JP4015523B2 - 電子写真方式用現像剤および感熱接着性画像の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱接着剤を含む電子写真方式用トナー、現像剤、画像およびその様な画像が形成されたシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一つの原稿を多量に複製する方法としては、原稿を高速、多量および安価に複製できる印刷が一般的であった。しかしながら、近年、パーソナルユースを目的とする複製の需要が増加し、ある程度の部数の複製は、印刷機に代わり無版印刷機やコピー機などの電子写真装置を用いて行われつつある。電子写真方式は、印刷機と異なり版などを必要としないため、少量および多品種の複製に好適であり、印刷と比べ要求即応(オンデマンド、On Demand)な方式であると考えられる。
【0003】
印刷機において、文字および図などの情報を伝達するための画像は、インキを紙などの支持体に定着して形成される。近年、印刷で形成される画像は多種に渡り、画像に要求される品位も高度化の一途を辿っている。この様な動向に応じて、各種の機能を有する高性能のインキが多数開発され、実用に供されている。
【0004】
例えば、感熱性の接着剤層は感熱接着剤を含有するインキを用いて印刷により形成されており、例えば、特許文献1には、感熱性接着剤層を印刷により形成することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平09−226276号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な接着剤層は、インキを用いて、オフセット印刷、活版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などで作製されるため、大量生産には適するが、短い納期で少量多品種を生産するオンデマンド生産には不適当な場合があった。
【0007】
このため、少量多品種のシート等を、印刷で作製すると、納期が長期となったり、費用が高くなる場合があった。
【0008】
この様な状況に鑑み、本発明においては、印刷に代わり電子写真方式を使用して十分な感熱接着性を有する画像をオンデマンドに作製できる現像剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、トナーと感熱接着剤とを含む電子写真方式用現像剤が提供される。
【0011】
また、上記の様な電子写真方式用現像剤を用いて電子写真方式により形成される感熱接着性画像を具備するシートが提供される。
【0012】
以上の様な現像剤を用いれは、十分な感熱接着性を有する画像を電子写真方式によりオンデマンドに形成できる。この結果、感熱接着性を有する画像が形成された少量多品種のシート等を、電子写真方式により簡単にオンデマンド形成できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】
電子写真装置においては、文字および図などの情報を伝達するための画像は、現像剤が紙などの支持体に定着されて形成される。現像剤には、トナーとトナーに電荷を付与する別粒子(キャリア)とを含む二成分現像剤と、電荷制御能を有するトナー単独の一成分現像剤とに大別される。これらの現像剤において、トナーは帯電機能を有する着色粒子であり、結着樹脂、色材、電荷制御剤、離型剤、表面処理剤、磁性剤などを用いて作製される。これらのトナー成分の種類および配合量などは注意深く至適化され、帯電性、電気抵抗性、磁気性および流動性などの現像特性、定着性および着色性などの定着特性、保存性、取扱性などのトナーに要求される性能の良好なバランスが実現される。
【0015】
(感熱接着剤)
感熱接着剤を含む現像剤は、現像剤の定着時には接着性を示さないか接着力が弱く、接着剤層の形成後の加熱により接着剤層が接着される。
【0016】
具体的には、現像剤の定着時に現像剤が定着熱により接着されることを抑制するため、定着温度を感熱接着剤が接着する温度より低くする。また、感熱接着剤としては、接着温度が定着温度より高いものを使用する。具体的には、現像剤の定着温度は結着樹脂の種類により大きく左右されるため、感熱接着剤として、例えば、軟化温度が結着樹脂の軟化温度より高いものを使用する。この場合、現像剤の定着温度を、感熱接着剤の接着温度より低くできる。更に、画像を定着時には画像が接着することなく、画像を形成後に接着層剤を加熱することで接着剤層が十分に接着される感熱接着剤を選択する。
【0017】
なお、感熱接着剤および結着樹脂の軟化温度は、例えば、JIS K 6863に準拠して測定できる。
【0018】
以上の様な観点から、感熱接着剤としては、エチレン−メチルメタクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ポリメタクリル酸ブチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、酢酸ビニル−アリル酸2−エチルヘキシル共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリウレア樹脂などの熱接着性樹脂;エチレン−エチルアクリル酸共重合体、ポリエチレン、アタクティクポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂などのホットメルト;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、低分子量ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、変性ワックス、αオレフィンワックス等のワックス類などを使用する。
