JP4015138B2 - ピーリング装置及びピーリング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線基板等の製造時において、当該基板最表面に貼付けられている保護フィルムを剥離する、いわゆるピーリング装置及びピーリング方法に関する。より詳細には、当該基板表面にドライレジストフィルムと保護フィルムとが積層されたフィルムを貼付け、このドライレジストフィルムを露光現像するためにその上層に存在する保護フィルムのみを剥離するための装置及び方法に関する。
例えば、電子機器に用いられるいわゆる配線基板等は、絶縁性の板材の表面に銅の薄膜が形成された基盤に対して、銅の薄膜を配線パターン化する処理を施すことで得られている。このパターン化処理は、基板表面にいわゆるドライレジストフィルムを貼付け、当該フィルムに露光及び現像処理を施して基板表面に配線パターンを転写し、このパターンをマスクとして銅の薄膜に対するエッチングを行い、その後残存するフィルムを除去する工程から成り立つ。このドライレジストフィルムには、基板に貼付けられた状態で傷を負う或いは空気中の酸素等により変質することを防止する目的で、通常その表面に保護フィルムが貼り付けられている。従って、露光処理以下の工程を行う前に、ドライレジストフィルム表面からこの保護フィルムを剥離することが必要となる。
この剥離操作は、例えば特許文献1に開示されるように、ドライレジストフィルムと保護フィルムとの接着強度よりも強い粘着力を有する粘着テープを用いて行われる。具体的には、粘着テープを保護フィルム表面に貼付け、この状態で粘着テープを基板から引き離すことで、ドライレジストフィルムからの保護フィルムの剥離操作が行われる。粘着テープの貼付け部位或いはその近傍においてドライレジストフィルムと保護フィルムとが部分的にでも剥離している場合には当該操作は比較的容易に行われる。しかし、剥離部分が何ら存在しない状態においては、単純に粘着テープを移動させたのみでは、容易に剥離操作を行えないことが知られている。
特許文献2乃至6にはこのような事象に対処すべく、部分的に剥離した部分、いわゆる剥離の切っ掛け部分を効率よく生じさせるための方法等が開示されている。具体的には、ローレット等により保護フィルムのみを掻き揚げるようにしてこの切っ掛けを作る、或いはエアの噴流を吹き付けることで保護フィルムを部分的に浮かせて切っ掛けを作る等の方法が示さされている。このような切っ掛けを作った後には、この切っ掛け部分を粘着ローラ等で捕捉し、当該ローラによる剥離操作が行われている。
特開平8−324878号公報 特開平6−329329号公報 特開平7−239553号公報 特開2002−211836号公報 特開平8−181489号公報 特開平6−244538号公報
保護フィルムとドライレジストフィルムとの端面が明確に区別可能な状態で存在する場合であれば、ローレット等を用いて切っ掛け部分を形成することは比較的容易と考えられる。しかし、これら剛性に欠ける物質をその厚み方向に切断した場合、通常その切断面は切断方向に沿ってだれてしまう。ローレット等によってこのような端面から保護フィルムのみを正確に剥がすことは困難であると思われる。また、基板端面と保護フィルム端面とが同一平面内に存在する場合においても、この切っ掛け部分の形成が困難であるという知見が得られている。このような場合に、敢えて切っ掛け部分を形成して確実な剥離を行おうとした場合には、ドライレジストフィルムに傷をつける可能性が高い。
また、粘着テープ或いは粘着ロールのみの粘着性を利用して剥離操作を行おうとした場合、大きな加圧力をもってこれらテープ等を保護フィルムに押し付けて当該操作が行われる。これは、この押し付けによって粘着テープ等と保護フィルムとの接着性を少しでも高め、より円滑に剥離操作を進めようとすることから行われる。この場合、過剰な加圧力は基板に対するダメージを与え、今後基板がさらに薄くなった場合には、基板を破損する可能性も考えられる。
