JP3048493B2 - レンズ付きフイルムユニット - Google Patents

レンズ付きフイルムユニット

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JP3048493B2
JP3048493B2 JP5309338A JP30933893A JP3048493B2 JP 3048493 B2 JP3048493 B2 JP 3048493B2 JP 5309338 A JP5309338 A JP 5309338A JP 30933893 A JP30933893 A JP 30933893A JP 3048493 B2 JP3048493 B2 JP 3048493B2
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light
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一夫 小古山
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レンズ付きフイルムユ
ニットに関し、更に詳しくは、露光画面の切替えを行う
露光画面切替え機構を内蔵したレンズ付きフイルムユニ
ットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、プリントの横辺を縦辺に比べて2
倍以上長い比率に変えてワイドなパノラマプリントを作
成するためのパノラマカメラが提供されている。このパ
ノラマカメラの中には、例えば本出願人から特願平4−
153710号に提案されているように、1本のフイル
ムの撮影途中でも露光画面をフルサイズとパノラマサイ
ズとに切り替えるものがある。
【0003】このような途中切り替え可能なカメラが多
数提供される背景には、現在のラボ業界において、1本
のフイルムの中にフルサイズコマとパノラマサイズコマ
とが混在した写真フイルム(以下、「混在フイルム」と
称す。)に対しては、フルサイズコマだけの写真フイル
ムと区別し、混在フイルムの各コマサイズを自動的に検
知して、プリント種別のマークを施す検定を行い、プリ
ントの際に一々プリント倍率やマスクのサイズを変更す
ることなく、フルサイズコマとパノラマサイズとのコマ
を別々に効率良くプリントするようにした写真プリント
システムが確立されているためである。
【0004】そこで、特公平2−32615号公報等に
提案されている固定焦点のプラスチックレンズを用いた
安価なレンズ付きフイルムユニット(以下、「フイルム
ユニット」と称す。)にも、露光画面切替え機構を内蔵
させて、1本のフイルムの撮影途中でもフルサイズとパ
ノラマサイズとに露光画面を切り替えて撮影を行ように
することが望まれている。
【0005】このフイルムユニットでは、ローコストを
図るために撮影光学系としても高々2枚のレンズを組み
合わせたものが用いられており、諸収差の影響で画像が
劣化することをできるだけ避けるさために、結像面でフ
イルム面を湾曲させている。これにともない、撮影レン
ズを通過した光のうち撮影画面外に向かう光をカットす
るためのフレア防止枠の開口縁を、内側に向けて凸な円
弧状に形成し、フルサイズの露光画面に鮮明な被写体像
を結像させるように工夫している(特願平4−1245
21号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フイル
ムユニットに露光画面切替え機構を内蔵させる場合に
は、フレア防止枠と露光枠との間に一対の遮光板が撮影
光路内と外とでの間で挿脱自在に配置されるため、フレ
ア防止枠を通過した光のうち一部が前記遮光板の内面で
反射して露光画面内にフレア光として入射してしまう欠
点がある。特にフルサイズに画定された露光画面では、
パノラマサイズよりも上下方向の幅が長いため、フレア
が顕著に表れる恐れがある。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、露光画面切替え機構を内蔵
し、フレアの発生を防止して鮮明なプリント写真が得ら
れるように工夫したレンズ付きフイルムユニットを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載のレンズ付きフイルムユニットでは、