【0019】
これらの感熱接着剤には、ポリテルペン、ポリテルペン誘導体、テンペル油重合体、テンペルフェノール重合体、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトール変性ロジン、その他のロジン誘導体、油溶性フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系炭化水素類、石油樹脂、インデン樹脂、エチルセルロース、αメチルスチレン−ビニルトルエン共重合体などの粘着付与剤;鉱油、ラノリン、液状ポリブテン、液状アクリル樹脂、フタル酸ジヒドロアビエチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジメチル、その他のフタル酸エステル類、リン酸エステル類、トリ安息香酸エチレングリコール、テトラ安息香酸トリメチロールエタン、その他の安息香酸エステル類、サリチル酸エステル類、酢酸ベンジル、脂肪酸エステル類、脂肪族ジカルボン酸エステル類、クエン酸エステル類、アルキルナフタレン類、アルキルジフェニルエーテル類、アミド化合物類、トリメリット酸エステル類、アリールアルカン類、クエン酸トリジクロルヘキシル、ステアリン酸メトキシエチル−尿素錯体などの可塑剤;亜鉛華、チタニア、シリカ、アルミナ、炭カル、クレー、顔料などの充填剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属ジチオカーバメート類、金属キレート塁などの老化抑制剤などを必要に応じて添加する。
【0020】
感熱接着剤のトナーに占める割合としては、十分な接着力を実現する等の理由から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、一方、トナーの特性が低下することを抑制するために、60質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0021】
なお、必要に応じて、2種以上の感熱接着剤を併用する場合もある。
【0022】
一成分現像剤を作製する場合、感熱接着剤は、普通、トナーに配合するが、感熱接着剤を含有しないトナーと感熱接着剤とを混合して現像剤を調製することもでき、感熱接着剤を含有するトナーに更に感熱接着剤を混合して現像剤を調製することもできる。
【0023】
また、二成分現像剤を作製する場合、感熱接着剤は、普通、トナーに配合するが、キャリアに感熱接着剤を配合することもでき、感熱接着剤を含有しないトナーと感熱接着剤を含有しないキャリアと感熱接着剤とを混合して現像剤を調製することもでき、トナー及びキャリアの少なくとも一方に感熱接着剤を配合し更に感熱接着剤を混合して現像剤を調製することもできる。
【0024】
感熱接着剤の現像剤に占める割合としては、十分な接着力を実現する等の理由から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、一方、現像剤が劣化することを抑制するために、60質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0025】
(結着樹脂)
結着樹脂はトナーの構成要素を十分結着し、トナーの良好な定着性および帯電性などを実現するものであれば特に制限されないが、ビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、ビニルトルエン重合体、マレイン酸重合体、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂;これらの樹脂の単量体成分の共重合体などを使用し、必要に応じて複数の樹脂を併用することもできる。
【0026】
例えば、スチレン系樹脂およびスチレン系樹脂の単量体成分の共重合体の具体例として、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びスチレン誘導体のホモポリマー;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体などを使用する。
【0027】
また、架橋構造を有する樹脂を結着樹脂として使用することもできる。結着樹脂の架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を使用し、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタジオールジメタクリレート等の二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物などを使用し、必要に応じて複数を併用することもできる。
【0028】
