JP4011739B2 - タイヤとリムの組立体 - Google Patents

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C17/00Tyres characterised by means enabling restricted operation in damaged or deflated condition; Accessories therefor
    • B60C17/0009Tyres characterised by means enabling restricted operation in damaged or deflated condition; Accessories therefor comprising sidewall rubber inserts, e.g. crescent shaped inserts

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤに空気抜けが生じたときでも、一定距離の走行を可能とするランフラット性能を有するタイヤとリムの組立体に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
パンク等によりタイヤの内圧が低下した場合にも継続して走行を可能とするいわゆるランフラット性能を有するタイヤが求められている。
【0003】
この種のタイヤでは、従来、例えばタイヤ内部に弾性体などからなる中子状の支持体を装着したり、あるいは、サイドウォール部の内面に高硬度のゴム補強層を設け、これによってパンク時等に作用するタイヤ荷重を支承させて縦たわみを減じ、タイヤの構造破壊を抑制している。
【0004】
しかしながら、支持体を用いるものにあっては、部品点数の増加に伴い重量が増大し、かつリム組時に支持体をセットするのに特殊な技術が必要となり、しかも特殊リムを使うため規格変更が必要となる場合が多い。又ゴム補強層を設けるものは、タイヤの縦たわみを減じるために、屈曲点となるタイヤ最大巾点近傍を中心とした広い領域で厚肉に形成する必要があり、従って、このものも大巾な重量増加を免れえず又転がり抵抗を損ねる。又サイドウォール部の剛性アップに伴いパンク時にリム外れしやすくなるため、特殊リムを使うことが多くなる。
【0005】
又これらのタイヤは、何れも縦たわみを減じるものであるため、運転者が空気抜けに気付くことが難しく、通常の運転感覚で高速走行を続行したり、又急激なハンド操作を行なった際には、時に、車体のコントロールを失い大事故を発生させるという危険性もある。
【0006】
叙上の事情に鑑み、本発明者は、ランフラット性能のためには、タイヤの縦たわみの抑制ではなく、図5に示す内圧0でのフラットな変形状態Yでの走行におけるタイヤ破壊自体を抑制することが、通常走行におけるタイヤ性能の維持及びランフラット走行における事故防止のために好ましいことに気付いた。
【0007】
そして、この変形状態Yでのタイヤ破壊のメカニズムについて研究を積重ねた結果、前記図5の如く、前記変形状態Yでは、リムフランジ上端位置RFでサイドウオール部Zが上下に折り重なって接触するため、走行の際には、この接触部分Jで上下の折り重なり部Z1、Z2が強く擦り合わされて摩耗および発熱を発生する。そして、この摩耗および発熱等によりタイヤ内腔面側のゴムが摩滅したり剥離することでカーカスがむき出し状態となり、カーカス同士が直接すり合わされてカーカスコードが破断する致命的ダメージに至らしめることが判明した。
【0008】
そして、このメカニズムに基づくタイヤ破壊を抑制するためには、前記接触部分Jでカーカスを摩耗および発熱から守ることが必要であり、最も簡便な手段として、前記接触部分Jにおける接触圧力を緩和させるとともにカーカス下のゴムを厚くし、カーカス同士が直接接触し難くすることで、タイヤ破壊に到るまでの走行距離を大巾に向上しうることを究明し得た。
【0009】
すなわち本発明は、前記接触部分でのカーカス下のゴムを所定範囲で厚くし、かつカーカスの内側又は外側にサイドウォール補強ゴム層を設けることを基本として、運転者に空気抜けをタイヤ変形によって認識させうるとともに、一般リムの使用を可能とし、しかもタイヤ重量、転がり抵抗、リム着脱性等の諸性能を損ねることなく、ランフラット性能を向上しうるタイヤとリムの組立体の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、空気入りタイヤと、そのビード部を着座したリムとからなるタイヤとリムの組立体であって、
