JP5302782B2 - ランフラットタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ランフラットタイヤにおいて、その加硫条件を特定することにより、ベルトプライにおけるトッピングゴムのゴム物性、特に損失正接、及び複素弾性率を改善でき、ランフラット耐久性を改善しうるランフラットタイヤの製造方法に関する。
タイヤの加硫方法として、通常、金型内に収容した生タイヤのタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して生タイヤをタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、金型を介して生タイヤをタイヤ外面側から加熱する外側加熱とを有する加熱加硫工程が行われる。なお加熱媒体としては、一般に、180〜210℃の飽和水蒸気(圧力に換算して約1050kPa〜2028kPa)が用いられ、又金型の温度は180〜185℃でほぼ一定に管理されている。
他方、パンクによりタイヤ内の空気が抜けた場合にも、比較的長距離を走行しうるランフラットタイヤとして、例えば図2に示すように、タイヤの骨格をなすカーカス6の内側かつサイドウォール部3に、パンク時の負荷荷重を支承するための断面略三日月状のサイド補強ゴム層9を設けた所謂サイド補強型のものが提案されている。
このサイド補強型のランフラットタイヤは、サイドウォール部3が厚くゴムボリュームが大であるため、加硫する場合、ノーマルタイヤ(非ランフラットタイヤ)よりも加硫時間を延長する必要が生じる。しかし、単に加硫時間のみを延長した場合には、ゴムボリュームが大であるため、タイヤ内部まで加硫を行うためには、タイヤ表面側(外面側、内面側を含む。)がオーバ加硫(過加硫)となり、加硫戻りが生じて表面側のゴム物性を低下させてしまうこととなる。
そこで、ランフラットタイヤの場合、金型温度を通常温度よりも低い、例えば160〜170℃の低温度に設定しつつ加硫時間を延長することが行われる。しかし、かかる場合においてもベルトプライのトッピングゴムにおいては、加硫戻りが十分に解決されず、所望のゴム物性(特に損失正接及び複素弾性率)をうることがでず、その結果、ランフラット走行時にベルトプライに損傷を招くなどランフラット耐久性を低下させるという問題が残存する。
なおベルトプライのトッピングゴムに加硫戻りが生じる原因として、以下のことが推測される。
(a) ベルトプライのトッピングゴムには、ベルトコード(スチールコード)との接着性に優れる天然ゴム(NR)が用いられるが、この天然ゴムは、加硫戻りしやすい特性を有する。
(b) ベルトコード(スチールコード)を伝わって熱が早く伝達されるため、そのトッピングゴムが加硫しやすくなる。
(c) 加硫戻りは、累積加硫熱エネルギー量と、最高到達温度とで決定され、金型温度を前記低温度とすることで、前記最高到達温度を下げることができる。しかし、加硫時間の延長により、累積加硫熱エネルギー量が、さほど低下していない。
そして、これら(a)〜(c)が原因して、ベルトプライのトッピングゴムの加硫戻りが解決されず、所望のゴム物性が得られないと推測される。
特開2007−83703号公報
そこで本発明は、金型温度を低温に設定する一方、加熱媒体の充填時間を減じて内側加熱からの熱量を抑えることを基本として、ベルトプライのトッピングゴムにおける累積加硫熱エネルギー量と、最高到達温度とを減じることができ、このトッピングゴムの加硫戻りによる物性低下を抑えてランフラット耐久性を向上しうるランフラットタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されるベルト層と、前記サイドウォール部に配される断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具え、かつ前記ベルト層が、スチール製のベルトコードの配列体をトッピングゴムで被覆したベルトプライから形成されるランフラットタイヤの製造方法であって、
ランフラットタイヤ用の未加硫の生タイヤを金型内に収容し、この収容した生タイヤのタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して生タイヤをタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型に設ける熱源により該金型を加熱して前記生タイヤをタイヤ外面側から加熱する外側加熱とを有する加熱加硫工程を含み、
しかも前記外側加熱では、前記熱源への温度制御により、トレッド部と接する金型のトレッド接触部分の温度T1を150〜170℃の範囲で一定に保ち、かつ前記内側加熱では、前記加熱媒体として温度T3が180〜210℃の水蒸気を用いるとともに、
