以下、データ写し込み機構を内蔵したレンズ付きフイルムユニットを説明する。レンズ付きフイルムユニット(以下「フイルムユニット」と称す。)1は、図1に示すように、ユニット本体2と、これの外周を覆う外装体3とから構成されている。ユニット本体2には、前面にグリップ部4、撮影窓5、採光窓6、ファインダー対物窓7、ストロボ発光窓8、ストロボ充電開始ボタン9が、また、上面にシャッタボタン10、フイルム残数表示窓11、充電完了ランプ表示窓12、さらに背面に巻き上げノブ13、及びファインダー接眼窓14が配置されている。
ユニット本体2の前面は、グリップ部4と膨出部15とを残して一段凹ました形状とされており、従来どおりに薄型化が図られている。膨出部15は、撮影レンズ側から見て撮影窓5と採光窓6とストロボ充電開始ボタン9の一部を包括する範囲で膨出した部分であり、高さ方向において上端がファインダー対物窓7から所定間隔離れ、これから下端までの間で撮影窓5と採光窓6とを包括する。また、水平方向においては、左端がグリップ部4から所定間隔離れ、右端がストロボ充電開始ボタン9の一部にかかる長さとされ、これらの間で撮影窓5と採光窓6とを包括する。この膨出部15の前面に、撮影レンズを覆う鏡筒が突出して形成されている。
外装体3は、図2に示すような展開形状とされており、ユニット本体2を載置した後に組み立てることで直方体の小箱となる。組立は、糊代部分を各々接着することで行える。この外装体3の展開形状には、膨出部15、ファインダー対物窓7、ストロボ発光窓8、フイルム残数表示窓11、充電完了ランプ表示窓12、及びファインダー接眼窓14を外部に露呈するための開口3a〜3fと、シャッタボタン10及び巻き上げノブ13にかけて外部に露呈するための切り欠き部3gとがそれぞれ形成されている。膨出部15を露呈する開口3aは、ファインダー対物窓7を露呈させる開口3bと、ストロボ発光窓8を露呈する開口3cとを隣接して形成することができる最小の隙間を隔てて形成されている。これにより、外装体3の小箱形状をユニット本体2に密着して覆うことができ、ユニット本体2と外装体3との隙間からゴミが入り込んで内部の機構が故障する等の不都合を未然に防止することができる。
ユニット本体2は、図3に示すように、前カバー22、後カバー23、本体基部24、露光ユニット25、ストロボユニット26、データモジュール27、及び写真フイルムカートリッジ28とから構成される。
本体基部24には、カートリッジ29を収納するためのカートリッジ収納室30と、カートリッジ29から引き出した未露光の写真フイルム31をフイルムロール31aの形態で収納するためのフイルム収納室32とが一体成形されている。本実施形態では、フイルムロール31aだけを収納しているが、例えば巻芯に巻き付けた形態のフイルムロールを収納してもよい。写真フイルム31は、フイルム後端がカートリッジ29に設けられたスプール33に係止されている。この写真フイルム31は、予め決められたフイルム感度のものが用いられる。なお、写真フイルムカートリッジ28としては、135タイプの他に、未使用時にはフイルム先端がカートッジの内部に収納されており、スプール回転により写真フイルムをカートリッジの外部に送り出すことができるタイプのものを用いてもよい。
前カバー22には、上面にシャッタボタン10、充電完了ランプ表示窓12が、また前面に膨出部15、ストロボ充電開始ボタン9、及びストロボ発光窓8がそれぞれ一体に形成されている。後カバー23には、ファインダー接眼窓14と巻き上げノブ13を外部に露呈させる開口23aとが形成されており、本体基部24の背後に着脱自在に取り付けられ、本体基部24との間で写真フイルムカートリッジ28を光密に収納する。カートリッジ収納室30とフイルム収納室32との底は開口となっており、写真フイルムカートリッジ28を装填した後に、後カバー23に設けたプルトップ式の底蓋34,35によってそれぞれ塞がれる。このうち底蓋34は、撮影済みの写真フイルムを収納したカートリッジ29を取り出すときの蓋となる。
カートリッジ収納室30の上面には、巻き上げノブ13が回動自在に配置されている。巻き上げノブ13の下部には、フォークが一体に形成されており、このフォークがカートリッジ収納室30の上面の開口を挿通してスプール33に係合している。巻き上げノブ13は、後カバー23の開口23aから露呈され、フイルム巻き上げ方向(同図に示す反時計方向)への回転操作により、スプール33がフイルム巻き取り方向に回転して撮影済みの写真フイルム31をカートリッジ29の内部に収納する巻き上げ機構を構成する。
