JP3895623B2 - インクジェット記録シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インクを用いて記録を行うインクジェット記録シートに関するものであり、詳しくは、キャスト処理による光沢発現層を有するインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ紙等の記録シートに付着させて、画像・文字等の記録を行うものである。該記録方式は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、種々の用途において急速に普及している。更に、多色インクジェットによる多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜色のない記録を得ることが可能であり、作製部数が少なくて済む用途では写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
更に、インクジェット方式を利用したプリンターは、市場からのさらなる画像の品質向上に対する要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大が図られている。これに伴い、記録媒体であるインクジェット記録シートには、優れた画像品質を発現するための高いインク受理容量の確保や発色性の良好な塗層の塗設が不可欠となっている。加えて、光沢、剛直、色相等の外観や画像の保存性も銀塩写真や印刷用紙に類似することが要望されてきている。
【0004】
従来、光沢を付与する処理として、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗層表面を平滑化することが一般に知られている。しかしながら、インクジェット記録シートに光沢を付与する目的で、高線圧下でカレンダー処理を行うと、光沢は向上するものの塗層空隙が減少し、インクの吸収が遅くなり、又、吸収容量の不足からインクのあふれが発生してしまうという問題が生じるため、カレンダー処理で高光沢を得ることは難しい。
【0005】
インクの吸収性を低くすることなく塗層に強光沢を付与する手法として、例えば、特開昭63−265680号公報、特開平2−274587号公報、同5−59694号公報のように、キャスト処理によりインクジェット記録シートを製造する方法が開示されている。この処理方法によると、キャストドラムの鏡面形状がインクジェット記録シートに転写されるために、表面の平滑性が非常に高くなり、強光沢が得られる。又、キャストドラムに押しつける際の線圧は、カレンダー装置を用いる場合と比較して低いために、良好なインク吸収性が得られることになる。
【0006】
ところで、昨今のインクジェットプリンタの画像印字精度の向上により粒状感がなく高解像度な画質が得られるようになったことで、光沢や濃度についても銀塩写真同等の品質を求める市場の要望が強い。即ちより高光沢及び印字濃度の高濃度化を図る必要が生じている。しかしながら、キャスト処理でなお光沢を強くすることは線圧を上昇せざるを得ず、当然インク吸収性が落ちることとなりひいては印字濃度も低下する。
【0007】
また、光沢と吸収性を両立させるために、塗工液中のバインダー比率を減量することで有る程度の効果が得られるものの、当然物理的強度は低下することになり、例えば裁断加工時に断面から塗工層の脱落が発生し、品質低下や効率低下となる場合があった。またプリンタでの搬送時にも脱落が発生すると、印字不良などプリンタの不具合を誘発することが問題点として指摘されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の課題を解決するために本発明は、キャスト処理による光沢発現層を有するインクジェット記録シートにおいて高い光沢性と、高いインク吸収性及び印字濃度を両立させ、かつ塗工層の強度も優れるように勘案されたインクジェット記録シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
【0010】
本発明は、支持体上の片面に、少なくとも1層のインク吸収層と、キャスト処理による光沢発現層がその上に積層されてなるインクジェット記録シートにおいて、インク吸収層が顔料、バインダーを主成分とし、ジヒドラジド化合物とアクリル酸系水性樹脂と共に含有し、光沢発現層が顔料、バインダーを主成分とし、ジヒドラジド化合物を含有するインクジェット記録シートであり、インク吸収性や印字濃度に影響を与えず塗工層の強度が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録シートは、キャスト処理によって塗設される光沢発現層を有するインクジェット記録シートにジヒドラジド化合物を含有するものである。
【0013】
本発明に用いられるジヒドラジド化合物とは、カルボン酸あるいはアミノ酸の誘導体であって、カルボキシル基(−COOH)にヒドラジン(H2N−NH2)が付加した形態の化合物で、ヒドラジドを分子内に2個有するジヒドラジド化合物である。例えばアジピン酸等のジカルボン酸の両末端にヒドラジンが付加した形態のものや、アミノ酸誘導体でジカルボン酸末端にヒドラジンが付加した形態のものである。
【0014】
ジヒドラジド化合物の具体例としては、カーボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、マレイン酸ヒドラジド、ヒダントイルジヒドラジド等が挙げられる。
【0015】
これらのジヒドラジド化合物はカルボニル酸素を有するもの、即ちカルボニル基やアルデヒド基、カルボキシル基、エステル基を有するポリマーに対して架橋するため、インクジェット記録シートの層中でバインダーポリマー等との反応が起こり架橋することで、同量のバインダー量でも塗工層の強度及び光沢が向上することとなる。
【0016】
本発明におけるカルボニル酸素とは、炭素原子に2重結合で酸素原子が付加した形のものであり、例えばカルボニル基やアルデヒド基、カルボキシル基、エステル基などを指す。