前記加熱加硫工程中において、前記加熱媒体の充填時間t3を0.3分〜2.75分の範囲で調整することにより、前記ベルトコードの表面からの距離が3mm以内であるコード近傍領域におけるタイヤのゴム部材の最高到達温度T2を155〜170℃の範囲に制限し、
しかも、金型の前記温度T1と前記外側加熱の時間である加熱加硫工程時間t1との積T1×t1(単位℃・分)と、加熱媒体の前記温度T3とその充填時間t3との積T3×t3(単位℃・分)とで定まる次式(1)の加硫指数K1(単位℃・分)を4950〜10000(単位℃・分)の範囲としたことを特徴としている。
K1=T1×t1+10×T3×t3 −−−(1)
又請求項2の発明では、前記金型のトレッド接触部分の温度T1は、165℃未満であることを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記ベルトプライのトッピングゴムは、ゴム成分100質量部中に、天然ゴム(NR)及び/又はイソプレインゴム(IR)を60質量部以上含むことを特徴としている。
本発明は、金型温度であるトレッド接触部分の温度T1を150〜170℃の低温度に抑え、タイヤ表面側のオーバ加硫を抑制している。さらに、加熱媒体の充填時間を短縮し、内側加熱からの熱エネルギー量を抑えながらコード近傍領域における最高到達温度T2を155〜170℃の低温範囲に制限している。そしてこれらの相乗効果によって、ベルトプライのトッピングゴムにおける累積加硫熱エネルギー量と、最高到達温度との双方を減じることができる。その結果、このトッピングゴムの加硫戻りによる物性低下、特に損失正接の上昇及び複素弾性率の低下を抑えることができ、ランフラット耐久性を向上させることが可能となる。
本発明のタイヤの製造方法に用いる金型を概念的に示す断面図である。 本発明のタイヤの製造方法で形成されるランフラットタイヤの一実施例を示す断面図である。 そのベルトプライを示す断面図である。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。本発明のランフラットタイヤの製造方法は、図1に示すように、ランフラットタイヤ用の未加硫の生タイヤ1を金型20内で加硫成形して既加硫のランフラットタイヤ1Aを製造する方法であって、金型20内に収容した生タイヤ1のタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して生タイヤ1をタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型20に設ける熱源24により該金型20を加熱して前記生タイヤ1をタイヤ外面側から加熱する外側加熱とを有する加熱加硫工程を含む。
なおランフラットタイヤ1Aは、図2に示すように、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7と、前記サイドウォール部3に配されかつパンク時に負荷荷重を支持する断面略三日月状のサイド補強ゴム層9とを具える。
前記カーカス6は、有機繊維のカーカスコードをタイヤ周方向に対して75〜90°の角度で配列するベルトコードをトッピングゴムにて被覆した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライから形成される。前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具えるとともに、このプライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側に向かって先細状にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。
前記ベルト層7は、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の角度で配列したスチール製のベルトコード(スチールコード)10をトッピングゴム11(図3に示す。)にて被覆した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。ベルト層7は、各ベルトコードがプライ間相互で交差することによりベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強する。
ここで前記トッピングゴム11は、ベルトコード10(スチールコード)との良好な接着性を確保するため、ゴム成分100質量部中に、天然ゴム(NR)及び/又はイソプレインゴム(IR)を60質量部以上、より好ましくは75質量部以上含有させたNR系ゴムが使用される。残部ゴムとしては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などの他のジェン系ゴムが使用できる。なおトッピングゴム11には、所望の物性を得るために、タイヤ工業においてー般的に使用される硫黄などの加硫剤、カーボンブラックなどの補強用充填剤、酸化亜鉛、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