カートリッジ収納室30とフイルム収納室32との間には、暗箱の一部となる分割暗箱37が一体に設けられている。分割暗箱37の背面側には、露光開口38が形成されている。分割暗箱37の前面には、露光ユニット25が着脱自在に取り付けられる。
露光ユニット25は、ベースとなる分割暗箱53に、撮影レンズ39、シャッタ機構、フイルム巻き止め機構、シャッタチャージ機構、及び、ファインダー光学部品等が組み込まれており、これらはユニット化されている。露光ユニット25の前面右側には、データモジュール27が着脱自在に取り付けられる。
撮影レンズ39は、撮影窓5に対応した位置に配置される。露光ユニット25の分割暗箱53は、本体基部24の分割暗箱37との組合せで暗箱を形成する。暗箱が形成されると、撮影レンズ39と露光開口38との間の撮影光路が暗室状態とされる。なお、暗箱を分割形態にしているが、分割しないで本体基部24、又は露光ユニット25側のいずれかに一方に一体に設けてもよい。
ストロボユニット26は、前カバー22とフイルム収納室32との間のスペースに挟装して着脱自在に取り付けられており、シンクロスイッチ40、メインコンデンサ41、電源電池42、ストロボ発光部43、及びストロボ基板44等から構成されている。ストロボ充電開始ボタン9の押下操作が行われると、電源電池42からの電圧が昇圧されてメインコンデンサ41に充電が行われる。シャッタレリーズに連動してシャッタ機構が作動することでシンクロスイッチ40がONする。シンクロスイッチ40がONすると、ストロボ発光部43の内部の放電管にトリガー信号が与えられ、メインコンデンサ41に蓄積された充電電圧により放電管が放電してストロボ発光部43からストロボ光が照射される。このストロボ光は、ストロボ発光窓8を通して被写体に向けて照射される。
データモジュール27は、水晶発振子、時計回路、LCDドライバー、及び、透過型の文字発生用の液晶表示部45、及びデート初期設定スイッチ等を一体化したモジュール基板と、モジュール用電源電池47とで構成されており、モジュール基板の裏面で、且つ、撮影窓5の側から見た輪郭形状の範囲に電源電池47を収めた形態でユニット化部品となっている。このように、モジュール基板の裏面に電源電池47を取り付けるようにしたから、データモジュール27が入り込む前カバー22の膨出部15をフラットにできる。また、電源電池47を背面側に取り付けたから、これの右側に配置されるストロボ基板44との間に電源電池47用の収納スペースが必要なくなる。また、電源電池47を撮影窓5の側から見た輪郭形状の範囲に収まるように取り付けたから、撮影窓5の側から見たデータモジュール27の投影面積を小さくでき、膨出部15の輪郭形状を小さくすることができる。
時計回路には、将来の数年間のカレンダーが記憶されており、内蔵の基準パルス発生器を水晶発振子により補正し、正確な時間パルスを得て、年、月、及び日との関連を液晶表示部45に正確に表示する。デート初期設定スイッチは、デートの初期設定を行うためのものである。データモジュール27の表示は、予め工場で生産された日を基準にして設定され、フイルムユニット1の外部からは変更できないようにされている。電源電池47は、ボタン型のタイプが用いられ、データモジュール27を取り外したときに容易に交換できるように取り付けられている。
液晶表示部45は、前カバー22の採光窓6に対応した位置で、集光レンズ46の背後に配置されており、例えば「‘96 5 10」等の文字を白抜きで発生する。年、月、及び日は2文字ずつで構成され、1文字は7セグメント表示である。なお、月を表す文字の2桁目だけは「1」の表示だけでよいから、直線のセグメントを縦に並べた2セグメント表示とされている。また、この液晶表示部45の前面には、前カバー22の内壁との間で挟装される集光レンズ46が設けられている。集光レンズ46は、採光窓6の背後に配置され、採光窓6から入射する自然光を液晶表示部45に集光する。
