JP4015899B2 - 非水電解質空気電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池に係り、特に酸素を正極活物質として利用する非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や電子メール端末などの携帯型情報機器の市場は急速に拡大しつつあり、これらの機器の小型軽量化が進むにつれて、電源にも小型かつ軽量であることが求められるようになってきた。現在、これらの携帯機器には高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池が多用されているが、さらに高容量が得られる二次電池が求められている。
【0003】
空気中の酸素を正極活物質に用いる空気電池は、正極活物質を電池に内蔵する必要がないため、高容量化が期待できる。負極活物質に金属リチウムを用い、かつ正極活物質に酸素を用いるリチウム二次電池として、以下に説明するような構成を有する空気リチウム二次電池が知られている。
【0004】
この空気リチウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に介在されるポリマー電解質膜と、前記正極上に積層される酸素透過膜とから構成された4層積層物を具備している。この4層積層物は、ラミネート製袋に封入されている。また、正極は、コバルトを含有するアセチレンブラックからなる触媒層と、ポリアクリルニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びLiPF6からなるポリマー電解質フィルムとをニッケル網もしくはアルミニウム網に圧着させたものからなる。一方、負極は、リチウム箔から形成されている。
【0005】
ここに開示される空気リチウム二次電池における触媒層は、コバルトフタロシアニンとアセチレンブラックを濃硫酸中で混練し、その後に水中に投下することにより製造していた。コバルトフタロシアニンは硫酸には可溶であるが水には不溶であるため、コバルトフタロシアニンの硫酸溶液を水中に投下すると直ちに再沈殿する。そのため、多くのコバルトフタロシアニンは、水中に投下した際に炭素表面に吸着することなく単独で結晶化し、その結果、酸素活性化の効率が低下し、大電流放電特性が低下するという問題点があった。
【0006】
また、炭素材料にコバルトフタロシアニンを担持させる方法として、コバルトフタロシアニンをキノリンに溶解し、炭素材料に含浸し、乾燥するという方法が知られている。しかし、有機溶媒を乾燥する過程でコバルトフタロシアニンの濃度が上昇し、炭素表面に吸着することなく単独で結晶化し、その結果、酸素活性化の効率が低下し、大電流放電特性が低下するという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大電流放電特性が向上された非水電解質空気電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解質空気電池は、容器と、前記容器内に収納され、活物質材料を含む正極と、前記容器内に収納される負極と、前記正極と前記負極の間に配置される非水電解質層と、前記容器に形成され、前記正極に酸素を取り込む空気孔とを具備する非水電解質空気電池であって、
前記活物質材料は、20重量%以上がアモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体及び20重量%以上がアモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体のうち少なくとも一方の誘導体を3〜50重量%含有し、前記フタロシアニン誘導体は下記化4−1に示す構造式を有する第1の化合物を含み、前記ナフトシアニン誘導体は下記化4−2に示す構造式を有する第2の化合物を含み、
前記活物質材料中に含まれるアモルファス構造を有する誘導体の総量は、重量%以上であることを特徴とするものである。
【化4−1】
Figure 0004015899
【化4−2】
Figure 0004015899
但し、前記化4−1及び前記化4−2において、Mは、CoまたはNiであり、Rは、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基及び水素原子よりなる群から選択される置換基である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る非水電解質空気電池の一例を説明する。
【0010】
この非水電解質空気電池は、容器と、前記容器内に収納され、活物質材料を含む正極と、前記容器内に収納される負極と、前記正極と前記負極の間に配置される非水電解質層と、前記容器に形成され、前記正極に酸素を取り込む空気孔とを具備するものである。
【0011】
前記活物質材料は、20重量%以上がアモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体及び20重量%以上がアモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体のうち少なくとも一方の誘導体を3〜50重量%含有し、前記活物質材料中に含まれるアモルファス構造を有する誘導体の総量は、3重量%以上である。
【0012】
まず、負極活物質として例えば金属リチウムを使用した場合の電池反応について放電反応を化5に、充電反応を化6に示す。
【0013】
放電反応
【化5】
Figure 0004015899
【0014】
充電反応
【化6】
Figure 0004015899
【0015】
また、負極にリチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料を用いた場合、負極での反応について放電反応を化7に、充電反応を化8に示す。
【0016】
放電反応
【化7】
Figure 0004015899
【0017】
充電反応
【化8】
Figure 0004015899