前記空気入りタイヤは、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスプライを有するカーカスと、該カーカスの内側に沿って配されるインナーライナとを具え、かつ前記インナーライナと前記カーカスとの間、又は内外の前記カーカスプライの間にインナーライナの材質とは異なるサイドウォール補強ゴム層を設けるとともに、
標準測定内圧を充填した測定内圧充填状態におけるタイヤ子午線断面において、
前記リムのリムシート面とフランジ面とが交わるビードヒール点を通り半径方向にのびるヒール点半径線が前記トレッド部側においてタイヤ内腔面と交差する上交差点aにおけるタイヤ外面の最近点ATまでのタイヤ厚さWaと、上交差点aからカーカスの内面の最近点ACまでのゴム厚さwaとの比wa/Wa、及びヒール点半径線が前記ビード部側のタイヤ内腔面と交差する下交差点bにおけるタイヤ外面の最近点BTまでのタイヤ厚さWbと、下交差点bからカーカスの内面の最近点BCまでのゴム厚さwbとの比wb/Wbをそれぞれ0.20〜0.65としたことを特徴としている。
【0011】
さらに本発明においては、前記サイドウォール補強ゴム層が、前記上交差点aと下交差点bとの間の高さ中間点eをほぼ中心として、半径方向の長さLPが、前記上交差点aと下交差点bとの間の半径方向の高さHの0.25〜1.0倍の範囲として形成される。
【0012】
なお、ランフラット性能の向上をより確実に達成するためには、前記上交差点aを中心としてタイヤ内腔面に沿いトレッド部側に下記の(1)式で表す距離La1を離れる点a1と、ビード部側に(2)式で表す距離La2を離れる点a2との間の上方領域La、及び前記下交差点bを中心としてタイヤ内腔面に沿いトレッド部側に下記の(3)式で表す距離Lb1を離れる点b1と、ビード部側に(4)式で表す距離Lb2を離れる点b2との間の下方領域Lbとにおける各位置iでのタイヤ外面の各最近点ITまでのタイヤ厚さWiと、各位置iでのカーカスの内面の最近点ICまでのゴム厚さwiとの比wi/Wiをそれぞれ0.20〜0.65とすることが好ましい。
0.40・Kab≦La1≦0.75・Kab … (1)
0.20・Kab≦La2≦0.30・Kab … (2)
0.40・Kab≦Lb1≦0.65・Kab … (3)
0.20・Kab≦Lb2≦0.30・Kab … (4)
ここでKabは、上交差点a、下交差点b間の半径方向の高さH、上交差点a、下交差点b間の高さ中間点eにおける前記ヒール点半径線からのタイヤ内腔面までの長さMから下記の(5)式で求める。
Kab={(H 2 +4M 2 )/4M}・SIN −1
{4H・M/(H 2 +4M 2 )} (5)
【0013】
又前記サイドウォール補強ゴム層による補強効果を高め、ランフラット性能をさらに向上させるためには、このサイドウォール補強ゴム層を、損失係数tanδが0.035以上かつ0.18以下の低発熱ゴム及び/又は複素弾性率(単位:Mpa)が7.0〜13.0の高弾性ゴムで形成することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
図1、2は、リムに装着されかつ標準測定内圧が充填した測定内圧充填状態の空気入りタイヤ1とリム10の組立体の子午線断面を示している。なお前記「標準測定内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。又乗用車用タイヤの場合は180KPaである。
【0015】
図において空気入りタイヤ1(以下タイヤ1という)は、本例では、タイヤサイズが185/60R14の乗用車用ラジアルタイヤであって、トレッド部2と、このトレッド部2の両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具える。
【0016】
なおリム10は、JATMA等の規格で定まる、本例では乗用車用の5°深底リムであって、前記ビード部4の底面を受けるリムシート面10Aと、ビード部4の外側面を受けるフランジ面10Bとを形成している。なおリム10は、前記リムシート面10Aとフランジ面10Bとが交わるビードヒール点11を通り半径方向にのびるヒール点半径線11L、11L間の距離をもって適用リムのリム巾としている。
【0017】
又タイヤ1には、前記ビード部4、4間にカーカス6が架け渡されるとともに、このカーカス6の外側かつトレッド部2内方には強靭なベルト層7が、又カーカス6の内側には充填内圧を気密に保持するインナーライナ12が配される。
【0018】
