本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
実施の形態1.
本実施の形態1の電子写真方式のプリンタは、用紙走行速度を2種類以上備えこれを使い分けるとともに、これにあわせて定着器の制御目標温度も変更することで、連続印刷時の高速性と、1枚目の印刷時の待ち時間の短縮化とを図ったことを主な特徴としている。なお、本明細書において言う「印刷速度」、「用紙走行速度」とは、厳密には、定着器を通過する際の用紙の速度を意味している。
まず、本実施の形態1におけるプリンタの基本構成の概要を図1を用いて説明する。
データ受信/編集処理部1では、マイクロプロセッサが所定のソフトウェアを実行することで、印刷データの受信処理、編集処理を行っている。データ受信/編集処理部1によってビットマップデータに編集、展開された印刷データは、機構制御部2から出力されるタイミング信号に従って、データ受信/編集処理部1から機構制御部2へ転送される。機構制御部2は、機構部3を動作させる各種ドライブ信号、及び機構部3から入力されるセンサ信号に基づいて、印刷動作を制御している。例えば、印刷用紙の走行にしたがって印刷データを印刷ヘッドに転送する。
これ以降においては、上記部分毎にさらに詳細に説明する。
まず、データ受信/編集処理部1の詳細な構成を図2を用いて説明する。
データ受信/編集処理部1は、図2に示すとおり、マイクロプロセッサ11、データバス12、アドレスバス13、データRAM14、プログラムROM15、メモリコントロール回路16、操作部表示部17、操作部制御回路18、エンジンインターフェース回路19およびネットワークインターフェース制御回路20を備えて構成されている。
マイクロプロセッサ11は、データ受信/編集処理部1全体の制御を行うものである。このマイクロプロセッサ11は、プログラムROM15に格納された制御プログラム及び各種データが格納されるデータRAM14にアクセスすることにより制御を行う機能を備えている。なお、これらへのアクセスに際して、アドレスバス13を通じてアドレスを出力し、また、データバス12を通じてアドレスに対応したデータの入出力がおこなわれるようになっている。
メモリコントロール回路16は、データRAM14,プログラムROM15に対するアクセスのコントロールを行うものである。
操作部表示部17は、使用者からの指示(例えば、用紙サイズの設定指示、印刷枚数)を受け付ける操作部と、このプリンタの状態などを示す所望の情報を表示させる表示部とを備えている。
操作部制御回路18は、マイクロプロセッサ11からの表示指令に基き操作部表示部17を制御して所望の表示を行わせるものである。また、操作部表示部17の受け付けた使用者からの指示を、マイクロプロセッサ11へ伝えるものである。
エンジンインターフェース回路19は、マイクロプロセッサ11による制御の下、機構制御部2に対して印刷データ及び機構部3への動作指令の出力、さらには、機構部3の動作状態の読み取りを行うものである。
ネットワークインターフェース制御回路20は、Ether Net等のネットワークに接続され印刷データの受信、装置状態の発信等を行うものである。
次に、機構部3の詳細な構成を図3を用いて説明する。
機構部3は、図3に示すとおり、サーミスタ21、定着器ランプ22、ヒートローラ23、リードコンタクト24、バックアップローラ25、定着器モータ26、ドラムユニット27、ドラムモータ28、書き込み開始センサ29、転写ローラ30、レジストモータ31、レジストローラユニット32、用紙入り口センサ33、ホッピングモータ34、ホッピングローラ35、用紙カセット36等を備えて構成されている。
ホッピングローラ35は、用紙カセット36にセットされた用紙を1枚剥離、搬送するためのものであり、ホッピングモータ34によって駆動される構成となっている。
用紙入り口センサ33は、ホッピングローラ35によって剥離、搬送されてきた用紙がレジスト位置に到達したことを検出するためのものである。該用紙入り口センサ33は、検出結果を機構制御部2の後述する用紙入り口センサ回路53を介してマイクロプロセッサ41へ出力している。
レジストローラユニット32は、用紙を搬送するためのものであり、レジストモータ31によって駆動される構成となっている。
書き込み開始センサ29は、レジストローラユニット32等によって搬送されてきた用紙が書き出し位置に到達したことを検出するためのものである。この書き込み開始センサ29は、検出結果を機構制御部2の後述する書き込み開始センサ回路55を介してマイクロプロセッサ41へ出力している。
ドラムユニット27は、その内部に、帯電器、感光体ドラム、LEDヘッド62(図4参照)、現像器等を備えて構成されており、この感光体ドラム上に印字データに応じて静電潜像を形成すると共に、これを現像して該感光体ドラム上にトナー像を形成するものである。該ドラムユニット27は、ドラムモータ28によって駆動されている。また、このドラムユニット27には、帯電器、感光体ドラム等をクリーニングするためのクリーニング機構も備えられている。これらのクリーニング機構は、機構制御部2のマイクロプロセッサ41からの指示に従って、図には示していない制御駆動系統によって所定のタイミングで作動させられるようになっている。
転写ローラ30は、感光体ドラム上に形成されたトナー像を、搬送されてきた用紙に転写するためのものである。
ヒートローラ23およびバックアップローラ25は、トナー像が転写された用紙を両者の間に挟んで搬送することで、この用紙に転写されているトナー像を加熱、加圧して、トナー像を定着させるものである。バックアップローラ25およびヒートローラ23は、ギヤを介して連結された定着器モータ26によって回転駆動されるようになっている。定着に必要な熱は、定着器ランプ(ハロゲンランプ)22によってヒートローラ23を加熱することで与えられる構成となっている。なお、この定着器ランプ22は、リードコンタクト24によって電力を供給されている。
本実施の形態1では、用紙を搬送する機構の駆動源となる各種モータ(定着器モータ26、ドラムモータ28、レジストモータ31、ホッピングモータ34)としてパルスモータが採用されており、用紙搬送速度を変更可能である。
サーミスタ21は、ヒートローラ23の温度を検出するものである。このサーミスタ21は検出結果を、サーミスタ検出回路57(図4参照)へ出力している。
次に、機構制御部2の詳細な構成を図4を用いて説明する。
機構制御部2は、図4に示すとおり、マイクロプロセッサ41、プログラムROM42、データRAM43、ドラムモータ駆動回路44、定着器モータ駆動回路46、ホッピングモータ駆動回路48、レジストモータ駆動回路50、用紙入り口センサ回路53、書き込み開始センサ回路55、サーミスタ検出回路57、エンジンインターフェース回路58、定着器ランプON/OFF回路59、ヘッドデータ転送回路61、LEDヘッド62等を備えて構成されている。
マイクロプロセッサ(以下「CPU」と称す)41は機構制御部2および機構部3の全体を制御するものである。このCPU41は、プログラムROM42に格納された制御プログラム及び各種データが格納されるデータRAM43にアクセスすることにより制御を行う機能を備えている。このCPU41等によって実現されている機能としては、例えば、後述する定着器モータ駆動回路46、ドラムモータ駆動回路44等を介して、各種モータを制御することで、用紙の搬送並びに画像の形成の速度を所望の値に設定、変更する機能を備えている。また、定着器ランプON/OFF回路59を介して、定着器ランプ22のON/OFFを制御することで、ヒートローラ23の温度を制御する機能を備えている。