【0018】
次に、正極、負極、非水電解質層、容器について詳しく説明する。
【0019】
1)正極
この正極は、正極集電体と、この正極集電体に担持された正極層とを含む。前記正極層には、炭素材料と、前記炭素材料に担持される酸素活性化触媒とを含む活物質材料が含まれている。
【0020】
この正極は、例えば、以下の(A)、(B)または(C)に説明する方法で作製される。
【0021】
(A)炭素材料と触媒と結着剤とを乾式混合し、この混合物をフィルム状に圧延して製膜した後、乾燥することにより正極層を得る。この正極層を正極集電体に圧着することにより正極を得る。
【0022】
(B)炭素材料と触媒と結着剤とを溶媒中で混合し、得られたスラリーを集電体に塗布し、乾燥した後、圧延することにより正極を得る。
【0023】
(C)触媒を用いずに(A)または(B)の手法により炭素材料と結着剤からなるシートを得、これに触媒を担持することにより正極を得る。
【0024】
前記炭素材料としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、ファーネスブラック、活性炭、活性炭素繊維、木炭類等を挙げることができる。
【0025】
前記触媒は、20重量%以上がアモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体及び20重量%以上がアモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体のうち少なくとも一方の誘導体である。
【0026】
フタロシアニン誘導体の構造式を下記化9に示す。
【0027】
【化9】
Figure 0004015899
【0028】
M(中心金属)は、2価の金属原子、金属酸化物または金属塩化物であり、中でもFe、Co、Ni、CrCl、Mn、VOが好ましい。Rは、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、アルキルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及び水素原子よりなる群から選択される置換基である。置換基Rは、(a)2、3、6、7、10、11、14、15に結合しているか、あるいは、(b)2または3、6または7、10または11、14または15に結合しているか、あるいは、(c)1、4、5、8、9、12、13、16に結合しているか、あるいは、(d)1または4、5または8、9または12、13または16に結合していることが望ましい。
【0029】
フタロシアニン誘導体には、中心金属MがFe、Co、Ni、CrCl、Mn及びVOよりなる群から選ばれる第1の化合物が含まれていることが望ましい。フタロシアニン誘導体中の第1の化合物の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。また、フタロシアニン誘導体としては、前述した第1の化合物と、中心金属Mが2H、2Li、2Na、2K、Mg、AlCl、SiO、Cd、Cu、Zn、Mo及びPbよりなる群から選ばれる第3の化合物との混合物を用いることができる。
【0030】
ナフトシアニン誘導体の構造式を下記化10に示す。
【0031】
【化10】
Figure 0004015899
【0032】
M(中心金属)は、2価の金属原子、金属酸化物または金属塩化物であり、中でもFe、Co、Ni、CrCl、Mn、VOが好ましい。Rは、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基、アルキルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及び水素原子よりなる群から選択される置換基である。置換基Rは、(I)1、6、7、12、13、18、19、24に結合しているか、あるいは、(II)1または6、7または12、13または18、19または24に結合しているか、あるいは、(III)2、5、8、11、14、17、20、23に結合しているか、あるいは(IV)2または5、8または11、14または17、20または23に結合しているか、あるいは(V)3、4、9、10、15、16、21、22に結合しているか、あるいは(VI)3または4、9または10、15または16、21または22に結合していることが好ましい。
【0033】
ナフトシアニン誘導体には、中心金属MがFe、Co、Ni、CrCl、Mn及びVOよりなる群から選ばれる第2の化合物が含まれていることが望ましい。ナフトシアニン誘導体中の第2の化合物の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。また、ナフトシアニン誘導体としては、前述した第2の化合物と、中心金属Mが2H、2Li、2Na、2K、Mg、AlCl、SiO、Cd、Cu、Zn、Mo及びPbよりなる群から選ばれる第4の化合物との混合物を用いることができる。
【0034】
活物質材料中の触媒含有量は、3重量%以上、50重量%以下の範囲内であることが好ましい。これは以下に説明する理由によるものである。活物質材料中の触媒含有量を3重量%未満にすると、触媒の効果が充分に現れないため、優れた大電流放電特性を得られない。一方、活物質材料中の触媒含有量が50重量%を超えると、正極の導電性が低下して充分な放電特性が得られない。活物質材料中の触媒含有量のより好ましい範囲は、5〜25重量%である。
【0035】
フタロシアニン誘導体とナフトシアニン誘導体には、それぞれ、結晶状態のものとアモルファス状態のものとが存在する。ここで、結晶状態のフタロシアニン誘導体及びナフトシアニン誘導体は、分子の配列に規則性が存在するものであり、X線回折測定において結晶性のピークを示す。一方、アモルファス状態のフタロシアニン誘導体及びナフトシアニン誘導体は、分子の配列に規則性が存在せず、X線回折測定において結晶性のピークを示さない。結晶状態のフタロシアニン誘導体及びナフトシアニン誘導体は、アモルファス状態のものと比較して活性が低いため、各誘導体中のアモルファス構造の比率を20重量%未満にすると、優れた大電流放電特性を得られなくなる。フタロシアニン誘導体とナフトシアニン誘導体それぞれのアモルファス構造の比率のより好ましい範囲は、50重量%以上である。
