JP4010269B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク受理層に写真のように周囲に余白のないインクジェット縁なし全面記録を行うインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、高速で印字騒音が少ないこと、現像や定着などの化学薬品を使用した画像形成処理が不要であること、多色インクを用いるインクジェット記録方式により形成された画像は、製版方式による多色印刷や銀塩写真と比較して、ランニングコストが安く、遜色のない記録画像を獲得できることなどから、種々の用途において近年急速に普及してきた。なかでも安価な家庭用インクジェットプリンターの普及はめざましく、デジタルカメラの発達と相まって、誰でも簡単に高精細なインクジェット記録画像を手にすることが可能となった。例えば、特開2001−287442号公報には写真並の画像品質を有するインクジェット記録媒体が開示されている。この結果、葉書やカードなどに写真画像やイラストなどをインクジェットプリンターで記録し、プロの作品に匹敵するような作品を作製できるようになった。
【0003】
さらに、記録画像の周囲に余白(縁)を持たないインクジェット記録画像が望まれるようになり、特開平10−315444号公報には記録画像の全周に余白を発生させない記録方法が開示されている。
【特許文献1】
特開2001−287442号公報
【特許文献2】
特開平10−315444号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが葉書やカードのような、坪量が140g/m2〜280g/m2の範囲に含まれる厚手のインクジェット記録用紙に、写真のように用紙の周囲に余白を持たない用紙全面のインクジェット記録(以下縁なし全面記録という)を行い、その反対面に宛名など個別情報をインクジェット記録すると、縁なし全面記録を行った面側の用紙上端部が白く欠けるメクレと呼ばれる現象(以下メクレという)が生じることがわかった。(なお、上端部とは個別情報記録時に最初にプリンター給紙部に接する端部をいう。)
従って本発明では、インクジェット記録用紙において、インク受理層にインクジェット縁なし全面記録とその反対面にインクジェット記録を行った際に、縁なし記録の上端部が白く欠けてしまうメクレを改善したインクジェット記録方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らがメクレを解消すべく種々検討を行った結果、基紙上の片面又は両面に顔料及び親水性接着剤を含有するインク受理層を有するインクジェット記録用紙において、インク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行った際と、インクジェット記録を行わなかったインクジェット記録用紙と比べてZ軸方向の強度の比が次式、1.00≧Sa/Sp≧0.95の範囲である場合、メクレを解消できることがわかり、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、インクジェット記録用紙に縁なし全面インクジェット記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクジェット記録用紙は少なくとも、片面あたり固形分で1.0〜5.0g/m 2 のポリアクリルアミドを含浸または塗布した基紙と、前記基紙の片面又は両面に設けられた、顔料及び親水性接着剤を主成分とするインク受理層とからなり、かつ前記インクジェット記録用紙の坪量は140g/m2〜280g/m2であり、かつ前記インクジェット記録用紙はインク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行った際のインクジェット記録用紙のZ軸強度をSa、インクジェット記録を行わなかった際のインクジェット記録用紙のZ軸強度をSpとしたとき、1.00≧Sa/Sp≧0.95を満たし、かつ、前記インク受理層面に縁なし全面インクジェット記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0009】
第2の発明は前記インクジェット記録用紙をさらに小判に断裁してなるインクジェット記録用葉書のインク受理層面に縁なし全面インクジェット記録を行うことを特徴とする第1の発明のインクジェット記録方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、インク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行った際のZ軸強度をSa、インクジェット記録を行わなかった際のインクジェット記録用紙のZ軸強度をSpとすると、次式:1.00≧Sa/Sp≧0.95を満たすために下記1)〜5)の方法を組み合わせて用いることができる。