本発明はこのような状況に鑑みて為されたものであり、ドライレジストフィルム及び基板に対するダメージの付加を無くすると共に、容易且つ確実に剥離の切っ掛け部分を形成することを可能とする剥離(ピーリング)装置及び方法を提供することを目的としている。また、本発明は、基板等の量産に対応可能な量産性及び経済性の高い剥離装置及び方法の提供を目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るピーリング装置は、基板表面に貼り付けられたフィルムを剥離するピーリング装置であって、粘着テープを保持してフィルムの角部に対して粘着テープを押し付ける押え用部材と、押え用部材に対して粘着テープを供給するテープ供給系と、フィルムの角部に粘着テープを押し付けた後、押え用部材を、フィルム上の所定点を中心とする球面上或いは円周上に沿って移動させる押え用部材駆動系とを有することを特徴としている。当該構成により、基板よりフィルムを剥離する際の剥離切っ掛けを容易且つ安定して得ることが可能となる。
なお、上述したピーリング装置においては、更に、基板を第一の方向に移動させる基板駆動系と、粘着テープを介して押え用部材に付着して基板表面より剥離したフィルムの一部を把持するチャック機構と、チャック機構を第一の方向と直行する方向に駆動する駆動系とを有することが好ましい。当該構成の付加により、上述の構成より得られた剥離切っ掛けを用いて、効率的な剥離操作を行うことが可能となる。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るピーリング方法は、基板に貼り付けられたフィルムを剥離するピーリング方法であって、押え用部材によって粘着テープを保持してフィルムの角部に対して前粘着テープを貼付け、押え用部材を、フィルム上の所定点を中心とする球面上或いは円周上に沿って移動させてフィルムの角部を前記基板から剥離する工程を有することを特徴としている。当該工程の実施により、基板よりフィルムを剥離する際の剥離切っ掛けを容易且つ安定して得ることが可能となる。
なお、上述したピーリング方法において、更に、フィルム角部を基板から剥離した状態で押え用部材を基板表面から遠ざけ、剥離状態にあるフィルムをチャック機構により把持し、チャック機構を基板の延在する面と平行な面にて基板の略対角方向に相対的に移動する工程を有することが好ましい。当該工程の付加により、上述の構成より得られた剥離切っ掛けを用いて、効率的な剥離操作を行うことが可能となる。
本発明によれば、上述したようなドライレジストフィルム及び保護フィルムの端面がだれている場合、或いは基板端面と保護フィルム端面とが同一平面内に存在する場合であっても、剥離の切っ掛け部分を容易に得ることが可能となる。また、粘着テープによる剥離はあくまで切っ掛け部分を得る際行われるだけであり、保護フィルムを剥離除去する工程の大部分は実際に保護フィルムを把持するチャック手段によって行われる。このチャック手段は保護フィルムを所定の面積を把持しており、操作中に剥がれる等、粘着テープで生じ得る工程上のトラブルを回避することができる。
また、本発明によれば、安価な粘着テープを少量用いることによって剥離の切っ掛けを作り、更なる消耗部材を用いることなく剥離操作が行われる。従って、部材費等に関連する費用を削減することが可能となる。また、基板の両面に貼り付けられた保護フィルムを、一対の上下の剥離ユニットを移動させることによって略同時に剥離することが可能となる。このため、本発明に係る装置及び方法は量産への適用能力が高く、量産時においてその効果が明確となる。
また、本発明によれば、粘着テープを用いた場合において、最も効果的に当該粘着力が作用する方向に当該テープを移動させることによって剥離切っ掛けを作ることとしている。このため、本発明においては特別な粘着性を有する粘着テープ等が必要とはならない。また、粘着テープを基板に対して過度に押し付ける必要が無くなり、粘着テープの押し付け操作に伴う基板のマイクロクラック等の発生可能性を大幅に低減できる。
本発明における一実施の形態について、以下に図面を参照して説明する。図8に、保護フィルム11及びドライレジストフィルム13が上下面に貼り付けられた基板10と、上側粘着テープ45の裏面を押すことで当該テープを保護フィルム11の表面に貼り付ける上側押え用シリンダロッドの先端等、剥離切っ掛け作りに関連する各部材を側面から見た状態を示す。上側粘着テープ45を、保護フィルム11表面であって、図11に示すようなフィルム付基板2の角部に貼り付ける。その後、フィルム付基板2の表面上であって、上側押え用シリンダロッド36の底面端部より所定距離α離れた位置に回転中心Fを設定し、基準とした底面端部が当該回転中心Fを中心として、所定の球面上を移動するように上側押え用シリンダロッドを移動させる。