背面側に凸となるように湾曲したフイルム面の前面に設
けられた露光枠と;露光枠でフイルム面上に第1アスペ
クト比の第1露光画面を画定させるために露光枠の前面
から退避する退避位置とフイルム面上に第1アスペクト
比とは異なった第2アスペクト比となるように上下方向
の幅を狭めた第2露光画面に画定するために露光枠の前
面に入り込んだ挿入位置との間でそれぞれ移動自在な一
対の上下遮光板とを備え;前記退避位置のときに有害光
を遮光するために、フイルム給送方向の両端が低くその
中央が撮影光軸に向けて突出した断面円弧状の遮蔽壁を
上下遮光板の少なくとも一方の撮影光路に対向する面に
設けたものである
【0009】
【作用】フレア防止用の枠としては、フイルム面が平面
の場合には矩形な形状でよい。しかしながら、背面側に
凸となるように湾曲したフイルム面の場合には単に矩形
な枠ではフレア防止の効果が期待できない。そこで、退
避位置のときに有害光を遮光するために、フイルム給送
方向の両端が低くその中央が撮影光軸に向けて突出した
断面円弧状の遮蔽壁を上下遮光板の少なくとも一方の撮
影光路に対向する面に設け、フレア防止を図ったもので
ある。また請求項2記載のレンズ付きフイルムユニット
では、フイルム給送方向に連続した溝を遮蔽壁に形成し
たものである。
【0010】
【実施例】図2に示すレンズ付きフイルムユニット2
(以下、「フイルムユニット」と称す。)には、ユニッ
ト本体1を外ケース4で包んだ構成となっており、外ケ
ース4には、撮影レンズ5、シャッタボタン6、操作レ
バー3、巻き上げノブ8、ファインダー対物窓9、及
び、撮影枚数表示窓11等を外部に露呈させるための開
口が設けられている。前面に設けられた操作レバー3
は、露光画面をフルサイズ(24×36mm;アスペク
ト比1:2)とパノラマサイズ(13×36mm;アス
ペクト比1:2.8)とに切り替える際に操作され、同
図に示す位置(以下、「標準撮影位置」と称す。)とこ
れからスロット41内の右側に移動した位置(以下、
「パノラマ撮影位置」と称す。)との間で操作される。
操作レバー3を標準撮影位置に操作した際には、露光画
面をフルサイズに切替え、且つファインダー視野範囲を
フルサイズのアスペクト比に相似した視野範囲(以下、
「標準視野範囲」と称す。)に切り替える。また、パノ
ラマ撮影位置に操作した際には、露光画面をパノラマサ
イズに切替え、且つファインダー視野範囲をパノラマサ
イズのアスペクト比に相似した視野範囲(以下、「パノ
ラマ視野範囲」と称す。)に切り替える。
【0011】図3、図4、及び図5に示すように、ユニ
ット本体は、本体基部14、後カバー15、メカユニッ
ト17、及び、前カバーユニット18とからなる。本体
基部14には、国際標準規格(ISO:1007−19
79年版)で規定された135タイプの写真フイルムパ
トローネ24が装填される。また、本体基部14の前面
には、メカユニット17が着脱自在に取り付けらる。メ
カユニット17は、暗箱50aを一体に形成したメカベ
ース50に露光画面切替え機構19、撮影レンズ5を備
えた露光付与機構、及びフイルム巻き止め機構等から構
成され、これらは一体化されている。後カバー16は、
本体基部15の背後に着脱自在に取り付けられ、本体基
部14を遮光する。前カバーユニット18は、本体基部
15の前面に着脱自在に取り付けられる。
【0012】写真フイルムパトローネ24は、写真フイ
ルム24aと、この写真フイルム24aを光密に収納す
るパトローネ24bとからなる。このパトローネ24b
は、写真フイルムaの末端が固定されたスプール24c
を備え、スプール24cが回転されたときに、その外周
に露光済みの写真フイルム24aを巻き取る。本体基部
14には、パトローネ24bを収納するためのパトロー
ネ収納室22と、パトローネ24bから引き出した未露
光の写真フイルム24aのロールを収納するためのフイ
ルム収納室23とが一体成形されている。パトローネ収
納室22とフイルム収納室23との間には、露光枠21
が位置しており、これにはフルサイズの大きさの露光開
口21aが形成されている。
【0013】露光枠21の背面は、フイルム支持面25
を構成しており、このフイルム支持面25は、撮影レン
ズ5のディストーションを改善するために、フイルム給
