JP4013531B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電磁器組成物、詳しくは、1000℃以下の低温焼成が可能で、かつ焼成時の焼結体変形が少ない圧電磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電磁器には、優れた圧電特性を有するチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電磁器組成物が広く用いられてきた。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電磁器組成物は、焼成温度が1050℃以上と高いので、電極と共焼結する際に、高コストのパラジウムを主成分として含む電極材料を用いなければならなかった。このため、安価な銀などを主成分として含む電極材料を用いることができるよう、1000℃以下の低温焼成が可能な圧電磁器組成物が要請されていた。
【0003】
これを受けて、例えば特開昭54−91799号公報においては、1000℃以下の低温焼成が可能な圧電磁器組成物として、コバルト酸タングステン酸鉛Pb(Co1/2W1/2)O3とチタン酸鉛PbTiO3とからなる2成分磁器組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の2成分磁器組成物においては、1000℃以下の低温焼成は可能なものの、仮焼時にパイロクロア化合物が生成しやすい。パイロクロア化合物は、目的とするペロブスカイト化合物と焼成時における収縮率が異なるため、焼結体の変形の原因となる。よって、上記の2成分磁器組成物では、一定形状の製品を安定生産するのが難しいという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、1000℃以下の低温焼成が可能で、かつ焼成時の焼結体変形が少ない圧電磁器組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る圧電磁器組成物は、主成分が一般式Pba(Coα /2W(2- α )/2)bTi1-bO3で表され、0.90≦a≦1.05、0.01≦b≦0.33、1.01≦α≦1.10を満足することを特徴とする。
【0007】
このような組成にすることにより、1000℃以下で低温焼成できる圧電磁器組成物が得られる。また、Co酸化物およびW酸化物の組成範囲を上記のように設定することによって、W酸化物の含有量を化学量論量より小さくして、仮焼時に生成するパイロクロア化合物Pb2TiWO7を減少させることができる。
【0008】
第2の発明に係る圧電磁器組成物は、上記圧電磁器組成物を主成分とし、副成分としてMnをMnO2に換算して0.5mol%〜7.5mol%含有することを特徴とする。
【0009】
このような副成分を含有することによって、圧電磁器組成物の絶縁性が改善され、分極処理が容易になる。
【0010】
第3の発明に係る圧電磁器組成物は、上記圧電磁器組成物におけるPb原子の20mol%以下をCa、Ba、Srよりなる群から選ばれた1種以上の元素で置換することを特徴とする。
【0011】
このような組成にすることにより、焼結密度の高い圧電磁器が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る圧電磁器組成物において、上記のように組成範囲を限定した理由を説明する。
【0013】
Pb量aに関して、0.90≦a≦1.05としたのは、aの値が0.90より小さい場合、磁器の焼結性が悪化して1000℃以下の低温焼成ができないからであり、aの値が1.05より大きい場合、焼結体の強度が著しく低下して加工が困難になるからである。
【0014】
(Coα /2W(2- α )/2)量bに関して、0.01≦b≦0.33としたのは、bの値が0.01より小さい場合、1000℃以下の低温焼成ができないからであり、bの値が0.33より大きい場合、キュリー温度が低下して圧電体としての利用が困難になるからである。
【0015】
Co量αに関して、1.01≦α≦1.10としたのは、αの値が1.01より小さい場合、仮焼時にペロブスカイト化合物と収縮率が異なるパイロクロア化合物Pb2TiWO7が生成し、焼成時の焼結体変形が大きくなるからであり、αの値が1.10より大きい場合、磁器の絶縁性が劣化し分極処理が困難になるからである。
【0016】
副成分のMn量に関して、MnO2に換算して0.5mol%〜7.5mol%としたのは、この範囲外において絶縁性改善効果が得られないからである。
【0017】
Ca、Ba、Srよりなる群から選ばれた1種以上の元素によるPb原子の置換量を20mol%以下としたのは、20mol%を超えると焼結性改善効果が見られないからである。
【0018】
また、本発明に係る圧電磁器においては、副成分としてPba(Mnβ /3Me(3- β )/3)O3(ただし、MeはNb、Sb、Taよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、0.90≦a≦1.05、0.95≦β≦1.05を満足する。)を1mol%〜20mol%含有させてもよい。
【0019】
このとき、Pba(Mnβ /3Me(3- β )/3)O3の含有量を1mol%〜20mol%としたのは、1mol%より少ない場合、絶縁性改善効果が得られないからであり、20mol%より多い場合、かえって絶縁性が劣化するからである。
【0020】
Mn量βに関して、0.95≦β≦1.05としたのは、βの値が0.95より小さい場合、焼結性が劣化して緻密な磁器が得られないからであり、βの値が1.05より大きい場合、絶縁性改善効果が得られないからである。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について説明する。
圧電磁器の素原料として、Pb3O4、Co3O4、WO3、TiO2、MnCO3、Nb2O5、Sb2O3、Ta2O5を用意した。ただし、素原料は、他の酸化物や最終的に酸化物になるような他の化合物であってもよい。
