JP4928107B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、パンク時のランフラット走行性能を維持しつつ通常走行時の乗り心地を高めうるランフラットタイヤに関する。
従来より、パンク時でも比較的高速度で一定の長い距離を継続走行しうるランフラットタイヤが知られている。図8に示されるように、代表的なランフラットタイヤbは、サイドウォール部cに断面略三日月状で一体にのびるサイド補強ゴム層dが設けられる。このようなランフラットタイヤbは、パンク時でも、曲げ剛性が高められたサイドウォール部cによってタイヤの荷重を支持でき、その結果、縦撓みが抑えられ、ひいては継続して数十キロ程度の走行が可能になる。また、他の構造のランフラットタイヤとして、下記特許文献1に示されるようなものが知られている。
しかしながら、図8に示されたランフラットタイヤbでは、サイドウォール部cの曲げ剛性がサイド補強ゴム層dによって常時高められるので、適正な内圧が充填された通常走行時には乗り心地が悪化しやすい。乗り心地を向上させるために、前記サイド補強ゴム層dを軟らかいゴム組成物で形成したり又はその厚さを小さくすることも考えられる。しかしながら、これらの方法は、いずれもランフラット走行性能を低下させるという問題がある。
特許第3377448号公報
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、サイドウォール領域のタイヤ内腔を向く内面側に、カーカスに向かって凹むとともにタイヤ周方向に連続してのびることによりサイド補強ゴムの厚さを減じる特定の溝幅を有する凹溝部を設けることを基本として、前記サイド補強ゴムの剛性を局部的に弱め、ランフラット走行性能を維持しつつ通常走行時の乗り心地を高めうるランフラットタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、サイドウォール領域かつ前記カーカスのタイヤ軸方向内側に配されたサイド補強ゴムとを有するランフラットタイヤであって、前記サイドウォール領域のタイヤ内腔を向く内面側に、カーカスに向かって凹むとともにタイヤ周方向に連続してのびることにより前記サイド補強ゴムの厚さを減じる1本のみの凹溝部が設けられ、かつ正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規無負荷状態でのタイヤ断面において、前記凹溝部は略タイヤ最大幅位置に形成されるとともにその最大溝幅が2〜10mmであり、しかも溝中心線がタイヤ軸方向にのびるとともに、前記凹溝部は、タイヤ半径方向の外側の溝壁と、タイヤ半径方向の内側の溝壁とを有し、かつ正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されるとともに正規荷重が負荷された正規負荷状態において、前記外側の溝壁と内側の溝壁とが離間するとともに、前記凹溝部は、正規リムにリム組みされかつ内圧を0とししかも正規荷重が負荷されたランフラット状態において、前記外側の溝壁と内側の溝壁とが少なくとも一部で接触しかつ接触面がタイヤ軸方向にのびることを特徴とする。
また請求項記載の発明は、前記サイド補強ゴムは、少なくとも前記凹溝部よりもタイヤ半径方向外側に配された外のゴム部と、少なくとも前記凹溝部よりもタイヤ半径方向内側に配された内のゴム部とを有し、前記内のゴム部は、前記外のゴム部よりも大きいゴム硬さ及び/又は複素弾性率を有する請求項1に記載のランフラットタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記凹溝部は、最大溝幅Wと溝深さGDとの比(W/GD)が1より小である請求項1又は2に記載のランフラットタイヤである。
ここで、前記タイヤ最大幅位置とは、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに無負荷とした正規無負荷状態において、サイドウォール部外面(サイドウォール部に設けられた文字、記号又はリムプロテクターなどを除いた面とし、以下同じである。)で最もタイヤ軸方向外側に張り出した位置として定められる。