送方向に沿って背面側に凸となるように湾曲した形状と
なっている。この湾曲は、中心を撮影レンズ5の光軸5
a上にした半径100mmの曲率となっている。また、
後カバー15の内面は、フイルム支持面25に対応して
湾曲したフイルム規制面26を構成している。そして、
露光開口21aには、暗箱50aが爪結合等で着脱自在
に取り付けられ、撮影レンズ5を透過した被写体光が導
かれる。なお、後カバー15には、ファインダー接眼窓
27が一体に設けられている。
【0014】前カバーユニット18は、操作板35と、
カバー板36と、これらを着脱自在に組み込んだ前カバ
ー34とから構成されている。前カバー34には、ファ
インダー対物窓37の他に、シャッタボタン6等が一体
成形されている。ファインダー対物窓37の前面には、
操作板35がフイルム給送方向に沿ってスライド移動自
在に組み込まれる。操作板35には、パノラマ視野枠3
8と操作摘み3とが一体に設けられている。パノラマ視
野枠38は、ファインダー視野範囲をパノラマサイズと
同じアスペクト比に規定する大きさで形成さている。ま
たカバー板36には、ファインダー光軸39の上にフル
サイズと同じアスペクト比に規定するフルサイズ視野枠
40と、操作摘み3を移動自在に外部に露呈させるため
の長穴開口41とが一体に設けられている。
【0015】操作板35は、操作摘み3を長穴開口41
内でスライド操作することによって、パノラマ視野枠3
8をファインダー光軸39の上に位置したパノラマ撮影
位置とこれから退避した標準撮影位置との間でスライド
移動自在に組み込まれる。これらの位置で、両サイド下
部に設けた切り欠き42,43と前カバー34に一体に
設けた弾性自在なクリック爪44,45とがクリック結
合する。この操作板35には、これらの位置へ移動した
際にこれに連係して後述する露光画面切替え機構19を
連動させるためのカム46が一体に設けられている。な
お、操作板35の片端のエッジ47は、標準撮影位置の
際にファインダー視野範囲を塞がないように切り欠いた
断面形状となっている。
【0016】メカベース50aには、詳しくは図6に示
すように、上部左側に2つの軸51,52と軸受開口5
3とが一体に形成されている。軸51には、シャッタ駆
動レバー54と撮影枚数表示板55とが回動自在に挿入
され、最後に止め輪56で抜け止めされる。また、軸5
2には、バネ57と係止レバー58とが回動自在に挿入
され、最後に止め輪59で抜け止めされる。軸受開口5
3にはカム部材60が挿入される。このカム部材60の
上側には、一歯ギヤ60aが一体に設けられており、撮
影枚数表示板55の外周に形成された歯55aに噛合す
る。またカム部材60の下側は、従動スプロケット61
に係合する。
【0017】周知のように、巻き上げノブ8のフイルム
巻き上げ操作が行われると、パトローネ24bの巻芯が
回動し、フイルム24aが移送される。このフイルム2
4bのパーフォレーションには、従動スプロケット61
の歯が噛合している。したがって、フイルム移送に連動
して従動スプロケット61が回転し、この回転に伴って
カム部材60も回転する。カム部材60の回転により係
止レバー58を介してシャッタ駆動レバー54がチャー
ジ位置に移動する。従動スプロケット61が1回転する
と、係止レバー58の一端58aが巻き上げノブ8の外
周に係合し、巻き上げ操作を阻止する。なお、このと
き、撮影枚数表示板55が1目盛り分回転する。
【0018】シャッタボタン6の操作によりシャッタ駆
動レバー54がバネ57の付勢により反時計方向に僅か
に回転する。この僅かな回転中に、シャッタ駆動レバー
54の蹴飛ばし部54aが後述するシャッタ羽根63を
蹴飛ばす。メカベース50の前面には、光軸5aと平行
に軸62が形成されいる。この軸62には、クランク形
状をしたシャッタ羽根63が回動自在に軸着される。シ
ャッタ羽根63は、バネ64の付勢により光軸5a上に
設けたシャッタ開口50bを遮蔽する位置と、シャッタ
駆動レバー54の蹴飛ばしによりシャッタ開口50bか
ら退避する位置との間で回動する。
【0019】シャッタ羽根63の前面には、シャッタカ
バー64が取り付けられ、光軸5a方向に揺動すること
が防止される。このシャッタカバー64には、光軸5a
上に絞り開口64aが形成されており、これを取り囲む
ように鏡筒64bが一体に形成されている。この鏡筒6
