JP4013626B2 - 含フッ素共重合体粒子の製造法および粉体塗料用組成物 - Google Patents

含フッ素共重合体粒子の製造法および粉体塗料用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素共重合体粒子の製造法に関する。より詳しくは、粉体塗料用樹脂として有用な含フッ素共重合体粒子を重合上がりの重合反応生成液を利用した水性懸濁液から効率よく回収する含フッ素共重合体粒子の製造法に関する。本発明の製造法によれば、重合後の共重合体の回収が容易で、後処理も容易にすることができ、かつ残存溶媒の少ない含フッ素共重合体粒子を製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂は、耐薬品性、耐候性、耐熱性、撥水撥油性等に優れた性質を有することから、コーティング剤、被覆剤、撥水撥油剤などの幅広い用途に利用されている。
【0003】
近年、粉体塗料は、溶剤を含まない、回収再利用が可能であるという長所から金属塗装全般に広く使用されている。その中でもフッ素系粉体塗料は、建築材料や橋梁等の耐候性の重要な用途への要求が高まってきている。
【0004】
このフッ素系粉体塗料用の含フッ素共重合体を製造する方法としては溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、有機溶媒系析出重合法などが知られている。溶液重合法による含フッ素粉体樹脂の製造例としては特公平6−104792号公報などが知られているが、残存溶媒の少ない粒状あるいは粉状ポリマーを得るには、高温下あるいは高真空下での乾燥および粉砕などの工程が必要である。
【0005】
含フッ素共重合体粒子の懸濁重合による製造例としては、特開平2000−26767公報などが知られている。一般に、含フッ素共重合体粒子を懸濁重合により製造する際、含フッ素モノマーを連鎖移動反応性の小さいフッ素系有機液体を含む水性重合媒体中で懸濁重合を行なった後、重合媒体を留去し含フッ素共重合体粒子を得る方法が行なわれているが、フッ素系有機液体に溶解または膨潤しやすい含フッ素共重合体粒子では共重合体粒子中の重合媒体を留去することが困難なだけでなく、留去することによって共重合体粒子が塊状化したり、さらには一体となって餅(パン生地)のような状態となり、反応槽の攪拌翼に付着したり、場合によっては攪拌を困難にしたり、さらには重合体を取り出して回収することすら困難になることがある。
【0006】
この問題を解決する方法としては、特許2588619号明細書などに報告されているように、重合時に分散安定剤を添加する方法が知られているが、この重合系に分散安定剤を添加すると、その分散安定剤が連鎖移動反応を惹き起こし、重合速度を低下させたり、グラフト反応を起こしたりするため、粉体塗料として用いたときに得られる塗膜の物性を低下させるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、含フッ素共重合体の重合反応生成液から共重合体粒子を回収する際、粒子の塊状化および餅状化を防止し、不純物が少なく、残留媒体量が少なくかつ、製造時(回収時)に取り扱い性のよい含フッ素共重合体粒子を効率的に製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水中懸濁重合法、有機溶媒系析出重合法および溶液重合法に特に好適に適用できる含フッ素共重合体粒子の製造法に関する。
【0009】
すなわち、
含フッ素モノマーを含む混合モノマーを、水中で有機重合媒体の存在下に重合を行なう水中懸濁重合で重合することにより製造された含フッ素共重合体粒子と有機重合媒体を含む重合反応生成液の水性懸濁液に、分散安定剤を添加して含フッ素共重合体粒子を水中に分散させた後、有機重合媒体を留去することを特徴とする含フッ素共重合体粒子の製造法;および
含フッ素モノマーを含む混合モノマーを有機重合媒体中で重合することにより製造された含フッ素共重合体の有機重合媒体溶液または、有機重合媒体中で有機析出重合することにより製造された含フッ素共重合体粒子の有機懸濁液を、水および分散安定剤と混合して水性懸濁液を調製して含フッ素共重合体を粒子状で水中に分散させた後、有機重合媒体を留去することを特徴とする含フッ素共重合体粒子の製造法に関する。
【0010】
使用する分散安定剤としては乳化剤が好ましく、さらにはHLB価が13以上の非イオン性の乳化剤であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の製造法は、フルオロオレフィンモノマー単位と炭化水素系モノマー単位を含む含フッ素共重合体粒子、なかでもテトラヒドロフラン(THF)に実質的に溶解する含フッ素共重合体の粒子の製造に特に好適である。
【0012】
また、重合媒体を留去する際に消泡剤を添加することが望ましい。
