JP3242506B2 - レンズ付きフイルムユニット用露光画面切替え装置 - Google Patents

レンズ付きフイルムユニット用露光画面切替え装置

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JP3242506B2
JP3242506B2 JP27381993A JP27381993A JP3242506B2 JP 3242506 B2 JP3242506 B2 JP 3242506B2 JP 27381993 A JP27381993 A JP 27381993A JP 27381993 A JP27381993 A JP 27381993A JP 3242506 B2 JP3242506 B2 JP 3242506B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アスペクト比の異なっ
た2種類の露光画面に切替える露光画面切替え装置、及
びこれを用いたレンズ付きフイルムユニット、並びにこ
れの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、プリントの横辺を縦辺に比べて2
倍以上長い比率に変えてワイドなパノラマプリントを作
成するためのパノラマカメラが提供されている。このパ
ノラマカメラの中には、例えば本出願人から特願平4−
153710号に提案されているように、1本のフイル
ムの撮影途中でも露光画面をフルサイズとパノラマサイ
ズとに切り替えることができるとともに、露光画面の切
替えに連動してファインダの視野範囲を切り替えるもの
がある。
【0003】上記のようにファインダの視野範囲を切り
替えるにあたっては、アルバダ式逆ガリレオファインダ
を用いたカメラの場合、標準アスペクト比の視野枠を表
示するためのレチクルの他に、パノラマ用の視野枠を表
示するためのレチクル板をファインダ光学系内に出し入
れする構成となっている。また、露光画面切替え機構と
しては、上下から遮光板がせりだして、露光画面を24
mm×36mm(アスペクト比1.5)のフルサイズから1
3mm×36mm(アスペクト比2.8)のパノラマサイズ
に切り替えるものが主流である。
【0004】このような途中切り替え可能なカメラが多
数提供される背景には、現在のラボ業界において、1本
のフイルムの中にフルサイズコマとパノラマサイズコマ
とが混在した写真フイルム(以下、「混在フイルム」と
称す。)に対しては、フルサイズコマだけの写真フイル
ムと区別し、混在フイルムの各コマサイズを自動的に検
知して、プリント種別のマークを施す検定を行い、プリ
ントの際に一々プリント倍率やマスクのサイズを変更す
ることなく、フルサイズコマとパノラマサイズとのコマ
を別々に効率良くプリントするようにした写真プリント
システムが確立されているためである。
【0005】そこで、特公平2−32615号公報等に
提案されている安価なレンズ付きフイルムユニット(以
下、「フイルムユニット」と称す。)にも、露光画面切
替え機構を内蔵させて、1本のフイルムの撮影途中でも
フルサイズとパノラマサイズとに露光画面を切り替えて
撮影を行えるようにすることが望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フイル
ムユニットでは、撮影光学系としても高々2枚のレンズ
を組み合わせたものが用いられており、諸収差の影響で
画像が劣化することをできるだけ避けるために結像面で
フイルム面を湾曲させている。したがって、単に平板状
の遮光板で露光範囲をパノラマ用に制限しても露光範囲
が樽型になり、現状の写真プリントシステムではパノラ
マサイズのコマとして識別しにくいという問題がある。
これを防止するためには、遮光板の形状をフイルム面の
湾曲形状と同じにすればよいが、この場合には、フルサ
イズの際に湾曲した遮光板を退避させるための大きなス
ペースが必要となり、フイルムユニットが大型化してし
まう恐れがある。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、逆ガリレオファインダを用い
たフイルムユニットにローコストに、且つコンパクトに
組み込むことができ、露光画面の切替えとファインダ視
野の切替えとを簡単な操作で確実に行うことができるよ
うにしたレンズ付きフイルムユニット用露光画面切替え
置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載のレンズ付きフイルムユニット用露光
画面切替え装置では、対物レンズと接眼レンズとを有
し、前記対物レンズの前に配置した矩形状の対物窓によ
り第1アスペクト比の第1視野を与える逆ガリレオファ
インダと:前記対物レンズの前にスライド自在に設けら
れ、前記第1視野よりも狭く、かつ第1アスペクト比と
は異なった第2アスペクト比の第2視野を与える視野枠
体と:露光枠の前面で挿脱自在に設けられ、フイルム面
上に第1アスペクト比の露光画面を画定させる第1位置
と、フイルム面上に第2アスペクト比の露光画面を画定
する第2位置との間でそれぞれ移動自在であり、一方を
第1位置から第2位置に移動させることに連動して他方
も第1位置から第2位置に移動する一対の遮光板と:前
記一対の遮光板を第1位置に向けて付勢する付勢部材
と:前記一対の遮光板を第1位置にセットする第1セッ
ト位置と、一対の遮光板を第2位置にセットする第2セ
ット位置との間で移動操作される外部操作部材と:前記
外部操作部材の移動に連動して前記視野枠体をスライド
移動させるとともに、前記外部操作部材の移動を一方の
遮光板に伝達して前記一対の遮光板を移動させる連動部
材と:前記外部操作部材もしくは連動部材を、移動方向
の双方に択一的に切替え付勢するトグルバネとを備えた
ものである。
【0009】これによれば、視野枠体が対物レンズの前
から退避したときには、ファインダ視野範囲が第1アス
ペクト比の第1視野に画定され、また一対の遮光板が第
1位置に移動して第1アスペクト比の露光画面を画定す
る。視野枠体が対物レンズの前に挿入されたときには、
ファインダ視野範囲が視野枠体により第2アスペクト比
の第2視野に画定され、かつ一対の遮光板が第2位置に
移動して露光画面が第2アスペクト比に画定される。