なお、ここで述べた押え用シリンダロッド36は、押え用部材として、種々の形態への変換が可能である。また、粘着テープ45は、一回の剥離工程、より詳しくは一回の剥離切っ掛けの作成工程毎に交換されることが好ましい。このため、後述する実施例においては、粘着テープ供給ローラ31、テープ巻き取りローラ33、及び巻き取りモータ47等によってテープ供給形を構成している。なお、これら構成は、押え用部材に対して新たな粘着テープを供給可能である種々の構成への変更が可能である。また、本発明においては、押え用部材を所定の経路、即ちフィルム上の所定点を中心とする球面上或いは円周上に沿って移動させることを要する。後述する実施例においては、揺動シリンダ27、揺動シリンダロッド28、上下動シリンダ29、及び上下動シリンダロッド30等、更には押えシリンダ35によって押え用部材駆動系を構成している。しかしながら、上述した所定の経路に沿った押え用部材の移動を可能とするものであれば、当該駆動系の構成はこれに限定されない。また、基板は、配線製造用の回路基板に限られず、剥離されるフィルムも保護フィルムに限られない。
従来の剥離工程においては、粘着テープを貼り付けた後、当該テープを基板平面に対して略垂直な方向に引き上げることにより剥離操作を行っていた。この場合、保護フィルムとドライレジストフィルムとの接着面を引き剥がすことを要し、且つ粘着テープの貼付け部分周囲の接着面からの影響、即ち保護フィルムを貼付け位置に戻そうとする力にも抗する必要がある。本実施形態の如く、剥離切っ掛けを保護フィルムの角部に形成することにより、貼付け部周囲から受ける力は大幅に低減される。更に、保護フィルム角部の引き剥がし速度或いは引き剥がし量を最も大きくし、角部から離れるほどにこれらを小さくすることにより、この貼付け部分周囲から受ける力をより低減している。
また、当該観点からは、粘着テープが貼り付けられた領域において保護フィルム角部から最も離れた部分を中心とし、且つこの部分を中心として該角部が円弧を形成するように移動させることが好ましいと考えられる。なお、粘着テープ45は、実際にはシリンダロッド36端面によって支持されている。従って、粘着テープ45の貼付け部分端部はシリンダロッド36の端面エッジと一致する。このようなエッジを保護フィルム45に押し付けた状態で、当該シリンダロッド36を回転動作させた場合、当該エッジ部が保護フィルム45に対して不用の負荷を懸ける可能性は高い。しかし、このような負荷の存在は、保護フィルム45の効率的な剥離操作を阻害する可能性が高い。従って、該回転中心Fは、該エッジが保護フィルムに何ら影響を及ぼさず且つ最も該エッジに近い距離αをあけて設定されることが好ましい。
以上述べたような動作を、粘着テープを支持する上側押え用シリンダロッド30に行わせることにより、円滑且つ効率良く剥離切っ掛けを得ることが可能となる。なお、先に述べた回転駆動は、移動しない回転中心を有することから保護フィルムを高速で剥離する上では不適当と考えられる。そこで、図9に示すように、充分な大きさの剥離切っ掛けが得られた後は、粘着テープ45をより効果的な方向、即ちフィルム付基板表面とは垂直な方向に粘着テープを移動させることとしている。図8に示す状態において、粘着テープ45と保護フィルム11との張り付き面の大きさを適当な物とすることにより、移動方向を異ならせて剥離部分周囲から受ける力が増加した場合であっても、粘着テープ45による剥離切っ掛け部の保持を確実に行うことが可能となる。
更に、本発明においては、剥離された領域としてある程度の大きさを得た後は、図10に示すように上側フィルムチャック43によって保護フィルム11を把持し、当該チャック43によって剥離操作を継続することとしている。なお、その際、保持に不要となる剥離済み領域を上側フィルムカッタ41によって切断し、上側フィルムチャック43のみによる剥離操作を円滑に行うことを可能としている。本形態のように、粘着テープよりも保護フィルムの保持力が強いチャックを用いることにより、以降の剥離操作をより高速で行うことが可能となる。なお、粘着テープのみによる剥離の場合、保護フィルムはある程度以上の長さを有する粘着テープと共に廃棄することが必要であり本工程自動化の際の課題となっている。本発明によれば、チャックによる把持を開放することで、剥離済みの保護フィルムを容易に廃棄することが可能となり、剥離工程の自動化が容易に行えるといった効果も得られる。