【0013】
本発明はまた、以上の製造法で得られる含フッ素共重合体粒子を用いた粉体塗料樹脂組成物にも関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明における「重合反応生成液の水性懸濁液」は、含フッ素モノマーを含む混合モノマーを重合媒体中で重合することにより製造された含フッ素共重合体またはその粒子と重合媒体を含む重合反応生成液を、該重合反応生成液が含フッ素共重合体粒子の水性懸濁液(水中懸濁重合反応生成液)であればそのまま、重合反応生成液が含フッ素共重合体粒子の有機懸濁液(有機析出重合反応生成液)または含フッ素共重合体の有機重合媒体の均一溶液(溶液重合反応生成液)であれば、重合反応生成液を水と混合(水中に投入またはその逆)して得られる水性懸濁液である。したがって、たとえば一旦共重合体粒子を回収したのち粒子を水中に再分散させて得られる水性懸濁液は、本発明の対象外である。そうした技術としては、特開平09−367319号公報で開示されているようないわゆる造粒法がある。さらに、乳化重合で得られる重合反応生成液はそれ自体多量の分散安定剤(乳化剤)を含有しており、重合反応終了後に分散安定剤を加える本発明の製造法とは異なり、これまた本発明の対象外である。
【0016】
より具体的に説明すると、たとえば水中で有機溶媒の存在下に重合を行なう水中懸濁重合の場合、得られる重合反応生成液は含フッ素共重合体粒子の水性懸濁液の形態であり、そのまま、あるいは水の量を調整して共重合体粒子濃度を変化させた後、分散安定剤を添加する。
【0017】
水中懸濁重合用の有機溶媒としては、懸濁重合反応に用いることができる有機溶媒であれば特に限定されない。連鎖移動反応性が小さく、かつ含フッ素モノマー混合物および重合開始剤を完全に溶解する溶媒が好ましく、さらには得られる含フッ素共重合体粒子を膨潤させにくいものが好ましい。また溶媒除去の観点からは、水の沸点以下の比較的低温で加熱下または減圧(真空)下にて除去できるものが好ましい。このような溶媒の具体例としては、たとえばクロロフルオロカーボン(CFC)類、ハイドロクロロカーボン(HCFC)類、ヒドロフルオロカーボン(HFC)類、ヒドロフルオロエーテル(HFC/E)類があげられるが、オゾン破壊係数がゼロでありかつ、炭素数2〜10のヒドロフルオロカーボン(HFC)類、ヒドロフルオロエーテル(HFC/E)類の使用が好ましい。溶媒の除去性、重合圧力の面から特に炭素数が3から5のものであることが好ましい。このような好適な媒体の具体例としては、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,2,2-テトラフルオロシクロブタン、CF2HCF2CF2CF2H、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365fmc)、F(CF24OCH3、(CF32CFOCH3、H(CF23OCH3などがあげられる。
【0018】
また、特公平6−104792号公報などで報告されているような溶液重合により含フッ素共重合体粒子を製造する場合、得られる重合反応液は、共重合体が有機溶剤に溶解した均一溶液であり、たとえばこの溶液を水中に投入して水性懸濁液にしたものに分散安定剤を添加、分散させる。そのほかの分散安定剤の添加時期などについては後述する。溶液重合で使用される有機溶媒としては、水の沸点以下であり、共重合体を溶解させる溶媒が好ましい。このような溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのエーテル類;イソプロパノール、t-ブタノールなどのアルコール類;クロロフォルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;HCFC225CBなどのフルオロカーボン類などがあげられる。
【0019】
さらにまた有機溶媒中での重合で、共重合体が溶媒に溶解せずに粒子状に析出するような析出重合の場合、得られる重合反応生成液は共重合体粒子の有機分散(懸濁)液であるが、たとえば分散安定剤はこの有機分散液を水中に投入したものに添加する。そのほかの分散安定剤の添加時期などについては後述する。析出重合で使用される溶媒としては、上記水中懸濁重合で使用される溶媒などがあげられる。
【0020】
したがって、いずれの重合法により含フッ素共重合体を製造するにしても、水性懸濁液は水と有機溶媒からなる分散媒体と含フッ素共重合体粒子とからなる。
【0021】
ただ、反応速度が速く、重合熱の除去や取り扱い性が容易な点からは、懸濁重合により得られる重合反応生成液(水性懸濁液)を処理対象とすることが好ましい。
【0022】
水性懸濁液の共重合体粒子濃度は、水量、溶媒量、共重合体量などにより異なるが、10〜70重量%、特に30〜60重量%の範囲に調整することが好ましい。