【0036】
活物質材料には、アモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体か、アモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体か、もしくはアモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体とアモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体の双方が含まれている。活物質材料中のアモルファス構造を有する誘導体の総量を3重量%未満にすると、触媒として十分な機能を発揮できないため、優れた大電流放電特性を得られなくなる。活物質材料中のアモルファス構造を有する誘導体の総量のより好ましい範囲は、5重量%以上である。
【0037】
活物質材料中に、第3の化合物と第4の化合物のうちの少なくとも一方の化合物が0.1重量%以上、10重量%以下の範囲で含有されていることが望ましい。第3の化合物と第4の化合物は、酸素活性化能を持たないが、酸素活性化能を有する金属フタロシアニンあるいはナフトシアニン同士が集積して結晶化するのを阻害するため、結果的に正極の酸素活性化能を向上させることができる。前記化合物の配合割合を0.1重量%未満にすると、大電流放電特性を十分に改善することが困難になる恐れがある。一方、前記化合物の配合割合が10重量%を超えると、触媒の炭素材料への吸着が阻害される恐れがある。第3の化合物と第4の化合物のうちの少なくとも一方の化合物の含有量のさらに好ましい範囲は、0.5〜5重量%である。
【0038】
本発明で用いる活物質材料は、例えば、以下に説明する方法で作製される。すなわち、金属フタロシアニン類または金属ナフトシアニン類を微量に溶解する溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))を用い、この溶媒に金属フタロシアニン類または金属ナフトシアニン類を溶解させ、得られた溶液に炭素材料を浸漬して金属フタロシアニン類や金属ナフトシアニン類を炭素材料に吸着させた後、炭素材料を濾別し、この炭素材料を不活性雰囲気下あるいは減圧下で加熱乾燥させることにより活物質材料が得られる。
【0039】
溶媒に金属フタロシアニン類または金属ナフトシアニン類を溶解させ、得られた溶液に炭素材料を浸漬させるのは、不活性雰囲気において行うことが望ましい。この工程を空気中にて行うと、金属フタロシアニン類または金属ナフトシアニン類が溶媒と酸素との反応を活性化する触媒として機能し、金属フタロシアニン類や金属ナフトシアニン類の分解反応を生じる恐れがあるからである。
【0040】
金属フタロシアニン類や金属ナフトシアニン類の溶媒に対する溶解度(20℃)は、1x10−7モル/L以上、1x10−2モル/L以下の範囲内にすることが望ましい。溶解度を1x10−7モル/L未満にすると、溶媒中でのフタロシアニン濃度やナフトシアニン濃度が低すぎるため、炭素材料に触媒を担持させるのに長時間を有し、実用的ではない。一方、溶解度が1x10−2モル/Lを超えると、溶媒に溶解した金属フタロシアニンや金属ナフトシアニンが炭素材料へ吸着しにくくなり、その後の工程で溶媒を蒸発乾固させるか、あるいは金属フタロシアニンと金属ナフトシアニンが難溶な溶媒を添加させる必要が生じるため、結晶状態の金属フタロシアニンや金属ナフトシアニンが多量に析出し、触媒の酸素活性化効率が低下する恐れがある。
【0041】
加熱乾燥時の温度は、40℃〜300℃の範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。乾燥温度を40℃未満にすると、炭素材料中の溶媒の残存量が多くなるため、触媒の酸素活性化効率が低下する恐れがある。また、乾燥時間の長時間化により生産性の低下を招く可能性がある。一方、乾燥温度が300℃を超えると、金属フタロシアニンや金属ナフトシアニンの昇華反応を生じる恐れがある。乾燥温度のさらに好ましい範囲は、80〜200℃である。
【0042】
結着剤は、正極層の形状を保ち、かつ正極層を集電体に接着させる機能を有する。かかる結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。
【0043】
正極集電体としては、酸素の拡散を速やかに行わせるために多孔質の導電性基板(メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等)を用いることが好ましい。前記導電性基板の材質としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタンなどを挙げることができる。なお、前記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金が被覆されていても良い。
【0044】
正極における炭素材料および結着剤の配合割合は、炭素材料70〜98重量%、結着剤2〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0045】
2)負極
この負極は、負極集電体と、前記負極集電体に担持される負極活物質含有層とを含む。
【0046】
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を用いることができる。
【0047】
リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、従来よりリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料を使用することができる。中でも、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、リチウム金属、リチウム合金、リチウム複合酸化物、またはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料質よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料を、負極活物質として使用することが好ましい。
【0048】
リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料としては、例えば黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体などに500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料を挙げることができる。
【0049】
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。
【0050】
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。
【0051】
前記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物などを挙げることができる。
【0052】
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。
【0053】
負極集電体としては、例えば、多孔質構造の導電性基板、無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。多孔質構造の導電性基板としては、メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等を用いたり、あるいは金属箔に負極活物質含有層を担持させた後、前記金属箔に孔を開けたものを多孔質構造の導電性基板として用いることができる。
【0054】
炭素材料のような負極活物質を含む負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製することができる。
【0055】
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンープロピレンーブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
【0056】
前記炭素材料および前記結着剤の配合割合は、炭素材料80〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0057】
また、負極活物質として、リチウムイオンやリチウム合金などの金属材料を使用すれば、これらの金属材料は単独でもシート形状に加工することが可能なため、結着剤を使用せずに負極活物質層を形成することができる。また、これらの金属材料で形成された負極活物質層は直接負極端子に接続することもできる。
【0058】
なお、本発明の非水電解液電池を一次電池として使用する際には、負極活物質としては、金属イオンの放出能のみ有していれば良い。
【0059】
3)非水電解質層
非水電解質層としては、例えば、非水電解液が含浸されているセパレータ、あるいは高分子材料と非水電解液からなるゲル状電解質層などを使用することができる。
【0060】
非水電解液に用いる溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、イソプロピオメチルカーボネートなどの炭酸エステル類や、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコージジエチルエーテルなどのエーテル類、および前記化合物に置換基を導入した各種溶媒からなる群より選択される溶媒を使用することが好ましい。
【0061】
これらの溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。前記混合溶媒の好ましい組成としては、ECとPC、ECとPCとVC、ECとVC、ECとDEC、ECとDECとVC、ECとPCとDEC、ECとPCとDECとVC、ECとγ−BL、VCとγ−BL、ECとγ−BLとVC、ECとγ−BLとDEC、ECとγ−BLとDECとVC、ECとPCとγ−BL、ECとPCとγ−BLとVC、ECとPCとγ−BLとDEC、ECとPCとγ−BLとDECとVCを挙げることができる。各混合溶媒では、ECの体積比率を10〜80%の範囲内にすることが好ましい。より好ましいECの体積比率は、25〜65%の範囲である。
【0062】
リチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム[LiN(CF3SO22]などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。リチウム塩の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望ましい。
【0063】
前記混合溶媒にリチウム塩を溶解することにより非水電解液を調整することができる。
【0064】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニリデンフルオライド(PVdF)を含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。
【0065】
セパレータの多孔度は、30〜90%の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が90%を超えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜60%である。
【0066】