【0010】ところで、視野枠体の移動に連動して一対
の遮光板を可動させる場合、外部操作部材が切替え途中
の位置で停止されると一対の遮光板も中途半端な位置で
停止してしまい、適正な切替えができなくなる。これを
防ぐために、外部操作部材あるいは連動部材を、トグル
バネで移動方向の双方に択一的にして切替え付勢するよ
うにしている。
【0011】また、視野枠体に外部操作部材を一体に成
形してもよい。これによれば、対物レンズの前面に視野
枠体が配置されているため、それに外部操作部材を一体
成形すると、外部に露呈させやすく、よって部品点数の
削減に加えて省スペース化を図ることができる。
【0012】
【0013】また、請求項3記載のレンズ付きフイルム
ユニット用露光画面切替え装置では、撮影レンズを通っ
た撮影光を通過させる暗箱の内壁に設けられた開口にス
ナップ結合する一対の軸部を両端に持っており、前記一
対の軸部を中心として回動するように一対の遮光板を構
成したものである。これによれば、一対の軸部を暗箱内
壁に設けた開口にスナップ結合するようにしたから、組
み立てが簡便となる。
【0014】
【実施例】図2、図3、及び図4に示すように、フイル
ムユニットは、本体基部10の背面に後カバー11が、
また前面にストロボユニット13、メカユニット9が着
脱自在に取り付けられ、これらの上、前、及び両側面を
覆うように前カバー16が着脱自在に被着される。メカ
ユニット9は、暗箱61を一体に形成したメカベース部
9aに、シャッタ機構26、フイルム巻き止め機構2
5、及び撮影レンズ14を備えた露光付与機構15等が
組み込まれ、また暗箱61に露光画面切替え機構12が
組み込まれた構造となっている。なお、本体基部10、
後カバー11、及びメカベース部9a等は、ポリスチレ
ン(PS)のプラスチック材料でそれぞれ形成されてい
る。
【0015】本体基部10には、光軸17の上に露光枠
18が一体成形されており、露光枠18を挟んだ両側に
パトローネ収納室19とフイルム収納室20とが一体成
形されている。露光枠18は、パトローネ収納室19と
フイルム収納室20との間で、且つパトローネ収納室1
9側に近寄った位置に形成されている。パトローネ収納
室19とフイルム収納室20との内部には、国際標準規
格(ISO:1007−1979年版)で規定された1
35タイプのパトローネ付きフイルム21が装填され、
後カバー11とで光密に収納される。
【0016】露光枠18は、フルサイズの大きさ(アス
ペクト比1.5)で形成されており、背面に設けたフイ
ルム支持面22とともにフイルム給送方向に対して背面
側に凸となるように湾曲した形状となっている。また、
フイルム支持面22に対峙する後カバー11には、フイ
ルム支持面22と同じに湾曲したフイルム規制面23が
形成されている。露光枠18には、前面にメカベース部
9aの暗箱61が爪結合等で着脱自在に取り付けられ
る。
【0017】メカベース部9aには、露光付与機構1
5、フイルム巻止め機構25、シャッタ機構26の他
に、対物レンズ27a及び接眼レンズ27bからなる逆
ガリレオ式のファインダレンズ27が着脱自在に取り付
けられている。ファインダレンズ27は、前カバー16
の対物窓29と後カバー11の接眼窓30との間に配置
される。対物窓29は、ファインダ27の視野範囲をフ
ルサイズと同じアスペクト比に規定する大きさとなって
いる。
【0018】ストロボユニット13は、ストロボ基板1
3bにストロボ発光部33、電池34、充電完了ランプ
13a、及びX接点35等が設けられている。ストロボ
基板13bは、フイルム収納室20の一方の外壁とこれ
に対面した側の暗箱61の側壁との間に形成されるスペ
ースを覆い、かつこのスペース内にストロボ基板13b
に取り付けられた回路部品が納まるように配置されてい
る。そして、前カバー16に一体成形された弾性片36
を押圧操作することによりコンデンサ37に充電が開始
され、充電が完了すると充電完了ランプ13aが点滅
し、前カバー16の充電ランプ確認窓16bから視認で
きる。その後、シャッタレリーズによってシャッタ羽根
が開閉し、この開閉途中でX接点35がONし、X接点
35からのトリガー信号によって前カバー16のストロ
ボ発光窓38を介してストロボ発光部33からストロボ
光を照射する。電池34は、フイルムユニットのコンパ
クト化を図るために、メカユニット9の下に横に寝かし
て配置されている。
【0019】前カバー16には、フルサイズと同じアス
ペクト比で形成された対物窓29やストロボ発光窓38
の他に、シャッタボタン40、撮影開口41等が一体成
形されている。対物窓29の前面には、操作板43とカ
バー板44とが設けられている。操作板43には、パノ
ラマ開口45と操作摘み46とが一体に設けられてい
る。パノラマ開口45は、ファインダ27の視野範囲を
パノラマサイズと同じアスペクト比に規定する大きさで
形成さている。またカバー板44には、ファインダ光軸
28の上に配置された対物窓29により規定される視野
範囲をケラない大きさの開口47と、前記操作摘み46
を外部に露呈させるための長穴開口48とが一体に設け
られている。なお、フルサイズの視野範囲は、カバー板
44の開口47で規定してもよい。その場合には、対物
窓29の大きさを開口47で規定される視野範囲をケラ
ない大きさにする必要がある。
【0020】操作板43は、操作摘み46を長穴開口4
8内でスライド操作されることによって、パノラマ開口
45をファインダ光軸28の上に位置したパノラマ撮影
位置とこれから退避した通常撮影位置との間で水平方向
に移動自在に組み込まれる。これらの位置で、両サイド
下部に設けた切り欠き49,50と前カバー16に一体
に設けたクリック爪51,52とがクリック結合する。
この操作板43の両サイドの背面側には、操作板43の
移動を後述する露光画面切替え機構12に伝達するため
の連動突起53,54が一体に設けられている。なお、
操作板43の移動量を少なくするために、操作板43の
片端のエッジ55は、通常撮影位置の際にファインダ視
野範囲にかかった範囲だけ斜めに切り欠いた断面形状と
なっている。
【0021】図1及び図5に露光画面切替え機構12の
要部を示す。露光画面切替え機構12は、大別して切替