【0023】
また含フッ素共重合体粒子の粒子径は、溶媒量、共重合体量、分散安定剤濃度、攪拌速度、溶媒留去温度などにより異なり、特に限定されないが、通常0.01〜5mm、特に0.01〜3mmの平均粒径範囲の粒子を製造するのに好適である。
【0024】
前記の従来技術で説明したような餅状になってしまう含フッ素共重合体の多くは実質的にTHFに溶解するものである。したがって本発明は、実質的にTHFに溶解する含フッ素共重合体粒子の製造に特に適する。
【0025】
ここで「実質的にTHFに溶解する」とは、液温25℃のTHF100g中に含フッ素共重合体が1g以上溶解することをいう。本発明では、液温25℃のTHF100g中に5g以上、さらには20g以上溶解する含フッ素共重合体の粒子の製造に好適である。
【0026】
そうした含フッ素共重合体としては、フルオロオレフィンモノマー単位と炭化水素系モノマー単位を含む含フッ素共重合体が好ましくあげられる。
【0027】
フルオロオレフィンモノマーとしては、たとえばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ペンタフルオロプロピレンなどの含フッ素モノマーがあげられ、要求される目的、性状に応じて適宜選択すればよい。またこれらのフルオロオレフィンは、1種または2種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
炭化水素系モノマーとして、たとえばエチレン、プロピレン、イソブチレン、ブチレンなどのアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルシクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;エチルアリルエステル、ブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステルなどのアリルアルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類などがあげられる。
【0029】
また熱硬化性粉体塗料用樹脂として使用する場合は、さらに架橋性基(水酸基やカルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトリル基、イソシアネート基など)を有するモノマーを共重合した共重合体を用いる。
【0030】
官能基を有するモノマーとしては、たとえばヒドロキシエチルビニルリーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのヒドロキシアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、ヒドロキシイソブチルアリルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル、ヒドロキシイソブチルアリルエステル、ヒドロキシシクロヘキシルアリルエステルなどのヒドロキシアリルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類などや、また、これらの部分的にフッ素置換された化合物などがあげられる。水酸基含有単位を与えるモノマーとしては、これのうちの1種または2種以上を選択して使用してもよい。また、フルオロオレフィンとの共重合性から、ビニル系あるいはアリル系化合物を採用することが望ましい。
【0031】
本発明に用いてもよいカルボキシル基を有するモノマーとしては、たとえば(メタ)クリル酸、カルボキシルアルキルアリルエーテルなどがあげられる。また、グリシジル基を有するモノマーとしては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテルなどが挙げられる。アミノ基を有するモノマーとしては、たとえばアミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテルなどがあげられる。アミド基を有するモノマーとしては、たとえば(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミドなどがあげられる。ニトリル基を有するモノマーとしては、たとえば(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。イソシアネート基を有するモノマーとしては、たとえばビニルイソシアネート、イソシアネートエチルアクリレートなどがあげられる。
【0032】