ゲル状電解質層に用いる高分子材料としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PVdF、ポリメタクリル酸類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリアクリル酸エステル類等を挙げることができる。非水電解液としては、前述した非水電解液と同様なものを挙げることができる。ゲル状電解質層は、高分子材料を非水電解液に溶解することにより得ることができる。
【0067】
4)容器
この容器は、例えば、金属板、樹脂層を有するシート等から形成することができる。
【0068】
前記金属板は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムから形成することができる。
【0069】
前記シートとしては、金属層と、前記金属層を被覆する樹脂層とから構成されることが好ましい。前記金属層は、アルミニウム箔から形成することが好ましい。一方、前記樹脂層は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂から形成することができる。前記樹脂層は、単層もしくは多層構造にすることができる。
【0070】
本発明に係る非水電解質電池の一例を図1に示す。
【0071】
図1で、例えばラミネートフィルムなどの収納ケース1内には、電極群2が収納されている。
【0072】
電極群2は、例えば多孔性導電性基板からなる正極集電体3に正極層4が担持された構造を有する正極5と、例えば多孔性導電性基板からなる負極集電体6に負極活物質層7が担持された構造を有する負極8と、正極5及び負極8の間に介在する非水電解質層9とから構成される。なお、非水電解液は、正極5と非水電解質層9と負極8に保持されている。
【0073】
正極集電体3および負極集電体6には、それぞれ正極端子11および負極端子12の一端が接続されており、正極端子11および負極端子12の他端は、それぞれ収納ケース1外部へ延出されている。
【0074】
また、正極に形成される収納ケース1面には、空気孔13が形成されており、空気孔13から供給された空気(空気中に含有される酸素)は空気拡散層10によって拡散し、正極層4に供給される。空気拡散層10としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはPTFEなどのフッ素樹脂を含む多孔質フィルムや、ポリプロピレンやPTFEなどの合成樹脂製不織布、ガラス繊維不織布等を挙げることができる。
【0075】
さらに、収納ケース1の外表面には、空気孔13を閉塞するシールテープ14が着脱可能に配置されており、電池使用時にはこのシールテープ14を外すことで正極層4に空気を供給できるようになっている。
【0076】
以上説明した本発明に係る非水電解質空気電池に用いられる活物質材料は、20重量%以上がアモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体及び20重量%以上がアモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体のうち少なくとも一方の誘導体を3〜50重量%含有し、前記活物質材料中に含まれるアモルファス構造を有する誘導体の総量は、3重量%以上である。このような活物質材料は、触媒の酸素活性化機能を高めることができるため、非水電解質電池の大電流放電特性を向上することができる。
【0077】
以上、本発明に係る非水電解質空気電池の一例として、空気リチウム二次電池を挙げて説明したが、負極活物質として、ナトリウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、マグネシウム、セシウムなどからなる金属イオンを吸蔵・放出できる材料を使用した他の空気金属二次電池として使用することもできる。
【0078】
なお、他の空気金属二次電池を作製する際には、前述の電解質としてナトリウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、マグネシウム、セシウムなどの金属塩を使用すればよい。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0080】
(実施例1)
<活物質材料の作製>
不活性雰囲気下で脱水したテトラヒドロフラン(THF)中に炭素材料としてのケッチェンブラック(EC600JDTM )80重量%と、コバルトフタロシアニン20重量%とを投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。濃紺色であった上澄みの色は、12時間後には無色透明となった。その後、炭素材料を盧別し、不活性雰囲気下において300℃で加熱乾燥することによりコバルトフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料を走査電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線回折(EDX)によりにより観察したが、コバルトフタロシアニンの結晶は観察されなかった。また、X線回折(XRD)では明確なコバルトフタロシアニンのピークは観察されず、コバルトフタロシアニンがアモルファス状態であることを確認した。XRDのパターンを図2の(3)に示す。また、比較のために図2の(2)にはフタロシアニンを担持していないケッチェンブラックのXRDパターンを参照例として示した。得られた活物質材料のコバルト含有量を誘導結合プラズマ(ICP)により定量し、コバルトフタロシアニンが活物質材料中に20重量%含有されていることを確認した。
【0081】
得られた活物質材料90重量%と、ポリテトラフルオロエチレン10重量%を乾式混合し、圧延することにより縦横20mm、厚さ200μmのフィルム状の正極層を得た。この正極層を正極集電体であるチタン製メッシュに圧着し、正極を作製した。さらに、正極における正極集電体が露出した部分に正極端子の一端を接続した。
【0082】
次に、負極端子の一端が接続され、金属リチウム箔をニッケル製メッシュに圧着した負極、グラスフィルターからなるセパレータ、ポリプロピレン製不織布からなる空気拡散層を準備した。