データRAM43に格納される情報としては、定着器(より厳密にはヒートローラ23)のその時の制御目標温度等が挙げられる。
本実施の形態1におけるプログラムROM42には、制御プログラムの他に、あらかじめ用意された速度設定テーブルが格納されている。この速度設定テーブルは、図5に示したとおり、定着器の制御目標温度と、用紙の搬送速度とを対応づけて定義したものである。本実施の形態1では、さらには、その搬送速度を実現するための各種モータに対するパルスレートも対応づけて定義されている。この速度設定テーブルにおいては、基本的には、図6に示すように、用紙の搬送速度が高いほど制御目標温度を高くするように設定されている。図5、図6において、V1は用紙走行最低速度、V(n)は最高速度である。V(n),T(n)は従来のプリンタの印刷用紙走行速度及び定着器制御温度に相当する。なお、図5においては、説明を簡単にするため、ドラムモータについてのパルスレートのみを記載している。また、これ以降の説明では、説明を簡単にするため速度制御については、ドラムモータ28についてだけ述べて他のモータについては省略している場合がある。しかし、ドラムモータ28以外のモータについても同様の観点、手法に基づいた速度制御が行われている。
ドラムモータ駆動回路44は、ドラムユニット27を駆動するドラムモータ28のドライブ信号をCPU41の指示に基づいて生成している。
定着器モータ駆動回路46は、定着器(ヒートローラ23,バックアップローラ25等)を駆動する定着器モータ26のドライブ信号をCPU41の指示に従って生成するものである。
ホッピングモータ駆動回路48は、ホッピングローラ35を駆動するホッピングモータ34のドライブ信号をCPU41の指示に従って生成するものである。
レジストモータ駆動回路50は、用紙搬送の一旦を行うレジストローラユニット32を駆動するレジストモータ31のドライブ信号をCPU41の指示に従って生成するものである。
先に述べたとおり本実施の形態では、ドラムモータ28、定着器モータ26、ホッピングモータ34、レジストモータ31としてパルスモータを採用している。従って、CPU41からドラムモータ駆動回路44等へ入力されるパルス信号のパルスレートを変更することで、感光体ドラム等の回転速度、すなわち用紙搬送速度を所望の値に設定可能になっている。
用紙入り口センサ回路53は、用紙入り口センサ33からの信号を、CPU41が処理可能な信号に変換するものである。
書き込み開始センサ回路54は、書き込み開始センサ29からの信号を、CPU41が処理可能な信号に変換するものである。
サーミスタ21は、先に述べたとおり、定着器のヒートローラ23に接触して取り付けられており、ヒートローラ23の温度を検出するものである。このサーミスタ21は検出した温度に対応したアナログ電圧を出力する。
サーミスタ検出回路57は、サーミスタ21の出力するアナログ電圧を、内臓するA/D(アナログーデジタル変換)回路によりデジタル値に変換したうえで、CPU41へ出力するものである。このサーミスタ検出回路57は、CPU41からの指令により作動している。
エンジンインターフェース回路58は、前述した機構部3に対する印刷データ、制御コマンドをCPU41に対しインターフェースする。
定着器ランプON/OFF回路59は、定着器ランプ22の電力源である、AC100Vの交流をON又はOFFするものである。この定着器ランプON/OFF回路59は、サーミスタ21からの検出温度に基づいてCPU41によって制御されている。
リードコンタクト24は、定着器ランプ22の両端のソケットにコンタクトしており、ON/OFF制御された、AC100Vを供給する。
ヘッドデータ転送回路61は、エンジンインターフェース回路58を通して送られるラスターイメージの印刷データをCPUプログラム制御のもとLEDヘッド62に送出するものである。
LEDヘッド62は、ヘッドデータ転送回路61から送られてきたラスターイメージ印刷データを、LEDエレメントにセットしタイミングに合わせて点灯、滅灯するものである。LEDヘッド62の走査タイミンダは、ドラムモータ28の駆動パルスに同期している。
次に、本実施の形態1のプリンタの動作を図7,図8,図9を用いて説明する。
図7は、本実施の形態1における印刷処理を示すフローチャートである。図8は、印字データをイメージデータに展開するのに要する処理時間が、定着器等のウォームアップ時間よりも短い場合における動作例である。図9は、印字データをイメージデータに展開するのに要する処理時間が、定着器等のウォームアップ時間よりも長い場合における動作例である。
データ受信処理/編集処理部1が端末機より印刷データを受けると、機構制御部2に対して定着器のウォームアップを指示する。この指示を受けた機構制御部2のCPU41は、これ以降以下のように動作する。
まずCPU41は、印刷可能な最高の用紙走行速度V(n)での定着器制御温度T(n)となるように、定着器の温度制御を開始する(ステップ102)。通常、定着器の温度はT(n)以下であるため、まず、加熱を行うべく定着器ランプ22を通電状態とする。この定着器ランプ22のON/OFFは、具体的には、CPU41が定着器ランプON/OFF回路59に指令を送り、リードコンタクト24による定着器ランプ22への電力供給を開始/停止させることで行われる。
続いて、CPU41は、データ受信/編集処理部1は印刷起動命令が送信されているか否か(ステップ104)、また、定着器の温度TがT(n)に到達しているか否か(ステップ106,108)を確認しつつ、いずれかの条件が満たされるのを待つ。この温度の確認は、具体的には、サーミスタ検出回路57を介して入力されるサーミスタ21の検出温度をCPU41が確認することで行われている。
ステップ104〜ステップ108の結果、印刷が起動される前に定着器の温度TがT(n)に到達した場合、すなわち、イメージデータへの展開処理に要する時間が、定着器のウォームアップに要する時間よりも長かった場合には、ステップ110,112の処理を実行する。すなわち、定着器の温度をT(n)に保つ温度制御を行いつつ、印刷が起動されるのを待つ。ステップ112において、印刷が起動されていた場合には、印刷を開始する。このときの印刷は、定着器の制御目標温度をT(n)、用紙走行速度をV(n)、ドラムモータ28のパルスレートをP(n)にして行う。つまり、この場合には、図9に示すとおり、プリンタの用紙走行最高速度V(n)で印刷が行われる。なお、図5には描いていないが、速度設定テーブルには定着器モータ26等の他のモータについてのパルスレートも規定されており、ドラムモータ28の場合と同様に、この速度設定テーブルに基づいてそれぞれのパルスレートが設定される。
一方、ステップ104〜ステップ108の結果、定着器の温度TがT(n)に到達する前に印刷が起動された場合、すなわち、イメージデータへの展開処理に要する時間が、定着器のウォームアップに要する時間よりも短かった場合には、ステップ114〜ステップ120の処理を実行する。すなわち、CPU41は、その時点での定着器の温度Tを検出し(ステップ114)、T(1)≦Tの関係が成立しているか否かを判定する(ステップ116)。ここで、温度T(1)は、印刷可能最低速度V(1)での定着器の制御目標温度である。T(1)≦Tが成立していなかった場合には、再びステップ114に戻り同様の処理を繰り返しつつ温度がT(1)に達するのを待つ。