4b内には、撮影レンズ5を構成する後レンズ65及び
前レンズ66と、これらの間に挟装されるスペーサ67
とが挿入され、最後にレンズカバー68が被せられる。
【0020】撮影レンズ5の焦点距離は、露光画面をパ
ノラマサイズとフルサイズとに途中切換え可能なタイプ
であるから、パノラマ撮影の場合に広角効果が得られ、
さらに通常撮影の場合に標準的な画角が得られるように
32mmとし、またFナンバーを10.5としている。
そして、2枚玉の撮影レンズ5で焦点距離を32mmと
するために、後レンズ65を両凸球面プラスチックレン
ズとし、また前レンズ66を前面非球面凸メニスカスプ
ラスチックレンズとしている。
【0021】Fナンバーの大きいレンズを搭載する理由
としては、ピント合わせ機能を使わないで近距離被写体
から遠距離被写体までピントが合うパンフォーカスにす
るためである。なお、露光画面をパノラマサイズとフル
サイズとに切換えるフイルムユニットの撮影レンズの焦
点距離(f)としては、28≦f≦33mmにするのが
好適である。また、撮影レンズ5を2枚のプラスチック
レンズで構成しているが、単玉プラスチックレンズを用
いることができる。この場合には、28≦f≦33mm
の焦点距離を満たすために、2面非球面で成型する必要
がある。
【0022】メカベース50の上部右側に、凹型の保持
枠71が一体に形成されている。この保持枠71には、
対物レンズ72と接眼レンズ73とを位置決めするため
の溝がそれぞれ形成されており、これらの溝に対物レン
ズ72と接眼レンズ73とからなる逆ガリレオ式のファ
インダーレンズが着脱自在に挿入される。これらのファ
インダーレンズ72,73は、前カバー34の対物窓3
7と後カバー15の接眼窓との間に配置される。
【0023】図7に露光画面切替え機構19の要部を示
す。露光画面切替え機構19は、大別して中間レバー8
0、捩じりバネ81、クランクレバー82、バネ95、
及び上下遮光板83,84とから構成されている。中間
レバー80は、天板74の上面に植設された軸86を中
心に回動自在に設けられている。この中間レバー80
は、操作板35のカム46に摺接する突起部80aと、
クランクレバー82のピン82aに係合する下突出片8
0bとが硬質のプラスチック材料で一体に形成されてお
り、捩じりバネ81により突起部80aがカム46に当
接する方向(同図に示す時計方向)に向けて付勢されて
いる。そして、標準撮影位置からパノラマ撮影位置への
操作板35を操作した際には、操作板35のカム46
が、詳しくは後述する露光画面切替え機構19の上下遮
光板83,84が露光開口21aの前面から退避した退
避位置と露光開口21aの前面に入り込んでパノラマサ
イズの露光画面を画定するパノラマ位置との間で移動す
る移動量よりも余分に中間レバー80を回転させる形状
となっている。
【0024】クランクレバー82は弾性自在なプラスチ
ック材料で成形さており、一端部82cにピン82a
が、また他端部82dに軸受部82bがそれぞれ一体に
設けられている。軸受部82bは、暗箱50aに設けた
軸受開口89を介して上遮光板83を枢支し、圧入ピン
85によって上遮光板83とクランクレバー82とが一
体に連結される。ピン82aは、標準撮影位置からパノ
ラマ撮影位置に向けて操作板35をスライド移動した際
に中間レバー80が回転する方向に沿ってこれの下突出
片80bに片当たりしている。このピン82aを設けた
一端部82cは、一対の遮光板83,84が退避位置と
パノラマ位置との間で移動する移動量よりも余分に移動
した中間レバー80の移動量を吸収するために、他端部
82dよりも細長な形状となっている。
【0025】暗箱50aは、下部が円弧形状となってお
り、撮影レンズ5から入射する被写体光を露光開口21
aに導くために、光軸5aに沿った前面及び背面に、被
写体光を通過させるための開口87,88がそれぞれ設
けられている。暗箱50には、光軸5aを挟んだ両側面
に貫通穴である軸受開口89及び軸受穴90〜92がそ
れぞれ一体に形成されており、これらの軸受開口89及
び軸受穴90が上遮光板83の、また軸受穴91,92
が下遮光板84の回動中心となる。
【0026】これらの軸受穴90〜92が形成された暗
箱50aの外側には、これらの軸受穴90〜92を取り
囲むように筒条突起部90a,91a,92a(図6参