なお、本発明においては、保護フィルムが貼り付いた粘着テープを、保護フィルム上の所定点を中心とする球面に沿って移動させることによって剥離切っ掛けを得ることとしている。しかしながら、粘着テープ、即ちこれを支持するシリンダロッドを球面に沿って移動させる構成は複雑なものとなると考えられる。比較的簡単な構成によって本発明に順ずる効果を得ようとした場合、例えば、粘着テープを上述の所定点を中心とする円周上を移動させる等の方式としても良い。
図1に、本発明の一実施例に係る剥離(ピーリング)装置の概略構成を示す。剥離装置1は、架台3、基板搬送レール5、上側剥離ユニット20、上側剥離ユニット駆動系21、下側剥離ユニット80(図3A参照)、下側剥離ユニット駆動系(不図示)、剥離済みフィルム回収箱7を構成要素として有している。基板搬送レール5は、架台3から垂直に並立されたレール支持枠9によって、架台表面と平行(略水平)に支持された4列のレールからなる。支持レール5は、所定方向Aに平行となるように等間隔に配置されている。基板2は、支持レール5の上面に設けられた凹溝5aによって、支持レール5各々の間において略水平に支持される。また、フィルム付基板2は、不図示の駆動機構によって所定方向Aに沿って所定速度にて搬送される。
支持レール5の上下位置には、上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80が配置される。これら剥離ユニットは、各々基板の支持面と平行な面内であって所定方向Aと直交する方向である所定方向Bに駆動可能となるように、各々上側剥離ユニット駆動系21及び下側剥離ユニット駆動系によって支持されている。また、各々の剥離ユニットの駆動領域両端部には、剥離済みの保護フィルムを回収するための回収箱7が配置されている。なお、本実施の形態においては、基板3枚を平行して搬送、処理する機構を例示しているが、処理可能な枚数は支持レール等の増減により随時変更可能である。
次に、同一機構からなる上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80について詳細に述べる。図2は上側剥離ユニット20の概略構成を示し、図3Aは上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80を所定方向Bに沿って見た際の概略構成を示し、図3Bはこれらユニットを所定方向Aに沿ってみた際の概略構成を示す。なお、説明を容易に行うために、これら図面中には、上側剥離ユニット20に付随する後述する揺動シリンダ27、上下動シリンダ29及びこれらに関連する部材、及び下側剥離ユニット80に付随する同様の部材は示されていない。これら部材に関しては、上側剥離ユニット20を所定方向Aに沿って見た際の更なる構成図である図4及び図5に示すこととする。
上側剥離ユニット20は、上側支持フレーム23、上側揺動板25、上側揺動シリンダ27、上側上下動シリンダ29、上側粘着テープ供給ローラ31、上側粘着テープ巻き取りローラ33、上側テープ押えシリンダ35、上側第一及び第二のガイドローラ37、39、上側フィルムカッタ41、及び上側フィルムチャック43を有している。上側支持フレーム23は、上側剥離ユニット駆動系21と連結されており、所定方向Bにおける駆動が可能である。上側支持フレーム23は、基板が配置される方向とは逆の方向(上方)において、上側揺動板25を揺動可能及び上下動可能に支持している。上側揺動板25は、上側支持フレーム23にその一端が固定された上側揺動シリンダ27(図4参照)及び上側上下動シリンダ29(図5参照)の他端と接続されている。これらシリンダによって、上側揺動板25の上側支持フレーム23に対する揺動及び上下動が行われる。
上側支持フレーム23の下面は、支持レール5上に配置されたフィルム付基板2の表面から所定間隔を保って位置するように設定されている。上側支持フレーム23は、同時にこの所定間隔の間に上側フィルムカッタ41及び上側フィルムチャック43を各々所定の駆動が可能となるように支持している。これら各々の位置関係を平面図として図6に示す。具体的には、上側フィルムカッタ41は、矢印Dで示す方向に回転駆動するように上側ロータリーアクチュエータ42と接続されている。