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"とする。また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。さらに正規荷重とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本発明のランフラットタイヤは、サイドウォール領域の内面側に、サイド補強ゴムの厚さを減じる凹溝部が形成される。この凹溝部は、略タイヤ最大幅位置に形成されることにより、通常走行時において、サイドウォール部を柔軟に撓ませ、良好な乗り心地をもたらす。また、本発明のランフラットタイヤは、凹溝部の最大溝幅が2〜10mmに設定されるので、ランフラット状態において凹溝部の少なくとも一部を閉じることができる。従って、サイドウォール部の剛性が高められ、ランフラット走行距離の低下が防止される。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には本実施形態のランフラットタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の正規無負荷状態の右半分断面図が、また図2にはそのサイドウォール部の部分拡大図がそれぞれ示される。
前記タイヤ1は、本実施形態では乗用車用であって、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るトロイド状のカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されたベルト層7と、サイドウォール領域Yかつカーカス6の内側に配されたサイド補強ゴム9と、その内側に配されたインナーライナゴム12とを含む。ここで、前記サイドウォール領域Yとは、サイドウォール部3のみならず、さらにトレッド部2及びビード部の各々の一部を含むタイヤの側方のより広い領域を意味する。
前記カーカス6は、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aを、一対のビードコア5間に架け渡すことにより形成される。前記カーカスプライ6Aは、平行に配列されたカーカスコードをトッピングゴムにて被覆して形成される。前記カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン又は芳香族ポリアミド等の有機繊維が好適であり、本実施形態においてはポリエステルが用いられる。また、カーカスコードは、例えばタイヤ赤道Cに対して75〜90度で傾けられる。
また、前記カーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るトロイド状の本体部6aと、この本体部6aの両端に連なりかつ前記ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んで構成される。この例では、折返し部6bの外端6beが、タイヤ最大幅位置Mよりもタイヤ半径方向外側に位置するハイターンナップ構造(HTU)が示される。このようなハイターンナップ構造により、少ないプライ枚数でサイドウォール部3が効果的に補強される。ただし、タイヤ軽量化のために、折返し部6bの外端6beをリムJのフランジJfの外端よりも半径方向内側に位置させても良い。さらに、カーカス6は、複数枚のカーカスプライ6Aを用いて構成することもできる。
また、カーカスプライ6Aの前記本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードエーペックス8が配される。前記ビードエーペックス8は、ビードコア5の外面からタイヤ半径方向外側に先細状でのび、例えばJISA硬さで65〜95度、より好ましくは75〜95度程度の硬質ゴムにより形成される。これにより、ビード部4の曲げ剛性が高められ、旋回走行時の安定性が向上する。
前記ビードエーペックス8のビードベースラインBLからの高さhaは、特に限定はされないが、小さすぎるとランフラット走行時の耐久性が低下しやすく、逆に大きすぎてもタイヤ重量の過度の増加や著しい乗り心地の悪化を招くおそれがある。このような観点より、前記高さhaは、タイヤ断面高さHの10〜55%、より好ましくは30〜45%程度が望ましい。なお、タイヤ断面高さHは、正規無負荷状態において、ビードベースラインBLからトレッド部2のタイヤ半径方向最外側の位置までのタイヤ半径方向距離とする。