照)が一体に形成されている。筒条突起部90a,91
a,92aは、軸受穴90〜92と詳しくは後述する上
下遮光板83,84の軸部83b,84c,84dとの
隙間から暗箱50aの内部に入射しようとする光を確実
に遮断している。さらに軸受穴90〜92を設けた暗箱
50aの内部の左右側面には、上下遮光板83,84を
パノラマ位置に位置決めするための一対のストッパ9
3,94がそれぞれ一体に設けられている。また、暗箱
50aの内部には、標準撮影の際にフレアの防止を図る
ための遮光枠96が取り付けられている。この遮光枠9
6は、図8に示すように、開口の縁4辺96a〜96d
が光軸5aに向けて凸な円弧状に形成されている。
【0027】上遮光板83は、弾性自在なプラスチック
材料で成形されており、前側の両サイドに軸部83a,
83bがそれぞれ一体に設けられており、後側のエッジ
83cがフイルム支持面25と同じに湾曲した形状とな
っている。軸部83a,83bは、これらの間に切欠き
部が設けられており、弾性変形させて軸受穴89,90
にスナップ結合される。また切欠き部とエッジ83cと
の間には、切欠き部から入射するよけいな光を遮断する
ための遮蔽壁83dが一体成形されている。
【0028】また、上遮光板83には、クランクレバー
82の回動を下遮光板84に伝達させるための連結ピン
83eが設けられている。この連結ピン83eには、下
遮光板84の突出片84aが当接する。そして、引っ張
りコイルバネ95によって突出片84aは、連結ピン8
3eに当接する方向、すなわち、退避位置に向けて上下
遮光板83,84を付勢している。このバネ95は、暗
箱50aの内部で遮光枠96と露光開口21aとを結ぶ
直線範囲よりも外側に配置され、コンパクト化を寄与し
ている(図5参照)。
【0029】下遮光板84は弾性自在なプラスチック材
料で成形されており、これには、前端側の両サイドに軸
部84c,84dが、また前述した突出片84aがそれ
ぞれ一体に設けられている。軸部84d,84dは、こ
れらの内側に切り欠きがそれぞれ形成されており、弾性
変形させて軸受穴91,92にスナップ結合される。そ
して、下遮光板84は、上遮光板83の回動に連動して
撮影光路内に突出したパノラマ位置とこれから下方に退
避した退避位置との間で回動する。
【0030】さらに、下遮光板84は、内面反射による
フレアを確実に防止するために、暗箱50aの底面に沿
った曲線形状となっており、エッジ84eが上方に向け
てL字曲げされた断面形状となっている。このエッジ8
4eは、水平方向に沿ってフイルム支持面25と同じに
湾曲した形状となっている。また、軸部84c,84d
には、切り欠き部からフイルム面に入射するよけいな光
を遮断するために一対の袋状の遮断壁84fがそれぞれ
一体成形されている。なお、図7では、図面の煩雑化を
防止するために、露光付与機構20やフイルム巻き止め
機構等を省略している。
【0031】図9に示すように、上下遮光板83,84
は、対向する面に遮蔽壁83f,84gがそれぞれ一体
に形成されている。これらの遮蔽壁83f,84gは、
遮光枠96を通過してフレアを生じさせるフレア光をカ
ットするために、フイルム給送方向に沿って切断した断
面が光軸5aに向けて凸な円弧状で形成されている。そ
して、これらの遮蔽壁83f,84gは、標準撮影の際
に上下遮光板83,84が退避位置の際に、遮蔽壁83
f,84gの頂上が、フルサイズの露光画面内に向かう
光束に接するように上下遮光板83,84に形成されて
おり、上下遮光板83,84が退避位置の際にはパノラ
マサイズの露光画面内に向かう光束から退避した状態と
なる。また、これらの遮蔽壁83f,84gの内面に
は、図10及び図11に示すように、フイルム給送方向
に沿ってV字溝が複数形成されており、ここで反射する
光を阻止している。
【0032】次に上記実施例の作用を説明する。フイル
ムユニット2は防湿袋に収納された形態で提供されてお
り、この防湿袋から取り出した状態は、図1(A)に示
すように、操作板35がパノラマ撮影位置の状態となっ
ており、一対の遮光板83,84が露光開口21aの前
面でパノラマサイズを画定している。しかも、操作板3
5のカム46が一対の遮光板83,84が退避位置とパ
ノラマ位置との間で移動する移動量よりも中間レバー8