矢印Dで示される回転領域は、後述する上側押え用シリンダロッド36の駆動領域を切断可能となるように配置される。また、上側フィルムチャック43は、矢印Eで示す方向に一方の部材が駆動し、他方の部材との間で、これら部材間に存在する物を把持することとし、このための上側エア駆動装置44も配置されている。なお、上側フィルムチャック43は、上側フィルムカッタ43により切断される保護フィルムを把持するために用いられ、矢印Dで示される上側フィルムカッタ41の下方であって、剥離操作がある程度進行した際に保護フィルムを把持可能となる位置に配置される。
上側揺動板25は、上側粘着テープ供給ローラ31、上側第一のガイドローラ37、上側テープ押えシリンダ35、上側第二のガイドローラ39、及び上側粘着テープ巻き取りローラ33を有しており、上側用粘着テープ45がこれら構成間をこの順序で移動するように搬送される。上側用粘着テープ45の実際の搬送は、上側粘着テープ巻き取りローラ33を回転させる上側巻き取りモータ47によって行われる。上側テープ押えシリンダ35は、フィルム付基板2の表面(延在面)に対して垂直となる上下方向Cにおける伸縮が可能な上側押え用シリンダロッド36を有している。上側押え用シリンダロッド36は、最も伸延した状態において、その下端面にて下方向に押圧する上側用粘着テープ45の粘着面がフィルム付基板2の表面に達するような長さに設定されている。
保護フィルム剥離操作の初期時における上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80各々の配置について、図3A及び3Bにその関係を示す。これらユニットは、先にも述べたように同様の構成要素からなり、当該ユニット及び包含される個々の構成は、フィルム付基板2における所定方向Bにおける中心点を中心として略線対称に配置されている。また、上側剥離ユニット20における上側押え用シリンダロッド36と下側剥離ユニット80における下側押え用シリンダロッド96との各々の中心軸は、所定方向B方向に延在し且つ所定方向Aに対して垂直な平面上に配置されている。
上側剥離ユニット20における上側支持フレーム23は下側剥離用バックアップシリンダ49を有し、下側剥離ユニット80における下側支持フレーム83は上側剥離用バックアップシリンダ109を有している。下側剥離用バックアップシリンダ49は、所定方向Cに伸縮可能な下側剥離用シリンダロッド50を有し、上側剥離用バックアップシリンダ109も同様に、所定方向Cに伸縮可能な上側剥離用シリンダロッド110を有している。これら剥離用シリンダロッド50、110は、その伸延位置において、フィルム付基板2の対応面に達するようにその長さ或いは伸延量が設定されている。
剥離操作開始時において、上側押え用シリンダロッド36の中心軸と上側剥離用シリンダロッド110の中心軸とが略同一直線上で重なり且つ対向するよう各々の構成が配置される。また、同時に、下側押え用シリンダロッド96の中心軸と下側剥離用シリンダロッド50の中心軸とが略同一直線上で重なり且つ対向するよう各々の構成が配置される。また、各シリンダロッドにおける先端部、即ちフィルム付基板2と当接する部分にはゴム等弾性体からなる部材が配置されており、当該先端部がフィルム付基板2と当接した際にフィルム付基板2に対して与える衝撃等の低減を図っている。これら部材で粘着テープ及びフィルム付基板を挟み込み且つ加圧することによって、粘着テープと保護フィルムとの密着性の向上を図っている
上側支持フレーム23は、基板2と平行に配置される上側基礎部23aと、上側基礎部23aから垂直に立ち上がる一対の上側支持部23bとを有している。一対の上側支持部23bは、その間において互に向かい合うように伸びるピン23cを有している。上側揺動板25は、これらピン23cを収容し、その延在方向に伸びる長孔25bを有している。これらピン23cが各々長孔25bに嵌り込むことにより、上側揺動板25は上側支持部23bよって、ピン23cを支点とする揺動及び長孔25bの延在方向への摺動を可能として支持される。
