JP6028753B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置に関し、特に、その定着部材の温度制御に関する。
画像形成装置の中でも、レーザープリンター、ファクシミリ、コピー機等、シートの上にトナー像を形成して熱定着させる機種には、定着部が備えられている。定着部は、通紙されるシートに対して定着処理を行う機能部であり、定着部材とヒーターとを含む。定着部材は、ローラー、ベルト等の回転体を含み、その回転体をシートの表面に接触させることでそのシートへ熱を伝える。ヒーターは、定着部材を加熱するためのものであり、ハロゲンランプを利用するものと、誘導加熱を利用するものとが、主に知られている。
画像形成装置のこれらの機種において消費電力を更に削減するには、定着部の消費電力の削減が効果的である。実際、これらの機種の消費電力の中では、定着部が、定着部材の温度を連続して上昇させる動作(以下、「昇温動作」という。)と、その温度を一定に維持する動作(以下、「温調動作」という。)とに要する電力が大きな割合を占めている。
定着部の消費電力を削減するための技術としてはたとえば次のものが知られている。「定着処理の不要な動作モードにおいて、または定着処理の不要なシートを通紙する間、定着部に昇温動作と温調動作とをいずれも停止させる。」これらの動作が停止している間、定着部材の温度は降下するので、この技術においては、定着部に昇温動作を再開させる時期を正確に決めることが重要である。昇温動作の再開が遅れれば、次に定着処理を行うべき時刻が到来しても定着部材の温度が、その定着処理中に維持されるべき値まで到達しない。その結果、トナー像の熱定着が不完全になれば、その像が擦れる等、印刷品質が低下する危険性が生じる。
昇温動作の再開時期を正確に決める技術としては、たとえば特許文献1、2に開示されたものが知られている。これらの技術では、定着部材の昇温曲線が予め推定されている。昇温曲線は、次の関係を表す曲線である。「定着部がトナー像を熱定着させる時点には定着部材の温度が、その時点で維持されるべき目標値まで到達している」という条件が満たされるときに、定着部による昇温動作の再開時刻とその時刻における定着部材の温度との間に成立する関係。上記の技術では、定着部の昇温動作が停止している間、定着部材の温度が監視され、現在の時刻と定着部材の温度との対を座標とする点が昇温曲線の上に乗った時点で、定着部の昇温動作が再開される。
特許文献2にはまた、次の技術も開示されている。この技術では、まず、定着部の昇温動作が停止しているときに定着部材の温度が測定され、測定された値から定着部材の温度の経時的変化を表す曲線、すなわち降温曲線が推定される。次に、昇温曲線と降温曲線との交点の座標が予測されて、その交点の時刻において定着部の昇温動作が再開される。
これらの技術では、昇温曲線の推定が、実際の印刷動作に先立って行われる実験または測定に基づいている。具体的には、昇温曲線の推定される形状、特に昇温曲線を直線で近似する場合には、その直線の傾きである昇温速度の予測値が実験から求められる。特許文献2にはまた、画像形成装置の起動時に定着部材の昇温速度を測定してその測定値を予測値に設定する技術も開示されている。
特開2012−128037号公報 特開2012−128189号公報
電気製品全般に対する省エネルギーの要求は、近年、ますます高まっている。画像形成装置に対しても、消費電力の更なる削減が要求されている。この要求に応えるには、上記のとおり、定着部の消費電力の更なる削減が効果的である。
不完全な熱定着に起因する印刷品質の低下を防ぎつつ、定着部の消費電力を更に削減するには、たとえば昇温曲線の推定の正確性を更に向上させることにより、昇温動作を更に的確な時期に再開させればよい。
しかし、特許文献1、2に開示された技術では、昇温曲線の推定の正確性を更に向上させることは難しい。なぜならば、昇温速度の予測に利用する実験等には、定着部材に出入りする熱量に影響を与える定着部そのものの状態、すなわち定着部にとって内的な条件までは反映されていない。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、実際の印刷時における定着部の状態を定着部材の昇温速度の予測に反映させてその予測の正確性を向上させることにより、不完全な熱定着に起因する印刷品質の低下を防ぎ、かつ、定着部の昇温動作に要する消費電力を更に削減することのできる画像形成装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における画像形成装置は、給送部、作像部、定着部、測定部、および制御部を備えている。給送部は複数枚のシートを1枚ずつ給送する。作像部は、給送部によって給送される各シートの上にトナー像を画像データに基づいて形成する。定着部は、作像部から通紙される各シートに接触して加熱する定着部材を含み、作像部によって各シートの上に形成されたトナー像を定着部材で熱定着させる。測定部は定着部材の温度を測定する。制御部は、定着部に対しては昇温動作の開始と停止とを指示し、作像部に対しては画像データを提供する。
制御部は、降温速度算定部、昇温速度予測部、および指示部を有する。降温速度算定部は、定着部の昇温動作が停止したことによって定着部材の温度が降下している期間中、測定部による測定値から定着部材の降温速度を算定する。昇温速度予測部は、降温速度算定部によって算定された降温速度から、定着部に昇温動作を再開させた場合における定着部材の昇温速度を予測する。指示部は、昇温速度予測部によって予測された昇温速度を利用して、「定着部がトナー像を熱定着させる時点には定着部材の温度が、その時点で維持されるべき目標値まで到達している」という条件の下で、定着部に昇温動作を再開させるべき時刻または定着部材の温度を決定し、決定された時刻に、または決定された温度まで測定部による測定値が降下したときに、定着部に対して昇温動作の再開を指示する。
降温速度算定部は、算定された降温速度を利用して降温曲線を推定し、指示部が、昇温速度予測部によって予測された昇温速度を利用して昇温曲線を推定する。「降温曲線」は、定着部の昇温動作が停止したことによって定着部材の温度が降下している期間でのその温度の経時的変化を表す。「昇温曲線」は、次の関係を表す曲線である。「定着部がトナー像を熱定着させる時点には定着部材の温度が、その時点で維持されるべき目標値まで到達している」という条件が満たされるときに、定着部による昇温動作の再開時刻とその時刻における定着部材の温度との間に成立する関係。降温曲線と昇温曲線とは、直線で近似されたものを含む。これらの曲線が推定される場合、指示部は降温曲線と昇温曲線との交点の座標を利用して、定着部に昇温動作を再開させるべき時刻または定着部材の温度を決定する。
定着部の昇温動作が停止している期間中、1枚のシートが定着部に通紙され、かつ、定着部がその1枚のシートに対する定着処理を終える時刻よりも前の第1時刻において定着部の温度が、その定着処理の際に維持されるべき第1温度まで降下することを降温曲線が示す場合、指示部は次のように動作する。(1)第1時刻が、降温曲線と昇温曲線との交点の座標の示す第2時刻よりも前であれば、または、第1温度が、降温曲線と昇温曲線との交点の座標の示す第2温度よりも高ければ、指示部は第1時刻において定着部に対して温調動作の開始を指示する。(2)第1時刻が第2時刻以後であれば、または、第1温度が第2温度以下であれば、指示部は第2時刻において定着部に対して昇温動作の再開を指示する。
指示部は、「定着部の昇温動作が停止したままである」という仮定の下で、定着部がトナー像を熱定着させる時点での定着部材の温度を降温曲線から予測してもよい。予測された温度が、定着部がトナー像を熱定着させる時点で定着部材の温度が維持されるべき目標値を下回れば、指示部は、定着部に昇温動作を再開させるべき時刻または定着部材の温度を決定してもよい。
制御部は画像解析部を更に有してもよい。画像解析部は、画像データを解析してトナー量情報を作成する。「トナー量情報」は、作像部が画像データに基づいてトナー像を形成するのに必要なトナーの量、をシートごとに示す。この場合、指示部はトナー量情報に基づいて、定着部がトナー像を熱定着させる時点で定着部材の温度が維持されるべき目標値を、カラーのトナー像が形成されるシート、モノクロイメージのトナー像が形成されるシート、モノクロ2値のトナー像が形成されるシートの順に高く、または、トナー像の形成に必要なトナー量が多いシートほど高く決定する。
指示部はトナー量情報に基づいて、複数枚のシートの中から、トナー像の形成に必要なトナー量が閾値以上であるシートから、閾値未満であるシートへと移行する境目を検出してもよい。この場合、指示部は、その境目の直前に位置するシートに対して定着部が定着処理を終えた時点において、定着部に対して昇温動作の停止を指示する。その他に、複数枚のシートの中で連続する2枚のシートのうち、最初のシートについて決定された目標値よりも、次のシートについて決定された目標値が許容差以上低い場合、定着部が最初のシートに対して定着処理を終えた時点において、指示部は定着部に対して昇温動作の停止を指示してもよい。指示部はまた、複数枚のシートのうち、トナー量情報にトナー量が規定されてていないという理由で目標値をまだ決定していないシートについては、トナー量情報が更新されるまで、目標値を定着部材の温度の許容上限値に決定してもよい。
この画像形成装置は、定着部の内部または周囲の温度を測定する環境温度測定部、を更に備えていてもよい。この場合、昇温速度予測部は定着部の昇温速度の予測に、環境温度測定部による測定値を更に利用する。昇温速度予測部はまた、定着部の昇温速度の予測に、定着部に通紙されるシートの属性を利用してもよい。シートの「属性」とは、シートの材質、サイズ、厚み、秤量等、定着部材との接触時にその定着部材から奪う熱量に影響を与えるシートの性質をいう。
定着部は加圧部と検出部とを更に有してもよい。加圧部は、通紙されるシートを加圧して定着部材へ押し当てる。検出部は加圧部の温度を検出する。この場合、昇温速度予測部は定着部の昇温速度の予測に、検出部による検出値を更に利用する。
この画像形成装置は、昇温動作に必要な電力を定着部へ供給する電源部、を更に備えていてもよい。この場合、指示部は、定着部に対して昇温動作の停止を指示する際、電源部に定着部への電力供給を遮断させる。
定着部材は、定着部内を移動するシートに接触する第1位置と、接触しない第2位置との間で変位可能であってもよい。この場合、定着部は、定着処理の不要な動作モードにおいて、または定着処理の不要なシートを通紙する間に、指示部から昇温動作の停止を指示された場合、定着部材を第2位置へ移動させる。
本発明による画像形成装置のうち、上記のものは、定着部の昇温動作が停止したことによって定着部材の温度が降下ている期間中、測定部によって測定された定着部材の実際の温度から定着部材の降温速度を算定し、算定された降温速度から、定着部に昇温動作を再開させた場合における定着部材の昇温速度を予測する。降温速度の算定値には、定着部材の実際の温度変化を通して、実際の印刷時における定着部の状態が反映されている。したがって、降温速度の算定値が昇温速度の予測に利用されることにより、その予測の正確性が向上する。こうして、この画像形成装置は、不完全な熱定着に起因する印刷品質の低下を防ぎ、かつ、定着部の昇温動作に要する消費電力を削減することができる。