1)基紙の濾水度を下げる2)針葉樹パルプの配合3)紙中填料の配合を下げる4)基紙に内添する紙力増強剤の量を増す5)サイズプレス液中の紙力増強剤を添加し、基紙表面に含浸又は塗工する。
【0011】
このうち、1)では、基紙のパルプを叩解し、濾水度を下げることでパルプの微細な繊維がからみ、強度を増すことができるが、下げすぎると基紙の寸法安定性が悪化し、インクジェット記録用紙にカールが生じやすい。2)では、一般的な広葉樹と比較してパルプ自身の強度の強い針葉樹パルプを配合することで基紙の強度を増すことができるが、紙の剛度が上昇し、プリンターの搬送性の問題を生じやすい。3)では基紙の填料の量を下げると、パルプ間の接触が増え強度が増すが、基紙のインク吸収性が不足したり、不透明度や表面平滑性などの問題が生じやすい。4)では基紙に内添する紙力増強剤としては、カチオン化デンプン、植物性ガム、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロースなどがあり、これらの紙力増強剤の使用量を増やすと繊維間の結合とその強度が上昇する。しかし使用量が多くなると、基紙の地合いが悪化する等の問題が生じやすい。5)ではサイズプレス液に用いられる紙力増強剤には、酸化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどがあり、これらの量を増やすことで基紙表層の繊維間の結合数とその強度が上昇する。しかしながら使用量が多くなるとインクジェット印字の際、インク溶媒を吸収せず、印字品位の悪化を招く。
【0012】
本発明において、基紙の強度は重要なポイントであるが、メクレを解消するためには特に基紙のインク受容層と接する部分の近傍の強度を上げることが重要である。このため、上記5)の方法(基紙に紙力増強剤を外添する)により、最も効率よく、インクジェット縁なし全面記録時に発生するメクレを解消できる。特にサイズプレス液にポリアクリルアミドを含有させることが好ましい。
【0013】
ポリアクリルアミドは基紙中に片面あたり、固形分で1.0〜5.0g/m2含有する。更に好ましい含有量は1.0〜4.0g/m2である。含有量が少ないとインクジェット縁なし全面記録の際の強度低下が大きく、メクレの原因となり、多すぎるとインクジェット記録の際の吸収性が悪化し、印字品位が悪化する。本発明において使用するポリアクリルアミド系重合体は、少なくとも(メタ)アクリルアミド(メタクリルアミド及びアクリルアミドの少なくとも1種を意味し、以下「(メタ)」はこれに準じて用いられる。)を重合成分として有し、ノニオン性、アニオン性、カチオン性あるいは両性いずれでも使用可能である。ポリアクリルアミド系重合体の重量平均分子量は1万〜400万の範囲にあることが適当である。ポリアクリルアミド系重合体は外添用途のものであれば特に限定されるものではないが、両性、ノニオン性もしくはカチオン性であるものが好ましい。
【0014】
また、前記サイズプレス液には同時にデンプンやポリビニルアルコールなど水溶性高分子や他の紙力増強剤を適宜添加してもよい。水溶性高分子としては具体的にはデンプン、酸化デンプン、カチオン化デンプンやリン酸化デンプンなどのデンプンやデンプン誘導体やポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂などの水溶性樹脂などを用いることができる。これらの水溶性高分子は単独或いは複数の種類を混合して使用することができるが、高濃度・低粘度にできることから、酸化デンプンや変性デンプンを用いることが好ましい。その配合部数は本発明の効果を損なわない範囲で、サイズプレス液中に4〜20重量%含有され、5〜15重量%がさらに好ましい。配合部数が少ないと所定の目的であるサイズ性付与が不十分となり、多すぎると塗工困難になる。
【0015】
前記サイズプレス液はサイズプレス装置や、ゲートロールコーター等公知の装置を使用して含浸または塗布することができる。基紙の両面に塗布又は含浸しても良いし、片面に塗布又は含浸しても良い。また必要に応じて、発明の効力を損なわない範囲でサイズ剤、蛍光増白剤などの助剤を適宜加えても良い。
【0016】
本発明における基紙の製法は、特に限定されるものではないが、LBKP、NBKP等の化学パルプを公知の技術で漂白したものが好ましい。また、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプや非木材パルプなどのパルプを1種以上、目的に応じた比率で混合して使用することができる。本発明においては、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の公知の各種抄紙機を適宜使用することができる。