以上の様な結着樹脂の中でも、加熱定着用には、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂およびこれらの樹脂の単量体成分の共重合体が好ましく、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0029】
加圧定着用には、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アミド系樹脂およびこれらの樹脂の単量体成分の共重合体が好ましく、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0030】
また、湿式トナーの場合は、アクリル系樹脂、ビニルトルエン重合体、マレイン酸重合体およびこれらの樹脂の単量体成分の共重合体が好ましく、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0031】
なお、結着樹脂のトナー全体に占める割合は、普通、50〜95質量%とする。
【0032】
(色材)
色材としては、トナーの特性を低下させることなく十分に着色できるものであれば特に制限されないが、チャネルカーボン、ファーネスカーボン等のカーボンブラック;ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料;ファーストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料;分散染料、油溶性染料などを用い、必要に応じて複数の色材を併用することもできる。
【0033】
また、磁性トナーの場合は、磁性粉として、マグネタイト、フェライト、コバルト、鉄、ニッケル等の金属単体またはその合金を用いることもできる。
【0034】
更に、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、ホワイトカーボン、シリカ、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、カオリンクレー等の粘土鉱物、タルク、マイカ、ネフェリンサイアナイト等の体質顔料も使用できる。
【0035】
黒色トナーの場合、黒色色材として、カーボンブラック、チタンブラック、磁性体、以下に示すイエロー色材、マゼンタ色材およびシアン色材を混合して黒色に調色された色材などを用いる。
【0036】
カラー画像の場合、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー等を作製する。
【0037】
イエロー色材としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などを使用し、具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168及び180等を使用し、C.I.ソルベントイエロー93,162,163等の染料を併用しても良い。
【0038】
マゼンタ色材としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などを使用し、具体的には、C.Iピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221及び254等を使用する。
【0039】
シアン色材としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などを使用し、具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62及び66等を使用する。
【0040】
白色トナーの場合、白色色材として、酸化チタン、チタン白、酸化亜鉛、亜鉛白、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白、ジルコニア、酸化ジルコニア等を使用する。
【0041】
なお、以上の様な色材は、単独で又は複数を混合して、固体および液体の状態で用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性なども考慮して選択される。
【0042】
なお、色材のトナー全体に占める割合は、普通、1〜20質量%とする。
【0043】
(電荷制御剤)
電荷制御剤としては、トナーの特性を低下させることなく十分に電荷を制御できるものであれば特に制限されないが、負極性電荷制御剤および正極性電荷制御剤を用いる。
【0044】
負極性電荷制御剤の具体例としては、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸およびそれらの金属塩、それらの無水物、それらのエステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、及びノンメタルカルボン酸系化合物などが有るが、Cr錯塩染料などの電子受容性染料、電子受容性有機錯体、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、塩素化パラフィン等が好ましい。
【0045】