ステップ116において、T(1)≦Tが成立していた場合には、ステップ118へ進む。ステップ118において、CPU41は、テーブルを参照することで、T(m)<T≦T(m+1)の関係が成立する温度T(m+1)を求める。また、このテーブルに基づいて、温度T(m+1)に対応する用紙走行速度をV(m+1)に設定する。さらに、用紙走行速度がV(m+1)となるように、ドラムモータ28のパルスレートをP(m+1)に設定する(ステップ120)。そして、その後、すみやかに印刷を開始する。このときの印刷は、定着器の制御目標温度をT(m+1)、用紙走行速度をV(m+1)にして行う。この場合には、定着器の温度TがT(n)に達するまで待つことなく印刷が開始されるため、図8に示すように、イメージデータへの展開処理が開始されてから1枚目の印刷用紙が排出されるまでの時間が従来よりも短い。
以上説明したとおり、本実施の形態1のプリンタでは、電源投入直後等のように定着器が低温の状態においても、印字定着性を損なうことなく、1枚目の印刷用紙が排出されるまでの時間を短縮できる。つまり、印刷動作開始までの時間が短縮されるため、いつまでたっても印刷動作が開始されないという不安感をオペレータにいだかせことはなくなる。
また、イメージデータへの展開処理に要する時間が定着器等のウォームアップ時間より長い場合には、プリンタの用紙走行最高速度で印刷できるためプリンタ全体のスループットが短縮できる。
さらに本発明を実際の装置に適用する場合には、CPU41による制御方法を変更するだけでよく、装置のハードウエア構成は変更する必要がない。従って、実施が容易である。既に、製造販売されている装置に対しても、制御プログラムが書き換え可能なメモリに記憶されている場合には適用可能である。
なお、ヒートローラ23の温度は必ずしも直接測定する必要はない。間接的に測定するようにしても実質的には同じ事である。例えば、その温度が、ヒートローラ23の温度と相関を有する部位の温度を測定し、その測定結果を該相関に基づいて補正することで、ヒートローラ23の温度を検出することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2のプリンタは、連続印刷時に、何らかの理由によって用紙の間隔が一定以上空いている期間、より正確には、定着器による定着が所定時間以上行われていない期間がある場合には、この間に定着器の温度を上昇させることで、定着器の温度が上昇した分だけそれ以降は、用紙走行速度、すなわち印刷速度を高めることを主な特徴とするものである。なお、連続印刷中に定着器が使用されない期間としては、本実施の形態2においては連続印刷中にも適宜行われるクリーニングのための期間が挙げられる。
本実施の形態2は、機構制御部2のCPU41等によって実現される制御内容が実施の形態1とは異なる。これ以外の点は、基本的には実施の形態1と同様である。従って、これ以降の説明は実施の形態1との相違点を中心に行うことにする。
機構制御部2のCPU41は、機構制御部2および機構部3の全体を制御するものである。本実施の形態2におけるCPU41は、各部の動作を制御して印刷、クリーニング等を実現している。特に、クリーニングについては、複数枚の印刷を連続して行っている間にもクリーニングを実行するタイミングになった場合には、印刷動作の開始を遅延させて、クリーニングを実行するようになっている。本実施の形態では所定枚数だけ印刷を行う毎に、次の印刷を開始する前にクリーニングを行うようになっている。このクリーニング実行タイミングの検出は、CPU41自身がプリンタの使用状況状態を検出することで(より具体的には、前回、クリーニングを行ってからの印刷枚数を計数することで)、行うようになっている。
次に、本実施の形態2におけるプリンタの動作を図10を用いて説明する。
ここでは、連続して10枚印刷する毎に、クリーニングを行うものとする。このクリーニングは、10枚目の印刷用紙の後端が、転写ローラ30のニップ部分を通過後に、用紙が排出されるまでは停止しない。クリーニングの対象は、主として、ドラムユニット27に収容されている帯電器、転写ローラ30等である。
CPU41は、1枚目の用紙に対して、定着器温度T(m+1)、用紙走行速度V(m+1)で印刷を開始する(ステップ130)。なお、この1枚目の用紙に対する印刷については、実施の形態1と同様にして行われる。
印刷開始後は、1枚目の用紙へのトナー定着までの印刷プロセスを終了するのを待つ(ステップ132)。印刷プロセスが終了したか否かは、CPU41が用紙入り口センサ33の検出結果に基づいて判定する。つまり、用紙後端が定着器のニップ部を通過した時点で印刷プロセスが終了したと判断する。
印刷プロセスが終了していた場合には、続いてクリーニング処理を行うか否かを判定する(ステップ134)。この判定は、印刷の実行回数をCPU41がカウントしており、10枚を連続して印刷していた場合には、クリーニングを行うことになる。判定の結果、クリーニング処理を行う場合には、実際にクリーニングを開始させる(ステップ136)。一方、これと並行して、定着器の制御目標温度としてT(n)を設定したうえで、定着器ランプ22をONにして定着器の加熱を開始する(ステップ138)。なお、クリーニングを行っていることに起因して定着処理が行われない期間の長さは、CPU41による制御シーケンス上においてあらかじめわかっているため、この期間の長さはここでは判定していない。但し、定着処理が行われない期間の長さがその都度変化する場合、また、既知でない場合には、その期間の長さを判定しその判定結果に応じて定着器の加熱を行うか否かを決定することになる。
この後、CPU41は印刷プロセスのクリーニングが終了するのを待つ(ステップ140)。クリーニングモードは、ドラムを回転させてドラム上に付着したトナーを回収および現像に戻す動作であり、ドラムモータは駆動している。用紙は搬送されていない。ステップ140における判定の結果、クリーニングが終了していた場合には、次のページの印刷処理が起動されているか否かを判定する(ステップ142)。
ステップ142における判定の結果、次のページの印刷処理が起動されていなければ、印刷を終了する。この図10には記載されていないが、このようにして印刷を終了した後も、CPU41は、定着器の温度がT(n)に達するまでは加熱を続ける。温度がT(n)に達した後は、その温度T(n)を維持するように温度制御を行う。
一方、ステップ142において次ページの印刷処理が起動されていた場合には、その時の定着器の温度Tおよびこれに応じた新たな用紙走行速度を設定するべくステップ154〜ステップ158の処理を行う。すなわち、定着器の温度Tを検出し(ステップ154)、その検出結果(温度T)に基づいて速度設定テーブルを参照することでその温度Tに対応した制御目標温度T(k+1)を決定する(ステップ156)。さらに、この制御目標温度T(k+1)に対応する用紙走行速度V(k+1)を求める。但し、このときの温度Tと、新たな制御目標温度T(k+1)との間には、T(k)<T≦T(k+1)(但し、m≦k)の関係があるものとする。また、定着器の温度は上昇しているため、V(m)≦V(k)の関係がある。ステップ158の後、CPU41は、この定着器の新たな制御目標温度T(k+1)、新たな用紙走行速度V(k+1)で印刷を開始させる(ステップ160)。その後は、再びステップ132に戻り同様の処理を繰り返す。