【0017】
本発明において、ジヒドラジド化合物を支持体に含有させる構成、インク吸収層や光沢発現層等のインク受理層に含有させる構成等があるが、本発明の効果を有効に発現するためにはインク受理層に含有させる構成が好ましい。
【0018】
一般にキャスト処理されたインクジェット記録シートでは、塗工層の強度向上にはバインダーの増量で成し得るが、同時にインク吸収性が悪くなる傾向が見られる。しかし、本発明のインクジェット記録シートでは、バインダー量の増量せずとも良いので、従ってインク吸収性を阻害することなく強度向上となる。但し、ジヒドラジド化合物の添加量によっては架橋が進み、インク吸収性を阻害する場合があるため、最適な添加量はインク吸収性と塗工層の強度とを勘案しながら適宜必要量を設定することが好ましい。通常、バインダー量の20%以下、より好ましくは10%以下であればインク吸収性とのバランスを取ることが容易であり好ましい。
【0019】
また特に光沢発現層以外の層にカルボニル酸素を有する水性樹脂と共に含有させることで、インクジェット記録シート上の塗工層の脱落には、より少ない添加量で有効に作用する。これは、支持体やインク吸収層、あるいは光沢発現層との層間の接着力の向上が図られることで層間の剥離の抑制が出来、結果として塗工層の強度が向上することとなる。特にインク吸収性とのバランスにおいて、光沢発現層の重要な役割であるインクの着弾後初期のインク吸収性を確保しつつ、塗工層の強度向上が成し得るのである。
【0020】
本発明に用いられるカルボニル酸素を有する水性樹脂としては、カルボニル酸素、即ちカルボニル基やアルデヒド基、カルボキシル基、エステル基等の炭素原子に2重結合で付加した酸素原子を有するポリマーであって、これらを有する樹脂を水中に分散させたエマルションの形態のものであり、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル等のエチレン性モノマーのみを乳化重合したものなどを適宜用いることができる。
【0021】
本発明におけるキャスト処理による塗設とは、キャストコーティング法と呼ばれ、一般に印刷用キャストコート紙と同じ製造方法であり、直接法、凝固法、再湿潤法(リウェット法)等に細分されている。直接法は、光沢発現層を塗設後、未乾燥の状態(湿潤状態)で加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する方法である。凝固法は、光沢発現層を塗設後、未乾燥の状態の該層を凝固液により凝固させた後、加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する方法である。又、再湿潤法は、光沢発現層を塗設し乾燥後、水を主体とする湿潤液にて該層を再湿潤させ、加熱された鏡面に圧接し乾燥する方法である。該法に係る該鏡面ロールの表面粗度、直径、圧接時の圧力(線圧)、塗工速度は、市販の印刷用キャストコート紙の製造条件と同様に適宜選択することができる。また塗設する膜厚としては、生産性の面から50μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。
【0022】
また本発明の光沢発現層を形成するための塗工液は、下記の無機及び有機の顔料あるいは粒子、バインダー、各種添加剤を適宜用いることができる。
【0023】
顔料あるいは粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。中でも、コロイダルシリカ、合成非晶質シリカ、アルミナ水和物等一次粒子径が極めて小さい超微粒の無機顔料が好ましい。特にアルミナ水和物を顔料の主体成分として用いると、インク発色性が高まりより好ましい。またこれらは適宜組み合わせて用いることができる。
【0024】
バインダーには、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体にカチオン性基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面に該粒子が分布しているもの等;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等を挙げることができる。
【0025】
添加剤としては、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
【0026】
本発明に係るインク吸収層は、上述の光沢発現層で示した各種バインダーと下記の顔料及び各種添加剤で構成される。
【0027】
顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク吸収層に主体成分として含有する顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0028】
添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、染料定着剤等を適宜配合することもできる。
【0029】
本発明で使用される支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙及び塗工紙に、そのまま本発明に係る塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。又、該支持体の坪量としては、通常40〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。
【0030】
本発明に係わるインク吸収層及び光沢発現層の塗設手段としては、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、サイズプレス等の各種装置を用い、オンマシン或いはオフマシンで塗設される。
【0031】
該インク吸収層を塗設、乾燥した後、該光沢発現層を塗設する前に、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0032】
【実施例】