また、正極性電荷制御剤の具体例としては、ニグロシン、脂肪酸金属塩による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジンアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩および4級アンモニウム塩又はオニウム塩のレーキ顔料、トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、例えば、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類などが有るが、電子供与性のニグロシン染料、第四級アンモニウム塩などが好ましい。
【0046】
なお、電荷制御剤のトナー全体に占める割合は、普通、0.01〜10質量%とする。
【0047】
(離型剤)
定着時のオフセットを低減し、通紙性などを改良するために、離型剤を配合することもできる。この様な離型剤としては、フッ素樹脂、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、流動パラフィン、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を使用する。これらの離型剤は溶融粘度が低いため、定着時に離型剤として機能する。
【0048】
なお、離型剤のトナー全体に占める割合は、普通、0.1〜20質量%とする。
【0049】
(表面処理剤)
トナーの表面に表面処理剤として微粉体を付着させることにより、トナーの流動性を向上できる。この様な微粉体として疎水性シリカ等を使用するが、疎水性シリカをトナーの表面に付着すると、流動性が向上するのみならず、トナーのクリーニング性および帯電性も向上できる。また、疎水性シリカ以外に、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、脂肪酸金属塩、ポリ弗化ビニリデン、ポリスチレン等の微粉末も使用できる。
【0050】
なお、表面処理剤の使用量は、トナー100質量部に対して、普通、0.1〜20質量%とする。
【0051】
(磁性剤)
更に、トナーに磁性剤を含有させて、磁性トナーを作製することもできる。この場合、磁性剤は色材の役割を兼ねることもできる。この様な、磁性剤としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等の金属;これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属;これらの金属の合金およびその混合物が挙げられる。
【0052】
なお、磁性剤のトナー全体に占める割合は、普通、1〜20質量%とする。
【0053】
(その他の添加剤)
トナーには、以上に説明した成分以外に、ステアリン酸亜鉛などの滑剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤などの添加剤を必要に応じて使用できる。
【0054】
(現像剤)
現像剤の種類には、乾式二成分系、乾式一成分系、湿式系などが有り、以上で説明した成分を有するトナーを用いて、それぞれの現像剤を作製できる。
【0055】
乾式二成分系で使用するトナーは、結着樹脂、色材、電荷制御剤、離型剤、表面処理剤などを用いて作製され、体積平均粒子径が1〜20μmとなる様に調整する。なお、トナーの体積平均粒子径は、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて測定できる。この様なトナーをキャリアと混合して乾式二成分現像剤を作製する。乾式二成分系で使用するキャリアは、芯材をコート剤で被覆することで作製され、体積平均粒子径が10〜200μmとなる様に調整する。
【0056】
キャリアの芯材としては、表面酸化の鉄粉、表面未酸化の鉄粉、ニッケル粉、銅粉、亜鉛粉、コバルト粉、マンガン粉、クロム粉、希土類粉などの金属粉;これらの金属の酸化物粉;これらの金属の合金粉;これらの合金の酸化物粉;フェライト粉;マグネタイト粉などを使用する。
【0057】
キャリアのコート剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;フェノール樹脂;ジ−ターシャリーブチルサリチル酸の金属錯体;スチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド;ポリビニルブチラール;ニグロシン;アミノアクリレート樹脂;塩基性染料およびそのレーキ;シリカ微粒子;アルミナ微粒子などを単独または複数で用いる。これらのコート剤を溶剤中に溶解または懸濁し、これをキャリア表面に塗工したり;コート剤を単に粉体で混合する等の方法でキャリアが作製される。
【0058】
なお、トナーとキャリアとの混合比は、現像剤全体に対して、トナーが1〜15質量%となるようにする。
【0059】
乾式一成分系で使用するトナーは、結着樹脂、色材、電荷制御剤、離型剤、表面処理剤などに加え、例えば磁性トナーの場合、磁性剤などを用いて作製され、体積平均粒子径が1〜20μmとなる様に調整し、キャリアと混合することなく乾式一成分現像剤を作製する。
【0060】
湿式系で使用するトナーは、結着樹脂、色材、電荷制御剤などを用いて作製され、体積平均粒子径が0.1〜3μmとなる様に調整する。この様なトナーをキャリアと混合して湿式現像剤を作製する。湿式系で使用するキャリアとしては、体積固有抵抗が1012〜1015Ωcm、誘電率が2〜3の絶縁性液体などを使用する。