えレバー58、スライド板59、ファインダレンズ押さ
え板60、暗箱61、クランクレバー62、トグルバネ
63、及び上下遮光板64,65とから構成されてい
る。切替えレバー58は、一端側に突起58aが、また
他端に突起58bが設けられており、前記連動突起5
3,54のいずれか一方が突起58aに当接することに
より、ファインダレンズ押さえ板60に植設された軸6
1aを中心に回動する。
【0022】スライド板59は、前記突起58bに係合
する係合部59aとフォーク部59bとがそれぞれ設け
られており、切替えレバー58の回動に連動してファイ
ンダ押さえ板60の上面を光軸17の方向に沿ってスラ
イド移動する。クランクレバー62は、一端に前記フォ
ーク部59bに係合するピン62aが、また他端に軸受
部62bがそれぞれ設けられており、フイルム収納室2
0側の暗箱61の外壁に沿い、かつプリント基板13b
の背後で回路部品と重ならない位置に配置されている。
【0023】軸受部62bは、暗箱61に設けた軸受開
口61cを介して上遮光板64を枢支し、圧入ピン66
によって上遮光板64と連結される。軸受け部62bの
反対側には、連結部62cが一体に形成されている。こ
の連結部62cと上遮光板64の被連結部64fとは、
キー結合された後、両者の軸の芯出し及び結合とを圧入
ピン66によって行う。これによりクランクレバー62
は、これの回動により連結部62cを介して上遮光板6
4をパノラマ位置と退避位置との間で移動させるととも
に、トグルバネ63によって上遮光板64パノラマ位
置と退避位置とのいずれか一方に選択的に付勢される。
また、操作板43に対してもクランクレバー62を介し
てトグルバネ63の付勢力が作用しているから、操作板
43を切替え操作する際に適当な手応えが得られ、切替
え操作が途中で中断されるようなことがなくなり、操作
性の向上とともに上下遮光板64,65の切替え動作を
確実なものにすることができる。
【0024】暗箱61は、下部が電池34の輪郭に沿っ
た曲線形状となっており、露光付与機構15の撮影レン
ズ14から入射する被写体光を露光枠18に導くため
に、光軸17に沿った前面及び背面に、撮影光を通過さ
せるための開口61a,61bがそれぞれ形成されてい
る。暗箱61の内部には、光軸17を挟んだ両側面に軸
受開口61c〜61fがフイルム給送方向に沿って設け
られている。これらの軸受開口61c〜61fは、暗箱
61内でフイルム面から光軸方向に沿って離れた位置に
設けられており、これらが上下遮光板64,65の回動
中心となる。さらに軸受開口61c,61d,61e,
61fを設けた暗箱61の内部の左右側面には、上下遮
光板64,65をパノラマ位置に位置決めするための一
対のストッパ61g,61hがそれぞれ一体に設けられ
ている。
【0025】上遮光板64は、一端側の両サイドに軸部
64a,64bがそれぞれ設けられており、他端側のエ
ッジ64cがフイルム支持面22と同じに湾曲した形状
となっている。軸部64a,64bは、これらの間に切
欠き部64dが設けられており、弾性変形させて受部6
1c,61dにスナップ結合される。このスナップ結合
は、軸部64aの反対側に設けた突起64hと暗箱61
内に設けた位置決め部61iとの係合により、上遮光板
64を暗箱61の内部に精度良く取り付けることができ
る。また切欠き部64dとエッジ64cとの間には、切
欠き部64dから入射するよけいな光を遮断するための
遮蔽壁64eが一体成形されている。
【0026】軸部64aには、前記連結部62cに係合
される被連結部64fが設けられている。これにより上
遮光板64は、撮影光路内に突出したパノラマ位置とこ
れから上方に退避した退避位置との間で回動する。パノ
ラマ位置の際には両側面に設けた一対の突片64gが一
対のストッパ61gに各々当接し、パノラマ位置に精度
良く位置決めされ、また、退避位置の際には上遮光板6
4の上面が暗箱61の内部上面に当接する。さらに軸部
64aの下方には、クランクレバー62の回動を下遮光
板65に伝達させるための連結ピン64eが設けられて
いる。
【0027】前記連結ピン64eには、下遮光板65に
設けた長穴65aに連結される。この下遮光板65は、
一端側の両サイドに軸部65b,65cがそれぞれ設け
られている。軸部65b,65cは、これらの内側に切
り欠き65eがそれぞれ形成されており、弾性変形させ
て軸受開口61e,61fにスナップ結合される。そし
て、下遮光板65は、上遮光板64の回動に連動して撮
影光路内に突出したパノラマ位置とこれから下方に退避
した退避位置との間で回動する。パノラマ位置の際には
下遮光板65の両側面に設けた一対の突片65gが一対
のストッパ61hに当接し、パノラマ位置に精度良く位
置決めされ、また、退避位置の際には下遮光板65の下
面のR状湾曲部が、電池34のR形状に沿った暗箱61
の内部下面に当接する。
【0028】下遮光板65は、暗箱61の底面に沿った
曲線の先のエッジ65dがL字曲げされた断面形状とな
っており、このエッジ65dがフイルム支持面22と同
じに湾曲した形状となっている。このように暗箱61内
のフトコロをできるだけ深くとり、また、下遮光板65
のエッジ65dを断面L字状に形成しているのは、内面
反射によるフレアを確実に防止するためである。また、
軸部65b,65cには、切り欠き65eからフイルム
面に入射するよけいな光を遮断するために一対の袋状の
遮断壁65fがそれぞれ一体成形されている。なお、図
5では、図面の煩雑化を防止するために、メカベース部
9aに取り付ける露光付与機構15及びフイルム巻き止
め機構を省略している。
【0029】次に上記実施例の作用を説明する。フイル
ムユニットは防湿袋に収納された形態で提供されてお
り、この防湿袋から取り出した状態は、トグルバネ63
の付勢により、図6に示すように、上下遮光板64,6
5が暗箱61の内部上下面にそれぞれ当接し、露光枠1
8に入射する撮影光から退避している。また、ファイン
ダ光軸28から操作板43のパノラマ開口45が退避し
ているため、接眼窓30から覗くと、対物窓29で規制
されたファインダ視野範囲となっている。
【0030】撮影を行う場合には、先ず、巻き上げノブ
70を回してフイルム巻き上げ操作を行う。この巻き上