ところで、ステップ134においてクリーニングを行わないと判定された場合には、続いて、次のページの印刷処理が起動されているか否かを判定する(ステップ144)。この判定の結果、次の印刷処理が起動されていた場合には、前ページと同じ設定(定着器制御目標温度T(m+1)、用紙走行速度V(m+1))で印刷を開始させる。
逆に、ステップ144において、次ページの印刷処理が起動されていなかった場合には、CPU41は、印刷された用紙をすべて排出し終わるか、あるいは、次ページの印刷が起動されるのを待ちつづける(ステップ148、ステップ152)。また、この間は、定着器の制御目標温度としてT(n)を設定したうえで、定着器の加熱を継続している(ステップ150)。その結果、ステップ148において、印刷された用紙をすべて排出し終わっていると判定された場合には、そのまま印刷を終了する。次ページの印刷が起動されたか否かを判定する(ステップ152)。一方、ステップ152において、次ページの印刷が起動されていた場合には、ステップ154〜ステップ158の処理を実行することで、印刷の条件を設定し直した上で印刷を開始する。このステップ154〜ステップ158の内容については、既に述べたとおりである。
以上の制御を行った場合における、定着器の制御目標温度等の変化の様子を図11に示した。
なお、図11の例では、作図の都合上、2枚目の印刷が終了した時点でクリーニングを行うようになっている。
1枚目の印刷は、定着器制御温度T(m+1)、ドラムモータ28の速度P(m+1)の条件で開始する。この図11の例では、1枚目の用紙へのトナー定着までの印刷プロセスを終了した時点で(つまり、用紙後端が定着器のニップ部を通過した時点で)、既に2枚目の印刷起動を受けている。従って、2枚目の印刷も、1枚目の印刷と同じ条件(定着温度、印刷走行速度)で行う。
2枚目の印刷が終わった時点で3枚目の印刷起動を受けている。しかし、この時には、印刷プロセスのクリーニング処理を行うため、3枚目の印刷はすぐには開始されない。3枚目の印刷は、クリーニングが終了してから開始されることになる。従って、このクリーニングを行っている間、定着器の制御温度をT(n)に設定することで、その温度を上昇させる。
クリーニングが終了した時点において、定着器の温度はT(k+1)にまで上昇している。従って、これ以降はこの温度を維持するように、定着器制御温度としてこのT(k+1)を設定する。また、ドラムモータの速度もこれに合わせてP(k+1)に設定する。そして、この条件で、3枚目以降の印刷を開始する。その結果、3枚目以降は、1枚目、2枚目よりも高速に印刷が行われることになる。
以上説明したとおり本実施の形態2では、適宜印刷状況に応じて、適宜、定着器の温度を上昇させて、それ以降の印刷速度を高めることができる。従って、印字定着性を損なうことなく印刷全体のスループットをさらに向上させることができる。定着器の温度を上昇させる機会としては、クリーニングの実行中に限定されるものではない。例えば一台のプリンタがネットワークを介して多数の端末に接続されている場合には、複数の端末から印刷要求がでている場合であっても、ある端末から依頼された印刷を終了し他の端末から依頼された印刷を開始する際には、所定の時間だけ印刷用紙の給紙がとぎれる。従って、このようなときに定着器を加熱することも可能である。なお、実施の形態1のプリンタでは、1枚目の印刷時に設定した印刷速度で連続印刷が終了するまで、ドラムモータ等の回転速度すなわち用紙の走行速度を一定に保っていた。そのため、多数枚の連続印刷を行う場合には、従来技術よりもスループットが低下することがある。
この他、本実施の形態2のプリンタでは、実施の形態1と同様の効果も得られる。
実施の形態3.
本実施の形態3は、印刷起動命令を受けてから印刷用紙が排出されるまでの時間が最短となるように、定着器制御温度および印刷用紙走行速度を、用紙のサイズ等に応じて設定することを主な特徴とする。
本実施の形態3のプリンタは、機構制御部2のCPU41による、ドラムモータの制御、および定着器の温度制御の内容が実施の形態1とは異なる。これ以外の構成は基本的には実施の形態1と同様である。
本実施の形態3におけるCPU41は、定着器のその時の温度および用紙サイズに基づいて、印刷を最も短時間で終了することのできる印刷条件(定着温度、用紙走行速度)を求める機能を備えている。この機能の詳細については後ほど述べる動作説明において述べることにする。なお、各種制御を行う際に必要な各種情報は、予めプログラムROM42等に格納されている。
プログラムROM42には、図12に示すように、各サイズの用紙の用紙長と、プリンタにおける用紙の走行路長とを示す情報が格納されている。また、図13に示すように、定着器の温度上昇曲線を示す情報が格納されている。この情報は、定着器を、ある基準となる温度T(1)から温度T(n)にまで昇温させていった場合における、温度の経時変化を示したものである。この情報を用いることで、定着器を所望の温度にまで昇温するのに要する時間を求めることができる。当然ながらこの温度上昇曲線は、定着器ランプ22の出力、ヒートローラ23の熱容量等によって異なってくるため、実際に実験を行って、あるいは、様々な条件を考慮したシミュレーションによって得たものである。
プログラムROM42には、この他、実施の形態1と同様の速度設定テーブル(図5)が格納されている。既に説明したとおりこの速度設定テーブルは、定着器の制御目標温度と、用紙の搬送速度とを対応づけて定義したものである。図5の例では、さらには、その搬送速度を実現するための各種モータに対するパルスレートも対応づけて定義されている。
本実施の形態3のプリンタの印刷動作を図14を用いて説明する。
CPU41は、まず実施の形態1,2と同様にして、印刷起動を受けた時又は印刷プロセスのクリーニングを終了した時点における定着器の温度Tを検出する(ステップ170)。そして、この検出した温度Tに基づいて速度設定テーブル(図5参照)を参照することで、T(m)<T≦T(m+1)を満たすようなmを求める(ステップ172)。
続いてCPU41は、用紙のサイズを検出するとともに、その検出結果に基づいてプログラムROM42に格納されている情報(図12)を参照することで用紙長を得る(ステップ174)。なお、用紙のサイズは、操作部表示部17を用いて指定されている設定内容に基づいて得ている。また、これまで特に説明していなかったが、用紙カセット36には用紙サイズを検出するためのセンサ(不図示)が設置されており、このセンサの検出結果に基づいて得ている。
さらに、給紙が開始されてから排出されるまでに用紙後端が走行する距離L(=用紙長+用紙走行路長)を求める(ステップ176)。ここでは用紙走行路長を460mmで固定としているが、給紙、排出方法、両面印刷等によっては用紙走行路長が変わることがある。そのような場合には、当然、その時の用紙走行路長の値を用いて計算を行う。
続いて、CPU41は、温度T(m+1)から温度T(k)(但し、k=m+1,m+2,・・・・,n)まで定着器の温度を上昇させた後に印刷を行った場合における、用紙排出までに要する時間txを様々な場合について計算する。さらに、このk、つまり、温度T(k)を様々に変更し、その時間txがもっとも短い場合を求める(ステップ178〜ステップ190)。以下、このステップ178〜ステップ190の処理をさらに詳細に述べる。