【0083】
負極、セパレータ、正極および空気拡散層を順次積層し、この積層物を収納ケース用のラミネートフィルム内に収納した。なお、このラミネートフィルムには空気孔が設けられており、この空気孔が空気拡散層上に配置されるように収納した。さらに、この空気孔にシールテープを貼付して閉塞した。また、正極端子および負極端子の他端はラミネートフィルムの開口部から延出させた。
【0084】
エチレンカーボネート50体積%とプロピレンカーボネード50体積%を混合した非水溶媒に、1.0モル/lの割合で過塩素酸リチウムからなる電解質を溶解させることにより非水電解液を調製した。
【0085】
得られた非水電解液を収納ケース内の積層物に注液した後、袋状ラミネートフィルムの開口部を熱融着処理して封口することによって、非水電解質空気電池を得た。
【0086】
この非水電解質空気電池からシールテープを除去し、放電電流0.01mA/cm2〜1mA/cm2まで電流を変化させた際の電圧変化を測定し、その結果を図4に示す。
【0087】
(実施例2)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック80重量%とコバルトフタロシアニン20重量%を投入し、マグネチックスターラーで5分間攪拌した。上澄みの色が濃紺色であるTHF溶液からTHFを減圧蒸留去し、残渣を不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりコバルトフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料のコバルト含有量をICPにより定量し、コバルトフタロシアニンが活物質材料中に20重量%含有されていることを確認した。また、得られた活物質材料をSEMおよびEDXによりに観察すると、コバルトフタロシアニンの結晶が観察された。XRDではコバルトフタロシアニンのピークが観察され、シリコン粉末を内標準物質として炭素材料中の結晶コバルトフタロシアニンの量を定量したところ、14重量%が結晶状態であった。つまり、得られた活物質材料中にはアモルファス状態のコバルトフタロシアニン6重量%と結晶状態のコバルトフタロシアニン14重量%が含有されていた。
【0088】
上記の手法により得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0089】
(実施例3)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック50重量%とコバルトフタロシアニン50重量%を投入し、マグネチックスターラーで24時間攪拌した。上澄みの色が濃紺色であるTHF溶液からTHFを減圧蒸留去し、残渣を不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりコバルトフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料のコバルト含有量をICPにより定量し、コバルトフタロシアニンが活物質材料中に50重量%含有されていることを確認した。また、得られた活物質材料をSEMおよびEDXによりに観察すると、コバルトフタロシアニンの結晶が観察された。XRDでもコバルトフタロシアニンのピークが観察され、シリコン粉末を内標準物質として炭素材料中の結晶コバルトフタロシアニンの量を定量したところ、10重量%が結晶状態であった。つまり、得られた活物質材料中にはアモルファス状態のコバルトフタロシアニン40重量%と結晶状態のコバルトフタロシアニン10重量%が含有されていた。
【0090】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0091】
(実施例4)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック79.5重量%とコバルトフタロシアニン20.00重量%および銅フタロシアニン0.5重量%を投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。上澄みの色は、12時間後には無色透明となった。その後、炭素材料を盧別し、不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料をSEM、EDXおよびXRDにより観察したが、フタロシアニンの結晶は観察されず、アモルファス状態であることを確認した。得られた活物質材料をICPにより分析し、活物質材料中にコバルトフタロシアニンと銅フタロシアニンが各々20重量%および0.5重量%含有されていることを確認した。
【0092】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0093】
(実施例5)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック79.5重量%とコバルトフタロシアニン20.00重量%および亜鉛フタロシアニン0.5重量%を投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。上澄みの色は、12時間後には無色透明となった。その後、炭素材料を盧別し、不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料をSEM、EDXおよびXRDにより観察したが、フタロシアニンの結晶は観察されず、アモルファス状態であることを確認した。得られた活物質材料をICPにより分析し、活物質材料中にコバルトフタロシアニンと亜鉛フタロシアニンが各々20重量%および0.5重量%含有されていることを確認した。
【0094】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0095】