げノブ70の操作に連動してフイルム21aが移送さ
れ、1コマ分の移送が完了した時点でフイルム巻止め機
構25が作動し、巻き上げノブ70の操作をロックする
とともに、シャッタ機構26のチャージが行われる。巻
き上げ操作完了後、撮影者は、接眼窓30から覗きフレ
ーミングを行い、シャッタボタン40の操作によってシ
ャッタレリーズを行う。シャッタレリーズに連動してシ
ャッタ機構26が作動し、撮影レンズ14を透過した被
写体光は、露光枠18に入射して、フイルム21aにフ
ルサイズの画面で露光が行われる。
【0031】パノラマ撮影を行う場合に、カバー板44
の長穴開口48から露呈した操作摘み46を図5に示す
矢印A方向に沿ってスライド移動させ、パノラマ撮影位
置に切り替える。この操作摘み46は、操作板43と一
体に形成されているから、操作板43も同方向に移動す
る。この移動は、トグルバネ63の付勢によりスムーズ
に行うことができる。
【0032】操作板43の切り欠き50と前カバー16
に形成されたクリック爪52とが結合されることにより
操作摘み46がパノラマ撮影位置の状態となる。このと
き、撮影者にクリック感を与えパノラマ撮影位置に切り
替わったことを認識させる。この操作によってファイン
ダ光軸28上で、且つ対物窓29の前面にパノラマ開口
45が挿入された状態となる。
【0033】操作板43の移動によって切替えレバー5
8は、軸59aを中心に同図に示す矢印B方向に回転す
る。この回転に連動してスライド板59は、同図に示す
矢印C方向にスライド移動し、クランクレバー62を同
図に示す矢印D方向に回転させる。クランクレバー62
の回転によって上下遮光板64,65は、図7に示すパ
ノラマ位置の状態となる。この状態は、トグルバネ63
の付勢により上下遮光板64,65の突片64g,65
gがストッパ61g,61hにそれぞれ当接した状態で
維持される。
【0034】その後、前述したと同じにフイルム巻き上
げ操作を行った後に、撮影窓30から覗いてフレーミン
グを行う。このときのファインダ視野範囲は、パノラマ
開口45で規定されるから、パノラマサイズに応じたフ
レーミングを行うことができる。
【0035】シャッタレリーズを行えば、シャッタ機構
26が作動し、撮影レンズ14を透過した被写体光のう
ち上下の部分が上下遮光板64,65でカットされて露
光枠18に入射し、フイルム21aにパノラマサイズの
画面で露光が行われる。このパノラマサイズの露光画面
は、上下遮光板64,65のエッジ64c,65dがフ
イルム支持面22の湾曲形状と同じになっているため、
その露光画面の輪郭線のうちフイルム給送方向に沿った
上下線が直線的に露光される。また、上下遮光板64,
65の回動中心がフイルム面から光軸方向に沿って離れ
た位置に設けられているから、これらのエッジ64c,
65dを写真フイルム21aの面から2mm以内、好ま
しくは1mm付近に近づけるように配置することができ
る。これにより、光の回折等によって生じるボケ像が少
なくなり、露光画面の上下線がシャープに露光されるよ
うになる。
【0036】このように操作摘み46を通常撮影位置と
パノラマ撮影位置とのいずれか一方に選択操作しながら
撮影を行う。なお、上下遮光板64,65の各エッジ6
4c,65dは、フイルム面から約2mm以内の範囲で
画定するようになっている。そして、全てのコマの撮影
が終了するとフイルムユニットは、そのまま現像所に提
出される。現像所では、露光済のフイルムを収納したパ
トローネ21bを取出す。このときパトローネ21bに
混在フイルムである故を示す表示を施しておけば、現像
所での作業が簡便になる。
【0037】仕分けされたパトローネ21bは、現像処
理された後に検定される。この検定では、フルサイズコ
マとの区別するために、パノラマサイズのコマにマーク
を施す。このとき、パノラマサイズの露光画面が所定の
矩形形状となっているから、確実に検定することができ
る。そして、プリント処理では、最初にフルサイズコマ
だけをプリント処理し、次に、パノラマサイズのコマだ
けをプリント処理する。このときプリンタのプリント倍
率とマスクのサイズとを変更する。なお、フルサイズコ
マから印画紙に引き伸ばすプリント倍率は約3.5倍で
あり、パノラマサイズコマから印画紙に引き伸ばすプリ
ント倍率は約7倍である。このようにプリント処理を行
った後に、ユーザーにプリント写真とフイルムネガとを
返却する。そして、空のフイルムユニットは工場に回収
されリサイクルされる。
【0038】上記実施例では、ファインダ及び露光画面
の切替えを行う場合、操作板43をスライド移動させて
行うようにしているが、操作板を回動させてもよい。こ
の場合には、図8及び図9に示すように、操作板72を
フイルムユニットの輪郭形状のうち前及び上面とに沿う
ようにL字型に形成する。操作板72の上面端には、後
カバー11と前カバー16とで回動自在に支持される回
動軸72a,72bを一体に形成し、また、操作板72
の前面にはパノラマ開口47を一体に形成しておく。さ
らに、操作板72の回動をクランクレバー62に伝達さ
せるための連動レバー72cを一体に形成しておけばよ
い。これによれば、パノラマ開口47を対物レンズ27
aの前面に挿入したパノラマ位置とこれから退避した退
避位置との間で操作板72を回動させれば、この回動が
連動レバー72cを介してクランクレバー62に伝達さ
れる。
【0039】また、上下遮光板64,65とを連動させ
る機構としては、図10に示すように、ギヤの噛合によ
って行うようにしてもよい。
【0040】ところで、上記実施例で説明したフイルム
ユニットを組み立てる際に、上遮光板64と下遮光板6
5とを予め結合した状態で挿入しないと、組み立てられ
ない欠点がある。というのは、下遮光板65の長穴65
aに上遮光板64の連結ピン64eを挿入する作業が伴
うためである。また、上記実施例では、トグルバネ63
を用いているため、これが移動するためのスペースを広
く確保していたため、大型化していた。とういのは、こ
のトグルバネ63は、操作摘み46の操作によって図1
(A)から同図(B)に示すように移動するためであ
る。そこで、このような不具合を解消したレンズ付きフ
イルムユニットを、図11に示す。
【0041】上遮光板80には、クランクレバー62の