【0061】
(トナー及び現像剤の製造方法)
乾式トナーは製造方法により、粉砕トナーと重合トナーとに大別される。
【0062】
粉砕トナーの製造方法としては、例えば、結着樹脂、色材、電荷制御剤、離型剤、磁性剤などの必要なトナー成分を、ヘンシェルミキサー及びボールミル等の混合機で十分に混合する。
【0063】
次に、得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練し、樹脂成分を相溶させ、トナー成分を均一に分散させる。その後、得られた混練物を冷却固化し、ハンマーミル及びジェットミル等で粉砕し、サイクロン及びミクロンセパレーター等で分級して造粒し、所望のトナーを得る。
【0064】
さらに必要に応じて表面処理剤などを、ヘンシェルミキサー等の混合機で混合することもできる。
【0065】
一方、重合トナーの製造方法としては、例えば、ディスク及び多流体ノズル等を用いて溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法;懸濁重合法を用いて直接トナー粒子を生成する方法;単量体には可溶で得られる重合体が不要な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合法、水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合法などの乳化重合法;予め一次極性乳化重合粒子を調製後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法等を用いる。
【0066】
中でも、重合性モノマーと他のトナー成分とを含むモノマー組成物を直接重合してトナー粒子を生成する方法が好ましい。また、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着させた後、重合開始剤を用い重合させるシード重合方法も好ましい。
【0067】
以上の様にして得られたトナーは、必要に応じてキャリアと混合される。混合は、Vブレンダーなどを用いて行われる。
【0068】
一方、湿式トナーの場合は、ボールミル及びアトライタ等の混合機にトナー成分とキャリア液体とを投入し、十分に分散させて、混合工程および造粒工程を同時に行う。
【0069】
(シート)
感熱接着剤を含有する電子写真方式用の現像剤を使用すれば、オンデマンドトナープリンター等のオンデマンド電子写真方式により、感熱接着性を有する画像をオンデマンドに形成できる。
【0070】
例えば、感熱接着性の現像剤を用いて電子写真方式により支持体の表面に均一なベタ画像を形成することにより、支持体表面に均一な感熱接着性被膜を形成でき、支持体の表面を手軽に改質できる。
【0071】
また、感熱接着性の現像剤を用いて電子写真方式により支持体の表面に部分画像およびパターン画像などを形成することにより、支持体表面にパターン形状の感熱接着性被膜を形成でき、支持体の表面を手軽に改質できる。
【0072】
なお、基体シート(支持体)としては、通常の紙の他に、合成紙、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン及び塩化ビニル等の合成フィルムを用いることもできる。これらの合成フィルムを用いる場合には、基体シートの表面にマット処理およびコロナ処理などの表面処理を施す場合もある。
【0073】
(用途分野)
以上に説明してきた本発明の現像剤を用いれば、送付票、荷札、宛名票、証明書、整理券、金券、入場券、チェックシート、プラスチックカード、ICカード、パッケージ(紙製、ペットボトル、缶など)、包装紙、グリーテングカード、DMのギミック、雑誌、カレンダー、手帳、CD−ROM(CR−R/RW等)、フィルム(ガラス等に貼付するもの)、シール、ラベル、時計の文字盤、家電製品のパネル、紙袋、薬袋、レジ袋、書籍、銘板、ラピングシート等に、電子写真方式により感熱接着性を付与できる。
【0074】
また、小売店などで発行する優待券、簡易的なクジ、小集団で使用する書物、小規模な教育機関などで使用する教材、個人的な書簡、証明書、整理券、金券、入場券、チェックシート、プラスチックカード、ICカード、転写シールのギミック、DMのギミック、パッケージ(紙製、ペットボトル、缶など)、包装紙、グリーテングカード、雑誌、カレンダー、手帳、CD−ROM(CR−R/RW等)、フィルム(ガラス等に貼付するもの)、シール、ラベル、時計の文字盤、家電製品のパネル、紙袋、薬袋、レジ袋、書籍、銘板、ラピングシート等に、電子写真方式により感熱接着性を付与できる。
【0075】
特に、任意の形状および大きさの感熱性画像を、任意の位置に電子写真方式により形成できるため、オンデマンド性が高い。
【0076】
また、図1には、他の使用形態の例として、イージーオープン包装袋を示した。従来のイージーオープンの包装袋では、開口部にチャックやジッパー等が設けられ、機械的にロックされる。これに対し、図1に示す様なイージーオープンの包装袋31では、底部32が密封されており、袋本体33の開口部34の内側上辺に、接着力が調節された感熱接着剤を含む剥離可能な感熱接着剤層35が形成されている。
【0077】
