な比較的高いNA(0.50以上)を該ディスク20Aに対する設計開口数とすることができる。同様に、本発明に係る対物レンズは、第二の光ディスク20Bに必要な高いNA(0.62以上)を該ディスク20Bに対する設計開口数とすることができる。
また、上記実施形態の対物レンズは、中間領域に入射した第一のレーザー光を拡散させるための回折構造を設けているが、これ以外の構成であってもよい。例えば、上述したような所定の波長選択性を有する光学膜を中間領域にコーティングすることによっても略同様の効果を得ることができる。
本発明の実施形態の光ディスク用対物レンズを備える光ピックアップ光学系を表す図である。 本発明の実施形態の光ディスク用対物レンズの光軸を含む面での断面形状の第一面近傍の拡大図である。 信号生成部の第一受光部に入射した光のスポットダイアグラムである。 実施例1の対物レンズを使用した場合と従来の対物レンズを使用した場合における、第一の光ディスクの傾き角とTE信号のノイズレベルとの関係を表す図である。 実施例2の対物レンズを使用した場合と従来の対物レンズを使用した場合における、第一の光ディスクの傾き角とTE信号のノイズレベルとの関係を表す図である。
符号の説明
10 対物レンズ
11 内側領域
12 外側領域
13 中間領域
20A 第一の光ディスク
20B 第二の光ディスク

Claims (22)

  1. 少なくとも二種類の波長の光束を用いて少なくとも二種類の光ディスクに対する情報の記録または再生が可能な光ディスク用光学系であって、
    光源部と、
    前記光源部から照射された異なる波長の光束をそれぞれ対応する光ディスクの記録面に結像させる対物レンズと、
    前記光ディスクに記録された情報の再生に使用する主ビームの戻り光を受光する主受光部と、主受光部近傍に配設された副受光部とを有する受光部と、
    前記光源部と前記光ディスクとの間に配設され、少なくとも二種類の前記光ディスクに対して記録または再生の互換性を満足させるための光学面を備えた光学素子と、を有し、
    前記光学素子は、比較的記録密度が低い第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための内側領域と、該内側領域の外側にあり、第一の光ディスクよりも記録密度が相対的に高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための外側領域と、前記外側領域のうち前記内側領域と該外側領域の境界近傍に位置する中間領域と、を有し、
    前記中間領域は、光ディスクからの反射光束に対して光路長差を与える複数の微小幅の輪帯から構成されており、
    前記複数の微小幅の輪帯は、輪帯間で符号の異なる光路長差を与える輪帯の繰り返しであり、
    前記中間領域は、前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した第一の波長の第一光束に対する透過率が前記内側領域の透過率よりも低く設定され
    前記光学系の基準軸に直交する平面に前記中間領域を射影した場合の該領域幅をW(mm)、前記第一の波長に対する前記対物レンズの焦点距離をf(mm)、前記第一の光ディスクの記録または再生時の対物レンズの使用倍率をM、前記内側領域の径をφ (mm)、前記内側領域に入射した光束の対物レンズの光源側の面での光束径をφ (mm)としたとき、以下の条件(1)、
    0.0035<{W・(φ /φ )}/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(1)
    を満たすことを特徴とする光ディスク用光学系。
  2. 前記中間領域における、前記第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した波長の光束に対する透過率は、前記内側領域および前記外側領域と略同様に設定され、
    前記第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生は、前記内側領域、前記中間領域、および前記外側領域を透過した全ての光束を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク用光学系。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光ディスク用光学系において、
    前記中間領域の前記第一光束に対する透過率は、前記内側領域の透過率の約半分以下に設定されることを特徴とする光ディスク用光学系。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記微小幅の輪帯間で与えられる光路長差の絶対値は、前記第一の光ディスクに対する記録または再生に適した第一の波長を持つ第一光束に対してはほぼ波長の(N+0.5)倍(但し、Nは自然数)、に設定されていることを特徴とする光ディスク用光学系。
  5. 請求項4に記載の光ディスク用光学系において、
    Nは5以下であることを特徴とする光ディスク用光学系。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記中間領域の微小幅の輪帯間で与えられる光路長差は、前記第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した波長を持つ光束に対してほぼ波長の整数倍(ただし、0を除く)であり、
    前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生は、前記内側領域、前記中間領域、および前記外側領域を透過した全ての光束を用いて行われることを特徴とする光ディスク用光学系。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記中間領域の微小幅の輪帯は、凹部よりも凸部の方が広く構成されることを特徴とする光ディスク用光学系。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記光学系の基準軸に直交する平面に前記微小幅の輪帯を射影した場合の各輪帯の幅が、0.005mm以上0.020mm以下であることを特徴とする光ディスク用光学系。
  9. 請求項1から請求項のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記光学素子は、前記光学面を備えた対物レンズであることを特徴とする光ディスク用光学系。
  10. 請求項1から請求項のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記中間領域は、前記内側領域に隣接していることを特徴とする光ディスク用光学系。