回動を下遮光板81に伝達させるための連結ピン80a
が設けられている。この連結ピン80aには、下遮光板
81の突出片81aが片当たりする。この片当たりは、
クランクレバー62がパノラマ位置の方向に回転したと
きに行われる。これにより下遮光板81を暗箱61内に
組み込んだ後上遮光板80を順に組み込めば、自然に連
結ピン80aが突出片81aに当接するから容易であ
る。そして、引っ張りコイルバネ82によって突出片8
1aは、連結ピン80aに当接する方向に付勢されてい
る。
【0042】バネ82は、図12に示すように、露光画
面をフルサイズに画定する退避位置に向けて上下遮光板
80,81を付勢しており、組立作業がし易いように、
上下遮光板80,81との内側に引っ掛けられるように
なっている。また、突出片81aには、連結ピン80a
から受ける押圧を吸収するために、スリット81bが設
けられている。突出片81aは、パノラマ撮影の際に、
連結ピン80aからの力を少し撓んで受けられるような
形状にすると、別途にバネ部材を用いることなくガタを
吸収することができる。このような上下遮光板80,8
1は、シリコン入りポリスチレン(PS)の材料でそれ
ぞれ一体に形成されている。
【0043】ポリスチレン(PS)の材料で形成された
暗箱61には、内部に、通常撮影の再にフレア防止を図
るための遮光枠83が取り付けられている。この遮光板
83は、暗箱61内の段差面(図示なし)に形成された
ピン84に位置決めされながら挿入されており、挿入後
ピン84がカシメられ、固定される。クランクレバー6
2のピン62aには、中間レバー85の突出片85aが
片当たりしている。この片当たりは、操作板88をパノ
ラマ撮影位置に向けて移動させた際にのみ当接する。
【0044】このような暗箱61を一体に備えたメカベ
ース部9aの上面には、ファインダレンズ27a,27
bを取り付けるための凹型形状の保持枠86が一体に形
成され、この保持枠86の上にファインダーレンズ押さ
え板90が着脱自在に取り付けられている。ファインダ
ー押さえ板90には、中間レバー85を回動自在に支持
する軸87が一体に形成されている。
【0045】中間レバー85は、圧入ピン111により
軸87に回動自在に取り付けられている。操作板88
は、背面側に突出して設けた傾斜状のカム88aが形成
されており、このカム88aには中間レバー85に設け
た突起85bが当接し、バネ89によって通常撮影位置
に向けて付勢されている。これにより、操作板88を通
常撮影位置とパノラマ撮影位置との間でスライド移動す
ることにより、上下遮光板80,81が図12に示す退
避位置と、図13に示すパノラマ位置との間で移動す
る。なお、操作板88をパノラマ撮影位置に操作した場
合には、切り欠き50とクリック爪52とがクリック結
合するから、操作板88をバネ82,89の付勢に抗し
てパノラマ撮影位置で保持することができる。
【0046】さらに、パノラマ撮影を行う場合、操作板
88の操作量が不充分であったとしても、バネ89の付
勢により操作板88が通常撮影位置に向けて移動し、且
つ、上下遮光板80,81がバネ82の付勢により退避
位置に向けて付勢されるから、フルサイズの露光画面で
確実に撮影が行えるようになる。しかも、メカがどんな
不具合になったとしても露光画面が確実にフルサイズと
なるため、パノラマサイズのままとなる最悪の事態が防
止される。このように、トグルバネ63の代わりに引っ
張りコイルバネ82を用いた場合には、切替えレバー5
8、スライド板59、及びクランクレバー62との連結
部分にトグルバネ63を変形させるためのピン58b,
62aを係合させる作業が伴わないから組立が容易とな
る。
【0047】図14は、メカベース9を正面側から見た
ものである。メカベース部9aには、上面に2つの軸9
1,92と軸受開口93とが一体に形成されている。軸
91には、シャッタ駆動レバー94と撮影枚数表示板9
5とが回動自在に挿入され、最後に止め輪96で抜け止
めされる。また、軸92には、バネ97と係止レバー9
8とが回動自在に挿入され、最後に止め輪99で螺着さ
れる。軸受開口93にはカム部材100が挿入される。
このカム部材100の上側には、一歯ギヤ100aが一
体に設けられており、撮影枚数表示板95の外周に形成
された歯95aに噛合する。またカム部材100の下側
は、従動スプロケット101に係合する。
【0048】周知のように、巻き上げノブ70のフイル
ム巻き上げ操作が行われると、パトローネ21bの巻芯
が回動し、フイルム21aが移送される。このフイルム
21bのパーフォレーションには、従動スプロケット1
01の歯が噛合している。したがって、フイルム移送に
連動して従動スプロケット101が回転し、この回転に
伴ってカム部材100も回転する。カム部材100の回
転により係止レバー98を介してシャッタ駆動レバー9
4がチャージ位置に移動する。従動スプロケット101
が1回転すると、係止レバー98の一端が巻き上げノブ
70の外周に係合し、巻き上げ操作を阻止する。なお、
このとき、撮影枚数表示板が1目盛り分回転する。
【0049】シャッタボタン40の操作によりシャッタ
駆動レバー94がバネ97の付勢により反時計方向に僅
かに回転する。この僅かな回転中に、シャッタ駆動レバ
ー94の蹴飛ばし部94aが後述するシャッタ羽根10
3を蹴飛ばす。メカベース部9aの前面には、光軸28
と平行に軸102が形成されいる。この軸102には、
クランク形状をしたシャッタ羽根103が回動自在に軸
着される。シャッタ羽根103は、バネ104の付勢に
より光軸28上に設けた開口61aを遮蔽する位置と、
シャッタ駆動レバー94の蹴飛ばしにより開口61aか
ら退避する位置との間で回動する。
【0050】シャッタ羽根103の前面には、シャッタ
カバー104が取り付けられ、光軸28方向に揺動する
ことが防止される。このシャッタカバー104には、光
軸28上に絞り開口104aが形成されており、これを
取り囲むように鏡筒104bが一体に形成されている。
この鏡筒104b内には、撮影レンズ14を構成する後
レンズ(両凸球面プラスチックレンズ)105及び前レ
ンズ(前面非球面凸メニスカスプラスチックレンズ)1
06と、これらの間に挟装されるスペーサ107とが挿