本発明の実施形態による画像形成装置の構造を示す模式的な正面図である。 図1に示されている画像形成装置の制御系統の構成を示すブロック図である。 図1に示されている定着部材の温度の経時的変化の一例を示すグラフである。 (a)は、昇温速度の基準値をシートの種類と環境温度との値の組み合わせ別に規定するテーブルの一例であり、(b)は、降温速度の算定値と昇温速度の予測値との間の関係を模式的に示すグラフである。 図3に示されている経時的変化を実現させる定着部材の温度制御のフローチャートである。 図5に示されているステップS501、すなわち定着部材の温度制御の目標値をシートごとに決定する処理のフローチャートである。 図5に示されているステップS506、すなわち定着部に昇温動作を再開させるか否かを判断する処理のフローチャートである。 図7に示されているステップS701、すなわち実質的な白紙と見なされたシートの次のシートが定着部に通紙され始める時刻における定着部材の温度を予測する処理のフローチャートである。 図1に示されている定着部材の温度の経時的変化の別例を示すグラフである。 図9に示されている経時的変化を実現させる定着部材の温度制御において、図5に示されているステップS506、すなわち定着部に昇温動作を再開させるか否かを判断する処理のフローチャートの前半部分である。 図10に示されているフローチャートの前半部分に続く後半部分である。 図1に示されている定着部材の温度の経時的変化の更に別の例を示すグラフである。 図11に示されている経時的変化を実現させる定着部材の温度制御において、図5に示されているステップS506、すなわち定着部に昇温動作を再開させるか否かを判断する処理のフローチャートの主部である。 図13に示されているフローチャートの主部を補う部分である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の構造の概略]
図1は、本発明の実施形態による画像形成装置の構造を示す模式的な正面図である。図1にはこの画像形成装置100の内部の要素が、あたかも筐体の前面を透かして見えているように描かれている。
図1を参照するに、画像形成装置100はたとえばカラーレーザープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、操作部40、制御部50、および電源部60を備えている。給送部10は複数枚のシートSHTを1枚ずつ作像部20へ給送する。作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の4色のトナー像を画像データに基づいて形成する。定着部30はそのトナー像を定着部材で熱定着させる。操作部40は押しボタンまたはタッチパネルを含み、ユーザーによるそれらの操作を通して印刷の指示を受け付けて、その指示に関する情報を制御部50へ伝える。操作部40はまた外部インタフェースを通してネットワークへ接続され、その上の他の電子機器から印刷の要求と印刷対象の画像データとを受信して制御部50へ渡す。制御部50は、1枚の基板の上に実装された電子回路であり、操作部40からの情報に基づいて画像形成装置100内の他の要素に対して、稼動モード、待機モード、スリープモード等の動作モードを指示し、その動作モードに応じた処理を各要素に実行させる。制御部50は特に、定着部30に対しては昇温動作と温調動作との開始と停止とを指示し、作像部20に対しては画像データを提供する。電源部60は、商用交流電源等、外部から供給される電力を利用して画像形成装置100内の各要素に適切な値の電圧/電流を供給する。電源部60は特に制御部50の指示に従って、定着部30に対して昇温動作と温調動作とに必要な電力を供給する。
[給送部]
図1を参照するに、給送部10は、収容トレイ11、繰り出しローラー12、搬送ローラー13、およびタイミングローラー14を備えている。収容トレイ11は画像形成装置100の下部に内蔵され、複数枚のシートSHTを収容可能である。シートSHTの材質はたとえば紙である。繰り出しローラー12はそれらのシートSHTのうち、最も上に位置するシートSH1を搬送ローラー13へ向けて繰り出す。そのシートSH1は更に、その搬送ローラー13によってタイミングローラー14へ搬送される。タイミングローラー14はその搬送の開始時点では一般に停止しており、制御部50からの駆動信号に応じて回転を開始する。それにより、搬送ローラー13から送られたシートSH2は、その駆動信号が示すタイミングで、タイミングローラー14から作像部20へ送り出される。
[作像部]
図1を参照するに、作像部20は、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21K、4本の1次転写ローラー22Y、22M、22C、22K、中間転写ベルト23、および2次転写ローラー24を備えている。作像ユニット21Y、…、21Kは水平方向に沿って所定の間隔で配置されている。1次転写ローラー22Y、…、22Kはそれぞれ、作像ユニット21Y、…、21Kの1つと垂直方向で対向するように配置されている。中間転写ベルト23は2本のローラー23L、23Rに掛け渡されて、それらの回転と共に回転する。中間転写ベルト23のうち、水平方向に張られている部分は作像ユニット21Y、…、21Kと1次転写ローラー22Y、…、22Kとの間を通る。中間転写ベルト23が回転すると、その表面の各部が1次転写ローラー22Y、…、22Kに順番に接触する。2次転写ローラー24は、中間転写ベルト23が掛け渡された2本のローラーの一方23Rと平行に設置され、そのローラ23Rとの間に中間転写ベルト23を挟んでいる。中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との接触部、すなわちニップに、タイミングローラー14から送り出されたシートSH2が通紙される。
4つの作像ユニット21Y、…、21Kはいずれも同様な構成であり、それぞれが、感光体ドラム25、帯電器26、露光部27、現像器28、クリーナー29、およびイレーサーランプ(図1には示されていない。)を備えている。感光体ドラム25の外周は帯電器26等によって囲まれている。帯電器26は、感光体ドラム25の外周面のうち、対向した部分に均一に帯電させる。露光部27は発光素子とレンズとを含む。発光素子はたとえばレーザダイオードである。露光部27はそれらを利用して感光体ドラム25の外周面上の帯電部分を露光する。そのとき、光が実際に当たった領域が除電される。その領域の形状は、制御部50からの駆動信号に従って決定される。こうして、その領域が静電潜像として外周面上に残る。現像器28はその静電潜像の上に、その作像ユニット21Y、…、21Kに割り当てられた色のトナーを乗せて現像する。クリーナー29は感光体ドラム25の外周面のうち、中間転写ベルト23に接触した直後の部分から、残存するトナーを除去する。イレーサーランプは感光体ドラム25の外周面のうち、対向した部分に一様に光を照射して除電する。
1次転写ローラー22Y、…、22Kには1次転写電圧が印加されているので、中間転写ベルト23を間に挟んで互いに対向する1次転写ローラー22Y、…、22Kと感光体ドラム25との間には電界が生じる。この電界が、感光体ドラム25から中間転写ベルト23の表面へトナー像を転写する。4つの作像ユニット21Y、…、21Kは中間転写ベルト23の回転に合わせて、それぞれの作像動作のタイミングをずらす。その結果、それらの作像ユニット21Y、…、21Kの感光体ドラム25から、それぞれに割り当てられた色のトナー像が順番に、中間転写ベルト23の表面上の同じ位置へ多重転写されて重なり合う。こうして、カラートナー像が中間転写ベルト23の表面上に形成される。
2次転写ローラー24には2次転写電圧が印加されているので、中間転写ベルト23との間に電界が生じる。シートSH2が中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との間のニップに通紙される際、この電界が、中間転写ベルト23からそのシートSH2の表面へカラートナー像を転写する。その後、2次転写ローラー24はそのシートSH2を定着部30へ送り出す。
[定着部]
定着部30は、定着ローラー31、加圧ローラー32、温度センサー34、および環境温度測定部(図1には示されていない。)を含む。定着ローラー31と加圧ローラー32とは互いに平行に配置されて接触している。それらの間の接触部、すなわち定着ニップには、作像部20から送り出されたシートSH2が通紙される。温度センサー34は定着ローラー31の軸方向の中央部の近傍に設置され、環境温度測定部は定着部30の内部または近傍に設置されている。
定着ローラー31は、定着部材として利用される回転体であり、回転しながらその側面で、定着ニップに通紙されるシートSH2の表面に接触する。定着ローラー31はヒーターとしてハロゲンランプを内蔵しており、そこから側面へ放出された熱を、その側面に接触しているシートSH2の部分へ伝える。一方、加圧ローラー32はそのシートSH2の部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。そのシートSH2のうち、作像部20によってトナー像が形成された部分が定着ニップに通紙されると、定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、そのトナー像がシートSH2の表面上に定着する。
温度センサー34はサーモパイルを含み、それを用いて定着ローラー31の表面温度(以下、「定着ローラー31の温度」と略す。)を測定する。環境温度測定部はサーミスタを含み、それを用いて定着部30の内部または周囲の温度を測定する。それらの温度の測定値は制御部50へ通知され、ハロゲンランプの発熱量の制御に利用される。定着部30はこの制御に従って昇温動作または温調動作を行う。
シートSH2は、定着部30で定着処理を受けた後、ガイド板35によって定着部30の上部から排出口36へ向けて案内される。排出口36の手前には一対の排出ローラー37が設置されており、それらがシートSH3を外部の排紙トレイ38へ排出する。
[制御部]
図2は、画像形成装置100の制御系統の構成を示すブロック図である。図2を参照するに、この系統では画像形成装置100内の機能部10、20、…、80がバス90を通して互いに通信可能に接続されている。制御部50はこの系統の主要部であり、CPU51、RAM52、およびROM53を含む。
CPU51はファームウェアに従って他の機能部を制御する。CPU51は特に、定着部30内の温度センサー34と環境温度測定部70とから温度の測定値を受信して定着ローラー31の温度制御に利用する。CPU51は、定着部30に昇温動作または温調動作を開始させる場合には電源部60にヒーター31Aへの電力供給を開始させ、昇温動作または温調動作を停止させる場合にはその電力供給を遮断させる。
RAM52はCPU51に、ファームウェアを実行する際の作業領域を提供する。RAM52は特に、操作部40が印刷の要求を受け付ける度に、外部インタフェース80を通して印刷対象の画像データIMGとページ記述言語(PDL)とを受信して格納する。PDLは、要求された印刷の内容、特に画像データIMGの表す画像を印刷する際の体裁を規定する。外部インタフェース(I/F)80は、ユーザーまたは外部のネットワーク(LAN)からデータを受け付けるための機能部であり、スキャナー81、メモリーI/F82、およびLANI/F83を含む。スキャナー81は、画像形成装置100に搭載された光学機器を利用して原稿の表面に光を照射し、その反射光の強度分布から、文字、図柄、または写真を読み取って画像データに変換する。メモリーI/F82はUSB等の外部バスを通して、画像形成装置100に外付けされた半導体メモリー装置またはハードディスクドライブ(HDD)等から画像データを取り込む。LANI/F83は外部のLANに有線または無線で接続され、そのLAN上のPC等から画像データを受信する。