露光ユニット25の前面には、図4に示すように、撮影レンズ39を保持し、詳しくは後述するシャッタ羽根の前面を覆うシャッタカバー兼用のレンズホルダー48が着脱自在に取り付けられている。このレンズホルダー48には、撮影レンズ39を保持する部分の右側に、データモジュール27を取り付けるための取付け部49が一体に形成されている。取付け部49には、データモジュール27を位置決めするための位置決めピン49a,49bと、データモジュール27を保持するための弾性自在な係止爪49c,49dと、液晶表示部45を透過したデート光を背後に向けて通過されせるための開口49eとがそれぞれ一体に形成されている。データモジュール27には、位置決め穴27a,27bが形成されている。これらの位置決め穴27a,27bを位置決めピン49a,49bに前面側から撮影光軸54に沿って挿入すると、液晶表示部45が所定位置に位置決めされ、データモジュール27の上下の輪郭部が係止爪49c,49dにそれぞれ係止されることで、液晶表示部45が保持される。
露光ユニット25に設けた撮影レンズ39の背後には、図5に示すように、固定絞り39aが、またこれの背後にシャッタ羽根50が回動自在に支持されている。シャッタ羽根50は引き戻しバネ51によりシャッタ開口52を閉じる閉じ位置に向けて付勢されている。このシャッタ開口52は、分割暗箱53の前面中央、すなわち撮影レンズ39の中心を通る撮影光軸54上に設けられている。シャッタ羽根50は、シャッタレリーズに連動してシャッタ機構を構成する蹴飛ばしレバーにより上端が蹴飛ばされ、軸55を中心に1往復揺動してシャッタ開口52を開閉する。この間にシャッタ開口52に入射した被写体光は、2つの分割暗箱37,53で構成された暗箱56内に入射し、有害光遮光枠57を通って露光開口38にセットされた写真フイルム31に露光される。シャッタ羽根50がシャッタ開口52を全開したときには、シャッタ羽根50の上端に設けた突起58によりストロボユニット26のシンクロスイッチ40をONする。
一方、シャッタ羽根50の一往復揺動中に液晶表示部45を透過したデート光は、撮影レンズ39を透過しないで、暗箱56の前面に形成したデート光用シャッタ開口59を通って暗箱56の内部に導かれる。このデート光用シャッタ開口59は、正面から見てシャッタ開口52の右下となる位置に、シャッタ開口52とは別に設けられており、シャッタ羽根50の先端に一体に設けたデート光用のシャッタ部材60によりシャッタ羽根50の開閉動作に連動して開閉される。このシャッタ部材60は、シャッタ開口52を塞ぐ開閉部50aを挟んで回転軸55とは逆側に設けられている。
暗箱56内に導かれたデート光は、結像光学系の光軸61に沿って露光開口38に導かれ、ここにセットされた写真フイルム31に乳剤面側から結像される。結像光学系は、2枚のミラー板62,63、及び結像レンズ64で構成されており、これらは暗箱56内を通る撮影光束の外に位置するように、有害光遮光枠57の前面側と分割暗箱53の前面内壁との間で挟装される。
有害光遮光枠57は、撮影に有害な光を遮光する開口縁57aの左右に設けた穴57b,57cを、露光開口38側から撮影光軸54に沿って挿入して分割暗箱53の内部左右に設けた一対のピン53a,53bに挿通させ、その後、穴57b,57cから突出した一対のピン53a,53bの頭をカシメて固定される。
ミラー板62,63は、図6及び図7に示すように、露光開口38側から光軸54に沿った分割暗箱53の内部前面の内壁に向けて挿入される。分割暗箱53の内部前面の内壁には、ミラー板62,63を位置決めするための2つの凹部57i,57hが形成されている。これらの凹部57i,57hにミラー板62,63が挿入される。このうち、ミラー板63は、詳しくは後述する位置決め部材65に設けた押さえ部65bで露光開口38側から押さえ込まれる。位置決め部材65は、有害光遮光枠57に設けたピン57eと分割暗箱53の内部前面の内壁に設けたピン53cとにより所定位置に位置決めされて保持される。
結像レンズ64は、位置決め部材65に設けたレンズ保持用開口部65aに挿入され、有害光遮光枠57の右上に設けたレンズ押さえ部57dで、光軸54に直行する方向に沿った位置が決められて保持される。レンズ押さえ部57dは、結像レンズ64の鍔部だけを押さえ込む突出形状とされている。このレンズ押さえ部57dは、分割暗箱53の前面内壁との間で結像レンズ64を光軸54に沿った位置を決める。ミラー板62は、前方に突出して有害光遮光枠57に設けたミラー用押さえ部57fで露光開口38側から押さえ込まれる。なお、押さえ部65bと凹部57iとは、ミラー板62,63の反射面を押さえるため、デート光を遮らないように、有効反射面外を押さえる形状とされている。