なお、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)やエチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体(ECTFE)、エチレンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体などは、THFに実質的に溶解しない含フッ素共重合体である。
【0033】
本発明の特徴は、重合反応終了後の重合反応生成液から、一旦、分散安定剤を添加するなどにより、分散安定剤を含む水性懸濁液を調製する点にある。
【0034】
本発明に用いる分散安定剤としては、乳化剤、水溶性高分子などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
乳化剤としては、たとえばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリドデシルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルへキシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオレエートなどのポリオキシエチレンアルキルエステル類;ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ソルビタンラウレートなどのソルビタン誘導体類などの非イオン性性乳化剤;
ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどの脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのスルフォン酸塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル類;パーフルオロオクタン酸などのフッ素系乳化剤などのアニオン性乳化剤;
ラウリルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などのカチオン性乳化剤;
ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどの両性乳化剤;
そのほかポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリエチレンオキシド類、セルロース類、ポリアクリル酸類、ポリメタクリル酸類、ポリビニルピリジン類、ポリビニルピリミジン類、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム、ポリビニルスルフォン酸ナトリウムなどの水溶性高分子も使用できる。
【0036】
これらの分散安定剤は1種または2種以上の混合系で使用してもよく、その添加量は、水に対して0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲で選ばれる。含フッ素共重合体粒子の反応槽壁や攪拌翼などへの付着を防止できる点、また付着しても除去が容易な点から、水溶性高分子および乳化剤が好ましく、さらには乳化剤、より好ましくはHLB価が13以上の非イオン性の乳化剤が好ましい。
【0037】
分散安定剤の添加時期は、重合が終了した後であれば特に限定されず、水中懸濁重合法で得られる重合反応生成液(水性懸濁液)の場合は、重合反応生成液に分散安定剤を直接添加したり、分散安定剤の水溶液にしてから添加したりすればよい。逆に重合反応生成液を分散安定剤を含む水に投入してもよいし、また水に投入した後分散安定剤を添加してもよい。溶液重合で得られる重合反応生成液(有機均一溶液)の場合は、重合反応生成溶液を分散安定剤含有水に投入してもよいし、水に投入した後分散安定剤を添加してもよい。また、重合反応生成溶液に分散安定剤を添加した後、水に投入または水を投入してもよい。もちろん、重合反応生成溶液に分散剤水溶液を投入してもよいし、水を投入した後分散安定剤を添加してもよい。また析出重合で得られる有機懸濁液の場合も、その有機懸濁液を分散安定剤含有水に投入してもよいし、水に投入した後分散安定剤を添加してもよい。また、有機懸濁液に分散安定剤を添加した後、水に投入または水を投入してもよい。もちろん、有機懸濁液に分散剤水溶液を投入してもよいし、水を投入した後分散安定剤を添加してもよい。
【0038】
得られる分散安定剤含有水性懸濁液は、ついで攪拌や加温をすることで安定した分散状態となる。ついで攪拌、加温下で水性懸濁液中の有機溶媒を留去する。この留去処理工程は、水性懸濁液を常圧で溶媒の沸点以上に加熱する方法、加熱下または常温下で減圧する方法などで行なうことができる。これらのうち、溶媒回収再利用の観点から常圧下もしくは減圧下で加熱する方法が好ましい。加熱温度は、溶媒の沸点以上で水の沸点以下、好ましくは溶媒の沸点+20〜30℃程度である。また、溶液重合や析出重合法に使用する有機重合溶媒が水溶性溶媒である場合は、水で洗い流す方法でも除去できる。
【0039】