ROM53は、書き込み不可の半導体メモリー装置と、EEPROM等の書き換え可能な半導体メモリー装置とを含む。前者はファームウェアを格納し、後者はCPU51に環境変数等の保存領域を提供する。ROM53は特に、定着ローラー31の昇温速度と降温速度との各基準値をテーブルに整理して保存している。
[制御部による定着ローラーの温度制御]
−温度制御に利用される機能部−
図2を更に参照するに、制御部50は、降温速度算定部511、昇温速度予測部512、指示部513、および画像解析部514を含む。これらの機能部511−514は、CPU51が定着ローラー31の温度制御用のファームウェアを実行することにより、実現される。
降温速度算定部511は、定着部30の昇温動作と温調動作(以下、「昇温動作等」と略す。)がいずれも停止したことによって定着ローラー31の温度が降下している間、温度センサー34から定着ローラー31の温度の測定値を繰り返し受信して、それらの測定値から定着ローラー31の降温速度を算定する。降温速度算定部511は更に、算定された降温速度を利用して、昇温動作等の停止期間における定着ローラー31の温度の経時的変化、すなわち降温曲線を推定する。
昇温速度予測部512は、降温速度算定部511によって算定された降温速度から、定着部30に昇温動作を再開させた場合における定着ローラー31の昇温速度を予測する。昇温速度予測部512は特に、算定された降温速度が小さいほど、昇温速度を大きく予測する。具体的には、昇温速度予測部512はROM53から降温速度と昇温速度との各基準値を読み出し、降温速度算定部511によって算定された降温速度からその基準値を引いた値を求め、「この値に、昇温速度の実際の値とその基準値との間の差が比例する」という前提の下で昇温速度の予測値を決定する。このときの比例定数はたとえば“−1”に設定される。昇温速度を予測する処理の詳細については更に後述する。
指示部513は定着部30に対して昇温動作等の開始と停止とを指示する。具体的には、指示部513はまず、定着処理中に行われる定着ローラー31の温度制御の目標値をシートごとに決定する。指示部513は次に、それらの目標値に基づいて、定着部30に昇温動作等を開始させるべき時刻、または停止させるべき時刻を決定する。指示部は更に、決定された時刻が到来する度に電源部60に対して指示を送り、定着部30内のヒーター31Aへの電力供給を開始させ、または遮断させる。
定着処理中に行われる定着ローラー31の温度制御の目標値は、その定着処理が対象とするシート上に形成されたトナー像を熱定着させるのには十分な定着ローラー31の温度であり、主に、そのトナー像を構成するトナーの量に依存する。指示部513はそれらの目標値を、各シートの上でのトナー像の形成に必要なトナー量に基づいて決定する。指示部513はまた、そのトナー量が閾値未満のシートを「実質的な白紙」と見なし、そのシートについて目標値を決定しない。
指示部513は、定着部30に昇温動作等を停止させるべき時刻を次のように決める。指示部513はまず、トナー像の形成に必要なトナー量が閾値未満であるので目標値を決定しなかったシート、すなわち「実質的な白紙」と見なしたシートを特定する。指示部513は次に、トナー像の形成に必要なトナー量が閾値以上であるシートから、実質的な白紙と見なされたシートへと移行する境目を検出する。指示部513は更に、その境目の直前に位置するシートに対する定着処理を定着部30が終えるはずの時刻を、定着部30に昇温動作等を停止させるべき時刻に決める。
定着部30の昇温動作と温調動作とがいずれも停止している期間中、指示部513は、定着部30に昇温動作を再開させるべきか否かを次のように判断する。指示部513はまず、「定着部30の昇温動作等が停止したままである」という仮定の下で、次にトナー像を熱定着させるべきシートが定着部30に通紙され始める時刻における定着ローラー31の温度を、降温速度算定部511によって推定された降温曲線から予測する。予測された温度が、次にトナー像を熱定着させるべきシートについての目標値を下回れば、指示部513は「定着部30に昇温動作を再開させるべき」と判断する。
この場合、指示部513は、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻を次のように決める。指示部513はまず、昇温速度予測部512によって予測された昇温速度を用いて定着ローラー31の昇温曲線を推定する。「昇温曲線」とは、次の関係を表す曲線をいう。「定着部30がトナー像を熱定着させる時点には定着ローラー31の温度が、その時点で維持されるべき目標値まで到達している」という条件が満たされるときに、定着部30による昇温動作の再開時刻とその時刻における定着ローラー31の温度との間に成立する関係。指示部513は次に、この昇温曲線と、降温速度算定部によって推定された降温曲線との交点を求め、その交点の座標が示す時刻を、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻として決める。
画像解析部514は、RAM52に格納された画像データIMGを解析してトナー量情報を作成する。「トナー量情報」は、作像部20が画像データIMGに基づいてトナー像を形成するのに必要なトナーの量をシートごとに示す。画像解析部514は、画像データIMGが表す画像そのもの、または画像データIMGに付属するPDLを解析して、トナー量情報の示すべきトナー量を以下の要領で決定する。
(1)画像解析部514はまず、各シートについて作成対象のトナー像の有無を調べ、トナー像が1つ以上存在する場合には、それらの総面積が下限値を超えているか否かを判定する。作成対象のトナー像が存在しない場合、または存在してもそれらのトナー像の総面積が下限値を超えていない場合、画像解析部514は、「シートが実質上、白紙のまま出力される」と見なして、そのシートに使用されるべきトナー量を「指示部513の設定する閾値未満の値」と判定する。
(2)画像解析部514は次に、トナー像の総面積が下限値を超えているシートについて、それらのトナー像がカラーであるか否かを判定する。トナー像がカラーの部分を含む場合、画像解析部514は、そのシートに使用されるべきトナー量を「カラートナー像の作成に必要な値」と判定する。
(3)画像解析部514は続いて、モノクロのトナー像しか形成されないシートについて、それらのトナー像がイメージを含むか否かを判定する。トナー像がイメージを含む場合、画像解析部514は、そのシートに使用されるべきトナー量を「モノクロイメージのトナー像の作成に必要な値」と判定する。
(4)画像解析部514は更に、モノクロの文字または図形等、イメージ以外のトナー像しか形成されないシートについて、トナー濃度が、100%と0%との他に、それらの中間に設定された部分をそれらのトナー像が含むか否かを判定する。トナー像がそのような部分を含む場合、画像解析部514は、そのシートに使用されるべきトナー量を「モノクロイメージのトナー像の作成に必要な値」と判定し、含まない場合、「モノクロ2値のトナー像の作成に必要な値」と判定する。
このようにしてシートごとに判定されたトナー量を、画像解析部514はトナー量情報に書き込んで指示部513へ渡す。指示部513はトナー量情報に基づいて、定着部30がトナー像を熱定着させる時点で定着ローラー31の温度が維持されるべき目標値をシートごとに決定する。具体的には、トナー量情報の示すトナー量が、(1)閾値未満の値であるシートについては目標値が決定されず、(2)カラートナー像の作成に必要な値であるシートについては目標値が、カラートナー像の熱定着には十分な高温、たとえば190℃に決定され、(3)モノクロイメージのトナー像の作成に必要な値であるシートについては目標値が、モノクロイメージのトナー像の熱定着には十分な温度、たとえば170℃に決定され、(4)モノクロ2値のトナー像の作成に必要な値であるシートについては目標値が、モノクロ2値のトナー像の熱定着には十分な低温、たとえば150℃に決定される。
−温度制御の詳細−
図3は、定着ローラー31の温度の経時的変化の一例を示すグラフである。図3を参照するに、3つの期間PN-1、PN、PN+1のそれぞれでは、第(N−1)シート、第Nシート、第(N+1)シートが順に定着部30へ通紙される。文字Nは2以上の整数を表す。
図3では、次の場合が想定されている。「第Nシートは、その直前、直後に位置する第(N−1)シート、第(N+1)シートとは異なり、実質上白紙のまま出力される。」この場合、画像解析部514によって作成されるトナー量情報が第Nシートについて閾値未満のトナー量を示す。したがって、指示部513は、第(N−1)シート、第(N+1)シートについては目標値TN-1、TN+1を決定する一方、第Nシートについては目標値を決定しない。
指示部513は、第Nシートについて目標値を決定しなかったことから、第(N−1)シートが定着部30へ通紙され終わる時刻、すなわち、そのシートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)において定着部30に昇温動作等を停止させる。それにより、この終了時刻tE(N−1)以降、定着ローラー31の温度が降下する。さらに、第Nシートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N)以降も定着ローラー31の温度は降下し続ける。
定着部30の昇温動作等が停止している間、降温速度算定部511は温度センサー34から定着ローラー31温度の測定値を繰り返し受信して、それらの測定値から定着ローラー31の降温速度−ΔTDを算定する(ΔTD>0)。降温速度算定部511は更に、この降温速度−ΔTDを利用して、第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)以降における定着ローラー31の降温曲線を推定する。この降温曲線は、算定された降温速度−ΔTDを傾きとし、かつ、第(N−1)シートについての目標値TN-1と時刻tE(N−1)との対を座標とする点STを通る直線TDLで近似される。
降温速度算定部511によって推定された降温曲線の直線近似TDLからは次のことが予測される。「仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、第(N+1)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+1)には定着ローラー31の温度が値TESまで降下する。」たとえば、第(N−1)シートについての目標値TN-1が170℃であり、第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)から第(N+1)シートに対する定着処理の開始時刻tS(N+1)までの時間が2秒である場合、降温速度の算定値が−8℃/秒であれば、時刻tS(N+1)における定着ローラー31の温度の予測値TESは154℃であり、−12℃/秒であれば146℃である。したがって、第(N+1)シートについての目標値TN+1が150℃である場合、降温速度の算定値が−8℃/秒であればこの目標値TN+1=150℃を予測値TES=154℃が上回り、−12℃/秒であればこの目標値TN+1=150℃を予測値TES=146℃が下回る。