図4に示すように、上側揺動シリンダ27は、上側揺動シリンダロッド28を有しており、当該シリンダロッドの一端は上側支持フレーム23に固定されている。上側揺動シリンダロッド28の他端は、上側揺動板25における上側粘着テープ45等が配置される面の裏面に対して、その面の延在方向、即ち、所定方向Bに延在する直線を含む面に対して摺動可能に接合している。また、その接合位置は、上述した支点(上側ピン23c)とは異なる位置に設定されている。更に、上側揺動シリンダロッド28は、上側揺動シリンダ27によって所定方向Bと略同一方向における伸縮動作行う。従って、上側揺動シリンダ27が上側揺動シリンダロッド28を伸縮させることによって、上側揺動板25は該支点を中心とする揺動を行う。
図5に示すように、上側上下動シリンダ29は、上側上下動シリンダロッド30を有しており、当該シリンダロッドの一端は上側支持フレーム23対して回転可能に固定されている。上側上下動シリンダロッド30の他端は、上側揺動板25における上側粘着テープ45等が配置される面の裏面に対して接続されている。また、上側上下動シリンダロッド30は、上側上下動シリンダ29によって所定方向Cと略同一方向における伸延動作行う。当該シリンダロッド30の伸縁動作により、上側揺動板25は略上方へ駆動される。なお、当該シリンダロッド30の一端が上側支持フレーム23に対し回転可能に固定されていることにより、上側揺動板25が所定方向Cに対してある角度を有して傾いている場合であっても、当該上方への移動はピン23cと長孔25bとの係合状態を保ちながら容易に行われる。
以上の構成からなる剥離装置を用いて、実際に剥離操作を行う場合について以下に述べる。本発明の実施に際し、剥離操作に供せられるフィルム付基板2を図7A及び7Bに示す。図7Aは、フィルム付基板2を上面から見たものであり、図7Bは、図7Aにおけるフィルム付基板2の線7B−7Bにおける部分断面を示している。フィルム付基板2の両側端部は、基板搬送レール5によって支持される領域として、フィルムが貼り付けられていない領域が形成されている。また、フィルム付基板2の両面には各々ドライレジストフィルム13と保護フィルム11とが重ね合わせられて貼り付けられている。また、これらフィルムは基板10の端面より0〜0.5mmはみ出すように貼り付けられている。
不図示の基板供給装置より、当該フィルム付基板2を基板搬送レール5に供給し、各々のフィルム付基板2を所定方向Aに搬送する。上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80は、図3A及び3Bに示す位置に待機しており、フィルム付基板2は剥離操作の開始位置まで搬送される。当該状態において、上側剥離ユニット20の上側押え用シリンダロッド36は、フィルム付基板2の所定方向Aの先端部であってその一方の角部上に位置している。同様に、下側剥離ユニット80の下側押え用シリンダロッド96は、フィルム付基板2の所定方向Aの先端部であってその他方の角部下に位置している。
この状態にて、上側押え用シリンダロッド36の降下と上側剥離用シリンダロッド110の上昇、及び下側押え用シリンダロッド96の上昇と下側剥離用シリンダロッド50の降下の操作を行う。各々のロッド先端部にてフィルム付基板2を挟持し、これにより押え用シリンダロッドの先端部に支持された上側粘着テープ45及び下側粘着テープ105が保護フィルム11各々の角部分に貼り付けられる。以後、保護フィルムの剥離切っ掛けを作り、当該切っ掛けを用いた保護フィルムの剥離操作が行われるが、以降の説明については、これを容易とするために上側剥離ユニットに関してのみ行うこととする。
上側粘着テープがフィルム付基板2の上面に付着した保護フィルム11の角部に貼り付けられた状態で、上側揺動シリンダ27及び上側上下動シリンダ29を協働させ、剥離切っ掛けを作る。その際の上側押え用シリンダ36の端面、フィルム付基板2、及び上側剥離用シリンダロッド110の先端の位置関係を側面から見た状態を図8に示す。上側揺動シリンダ27及び上側上下動シリンダ29の協働により、上側揺動板25は所定の回転中心Fを中心とする円の周に沿った動作を行う。これら動作によって剥離切っ掛けが形成された後、上述したシリンダを更に協働させて、図9に示すように上側押え用シリンダロッド36をフィルム付基板2から垂直な方向に移動させる。