  11. 請求項1から請求項のいずれかに記載の光ディスク用光学系において、
    前記中間領域は、前記内側領域に隣接していないことを特徴とする光ディスク用光学系。
  12. 少なくとも二種類の波長の光束を用いて少なくとも二種類の光ディスクに対する情報の記録または再生が可能な光ディスク用光学系に用いられる対物レンズであって、
    少なくとも一面に、比較的記録密度が低い第一の光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための内側領域と、該内側領域の外側にあり、前記第一の光ディスク以外の、第一の光ディスクよりも記録密度が相対的に高い光ディスクに対する情報の記録または再生時に必要なNAを確保するための外側領域と、
    前記外側領域のうち、前記内側領域と該外側領域の境界近傍に位置する中間領域と、を有し、
    前記中間領域は、光ディスクからの反射光束に対して光路長差を与える複数の微小幅の輪帯から構成されており、
    前記複数の微小幅の輪帯は、輪帯間で符号の異なる光路長差を与える輪帯の繰り返しであり、
    前記中間領域における、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した第一の波長の第一光束に対する透過率を、前記内側領域の透過率よりも低く設定し、
    前記対物レンズの光軸に直交する平面に前記中間領域を射影した場合の幅をW(mm)、第一の波長に対する対物レンズの焦点距離をf(mm)、第一の光ディスクの記録または再生時の対物レンズの使用倍率をM、前記内側領域の径をφ (mm)、前記内側領域に入射した光束の対物レンズの光源側の面での光束径をφ (mm)としたとき、以下の条件(1)、
    0.0035<{W・(φ /φ )}/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(1)
    を満たすことを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  13. 前記中間領域における、前記第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した波長の光束に対する透過率は、前記内側領域および前記外側領域と略同様に設定されており、
    前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生は、前記内側領域、前記中間領域、および前記外側領域を透過した全ての光束を用いて行われることを特徴とする請求項12に記載の光ディスク用対物レンズ。
  14. 請求項12または請求項13に記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記中間領域の前記第一光束に対する透過率は、前記内側領域の透過率の約半分以下に設定されることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  15. 請求項12から請求項14のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記微小幅の輪帯間で与えられる光路長差の絶対値は、前記第一の光ディスクに対する記録または再生に適した第一の波長を持つ第一光束に対してはほぼ波長の(N+0.5)倍(但し、Nは自然数)、に設定されていることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  16. 請求項15に記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    Nは5以下であることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  17. 請求項12から請求項16のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記中間領域の微小幅の輪帯間で与えられる光路長差は、前記第一の光ディスクよりも記録密度の高い第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に適した波長を持つ光束に対してほぼ波長の整数倍(ただし、0を除く)であり、
    前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生は、前記内側領域、前記中間領域、および前記外側領域を透過した全ての光束を用いて行われることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  18. 請求項12から請求項17のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記中間領域の微小幅の輪帯は、凹部よりも凸部の方が広く構成されることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  19. 請求項12から請求項18のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記対物レンズの光軸に直交する平面に前記微小幅の輪帯を射影した場合の各輪帯の幅が、0.005mm以上、0.020mm以下であることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  20. 請求項12から請求項19のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記中間領域は、前記対物レンズの光源側の面に設けられており、
    前記対物レンズの光軸に直交する平面に前記中間領域を射影した場合の幅をW(mm)、第一の波長に対する対物レンズの焦点距離をf(mm)、第一の光ディスクの記録または再生時の対物レンズの使用倍率をMとすると、以下の条件(2)、
    0.0035<W/{(1−M)・f}<0.0350 ・・・(2)
    を満たすことを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  21. 請求項12から請求項20のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記中間領域は、前記内側領域に隣接していることを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
  22. 請求項12から請求項20のいずれかに記載の光ディスク用対物レンズにおいて、
    前記中間領域は、前記内側領域に隣接していないことを特徴とする光ディスク用対物レンズ。
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