液晶表示部45を透過したデート光は、図7に示すように、ミラー板62で撮影光軸54よりも上側に向けて反射され、他方のミラー板63で露光開口38に向けて反射されて結像レンズ64に入射する。結像レンズ64は、デート光を撮影レンズ39側から見て露光開口38の右上の部分に結像させる。このように、露光開口38の右上にデート光を写し込むようにしたから、横位置撮影は勿論、縦位置撮影のときにも確実に被写体画像に対して下側にデート像が写し込まれるから、例えば被写体の顔にデート画像が重複して記録されるようなことはない。
なお、ここでいう縦位置撮影は、シャッタボタン10が右下にくるように該フイルムユニット1を縦に構えて撮影した姿勢とする。また、結像光学系としては、2枚のミラー板62,63の代わりに、Z字状をしたライトガイド、又はプリズムを用いてもよい。この場合には、位置決め部材65を省略し、ライトガイド、又はプリズムを有害光遮光枠57と暗箱56との間で挟持するように構成する。これによれば、ライトガイド、又はプリズムに入射したデート光は、内部で全反射するので外部に漏れることはなく、撮影光束に有害な光が混入することはない。
上記のように構成されたレンズ付きフイルムユニットの作用について説明する。工場では、先ず、露光ユニット25の組立を行う。この組立は、シャッタ機構、フイルム巻止め機構、フイルムカウンタ機構、及びファインダー光学系等を組み込む。これらの組み込みは、分割暗箱53の上面側に上方からの挿入により行われる。部分的に組立られた露光ユニット25は、本体基部24に前面側から挿入することで爪結合により取り付けられる。
この露光ユニット25は、撮影レンズ39の側を上に向けた姿勢にしてから、上方からシャッタ羽根50、引き戻しバネ51が順に挿入されて取り付けられる。その後、ストロボユニット26が上方から挿入されて本体基部24に取り付けられる。これにより、シンクロスイッチ40がシャッタ羽根50の揺動軌跡内に入り込む。そして、予め撮影レンズ39を取り付けたレンズホルダー48が上方から挿入され、露光ユニット25に取り付けられる。
その後に、データモジュール27が上方から挿入され、レンズホルダー48に取り付けられる。このとき、位置決め穴27a,27bをレンズホルダー48に設けた位置決めピン49a,49bに嵌合させながら行う。そしてデータモジュール27を最後まで押し込むことで係止爪49c,49dがデータモジュール27の上下輪郭部に係合し、データモジュール27が露光ユニット25の所定位置に保持される。
データモジュール27を取り付けた後には、集光レンズ46を上方から液晶表示部45の上に載置し、その後、前カバー22を上方から挿入して本体基部24に取り付ける。これにより、集光レンズ46が前カバー22の内壁との間で挟持される。このように、本体基部24に対して露光ユニット25、ストロボユニット26、レンズホルダー48、データモジュール27、集光レンズ46、及び前カバー22等の全ての部品を一方向からの挿入に統一しているので、例えば、前面側を上に向けて置いた本体基部24に組み付けるようにすると、全ての部品を上方向からの挿入になり、自動化組立が容易に行える。
次には、結像光学系を取り付ける。この取り付けは、本体基部24の背面側からの挿入となるため、例えば本体基部24を反転して背面側を上にした姿勢にする。そして、暗箱56の内部にミラー板62,63、位置決め部材65、結像レンズ64、及び有害光遮光枠57を一方向から順に組み込む。
結像光学系を取り付けた本体基部24は、暗室に搬送され、ここで写真フイルムカートリッジ28が装填される。この装填は、本体基部24のカートリッジ収納室30にカートリッジ29を、またカートリッジ29から未露光の写真フイルム31を引き出してロール形態にしたフイルムロール31aをフイルム収納室32にそれぞれ装填した後に、後カバー23を本体基部24に背後から取り付け、最後に底蓋34,35を閉めることで完了する。そして、完成したユニット本体2に外装体3が被せた後に出荷される。
撮影は、先ず、巻き上げノブ13を操作して写真フイルム31を巻き上げる。写真フイルム31を巻き上げると、これに従動してフイルム巻き止め機構を構成するスプロケットが回転し、1コマ分のフイルム巻き上げによりスプロケットが所定回転し、これに連係してフイルム巻き止め機構が作動して、スプロケットの回転と巻き上げノブ13の回転とをロックする。これにより、露光開口38に最初の撮影コマがセットされる。