入され、最後にレンズカバー108が被せられる。
【0051】ところで、従来、同出願人からパノラマ撮
影専用のフイルムユニットとして「フジカラー写ルンで
す パノラミックHi」(商品名)が提供されている。
このフイルムユニットはパノラマ撮影専用であるから、
広角効果を狙うために撮影レンズの焦点距離を25mm
としている。しかしながら、本実施例のフイルムユニッ
トでは、パノラマとフルサイズとに途中切換え可能なタ
イプであるから、パノラマ撮影の場合に広角効果が得ら
れ、さらに通常撮影の場合に標準的な画角が得られるよ
うに、撮影レンズ14の焦点距離を32mmとし、また
Fナンバーを10.5としている。
【0052】Fナンバーが大きいレンズを搭載する理由
としては、ピント合わせ機能を使わないで近距離被写体
から遠距離被写体までピントが合うパンフォーカスにす
るためである。なお、画面サイズをパノラマサイズとフ
ルサイズとに切換えるフイルムユニットの撮影レンズの
焦点距離(f)としては、28≦f≦33mmにするの
が好適である。また、撮影レンズ14を2枚のプラスチ
ックレンズで構成しているが、単玉プラスチックレンズ
を用いることができる。この場合には、28≦f≦33
mmの焦点距離を満たすために、2面非球面とする必要
がある。
【0053】ファインダーレンズ押さえ板90は、図1
5に示すように、透明なプラスチック材料で形成されて
おり、これには孔90a、円弧壁90b、凸レンズ90
c、及びショート防止用リブ90dとが一体に設けられ
ている。孔90aには軸91が係合し、また円弧壁90
bはカム部材100の外周に摺接され、カム部材100
を回動自在に支持する。これにより、軸91とカム部材
100とが予め定められた間隔で支持される。凸レンズ
90cは、撮影枚数表示板95の上面に表示された枚数
表示の上方に配置され、前カバー16の撮影枚数表示窓
16a(図3参照)から認識される枚数表示を拡大して
視認させる。なお、この凸レンズ90cの周縁には、突
出リブが一体に形成されており、この突出リブで撮影枚
数表示窓16aの内部周辺を塞いでいる。このため、撮
影枚数表示窓16aから内部にゴミ等が侵入することを
防止することができる。
【0054】ショート防止用リブ90dは、図16に示
すように、ストロボユニット13の充電完了ランプ13
aの真上まで延長して形成されており、丁度真上の位置
に円弧状の壁90eが一体に形成されている。この壁9
0eは、これの上面が前カバー16の充電完了ランプ視
認窓16bの内壁に当接し、例えば砂、水等が充電完了
ランプ視認窓16bから侵入することを防止する。これ
により、ストロボユニット13が例えば砂、水等の侵入
によってショートすることを防止できる。
【0055】このようなメカユニット9は、一体的な構
造となっているから、組立のときの取扱が簡便となると
ともに、メカユニット9単体でシャッタ機構やフイルム
巻き止め機構、及びフイルムカウンタ機構検査等の作動
確認検査が行える利点がある。また、リサイクルの際に
は、メカユニット9を破損又は損傷させることなく簡単
に取り出せるため、これらを再使用することが可能であ
る。さらに、従来、同出願人から特願平5−42878
号等に提供されている「フジカラー 写ルンです Su
pper800」(商品名)のメカユニットに組み込ん
だフイルム巻き止め機構、シャッタ機構、及びカウンタ
機構等を共通部品としているため、リサイクルの効率が
向上し、コストダウンを図ることが可能となる。
【0056】このようなメカユニット9の組立について
図17を参照しながら説明する。組立は全て自動化され
ており、従来からある「フジカラー 写ルンです Su
pper800」(商品名)用のメカユニット組立ライ
ンと、本実施例で説明したフイルムユニットのメカユニ
ット専用の組立ラインとを使用するコンベア上に載置さ
れた供給パレットには、メカベース部9aがが順次にセ
ットされる。これらの供給パレットは、コンベア上で搬
送される途中で各ステーションに一定時間停止してゆ
き、各ステーションに配置したロボットにより各部品が
ハンドリングされ、組み立てられる。ロボットには、部
品を供給するホッパーと整列装置とが併設されおり、各
部品は整列した状態で供給される。
【0057】先ず、本実施例で説明したフイルムユニッ
トのメカユニット専用の組立ラインの第1ステーション
では、暗箱61内に遮光枠83が挿入され、その後ピン
84が同時にカシメられる。第2ステーションでは、暗
箱61内に下遮光板81が組み込まれる。この組み込み
は、ロボットハンドで軸部65b,65cを撓ませなが
らスナップ結合で行われる。第3ステーションでは、暗
箱61内に上遮光板82が組み込まれる。この組み込み
も、ロボットハンドで軸部64a,64bを撓ませなが
らスナップ結合で行われる。第4ステーションでは、連
結部62cを軸受開口61cに嵌合させるように、クラ
ンクレバー62が組み込まれ、第5ステーションでは圧
入ピン66が圧入され、クランクレバー62と上遮光板
80とが連結される。第6ステーションでは、バネ82
が上下遮光板80,81に引っ掛けられる。ここまでの
組み込みは、メカベース部9aの背面側及び右側面側か
ら行われる。
【0058】次に、従来からある「フジカラー 写ルン
です Supper800」(商品名)用のメカユニッ
ト組立ラインに搬送され、ここの第7ステーションでは
従動スプロケット101が組み込まれ、第8ステーショ
ンではカム部材100が軸受開口93に挿入され、従動
スプロケット101とカム部材100とが係合する。第
9ステーションでは軸91にシャッタ駆動レバー94
が、第10ステーションでは軸92にバネ97が、第1
1ステーションでは軸92に係止レバー98が、第12
ステーションではビス99が螺着され、第13ステーシ
ョンでは軸91に撮影枚数表示板95が組み込まれ、第
14ステーションで止め輪96を圧入した後、本実施例
で説明したフイルムユニットのメカユニット専用の組立
ラインに搬送される。この搬送の際に、シャッタ駆動レ
バー94や撮影枚数表示板95等が脱落するのを防ぐた
め、止め輪96,99を用いている。これにより、従来
からある組立ラインを用いることができるので、組立効
率の向上が図れる。
【0059】しかる後、本実施例で説明したフイルムユ