本発明の基紙には添加薬品としての填料、サイズ剤、硫酸バンド、耐水化剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、蛍光増白剤等をパルプ原料に配合することができる。これらの添加薬品は従来公知の薬品を使用することができる。例えば、填料ではカオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、合成シリカ等を使用することができ、サイズ剤では、ロジン系(溶液タイプ、エマルジョンタイプ)、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ワックス系、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂等が挙げられる。
【0017】
本発明のインク受理層は通常の高精細フルカラー記録用途に供されるように作製されたもので有れば良く、縁なし全面記録をするのに適した構成として顔料と親水性接着剤で構成されることが好ましい。基紙に紙力増強剤を外添する場合は紙力増強剤を含有するサイズプレス液を塗布した面にインク受理層が設けられる。さらにインク受理層は基紙の片面、両面いずれに設けても良い。
【0018】
インク受理層に用いられる顔料としては、従来公知の白色顔料を使用することができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂など有機顔料を用いることができる。
【0019】
インク受理層に使用する親水性接着剤は、特に限定されるものではなく、塗膜としての特性を維持するために顔料を結着する作用と、表面強度の維持などの目的で使用され、例えば酸化デンプン、エーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプンなどのデンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白などのタンパク質類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂などの水溶性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤、ポリウレタン樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂ラテックス等があげられる。
【0020】
本発明においては、上記した親水性接着剤の少なくとも1種を使用することができる。その配合部数は、前記した顔料100重量部に対し、5〜60部であることが好ましい。親水性接着剤の配合部数が少ないと表面強度が不十分となり、多すぎるとインク吸収性が不十分となる。
【0021】
本発明のインクジェット記録用紙に設けられるインク受理層の塗工量は3〜25g/m2であることが好ましく、更に好ましくは5〜20g/m2である。塗工量が少なすぎるとインク溶媒の吸収が不十分となるので、特に混色系での画像で滲みが顕著に認められる。また、インク受理層の塗工量がこの範囲を越えると、巻き取ったものを平版にしたり、更に小判断裁する際に、塗工層が支持体から粉状に落ちたり、印字部を擦っただけで塗工層が脱落する等、表面強度が不十分になるので好ましくない。
【0022】
またインクジェット記録方式において、インクを定着させて印字濃度向上や印字物の耐水性を付与するために、上記の他、金属塩やカチオン性化合物を含有することが好ましい。この場合のカチオン性化合物とは、特に限定されるものではなく、水性染料インク中に含有される水溶性直接染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボシル基等と不溶な塩を形成する2級アミン、3級アミンあるいは4級アンモニウム塩を含有するいわゆる染料定着剤である。カチオン性化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0023】
前記したインク受理層を基紙の片面のみに設ける場合、その反対面側には親水性接着剤とカチオン性化合物を塗布乾燥した記録層を設けることもできる。親水性接着剤はインク受理層に使用するものが使用できる。カチオン性化合物は、インク中の染料の定着と耐水性の向上を目的として使用する場合が多く、これも通常インク受理層に使用されるもので良い。
【0024】
本発明のインクジェット記録用紙には、インク受理層に必要に応じて、更に顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、架橋剤、界面活性剤等を発明の効果を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0025】
インク受理層を支持体表面に設けるために、一般的な塗工装置である各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ショートドゥエルコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、サイズプレス等の各種装置をオンマシンまたはオフマシンで使用することができる。
【0026】