以下本発明を実施例により詳説するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例において示す「部」は、固形分の質量部を示す。
【0033】
<支持体1の作製>
支持体となる原紙は、以下の通り作製した。LBKP(濾水度400mlcsf)90部とNBKP(濾水度450mlcsf)10部からなる木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム5部、市販のアルキルケテンダイマー0.1部、市販のカチオン性ポリアクリルアミド0.05部、市販のカチオン化澱粉1.0部を水に含有するスラリーを調製し、長網抄紙機を用いて坪量125g/m2に抄造した後、オンマシンのインクラインドサイズプレス装置で酸化澱粉(MS3800:日本食品加工社製)水溶液を付着、乾燥させ、坪量127g/m2の支持体1を得た。
【0034】
<支持体2の作製>
オンマシンのインクラインドサイズプレス装置で酸化澱粉(MS3800:日本食品加工社製)10部、ジヒドラジド化合物としてアミキュアVDH(味の素テクノファイン社製)1部を調合した水溶液を付着、乾燥させた対外は支持体1と同様にして支持体2を得た。
【0035】
<インク吸収層の塗設>
上記支持体上に表1に示す組み合わせで、多孔質顔料を主成分とするインク吸収層塗工液を塗設してインク吸収層を得た。インク吸収層塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/m2となるように支持体上に塗工し乾燥してインク吸収層1、2を得た。該塗工液は、各々下記の組成で調製した。
【0036】
<インク吸収層塗工液1>
多孔質顔料として市販の合成非晶質シリカ(ミズカシルP78D:水沢化学社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(R1130:クラレ社製)40部を水に調合して、固形分濃度は17%の液を得た。
【0037】
<インク吸収層塗工液2>
多孔質顔料として市販の合成非晶質シリカ(ミズカシルP78D:水沢化学社製)を100部、バインダーとして市販のポリビニルアルコール(R1130:クラレ社製)40部、水性樹脂として市販のポリアクリル酸系エマルション5部、ジヒドラジド化合物としてアミキュアVDH(味の素テクノファイン社製)3部を水に調合して、固形分濃度は18.5%の液を得た。
【0038】
<光沢発現層の塗設>
上記支持体上に塗設されたインク吸収層上に表1に示す組み合わせで、光沢発現層塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量が5g/m2となるように該インク吸収層上に塗工し、表面温度が100℃に保たれた鏡面ロールに10秒圧接し乾燥するキャストコーティング法により塗設し光沢発現層を作製しインクジェット記録シートA〜Eを得た。該塗工液は、各々下記の組成で調製した。
【0039】
<光沢発現層塗工液3>
市販のアルミナゾル(カタロイドAS−1:触媒化成社製)100部とポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)40部を水に調合し、固形分濃度19%の液を得た。
【0040】
<光沢発現層塗工液4>
上記光沢発現層塗工液3にアミキュアVDH(味の素テクノファイン社製)を3部添加した。
【0041】
上記のようにして作製したインクジェット記録シートA〜Eについて、光沢性、印字濃度、インク吸収性、塗工層強度を次のように評価した。
【0042】
光沢性は、斜光で目視評価した。
◎:優れた光沢が得られた。
○:実用上問題ないが、◎よりやや劣る光沢が得られた。
×:実用上支障があり、○と較べると光沢が劣る。
【0043】
印字濃度は市販のインクジェットプリンタ(PM−900C:セイコーエプソン社製)を用いて黒ベタ画像を印字し、その反射濃度をGretagMacbeth社製SpectroEye(TM)で測定した。値は大きい方が印字濃度が高く、印字性が良好であることを示す。
【0044】
インク吸収性は上記印字直後の印字面の乾燥具合及び滲み具合を総合的に目視評価した。
◎:優れたインク吸収性が得られた。
○:実用上問題ないが、◎よりインク吸収性が劣る。
×:実用上問題有るレベル。
【0045】
塗工層の強度は、粘着テープ(Scotchメンディングテープ:住友スリーエム社製)を用いて、表面に貼付し引き剥がし、粘着テープ側に剥ぎ取られた塗工層の状況を目視で比較した。
◎:テープにほとんど付着しておらず、実用上問題ないレベル
○:実用上問題ないが、◎よりやや劣る。
×:テープにかなり付着しており実用上支障があるレベル。
【0046】
【表1】
Figure 0003895623
【0047】
また、上記インクジェット記録シートA〜Eについて、上記印字濃度を測定した後に、南側向きの窓に内側から印字面を外向きに貼り付け、3ヶ月後に再度印字濃度を測定したところ、Aは大きく低下したが、B〜Dはその変化は少なく、EはB〜Dよりも低下するもののAと比較して変化の度合いは小さく、本発明のインクジェット記録シートの耐光性の良化についても確認できた。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェット記録シートによれば、光沢性、インク吸収性に優れ、かつ塗工層の強度の向上が図られるインクジェット記録シートが得られると共に、耐光性も良好である等秀逸なる効果がある。

Claims (1)

  1. 支持体上の片面に、少なくとも1層のインク吸収層と、キャスト処理による光沢発現層がその上に積層されてなるインクジェット記録シートにおいて、インク吸収層が顔料、バインダーを主成分とし、ジヒドラジド化合物とアクリル酸系水性樹脂と共に含有し、かつ光沢発現層が顔料、バインダーを主成分とし、ジヒドラジド化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録シート。
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