この様に作製されたイージーオープンの包装袋31においては、内容物36を入れた後、感熱接着層35同士を対接するように加熱すれば、簡単に密封包装できる。このイージーオープンの包装袋31は、必要な時に開口部34を手で容易に剥すことができ、内容物36を容易に取り出すことができる。そして、このイージーオープンの包装袋31は繰り返し使用することができる。
【0078】
図2には、ラベルの例を示した。ガラス瓶41の本体42の表面に、ラベル1aが貼り付けてある。ラベル1aでは、紙などの基体シート43に、接着力が調節された感熱接着剤を含む剥離可能な感熱接着層44が形成されている。このラベル1aは加熱により、ガラス瓶41のような平滑性の高い被着体に貼り付けることができる。なお、45は蓋、46は内容物を示す。
【0079】
このラベル1aは、必要な時にガラス瓶41から容易に剥離でき、しかも被着体表面に糊残りがなくきれいに剥離できる。
【0080】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を使用する。
【0081】
(実施例1)電子写真方式用トナー1、電子写真方式用現像剤1
スチレン及びアクリロニトリルより、軟化温度が150℃の結着樹脂を得る。このスチレン系結着樹脂100質量部に、ステアリン酸1質量部、ポリプロピレン2質量部および軟化温度が200℃のポリアミド樹脂ホットメルト20質量部を混合し、これを時間処理量5kg/hrで2軸押出し溶融混練機により混練物を得る。
【0082】
この混練物をジェットミル(圧力:0.5MPa)で粉砕し、風力分級機で分級して体積平均粒子径7μmの電子写真方式用トナー1を収率50%で得る。この電子写真方式用トナー1の98.6質量部に疎水性シリカ微粒子1.4質量部をヘンシルミキサーにて混合し、この混合物7質量部とフェノール樹脂が表面にコートされたマグネタイト粒子93質量部とを混合して、二成分系の電子写真方式用現像剤1を得る。
【0083】
得られた電子写真方式用現像剤1を用いて、ハート型の紙上の下縁部に画像を電子写真方式(定着温度:180℃)により形成し、接着剤層をオンデマンドに作製する。これを所定の背紙と重ね合わせ、トッパン・フォームズ社製シーリング装置(商品名:プレッセルミニ)にて加圧および加熱(接着温度:220℃)する。接着剤層は完全に接着され、ハート型の袋を簡単に作製できる。
【0084】
(実施例2)電子写真方式用現像剤2
キャリアとして、マグタイト粒子の表面にフェノール樹脂がコートされ、フェノール樹脂層が、電子写真方式用トナー1を作製する際に使用するポリアミド樹脂を含んでいるものを使用し、トナーとしてポリアミド樹脂を含まないものを作製し、ポリアミド樹脂の現像剤に占める割合を20質量%とする以外は、電子写真方式用現像剤1の場合と同様に電子写真方式用現像剤2を調製する。
【0085】
得られた電子写真方式用現像剤2を用いて、ハート型の紙上の下縁部に画像を電子写真方式(定着温度:180℃)により形成し、接着剤層をオンデマンドに作製する。これを所定の背紙と重ね合わせ、トッパン・フォームズ社製シーリング装置(商品名:プレッセルミニ)にて加圧および加熱(接着温度:220℃)する。接着剤層は完全に接着され、ハート型の袋を簡単に作製できる。
【0086】
(実施例3)電子写真方式用現像剤3
トナーとして、電子写真方式用トナー1を作製する際に使用するポリアミド樹脂を含まないものを作製し、ポリアミド樹脂の現像剤に占める割合を20質量%となるよう、トナーとキャリアとポリアミド樹脂とを混合する以外は、電子写真方式用現像剤1の場合と同様に電子写真方式用現像剤3を調製する。
【0087】
得られた電子写真方式用現像剤3を用いて、ハート型の紙上の下縁部に画像を電子写真方式(定着温度:180℃)により形成し、接着剤層をオンデマンドに作製する。これを所定の背紙と重ね合わせ、トッパン・フォームズ社製シーリング装置(商品名:プレッセルミニ)にて加圧および加熱(接着温度:220℃)する。接着剤層は完全に接着され、ハート型の袋を簡単に作製できる。
【0088】
【発明の効果】
感熱接着剤を含む現像剤を用いれば、印刷に代わり電子写真方式を使用して、十分な感熱接着性を有する画像をオンデマンド作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】イージーオープンの包装袋を説明するための模式図である。
【図2】ラベルを説明するための模式図である。
【符号の説明】
31 包装袋
32 底部
33 袋本体
34 開口部
35 感圧接着剤層
36 内容物
41 ガラス瓶
42 本体
43 基体シート
44 感圧接着剤層
45 蓋
46 内容物
1a ラベル
Claims (3)
- トナーと感熱接着剤とを含む電子写真方式用現像剤。
- 請求項1記載の電子写真方式用現像剤を用いて電子写真方式により形成される感熱接着性画像を具備するシート。
- 感熱接着剤を含む電子写真方式用トナーを含む電子写真方式用現像剤、又はトナーと感熱接着剤とを含む電子写真方式用現像剤を用いて、前記感熱接着剤が接着するに必要な温度より低い温度で該電子写真方式用現像剤を定着する感熱接着性画像の形成方法。
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