0の移動量を余分に移動させるため、クランクレバー8
2の一端部82cが撓んで各部品のガタの余裕以上の余
分な移動量を吸収している。したがって、上遮光板83
はストッパー93に確実に当接したパノラマ位置の状態
となっている。さらに、上遮光板83の連結ピン83e
によって突出片84aがオーバーストロークされてお
り、このオーバーストロークを突出片84eの撓みで吸
収し、下遮光板84がストッパー94に当接したパノラ
マ位置の状態に正確に位置決めされている。
【0033】撮影を行う場合には、先ず、巻き上げノブ
8を回してフイルム巻き上げ操作を行う。このフイルム
巻き上げ操作に連動してフイルム24aが移送され、1
コマ分の移送が完了した時点でフイルム巻き止め機構が
作動し、巻き上げノブ8の操作がロックされるととも
に、シャッタ機構のチャージが行われる。
【0034】巻き上げ操作完了後、撮影者は、接眼窓2
7から覗きフレーミングを行うと、操作板35のパノラ
マ視野枠38によってパノラマ視野範囲に制限されてい
る。撮影は、シャッタボタン6の押圧操作によって行
う。この操作によってシャッタ機構が作動してシャッタ
羽根63が一往複開閉する。この一往複開閉の間に撮影
レンズ5を通過した被写体光は、遮光枠96を通過して
上下遮光板83,84画定されたパノラマサイズの露光
画面でフイルム24aに露光される。このとき、暗箱5
0aの内部で上下遮光板83,84の上下方に回り込む
光は、遮蔽壁83d及び遮光片84fによって遮断する
ことが可能となる。
【0035】フルサイズの露光画面で撮影を行う場合に
は、操作摘み3を図4において右方向に沿ってスライド
移動させ、操作板35の切り欠き43と前カバー18の
クリック爪45との結合を解除する。これらの結合を解
除すると、捩じりバネ81が中間レバー80を時計方向
に向けて付勢しているため、操作板35がスムーズに標
準撮影位置に向けて移動する。そして、最後の押し操作
で切り欠き42がクリック爪44に係合する。これによ
り、ファインダー光軸39からパノラマサイズ視野枠3
8が退避した状態となる。このとき、撮影者にクリック
感を与え露光画面のサイズが切り替わったことを認識さ
せる。
【0036】図7に示すように、操作板35の移動によ
って中間レバー80は、バネ81の付勢により軸86を
中心に時計方向に回転する。この回転に連動してクラン
クレバー82は、軸受部82bを中心に反時計方向に回
転する。この回転に連係して上遮光板83が軸83a,
83bを中心に反時計方向に回転し、バネ95の付勢に
より下遮光板84も軸84c,84dを中心に時計方向
に回転する。これにより、上下遮光板83,84は、暗
箱50aの内壁に当接し、図1(B)に示すように、露
光開口21aから退避した退避位置の状態となる。
【0037】その後、前述したと同じにフイルム巻き上
げ操作を行った後に、接眼窓27から覗いてフレーミン
グを行う。このときのファインダ視野範囲は、フルサイ
ズ視野枠37で標準視野範囲に制限されている。そし
て、シャッタボタン6の押圧操作によって撮影レンズ5
を透過した撮影光が遮光枠96を通過して露光開口21
aで画定され、フイルム24aにフルサイズの画面で露
光が行われる。このとき、遮光枠96を通過して露光画
面外に向かう光束は、遮蔽壁83f,84gでカットさ
れるとともに、遮蔽壁83f,84gの面がV字溝とな
っているから、ここで反射して露光画面内に向かう光も
カットすることができる。さらに、背面側に凸となるよ
うに湾曲したフイルム24aの露光画面に対して、遮蔽
壁83f,84gが光軸5aに向けて凸な円弧状で形成
されているから、露光画面のうち四隅周辺部の光量の低
下を最小限に抑える効果がある。
【0038】このように操作摘み3を標準撮影位置とパ
ノラマ撮影位置とのいずれか一方に選択操作しながら撮
影を行う。そして、全てのコマの撮影が終了するとフイ
ルムユニット2は、そのまま現像所に提出される。現像
所では、露光済のフイルム24aを収納したパトローネ
24bを取出す。このときパトローネ24bに混在フイ
ルムである故を示す表示を施しておけば、現像所での作
業が簡便になる。
【0039】取り出されたパトローネ24bは、フイル
ムプロセサで現像処理された後、コマサイズ検出器によ
って写真フイルム24aの各コマのサイズが検出され