又ランフラット機能を確保するための前記サイド補強ゴム層9は、最大厚さを有する中央部分9aから、タイヤ半径方向内外に向かってそれぞれ厚さを徐々に減じてのびる断面三日月状をなし、その半径方向内端部9bは、前記ビードエーペックスゴム8とタイヤ軸方向内外で重複するとともに、半径方向外端部9cは前記ベルト層7とタイヤ半径方向内外で重複している。このサイド補強ゴム層9は、前記プライ本体部6aのタイヤ内腔側に配される。そこのため、サイドウォール部3の曲げ変形時には、サイド補強ゴム層9には主として圧縮荷重が、またカーカスプライ6Aのカーカスコードには主として引張荷重がそれぞれ作用する。ゴムは圧縮荷重に強く、かつコードは引張荷重に強いため、上記のようなサイド補強ゴム層9は、サイドウォール部3の曲げ剛性を効率良く高め、ランフラット走行時のタイヤの縦撓みをより効果的に低減しうる。
このサイド補強ゴム層9は、特に規定されないが、その最大厚さが5〜10mmの範囲であり、タイヤのゴムボリュームの増加を招く。そのため、このようなサイド補強ゴム層9を有するランフラットタイヤ1Aを金型20内で加硫成形する場合、そのときの加熱加硫工程の条件をノーマルタイヤに比して相違させることが必要となる。
そこで本発明では、前記外側加熱において、トレッド部2と接する金型20のトレッド接触部分の温度T1(以下金型温度T1という場合がある。)を150〜170℃の低温範囲で一定に保ち、かつ前記内側加熱においては、前記加熱媒体として温度T3が180〜210℃の範囲で一定の水蒸気を用いるとともに、前記加熱媒体の充填時間t3を0.3分〜2.75分の範囲で調整することにより、コード近傍領域Yにおけるゴム部材の最高到達温度T2を155〜170℃の範囲に制限している。
前記金型20としては、図1に概念的に示すように、タイヤ1Aの一方のサイドウォール外面を形成する上のサイドモールド20Uと他方のサイドウォール外面を形成する下のサイドモールド20Lとトレッド外面を形成するトレッドモールド20Aとを具え、各モールド20U、20L、20Aの割り面が当接することによって、製品タイヤの輪郭形状をなすタイヤ収容用の加硫室21を形成する。又各モールド20U、20L、20Aには、例えば電気ヒータ、蒸気ジャケット等の熱源22が設けられ、この熱源22によって所定温度に加熱される。本例では、前記熱源22が蒸気ジャケット22Jである場合が例示され、ボイラーから各蒸気ジャケット22Jに供給される飽和水蒸気の温度を一定に制御することにより、トレッド接触部分の金型温度T1を、150〜170℃の低温範囲で一定に管理している。
又前記金型20の中央には、タイヤ軸と同芯な中心機構23が配される。この中心機構23には、内側加熱用の加熱媒体を前記加硫室21に供給、排出するための供給口24a、排出口24bが配されるとともに、本例では、内側加熱用の加熱媒体とタイヤとの直接接触を防ぐゴム製袋状のブラダー25が装着される。又前記供給口24aには、内側加熱用の加熱媒体供給源(ボイラ)26からのび前記加熱媒体を加硫室21に供給することにより生タイヤ1の前記内側加熱を行う加熱配管27A、及び内側加熱後に、加圧媒体供給源28からの加圧媒体を引き続いて加硫室21に供給することにより生タイヤ1を高圧で加圧する加圧配管27Bとが接続されている。なお図1中の、符号30A、30Bは前記排出口24bに接続される排気管であり、一方の排気管30Aには、加硫後のタイヤを金型20から取出す際に負圧して前記ブラダー25を折畳むバキューム31が接続されている。また符号32は、開閉弁である。
前記内側加熱用の加熱媒体としては、従来と同様、温度T3が180〜210℃の飽和水蒸気が使用される。なお温度T3が180℃未満では、飽和水蒸気圧が1049.84kPa(10.36気圧)より小となるなどタイヤを金型20に押付ける力が不足し、成形不良となってユニフォミティーや外観品質の低下を招く。又210℃を越えると飽和水蒸気圧が2028.46kPa(20.02気圧)より高圧となるため加熱配管27Aに高い耐圧性が要求され、設備コストや保守コストの上昇を招く。
そして加熱加硫工程では、前記温度T1の金型20による外側加熱と、温度T3の加熱媒体による内側加熱とを行うとともに、前記内側加熱用の加熱媒体の充填時間t3を0.3分〜2.75分の範囲で調整することにより、コード近傍領域Yにおけるタイヤのゴム部材の最高到達温度T2を155〜170℃の範囲に制限している。なお前記「コード近傍領域Y」とは、図3に示すように、前記ベルトコード10の表面からの距離Lが3mm以内の範囲の領域を意味する。このコード近傍領域Yのゴム部材は、加熱加硫工程時に熱がベルトコードを伝わって早く伝達されるため、特にオーバ加硫となりやすい部位といえる。