分散安定剤を添加しない場合、有機溶媒の留去工程で含フッ素共重合体粒子同士が凝集して接着し、融合して餅状の大きな塊になるが、本発明の製造法では有機溶媒を留去しても共重合体粒子の凝集・融合は生じず、粒子状で得られる。
【0040】
さらに、有機溶媒の留去の際、分散安定剤による泡立ちを防止するため、消泡剤を添加することが好ましい。消泡剤としては、水系で消泡性を有するものであれば特に限定されない。具体例としては、たとえばエマルジョン型あるいは自己乳化型のシリコーン系消泡剤、ポリエーテル、金属石鹸、脂肪酸エステル、高級アルコールなどの界面活性剤系消泡剤;ワックスや鉱物油などの鉱物油系消泡剤などがあげられる。消泡剤の添加量は、分散安定剤の種類や添加量により適宜調整される。
【0041】
有機溶媒を留去した後、共重合体粒子を洗浄し、脱水し、乾燥という通常の後処理工程を施すことによって、たとえば粉体塗料の原料として使用できる含フッ素共重合体粉末とすることができる。
【0042】
共重合体粒子に付着した分散安定剤は、後に形成される塗膜の物性に悪影響を及ぼすことがあるため、できる限り除去することが望ましい。残存分散安定剤は各種溶剤または水により除去できるが、取扱いが容易で洗浄除去も良好な点から、水洗または温水洗浄により除去することが好ましい。
【0043】
また、消泡剤も共重合体粒子に残存すると塗膜物性に悪影響を及ぼすことがあるため、できる限り除去することが望ましい。消泡剤の除去は分散安定剤と同様、前記の方法で除去可能である。
【0044】
本発明の製造法により製造された含フッ素共重合体粒子は、この粒子をそのまま、または常法により粉砕し、要すれば造粒して各種の用途に使用できる。
【0045】
本発明の製造法で得られた特に粉体塗料用樹脂として有用であり、要すれば平均粒径を20〜80μmの範囲に調整してフッ素樹脂粉体クリア塗料として用いることができる。本発明はかかるフッ素樹脂粉体塗料にも関する。
【0046】
本発明のフッ素樹脂粉体塗料は、本発明の製造法で得られた含フッ素共重合体樹脂粒子に加えて、粉体塗料に通常配合される各種添加剤を配合することができる。そうした添加剤としては、たとえば着色顔料(二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどの無機顔料やフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、インドリノン、キナクリドン、アントラキノン、各種有機金属錯体などの有機顔料)、体質顔料(炭酸カルシウム、タルク、シリカなど)、金属粉(アルミ粉、ステンレス粉)、マイカ粉、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡防止剤、熱劣化防止剤などがあげられる。これらの添加剤は必要に応じて1種または2種以上配合することができる。
【0047】
含フッ素重合体に架橋部位が導入されている場合、硬化剤を配合する。硬化剤としては、従来より熱硬化性粉体塗料に使用されているものが使用でき、架橋部位の種類、焼付け温度などにより適宜選定される。たとえばブロック化イソシアネート化合物、酸無水物、ポリアミン化合物、イソシアヌレート化合物、多塩基酸などがあげられる。
【0048】
【実施例】
つぎに実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
比較合成例1(懸濁重合)
容量4リットルのガラス製オートクレーブに脱イオン化水760g、炭酸カリウム7.6gを仕込んだ後、窒素置換と真空脱気を行なって溶存酸素を除いた後、重合溶媒であるHCFC141bを570g、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)を340g、ヒドロキシブチルビニルエーテルを3.1g、t-ブチル安息香酸ビニルを1.6g仕込み、35℃に温度を調整した。ついでテトラフルオロエチレン(TFE)/エチレン(Et)の混合モノマーガス(組成82/18モル%)を導入し0.9MPaGまで昇圧した後、重合開始剤としてパーロイルIBのHCFC225CB25%溶液(日本油脂(株)製)20gを仕込み反応を開始させた。反応中は、反応容器の圧力をTFE/Et/HFPの混合モノマーガス(組成45/39/16モル%)を連続供給して圧力を0.9MPaGに保った。さらに混合モノマーガスの消費に合わせて液モノマーであるヒドロキシブチルビニルエーテルおよびt-ブチル安息香酸ビニルを連続的に供給した。5時間反応を行なった後、混合モノマーガスの供給を停止し、残存ガスモノマーを放出し、重合溶媒を50℃にて留去し、反応を停止させた。オートクレーブを開放し共重合体粒子の状態を確認したところ、1つの餅状の塊となっていた。この餅状の塊を粉砕後洗浄し、乾燥して含フッ素共重合体粒子(粒径範囲:約0.01〜2mm)とした(得量98g)。この粉砕粉末を「B−1」と称する。また、得られた含フッ素共重合体のガラス転移温度は52℃、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は17000であった。1H−NMR、19F−NMRおよび元素分析より算出した共重合体の組成は、TFE/Et/HFP/ヒドロキシブチルビニルエーテル/p-t-ブチル安息香酸ビニル=32/37/14/8/9モル%であった。また、この含フッ素共重合体粒子20gをTHF100g中に入れ25℃にて攪拌したところ完全に溶解した。