前記カーカス6は、前記トレッド部2からサイドウオール部3をへてビード部4のビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折返される少なくとも1枚、本例では1枚のカーカスプライから形成される。このカーカスプライは、タイヤ赤道Cに対して75〜90度の角度で配列するカーカスコードを有し、該カーカスコードとして、ナイロン、レーヨン、ポリエステルなどの有機繊維コードが好適に採用できる。
【0019】
又カーカス6のプライ本体6Aとその両側の折返し部6Bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側に向かって立上がるビードエーペックスゴム8が充填され、タイヤ横溝剛性を高めている。
【0020】
又前記ベルト層7は、1枚以上、乗用車用タイヤでは通常2枚のベルトプライ7a、7bからなり、トレッド部2のほぼ全巾をタガ効果を有して補強するとともに、本例では約60%の大きい偏平率を有してタイヤを拘束している。各ベルトプライ7a、7bは、タイヤ赤道面Cに対して0〜30度の角度で配列するベルトコードを有し、このベルトコードには、スチールコード、芳香族ポリアミドコードなどの高弾性材が用いられる。
【0021】
又前記インナーライナ12は、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等のブチル系ゴムを主成分としたガス不透過性に優れるゴム層であり、例えば0.5〜2.0mm程度の略均一な厚さを有してビードコア5、5間を前記プライ本体6Aの内面に沿って配される。
【0022】
次に、本願のタイヤ1では、ランフラット時にタイヤ内腔面Sが互いに接触する前記接触部分J(図5に示す)でのカーカス6下のゴム厚さを所定範囲に確保したうえで、前記接触部分Jでの接触圧力を緩和させるために、サイドウォール補強ゴム層20を形成している。
【0023】
なお本例では、前記カーカス6下のゴム厚さの確保は、前記インナーライナ12の内面に、上、下の保護ゴム層13、14を設けることによって達成している。
【0024】
前記上の保護ゴム層13は、タイヤの前記測定内圧充填状態においてサイドウォール部3が最もタイヤ軸方向外側に膨出するタイヤ最大幅位置9の近傍から半径方向外側にのびる。又前記下の保護ゴム層14は、前記タイヤ最大幅位置9の近傍から半径方向内側にのびる。なお前記タイヤ最大幅位置9の「近傍」とは、タイヤ断面高さの10%以下の距離を、タイヤ最大幅位置9から半径方向の内外にそれぞれ隔たる領域を意味する。
【0025】
そして、この上、下の保護ゴム層13、14の形成により、前記測定内圧充填状態において、前記ヒール点半径線11Lがタイヤ内腔面Sとトレッド部側で交差する上交差点a、およびビード部側で交差する下交差点bにおけるカーカス6下でのゴム厚さwa、wbをそれぞれ高めている。
【0026】
詳しくは、前記上交差点aにおけるタイヤ外面の最近点ATまでのタイヤ厚さWaと、上交差点aからカーカス6の内面の最近点ACまでのゴム厚さwaとの比wa/Waを0.20〜0.65の範囲に、又前記下交差点bにおけるタイヤ外面の最近点BTまでのタイヤ厚さWbと、下交差点bからカーカスの内面の最近点BCまでのゴム厚さwbとの比wb/Wbを0.20〜0.65の範囲に高めている。
【0027】
ここで、前記上、下交差点a、bは、前記接触部分Jの基準位置であって、ランフラット時には、この上、下交差点a、bを中心として擦れが発生する。従って、少なくとも前記ゴム厚さwa、wbを前記範囲まで高めることによって、カーカス6がむき出し状態となって直接擦り合わされるまでの走行距離を稼ぐことができる。
【0028】
なお前記上、下の保護ゴム層13、14は、比較的薄肉でありかつ前記タイヤ最大幅位置9近傍で互いに離間しているため、タイヤ重量及び縦剛性を過度に高めることがなく、通常走行における乗り心地性、転がり抵抗等の諸性能を維持ししうるとともに、パンク時にあっては空気抜けを運転者に認識させうる。
【0029】
なお前記比wa/Wa及び比wb/Wbが、それぞれ0.2未満では、カーカス6を摩擦及び発熱から守る保護効果が充分に発揮されず、ランフラット性能を向上できない。又0.65を越えるとタイヤ重量、及び転がり抵抗が不必要に増し、通常タイヤ(非ランフラット性のタイヤ)に比して転がり抵抗等の諸性能を損ねてしまう。従って、前記比wa/Wa及び比wb/Wbは、0.2〜0.45が好ましい。又ビード部4においては、時にリムライン等が形成されて肉厚となる場合が多く、従って、下交差点bでの前記ゴム厚さwbは、2.0mm以上とするのが良い。
【0030】