ここで、前記外側加熱では、前記金型温度T1を150〜170℃と、従来よりも低い温度に設定しているため、熱がタイヤ内部に伝達される際の温度勾配が緩やかとなる。そのため、ゴムボリュームが大なランフラットタイヤ1Aを加硫する場合にも、タイヤ表面側がオーバ加硫するのを抑えながら、タイヤ内部まで加硫を行うことが可能となる。
又前記内側加熱では、加熱媒体の充填時間t3を2.75分以下に短縮し、内側加熱からの熱エネルギー量を抑えながらコード近傍領域Yにおける最高到達温度T2を155〜170℃の低温範囲に制限している。そのため、前記トッピングゴム11における最高到達温度と、累積加硫熱エネルギー量との双方を効果的に減じることができ、前記トッピングゴム11の加硫戻りによる物性低下、特に損失正接の上昇及び複素弾性率の低下を抑えることが可能となる。
ここで、前記金型温度T1が170℃を上回ると、温度勾配が急となって、タイヤ表面側でオーバ加硫を招く。又外側加熱による熱エネルギー量が増す分、前記充填時間t3を減じて内側加熱による熱エネルギー量を減じる必要が生じるが、それによって、タイヤ内腔面側に配されるインナーライナゴム層15、カーカス6のトッピングゴム、及びサイド補強層9等が加硫不足となる傾向を招く。或いは、前記最高到達温度T2が上限を超えてしまい、前記トッピングゴム11に加硫戻りを招来する。逆に、前記金型温度T1が150℃を下回ると、加硫時間が大幅に増加するなど生産性の著しい低下を招く。このような観点から、前記温度T1の上限は、165℃未満、さらには163℃以下、さらには160℃以下が好ましい。
又最高到達温度T2が170℃をこえる場合、及び充填時間t3が2.75分を越える場合には、内側加熱による熱エネルギー量が大となって、前記トッピングゴム11の最高到達温度、及び累積加硫熱エネルギー量が増大し、トッピングゴム11の加硫戻りが抑制できなくなる。逆に155℃を下回る場合、及び充填時間t3が0.3分を下回る場合には、内側加熱による熱エネルギー量が過小となって、タイヤ内腔面側に配されるインナーライナゴム層15、カーカス6のトッピングゴム、及びサイド補強層9等が加硫不足となる傾向を招く。このような観点から、前記最高到達温度T2はその上限値が165℃であるのが好ましい。又充填時間t3は、その下限が0.5分以上が好ましく、又上限は2.5分以下、さらには2.0分以下が好ましい。
なお前記加熱加硫工程では、金型20が閉となる加熱加硫工程開始から前記充填時間t3の間だけ内側加熱が行われるのに対して、外側加熱は、前記加熱加硫工程開始から、金型20が開く加熱加硫工程終了までの加熱加硫工程時間t1中ずっと行われている。従って、前記外側加熱の時間が加熱加硫工程時間t1となる。
又前記加熱加硫工程では、前記金型温度T1と前記加熱加硫工程時間t1との積T1×t1(単位℃・分)と、内側加熱用の加熱媒体の前記温度T3とその充填時間t3との積T3×t3(単位℃・分)とで定まる次式(1)の加硫指数K1(単位℃・分)を4950〜10000(単位℃・分)の範囲としている。
K1=T1×t1+10×T3×t3 −−−(1)
この加硫指数K1が10000(単位℃・分)を越えると、トッピングゴム11が加硫戻り傾向となり、損失正接が高くなって発熱性が悪化するとともに複素弾性率が低下し、ランフラット耐久性を低下させるという不利を招く。逆に4950(単位℃・分)を下回ると、サイド補強層9の中央が加硫不足の傾向となってゴム硬度が不充分となり、負荷荷重支持能力を減じるとともに、損失正接が高くなって発熱性が悪化するなどランフラット耐久性を低下させる。又近年、転がり抵抗を減じるため、本例の如く、トレッドゴムに補強剤としてシリカを配合する傾向にあるが、前記加硫指数K1が4950(単位℃・分)を下回ると、加硫の遅いシリカ配合のトレッドゴムが、本来のゴム物性に到達せず、操縦安定性や耐摩耗性を低下させるという不利を招く。
ここで、前記加熱媒体の充填時間t3の調整により、前記最高到達温度T2を155〜170℃の範囲に制限する手法について説明する。
加硫成形時、トレッド部2は、金型20から供給される熱量と、加熱媒体から供給される熱量とにより両側から加熱され、トレッド内部に位置するコード近傍領域Yの温度は、時間経過とともに上昇する。このとき、トレッド外面の温度は、前記金型20のトレッド接触部分の温度T1と同じで150〜170℃の範囲で一定であり、又トレッド内面の温度は、前記加熱媒体の温度T3と同じで180〜210℃の範囲で一定となる。
従って、まず前記温度T1、T3を設定し、その温度条件の下で、サンプルタイヤの予備加硫実験を行う。サンプルタイヤは、同一ロットのタイヤから作成したもので、コード近傍領域Yには、熱電対等の温度センサを取り付ける。そして、予備加硫実験では、加熱媒体の充填時間t3を相違させ、コード近傍領域Yにおける温度−時間曲線を、相違する充填時間t3毎に測定する。そして得られた種々の温度−時間曲線のデータから、コード近傍領域Yの最高到達温度T2が155〜170℃の範囲となる充填時間t3を設定する。