【0050】
合成例1(懸濁重合)
比較合成例1のHCFC141bをHFC245faに変更した以外は合成例1と同様にして6時間反応させた後、残存ガスモノマーを放出する(重合溶媒は留去しない)ことにより重合反応を停止させ、含フッ素共重合体粒子の重合反応生成液を得た。得られた含フッ素共重合体の重合反応生成液の一部を取り出し、ヘキサンに再沈殿を行ない未反応モノマーを除去後、乾燥して分析用の含フッ素共重合体粒子を得た。この含フッ素共重合体のガラス転移温度は54℃、サイズ排除クロマトグラフィーによる数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は20000であった。1H−NMR、19F−NMRおよび元素分析より算出した共重合体の組成は、TFE/Et/HFP/ヒドロキシブチルビニルエーテル/p-t-ブチル安息香酸ビニル=34/35/13/8/10モル%であった。また、この含フッ素共重合体粒子20gをTHF100g中に入れ25℃にて攪拌したところ完全に溶解した。
【0051】
合成例2(懸濁重合)
比較合成例1のHCFC141bをHFC365fmcに変更した以外は合成例1と同様にして6時間反応させた後、残存ガスモノマーを放出する(重合溶媒は留去しない)ことにより重合反応を停止させ、含フッ素共重合体粒子の重合反応生成液を得た。得られた含フッ素共重合体の重合反応生成液の一部を取り出し、ヘキサンに再沈殿を行ない未反応モノマーを除去後、乾燥して分析用の含フッ素共重合体粒子を得た。この含フッ素共重合体のガラス転移温度は56℃、サイズ排除クロマトグラフィーによる数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は17000であった。1H−NMR、19F−NMRおよび元素分析より算出した共重合体の組成は、TFE/Et/HFP/ヒドロキシブチルビニルエーテル/p-t-ブチル安息香酸ビニル=34/34/15/8/9モル%であった。また、この含フッ素共重合体粒子20gをTHF100g中に入れ25℃にて攪拌したところ完全に溶解した。
【0052】
合成例3(溶液重合)
内容積4リットルのステンレススチール製の撹拌機付耐圧反応器に、HCFC225CBを2100g、シクロヘキシルビニルエーテルを213g、イソブチルビニルエーテルを120g、ヒドロキシブチルビニルエーテルを333g、炭酸カリウムを13gおよびアゾビスイソブチロニトリルを1g仕込み、窒素置換および真空脱気を行なって溶存酸素を除いた。ついでクロロトリフルオロエチレン(CTFE)667gを耐圧容器内に導入し徐々に昇温し、温度65℃に維持しながら撹拌下で反応を続けた。10時間後に反応器を水冷して反応を停止し、室温まで冷却した後、未反応モノマーを抜き出し、反応器を開放した。得られた含フッ素共重合体の重合反応生成液の一部を取り出し、ヘキサンに再沈殿を行ない未反応モノマーを除去後、乾燥して分析用の含フッ素共重合体粒子を得た。この含フッ素共重合体粒子はガラス転移温度45℃、サイズ排除クロマトグラフィーによる数平均分子量(標準ポリスチレン換算)は50000であった。1H−NMR、19F−NMRおよび元素分析より算出した共重合体の組成は、CTFE/シクロヘキシルビニルエーテル/イソブチルビニルエーテル/ヒドロキシブチルビニルエーテル=50/16/9/25モル%であった。また、この含フッ素共重合体粒子20gをTHF100g中に入れ25℃にて攪拌したところ完全に溶解した。
【0053】
実施例1
合成例1において、重合終了後、残存ガスモノマーをさらにオートクレーブ内が約0.3MPaGの圧力になるまで放出した後、重合反応生成液(水性懸濁液)にHLB価が18.1のポリエチレングリコールラウリルエーテル(以下、「PEG‐LE」という)(花王(株)製のエマルゲン130K。商品名)/イオン交換水/シリコン系消泡剤(アンチフォームEPL。ダウコーニング社製)の混合液をPEG‐LEの濃度が対水2重量%、消泡剤濃度が0.2重量%になるようにオートクレーブ内に添加し、攪拌して懸濁液中に分散させた。ついで45℃に加熱して残存ガスモノマーおよび重合溶媒(HFC245fa)を留去し、含フッ素共重合体粒子の分散液を得た。溶媒留去の際、水性分散液の泡立ちは少なく容易に重合溶媒を回収できた。得られた含フッ素粒子は粒径範囲0.01〜1mmの粒状であり餅状化、塊状化した粒子は殆ど認められなかった。この共重合体粒子の分散液から含フッ素共重合体粒子を濾過により取り出し、水で洗浄し、温風乾燥機で50℃にて24時間乾燥して含フッ素共重合体の白色粉末を得た。この粉末を「A−1」と称する。