剥離切っ掛けとして、所定量の保護フィルム11が剥離された後、上側フィルムチャック43を駆動させ、剥離された保護フィルム11の所定位置を把持させる。フィルムが把持された状態で、上側フィルムカッタ41を駆動し、被把持部と上側粘着テープによる保持部との間の保護フィルムを切断する。これら把持及び切断の操作が行われる直前の状態を図10に示す。なお、図10に示す状態を得るに際して、保護フィルムの把持操作を円滑に行うために、上側押え用シリンダロッド36の移動方向を更に変更することが望ましい。
続いて、フィルム付基板2の所定方向Aへの移動、及び上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80それぞれの所定方向Bへの移動を同時に開始する。剥離ユニットは、剥離切っ掛けを作る段階で、各々フィルム付基板2における所定方向A側の一方の端部(角部)上に存在している。剥離ユニットは、当該存在位置から、所定方向Bに沿って他方の端部側に向かってそれぞれ移動する。このような基板及び剥離ユニットの移動によって、フィルムチャックによる保護フィルムの把持位置は、フィルム付基板2の略対角方向に相対的に移動することとなる。従って、フィルム付基板2が一対の剥離ユニットの間を抜けると共に、剥離ユニットはフィルム付基板2の上下空間から所定方向Bにおいて離れ、同時に、フィルム付基板2の上下面からの保護フィルムの剥離が完了する。
剥離完了後、上側剥離ユニット20及び下側剥離ユニット80は、所定方向Bにおける移動を更に続け、剥離済みフィルム回収箱7の上方で停止する。当該位置にて、各々のフィルムチャックが保護フィルムを開放し、保護フィルムは当該回収箱に廃棄される。以上の工程により、フィルム付基板2の上下面に貼り付けられた保護フィルム11の剥離操作が全て終了する。その後、剥離ユニットは、基板搬送レール5上に支持される他のフィルム付基板2を挟む所定の位置まで移動し、上述した一連の剥離操作を再度開始する。
本実施例によれば、揺動シリンダと上下動シリンダの動作を適宜組み合わせることにより、保護フィルム上の所定点を中心とする球面上において押え用シリンダロッドを移動させることを可能としている。当該構成によって、剥離切っ掛けを容易且つ安定して得ることが可能となる。また、異なる方向における基板の移動と剥離ユニットの移動とを同時に行うことによって、保護フィルムを基板の略対角方向に剥離することとしている。基板端面から保護フィルムの剥離を開始しようとする場合の剥離部の周囲領域と、基板角部から保護フィルムの剥離を行う場合の剥離部の周囲領域とでは、角部からの場合の周囲領域のほうが明らかに小さくなる。従って、剥離進行時に該周囲領域から受ける剥離に抗する力も小さくて済み、剥離操作をより小さな負荷にて行うことが可能となる。
また、剥離操作時において、基板面と平行且つそれほど大きくない間隔を開けてフィルムチャックを移動させることにより、フィルムチャックによって基板自体が与えられる力の方向は、ほぼ基板の延在面内に存在することとなる。このため、基板搬送レール5に設けられた基板収容用の凹部の壁面によってこの力が相殺され、基板を厚さ方向にて固定することなく剥離操作を行うことが可能となる。また、本実施例においては、基板上下面において対向する方向にて同時に剥離操作を行うこととしている。従って、上面にて剥離を行う際に基板に付加される力と、下面にて剥離を行う際に基板に付加される力とが、同じ大きさで対向する方向に作用することとなる。このため、基板の姿勢をさらに安定させた状態で、剥離操作を行うことが可能となる。
なお、本実施例においては、押え用シリンダロッドの駆動を揺動シリンダ及び上下動シリンダ、更には押えシリンダを用いることで行うこととしている。しかしながら、本発明は、これら構成に限定されず、押え用シリンダロッドを、保護フィルム上の所定点を中心とする球面上或いは円周上を好適に駆動し得る構成であれば良い。
本発明は、プリント配線基板等の製造時において、当該基板最表面に貼付けられている保護フィルムを剥離する、いわゆるピーリング装置及びピーリング方法に関する。しかしながら、本発明の適用対象は当該分野に限定されず、保護フィルム等、粘着性のフィルムが貼り付けられた部材から該粘着フィルムを剥がすための工程に対して起用することが可能である