予測値TESが目標値TN+1以上であれば、指示部513は定着部30に昇温動作等を停止させ続ける。一方、予測値TESが目標値TN+1を下回れば、指示部513は「定着部30に昇温動作を再開させるべき」と判断し、まず定着ローラー31の昇温曲線を予測する。この昇温曲線は、定着ローラー31の昇温速度の予測値+ΔTUを傾きとし(ΔTU>0)、かつ、第(N+1)シートについての目標値TN+1と通紙の開始時刻tS(N+1)との対を座標とする点GLを通る直線TULで近似される。
指示部513は次にこの昇温曲線TULと降温曲線TDLとの交点CRを求め、この交点CRの座標が示す時刻tCRにおいて定着部30に昇温動作を再開させる。たとえば、第(N−1)シートについての目標値TN-1が150℃であり、第(N+1)シートについての目標値TN+1が170℃であり、第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)から第(N+1)シートに対する定着処理の開始時刻tS(N+1)までの時間Δt=tS(N+1)−tE(N−1)が4秒であり、降温速度の算定値−ΔTDが−12℃/秒であり、昇温速度の予測値+ΔTUが+15℃/秒である場合、交点CRの座標が示す時刻tCRは次式で表される。tCR=tE(N−1)+(ΔTU×Δt−(TN+1−TN-1))/(ΔTD+ΔTU)=tE(N−1)+(15×4−(170−150))/(12+15)=tE(N−1)+1.5秒。すなわち、昇温動作の再開時刻tCRは、第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)から1.5秒後の時刻に設定される。昇温動作の再開以後、定着ローラー31の温度は交点CRでの値TCRから昇温曲線TULに沿って上昇し、第(N+1)シートに対する定着処理の開始時刻tS(N+1)にはそのシートについての目標値TN+1に到達する。
−昇温速度の予測の詳細−
昇温速度予測部512は昇温速度を予測するとき、まずROM53から降温速度と昇温速度との各基準値を読み出す。これらの基準値は、実際の印刷動作に先立って行われる実験または測定から、材質、サイズ、厚み、秤量等のシートの属性、画像形成装置100の動作モード、および環境温度等、両速度の依存するパラメータの様々な値に対して決定されている。ROM53に保存されたテーブルには、これらの基準値がパラメータの値の組み合わせ別に規定されている。
図4の(a)は、昇温速度の基準値ΔTU Rをシートの種類と環境温度との値の組み合わせ別に規定するテーブルの一例である。図4の(a)には示されていないが、同様なテーブルが降温速度の基準値ΔTD Rも、シートの種類と環境温度との値の組み合わせ別に規定している。
図4の(a)を参照するに、シートの種類は、その秤量が90g/m2未満である「普通紙」と、90g/m2以上である「厚紙」とに二分されている。環境温度、すなわち定着部30の内部または周囲の温度は、10℃以上である「通常」と、10℃未満である「低温」とに二分されている。この場合、シートの種類と環境温度との間には、「普通紙」と「通常」等、全部で4通りの値の組み合わせが存在する。図4の(a)にはこれらの組み合わせのそれぞれに対して昇温速度の基準値ΔTU Rが、「高速」、「中速」、「低速」の3種類のいずれかに設定されている。各種類の具体的な数値は実験によって決定され、たとえば数℃/秒〜十数℃/秒程度である。たとえば、「普通紙」と「通常」との組み合わせに対しては昇温速度の基準値ΔTU Rが最大値、「高速」に設定され、「厚紙」と「低温」との組み合わせに対しては昇温速度の基準値ΔTU Rが最小値、「低速」に設定されている。これらは、秤量の小さいシートほど熱容量が小さいので定着ローラー31から熱を奪いにくいこと、および環境温度が高いほど定着ローラー31からは熱が逃げにくいことから予想されるとおりである。
このようなテーブルの中から昇温速度予測部512は、画像形成装置100の実際の動作条件に合った降温速度の基準値と昇温速度の基準値とを検索する。具体的には、昇温速度予測部512はその検索に先立ち、テーブルの含む各パラメータについて、画像形成装置100内の要素の実際の動作条件を表す値をそれらの要素から取得する。たとえば、操作部40からは、印刷の要求が規定するシートの属性が読み出され、環境温度測定部70からは定着部30の内部または周囲の温度の測定値が受信される。実際の検索時には昇温速度予測部512は、テーブルの規定する両速度の基準値の中から、予め取得されたパラメータの値の組み合わせに対応付けられたものを読み出す。
昇温速度予測部512は次に、ROM53から読み出された両速度の基準値ΔTU R、ΔTD Rと、降温速度算定部511によって算定された降温速度ΔTDとから昇温速度の予測値ΔTUを次のように算出する。昇温速度予測部512はまず、降温速度算定部511によって算定された降温速度ΔTDから降温速度の基準値ΔTD Rを引いた差ΔTD−ΔTD Rを求める。昇温速度予測部512は次に、「その差ΔTD−ΔTD Rが昇温速度の実際の値と基準値ΔTU Rとの間の差に比例する」という前提の下で昇温速度の予測値ΔTUを決定する。具体的には、比例係数を“−1”とする次式で予測値ΔTUが算出される。ΔTU=ΔTU R−(ΔTD−ΔTD R)。これにより、降温速度の算定値ΔTDがその基準値ΔTD Rよりも小さければ、昇温速度の予測値ΔTUがその基準値ΔTU Rよりも大きく推定され、逆に、降温速度の算定値ΔTDがその基準値ΔTD Rよりも大きければ、昇温速度の予測値ΔTUがその基準値ΔTU Rよりも小さく推定される。
昇温速度予測部512によるこの演算は、定着部30の実際の動作条件と、基準値を求めた実験時のものとの間の違いを補償することを目的とする。実際、図4の(a)に示されているように、テーブルには一般に、パラメータの値の比較的広い範囲に対して1つの基準値が規定されている。しかし、パラメータの値が異なれば、テーブルの規定する同じ範囲にそれらが属していても、対応する昇温速度の厳密な値は異なる。したがって、定着部30の実際の動作条件と、基準値を求めた実験時のものとの間の違いに応じて、昇温速度の実際の値はその基準値から外れる。
昇温速度予測部512による上記の演算が前提とする両速度の基準値からずれの間の比例関係は次の推測に基づく。降温速度の算定値が、温度センサー34によって測定された定着ローラー31の実際の温度変化を反映していることに起因して、両速度の基準値からのずれの間には、以下に述べるような相関関係が成立する。
図4の(b)は、降温速度の算定値ΔTDと昇温速度の予測値ΔTUとの間の関係を模式的に示すグラフである。図4の(b)を参照するに、太い実線の傾きは降温速度の基準値−ΔTD Rと昇温速度の基準値+ΔTU Rとを表す。
降温速度の算定値と基準値との間の差ΔTD−ΔTD Rが正であれば、図4の(a)に細い実線で示されているとおり、降温曲線TDLの傾きは太い実線のものよりも急である。すなわち、定着部30の実際の状態は、降温速度の基準値を求めたときの状態よりも、定着ローラー31から熱を逃がしやすい。したがって、定着部30に昇温動作を再開させれば、定着ローラー31の実際の状態は、昇温速度の基準値を求めたときの状態よりも、温度が上がりにくいはずである。すなわち、昇温速度はその基準値よりも小さいと予測される。ΔTU<ΔTU R
逆に、降温速度の算定値と基準値との間の差ΔTD−ΔTD Rが負であれば、図4の(a)に一点鎖線で示されているとおり、降温曲線TDLの傾きは太い実線のものよりも緩やかである。すなわち、定着部30の実際の状態は、降温速度の基準値を求めたときの状態よりも、定着ローラー31から熱を逃がしにくい。したがって、定着部30に昇温動作を再開させれば、定着ローラー31の実際の状態は、昇温速度の基準値を求めたときの状態よりも、温度が上がりやすいはずである。すなわち、昇温速度はその基準値よりも大きいと予測される。ΔTU>ΔTU R
このように、降温速度の算定値とその基準値との間の差ΔTD−ΔTD Rが、定着部30の実際の状態と、その基準値を求めたときの状態との間での、定着ローラー31からの放熱率の違いを反映することに基づいて、その差の符号から昇温速度とその基準値との間の差ΔTU−ΔTU Rの符号が予測される。昇温速度予測部512による上記の演算は更に、「いずれの差も十分に小さいので、それらの差が互いに比例する」ことを前提とする。特にその比例係数が“−1”に設定されている。
昇温速度予測部512は以上のとおり、降温速度の算定値と基準値との間の差ΔTD−ΔTD Rが正であれば、その差に比例する量だけ昇温速度の予測値を基準値よりも小さく推定する。この場合、図4の(b)に細い実線で示されているとおり、降温曲線と昇温曲線との交点CREは、それらの曲線の傾きが基準値に等しい場合の交点CRSよりも時間的に前方へ変位する。逆に、降温速度の算定値と基準値との間の差ΔTD−ΔTD Rが負であれば、その差に比例する量だけ昇温速度の予測値を基準値よりも大きく推定する。この場合、図4の(b)に一点鎖線で示されているとおり、降温曲線と昇温曲線との交点CRLは、それらの曲線の傾きが基準値に等しい場合の交点CRSよりも時間的に後方へ変位する。こうして、定着部30の実際の状態が、降温速度と昇温速度との基準値を求めたときの状態から外れていても、予測された昇温曲線TULは点GLを確実に通る。すなわち、この昇温曲線は、「第(N+1)シートの通紙が開始される時刻には、定着ローラー31の温度がそのシートについての目標値まで到達している」ことを確実に保証する。
−温度制御のフローチャート−
図5は、制御部50による定着ローラー31の温度制御のフローチャートである。この制御は、操作部40が印刷の要求を受け付けたときに開始される。なお、以下の説明では便宜上、図3に示されているように、実質的な白紙、すなわちトナー像の形成に必要なトナー量が閾値未満のシートが、2枚以上連続して出力されることがない場合を想定する。すなわち、実質上白紙のまま出力される第Nシートの直前、直後に位置する第(N−1)シート、第(N+1)シートのいずれにも、下限値以上の面積のトナー像が形成される。
ステップS501では、制御部50は、印刷を実行する際に定着ローラー31の温度が維持されるべき目標値を印刷対象のシートごとに決定する。具体的には、まず、画像解析部514が、操作部40によって新たに受け付けられた印刷の要求の示す画像データIMGまたはPDLを解析してトナー量情報を作成し、または更新する。次に、指示部513がそのトナー量情報に基づいて定着ローラー31の温度制御の目標値をシートごとに決定する。指示部513はさらに、第Nシート等、トナー像の形成に必要なトナー量が閾値未満であるので目標値を決定しなかったシートを特定し、第(N−1)シートに対する定着処理の終了予定時刻tE(N−1)等、特定された各シートの直前のシートに対する定着処理の終了予定時刻を昇温動作等の停止時刻に決める。その後、処理はステップS502へ進む。なお、このステップの詳細については後述する。
ステップS502では、指示部513は、現時点での定着ローラー31の温度を温度センサー34から取得して、次に処理されるべきシートについて決定された目標値と比較する。現時点での温度がその目標値よりも明らかに低い場合、またはその温度とその目標値との間の差が許容範囲内に収まる場合、指示部513は、電源部60に対しては定着部30内のヒーター31Aへ電力を供給するように指示し、定着部30に対しては昇温動作または温調動作の実行を指示する。その後、処理はステップS503へ進む。
ステップS503では、ステップS501で決められた昇温動作等の停止時刻が実際に到来したか否かを、指示部513が監視する。その停止時刻が既に到来していれば、処理がステップS504へ進み、まだであれば、処理がステップS502から繰り返される。