なお上、下の保護ゴム層13、14は、前記ゴム厚さwa、wbを確保するのが主目的であるため、インナーライナ12あるいはカーカストッピングゴムと同質のゴムで形成することもできる。しかし、保護効果の観点から、損失係数tanδが0.035以上かつ0.18以下の低発熱ゴムで形成することが好ましい。これにより、前記接触部分Jでの発熱による保護ゴム層13、14自体の劣化、あるいはインナーライナ12及びカーカス6の劣化等を抑制し、保護効果を向上できる。なお損失係数tanδが0.035未満では、ゴムが軟質となり保護効果が充分に達成されず、逆に0.18を越えると、発熱し易くゴムの熱劣化を抑制し得ない。従って損失係数tanδは、より好ましくは、0.05以上かつ0.15以下である。
【0031】
さらに上、下の保護ゴム層13、14としては、耐カット性、耐摩耗性等の機械的強度に優れるゴムが好ましく、そのために複素弾性率(単位:Mpa)が7.0以上かつ13.0以下のものが好適に使用できる。なお、通常インナーライナ12の複素弾性率が3.5Mpa程度、又カーカストッピングゴムの複素弾性率が4.2Mpa程度であることから、前記範囲とすることにより、機械的強度が増し、高い保護効果が得られるのが理解できる。なお7.0未満ではゴムの補強性が小さく、又13.0を越えると、歪みが大きくなり転がり抵抗を悪化させる。なお本願では、前記損失係数tanδ及び複素弾性率は、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件下で測定した時の値である。
【0032】
他方、本願発明者の実験の結果、前記接触部分Jの接触位置は、実際には、路線変更、旋回時等における横力の影響等を受けて、前記上交差点aを中心とした上方領域La、及び前記下交差点bを中心とした下方領域Lbでバラ付くことが判明した。
【0033】
従って、カーカス6への保護効果をより確実に達成するためには、図2に示すように、前記上方領域Laと下方領域Lbとの双方において、この各領域La、Lbでの任意の位置iにおけるタイヤ外面の最近点ITまでのタイヤ厚さWiと、前記位置iでのカーカスの内面の最近点ICまでのゴム厚さwiとの比wi/Wiを、それぞれ前記0.20〜0.65の範囲とすることが好ましい。
【0034】
ここで、前記上方領域Laとは、前記上交差点aを中心としてタイヤ内腔面Sに沿いトレッド部側に下記の(1)式で表す距離La1を離れる点a1と、ビード部側に(2)式で表す距離La2を離れる点a2との間の領域を意味する。又前記下方領域Lbは、前記下交差点bを中心としてタイヤ内腔面Sに沿いトレッド部側に下記の(3)式で表す距離Lb1を離れる点b1と、ビード部側に(4)式で表す距離Lb2を離れる点b2との間の領域を意味する。
【0035】
なお前記(1)〜(4)式は、以下の如くである。
0.40・Kab≦La1≦0.75・Kab … (1)
0.20・Kab≦La2≦0.30・Kab … (2)
0.40・Kab≦Lb1≦0.65・Kab … (3)
0.20・Kab≦Lb2≦0.30・Kab … (4)
【0036】
又式中のKabは、図3に略示するように、前記上交差点aと下交差点bとの間の半径方向の高さH、及び前記上交差点aと下交差点bとの間の高さ中間点eにおける前記ヒール点半径線11Lからのタイヤ内腔面Sまでの長さMから下記の(5 )式で求めたものである。なお前記中間点eは、本例では前記タイヤ最大幅位置9とほぼ一致し、すなわち中間点eはタイヤ最大幅位置9の前記近傍に位置している。
Kab={(H2 +4M2 )/4M}・SIN-1
{4H・M/(H2 +4M2 )} … (5)
【0037】
このKabは、前記上、下交差点a、b間のタイヤ内腔面Sを、前記上、下交差点a、b及びその中点mを通る単一円弧S0として近似して捉えたときの、前記タイヤ内腔面Sに沿う上、下交差点a、b間の距離に相当する。
【0038】
このように、前記上方領域Laと下方領域Lbとの各位置iにおいて、前記比wi/Wiを0.20〜0.65とすることにより、ランフラット時に実際に接触する恐れのある部位を前記上、下の保護ゴム層13、14によって保護でき、ランフラット性能の向上をより確実化しうる。なお各距離La1、La2、Lb1、Lb2が、それぞれKabの0.4倍、0.2倍、0.4倍、0.2倍より小の時、カーカスへの保護効果が少なくなり、逆に0.75倍、0.30倍、0.65倍、0.30倍を越えると、不必要な重量増加および転がり抵抗の低下などを招くこととなる。
【0039】
なお、本願では上、下の保護ゴム層13、14は、カーカス6とインナーライナ12との間に形成することもできる。又前記ゴム厚さwa、wbを確保するため、カーカストッピングゴムあるいはインナーライナ12自体を局部的に厚肉に形成し、このカーカストッピングゴムあるいはインナーライナ12自体によって上、下の保護ゴム層13、14を構成させても良い。