本発明の実施例に係る剥離装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施例に係る剥離ユニットの概略構成を示す図である。 上側剥離ユニットと下側剥離ユニットとの位置関係を示す側面図である。 上側剥離ユニットと下側剥離ユニットとの位置関係を示す正面図である。 上側揺動シリンダを説明する図である。 上側上下動シリンダを説明する図である。 剥離ユニットに付随するフィルムカッタ及びフィルムチャックを示す平面図である。 本発明の実施に際してその対象としたフィルム付基板の上面図である。 図7Aにおける線7B−7Bにおける切断面を示す図である。 剥離切っ掛けを形成する際の装置の動作を示す図である。 剥離切っ掛けを形成する際の装置の動作を示す図である。 剥離切っ掛けを形成する際の装置の動作を示す図である。 剥離切っ掛け形成後に、剥離操作を行う際の各構成の動作を示す図である。
符号の説明
1:剥離装置、 2:フィルム付基板、 3:架台、 5:基板搬送レール、 7:剥離済みフィルム回収箱、 9:支持枠、 10:基板、 11:保護フィルム、 13:ドライレジストフィルム、 20:上側剥離ユニット、 21:上側剥離ユニット駆動系、 23:上側支持フレーム、 25:上側揺動板、 27:上側揺動シリンダ、 29:上側上下動シリンダ、 31:上側粘着テープ供給ローラ、 33:上側粘着テープ巻き取りローラ、 35:上側テープ押えシリンダ、 36:上側押え用シリンダロッド、 37:上側第一のガイドローラ、 39:上側第二のガイドローラ、 41:上側フィルムカッタ、 43:上側フィルムチャック、 45:上側粘着テープ、 47:上側巻き取りモータ、 49:下側剥離用バックアップシリンダ、 50:下側剥離用シリンダロッド、 80:下側剥離ユニット、 83:下側支持フレーム、 95:下側テープ押えシリンダ、 96:下側押え用シリンダロッド、 105:下側粘着テープ、 109:上側剥離用バックアップシリンダ、 110:上側剥離用シリンダロッド

Claims (7)

  1. 基板表面に貼り付けられたフィルムを剥離するピーリング装置であって、
    粘着テープを下端面にて保持し、前記下端面により前記フィルムの角部に対して前記粘着テープを押し付ける押え用部材と、
    前記押え用部材に対して前記粘着テープを供給するテープ供給系と、
    前記フィルムの角部に前記粘着テープを押し付けた後、前記押え用部材を、前記フィルム上の所定点を中心とする円周上に沿って移動させる押え用部材駆動系とを有することを特徴とするピーリング装置。
  2. 前記基板を第一の方向に移動させる基板駆動系と、前記粘着テープを介して前記押え用部材に付着して前記基板表面より剥離した前記フィルムの一部を把持するチャック機構と、前記チャック機構を前記第一の方向と直行する方向に駆動する駆動系とを更に有することを特徴とする請求項1記載のピーリング装置。
  3. 基板に貼り付けられたフィルムを剥離するピーリング方法であって、
    押え用部材の下端面によって粘着テープを保持し、前記下端面によって前記フィルムの角部に対して前記粘着テープを貼付け、
    前記押え用部材を、前記フィルム上の所定点を中心とする円周上に沿って移動させて前記フィルムの角部を前記基板から剥離する工程を有することを特徴とするピーリング方法。
  4. 前記フィルム角部を前記基板から剥離した状態で前記押え用部材を前記基板表面から遠ざけ、
    剥離状態にある前記フィルムをチャック機構により把持し、
    前記チャック機構を前記基板の延在する面と平行な面にて前記基板の略対角方向に相対的に移動する工程を更に有することを特徴とする請求項3記載のピーリング方法。
  5. 前記フィルム上の前記所定点は、前記フィルムと接する前記押え用部材の前記下端面の端部から所定の間隔を空け、且つ前記押え用部材が前記粘着テープを押し付ける前記フィルムの角部から離れた点に設けられることを特徴とする請求項1或いは2何れかに記載のピーリング装置。
  6. 前記チャック機構が駆動される前記方向は前記基板の表面と平行且つ接近した方向であることを特徴とする請求項2記載のピーリング装置。
  7. 前記押え用部材、前記テープ供給系、前記押え部材駆動系、前記チャック機構、及び前記チャック機構の駆動系は前記基板の表側及び裏側に各々配置されており、前記チャック機構の駆動系が前記チャック機構を駆動する前記方向は前記基板の表面側と裏面側とで対向する向きであることを特徴とする請求項2記載のピーリング装置。
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