ステップS504では、昇温動作等の停止時刻が到来しているので、指示部513は電源部60に対して、定着部30内のヒーター31Aへの電力供給を遮断するように指示する。それにより、定着部30の昇温動作等が停止する。その後、処理はステップS505へ進む。
ステップS505では、制御部50は、昇温動作等の停止期間における実質的な白紙の出力によって、操作部40の受け付けたすべての印刷を終えたか否かを判断する。すべての印刷を終えた場合、処理は終了し、まだである場合、処理はステップS506へ進む。
ステップS506では、定着部30の昇温動作等が停止している間、降温速度算定部511が温度センサー34の測定値から定着ローラー31の降温曲線を推定し、指示部513がこの降温曲線に基づいて、定着部30に昇温動作を再開させるべきか否かを判断する。昇温動作を再開させるべき場合、昇温速度予測部512が、降温速度算定部511によって算定された降温速度から定着ローラー31の昇温速度を予測し、指示部513がこの昇温速度から定着ローラー31の昇温曲線を推定して、この昇温曲線と降温曲線との交点が示す時刻を昇温動作の再開時刻として決める。その後、処理がステップS501から繰り返される。なお、このステップの詳細については後述する。
図6は、図5に示されているステップS501、すなわち定着ローラー31の温度制御の目標値をシートごとに決定する処理のフローチャートである。
ステップS601では、処理対象のシートの中に、目標値がまだ決定されていないものがあるか否かを指示部513が確認する。目標値が未決定のシートが存在する場合、処理はステップS602へ進み、存在しない場合、処理は図5のフローチャートへ戻り、次のステップS502へ進む。
ステップS602では、画像解析部514がまず、目標値がまだ決定されていないシートの中から1枚を抽出して、そのシートについて作成対象のトナー像の有無を調べる。トナー像が1つ以上存在する場合、画像解析部514は更に、それらのトナー像の総面積が下限値を超えているか否かを判定する。作成対象のトナー像が存在し、かつ、それらの総面積が下限値を超えている場合、処理はステップS603へ進む。作成対象のトナー像が存在しない場合、または存在してもそれらのトナー像の総面積が下限値を超えていない場合、処理はステップS621へ進む。
ステップS621では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像が存在せず、または存在してもそれらのトナー像の総面積が下限値を超えていない。この場合、画像解析部514は「このシートが実質上白紙のまま出力される」と見なして「このシートに使用されるべきトナー量が閾値未満である」とトナー量情報に書き込む。トナー量情報の示すこのトナー量に基づいて、指示部513はこのシートについて目標値を決定しない。その後、処理はステップS622へ進む。
ステップS622では、ステップS621において目標値が決定されなかったシートの直前のシートに対して定着部30が定着処理を終了する予定の時刻を、指示部513が昇温動作の停止時刻に決める。その後、処理はステップS601から繰り返される。
ステップS603では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像が存在し、かつ、それらの総面積が下限値を超えている。この場合、画像解析部514は、それらのトナー像がカラーであるか否かを判定する。トナー像がカラーの部分を含む場合、処理はステップS631へ進み、含まない場合、ステップS604へ進む。
ステップS631では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像がカラーの部分を含む。この場合、画像解析部514は「このシートに使用されるべきトナー量がカラートナー像の作成に必要な値である」とトナー量情報に書き込む。指示部513は、トナー量情報の示すこのトナー量に基づいてそのシートについて目標値を、カラートナー像の熱定着には十分な高温、たとえば190℃に決定する。その後、処理はステップS601から繰り返される。
ステップS604では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像がすべてモノクロである。この場合、画像解析部514は、それらのトナー像がイメージを含むか否かを判定する。トナー像がイメージを含む場合、処理はステップS641へ進み、含まない場合、ステップS605へ進む。
ステップS605では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像がすべて、モノクロの文字または図形等、イメージ以外である。この場合、画像解析部514は、トナー濃度が100%と0%との他に、それらの中間に設定された部分をそれらのトナー像が含むか否かを判定する。トナー像がそのような部分を含む場合、処理はステップS641へ進み、含まない場合、ステップS651へ進む。
ステップS641では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像がすべてモノクロであり、かつ、イメージ、または100%、0%、それらの中間値の少なくとも3種類のトナー濃度の部分を含む。この場合、画像解析部514は「このシートに使用されるべきトナー量がモノクロイメージのトナー像の作成に必要な値である」とトナー量情報に書き込む。指示部513は、トナー量情報の示すこのトナー量に基づいてそのシートについて目標値を、モノクロイメージのトナー像の熱定着には十分な温度、たとえば170℃に決定する。その後、処理はステップS601から繰り返される。
ステップS651では、ステップS602で抽出されたシートについて作成対象のトナー像がすべてモノクロ2値で表される。この場合、画像解析部514は「このシートに使用されるべきトナー量がモノクロ2値のトナー像の作成に必要な値である」とトナー量情報に書き込む。指示部513は、トナー量情報の示すこのトナー量に基づいてそのシートについて目標値を、モノクロ2値のトナー像の熱定着には十分な低温、たとえば150℃に決定する。その後、処理はステップS601から繰り返される。
図7は、図5に示されているステップS506、すなわち定着部30に昇温動作を再開させるか否かを判断する処理のフローチャートである。
ステップS701では、降温速度算定部511は温度センサー34の測定値から、定着部30の昇温動作等が停止している期間における定着ローラー31の降温曲線を推定する。降温速度算定部511は更に、「定着部30の昇温動作等が停止したままである」という仮定の下で、実質的な白紙と見なされたシートの次のシート、たとえば第(N+1)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+1)における定着ローラー31の温度TESを降温曲線から予測する。その後、処理はステップS702へ進む。なお、このステップの詳細については後述する。
ステップS702では、指示部513が、実質的な白紙と見なされたシートの次のシート、たとえば第(N+1)シートについての目標値TN+1を取得する。その後、処理はステップS703へ進む。
ステップS703では、指示部513は、ステップS701で求められた予測値TESを、ステップS702で取得された目標値TN+1と比較する。その予測値TESがその目標値TN+1を下回る場合、処理はステップS704へ進み、下回らない場合、処理は図5のフローチャートへ戻り、ステップS501から繰り返される。
ステップS704では、次のことが推測される。「仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、実質的な白紙と見なされたシートの次のシートが定着部30に通紙され始める時刻には、定着ローラー31の温度TESがそのシートについての目標値TN+1を下回る。」指示部513はこの推測に基づいて「定着部30に昇温動作を再開させるべき」と判断し、昇温速度予測部512に定着ローラー31の昇温速度を予測させる。具体的には、昇温速度予測部512はまず、画像形成装置100内の各要素から、実際の動作条件を表すパラメータの値、たとえばシートの属性と定着部30の内部または周囲の温度の測定値とを取得する。昇温速度予測部512は次に、ROM53に保存されたテーブルの規定する昇温速度と降温速度との各基準値の中から、取得されたパラメータの値の組み合わせに対応付けられたものΔTU R、ΔTD Rを読み出す。昇温速度予測部512は続いて、それらの基準値ΔTU R、ΔTD Rと、降温速度算定部511によって算定された降温速度ΔTDとを次式に代入して昇温速度の予測値ΔTUを算出する。ΔTU=ΔTU R−(ΔTD−ΔTD R)。その後、処理はステップS705へ進む。
ステップS705では、指示部513が定着ローラー31の昇温曲線を、図3に示されている直線TULのように、昇温速度予測部512による昇温速度の予測値+ΔTUを傾きとする直線で近似する。指示部513は更に、この昇温曲線と降温曲線との交点の座標(tCR、TCR)を求め、それの示す時刻tCRを、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻に決定する。その後、処理はステップS706へ進む。
ステップS706では、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻tCRが到来したか否かを指示部513が監視し、その時刻tCRが到来するまで処理を停止させる。その時刻tCRが到来していれば、処理がステップS707へ進む。
ステップS707では、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻tCRが到来しているので、指示部513が電源部60に対して指示を送り、定着部30内のヒーター31Aへの電力供給を再開させる。それにより、定着部30が昇温動作を再開する。その後、処理は図5のフローチャートへ戻り、ステップS501から繰り返される。
図8は、図7に示されているステップS701、すなわち実質的な白紙と見なされたシートの次のシートが定着部30に通紙され始める時刻における定着ローラー31の温度を予測する処理のフローチャートである。
ステップS801では、定着部30の昇温動作等が停止している間、降温速度算定部511は温度センサー34から定着ローラー31の温度の測定値を、少なくとも2回繰り返し受信する。その後、処理はステップS802へ進む。
ステップS802では、降温速度算定部511は温度センサー34の測定値から定着ローラー31の降温速度を算定し、この降温速度を利用して定着ローラー31の降温曲線を推定する。この降温曲線は、図3に示されているように、算定された降温速度−ΔTDを傾きとし、かつ、実質的な白紙と見なされたシートの直前のシート、たとえば第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)と、そのシートについての目標値TN-1との対を座標とする点STを通る直線TDLで近似される。その後、処理はステップS803へ進む。
ステップS803では、降温速度算定部511は、ステップS802で推定された降温曲線の直線近似TDLを表す一次方程式に、実質的な白紙と見なされたシートの次のシート、たとえば第(N+1)シートに対する定着処理の開始時刻tS(N+1)を代入して、この時刻に対応する温度TESを算定する。仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、この時刻には定着ローラー31の温度が、算定された値TESまで降下するであろう。その後、処理は図7のフローチャートへ戻り、ステップS702へ進む。