本実施形態において、前記ベルト層7は、スチールからなるベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜35゜程度で傾けて配列されたタイヤ半径方向内、外のベルトプライ7A、7Bから構成される。ベルトプライ7A、7Bは、前記ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされる。前記ベルトコードとしては、スチール材料以外にも、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維材料が必要に応じて採用される。
また、本実施形態において、ベルト層7のタイヤ半径方向の外側には、バンド層11が配される。該バンド層11は、有機繊維コードをタイヤ周方向に対して例えば5度以下となるように小さい角度で配列した少なくとも1層のバンドプライで構成される。本実施形態では、ベルト層7と等しい幅を有するフルバンドプライ11Aと、そのショルダ部のみを覆う一対のエッジバンドプライ11Bとで構成される。これらのバンドプライは、リボン状の帯状プライを螺旋状に巻き付けることにより形成されたジョイントレスバンドや、幅広のプライをスプライスしたもののいずれが用いられても良い。
前記サイド補強ゴム9は、本実施形態では、両側のサイドウォール領域Yの各々に設けられる(但し、図1では片側のみが示されている。)。なお、前記サイド補強ゴム9は、このサイドウォール領域Yの一部ないし全部に配される。
またサイド補強ゴム9は、タイヤ半径方向の外端9oと内端9iとの間を連続してのびている。サイド補強ゴム9の内端9iは、前記ビードエーペックス8の外端8tよりもタイヤ半径方向内側かつビードコア5よりもタイヤ半径方向外側の領域に設けられている。また、サイド補強ゴム9の外端9oは、ベルト層7のタイヤ軸方向の外端よりもタイヤ軸方向内側にのびて終端している。このようなサイド補強ゴム9は、サイドウォール部3のより広い領域においてタイヤ剛性を高め得るとともに、各端部9o及び9iが、走行時に歪が小さい領域に配置されるため、それらの位置を起点とする損傷の発生を効果的に抑えられる。
また、前記サイド補強ゴム9は、そのゴム硬さが小さすぎると、サイドウォール部3の補強効果が小さくなり、十分なランフラット走行距離を得ることができず、逆に大きすぎても通常走行時の乗り心地に悪影響を及ぼす傾向がある。このような観点より、サイド補強ゴム9のJISデュロメータA硬さは、好ましくは65度以上、より好ましくは70度以上、さらに好ましくは75度以上が望ましく、かつ上限については、好ましくは99度以下、より好ましくは95度以下が望ましい。
また、動的なゴム硬さを規定するために、サイド補強ゴム9のゴム組成物としては複素弾性率が14MPa以上、より好ましくは18MPa以上が望ましく、また、上限に関しては、好ましくは35MPa以下、より好ましくは30MPa以下が望ましい。さらに、サイド補強ゴム9の変形に伴う発熱を抑えてランフラット走行距離を増大させるために、前記ゴム組成物は、損失正接tanδが0.05〜0.07のものが望ましい。なお前記損失正接及び複素弾性率は、いずれも岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータ「VES F−3型」を用いて、測定温度70℃、周波数10Hz、初期伸長歪10%及び片振幅1%で測定された値とする。
前記サイド補強ゴム9に用いられるゴムポリマーとしては、特に限定されないが、例えばジエン系ゴム、より具体的には天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム又はアクリロニトリルブタジエンゴムが望ましい。これらは1種又は2種以上をブレンドして用いられる。
前記インナーライナゴム12は、実質的にタイヤ内腔iの全域に面するように配されており、これにより、非パンク状態では、このインナーライナゴム12によってタイヤ内腔面とリムJとで囲まれるタイヤ内腔の空気圧が十分に保持される。該インナーライナゴム12は、実質的にタイヤ剛性に影響を与えない薄い厚さで設けられる。
また、本実施形態のランフラットタイヤ1は、前記サイドウォール領域Yのタイヤ内腔iを向く内面is側に、前記カーカス6に向かって凹むとともにタイヤ周方向に連続してのびることにより、前記サイド補強ゴム9の厚さを減じる凹溝部10が設けられる。本実施形態において、前記凹溝部10は、各々のサイドウォール領域Yに各1本のみが設けられる。これにより、生産性が良く、ひいては、タイヤコストを低減しうる。