る。各コマのサイズデータは、プリント時に適正な露光
量とするための各コマの補正データとともに、コマ番号
に対応付けされてLSIカードに書き込まれる。そし
て、LSIカードとともにネガフイルムは、プリンタプ
ロセサにセットされる。このプリンタプロセサでは、連
続的にフルサイズのコマだけをプリント処理して89×
127mmのプリント写真が得られ、その後、連続的に
パノラマサイズのコマだけをプリント処理し、89×2
54mmのサイズとなったプリント写真が得られる。得
られたプリント写真は、フレアが生じていない鮮明な像
として記録されている。
【0040】なお、フルサイズからパノラマサイズのコ
マにプリントする際には、プリンタのプリント倍率と、
印画紙及びペーパーマスクのサイズとが変更される。ま
た、フルサイズコマから印画紙に引き伸ばすプリント倍
率は約3.5倍であり、パノラマサイズコマから印画紙
に引き伸ばすプリント倍率は約7倍である。このように
プリント処理を行った後に、ユーザーにプリント写真と
ネガフイルムとを返却する。そして、空のフイルムユニ
ット2は工場に回収されリサイクルされる。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明しように、本発明によれ
ば、撮影光路に対向する遮光板の面に断面円弧状の遮蔽
壁を設けたから、背面に向けて凸な露光枠に対するフレ
アを確実に防止することができるとともに、露光枠の四
隅周辺の光量の低下を最小限に抑えることができ、鮮明
なプリント写真を得ることができる。さらに、別の発明
では、遮蔽壁に溝を設けたから、ここで反射する光を阻
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光画面切替え機構の概略を示す説明
図であり、(A)はパノラマ撮影位置の状態を、(B)
は標準撮影位置の状態を示している。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの外観を示す斜視
図である。
【図3】レンズ付きフイルムユニットの要部を示す分解
斜視図である。
【図4】前カバーユニットを示す分解斜視図である。
【図5】レンズ付きフイルムユニットの横断面図であ
る。
【図6】メカユニットの分解斜視図である。
【図7】露光画面切替え機構を示す分解斜視図である。
【図8】撮影レンズ側から見た遮光枠の説明図である。
【図9】標準撮影の際に、上下遮光板を撮影レンズ側か
ら見た説明図である。
【図10】上遮光板を示す斜視図であり、一部を切断し
て示している。
【図11】下遮光板を示す斜視図であり、一部を切断し
て示している。
【符号の説明】
3 操作摘み 21a 露光開口 35 操作板 38 パノラマ視野枠 83 上遮光板 83f,84g 遮蔽壁 84 下遮光板 93,94 ストッパー 95 バネ 96 遮光枠
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 3/00 G03B 17/04 G03B 17/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 背面側に凸となるように湾曲したフイル
    ム面の前面に設けられた露光枠と、 前記露光枠でフイルム面上に第1アスペクト比の第1露
    光画面を画定させるために露光枠の前面から退避する退
    避位置とフイルム面上に第1アスペクト比とは異なった
    第2アスペクト比となるように上下方向の幅を狭めた第
    2露光画面に画定するために露光枠の前面に入り込んだ
    挿入位置との間でそれぞれ移動自在な一対の上下遮光板
    とを備え、 前記上下遮光板の少なくとも一方の撮影光路に対向する
    面には、前記退避位置のときに有害光を遮光するため
    に、フイルム給送方向の両端が低くその中央が撮影光軸
    に向けて突出した断面円弧状の遮蔽壁が設けられている
    ことを特徴とするレンズ付きフイルムユニット
  2. 【請求項2】 前記遮蔽壁には、フイルム給送方向に沿
    って連続した溝が形成されていることを特徴とする請求
    項1記載のレンズ付きフイルムユニット。
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