[実施形態の利点]
本発明の実施形態による画像形成装置100は、上記のとおり、定着部30の昇温動作等が停止している期間中、まず温度センサー34によって測定された定着ローラー31の実際の温度からその降温速度を算定する。画像形成装置100は次に、「降温速度の算定値と基準値との間の差が昇温速度の実際の値と基準値との間の差に比例する」という前提の下で、定着部30に昇温動作を再開させた場合における定着ローラー31の昇温速度を予測する。昇温速度のこの予測値には降温速度の実測値が反映されているので、その正確性が高い。その結果、画像形成装置100は、定着部30に昇温動作を再開させるべき時期を定着ローラー31の実際の熱的状態に合わせて的確に決定できるので、不完全な熱定着に起因する印刷品質の低下を防ぎつつ、定着部30に昇温動作の継続時間を短縮させて、その昇温動作に要する消費電力を削減することができる。
[変形例]
(A)画像形成装置100はカラーレーザープリンターである。画像形成装置はその他に、モノクロレーザープリンター、ファクシミリ、コピー機、複合機(MFP)等、シート上のトナー像を熱定着させるもののいずれであってもよい。
(B)給送部10が扱うシートの材質は紙である。その他に、OHPフィルムのように、その材質が樹脂であってもよい。給送部10はまた、収容トレイを複数備えていてもよく、それらに、A3、A4、A5、B4等、異なるサイズのシートを収容してもよい。給送部10は更に、両面印刷のための機構を含んでいてもよい。
(C)定着部30では、定着ローラー31に内蔵されたヒーター31Aがハロゲンランプである。ヒーター31Aはその他に、誘導加熱装置であってもよい。定着部30はまた、定着ローラー31に代えて、シートに接触する定着ベルトと、それを加熱するための装置との組み合わせを備えていてもよい。
(D)制御部50は操作部40にLANI/F83を通してLAN上のPCから画像データIMGを受信させる。制御部50はその他に、画像形成装置100に搭載されたスキャナー81またはカメラを利用して原稿の画像を画像データIMGに変換してもよい。制御部50は更に、メモリーI/F82の含む、USBポート、メモリカードスロット等の映像入力端子を通して外部の電子機器から画像データIMGを取得してもよい。
(E)図4の(a)に示されたテーブルのように、昇温速度と降温速度とのいずれの基準値も、「シートの種類(秤量)」と「環境温度」との両方のパラメータの値の組み合わせ別に規定されている。その他に、少なくともいずれかの基準値が、一方のパラメータの値別にのみ規定されてもよく、いずれのパラメータの値にも依存することなく一定であってもよい。
また、基準値を規定するパラメータの種類は「シートの種類」と「環境温度」とには限られない。たとえば、定着部30が更に、加圧ローラー32の温度を検出する検出部を備えている場合、昇温速度予測部512は定着部30の昇温速度の予測に、検出部による検出値を利用してもよい。実際、定着処理中、定着ローラー31から定着ニップ内のシートを通して加圧ローラー32へ流れる熱量は加圧ローラー32の温度に依存するので、昇温速度と降温速度ともその温度に依存する。
検出部による検出値を定着ローラー31の昇温速度の予測に利用する場合、図4の(a)に示されているテーブルと同様なテーブルが昇温速度と降温速度との各基準値に対して作成されてROM53に格納される。これらのテーブルは、シートの種類と環境温度とに加えて、加圧ローラー32の温度の値の組み合わせ別に昇温速度と降温速度との各基準値を規定する。各組み合わせに割り当てられるべき具体的な数値は、実際の印刷動作に先立って行われる実験によって決定される。
(F)定着ローラー31等の定着部材が、定着部内を移動するシートに接触する第1位置と、接触しない第2位置との間で変位可能であってもよい。この場合、定着部は指示部513からの昇温動作等の停止の指示に応じて、定着部材を第1位置から第2位置へ移動させてもよい。これにより、定着部材の降温速度が低減してその保温性が向上するので、昇温動作の再開時における消費電力を削減することができる。
(G)定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻または定着ローラー31の温度の決定は、降温曲線から次のことが予測された場合に行われる。「仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、次にトナー像を熱定着させるべきシートが定着部30に通紙され始める時刻において定着ローラー31の温度がそのシートについての目標値を下回る。」この決定はその他に、降温速度の算定値から予測された昇温速度を用いて次のことが予測された場合に行われてもよい。「仮に現時点で定着部30の昇温動作が再開すれば、次にトナー像を熱定着させるべきシートが定着部30に通紙され始める時刻において定着ローラー31の温度がそのシートについての目標値まで到達する。」
(H)図4の(a)に示されたテーブルでは、シートの秤量が90g/m2未満であれば昇温速度の基準値ΔTU Rが「高速」または「中速」に設定され、90g/m2以上であれば「中速」または「低速」に設定されている。その他に、昇温速度予測部512に昇温速度の基準値ΔTU Rを、「定着部30へ通紙されるシートが定着ローラー31から奪う熱量はそのシートの秤量Wに比例する」ことを前提とする次式から算出させてもよい。ΔTU R=T0−k×W。ここで、定数T0と比例係数kとはいずれも正値であり、実験で決定される。
(I)指示部513は、昇温曲線と降温曲線との交点の座標が示す時刻tCRを、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻に決め、この時刻tCRが到来したとき、定着部30に昇温動作を再開させる。指示部513はその他に、その交点の座標が示す温度TCRを、定着部30に昇温動作を再開させるべき温度に決めてもよい。この温度TCRまで温度センサー34の測定値が降下したとき、指示部513は定着部30に昇温動作を再開させる。指示部513はまた、昇温曲線と降温曲線との交点を求めることなく、定着部30の昇温動作等が停止している期間中、温度センサー34の測定値を通して定着ローラー31の温度を監視し続けてもよい。この場合、指示部513は、現在の時刻と温度との対を座標とする点が昇温曲線の上に乗ったことを検出した時点で定着部30に昇温動作を再開させる。
(J)図3の例では、第Nシートだけがその前後の第(N−1)シート、第(N+1)シートとは異なり、実質的な白紙として出力される。その他に、実質的な白紙が2枚以上連続して出力されてもよい。この場合、指示部513はトナー量情報に基づいて、トナー像の形成に必要なトナー量が閾値以上であるシートから、閾値未満であるシートへと移行する境目を検出し、その境目の直前に位置するシートに対する定着処理が終了する時点に、定着部30に対して昇温動作等の停止を指示する。
図9は、定着ローラー31の温度の経時的変化の別例を示すグラフである。図9を参照するに、複数の期間PN-1、PN、PN+1、…、PN+Mのそれぞれでは、第(N−1)シート、第Nシート、第(N+1)シート、…、第(N+M)シートが順に定着部30へ通紙される。文字M、Nはそれぞれ、2以上の整数を表す。
図9では図3とは異なり、次の場合が想定されている。「第Nシートから第(N+M−1)シートまでのM枚のシートは、それらの直前に位置する第(N−1)シートとは異なり、実質上白紙のまま出力される。さらに、定着ローラー31の温度制御の目標値をシートごとに決定する最初の時点では、第(N+M)シート以降のシートについてトナー量情報がまだ作成されていない。」この場合、トナー量情報は第Nシート−第(N+M−1)シートについては閾値未満のトナー量を示す。したがって、指示部513は、第(N−1)シートについては目標値TN-1を決定する一方、第Nシート−第(N+M−1)シートについては目標値を決定しない。指示部513は更に、第(N+M)シート以降のシートについては必要なトナー量が不明であるので、目標値を上限値TMAXに決定する。
指示部513は、第Nシート−第(N+M−1)シートについては目標値を決定しなかったので、第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)において定着部30に昇温動作等を停止させる。それにより、この終了時刻tE(N−1)以降、定着ローラー31の温度が降下する。
定着部30の昇温動作等が停止している間、降温速度算定部511は温度センサー34の測定値から定着ローラー31の降温速度−ΔTDを算定し、この算定値−ΔTDを利用して時刻tE(N−1)以降における定着ローラー31の降温曲線の直線近似TDLを推定する。
第(N+M)シートについては目標値が上限値TMAXに設定されているので、仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、第(N+M)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+M)には定着ローラー31の温度が確実にその目標値TMAXを下回る。したがって、指示部513は「定着部30に昇温動作を再開させるべき」と判断し、昇温速度予測部512に定着ローラー31の昇温速度を予測させる。指示部513は続いて、この昇温速度の予測値から昇温曲線の直線近似TULを推定し、この昇温曲線TULと降温曲線TDLとの交点CRの座標が示す時刻tCRを求める。
この時刻tCRが実際に到来するまで、降温曲線の推定、昇温曲線の予測、および昇温曲線と降温曲線との交点の座標の算出が繰り返される。特に、この時刻tCRよりも前にトナー量情報が更新されて第(N+M)シートについてのトナー量が規定された場合、指示部513は更新後のトナー量情報に基づいて第(N+M)シートについての目標値を上限値TMAXから真の値TN+Mへ変更する。それにより、図9に一点鎖線で示されているように、昇温曲線の予測が修正される。
−温度制御のフローチャート−
制御部50による定着ローラー31の温度制御のフローチャートは、図5−8に示されているものとほぼ同様であり、定着部30に昇温動作を再開させるか否かを判断するステップS506の詳細が、図7に示されているものとは部分的に異なる。したがって、以下ではステップS506の相違点のみを説明し、その他の同様な点については図5−8の説明を援用する。
図10、11は、図5に示されているステップS506、すなわち定着部30に昇温動作を再開させるか否かを判断する処理のフローチャートである。なお、以下の説明では、図9に示されているように、実質的な白紙が第Nシート以降、M枚連続して出力される場合を想定する。
ステップS1001では、降温速度算定部511は温度センサー34の測定値から、定着部30の昇温動作等が停止している期間における定着ローラー31の降温曲線を推定する。降温速度算定部511は更に、「定着部30の昇温動作等が停止したままである」という仮定の下で、実質的な白紙と見なされたM枚のシートに続いて第(N+M)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+M)における定着ローラー31の温度TESを降温曲線から予測する。その後、処理はステップS1002へ進む。
ステップS1002では、指示部513が整数値変数iを、実質的な白紙と見なされた連続シート群の先頭に位置する第Nシートの識別番号“N”に初期化する。その後、処理はステップS1003へ進む。