前記凹溝部10は、図2に拡大して示されるように、タイヤ半径方向の外側の溝壁10aと、これに向き合うタイヤ半径方向の内側の溝壁10bと、これらの間を滑らかに継ぐ溝底部10cとを含む。この実施形態の凹溝部10は、溝底部10cが滑らかな円弧状をで形成され、これを介して各溝壁10a、10bが鋭角の略V字状で交わる態様が示されている。従って、凹溝部10の溝幅は、タイヤ軸方向外側(カーカス側)に向かって徐々に小さくなる態様が示されている。
また、凹溝部10は、前記正規無負荷状態において、略タイヤ最大幅位置Mに形成される。略タイヤ最大幅位置とは、タイヤ最大幅位置Mを通る軸方向線が、凹溝部10のタイヤ半径方向外、内の溝縁Ea、Ebの間又は溝縁Ea、Eb上を通る態様を少なくとも含む。従って、略タイヤ最大巾位置Mにおいて、サイド補強ゴム9は厚さが減じられる。従って、略タイヤ最大幅位置Mに凹溝部10を設けることにより、通常走行時において、サイド補強ゴム9を含めてサイドウォール部3を効果的に撓ませることができ、ひいては走行時の衝撃を効果的に緩和して乗り心地を向上しうる。また、前記正規無負荷状態において、凹溝部10の溝中心線は、タイヤ軸方向にのびている。
また、凹溝部10は、前記正規無負荷状態において、最大溝幅Wが2〜10mmで形成される。凹溝部10の最大溝幅Wを上述の範囲に限定した場合、正規負荷状態においても、図1と同様、凹溝部10の溝壁10a、10bをタイヤ周方向に連続して離間させ得る。これにより、通常走行時での乗り心地がより確実に向上され得る。また、上述の最大溝幅Wが与えられることにより、前記ランフラット状態では、図3に示されるように、接地面2aを含むタイヤ子午線断面において、凹溝部10の溝壁10a、10bを互いに密に接触させ、サイド補強ゴム9を従来のように断面略三日月状に一体的に変形させ、その剛性を高めてタイヤの縦撓み量を低減しうる。特に、本発明では、凹溝部10の溝壁10a、10bの接触面がタイヤ軸方向にのびている。従って、ランフラット性能が損なわれることもない。このような観点より、凹溝部10の最大溝幅Wは、特に好ましくは4mm以上が望ましく、また上限に関しては、特に好ましくは8mm以下が望ましい。なお、凹溝部10の前記溝幅Wは、一定でも良くまたは変化しても良い。
ここで、凹溝部10の最大溝幅Wは、図4に拡大して示されるよう凹溝部10のタイヤ半径方向の外の溝縁Eaと、内の溝縁Ebとの間のタイヤ半径方向の距離とする。ここで、各溝縁Ea、Ebは、エッジ等によって明りょうであるときには、そのエッジとして定める。しかし、本実施形態のように溝縁付近が滑らかな曲面で形成されているような場合には、図4に示されるように、凹溝部10を跨ぐようにサイドウォール領域Yの内面isを滑らかに仮想延長した仮想曲線L1と、各溝壁10a、10bを仮想延長した仮想線L2、L3との交点P1、P2を、それぞれ外の溝縁Ea及び内の溝縁Ebとして定める。
また、サイド補強ゴム9は、凹溝部1によってその厚さが減じられるが、該厚さが小さすぎると十分な補強効果が得られにくくランフラット性能が低下する傾向があり、逆に大きすぎると乗り心地が悪化するおそれがある。このような観点より、タイヤ最大幅位置Mを通る軸方向線がカーカス6の内面(本実施形態では、本体部6aの内面である)と交わる点Pmと、外の溝縁Eaとの間のタイヤ軸方向の厚さta、及び、前記点Pmと内の溝縁Ebとの間のタイヤ軸方向の厚さtbは、いずれも前記点Pmからタイヤ外面までのサイドウォール厚さtsの1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上が望ましく、また上限に関しては好ましくは4.0倍以下、より好ましくは3.5倍以下が望ましい。
また、凹溝部10の溝深さGDは、特に限定はされないが、小さすぎるとサイド補強ゴム9の厚さを減じる効果が低下し、通常走行時の乗り心地の向上が十分に期待できない。このような観点より、前記溝深さGDは、好ましくは前記サイド補強ゴム9の厚さtaの50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上が望ましい。他方で、溝深さが大きすぎると、凹溝部10付近のカーカス6に大きなひずみが集中しやすくなるので、好ましくは90%以下とするのが望ましい。これにより、サイド補強ゴム9は凹溝部10で途切れることなくタイヤ半径方向内外にのびる。なお溝深さGDは、図4に示されるように、凹溝部10の最もタイヤ軸方向外側の溝底P5と、前記仮想曲線L1との間の最短距離とする。