本発明においては、インク受理層を塗工した後にインク受理層をマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理することも可能である。
【0027】
本発明においては、インク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行ったインクジェット記録用紙のZ軸方向(紙の厚さ方向)の強度(Sa)と、インクジェット記録を行っていないインクジェット記録用紙のZ軸方向の強度(Sp)との比(Sa/Sp)が、0.95以上、1.00以下であることが好ましい。なお、Z軸方向の強度は、Z軸方向引っ張り試験機等により測定できる。
【0028】
【作用】
縁なし全面印刷を行った後、その裏面にインクジェット印刷を行った際に発生するメクレは、インクジェット記録用紙端部の強度が低下し、反対面のインクジェット記録に耐えうるだけの強度を確保できなくなったために生じると考えられる。メクレは、インク受理層が欠けるのでなく、支持体である基紙がインク受理層近傍から剥がれるために発生する。これは、インクジェット縁なし全面記録を行った際、従来のインクジェット記録方法ではインクに浸されることのなかったインクジェット用紙の端部に、インク受理層に吸収しきれなかったインク溶媒が基紙に浸透して基紙繊維の結合を弱めてしまい、このような湿潤した状態から十分に乾燥するまもなく反対面にインクジェット記録を行うと、インクジェットプリンターの給紙時に端部にかかる力に耐えきれずに基紙がめくれると考えられる。なお、インク受理層の強度アップを検討したが、メクレは改善されなかったことから、インク受理層の強度アップとメクレには関連がないと思われる。
本発明では、ポリアクリルアミドを配合した塗工液を基紙に塗布または含浸することなどによって、インクジェット記録を行った際のインク溶媒の浸透による基紙(特にインク受理層との近傍部分)の強度低下を抑えることからメクレが改善すると考えられる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
<実施例1>
(基紙)
広葉樹漂白クラフトパルプ100%を叩解して濾水度を400mlに調整したパルプ100部に、カオリン10部、硫酸バンド1.0部、ロジン系サイズ剤0.05部、ポリアクリルアミド系紙力増強剤(ポリストロン387−20、荒川化学工業製)0.3部に歩留まり向上剤(WS−552、日本PMC製)0.025部を添加し、長網抄紙機で紙匹を形成した。乾燥した後、酸化デンプン(MS3600、日本食品化工製)5%、ポリアクリルアミド(ポリマセットHP−710、荒川化学工業製)3%の液を、サイズプレスを用いて乾燥重量が片面で2.5g/m2となるように含浸し、乾燥後マシンカレンダー処理して坪量205g/m2の基紙J1を製造した。
【0030】
(インク受理層)
上記で製造した基紙J1に、合成非晶質シリカ(ミズカシルP−50 水澤化学工業製)100部、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ製)20部、エチレン酢酸ビニルエマルジョン(リカボンド BE−7000 中央理化工業製)10部、スチレンアクリル樹脂(ポリマロン360 荒川化学工業製)2部、カチオン性定着剤に消泡剤及び希釈水等を適宜添加した、固形分濃度が22%のカラーを、バーブレードコーターを用いて塗工量が12g/m2となるように塗工しインク受理層とした。乾燥後、ソフトカレンダー装置にて表面処理を行い、インクジェット記録用紙を得た。
【0031】
<実施例2>
(基紙)
サイズプレス液中の、酸化デンプンを10%、ポリアクリルアミドを1.5%とする以外は実施例1同様に基紙J2を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙J2に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0033】
<実施例3>
(基紙)
パルプの濾水度を350mlに調整し、サイズプレス液中の酸化デンプンを10%、ポリアクリルアミドを1.5%とする以外は実施例1同様に基紙J4を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙J4に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0034】
<実施例4>
(基紙)
紙力増強剤を0.5部とし、サイズプレス液中の酸化デンプンを10%、ポリアクリルアミドを1.5%とする以外は実施例1同様に基紙J5を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙J5に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0035】
<実施例5>
(基紙)
実施例1において添加したカオリンを無配とし、サイズプレス液中の酸化デンプンを10%、ポリアクリルアミドを1.5%とした以外は実施例1同様に基紙J6を製造した。10(インク受理層)