まず、CPU41は、この計算における初期条件として、k=m+1、tx(min)=t(max)、k(min)=m+1を設定する(ステップ178)。ここで、txは、定着器の温度上昇を開始してから用紙排出までに要する時間であり、tx(min)はその最小値である。tmaxとは、温度上昇開始から印刷を完了後、用紙排出までに要する時間として考えられる最大値であり、あらかじめ定数として備えている。また、k(min)は、t(min)が求められたときのkの値である。なお、印刷起動命令を受けてから定着器の昇温が開始されるまでの時間は非常に短いため、txは印刷起動命令を受けてから用紙は排出までに要する時間と事実上等しくなっている。
続いて、CPU41は、まず、kを1インクリメント(+1)する(ステップ180)。この後、CPU41は、定着器の温度をT(m+1)からT(k)まで上昇させるのに要する時間t(=t(k)−t(m+1))を求める(ステップ182)。この場合、先に行ったステップ178においてk=mと設定されており、さらに、ステップ180においてこれがインクリメントされている。従って、初めてこのステップ182を行う場合にはk=m+1となっており、実際にはt(m+1)−t(m+1)の演算を行うことになる。これは、温度を上昇させることなく、そのまま印刷を行った場合に相当する。なお、この演算に用いられるt(m+1)は、定着器の温度を、T(1)からT(m+1)まで上昇させるのに要する時間であり、プログラムROM42に格納されている温度上昇曲線の情報(図13)を参照することで得られる。t(k)についても同様である。
続いて、CPU41は、定着器の温度上昇を開始してから、印刷後に用紙を排出し終わるまでの合計時間txを求める。(ステップ184)。この合計時間txは、具体的には、先にステップ182において求めた温度上昇に要する時間t(=t(k)−t(m+1))と、用紙の給紙開始から排出完了までに要する時間(=L/V(k))とを加算することで求められる。なお、V(k)は、定着器の温度がT(k)である場合における、十分な定着性が得られる用紙走行速度である。
次に、CPU41は、このようにしてそのときに求めた時間tx(=L/V(k)+t(k)−t(m+1))が、それまでに求めた時間txの最小値tx(min)以下であるか否かを判定する(ステップ186)。tx(min)よりも小さければ、ステップ188へ進んで、tx(min)、k(min)を更新する。つまり、このときに求めた時間txを新たな最小時間tx(min)とする。また、この新たなtx(min)を求めた際のkをk(min)とする。この後は、ステップ190へ進む。一方、ステップ186における判定の結果、そのときに求めた時間txが最小値tx(min)以下ではなかった場合には、そのままステップ190へ進む。
なお、ステップ178における初期設定によってtx(min)=tmaxとされているため、初めてこのステップ188を行う際には、txは必ずtx(min)(このときには、tmax)よりも小さくなり、ステップ188へ進むことになる。
ステップ190において、CPU41は、kがnに達しているか否かを判定する。判定の結果、nに達していなければ、ステップ180へ戻り、kをインクリメントした上でまた同様の処理を繰り返す。以上の処理(ステップ180〜ステップ190)を繰り返すことで、CPU41は、時間txがもっとも短くなるkを求めることができる。
一方、ステップ190における判定の結果、kがnに達していた場合には、それまでの処理によって求められた条件に従って印刷を開始するべくステップ192へ進む。ステップ192において、CPU41はk(min)に対応する定着器の温度T(k)を求め、これを定着制御温度として設定する。さらには、用紙走行速度としてV(k)を設定する。
この後、CPU41は、定着器の温度がT(k)に達するのを待つ(ステップ194)。そして、定着器の温度がT(k)に達した時点で、用紙走行速度V(k)で印刷を開始する。
次に具体的な数値に基づいて効果を検討する。
ここでは、用紙走行速度として、50mm/sと100mm/sとの2つを備えているものとする。また、用紙走行速度が50mm/sである場合の定着温度を150℃、用紙走行速度が100mm/sである場合の定着温度を200℃とする。定着器の温度上昇速度は3℃/秒とする。
A4サイズ(210mm×297mm)の用紙を横方向(短辺を用紙の走行方向に向けた状態)にして用いる場合について考える。ここでは、定着器温度が150℃の時に、印刷起動受けたものとする。用紙走行速度を50mm/sに設定する場合には、定着器温度は既に150℃となっているため、すぐに印刷を開始できる。従って、印刷に要する時間は、13.4秒である。これに対し、用紙走行速度を100mm/sに設定する場合には、印刷を開始する前に定着器温度を50℃(=200℃−150℃)だけ上昇させなければならない。従って、印刷が完了するまでの時間、すなわち、この温度上昇に要する時間と、印刷に要する時間との合計は、19.7秒である。これに対し、極端に長い用紙、ここでは、用紙走行方向の長さが1000mmの用紙を用いる場合について考える。この場合も同様に、定着器温度が150℃の時に、印刷起動受けたものとする。用紙走行速度を50mm/sに設定する場合には、定着器温度は既に150℃となっているため、すぐに印刷を開始できる。従って、印刷に要する時間は、29.2秒である。これに対し、用紙走行速度を100mm/sに設定する場合には、印刷を開始する前に定着器温度を50℃(=200−150)だけ上昇させなければならない。従って、印刷が完了するまでの時間、すなわち、この温度上昇に要する時間と印刷に要する時間との合計は、27.6秒である。従って、A4用紙(長さ210mm)は150℃で印刷を行い、長さ1000mm用紙は200℃に達した後に印刷を行った方が印刷用紙の排出までの時間が短縮できる。
本実施の形態3では、印刷用紙の用紙長を考慮した制御を行うことで、用紙の長短に関係無く常に全体のスループットを向上できる。また、実施の形態2と同様の効果も得られる。
上述した説明は片面印刷の場合についてのものであったが、本発明は両面印刷の場合にも適用可能である。但し、表面と裏面とで印刷速度が異なる場合には、裏面印刷用の速度設定テーブルを別途備える必要がある。
実施の形態4.
本実施の形態4のプリンタは、印刷中も定着器の加熱を継続することで、その時の温度に合わせて、用紙1枚毎に、印刷速度を更新してゆくことを主な特徴としている。
本実施の形態4は、機構制御部2のCPU41によって行われている印刷の制御の内容が実施の形態1とは異なる。これ以外のプリンタの基本構成は、実施の形態1と同様である。従ってこれ以降の説明はCPU41等による印刷制御の内容を中心に行う。
CPU41は、機構制御部2および機構部3の全体を制御するものであり、各部を制御して印刷を実行させる機能を備えている。特に本実施の形態4においては、印刷中も定着器ランプ22をONにして定着器(ヒートローラ23)の加熱を継続するようになっている。また、印刷開始時点での定着器の温度をあらかじめ印刷1枚毎に予測するとともに、その予測温度に応じて印刷速度等をあらかじめ設定する機能を備えている。このような温度予測、印刷制御に際して必要なデータは、プログラムROM42等にあらかじめ用意されている。
プログラムROM42に格納されているデータとしては、定着器の温度上昇プロフィールTP、印刷可能最低温度、温度低下幅(後述するTd1,Td2,・・・)、速度設定テーブル等が挙げられる。
温度上昇プロフィールTPとは、印刷を行うことなく定着器を加熱した場合における温度の経時変化である(図16参照)。