ステップS1003では、指示部513が整数値変数iを“1”増やす。i=i+1。その後、処理はステップS1004へ進む。
ステップS1004では、トナー量情報が第iシートについて閾値未満のトナー量を示すか否か、すなわち第iシートが実質的な白紙のまま出力されるか否かを、指示部513が最新のトナー量情報から確認する。トナー量情報が第iシートについて、閾値未満のトナー量を示す場合には処理がステップS1003から繰り返され、有限のトナー量を示す場合には処理がステップS1005へ進み、いずれのトナー量も示していない場合には処理がステップS1008へ進む。
図9の例では、トナー量情報が第Nシートから連続するM枚のシートについて閾値未満のトナー量を示すので、ステップS1003−S1004のループがM回繰り返される。整数値変数iが整数N+Mに達した時点で、トナー量情報が第i=(N+M)シートについて、有限のトナー量を示す場合には処理がステップS1005へ進み、いずれのトナー量も示していない場合には処理がステップS1008へ進む。
ステップS1005では、トナー量情報が、第Nシートから第(i−1)=(N+M−1)シートまでについては閾値未満のトナー量を示し、第i=(N+M)シートについては有限のトナー量を示す。この場合、昇温速度予測部512がフラグ変数FLGを“0”に設定する。FLG=0。その後、処理はステップS1006へ進む。
ステップS1006では、第i=(N+M)シートについて、トナー量情報が有限のトナー量を示すので、指示部513が定着ローラー31の温度制御の目標値を、その有限のトナー量に適合する値TN+Mに決定する。その後、処理はステップS1007へ進む。
ステップS1007では、指示部513は、第(N+M)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+M)における定着ローラー31の温度の予測値TESを、そのシートについての目標値TN+Mと比較する。その予測値TESがその目標値TN+Mを下回る場合、処理はステップS1101へ進み、下回らない場合、処理は図5のフローチャートへ戻り、ステップS501から繰り返される。
ステップS1008では、トナー量情報が、第Nシートから第(i−1)=(N+M−1)シートまでについては閾値未満のトナー量を示し、第i=(N+M)シートについてはいずれのトナー量をも示さない。この場合、指示部513がフラグ変数FLGを“1”に設定する。FLG=1。その後、処理はステップS1009へ進む。
ステップS1009では、トナー量情報が第i=(N+M)シートについていずれのトナー量をも示さないので、指示部513が定着ローラー31の温度制御の目標値を上限値TMAXに決定する。その後、処理はステップS1101へ進む。
ステップS1101では、次のことが推測される。「仮に定着部30の昇温動作が停止したままであれば、第(N+M)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+M)には定着ローラー31の温度TESがそのシートについての目標値TN+M、またはTMAXを下回る。」指示部513はこの推測に基づいて昇温速度予測部512に定着ローラー31の昇温速度を予測させる。その後、処理はステップS1102へ進む。
ステップS1102では、指示部513が昇温速度の予測値を用いて昇温曲線を推定し、この昇温曲線と降温曲線との交点の座標(tCR、TCR)を求める。その後、処理はステップS1103へ進む。
ステップS1103では、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻tCRが到来したか否かを指示部513が監視し、その時刻tCRが到来するまで処理を停止させる。その時刻tCRが到来していれば、処理がステップS1104へ進む。
ステップS1104では、フラグ変数FLGが“1”であるか否かを指示部513が確認する。フラグ変数FLGが“1”である場合、処理はステップS1105へ進み、そうでない場合、処理はステップS1106へ進む。
ステップS1105では、フラグ変数FLGが“1”であるので、トナー量情報が第i=(N+M)シートについてはいずれのトナー量をも示さない状態のままである。この場合、画像解析部514は、ROM53に格納された画像データIMG等から、第i=(N+M)シートについての印刷要求の有無を確認する。その要求が有れば処理はステップS1004から繰り返され、無ければ処理は終了し、有無がまだ確認できなければ処理はステップS1106へ進む。
ステップS1106では、定着部30に昇温動作を再開させるべき時刻tCRが到来しているので、指示部513が電源部60に対して指示を送り、定着部30内のヒーター31Aへの電力供給を再開させる。それにより、定着部30が昇温動作を再開する。その後、処理は図5のフローチャートへ戻り、ステップS501から繰り返される。
(K)図3の例では、指示部513が、第Nシートについては定着ローラー31の温度制御の目標値を決定しなかったので、すなわち第Nシートを実質的な白紙と見なしたので、その直前の第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)において定着部30に対して昇温動作等の停止を指示する。指示部513は更に、連続する2枚のシートのうち、最初のシートについての目標値よりも、次のシートについての目標値が許容差以上低い場合、最初のシートに対する定着処理の終了時刻において定着部30に対して昇温動作等の停止を指示してもよい。
図12は、定着ローラー31の温度の経時的変化の更に別の例を示すグラフである。図12を参照するに、図3と同様、3つの期間PN-1、PN、PN+1のそれぞれでは、第(N−1)シート、第Nシート、第(N+1)シートが順に定着部30へ通紙される。
図12では図3とは異なり、次の場合が想定されている。「第(N−1)シート、第Nシート、第(N+1)シートのいずれの上にも、下限値以上の面積のトナー像が形成される。しかし、第Nシート上のトナー像は他のシート上のものよりも、その形成に必要なトナー量が少ない。」この場合、第Nシートについて決定される目標値TNは、第(N−1)シート、第(N+1)シートのいずれについてのものTN-1、TN+1よりも低く、いずれの差も許容差、たとえば20℃以上である。
指示部513は、第Nシートについての目標値TNがその直前、直後のいずれのシートについてのものTN-1、TN+1よりも許容差以上低いことを検知して、第(N−1)シートに対する定着処理の終了時刻tE(N−1)において定着部30に昇温動作等を停止させる。それにより、この終了時刻tE(N−1)以降、定着ローラー31の温度が降下する。
定着部30の昇温動作等が停止している間、降温速度算定部511は温度センサー34の測定値から定着ローラー31の降温速度−ΔTDを算定し、この算定値−ΔTDを利用して時刻tE(N−1)以降における定着ローラー31の降温曲線の直線近似TDLを推定する。この降温曲線TDLからは次のことが推測される。「仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、第(N+1)シートに対する定着処理の開始時刻tS(N+1)には定着ローラー31の温度が第(N+1)シートについての目標値TN+1を下回る。」指示部513はこの推測に基づいて、昇温速度予測部512に定着ローラー31の昇温速度を予測させて、この予測値を傾きとする昇温曲線の直線近似TULを推定し、この直線TULと降温曲線TDLとの交点CRの座標が示す時刻tCRまたは温度TCRを求める。
定着部30の昇温動作等が停止している期間中、第Nシートが定着部30に通紙される。図12に示されている降温曲線TDLからは次のことが推測される。「仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、定着ローラー31の温度が第Nシートについての目標値TN(以下、「第1温度」という。)まで降下する時刻t1(以下、「第1時刻」という。)は、そのシートに対する定着処理の終了時刻tE(N)よりも前である。t1<tE(N)。」
この場合、図12に示されているように、第1時刻t1が、降温曲線と昇温曲線との交点の座標の示す時刻tCR(以下、「第2時刻」という。)よりも前であれば、または第1温度TNが、その交点の座標の示す温度TCR(以下、「第2温度」という。)よりも高ければ、指示部513は第1時刻t1において定着部30に対して温調動作の開始を指示する。それにより、第1時刻t1以降、定着部30の温度が第1温度TNに維持される。指示部513は更に、昇温曲線TUL上で第1温度、すなわち第Nシートについての目標値TNと対を成す時刻t3(以下、「第3時刻」という。)において定着部30に対して昇温動作の再開を指示する。一方、第1時刻t1が第2時刻tCR以後であれば、または第1温度TNが第2温度TCR以下であれば、指示部513は第2時刻tCRにおいて定着部30に対して昇温動作の再開を指示する。
昇温動作が再開される第3時刻t3または第2時刻tCR以降、定着ローラー31の温度は昇温曲線TULに沿って上昇し、第(N+1)シートに対する定着処理の開始時刻tS(N+1)にはそのシートについての目標値TN+1に到達する。
−温度制御のフローチャート−
制御部50による定着ローラー31の温度制御のフローチャートは、図5−8に示されているものとほぼ同様であり、定着部30に昇温動作を再開させるか否かを判断するステップS506の詳細が、図7に示されているものとは部分的に異なる。したがって、以下ではステップS506の相違点のみを説明し、その他の同様な点については図5−8の説明を援用する。
図13、14は、図5に示されているステップS506、すなわち定着部30に昇温動作を再開させるか否かを判断する処理のフローチャートである。なお、以下の説明では、図12に示されているように、第Nシートについての目標値TNが、第(N−1)シート、第(N+1)シートのいずれについてのものTN-1、TN+1よりも低い場合を想定する。
ステップS1301では、降温速度算定部511は温度センサー34の測定値から、定着部30の昇温動作等が停止している期間における定着ローラー31の降温曲線を推定する。降温速度算定部511は更に、「定着部30の昇温動作等が停止したままである」という仮定の下で、第(N+1)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+1)における定着ローラー31の温度TESを降温曲線から予測する。その後、処理はステップS1302へ進む。
ステップS1302では、指示部513が、第Nシート、第(N+1)シートについての目標値TN、TN+1を取得する。その後、処理はステップS1303へ進む。
ステップS1303では、指示部513は、第(N+1)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+1)における定着ローラー31の温度の予測値TESを、そのシートについての目標値TN+1と比較する。その予測値TESがその目標値TN+1を下回る場合、処理はステップS1304へ進み、下回らない場合、処理は図5のフローチャートへ戻り、ステップS501から繰り返される。
ステップS1304では、次のことが推測される。「仮に定着部30の昇温動作等が停止したままであれば、第(N+1)シートが定着部30に通紙され始める時刻tS(N+1)には定着ローラー31の温度TESがそのシートについての目標値TN+1を下回る。」指示部513はこの推測に基づいて、昇温速度予測部512に定着ローラー31の昇温速度を予測させる。その後、処理はステップS1305へ進む。