上記で製造した基紙J6に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0036】
<実施例6>
(基紙)
パルプを、広葉樹漂白クラフトパルプ80部、針葉樹漂白クラフトパルプ20部とし、サイズプレス液中の酸化デンプンを10%、ポリアクリルアミドを1.5%とした以外は実施例1同様に基紙J7を製造した。
(インク受理層) 20
上記で製造した基紙J7に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0037】
<実施例7>
(基紙)
実施例1のカオリンを15部とし、サイズプレス液中の酸化デンプンを10%、ポリアクリルアミドを1.5%とした以外は実施例1同様に基紙J8を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙J8に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た
【0038】
<比較例1>
(基紙)
広葉樹漂白クラフトパルプ100%を叩解して濾水度を400mlに調整したパルプ100部に、カオリン10部、硫酸バンド1.0部、ロジン系サイズ剤0.05部、紙力増強剤0.3部に歩留まり向上剤や染料などを添加し、長網抄紙機で紙匹を形成した。乾燥後マシンカレンダー処理して坪量205g/m2の基紙H1を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H1に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0039】
<比較例2>
(基紙)
広葉樹漂白クラフトパルプ100%を叩解して濾水度を400mlに調整したパルプ100部に、カオリン10部、硫酸バンド1.0部、ロジン系サイズ剤0.05部、紙力増強剤0.3部に歩留まり向上剤や染料などを添加し、長網抄紙機で紙匹を形成した後、酸化デンプン10%の塗工液をサイズプレスにて乾燥重量が両面で5.0g/m2となるように含浸し、乾燥後マシンカレンダー処理して坪量205g/m2の基紙H2を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H2に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0040】
<比較例3>
(基紙)
ロジン系サイズ剤を0.1部とし、サイズプレス液の組成が、酸化デンプン10%、表面サイズ剤(コロパール、星光化学工業製)0.1%である以外は比較例2と同様に基紙H3を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H3に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0041】
<比較例4>
(基紙)
パルプの濾水度を350mlに調整した以外は比較例2と同様に基紙H4を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H4に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0042】
<比較例5>
(基紙)
紙力増強剤を0.5部とした以外は比較例2と同様に基紙H5を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H5に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0043】
<比較例6>
(基紙)
カオリンを無配とした以外は比較例2と同様に基紙H6を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H6に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0044】
<比較例7>
(基紙)
パルプを、広葉樹漂白クラフトパルプ80部、針葉樹漂白クラフトパルプ20部とした以外は比較例2と同様に基紙H7を製造した。
(インク受理層)
上記で製造した基紙H7に、実施例1と同様にインク受理層を塗工しインクジェット記録用紙を得た。
【0045】
評価項目
上記により作製した実施例1〜6及び比較例1〜7のインクジェット記録用紙について、以下に記載する方法でメクレ、Z軸方向の強度、Z軸方向の強度低下率の評価を行った。その結果を表1に示す。◎、○であれば実用上問題ない。
【0046】
<メクレ>
ギロチン断裁時にインク受理層の反対側から刃を入れ、インクジェットプリンターの給紙部分にギロチン刃の垂直面で切断された端部が最初に接触するインクジェット記録用紙を10枚用意し、23℃・50%Rhの環境で24時間調湿し、CANONインクジェットプリンター BJ−F900のインクジェット官製葉書/きれいモードにてインク受理層側のインクジェット記録面に緑ベタ画像を縁なし全面記録し、2時間、23℃・50%Rhの環境下で放置した後、その反対面に通常のインクジェット記録を行った。インクジェット記録面の用紙上端部の状況を観察し、以下の評価を行った。