印刷可能最低温度とは、印刷を実行可能な最低の温度であり、主としてトナーの融点によって決定される。図16においては、温度T0が印刷可能最低温度に相当する。
温度低下幅(後述するTd1,Td2,・・・)とは、印刷の実行が定着器の温度上昇に与える影響を示すデータであり、用紙サイズ毎に設定されている。これは、印刷の実行が定着器の温度上昇に対して影響するのは用紙が定着器(特に、ヒートローラ23)から熱を奪うからであり、その奪う熱量は用紙のサイズによって異なるからである。なお、印刷に用いられる用紙のサイズは、上位装置から印刷データとともに送信されてくるようになっている。また、用紙カセット36内にセットされた用紙サイズは、プリンタのデータRAM43に記憶されるようになっている。
速度設定テーブルは、実施の形態1における速度設定テーブル(図5)と同様のものである。
これら温度上昇プロフィールTP、温度低下幅、速度設定テーブル等は、あらかじめ実験によって得られた結果に基づいて作成されている。
本実施の形態4のプリンタの動作を図15,図16を用いて説明する。
図15は、機構制御部2のCPU41によるプログラム制御のフローチャートである。図16は、定着器の温度制御動作タイムチャートである。この図16における温度上昇プロフィールTPは、印刷を全く行わなかった場合についてのものである。
待機状態が解除されると、あるいは電源が投入されると、CPU41は定着器ランプ22をONにして定着器の加熱を開始する(ステップ202)。その後は、定着器の温度を監視しつつ、その温度が印刷可能最低温度(図16における温度T0)に達するのを待つ(ステップ204,ステップ206)。なお、定着器の温度は、サーミスタ21により検出結果に基づいて判定している。先に述べたとおり、この印刷可能最低温度とは、印刷開始可能な最低の温度であり、主としてトナーの融点によって決定される。
ステップ206における判定の結果、印刷可能最低温度まで達していた場合には、続いて、CPU41は、データ受信/編集処理部1に受信済みの印刷データが何枚分蓄積されているかを確認する(ステップ208)。また、1枚目の印刷開始温度として、印刷可能最低温度T0を初期設定する(ステップ209)。これ以降は、蓄積された印刷データが3枚であった場合を例にとって説明を行う。
まずCPU41は、1枚目の印刷開始温度(ここでは印刷可能最低温度T0)に達した時点ですぐに1枚目の印刷を開始するものとして、印刷速度V1、印刷時間TS1、温度低下幅Td1を求める(ステップ210)。ここで、印刷速度V1とは、1枚目の印刷を行う場合における用紙の走行速度であり、1枚目の印刷を開始する際の定着器の温度(ここでは、印刷可能開始温度T0)によって異なる。印刷時間TS1とは、1枚目の印刷に要する時間であり、これには1枚目の印刷完了後2枚目の印刷が開始されるまでの時間も含まれる。温度低下幅Td1とは、定着器の温度がT0となっている状態で印刷を行ったことに起因して生じた温度上昇の鈍化幅である。つまり、図16に示すとおり、印刷をしていなかった場合には、時間TS1経過後における定着器の温度は、温度上昇プロフィールTP上のTr1となっているはずである。しかし、印刷を行ったことで、温度上昇が鈍化し、実際には温度Tr1よりも低くなっている。温度低下幅Td1とは、この温度Tr1と、実際の温度との差に相当する。なお、このような温度低下は、定着器が用紙に熱を奪われることで生じる。これらの各種値は、印刷可能最低温度T0をパラメータとして、実験からもとめられる値である。
次に、CPU41は2枚目の印刷開始温度を求める(ステップ212)。すなわち、温度上昇プロフィールTP(図16参照)から、温度T0の状態から、印刷を行うことなく時間TS1が経過した後の温度Tr1を求める。そして、このTr1からステップ210で求めたTd1を減算することで、2枚目の印刷開始温度T1を求めることができる。
次に、CPU41は、このようにして求めたT1をパラメータとして、印刷速度V2、印刷時間TS2、温度低下分Td2を求める(ステップ214)。ここで、印刷速度V2とは、定着器の温度がT1の状態で、印刷を行う場合における用紙の走行速度である。印刷時間TS2とは、1枚目の印刷に要する時間であり、これには2枚目の印刷完了後3枚目の印刷が開始されるまでの時間も含まれる。温度低下幅Td2とは、定着器の温度がT1となっている状態で印刷を開始した場合に生じる温度上昇の鈍化幅である。つまり、図16に示すとおり、印刷をしていなかった場合には、時間TS2経過後における定着器の温度は、温度上昇プロフィールTP上のTr2となっているはずである。しかし、印刷を行ったことで、温度上昇が鈍化し、実際には温度Tr2よりも低くなっている。温度低下幅Td2とは、この温度Tr2と、実際の温度との差に相当する。
次に、CPU41は3枚目の印刷開始温度を求める(ステップ216)。すなわち、温度上昇プロフィールTP(図16参照)から、温度T0の状態から、印刷を行なうことなく時間(TS1+TS2)が経過した後の温度Tr2を求める。そして、このTr2から(Td1+Td2)を減算することで、3枚目の印刷開始温度T2を求めることができる。
さらに、CPU41は、このT2をパラメータとして、3枚目の印刷に際しての印刷速度V3、印刷時間TS3、温度低下分Td3を、ステップ214と同様にして求める(ステップ218)。
これ以降、CPU41はこれまでに求めた条件に従いつつ印刷を実行する。すなわち、CPU41は、まず、ステップ210で求めた印刷速度Vlで1枚目の印刷を行う(ステップ220)。この1枚目の印刷終了後は、定着器の温度が先に求めた印刷開始温度T1になっているか否かを判定する(ステップ222)。判定の結果、実際にはT1まで達していなかった場合には、温度がT1に達するのをそのまま待つ。一方、T1に達していた場合には、ステップ214で求めた印刷速度V2で2枚目の印刷を行う(ステップ224)。2枚目の印刷終了後は、定着器の温度がステップ216で求めた印刷開始温度T2になっているか否かを判定する(ステップ226)。判定の結果、実際にはT2まで達していなかった場合には、温度がT2に到達するのをそのまま待つ。一方、T2に達していた場合には、ステップ218で求めた印刷速度V3で3枚目の印刷を行う(ステップ228)。
ここでの説明は印刷データが3枚分蓄積されている場合を例にとって述べた。蓄積されている印刷データが1枚だけである場合には、ステップ212,214,216,218は行われることはない。蓄積されている印刷データが2枚だけである場合には、ステップ216,218は行われることはない。蓄積されている印刷データがN(N≧4)枚蓄積されている場合には、ステップ210の実行後、ステップ212およびステップ214とほぼ同様の処理を、N−1回繰り返すことで、すべての頁(印刷データ)についての印刷速度、印刷開始温度を決定する。そして、その後、1枚目の印刷を開始する。印刷開始後には、当然、ステップ220およびステップ222と同様の処理を、印刷データの枚数分だけ繰り返し行うことになる。
以上説明したとおり本実施の形態4によれば印刷開始するまでの時間を短縮することができ、操作者に不安感を抱かせることもなくなる。また、複数枚を連続して印刷する場合には、1枚毎に徐々に用紙走行速度すなわち印刷速度を高めてゆくことができる。すなわち、1枚目の印刷開始までの時間の短縮と、複数枚を連続する場合における全体としての印刷時間の短縮とを両立できる。
実施の形態5.