【0022】
これらの素原料を表1に示す磁器組成物が得られるように秤量し、以下の工程を経て試料1〜39を作製した。
【0023】
【表1】
【0024】
まず、素原料を湿式で混合粉砕した後、800〜1000℃の温度で2時間仮焼した。次に、得られた仮焼粉を粉砕し、酢酸ビニル樹脂をバインダーとして造粒を行なった後、プレス成形によって20mm×30mm×1mmの板状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を1000℃で3時間焼成し板状焼結体を得た。次に、焼結体にラップ研磨を施し300μmの厚みにして、焼結体の主面に銀電極を蒸着した後、100℃のシリコンオイル中で3.5kV/mmの電界を60分印可して、分極処理を行なった。次に、分極後の焼結体から、4mm×4mm×1mmの試料をダイシングソーよって切り出した。
【0025】
このようにして得られた試料1〜39について、厚み縦振動による圧電特性を評価した。その結果を、仮焼原料中のパイロクロア化合物含有量、焼結体の焼結密度、絶縁性、キュリー温度、厚み縦振動の電気機械結合係数kt、変形不良率の項目に分けて、表2のように示した。
【0026】
【表2】
【0027】
ここで、パイロクロア化合物の含有量は、粉末X線回折法により、ペロブスカイト化合物の(110)回折強度に対するパイロクロア化合物の(222)回折強度の比(%)で定義した。なお、図1のグラフは、表1に示した試料3および試料11の仮焼原料について、粉末X線回折像を示したものである。
【0028】
また、絶縁性は、上記試料の絶縁抵抗をIR(Ω)としてlogIRで示す。また、変形不良率は、板厚tに対する反り量Δtの比Δt/tが0.3以上の焼結体を変形不良とみなして、製品100個に対する不良率で示す。
【0029】
なお、表1および表2において、試料番号に*が付されているものは、本発明の範囲外にある比較例に相当する。
【0030】
以下、表1および表2に基づいて説明する。
試料1のようにa<0.90の場合、焼結密度が7.5g/cm3を下回って低下するため好ましくない。一方、試料5のように1.05<aの場合、磁器の強度が低下して焼結体を加工することができなかった。よって、0.90≦a≦1.05の範囲において、焼結密度が高く、かつ強度が十分な圧電磁器が得られている。
【0031】
また、試料6のようにb<0.01の場合、焼結密度が7.5g/cm3を下回って低下するため好ましくない。一方、試料10のように0.33<bの場合、キュリー温度が150℃未満に低下し実用的な圧電体としては利用できない。よって、0.01≦b≦0.33の範囲において、焼結密度が高く、かつ実用的な圧電体が得られている。
【0032】
また、試料11のようにα<1.01の場合、仮焼原料中にパイロクロア化合物が生成し(図1参照)、焼結体の変形が生じる。一方、試料14、26、27、28のように1.10<αの場合、logIRが7を下回って低下するため圧電体の分極処理が困難になる。よって、1.01≦α≦1.10の範囲において、変形しにくく、かつ分極処理しやすい圧電体が得られる。
【0033】
また、試料15のようにPba(Mnβ /3Me(3- β )/3)O3の含有量が1mol%未満である場合、logIRが10を下回り、絶縁性はそれほど改善されない。一方、試料19のようにPba(Mnβ /3Me(3- β )/3)O3の含有量が20mol%を超える場合、絶縁性がかえって低下する。
【0034】
さらに、試料22のようにβ<0.95の場合、焼結密度が低下する。一方、試料25のように1.05<βの場合、絶縁性がかえって低下する。
【0035】
よって、副成分としてMeをPba(Mnβ /3Me(3- β )/3)O3に換算して1mol%〜20mol%含有する場合、磁器のlogIRが11以上となり、分極処理が特に容易になるので好ましい。
【0036】
また、試料29のようにMnO2の含有量が0.5mol%未満である場合、絶縁性はそれほど改善されない。一方、試料33のようにMnO2の含有量が7.5%を超える場合、絶縁性がかえって低下する。よって、副成分としてMnをMnO2換算で0.5mol%〜7.5mol%含有する場合、磁器のlogIRが11以上となり、分極処理が特に容易になるので好ましい。
【0037】
また、Pb原子をSrによって置換するとき、試料37のように置換量が20mol%を超える場合では、特性の改善が見られない。一方、試料34〜36のように置換量が20mol%以下である場合、焼結密度が若干向上するのでこの範囲が好ましい。また、試料38,39のように、Ca、Baによって置換する場合も、同様に焼結密度が若干向上する。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る圧電磁器組成物は、1000℃以下の低温焼成が可能であり、分極処理がしやすい。
【0039】
また、W酸化物の含有量を化学量論量より小さくして、仮焼時に生成するパイロクロア化合物Pb2TiWO7を減少させることにより、焼結体の変形を抑えることができる。
【0040】
また、本発明に係る圧電磁器組成物を用いれば、焼結密度が高く、適度なキュリー温度を有する実用的な圧電磁器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における試料3および11の粉末X線回折像を表すグラフ。
Claims (3)
- 主成分が一般式Pba(Coα /2W(2- α )/2)bTi1-bO3で表され、0.90≦a≦1.05、0.01≦b≦0.33、1.01≦α≦1.10を満足することを特徴とする圧電磁器組成物。
- 副成分としてMnをMnO2に換算して0.5mol%〜7.5mol%含有することを特徴とする、請求項1に記載の圧電磁器組成物。
- Pb原子の20mol%以下をCa、Ba、Srよりなる群から選ばれた1種以上の元素で置換した、請求項1または請求項2に記載の圧電磁器組成物。
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