シャッタボタン10の押圧操作が行われると、これに応答してシャッタ羽根50が蹴飛ばしレバーで蹴飛ばされる。蹴飛ばされたシャッタ羽根50は、軸55を中心に1往復往動する。シャッタ羽根50には、デート光用のシャッタ部材60が一体に形成されているから、揺動により2つのシャッタ開口52,59が開閉され、この開閉中に一方のシャッタ開口52には撮影窓5及び撮影レンズ39を通った被写体光が、また他方のシャッタ開口59からは採光窓6、集光レンズ46、及び液晶表示部45を通って作成されたデート光が暗箱56の内部にそれぞれ入射する。
被写体光は、暗箱56内で有害光遮光枠57を通過して露光開口38にセットされた写真フイルム31に入射する。デート光は、ミラー板62,63を介して結像レンズ64に入射され、この結像レンズ64により露光開口38にセットされた写真フイルム31の右上に結像され、被写体光と重複して露光される。フイルム面に達する被写体光量は、シャッタ羽根50が固定絞り39aを開いている時間で決まり、これはフイルム感度に合わせて適正露出となるように蹴飛ばしレバーの蹴飛ばし力及び引き戻しバネ51の付勢力とが予め決められている。フイルム面に達するデート光量は、シャッタ部材60がシャッタ羽根50と一体に開閉するから、一義的に決められてしまう。そこで、液晶表示部45の前に集光レンズ46を配置して、フイルム面に達するデート光量を多くし、より鮮明に写るようにしている。しかも、結像レンズ64を採用したことによりデート画像の輪郭をも鮮明に写し込むことができる。
ストロボ撮影の場合には、シャッタボタン10を押下操作する前に、ストロボ充電開始ボタン9を押下操作する。これにより、電源電池42からの電圧が昇圧されてメインコンデンサ41に充電が開始される。メインコンデンサ41の充電が完了すると、充電完了ランプ表示窓12に外部に充電完了を示すランプが表示される。この表示を確認してから、シャッタボタン10を押下操作すれば、シャッタ羽根50の揺動中にシンクロスイッチ40がONし、ストロボ発光部43からストロボ光が被写体に向けて照射される。このストロボ光は、被写体で反射した後に、撮影レンズ39を通ってシャッタ開口52から暗箱56内に導かれ、露光開口38にセットさした写真フイルム31に入射する。一方、被写体で反射したストロボ光は、採光窓6にも入射する。入射した光は、液晶表示部45を透過してデート光となる。このデート光は前述したと同様に写真フイルム31に露光される。これによれば、暗闇でのストロボ撮影の場合でも、確実にデート画像を写し込むことができる。
以下、前述した撮影を繰り返すことで、写真フイルム31の各撮影コマには、被写体画像とともにデート画像が写し込まれてゆく。最後の撮影コマに撮影を完了した後には、フイルムカウンタ機構がフイルム巻き止め機構の作動を禁止する。これにより、フイルム巻き止めが作動しないから、フイルム巻き上げ操作によって全部の撮影済みの写真フイルム31がカートリッジ29の内部に巻き込まれる。
撮影済みのフイルムユニットは、現像所に提出され、ここで、底蓋34を開けて露光済みの写真フイルム31を収納したカートリッジ29が取り出される。取り出したカートリッジ29は、フイルムプロセッサーにセットされ、露光済みの写真フイルム31が現像される。現像済みの写真フイルム31からは、プリンタプロセッサーによりプリント写真が作成される。作成されたプリント写真と現像済みの写真フイルムは、ユーザーに返却される。仕上がったプリント写真には、横位置撮影の画像の場合には右下に、また縦位置撮影の画像の場合には左下に、それぞれ日付が記録されている。なお、日付は、横位置撮影の画像と同じ向きで写される。
空のレンズ付きフイルムユニットは、工場に回収され、リサイクルされる。リサイクルでは、データモジュール27、及び露光ユニット25がそれぞれ前カバー22及び後カバー23で保護されているから、破損又は損傷なく回収できており、したがって、前カバー22及び後カバー23を取り外した後に、ストロボユニット26、データモジュール27、及び露光ユニット25を取り出せば、そのままの状態で再使用が可能となる。なお、データモジュール27の電源電池47は、取り出し後に交換される。
なお、レンズ付きフイルムユニットには、データ写し込み機構を内蔵しない種類のものがある。この種類の場合には、データモジュール27と結像光学系とを省略し、また、前カバー22の採光窓6を例えば外装体等で塞げば、残りは全て共通の部品として使用することができる。