本実施の形態5は、印刷終了までに要する時間が最短となるような印刷条件(印刷開始温度、印刷速度等)を印刷データの枚数をも考慮して予測し、この予測によって求めた条件で印刷を行うことを主な特徴としている。
本実施の形態5は、機構制御部2のCPU41によって行われている印刷の制御の内容が実施の形態4とは異なる。これ以外のプリンタの基本構成は、実施の形態4と同様である。従ってこれ以降の説明はCPU41等による印刷制御の内容を中心に行う。
CPU41は、機構制御部2および機構部3の全体を制御するものであり、各部を制御して印刷を実行させる機能を備えている。特に本実施の形態5においては、印刷中も定着器ランプ22をONにして定着器(ヒートローラ23)の加熱を継続するようになっている。また、印刷開始時点での定着器の温度をあらかじめ予測するとともに、その予測温度に応じて印刷速度等を求める機能を備えている。さらには、印刷データが何枚あるかをも考慮して、印刷終了までに要する時間が最も短くなるような印刷条件(印刷開始温度、印刷速度等)を探索する機能を備えている。このような温度予測、印刷制御に際して必要なデータは、プログラムROM42等にあらかじめ用意されている。
プログラムROM42に格納されているデータとしては、定着器の温度上昇プロフィールTP、印刷可能最低温度、温度低下幅(後述するTd1,Td2,・・・)、速度設定テーブル等が挙げられる。これらについては実施の形態4と同様のものであるため説明を省略する。
本実施の形態5のプリンタの動作を図16,図17を用いて説明する。
図17は、機構制御部2のCPU41によるプログラム制御のフローチャートである。図16は、定着器の温度制御動作タイムチャートである。この図16における温度上昇プロフィールTPは、印刷を全く行わなかった場合についてのものである。
まず、CPU41は、定着器の温度を印刷可能最低温度にまで上昇させた上で、印刷1枚毎についての印刷開始温度、印刷速度、温度低下幅、印刷時間を計算で求め、これを互いの対応関係を明確にした上でデータRAM43に保持する(ステップ242〜ステップ258)。この図17の例では、印刷データが3枚あることを仮定し、印刷開始温度T1,T2、印刷速度V1,V2,V3、温度低下幅Td1,Td2,Td3、印刷時間TS1,TS2,TS3を求めている。このステップ242〜ステップ258の個々のステップにおける処理については、実施の形態4の図15におけるステップ202〜ステップ218と同様であるため、説明を省略する。但し、本実施の形態5においては、後述するように、このステップ250〜ステップ258の処理を繰り返すことで総印刷時間がもっとも短くなる場合を探索している。この場合、ステップ250〜ステップ258の計算(図15におけるステップ210〜ステップ218に相当)においては、前提条件として、1枚目の印刷開始温度があらかじめ与えられていることが必要である。第1回目の計算においてはステップ249において設定された印刷可能最低温度がこの1枚目の印刷開始温度として採用される。第2回目以降の計算においては、後述するとおりこの1枚目の印刷開始温度を所定温度ずつ高くしていくようになっている。
ステップ258の後、CPU41は、3枚分の総印刷時間(=TS1+TS2+TS3)を求め、これをこのときの計算の前提となった1枚目の印刷開始温度の設定値等と対応づけてデータRAM43に保持する(ステップ260)。
次に、CPU41は、1枚目の印刷開始温度として、それまでの設定値よりも所定温度だけ高い温度を設定する(ステップ262)。
この後、この1枚目の印刷開始温度の新たな設定値が既に制御目標温度に達しているか否かを判定する(ステップ264)。判定の結果、まだ達していなければ、ステップ250に戻り再び同様の処理を繰り返すことで、1枚目の印刷開始温度としてステップ262において設定された新たな値を採用した場合における総印刷時間を再び求める。CPU41は、ステップ264における判定の結果が、この1枚目の印刷開始温度の設定値が制御目標温度に達するまでこの後も同様の処理を繰り返す。
ステップ264における判定の結果、この1枚目の印刷開始温度の設定値が制御目標温度に達していた場合、CPU41はこれまで求めた総印刷時間の中でもっとも短いものを判別するとともに、この総印刷時間がもっとも短くなる場合の1枚目の印刷開始温度を選択し、これを実際の1枚目の印刷開始温度Tstとして設定する(ステップ266)。
これ以降、CPU41は、このようにして設定された1枚目の印刷開始温度Tstおよびこれを前提条件として先に求められた印刷開始温度T1,T2、印刷速度V1,V2,V3に従って印刷を実行する(ステップ268〜ステップ276)。すなわち、CPU41は、定着器の温度がこのようにして設定された1枚目の印刷開始温度Tstに到達しているか否かを判定する(ステップ268)。判定の結果、まだTstに到達していなかった場合には、温度がTstに到達するのをそのまま待つ。一方、Tstに到達していた場合には、1枚目の印刷を行う(ステップ270)。この1枚目の印刷終了後は、定着器の温度が先に求めた印刷開始温度T1になっているか否かを判定する(ステップ272)。判定の結果、実際にはT1まで達していなかった場合には、温度がT1に達するのをそのまま待つ。一方、T1に達していた場合には、先に求めた印刷速度V2で2枚目の印刷を行う(ステップ274)。2枚目の印刷終了後は、定着器の温度が先に求めた印刷開始温度T2になっているか否かを判定する(ステップ276)。判定の結果、実際にはT2まで達していなかった場合には、温度がT2に到達するのをそのまま待つ。一方、T2に達していた場合には、先に求めた印刷速度V3で3枚目の印刷を行う(ステップ278)。
ここでの説明は印刷データが3枚分蓄積されている場合だけを例にとって述べた。蓄積されている印刷データが1枚だけである場合には、ステップ252,254,256,258は行われることはない。蓄積されている印刷データが2枚だけである場合には、ステップ256,258は行われることはない。蓄積されている印刷データがN(N≧4)枚蓄積されている場合には、ステップ250の実行後、ステップ252およびステップ254とほぼ同様の処理を、N−1回繰り返すことで、すべての頁(印刷データ)についての印刷速度、印刷開始温度を決定する。そして、その後、ステップ260〜ステップ264の処理を行うことになる。
また、印刷開始後には、当然、ステップ268およびステップ270と同様の処理を、印刷データの枚数分だけ繰り返し行うことになる。
以上説明したとおり本実施の形態5によれば、印刷に要する時間が最も短くなるような印刷条件(印刷開始温度、印刷速度)を印刷データの枚数も考慮して予測し、この予測によって求めた条件で印刷を行っている。従って、定着器が定格の制御目標温度に達してから印刷を開始する場合に較べて、短時間で印刷を完了できる。
なお、総印刷時間の求め方は上述した手法に限定されるものではなく、他の手法によって求めても構わない。
実施の形態6.
本実施の形態6は、実施の形態5と同様に、印刷終了までに要する時間が最短となるような印刷条件(印刷開始温度、印刷速度等)を印刷データの枚数をも考慮して予測し、この予測によって求めた条件で印刷を行っている。さらに、本実施の形態6においては、この予測を所定枚(ここでは1枚)印刷する毎にすべてやり直すことで、印刷実行中に生じる状況変化(例えば、新たな印刷データが送られてきたこと)に即座に対応して常に最短の時間で印刷が完了できるようにしたことを主な特徴とする。
本実施の形態6は、機構制御部2のCPU41によって行われている印刷の制御の内容が実施の形態5とは異なる。これ以外のプリンタの基本構成は、実施の形態5と同様である。従ってこれ以降の説明はCPU41等による印刷制御の内容を中心に行う。
CPU41は、機構制御部2および機構部3の全体を制御するものであり、各部を制御して印刷を実行させる機能を備えている。特に本実施の形態6においては、実施の形態5と同様に、印刷中も定着器ランプ22をONにして定着器(ヒートローラ23)の加熱を継続するようになっている。また、印刷開始時点での定着器の温度をあらかじめ予測するとともに、その予測温度に応じて印刷速度等を求める機能を備えている。また、印刷データが何枚あるかをも考慮して、印刷終了までに要する時間が最も短くなるような印刷条件(印刷開始温度、印刷速度等)を探索する機能を備えている。さらに本実施の形態6においてはこの予測を1枚印刷する毎にすべてやり直すようになっている。このような温度予測、印刷制御に際して必要なデータは、プログラムROM42等にあらかじめ用意されている。
プログラムROM42に格納されているデータとしては、実施の形態5と同様、定着器の温度上昇プロフィールTP、印刷可能最低温度、温度低下幅(後述するTd1,Td2,・・・)、速度設定テーブル等が挙げられる。