◎:すべてのメクレが幅1mm以下、長さ0.3mm以下である。
○:すべてのメクレが幅2mm以下、長さ0.5mm以下である。
△:幅2mm以下、長さ0.5〜1mmのメクレがあり、幅2mm以上、長さ1mm以上のメクレがない。
×:幅2mm以上、長さ1mm以上のメクレが1つ以上ある。
【0047】
<Z軸方向の強度>
23℃・50%Rhの環境で24時間調湿したインクジェット記録前のインクジェット記録用紙と、メクレと同条件でインクジェットプリンターにて緑ベタ画像をインクジェット記録したインクジェット記録用紙を、2時間、23℃・50%Rhの環境下で放置し、Z軸方向引っ張り試験機L&W ZD Tensile Tester SE-155(Loren Wettre製)で、インクジェット記録用紙を両面テープ(スコッチテープST−45 3M製)ではさみ、3000Nの力で6秒間加圧し、その後Z軸方向に引っ張り、インクジェット記録用紙が裂ける際に要する強度をそれぞれ測定した。
インク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行った際のZ軸強度をSa、インクジェット記録を行わなかった際のインクジェット記録用紙のZ軸強度をSpとすると、強度比=(Sa:全面記録後におけるインクジェット記録用紙のZ軸方向の強度)/(Sp:全面記録前におけるインクジェット記録用紙のZ軸方向の強度)
【0048】
【表1】
【0049】
上記の結果から、メクレはインクジェット記録を行わなかった際のZ軸強度の値やインクジェット記録を行った際のZ軸強度の値とは関係なく、これらの強度の比が0.95以上になることで改善されることがわかる。この理由は明らかではないが、比較例3の結果から、サイズ性を付与しても、強度比が低下することや、湿潤時に強度低下を防ぐ作用があるポリアクリルアミドのような物質の効果が大きいことから、インク溶媒が基紙に浸透した際に基紙表面の強度を弱めていると推測される。
【0050】
また、比較例4〜7のように、パルプの叩解による濾水度の低下、紙力剤の増配、填料を除く、針葉樹パルプを混合する方法をそれぞれ単独で行う場合は、メクレを防ぐという点において効果は薄い。また実施例1〜7でわかるようにポリアクリルアミドとデンプンを基紙表面に塗布するとメクレ発生を抑えることが可能となる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法により得られたインクジェット記録用紙は、基紙上の片面又は両面に顔料及び親水性接着剤を含有するインク受理層を有する坪量が140g/m2〜280g/m2であるインクジェット記録用紙において、インク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行った際と、インクジェット記録を行わなかったインクジェット記録用紙と比べて、Z軸方向の強度の比が1.00≧Sa/Sp≧0.95の範囲である場合、メクレを改善したインクジェット記録用紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるZ軸強度の測定方法の一例を示した図である。
【図2】本発明におけるメクレを説明する概略図である。
【符号の説明】
1 試験紙
2 両面テープ
3 給紙ロール
4 Z軸方向引っ張り試験機の加圧子
Claims (2)
- インクジェット記録用紙に縁なし全面インクジェット記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクジェット記録用紙は少なくとも、片面あたり固形分で1.0〜5.0g/m 2 のポリアクリルアミドを含浸または塗布した基紙と、前記基紙の片面又は両面に設けられた、顔料及び親水性接着剤を主成分とするインク受理層とからなり、かつ前記インクジェット記録用紙の坪量は140g/m2〜280g/m2であり、かつ前記インクジェット記録用紙はインク受理層全面にベタ画像のインクジェット記録を行った際のインクジェット記録用紙のZ軸強度をSa、インクジェット記録を行わなかった際のインクジェット記録用紙のZ軸強度をSpとしたとき、1.00≧Sa/Sp≧0.95を満たし、かつ、前記インク受理層面に縁なし全面インクジェット記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記インクジェット記録用紙をさらに小判に断裁してなるインクジェット記録用葉書のインク受理層面に縁なし全面インクジェット記録を行うことを特徴とする請求項1に記載されたインクジェット記録方法。
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