ニットのメカユニット専用の組立ラインに搬送された
後、ここの第15ステーションでは保持枠86に対物レ
ンズ27aが、第16ステーションでは保持枠86に接
眼レンズ27bがそれぞれベンド圧入される。第17ス
テーションでは保持枠86の上にファインダレンズ押さ
え板90が組み込まれ、第18ステーションでは軸87
にバネ89が、第19ステーションでは軸87に中間レ
バー85がそれぞれ組み込まれ、第20ステーションで
は圧入ピン111が圧入される。この第7〜20ステー
ションでの組み込みは、メカベース部9aの背面及び上
面側から行われる。
【0060】第21ステーションでは軸102にシャッ
タ羽根103が組み込まれ、第22ステーションではバ
ネ104が引っ掛けられる。第23ステーションでは、
シャタカバー104が取り付けられる。第24ステーシ
ョンでは鏡筒104b内に後レンズ105が、第25ス
テーションではスペーサ107が、第26ステーション
では前レンズ106がそれぞれ組み込まれ、最後に第2
7ステーションでレンズカバー108が取り付けられ、
メカユニット9の組立が完了する。この第21〜27ス
テーションでの組み込みは、メカベース部9aの正面側
から行われる。
【0061】組立られたメカユニット9は、フイルムユ
ニット組立ラインに搬送される。フイルムユニット組立
ラインでは、図2に示したように、本体基部10にメカ
ユニット9及びストロボユニット13等を組み込んだ後
に、図18に示す操作板88及びカバー板110を組み
込んだ前カバー109が取り付けられる。その後、暗室
に搬送され、パトローネ付き写真フイルムが装填され、
最後に後カバー11が取り付けられる。最後に、後カバ
ー11と本体基部10とを超音波溶着してフイルムユニ
ットが完成する。超音波溶着の際には、本体基部10か
ら震動が伝わって暗箱61と上下遮光板80,81とが
溶着される恐れがある。しかしながら、本実施例では、
上下遮光板80,81とをシリコン入りポリスチレンで
形成しているから、単なるポリスチレンで形成された暗
箱61と溶着される恐れがない。
【0062】なお、この最終の組立ラインでは、ストロ
ボユニット13及び後カバー11が「フジカラー 写ル
ンです Super800」(商品名)のストロボユニ
ット及び後カバーと共通の部品としている。このため、
本実施例のフイルムユニットの組立では、組立効率が向
上し、しかも部品コストの削減が行える効果がある。
【0063】図18に示す前カバー109には、カバー
板110との間に、カム88aが一体成型された操作板
88がスライド自在に設けられている。カバー板110
には、前方に突出したレンズフード110aが一体に形
成されており、操作摘み46を露呈させる長穴開口48
や開口47の他に、撮影レンズ24を露呈させる開口4
1が光軸28上に設けられ、正面下部の輪郭が円弧ライ
ンとしている。そして、完成したフイルムユニットは、
図19に示すように、カバー板110、シャッタボタン
40、巻き上げノブ70、ストロボ発光部33、及び、
弾性片36等を外部に露呈させるための開口を打ち抜い
た外ケース112が被せられる。
【0064】レンズフード101aは、フイルムユニッ
ト自体の薄型化を図るために、内部に内蔵したメカユニ
ット9の突出部に合わせた形状としている。このため、
カバー板110の外周の一部には、図20に示すよう
に、シャッタ羽根103が開閉する際に当接しないよう
に逃がすための円弧状の突出部112が設けられてい
る。ところで、突出部112の突出量の分だけ全体的に
輪郭を大きくすると、外観の良化及び小型化を図ること
ができない。そこで、このようにある一部分だけ突出さ
せて、レンズフード101aの外観形状に合わせた単純
な円弧ラインとしたものである。これによれば、外ケー
ス112のカバー板110に対応する打ち抜き穴をでき
るだけ小さくすることができる。また、突出部112の
形状としては、図21に示すように、カバー部材110
の下部の円弧ラインを、撮影レンズの光軸17を中心と
した半径を「R」、突出部の半径を「r」、突出部の突
出量を「ΔR」とするとき、以下の式を満たすように
「R」、「r」、「ΔR」を選定するのが好ましい。
【0065】
【数1】r/R≦0.26 ΔR/R≦0.04
【0066】上記各実施例では、操作板43,88をク
リック機構によってパノラマ撮影位置と通常撮影位置と
に位置決めしているが、図22に示すように、操作板8
8をトグルバネ112の付勢によってパノラマ撮影位置
と通常撮影位置とに位置決めするようにしてもよい。こ
の場合には、操作板88をパノラマ撮影位置と通常撮影
位置とに正確に位置決めするために、前カバー109の
移動路109a内の両側壁113,114にそれぞれ当
接させるのが望ましい。
【0067】また、本実施例では、本体基部10から分
離した暗箱61に上遮光板80及び下遮光板81とを組
み込んだ構成としているが、本発明ではこれに限らず、
本体基部に一体に形成された暗箱に上遮光板80及び下
遮光板81とを組み込んだ構成としてもよい。暗箱12
0は、図23及び図24に示すように、本体基部121
のパトローネ収納室122とフイルム収納室123との
間に一体に形成されている。この暗箱120には、内部
両側面の内壁に前述した軸受開口61c〜61fが設け
られている。これらの軸受開口61c〜61fは、暗箱
61内でフイルム面から光軸方向に沿って離れた位置に
設けられており、これらが上下遮光板64,65の回動
中心となる。メカユニット124は、暗箱120の前面
及び上面とに被さるような形状で形成されたメカベース
124aに、図14で説明したフイルム巻き上げ機構、
シャッタ機構、撮影レンズ、カウンタ機構、及び露光画
面切替え用の連動機構等が組み込まれる。そして、図1
8に示した操作板88及びカバー板110を組み付けた
前カバー109を用いることにより、フイルムユニット
が完成する。
【0068】さらに、上記実施例では、切り替えるアス
ペクト比のサイズとして、フルサイズとパノラマサイズ
としているが、本発明ではこれに限らず、ハイビジョン
サイズ(アスペクト比1.46)とパノラマサイズ、フ
ルサイズとハイビジョンサイズ等の組み合わせでもよ
い。