また、ストロボユニット26を内蔵していないタイプもある。この場合には、ストロボ充電開始ボタン9、ストロボ発光窓8、充電完了ランプ表示窓12が省略されるため、膨出部15がストロボ充電開始ボタン9を省いた略矩形状となる。この形状に合わせて外装体3の開口3aを形成すればよい。また、外装体3としては、箱形状のタイプの他に、例えば図8に示すように、ユニット本体2の前面、上面、背面、及び底面を海苔巻状に覆うようにした外装体70でもよい。この場合には、単に糊代を接着して組み立てる箱タイプでもよいし、また、ラベル紙を用いて外装体70の裏面全部を貼り付けるようにしてもよい。さらに、膨出部15を外部に露呈させる開口としては、一部が切り欠かれたものでもよい。
データモジュール27の正面から見た投影面積の縮小化を図る方法としては、例えば、図9に示すように、モジュール基板をストロボ基板44側に向けて一段凹むように断面クランク形状にし、一段凹んだ面の背面に電源電池47を取り付けた形態のデータモジュール71にしてもよい。また、図10に示すように、電源電池47の円形面を水平に向けて取り付けた形態のデータモジュール71にしてもよい。この場合には、基板の背面側上方に取り付けることで、ストロボ基板44との間のスペースに収めることができる。
上記実施形態では、結像光学系を2枚のミラー板62,63と結像レンズ64で構成しているが、本発明ではこれに限らず、これらの代わりに、Z字状をしたライトガイドやプリズム等を用いてもよい。この場合には、位置決め部材65を省略し、ライトガイド、又はプリズムを有害光遮光枠57と暗箱56との間で挟持するように構成する。これによれば、ライトガイド、又はプリズムに入射したデート光は、内部で全反射するので外部に漏れることはなく、撮影光束に余計な光が混入することはない。
また、結像光学系の一部、又は全部を有害光遮光枠57に取り付けるようにしてもよい。図11は、結像光学系の一部を有害光遮光枠57に保持させ、残りを暗箱56の内壁と有害光遮光枠57との間に挟持するようにした別の実施例である。有害光遮光枠57には、保持部73が爪結合により撮影光軸と平行に挿入することで着脱自在に取り付けられる係止部74が一体に形成されている。保持部73は、上面に開放側を向けた断面コ字形状とされており、これの先端側にミラー板63が挿入される溝73aが形成されている。保持部73の後端側には、結像レンズ64の外周が嵌合される開口73bが形成されている。結像レンズ64は、保持部73の開口73bの縁と有害光遮光枠57との間で挟持される。なお、ミラー板62は、図6で説明したと同じに有害光遮光枠57と暗箱56との間で挟持される。
図12は、結像光学系の全部を有害光遮光枠57に保持させるようにした他の実施例である。有害光遮光枠57には、開口縁57aに突出してミラー板62,63、及び結像レンズ64をそれぞれ所定位置に保持するためのホルダー部75が一体に形成されている。ホルダー部75には、結像光学系が撮影光軸54と直交する方向から挿入され、その後、暗箱56の内部に取り付けることで、挿入側が暗箱56の内壁で塞がれ、抜け止めされる。
このように、結像光学系を暗箱56の内壁と有害光遮光枠57との間で挟持するようにしたから、別途に固定部材を設ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。また、暗箱56の内部に、結像光学系と有害光遮断部材とを、又はこれらを保持した有害光遮光枠57を撮影光軸54と平行となる一方向から挿入すればよいから、組み付け作業が容易となり、しかも自動化組立にも対応させることができる。
また、図11及び図12で説明した実施形態では、予め有害光遮光枠57に結像光学系の一部、又は全部を組み付けた状態で、また図6で説明した実施形態では予め露光ユニットの暗箱に結像光学系を組み付けた状態で取り扱うことができるため、組立適性の向上が図れ、しかも部品管理の手間が省ける。
図5で説明した実施例では、結像レンズ64と2枚のミラー板62,63とで結像光学系を構成しているが、本発明ではこれに限らず、図13に示すように、2枚のミラー板62,63を省略し、結像レンズ64だけを用いてもよい。これによれば、結像光学系を結像レンズ64だけで構成したから、部品点数が削減できる。この場合には、デート光は、撮影レンズ39側から見て写真フイルム31の露光画面内の右下に入射する。
また、図5で説明した実施例では、デート光用シャッタ開口59が、被写体光用のシャッタ開口52の右下に配置されているが、別の実施形態として、図14に示すように、デート光用シャッタ開口77を、シャッタ開口52の右上に配置してもよい。