【0040】
次に、本願のタイヤ1では、前記接触部分Jでの接触圧力を緩和させるために、図1、4に示すように、サイドウォール補強ゴム層20を形成している。
【0041】
前記サイドウォール補強ゴム層20は、もしカーカス6が複数のカーカスプライから形成される時にはカーカスプライ間に形成することもできるが、ランフラット時にカーカス同士の擦れ合いを防ぐという観点から、本例の如く前記インナーライナ12とカーカス6との間に配することが好ましい。
【0042】
このサイドウォール補強ゴム層20は、図4に示すように、前記中間点eをほぼ中心として、半径方向の内外にのびる略三日月形状をなし、その半径方向の長さLPを、上下交差点a、b間の前記高さHの0.25〜1.0倍の範囲としている。なお前記「中間点eをほぼ中心とし」とは、サイドウォール補強ゴム層20の長さ中心位置20pと前記中間点eとの半径方向の距離が、前記長さLPの10%以下であることを意味する。又サイドウォール補強ゴム層20は、前記長さ中心位置20pで最大厚さD1を有し、この長さ中心位置20pにおけるタイヤ厚さDTと前記最大厚さD1との比D1/DTを0.1〜0.5としている。
【0043】
このようにタイヤ最大幅位置9近傍の前記中間点eをほぼ中心として、長さLPが比較的小かつ最大厚さD1が比較的小なサイドウォール補強ゴム層20を、局部的に設けている。従って、従来のランフラットタイヤの如くパンク時のタイヤ荷重全体を支承することは困難であるが、パンク時の屈曲位置で前記補強ゴム層20が圧縮して、前記接触部分Jでの接触圧力を軽減することができ、前記カーカス6下のゴム厚さwa、wbの増加との相乗効果によって、ランフラット性能を大巾に向上しうる。
【0044】
なお、前記長さLPが0.25×H未満の時、及び最大厚さD1が0.1×DT未満の時、接触圧力の軽減効果が低く、又1.0×H倍を越える時及び0.5×DTを越える時、転がり抵抗が悪化してしまう。
【0045】
又前記サイドウォール補強ゴム層20は、前記上下の保護ゴム層13、14と同様に、発熱による補強ゴム層20自体の劣化あるいはインナーライナ12及びカーカス6の劣化等を抑制するために、損失係数tanδが0.035以上かつ0.18以下、さらには0.05以上かつ0.15以下の低発熱ゴムで形成することが好ましい。なお損失係数tanδが0.035未満では、補強効果が充分に達成されず、逆に0.18を越えると、発熱し易くゴムの熱劣化を抑制し得ない。
【0046】
又前記サイドウォール補強ゴム層20としては、耐カット性、耐摩耗性等の機械的強度に優れることが望ましく、そのために複素弾性率(単位:Mpa)が7.0以上かつ13.0以下のものが好適に使用できる。なお7.0未満ではゴムの補強性が小さく、又13.0を越えると、歪みが大きくなり転がり抵抗を悪化させる。
【0047】
【実施例】
図1に示す構造をなすタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤのタイヤ重量、転がり抵抗性能、ランフラット性能をそれぞれ比較した。
【0048】
なお表中、従来例1は、サイドウォール部内面に高硬度のゴム補強層を設けて縦たわみを減じた従来のランフラットタイヤ、従来例2は、非ランフラット性の通常タイヤである。又実施例1〜3、比較例1〜2は、それぞれタイヤ外面上方領域LAに、ゴム層20を形成していないものを用いている。
【0049】
・タイヤ重量:
試供タイヤ1本当たりの重量を測定し、従来例2を100とする指数で表示している。指数は小さい方が良好である。
・転がり抵抗性能:
転がり抵抗試験機を用い、各試供タイヤをJATMA等の規格で定まる市販の適用リムに装着し、標準測定内圧(180kPa) 、速度(80km/h)、荷重(415kg)で転がり抵抗を測定し、従来例2を100とする指数で表示している。指数は小さい方が良好である。
・ランフラット性能:
前記試供タイヤを、前記適用リムにリム組みし、内圧0kPaの状態で乗用車(FF車)に装着して直進時(50km/h)、旋回時(40km/h)の速度でテストコースを走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離を指数で表示している。指数は大きい方が良好である。
【0050】
【表1】
Figure 0004011739
【0051】
表1のように、実施例のタイヤは、非ランフラット性の通常タイヤ(従来例2)と略同程度のタイヤ重量、転がり抵抗性能等の諸性能を維持しながら、ランフラット性能を大巾に向上しうるのが確認できた。
【0052】
【発明の効果】