【0069】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1記
載のレンズ付きフイルムユニット用露光画面切替え機構
によれば、外部操作部材の移動操作に連動して視野枠体
を対物レンズの前に挿脱して視野範囲を切替え、かつ一
対の遮光板も移動して露光画面が切り替わるから、従来
技術で説明したアルバダ式のファインダタイプに比べて
ローコスト化を図ることができる。また、外部操作部材
あるいは連動部材を、トグルバネで移動方向の双方に択
一的にして切替え付勢するようにしたから、外部操作部
材を切替え途中で停止させても、一対の遮光板が中途半
端な位置で停止することがなく、よって適正な切替えが
行える。
【0070】請求項2記載のレンズ付きフイルムユニッ
ト用露光画面切替え装置では、視野枠体に外部操作部材
を一体に形成したから、外部操作部材の組み込みが簡便
になるとともに、部品点数の削減となるからローコスト
化を図ることができる。
【0071】請求項3記載のレンズ付きフイルムユニッ
ト用露光画面切替え装置では、一対の遮光板の一対の軸
部を暗箱内壁の開口にスナップ結合させたから、組立が
簡便となり量産性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を示す概略説明図であり、(A)
は通常撮影状態を示し、(B)はパノラマ撮影状態を示
す。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの要部を示す分解
斜視図である。
【図3】前カバーの分解斜視図である。
【図4】レンズ付きフイルムユニットの横断面図であ
る。
【図5】露光画面切替え機構を示す分解斜視図である。
【図6】通常撮影状態を示すレンズ付きフイルムユニッ
トの縦断面図である。
【図7】パノラマ撮影状態を示すレンズ付きフイルムユ
ニットの縦断面図である。
【図8】操作部材を回動タイプとした別の実施例を示す
縦断面図である。
【図9】回動タイプの操作部材を示す要部斜視図であ
る。
【図10】上下遮光板をギヤによって連動させた別の実
施例を示す斜視図である。
【図11】トグルバネの代わりに引っ張りバネを用いた
別の実施例の露光画面切替え機構を示す分解斜視図であ
る。
【図12】上下遮光板の退避位置状態を示す説明図であ
る。
【図13】上下遮光板のパノラマ位置状態を示す説明図
である。
【図14】メカユニットの要部を示す分解斜視図であ
る。
【図15】ファインダーレンズ押さえ板でシャッタ機構
やフイルム巻き止め機構等の軸を支持する様子を示した
説明図である。
【図16】ファインダーレンズ押さえ板とストロボユニ
ットとを示す説明図である。
【図17】メカユニットの組立工程図である。
【図18】別の実施例で用いられる前カバーの分解斜視
図である。
【図19】別の実施例のレンズ付きフイルムユニットの
外観図である。
【図20】別の実施例のレンズ付きフイルムユニットの
正面図である。
【図21】別の実施例のレンズ付きフイルムユニットの
正面の要部拡大図である。
【図22】操作板の移動をトグルバネで付勢させる実施
例を示す要部分解斜視図である。
【図23】本体基部と一体に形成した暗箱に一対の遮光
板を取り付けた実施例の要部分解斜視図である。
【図24】図23で示した本体基部の背面側を示す斜視
図である。
【符号の説明】
9 メカユニット 9a メカベース部 10,121 本体基部 11 後カバー 12 露光画面切替え機構 16,109 前カバー 43,88 操作板 45 パノラマ開口 64,80 上遮光板 65,81 下遮光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−95429(JP,A) 特開 平5−210207(JP,A) 実開 平4−104657(JP,U) 実開 平5−20056(JP,U) 実開 平3−84824(JP,U) 実開 平3−62331(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対物レンズと接眼レンズとを有し、前記
    対物レンズの前に配置した矩形状の対物窓により第1ア
    スペクト比の第1視野を与える逆ガリレオファインダ
    と、前記対物レンズの前にスライド 自在に設けられ、前記第
    1視野よりも狭く、かつ第1アスペクト比とは異なった
    第2アスペクト比の第2視野を与える視野枠体と、露光枠の前面で挿脱自在に設けられ、フイルム面上に第
    1アスペクト比の露光画面を画定させる第1位置と、フ
    イルム面上に第2アスペクト比の露光画面を画定する第
    2位置との間でそれぞれ移動自在であり、一方を第1位
    置から第2位置に移動させることに連動して他方も第1
    位置から第2位置に移動する一対の遮光板と、 前記一対の遮光板を第1位置に向けて付勢する付勢部材
    と、 前記一対の遮光板を第1位置にセットする第1セット位
    置と、一対の遮光板を第2位置にセットする第2セット
    位置との間で移動操作される外部操作部材と、 前記外部操作部材の移動に連動して前記視野枠体をスラ
    イド移動させるとともに、前記外部操作部材の移動を一
    方の遮光板に伝達して前記一対の遮光板を移動させる連
    動部材と、 前記外部操作部材もしくは連動部材を、移動方向の双方
    に択一的に切替え付勢するトグルバネとを備えた ことを
    特徴とするレンズ付きフイルムユニット用露光画面切替
    え装置。
  2. 【請求項2】 前記外部操作部材は、視野枠体に一体に
    成形されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ
    付きフイルムユニット用露光画面切替え装置。
  3. 【請求項3】 前記一対の遮光板は、撮影レンズを通っ
    た撮影光を通過させる暗箱の内壁に設けられた開口にス
    ナップ結合する一対の軸部を両端に持っており、前記一
    対の軸部を中心として回動することを特徴とする請求項
    1又は2記載のレンズ付きフイルムユニット用露光画面
    切替え装置。
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