ステップS1305では、指示部513は昇温速度予測部512による昇温速度の予測値から昇温曲線を推定し、この昇温曲線と降温曲線との交点の座標(tCR、TCR)を求める。その後、処理はステップS1306へ進む。
ステップS1306では、指示部513は降温曲線から、定着ローラー31の温度が第Nシートについての目標値TNまで降下する時刻、すなわち第1時刻t1を求め、交点の座標の示す第2時刻tCRと比較する。第1時刻t1が第2時刻tCR以後であれば、処理はステップS1307へ進み、第2時刻tCRよりも前であればステップS1401へ進む。
ステップS1307では、第1時刻t1が第2時刻tCR以後であるので、第2時刻tCRが到来したか否かを指示部513が監視する。第2時刻tCRが到来するまで処理は停止し、第2時刻tCRが到来していれば処理がステップS1308へ進む。
ステップS1308では、指示部513が電源部60に対して指示を送って、定着部30内のヒーター31Aへの電力供給を再開させる。それにより、定着部30が昇温動作を再開する。その後、処理は図5のフローチャートへ戻り、ステップS501から繰り返される。
ステップS1401では、第1時刻t1が第2時刻tCRよりも前であるので、第1時刻t1が到来したか否かを指示部513が監視する。第1時刻t1が到来するまで処理は停止し、第1時刻t1が到来していれば処理がステップS1402へ進む。
ステップS1402では、指示部513が電源部60に対して指示を送って、定着部30内のヒーター31Aへの電力供給を再開させる。それにより、定着部30が温調動作を開始して、第1時刻t1以降、定着ローラー31の温度を第1温度、すなわち第Nシートについての目標値TNに維持する。その後、処理はステップS1403へ進む。
ステップS1403では、第3時刻t3が到来したか否かを指示部513が監視する。第3時刻t3が到来するまで、処理はステップS1402による温調動作を繰り返す。第3時刻t3が到来していれば、処理がステップS1308へ進む。
本発明は、画像形成装置の定着部材に対する温度制御に関し、上記のとおり、定着部材の温度の測定値から降温速度を算定して昇温速度の予測に利用する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 画像形成装置
10 給送部
20 作像部
30 定着部
31 定着ローラー
32 加圧ローラー
34 温度センサー
50 制御部
511 降温速度算定部
512 昇温速度予測部
513 指示部
514 画像解析部
70 環境温度測定部
N-1 第(N−1)シートについて決定された定着部材の温度制御の目標値
N+1 第(N+1)シートについて決定された定着部材の温度制御の目標値
TDL 定着部の昇温動作が停止している期間における定着部材の降温曲線
TUL 定着部の昇温動作が再開された時点以降における定着部材の昇温曲線
ΔTD 定着部材の降温速度の算定値
ΔTD R 降温速度の基準値
ΔTU 定着部材の昇温速度の予測値
ΔTU R 昇温速度の基準値
CR 昇温曲線と降温曲線との交点

Claims (14)

  1. 複数枚のシートを1枚ずつ給送する給送部と、
    前記給送部によって給送される各シートの上にトナー像を、画像データに基づいて形成する作像部と、
    前記作像部から通紙される各シートに接触して加熱する定着部材を含み、前記作像部によって各シートの上に形成されたトナー像を、前記定着部材で熱定着させる定着部と、
    前記定着部材の温度を測定する測定部と、
    前記定着部に対しては昇温動作の開始と停止とを指示し、前記作像部に対しては前記画像データを提供する制御部と、
    を備えた画像形成装置であり、
    前記制御部は、
    前記定着部の昇温動作が停止したことによって前記定着部材の温度が降下している期間中、前記測定部による測定値から前記定着部材の降温速度を算定する降温速度算定部と、
    前記降温速度算定部によって算定された降温速度から、前記定着部に昇温動作を再開させた場合における前記定着部材の昇温速度を予測する昇温速度予測部と、
    前記昇温速度予測部によって予測された昇温速度を利用して、前記定着部がトナー像を熱定着させる時点には前記定着部材の温度が、当該時点で維持されるべき目標値まで到達しているという条件の下で、前記定着部に昇温動作を再開させるべき時刻または前記定着部材の温度を決定し、決定された時刻に、または、決定された温度まで前記測定部による測定値が降下したときに、前記定着部に対して昇温動作の再開を指示する指示部と、
    を有し、
    前記降温速度算定部は、算定された降温速度を利用して、前記定着部の昇温動作が停止したことによって前記定着部材の温度が降下している期間での当該温度の経時的変化、を表す降温曲線を推定し、
    前記指示部は、前記昇温速度予測部によって予測された昇温速度を利用して、前記条件が満たされたときに前記定着部の昇温動作の再開時刻と当該時刻における前記定着部材の温度との間に成立する関係、を表す昇温曲線を推定し、前記降温曲線と前記昇温曲線との交点の座標を利用して、前記定着部に昇温動作を再開させるべき時刻または前記定着部材の温度を決定し、
    前記定着部の昇温動作が停止している期間中、1枚のシートが前記定着部に通紙され、かつ、前記定着部が前記1枚のシートに対する定着処理を終える時刻よりも前の第1時刻において前記定着部材の温度が、当該定着処理の際に維持されるべき第1温度まで降下することを前記降温曲線が示す場合、
    前記第1時刻が、前記降温曲線と前記昇温曲線との交点の座標の示す第2時刻よりも前であれば、または、前記第1温度が、前記交点の座標の示す第2温度よりも高ければ、前記指示部は前記第1時刻において前記定着部に対して温調動作の開始を指示し、
    前記第1時刻が前記第2時刻以後であれば、または、前記第1温度が前記第2温度以下であれば、前記指示部は前記第2時刻において前記定着部に対して昇温動作の再開を指示する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記指示部は、前記定着部の昇温動作が停止したままであるという仮定の下で、前記定着部がトナー像を熱定着させる時点での前記定着部材の温度を前記降温曲線から予測し、予測された温度が、当該時点で維持されるべき目標値を下回れば、前記定着部に昇温動作を再開させるべき時刻または前記定着部材の温度を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記昇温速度予測部は、前記降温速度算定部によって算定された降温速度が小さいほど昇温速度を大きく予測する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記昇温速度予測部は、昇温速度の実際の値と昇温速度の基準値との間の差が、前記降温速度算定部によって算定された降温速度の値と降温速度の基準値との間の差に比例することを前提とする演算を、昇温速度の予想に利用する
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、
    前記画像データを解析して、前記作像部が前記画像データに基づいてトナー像を形成するのに必要なトナーの量、をシートごとに示すトナー量情報を作成する画像解析部、
    を更に有し、
    前記指示部は、前記トナー量情報に基づいて、前記定着部がトナー像を熱定着させる時点で前記定着部材の温度が維持されるべき目標値を、カラーのトナー像が形成されるシート、モノクロイメージのトナー像が形成されるシート、モノクロ2値のトナー像が形成されるシートの順に高く決定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、
    前記画像データを解析して、前記作像部が前記画像データに基づいてトナー像を形成するのに必要なトナーの量、をシートごとに示すトナー量情報を作成する画像解析部、
    を更に有し、
    前記指示部は、前記トナー量情報に基づいて、前記定着部がトナー像を熱定着させる時点で前記定着部材の温度が維持されるべき目標値を、トナー像の形成に必要なトナー量が多いシートほど高く決定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記指示部は、前記トナー量情報に基づいて、前記複数枚のシートの中から、トナー像の形成に必要なトナー量が閾値以上であるシートから、前記閾値未満であるシートへと移行する境目を検出し、前記境目の直前に位置するシートに対して前記定着部が定着処理を終えた時点において前記定着部に対して昇温動作の停止を指示する
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記指示部は、前記複数枚のシートの中で連続する2枚のシートのうち、最初のシートについて決定された目標値よりも、次のシートについて決定された目標値が許容差以上低い場合、前記定着部が前記最初のシートに対して定着処理を終えた時点において前記定着部に対して昇温動作の停止を指示する
    ことを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記指示部は、前記複数枚のシートのうち、前記トナー量情報にトナー量が規定されてていないという理由で目標値をまだ決定していないシートについては、前記トナー量情報が更新されるまで、目標値を前記定着部材の温度の許容上限値に決定する
    ことを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記定着部の内部または周囲の温度を測定する環境温度測定部、
    を更に備え、
    前記昇温速度予測部は昇温速度の予測に、前記環境温度測定部による測定値を更に利用する
    ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記昇温速度予測部は昇温速度の予測に、前記定着部に通紙されるシートの属性を更に利用する
    ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記定着部は、
    通紙されるシートを加圧して前記定着部材へ押し当てる加圧部と、
    前記加圧部の温度を検出する検出部と、
    を有し、
    前記昇温速度予測部は昇温速度の予測に、前記検出部による検出値を更に利用する
    ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 昇温動作に必要な電力を前記定着部へ供給する電源部、を更に備え、
    前記指示部は、前記定着部に対して昇温動作の停止を指示する際、前記電源部に前記定着部への電力供給を遮断させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  14. 前記定着部材は、前記定着部内を移動するシートに接触する第1位置と、接触しない第2位置との間で変位可能であり、
    前記定着部は、定着処理の不要な動作モードにおいて、または定着処理の不要なシートを通紙する間に、前記指示部から昇温動作の停止を指示された場合、前記定着部材を前記第2位置へ移動させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
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