図14に示すシャッタ羽根76は、被写体光入射開口となるシャッタ開口52を覆う開閉部76aと、前記開閉部76aの揺動軌跡の外側に一体に設けられたシャッタ部材76bとから構成されている。前記シャッタ部材76bは、データ写し込み光入射開口であるシャッタ開口77を開閉する。これによれば、図15に示すように、デート光は、暗箱内のうち、撮影レンズ側から見て右上の位置に入射し、結像レンズで露光画面にセットされた写真フイルムの右上に結像すれば、プリント上でのデートの位置が正位置撮影で画面の下方になり、より自然な位置への写し込みとなる。なお、前カバー22の採光窓6の位置も、当然のことながら、撮影レンズ39側から見て右上になるが、図示では省略している。
図16は、図5で説明した実施例と図14で説明した実施例とのデート光用シャッタ開口59,77との位置関係を示したものである。図中、符号78は、開閉部50aが被写体光用シャッタ開口52を覆う部分の揺動軌跡であり、図5で説明した実施例におけるデート光用シャッタ開口59と、図14で説明した実施例におけるデート光用シャッタ開口77とも、この揺動軌跡の外側に位置していることを示している。
暗箱の前面に設けられた被写体光用シャッタ開口52は、一段高い面に形成されており、図示のように、シャッタ羽根50が閉じた状態では、シャッタ羽根50の裏面側に設けられた遮光リブ79が、その段差を取り囲み、向かい側の暗箱53の前面に突出して設けられた暗箱側遮光リブ80と共働して、周囲からの光漏れを防いでいる。
図17は、図5で説明した実施例の、シャッタ羽根50とシャッタ開口52との周囲の詳細形状を示す図である。シャッタ羽根50の裏側に設けられた遮光リブ81、及び暗箱側の遮光リブ82は、シャッタ羽根50の開き方向側で、且つ、被写体光用シャッタ開口52とデート光用シャッタ開口59との隙間を遮光するように形成されている。
また、図17で説明した例では、隣接して配置されるストロボ基板44を記しているが、図から分かるように、シャッタ羽根50の揺動軌跡78とストロボ基板44の外形で囲まれる部分は、シャッタ開口52の右上に行く程狭くなる。したがって、図14で説明した例のように、シャッタ開口52の右上にデート光用シャッタ開口77を配置すると、ストロボ基板44は外側に追いやられ、結果としてレンズ付きフイルムユニット本体の大型化を招くことになる。つまり、図5で説明した例のデート光用シャッタ開口59の位置は、レンズ付きフイルムユニット本体を小型化する上で有効な配置になっていることが分かる。
図18は、図14で説明した実施例の、シャッタ羽根50とシャッタ開口52の周囲の詳細形状を示す図である。シャッタ羽根50の裏側に設けられた遮光リブ83及び暗箱側遮光リブ84の形状は、シャッタ羽根50の揺動軌跡の外側で、且つ、被写体光用シャッタ開口52とデート光用シャッタ開口77との周囲に生じる隙間を遮光するように形成されている。
なお、図17で説明したように、この実施例でのデート光用シャッタ開口77の配置は、レンズ付きフイルムユニットの大型化を招くものではあるが、デート写し込み位置が露光画面にセットされた写真フイルム31の右上になるので、プリント上での日付の位置が正位置撮影で画面下方になり、より自然な位置への写し込みとなる利点がある。
図5で説明した実施例では、被写体光入射用シャッタ開口52を挟んだ両側に、シャッタ羽根50の回転軸55とデート光用のシャッタ部材60とをそれぞれ設けているが、本発明ではこれに限らず、図19に示すように、被写体光入射用シャッタ開口85を挟んだ一方側に、シャッタ羽根86の回転軸87とデート光用のシャッタ部材88とをそれぞれ設けてもよい。この場合には、データ光用のシャッタ開口89を暗箱の前面のうち、撮影レンズ側から見て被写体光用のシャッタ開口85の右上に形成したから、図5で説明したシャッタ羽根86とは異なる揺動方向となり、シャッタ羽根86の開閉軌跡の範囲に、デート光用のシャッタ開口89が位置することになる。このため、シャッタ羽根86には、揺動中にデート光用のシャッタ開口89を開口するための、シャッタ開口89のサイズに合わせた幅で揺動方向に沿って長くしたスリット状の開口90が形成されている。したがって、被写体光用シャッタ開口52に対してシャッタ羽根50の回転軸55とデート光入射用シャッタ開口との位置は、本発明では限定されるものではない。