本実施の形態6のプリンタの動作を図18,図19,図20を用いて説明する。
図18は、機構制御部2のCPU41によるプログラム制御のフローチャートである。図19,図20は、定着器の温度制御動作タイムチャートである。この図19,図20における温度上昇プロフィールTPは、印刷を全く行わなかった場合についてのものである。
先に述べたとおり、温度予測、印刷条件の設定等の処理そのものについては、実施の形態5と同様である。本実施の形態6では、このような処理を印刷1枚毎にすべてやり直すことで、印刷実行中に生じた状況変化に逐次対応可能としたことを主な特徴としている。従ってこれ以降の説明は、この特徴を中心に述べることにする。
まず、CPU41は、印刷開始温度、印刷速度等の第1回目の予測を行う(ステップ302〜ステップ320)。このステップ302〜ステップ320の処理は、基本的には、実施の形態5の図17におけるステップ242〜ステップ264と同様である。但し、ここでは、印刷データが2枚分となっている。
この後、CPU41は、第1回目の予測によって求められた、その時点での印刷データのすべてを印刷し終わるのに要する時間が最短となる印刷開始温度を、実際の印刷開始温度Tst1aとして採用することを決定する(ステップ322)。そして、定着器の温度がこのようにして決定された印刷開始温度Tst1aに到達するのを待って(ステップ324)、1枚目の印刷を実行する(ステップ326)。1枚目の印刷後、CPU41は、定着器の温度が2枚目の印刷開始温度T1aに達するのを待つ(ステップ328)。
ステップ328において2枚目の印刷開始温度T1aに達していた場合、CPU41は、印刷開始温度、印刷速度等の第2回目の予測を行う(ステップ330〜ステップ346)。ステップ330〜346の処理は、基本的にはステップ308〜ステップ320と同様である。但し、ここでは、印刷データが3枚分となっている。
この後、CPU41は、第2回目の予測によって求められた、その時点での印刷データのすべてを印刷し終わるのに要する時間が最短となる印刷開始温度を、実際の印刷開始温度Tst1bとして採用することを決定する(ステップ348)。そして、定着器の温度がこのようにして決定された印刷開始温度Tst1bに到達するのを待って(ステップ350)、1枚目(最初からの累計では2枚目)の印刷を実行する(ステップ352)。
この印刷後、CPU41は、定着器の温度が2枚目(当初からの累計では3枚目)の印刷開始温度T1bに達しているか否かを判定する(ステップ354)。まだ達していなければそのまま待つ。一方、印刷開始温度T1bに達していた場合には、再び、受信済みの印刷データの枚数をチェックする。
これ以降も1枚印刷する毎に、ステップ308〜ステップ328と同様の処理を繰り返すことで、その都度、その時の状況に合わせて印刷条件を変更しつつ印刷を行っていく。そして、最終的には、印刷データがすべてなくなった時点で印刷処理を終了する。
以上説明したとおり本実施の形態6では、印刷を複数枚連続して行う場合には適宜予測をやり直しているため、印刷中に生じた状況変化に的確に対応することができる。例えば、印刷データのすべてを受け取る前に印刷を開始した場合には、印刷中にもその都度印刷データが送られてくるが、本実施の形態6のプリンタではこのような印刷開始後における印刷データの追加が生じても、常に、最短の時間で印刷を終了可能である。また、定着器の温度が印刷可能最低温度には達しているが、定格の定着温度には達していない状態で印刷を開始した場合でも、同様に常に最短の時間で印刷を終了可能である。
なお、予測をやり直すタイミングは、印刷1枚毎に限定されるものではない。例えば、印刷2枚毎に行うようにしてもよい。予測をやり直すタイミング、頻度は、予測の実行に要する時間、印刷データの転送に要する時間等を考慮して決定すればよい。
実施の形態7.
本実施の形態7は、定着器の加熱に際して、その温度が印刷可能最低温度に到達するまでの時間を予測しこれを表示することを主な特徴としている。
本実施の形態7は、機構制御部2のCPU41によって行われている印刷の制御の内容が実施の形態4とは異なる。これ以外のプリンタの基本構成は、実施の形態4と同様である。従ってこれ以降の説明はCPU41等による印刷制御の内容を中心に行う。
CPU41は、機構制御部2および機構部3の全体を制御するものであり、各部を制御して印刷を実行させる機能を備えている。特に本実施の形態7においては、定着器の加熱に際してその温度が印刷可能最低温度に到達するまでの時間を予測しこれを表示する機能を備えている。これ以外の点は、実施の形態4と同様である。
本実施の形態7のプリンタの動作を図21,図22を用いて説明する。
図21は、機構制御部2のCPU41によるプログラム制御のフローチャートである。図22は、定着器の温度制御動作タイムチャートである。
本実施の形態7におけるCPU41の動作は、実施の形態4における動作(図15)とほぼ同様である。但し、本実施の形態7では、図15におけるステップ202〜ステップ206に代わって、図21に示した処理を行うようになっている。以下の説明は、実施の形態4(図15)との相違点を中心に述べることにする。
待機状態が解除されると、あるいは電源が投入されると、CPU41は定着器ランプ22をONにして定着器の加熱を開始する(ステップ402)。
続いて、CPU41は、データ受信/編集処理部1に受信済みの印刷データの有無を確認する(ステップ404)。その結果、印刷データがある場合には、定着器のその時の温度Tcを読み取る(ステップ406)。そして、読み取った温度Tcに基づいて、温度上昇プロフィールTPを参照することで、印刷可能最低温度T0に到達するまでの時間Tdspを求める(ステップ408)。そして、このようにして求めた時間Tdspを示すデータを、データ受信/編集処理部1へ送る。これを受け取ったデータ受信/編集処理部1のマイクロプロセッサ11は、この時間Tdspを操作部表示部17に表示させる(ステップ410)。
なお、ステップ404において受信済みの印刷データがなかった場合には、直接、ステップ412へ進む。
ステップ412において、CPU41は、定着器のその時の温度Tcを読み取り(ステップ412)、このとき読み取った温度Tcが既に印刷可能最低温度T0に到達しているか否かを判定する(ステップ414)。判定の結果、まだ印刷可能最低温度T0に到達していない場合には、再びステップ404に戻り同様の処理を繰り返す。これにより、印刷可能最低温度T0に到達するまで、操作部表示部17へ印刷が開始されるまでの時間が、更新を繰り返しながら表示されていくことになる。
ステップ414において印刷可能最低温度T0に到達していた場合には、図15におけるステップ208以降の処理に移る。
以上説明したとおり本実施の形態7によれば、印刷開始までの残り時間が表示されるため、印刷開始までの待ち時間がわからず操作者がいらいらすることがなくなる。この他、実施の形態4と同様の効果も得られる。
なお、残り時間の報知の仕方は表示に限るものではなく、音声で報知するようにしても構わない。
1 データ受信/編集処理部、 2 機構制御部、 3 機構部、 11 マイクロプロセッサ、 12 データバス、 13 アドレスバス、 14 データRAM、 15 プログラムROM、 16 メモリコントロール回路、 17 操作部表示部、 18 操作部制御回路、 19 エンジンインターフェース回路、 20 ネットワークインターフェース制御回路、 21 サーミスタ、 22 定着器ランプ、 23 ヒートローラ、 24 リードコンタクト、 25 バックアップローラ、 26 定着器モータ、 27 ドラムユニット、 28 ドラムモータ、 29 書き込み開始センサ、 30 転写ローラ、 31 レジストモータ、 32 レジストローラユニット、 33 用紙入り口センサ、 34 ホッピングモータ、 35 ホッピングローラ、 36 用紙カセット、 41 マイクロプロセッサ(CPU)、 42 プログラムROM、 43 データRAM、 44 ドラムモータ駆動回路、 46 定着器モータ駆動回路、 48 ホッピングモータ駆動回路、 50 レジストモータ駆動回路、 53 用紙入り口センサ回路、 55 書き込み開始センサ回路、 57 サーミスタ検出回路、 58 エンジンインターフェース回路、 59 定着器ランプON/OFF回路、 61 ヘッドデータ転送回路、 62 LEDヘッド、 71 端末、 72 電子写真プリンタ、 73 制御部、 74 印刷部、 75 電子写真プロセス、 76 プリンタインターフェース部、 77 印刷用紙供給部、 78 印刷用紙、 79 給紙ローラ、 80 レジストローラ、 81 印刷用紙、 82 感光体ドラム、 83 現像器、 84 露光器、 85 帯電器、 86 転写器、 87 定着器、 89 排出部。