(実施例6)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック(EC600JDTM )80重量%とコバルトナフトシアニン20重量%を投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。上澄みの色は12時間後には無色透明となった。その後に炭素材料を盧別し、不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりコバルトナフトシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料をSEM、EDXおよびXRDによりにより観察したが、コバルトナフトシアニンの結晶は観察されず、コバルトナフトシアニンがアモルファス状態であることを確認した。得られた活物質材料のコバルト含有量をICPにより定量し、コバルトナフトシアニンが活物質材料中に20重量%含有されていることを確認した。
【0096】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0097】
(実施例7)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック(EC600JDTM )80重量%とニッケルフタロシアニン20重量%を投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。上澄みの色は12時間後には無色透明となった。その後、炭素材料を盧別し、不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりニッケルフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料をSEM、EDXおよびXRDによりにより観察したが、ニッケルフタロシアニンの結晶は観察されず、ニッケルフタロシアニンがアモルファス状態であることを確認した。得られた活物質材料のニッケル含有量をICPにより定量し、ニッケルフタロシアニンが活物質材料中に20重量%含有されていることを確認した。
【0098】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0099】
(実施例8)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック(EC600JDTM )80重量%とコバルト2,9,16,23−テトラtertブチル−フタロシアニン(前述した化9中における2,6,10,13の炭素にtertブチル基が結合した化合物である。以後、コバルトtブチルフタロシアニンと称す。また、20重量%を投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。上澄みの色は12時間後には無色透明となった。その後炭素材料を盧別し、不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりコバルトtブチルフタロシアニンを担持した炭素材料を活物質材料として得た。得られた活物質材料をSEM、EDXおよびXRDによりにより観察したが、コバルトtブチルフタロシアニンの結晶は観察されず、コバルトtブチルフタロシアニンがアモルファス状態であることを確認した。得られた活物質材料のコバルト含有量をICPにより定量し、コバルトtブチルフタロシアニンが活物質材料中に20重量%含有されていることを確認した。
【0100】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0101】
(実施例9)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中に活性炭60重量%、黒鉛20重量%、コバルトフタロシアニン20重量%を投入し、マグネチックスターラーで12時間攪拌した。上澄みの色は、12時間後には無色透明となった。その後炭素材料を盧別し、300℃で加熱乾燥することによりコバルトフタロシアニンを炭素質材料に担持させ、活物質材料を得た。得られた活物質材料をSEM、EDXおよびXRDにより観察したが、コバルトフタロシアニンの結晶は観察されず、アモルファス状態であることを確認した。得られた活物質材料をICPにより分析し、活物質材料中にコバルトフタロシアニンが20重量%含有されていることを確認した。
【0102】
このようにして得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0103】
(比較例1)
ケッチェンブラック(EC600JDTM )80重量%とコバルトフタロシアニン20重量%を濃硫酸中で混練し、これを水中に投入、固形物をろ過した。これを不活性ガス雰囲気下800℃で6時間加熱することにより、コバルトフタロシアニンを炭素材料に担持させた。得られた活物質材料をSEMおよびEDXにより観察すると、結晶状態のコバルトフタロシアニンが観察された。また、ICPにより活物質材料中にコバルトフタロシアニンが14重量%含有されていることを確認した。また、XRDではコバルトフタロシアニンのピークが観察され、シリコン粉末を内標準物質として活物質材料中の結晶コバルトフタロシアニンの量を定量したところ、12重量%含有されていることを確認した。つまり、得られた活物質材料中にはアモルファス状態のコバルトフタロシアニン2重量%と結晶状態のコバルトフタロシアニン12重量%が含有されていた。XRDのパターンを図2の(1)に示す。
【0104】
前記の手法で得られたコバルトフタロシアニン担持ケッチェンブラックを用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質電池を作製した。この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0105】
(比較例2)