特に好適な実施形態として、前記凹溝部10、その最大溝幅Wと溝深さGDとの比(W/GD)が1より小であるのが望ましい。これにより、乗り心地の寄与に大きいタイヤ最大巾位置付近をより集中して撓ませて乗り心地を高めるとともに、凹溝部10の溝壁10a、10bをランフラット走行時に接触させ、サイド補強ゴム9に高い曲げ剛性を与えることができる。より好ましくは、前記比(W/GD)は、0.9以下、さらに好ましくは0.3〜0.8が望ましい。
このような凹溝部10により、前記サイド補強ゴム9は、少なくとも前記凹溝部10よりもタイヤ半径方向外側に配された外のゴム部9Aと、少なくとも前記凹溝部10よりもタイヤ半径方向内側に配された内のゴム部9Bとを含む。前記外のゴム部9A及び内のゴム部9Bは、各々、タイヤ半径方向外側又は内側に厚さを滑らかに減じながら各端部9o又は9iまでのびている。
本実施形態では、外のゴム部9Aと内のゴム部9Bとが同一のゴムで形成されており、その結果、両者のゴム硬さ及び複素弾性率は同じである。しかし、外のゴム部9Aと内のゴム部9Bとにそれぞれ異なるゴム組成物を用いることもできる。好ましい態様として、前記内のゴム部9Bは、外のゴム部9Aよりも大きいゴム硬さ及び/又は複素弾性率を有することが望ましい。これにより、相対的に軟らかい外のゴム部9Aによって、トレッド部から入力された衝撃を効率的に緩和でき、より一層、乗り心地を向上させるのに役立つ。一方、2種類のゴム組成物の硬さの差が大きすぎると、ランフラット状態において、外のゴム部9Aに歪が集中してランフラット性能が悪化し易い。このような観点より、ゴム硬さ等を異ならせる場合、外のゴム部9Aのゴム硬さ(又は複素弾性率)は、内のゴム部9Bのゴム硬さ(又は複素弾性率)の80〜95%程度が望ましい。なお外、内のゴム部9A、9Bの材料を異ならせる場合、両ゴム部9A、9Bの界面は、凹溝部10の任意の位置に設けることができる。
図5(A)、(B)には、本実施形態のさらに他の実施形態として、タイヤをタイヤ赤道面で切断した切り口を示す断面図が示される。この実施形態では、凹溝部10は、タイヤ周方向に屈曲しながらのびており、(A)のものは波状(正弦波状)でタイヤ周方向にのびている。また図5(B)のものは、ジグザグ状でタイヤ周方向にのびている。いずれも、振幅の中心がタイヤ最大幅位置Mに実質的に一致している。
このような実施形態のタイヤでは、ランフラット状態において、凹溝部10の外側の溝壁10aと内側の溝壁10bが接触した際に各溝壁10a、10bが互いに噛み合い、両者の周方向のスリップが最小限に抑えられる。従って、サイド補強ゴム9の発熱を抑え、その熱破壊を長期に亘って遅らせ得るとともに、ランフラット走行時において駆動ないし制動力が効果的に得られる。
次にこのようなランフラットタイヤ1の製造方法について述べる。
本実施形態のランフラットタイヤ1は、先ず、慣例に従い生タイヤを成型する工程と、これを加硫成形する工程とを含んで製造できる。
前記生タイヤを成形する工程では、図6に示されるように、ビードコア5を有するカーカス6、ベルト層7及びバンド層11を含むタイヤ骨格体に、トレッドゴム2G、サイドウォールゴム3G、クリンチゴム(ビードゴム)4G、サイド補強ゴム9G及びインナーライナゴム12Gが貼り付けされた生タイヤ(グリーンタイヤ)1Lが形成される。加硫前のタイヤ生カバー1Lは、凹溝部10が形成されていないサイド補強ゴム9Gを有し、この例ではタイヤ半径方向内外に向かって厚さが漸減する端細状でサイド補強ゴム9Gが形成されている。
次に、加硫成形工程では、図7に示されるように、前記生タイヤ1Lは加硫金型Mに投入されるとともに、例えばタイヤ内腔i側からゴム風船状のブラダーBが押し当てられる。加硫金型Mは、タイヤ外表面を成型しうる成型面Msを具える公知の分割型が用いられる。また、ブラダーBの外表面には、前記凹溝部10を成型するために、タイヤ周方向に連続してのびる凸部Btが設けられている。ブラダーBの凸部Btによって押圧されたサイド補強ゴム9は、該凸部Btの反転模様として凹溝部10が形成される。なお、この実施形態では、加硫成形においてブラダーBを用いた例を示したが、ブラダーBに変えて中子等を用いても良い。
以上本発明の実施形態について説明したが、上述の凹溝部10を有する空気入りタイヤは、上記の方法以外にも種々の方法で製造できる。例えば図8に示したようなサイド補強ゴム9が断面略三日月状で形成されランフラットタイヤを加硫成形し、その後に切削加工にて凹溝部10を形成することができる。また上記実施形態では、乗用車用のタイヤを例に挙げて説明したが、本発明はこのような実施態様に限定されるものではなく、他のカテゴリのタイヤについても適用できるのは言うまでもない。