また、図5で説明した実施例では、被写体光用の開閉部50aと、デート光用のシャッタ部材60とを一体に設けているが、本発明ではこれに限らず、図20に示すように、被写体光用の開閉部91aと、デート光用のシャッタ部材92とを別々に設けてもよい。この場合には、シャッタ羽根91の開閉に連動してシャッタ部材92を開閉させるようにする。シャッタ部材92は、データ光用のシャッタ開口93の前面で軸94を中心に揺動自在に配置されており、通常はシャッタ羽根91に設けた突起91bに押されてシャッタ開口93を閉じている。シャッタ羽根91が開閉すると、捩じりバネ95の付勢によりシャッタ部材92は、シャッタ開口93を開く位置に向けて回転する。シャッタ羽根91が引き戻しバネ96により閉じ位置に向けて回転する途中で、シャッタ羽根91の突起91bがシャッタ部材92に設けた受け部92aに当接する。捩じりバネ95は引き戻しバネ96よりも弱い付勢力とされているため、突起91bが当接した後には、捩じりバネ95の付勢に抗してシャッタ部材92を閉じ位置に向けて回転させる。なお、符号97は、被写体光用のシャッタ開口である。
また、図5で説明した実施例では、自然光を利用してデータ光を作成しているが、本発明ではこれに限らず、図21に示すように、ストロボ光を利用してデート光を作成するようにしてもよい。この例の前カバー22の内側には、ライトガイド98が内蔵されている。ライトガイド98は、一端98aがストロボユニット26のストロボ発光部43の前面に、また他端98bがデータモジュール27の液晶表示部45の前面にそれぞれ位置している。ライトガイド98の一端98aには、シャッタ羽根の開閉に応答してストロボ発光部43から発光されるストロボ光の一部が入射する。ライトガイド98に入射したストロボ光は、ライトガイド98内で全反射しながら導かれて他端98bに到る。他端98bから出たストロボ光は液晶表示部45に入射する。液晶表示部45を透過したストロボ光は、デート光として暗箱内に導かれる。この場合には、ストロボ充電開始ボタン9をワンプッシュ自動再充電方式とし、常にストロボ撮影となるようにしておくのが好適である。これによれば、前カバー22の採光窓6を省略することができる。
図5で説明した集光レンズ46は、データモジュール27と前カバー22とで挟装しているが、本発明の位置決め保持手段ではこれに限らず、周知の技術を用いてもよい。図22に示した集光レンズ100は、採光窓6から入射する自然光を液晶表示部45に集光するレンズ部の両側に位置決め穴100a,100bが一対設けられており、これらの穴100a,100bを液晶表示部45の両側に設けられた位置決めピン45a,45bに前面側から挿入することで液晶表示部45に対して所定の位置に位置決めされる。これらの穴100a,100b及びピン45a,45bとで位置決め保持手段を構成する。そして、集光レンズ46は、前カバー22の取り付けにより採光窓6の内壁とデータモジュール27の前面との間で挟装され保持される。
データモジュール27を取り付けた後には、集光レンズ100を取り付ける。この取り付けは、液晶表示部45に前面側から挿入する。この挿入時には、集光レンズ100の一対の穴100a,100bを液晶表示部45の両側に設けた位置決めピン45a,45bに嵌合させながら行う。これにより、集光レンズ100が液晶表示部45の前面の所定位置に位置決めされる。その後、前カバー22を前面側から挿入して本体基部24に取り付ける。これにより、集光レンズ100がデータモジュール27と採光窓6の内壁との間で挟持される。このように、本体基部24に対して露光ユニット25、ストロボユニット26、レンズホルダー48、データモジュール27、集光レンズ100、及び前カバー22等の全ての部品を一方向からの挿入に統一されているので、例えば、前面側を上に向けて置いた本体基部24に組み付けるようにすると、全ての部品を上方向からの挿入になり、自動化組立が容易に行える。
また、他の位置決め保持手段としては、図23に示すように、液晶表示部45の周りにリブ101を形成し、このリブ101の内壁に段差部102を設け、この段差部102に集光レンズ103を前面側から落とし込むようにして位置決めを行うようにしてもよい。段差部102の形状としては、同図では矩形状にしているが、他の形状としては円形等が好適である。この場合には、集光レンズ103の外形をこの形状に対応させる。
上記各実施形態では、デートモジュールと結像光学系とをレンズ付きフイルムユニットに内蔵した例としているが、蹴飛ばしタイプのシャッタ機構を用いた安価なカメラにも内蔵することができるのはいうまでもない。