不活性雰囲気下で脱水したTHF中にケッチェンブラック30重量%とコバルトフタロシアニン70重量%を投入し、マグネチックスターラーで2時間攪拌した。THFを減圧蒸留去し、残渣を不活性雰囲気下300℃で加熱乾燥することによりコバルトフタロシアニンを担持した炭素材料を得た。得られた活物質材料のコバルト含有量をICPにより定量し、コバルトフタロシアニンが活物質材料中に70重量%含有されていることを確認した。また、得られた活物質材料をSEMおよびEDXにより観察すると、コバルトフタロシアニンの結晶が観察された。XRDでシリコン粉末を内標準物質として活物質材料中の結晶コバルトフタロシアニンの量を定量したところ、52重量%が結晶状態であった。つまり、得られた活物質材料中にはアモルファス状態のコバルトフタロシアニン18重量%と結晶状態のコバルトフタロシアニン52重量%が含有されていた。
【0106】
上記の手法により得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質空気電池を作製した。この非水電解質空気電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図4に示した。
【0107】
(比較例3)
活性炭60重量%、黒鉛20重量%、コバルトフタロシアニン20重量%を濃硫酸中で混練し、これを水中に投入、固形物をろ過した。これを不活性ガス雰囲気下800℃で6時間加熱することにより、コバルトフタロシアニンを担持した炭素材料を得た。得られた活物質材料のコバルト含有量をICPにより定量し、コバルトフタロシアニンが活物質材料中に15重量%含有されていることを確認した。また、得られた活物質材料をSEMおよびEDXにより観察すると、コバルトフタロシアニンの結晶が観察された。XRDでシリコン粉末を内標準物質として活物質材料中の結晶コバルトフタロシアニンの量を定量したところ、12重量%が結晶状態であった。つまり、得られた活物質材料中にはアモルファス状態のコバルトフタロシアニン3重量%と結晶状態のコバルトフタロシアニン12重量%が含有されていた。
【0108】
前述の手法で得られた活物質材料を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により非水電解質電池を作製した。この非水電解質二次電池に対して実施例1と同様にして電流電圧特性を測定し、その結果を図3に示した。
【0109】
実施例1〜9及び比較例1〜3の活物質材料について、触媒の種類、中心金属Mの種類、触媒重量を100重量%とした際のアモルファス構造を有する化合物の比率、活物質材料を100重量%とした際のアモルファス構造を有する化合物の比率を下記表1に示す。
【0110】
【表1】
Figure 0004015899
【0111】
図3および表1から明らかなように、実施例1〜9の電池は、比較例1〜3の電池に比較して、放電レートを高くした際の電圧降下が小さいことが理解できる。中でも、銅フタロシアニンもしくは亜鉛フタロシアニンとコバルトフタロシアニンとを用いる実施例4,5の電池が最も大電流放電特性に優れていた。また、実施例1〜3の比較によって、アモルファス状態の誘導体の占める比率が高い方が、より大電流放電特性に優れることが理解できる。一方、実施例1,6〜8の比較によって、触媒の種類としては、実施例1で用いたコバルトフタロシアニンが最も望ましいことがわかる。
【0112】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、大電流放電特性が向上された非水電解質空気電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質空気電池の一例を示す断面図。
【図2】実施例1の非水電解質空気電池に用いられる活物質材料、比較例1の非水電解質空気電池に用いられる活物質材料および触媒無担持の炭素質材料それぞれについてのX線回折パターンを示す模式図。
【図3】実施例1〜9及び比較例1〜3の非水電解質空気電池における放電電流を変化させた際の放電電圧の変化を示す特性図。
【符号の説明】
1…収納ケース、
2…電極群、
3…正極集電体、
4…正極層、
5…正極、
6…負極集電体、
7…負極層、
8…負極、
9…非水電解質層、
10…空気拡散層、
11…正極端子、
12…負極端子、
13…空気孔、
14…シールテープ。

Claims (2)

  1. 容器と、前記容器内に収納され、活物質材料を含む正極と、前記容器内に収納される負極と、前記正極と前記負極の間に配置される非水電解質層と、前記容器に形成され、前記正極に酸素を取り込む空気孔とを具備する非水電解質空気電池であって、
    前記活物質材料は、20重量%以上がアモルファス構造を有するフタロシアニン誘導体及び20重量%以上がアモルファス構造を有するナフトシアニン誘導体のうち少なくとも一方の誘導体を3〜50重量%含有し、前記フタロシアニン誘導体は下記化1に示す構造式を有する第1の化合物を含み、前記ナフトシアニン誘導体は下記化2に示す構造式を有する第2の化合物を含み、
    前記活物質材料中に含まれるアモルファス構造を有する誘導体の総量は、重量%以上であることを特徴とする非水電解質空気電池。
    Figure 0004015899
    Figure 0004015899
    但し、前記化1及び前記化2において、Mは、CoまたはNiであり、Rは、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基及び水素原子よりなる群から選択される置換基である。
  2. 前記フタロシアニン誘導体は、下記化に示す構造式を有する第の化合物をさらに含み、前記ナフトシアニン誘導体は、下記化に示す構造式を有する第の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解質空気電池。
    Figure 0004015899
    Figure 0004015899
    但し、前記化及び前記化において、Mは、CuまたはZnであり、Rは、互いに同じでも異なっていても良く、アルキル基及び水素原子よりなる群から選択される置換基である。
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