本発明のタイヤとリムの組立体は叙上の如く構成し、
タイヤ内腔面側で接触する部分におけるカーカス下でのゴム厚さを確保するとともに、接触圧を軽減しているため、運転者に空気抜けをタイヤ変形によって認識させうるとともに、一般リムの使用を可能とし、しかもタイヤ重量、転がり抵抗、リム着脱性等の諸性能を損ねることなく、ランフラット性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤとリムの組立体の断面図である。
【図2】その上方領域及び上方領域を説明する断面図である。
【図3】式(1) 〜(6) で用いる係数Kabを説明する線図である。
【図4】前記サイドウォール補強ゴム層を示す断面図である。
【図5】タイヤの内圧0での変形状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
10 リム
10A リムシート面
10B フランジ面
11 ビードヒール点
11L ヒール点半径線
12インナーライナ
20 サイドウォール補強ゴム層
S タイヤ内腔面

Claims (4)

  1. 空気入りタイヤと、そのビード部を着座したリムとからなるタイヤとリムの組立体であって、
    前記空気入りタイヤは、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスプライを有するカーカスと、該カーカスの内側に沿って配されるインナーライナとを具え、かつ前記インナーライナと前記カーカスとの間、又は内外の前記カーカスプライの間にインナーライナの材質とは異なるサイドウォール補強ゴム層を設けるとともに、
    標準測定内圧を充填した測定内圧充填状態におけるタイヤ子午線断面において、
    前記リムのリムシート面とフランジ面とが交わるビードヒール点を通り半径方向にのびるヒール点半径線が前記トレッド部側においてタイヤ内腔面と交差する上交差点aにおけるタイヤ外面の最近点ATまでのタイヤ厚さWaと、上交差点aからカーカスの内面の最近点ACまでのゴム厚さwaとの比wa/Wa、及びヒール点半径線が前記ビード部側のタイヤ内腔面と交差する下交差点bにおけるタイヤ外面の最近点BTまでのタイヤ厚さWbと、下交差点bからカーカスの内面の最近点BCまでのゴム厚さwbとの比wb/Wbをそれぞれ0.20〜0.65とし、
    かつ前記サイドウォール補強ゴム層は、前記上交差点aと下交差点bとの間の高さ中間点eをほぼ中心として、半径方向の長さLPが、前記上交差点aと下交差点bとの間の半径方向の高さHの0.25〜1.0倍の範囲であることを特徴とするタイヤとリムの組立体。
  2. 前記上交差点aを中心としてタイヤ内腔面に沿いトレッド部側に下記の(1)式で表す距離La1を離れる点a1と、ビード部側に(2)式で表す距離La2を離れる点a2との間の上方領域La、及び前記下交差点bを中心としてタイヤ内腔面に沿いトレッド部側に下記の(3)式で表す距離Lb1を離れる点b1と、ビード部側に(4)式で表す距離Lb2を離れる点b2との間の下方領域Lbとにおける各位置iでのタイヤ外面の各最近点ITまでのタイヤ厚さWiと、各位置iでのカーカスの内面の最近点ICまでのゴム厚さwiとの比wi/Wiをそれぞれ0.20〜0.65としたことを特徴とする請求項1記載のタイヤとリムの組立体。
    0.40・Kab≦La1≦0.75・Kab … (1)
    0.20・Kab≦La2≦0.30・Kab … (2)
    0.40・Kab≦Lb1≦0.65・Kab … (3)
    0.20・Kab≦Lb2≦0.30・Kab … (4)
    ここでKabは、上交差点a、下交差点b間の半径方向の高さH、上交差点a、下交差点b間の高さ中間点eにおける前記ヒール点半径線からのタイヤ内腔面までの長さMから下記の(5)式で求める。
    Kab={(H2 +4M2 )/4M}・SIN−1
    {4H・M/(H2 +4M2 )} … (5)
  3. 前記サイドウォール補強ゴム層は、損失係数tanδが0.035以上かつ0.18以下のゴムからなり、かつ半径方向の中間点をほぼタイヤ最大幅位置とすることを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤとリムの組立体。
  4. 前記サイドウォール補強ゴム層は、複素弾性率(Mpa)が7.0以上かつ13.0以下のゴムからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤとリムの組立体。
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