【0054】
実施例2
実施例1においてPEG−LEの濃度を対水0.5重量%になるように添加し、かつ消泡剤を添加しなかった以外は同様にして、含フッ素共重合体粒子を分散させた。ついで45℃に加熱して残存ガスモノマーおよび重合溶媒(HFC245fa)を留去し、含フッ素共重合体粒子を得た。留去の際、水性分散液に泡立ちが認められたが、得られた含フッ素共重合体粒子は粒径範囲約0.01〜2mmの細粒状であり、餅状化および塊状化した粒子は認められなかった。この共重合体粒子の分散液から含フッ素共重合体粒子を濾過により取り出し、水で洗浄し、温風乾燥機で50℃にて24時間乾燥して含フッ素共重合体の白色粉末を得た。この粉末を「A−2」と称する。
【0055】
実施例3
合成例2において、重合終了後、残存ガスモノマーをさらにオートクレーブ内が約0.3MPaGの圧力になるまで放出した後、重合反応生成液(水性懸濁液)にPEG−LE/イオン交換水/シリコン系消泡剤(アンチフォームEPL。ダウコーニング社製)の混合液をPEG−LEの濃度が対水2重量%、消泡剤濃度が0.2重量%になるように、オートクレーブ内に添加し、攪拌して懸濁液中に分散させた。ついで40℃の加熱下減圧にして残存ガスモノマーおよび重合溶媒(HFC365fmc)を留去し、含フッ素共重合体粒子の分散液を得た。溶媒留去の際、水性分散液の泡立ちは少なく容易に重合溶媒を回収できた。得られた含フッ素粒子は粒径範囲0.01〜1.5mmの粒状であり餅状化、塊状化した粒子は殆ど認められなかった。この共重合体粒子の分散液から含フッ素共重合体粒子を濾過により取り出し、水で洗浄し、温風乾燥機で50℃にて24時間乾燥して含フッ素共重合体の白色粉末を得た。この粉末を「A−3」と称する。
【0056】
実施例4
実施例1において、分散安定剤としてPEG‐LEに代えてラウリル硫酸ナトリウム(以下、「SDS」という)を用いた以外は同様にして、含フッ素共重合体粒子を分散させた。ついで45℃に加熱して残存ガスモノマーおよび重合溶媒(HFC245fa)を留去し、含フッ素共重合体粒子を得た。留去の際、水性分散液の泡立ちは少なく、容易に重合溶媒を回収できた。得られた含フッ素共重合体粒子は粒径範囲約0.01〜1mmの粒状であり、餅状化および塊状化した粒子は殆ど認められなかった。この共重合体粒子の分散液から含フッ素共重合体粒子を濾過により取り出し、水で洗浄し、温風乾燥機で50℃にて24時間乾燥して含フッ素共重合体の白色粉末を得た。この粉末を「A−4」と称する。
【0057】
実施例5
実施例1において、分散安定剤としてPEG−LEに代えてポリビニルアルコール(重合度500。以下、「PVA500」という)を用いた以外は同様にして、含フッ素共重合体粒子を分散させた。ついで45℃に加熱して残存ガスモノマーおよび重合溶媒(HFC245fa)を留去し、含フッ素共重合体粒子を得た。留去の際、水性分散液の泡立ちは少なく、容易に重合溶媒を回収できた。得られた含フッ素共重合体粒子は粒径範囲約0.01〜3mmの粒状であり、餅状化および塊状化した粒子は殆ど認められなかった。この共重合体粒子の分散液から含フッ素共重合体粒子を濾過により取り出し、水で洗浄し、温風乾燥機で50℃にて24時間乾燥して含フッ素共重合体の白色粉末を得た。この粉末を「A−5」と称する。
【0058】
実施例6
1リットルの耐圧ガラス製オートクレーブに合成例3(溶液重合法)で得られた重合反応生成溶液200gを水500gに投入し、SDSを対水1重量%の濃度になるように添加し、攪拌して含フッ素重合体を分散させた。ついでSDS/イオン交換水/シリコン系消泡剤の混合溶液をSDS濃度が対水2重量%になるようにオートクレーブ内に添加し、攪拌して含フッ素共重合体粒子を分散させた。ついで40℃の加熱下に減圧して残存ガスモノマーおよび重合溶媒(HCFC225CB)を留去し、含フッ素共重合体粒子を得た。留去の際、水性分散液に泡立ちは認められなかった。得られた含フッ素共重合体粒子は粒径範囲約0.1〜4mmの粒状であり、餅状化および塊状化した粒子は殆ど認められなかった。この共重合体粒子の分散液から含フッ素共重合体粒子を濾過により取り出し、水で洗浄し、温風乾燥機で50℃にて24時間乾燥して含フッ素共重合体の白色粉末を得た。この粉末を「A−6」と称する。
【0059】
なお、実施例1〜6および比較合成例1における条件と結果を表1にまとめた。
【0060】
【表1】
Figure 0004013626
【0061】
実施例7〜13(塗膜物性)