表1の仕様に基づいて235/55R18のランフラットタイヤを試作した。そして、これらのランフラット走行距離及び縦バネ定数をテストした。各タイヤは、いずれもスチールコードからなる2枚のベルトプライからなるベルト層、アラミドコードからなる1プライのバンド層及びポリエステルコードを用いたカーカスを具えるものとした。またサイドウォール厚さtsは10mmに統一した。
テストの方法は、次の通りである。
<ランフラット走行距離>
各供試タイヤを、バルブコアを取り外したリム(18×7−JJ)にリム組し、内圧を0とした組立体を準備した。そして、各組立体を直径1.7mのドラム試験機上で走行させ、タイヤが破壊するまでの走行距離を測定し、キロメートル未満は四捨五入して表示した。数値が大きいほど良好である。なお走行条件は、速度80km/h、縦荷重4.31kNとした。
<タイヤの縦バネ定数>
タイヤ1本当たりの縦バネ定数を測定し、従来例の値を100とする指数で表示した。数値が小さいほど乗り心地に優れる。なお縦バネ定数の測定条件は、空気圧200kPa、縦荷重4.31kNである。
テスト結果などを表1に示す。
Figure 0004928107
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、ランフラット走行性能を損ねることなく、乗り心地に関与する縦バネ定数を減じていることが確認できた。
本発明の実施形態を示すランフラットタイヤの断面図である。 その部分拡大図である。 ランフラット走行状態の一例を示すタイヤの断面図である。 最大溝幅を説明するサイドウォール部の拡大断面図である。 (A)、(B)は、タイヤ赤道面で切断されたタイヤの切り口を示す断面図である。 生カバーの一例を示す断面図である。 加硫成形工程を説明する断面図である。 従来のランフラットタイヤの断面図である。
符号の説明
1 ランフラットタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
8 ビードエーペックス
9 サイド補強ゴム
9A 外のゴム部
9B 内のゴム部
10 凹溝部
10a 外側の溝壁
10b 内側の溝壁

Claims (3)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るトロイド状のカーカスと、
    サイドウォール領域かつ前記カーカスのタイヤ軸方向内側に配されたサイド補強ゴムとを有するランフラットタイヤであって、
    前記サイドウォール領域のタイヤ内腔を向く内面側に、カーカスに向かって凹むとともにタイヤ周方向に連続してのびることにより前記サイド補強ゴムの厚さを減じる1本のみの凹溝部が設けられ、
    かつ正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規無負荷状態でのタイヤ断面において、
    前記凹溝部は略タイヤ最大幅位置に形成されるとともにその最大溝幅が2〜10mmであり、しかも溝中心線がタイヤ軸方向にのびるとともに、
    前記凹溝部は、タイヤ半径方向の外側の溝壁と、タイヤ半径方向の内側の溝壁とを有し、かつ正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されるとともに正規荷重が負荷された正規負荷状態において、前記外側の溝壁と内側の溝壁とが離間するとともに、
    前記凹溝部は、正規リムにリム組みされかつ内圧を0とししかも正規荷重が負荷されたランフラット状態において、前記外側の溝壁と内側の溝壁とが少なくとも一部で接触しかつ接触面がタイヤ軸方向にのびることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記サイド補強ゴムは、少なくとも前記凹溝部よりもタイヤ半径方向外側に配された外のゴム部と、
    少なくとも前記凹溝部よりもタイヤ半径方向内側に配された内のゴム部とを有し、
    前記内のゴム部は、前記外のゴム部よりも大きいゴム硬さ及び/又は複素弾性率を有する請求項1記載のランフラットタイヤ。
  3. 前記凹溝部は、最大溝幅Wと溝深さGDとの比(W/GD)が1より小である請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ。
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