このとき、前記充填時間t3の設定には、加硫時間t1を考慮する必要があるが、この加硫時間t1は、加硫指数K1(=T1×t1+10×T3×t3)が、4950〜10000(単位℃・分)となる範囲で設定される。
このように、予備加硫実験によって温度T1、T2、T3と充填時間t3との関係を掌握し、それによって設定した加硫条件の下で、同一ロットの他のタイヤを加硫する。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明に係わる加硫方法を用い、図2に示すタイヤ構造をなす乗用車用ランフラットタイヤ(タイヤサイズ245/40ZR18)を、表1の仕様に基づいて作成するとともに、各試供タイヤのランフラット耐久性をテストした。又、試供タイヤから、ベルトプライのトッピングゴムのサンプルを切り出し、その複素弾性率E*、損失正接(tanδ)を測定し、互いに比較した。表1の加硫条件以外は、実質的に同一である。なおベルト層のトッピングゴムとしては、ゴム成分中の天然ゴム含有量を100質量%としたものを使用している。
(1)複素弾性率E*、損失正接(tanδ):
粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪2%および周波数10Hzの条件下で、30℃におけるゴムサンプルの複素弾性率E*および損失正接(tanδ)を測定した。複素弾性率E*は高いほど、損失正接(tanδ)は低いほど加硫戻りが少なく好ましい。
(2)ランフラット耐久性
各供試タイヤをバルブコアを取り去った正規リム(18×8J)にリム組し内圧を零としたパンク状態でドラム試験機上を以下の条件で走行させ、ベルト層に損傷が生じるまでの走行時間を測定した。結果は従来例1を100とする指数により表示した。数値が大きいほど良好である。
ドラム直径:1.7m
荷重:4.5kN
走行速度:80km/H
Figure 0005302782
実施例のタイヤは、加硫戻りによるベルト層のトッピングゴムの物性低下(複素弾性率E*の低下、及びは損失正接の増加)が抑えられ、ランフラット耐久性が大幅に向上されているのが確認できる。
1 生タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
7A、7B ベルトプライ
9 サイド補強ゴム層
10 ベルトコード
11 トッピングゴム
20 金型
22 熱源
Y コード近傍領域

Claims (3)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの半径方向外側かつ前記トレッド部の内部に配されるベルト層と、前記サイドウォール部に配される断面略三日月状のサイド補強ゴム層とを具え、かつ前記ベルト層が、スチール製のベルトコードの配列体をトッピングゴムで被覆したベルトプライから形成されるランフラットタイヤの製造方法であって、
    ランフラットタイヤ用の未加硫の生タイヤを金型内に収容し、この収容した生タイヤのタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して生タイヤをタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型に設ける熱源により該金型を加熱して前記生タイヤをタイヤ外面側から加熱する外側加熱とを有する加熱加硫工程を含み、
    しかも前記外側加熱では、前記熱源への温度制御により、トレッド部と接する金型のトレッド接触部分の温度T1を150〜170℃の範囲で一定に保ち、かつ前記内側加熱では、前記加熱媒体として温度T3が180〜210℃の水蒸気を用いるとともに、
    前記加熱加硫工程中において、前記加熱媒体の充填時間t3を0.3分〜2.75分の範囲で調整することにより、前記ベルトコードの表面からの距離が3mm以内であるコード近傍領域におけるタイヤのゴム部材の最高到達温度T2を155〜170℃の範囲に制限し、
    しかも、金型の前記温度T1と前記外側加熱の時間である加熱加硫工程時間t1との積T1×t1(単位℃・分)と、加熱媒体の前記温度T3とその充填時間t3との積T3×t3(単位℃・分)とで定まる次式(1)の加硫指数K1(単位℃・分)を4950〜10000(単位℃・分)の範囲としたことを特徴とするランフラットタイヤの製造方法。
    K1=T1×t1+10×T3×t3 −−−(1)
  2. 前記金型のトレッド接触部分の温度T1は、165℃未満であることを特徴とする請求項1記載のランフラットタイヤの製造方法。
  3. 前記ベルトプライのトッピングゴムは、ゴム成分100質量部中に、天然ゴム(NR)及び/又はイソプレインゴム(IR)を60質量部以上含むことを特徴とする請求項1又は2記載のランフラットタイヤの製造方法。
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