表2に示す組成物の全成分をポリエチレン製の袋に入れ、振とう混合した後、2軸溶融混練機(プリズム社製16mmツインエクストルーダー)で135℃にて溶融混練し、冷却した後、万能粉砕機(IKA社製)にて室温で微粉砕した。ついで150メッシュの金網で分級し、各粉体塗料組成物を製造した。
【0062】
この粉体塗料組成物を、化成処理アルミニウム板に静電塗装法により塗装を行ない(塗装条件:コロナ式粉体塗装ガン。小野田セメント(株)製GX300、印加電圧60kV)、200℃15分間焼付けを実施し、硬化塗膜を得た。この硬化塗膜について塗膜物性を調べた。結果を表2に示す。
【0063】
表2において用いた添加剤は、酸化チタンとしてデュポン社製のタイピュア−R960(商品名)、硬化剤としてε−カプロラクタムブロックイソシアネートであるデグサ・ヒュルス社製のB−1530(商品名)、およびレべリング剤としてモンサント社製のモダフロー(商品名)を使用した。
【0064】
塗膜物性はつぎの項目について調べた。
【0065】
(硬化膜厚)
渦電流式膜厚計EL10D((株)サンコウ電子研究所製)にて測定する。
【0066】
(塗膜外観)
蛍光灯を塗装物に映して見たときに、塗膜表面に映る蛍光灯の形を目視で観察する。評価は、A:歪みがない、B:ごく僅かに歪みがある、C:僅かに歪んでいる、D:大きく歪んでいる、とした。
【0067】
(光沢)
JIS K5400−6.1にしたがって60度鏡面光沢度を調べる。
【0068】
(鉛筆硬度)
JIS K5400にしたがって鉛筆硬度を測定する。
【0069】
(耐衝撃性)
AAMA(American Architectural Manufacturers Association)規格のAAMA2605にしたがい落球試験を行なった後、テープ剥離試験を行なう。評価は、○:塗膜に割れや剥離がない、×:塗膜に割れまたは剥離が認められるとした。
【0070】
(密着性)
AAMA2605にしたがってゴバン目試験を行なう。
【0071】
(耐汚染性)
塗膜表面に油性インク(赤)を塗布し、室温で24時間放置した後、エタノールを含浸させた布で拭き取り、インク塗布前と拭取り後の色差(ΔE)を色差計により測定する。評価は、A:ΔEが1未満、B:ΔEが1以上5未満、C:ΔEが5以上とした。
【0072】
(耐候性)
促進耐候性試験機(サンシャインウェザオメーター)を用い、2000時間経過後の光沢保持率を調べる。
【0073】
【表2】
Figure 0004013626
【0074】
表2に示すとおり、本発明の製造法で得られた粉末はそのまま粉体塗料に使用しても、塗膜の特性を低下させることがない。なお、溶液重合法(実施例6)で得られた粉末(A−6)を用いた例では耐汚染性が低下しているが、これはフルオロオレフィンの種類が異なる(フッ素含有率が異なる)ことが原因であると考えられる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、含フッ素モノマーを含む混合モノマーの重合反応終了後、得られた含フッ素共重合体粒子が塊状化したり餅状となったりせずに、粒子の状態で回収できる。この含フッ素共重合体粒子には残留する重合用の空気溶媒が少なく、そのままでも粉体塗料用の原料として使用でき、得られる塗膜物性が向上する。

Claims (6)

  1. 含フッ素モノマーを含む混合モノマーを、水中で有機重合媒体の存在下に重合を行なう水中懸濁重合で重合することにより製造された含フッ素共重合体粒子と有機重合媒体を含む重合反応生成液の水性懸濁液に、分散安定剤を添加して含フッ素共重合体粒子を水中に分散させた後、有機重合媒体を留去することを特徴とする含フッ素共重合体粒子の製造法。
  2. 含フッ素モノマーを含む混合モノマーを有機重合媒体中で溶液重合することにより製造された含フッ素共重合体の有機重合媒体溶液または、有機重合媒体中で有機析出重合することにより製造された含フッ素共重合体粒子の有機懸濁液を、水および分散安定剤と混合して水性懸濁液を調製して含フッ素共重合体を粒子状で水中に分散させた後、有機重合媒体を留去することを特徴とする含フッ素共重合体粒子の製造法。
  3. 前記分散安定剤が乳化剤である請求項1または2記載の製造法。
  4. 前記分散安定剤がHLB価13以上の非イオン性の乳化剤である請求項1または2記載の製造法。
  5. 含フッ素共重合体が、フルオロオレフィンモノマー単位と炭化水素系モノマー単位を含み、実質的にテトラヒドロフランに溶解する請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. 重合媒体を留去する際、消泡剤を添加する請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
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