JP4010192B2 - ヘッドランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、プロジェクタタイプの2灯式のヘッドランプにかかるものである。特に、この発明は、シェードのロービーム姿勢を3方向において規制することにより、ソレノイドに対して高精度の公差を要求しなくとも、シェードのロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンが高精度に得られるヘッドランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、従来のヘッドランプの構成について説明する。従来のヘッドランプは、一般に、1個の光源と、前記1個の光源からの光を反射させるリフレクタと、前記リフレクタからの反射光を前方に照射する集光レンズと、前記集光レンズからの照射光をロービームとハイビームとに切り替えるシェードと、前記シェードをロービーム姿勢とハイビーム姿勢とに切り替えるソレノイドと、前記ソレノイドと前記シェードとの間に設けた駆動力伝達手段と、を備えるものである。
【0003】
つぎに、従来のヘッドランプの作用について説明する。光源を点灯する。すると、光源からの光がリフレクタで反射される。その反射光が集光レンズを経て前方に照射される。
【0004】
ここで、ソレノイドを作動させて駆動力伝達手段を介してシェードを、ロービーム姿勢またはハイビーム姿勢に切り替える。すると、照射光がロービームまたはハイビームとに切り替わる。この結果、ロービームにより所定のすれ違い用の配光パターン、または、ハイビームにより所定の走行用の配光パターンがそれぞれ切り替わって得られる。
【0005】
この種のヘッドランプとしては、たとえば、ヨーロッパ特許公開公報(EP 0 794 382 A2)に記載のもの、アメリカ特許公報(5,673,990)に記載のもの、同じく、アメリカ特許公報(5,899,559)に記載のものなどがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のヘッドランプにおいては、製作コスト、および、ロービームとハイビームとの正確な切り替えなどについて、課題がある。そこで、この出願人は、製作コストが安価であり、また、ロービームとハイビームとを正確に切り替えることができるヘッドランプ(特願2001−244666号、特願2001−280331号)を先に出願した。
【0007】
この発明は、先の出願のヘッドランプの改良にかかり、その目的とするところは、シェードのロービーム姿勢を3方向において規制することにより、ソレノイドに対して高精度の公差を要求しなくとも、シェードのロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンが高精度に得られるヘッドランプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、シェードの可動側部分のロービーム姿勢をほぼ直交する3方向において規制する手段を備え、シェードの可動側部分とバネ部材とが結合されており、ソレノイドが通電時にはバネ部材のバネ力に抗してシェードの可動側部分をロービーム姿勢からハイビーム姿勢に切り替えるものであり、バネ部材がソレノイドへの通電遮断時には弾性復帰してシェードの可動側部分をハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替えるものであり、規制手段が、シェードの可動側部分のロービーム姿勢をほぼ直交する3方向において規制する手段であって、シェードの可動側部分の切替方向を規制する第1規制手段と、第1規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向を規制する第2規制手段と、第1規制手段の規制方向および第2規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向を規制する第3規制手段と、から構成されていて、第1規制手段が、シェードの可動側部分およびバネ部材側に設けられていて、シェードの可動側部分の切替方向に対してほぼ直交する平板形状をなす薄板部と、シェードの固定側部分に設けられており、シェードの可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、薄板部が当接する平板形状のストッパ部と、からなり、第2規制手段が、ストッパ部と、薄板部の両側縁に折り曲げて形成されていて、シェードの可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、ストッパ部を挟み込む挟持部と、からなり、第3規制手段が、ストッパ部に薄板部の両側縁の一方の挟持部に沿って設けられた切欠の両端壁面と、シェードの可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、切欠に挿入する一方の挟持部の両端面と、からなる、ことを特徴とする。
【0009】
この結果、請求項1にかかる発明は、シェードのロービーム姿勢を3方向において規制することにより、ソレノイドに対して高精度の公差を要求しなくとも、シェードのロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンが高精度に得られる。
【0011】
また、請求項にかかる発明は、シェードの可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったとき、薄板部がストッパ部に当接してシェードの可動側部分の切替方向が規制され、また、挟持部がストッパ部を挟持して第1規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向が規制され、さらに、一方の挟持部が切欠に挿入して切欠の両端壁面と挟持部の両端面とにより、第1規制手段の規制方向および第2規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向が規制される。
【0012】
これにより、請求項にかかる発明は、シェードの可動側部分のロービーム姿勢を3方向において規制することができるので、ソレノイドに対して高精度の公差を要求しなくとも、シェードの可動側部分のロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンが高精度に得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるヘッドランプの実施の形態の1例を添付図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態の構成の説明)
図1〜図4において、1はプロジェクタタイプのヘッドランプである。このヘッドランプ1には、光源としての放電灯2と、リフレクタ3と、集光レンズ4と、シェード5と、切り替え手段としてのソレノイド6およびバネ部材7とを備える。
【0015】
前記放電灯2は、いわゆる、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などである。前記放電灯2は、前記リフレクタ3にソケット機構8を介して着脱可能に取り付けられている。前記放電灯2の発光部分は、前記リフレクタ3の第1焦点F1近傍に位置する。
【0016】
前記リフレクタ3の内凹面は、アルミ蒸着もしくは銀塗装などにより、たとえば、図2の垂直断面が楕円面をなし、かつ、図3の水平断面が放物面ないし変形放物面をなす反射面からなる。このために、前記リフレクタ3の反射面は、第1焦点F1と、第2焦点(水平断面上の焦線)F2とを有する。前記リフレクタ3は、ホルダ(フレーム)9に固定保持されている。
【0017】
前記集光レンズ4は、図示されていないが、前記リフレクタ3の第2焦点F2近傍に、かつ、第2焦点F2よりも前方側(放電灯2に対して集光レンズ4側)に、物空間側の焦点面(メリジオナル像面)を有する。前記集光レンズ4は、ホルダ9に固定保持されている。
【0018】
前記シェード5は、前記集光レンズ4からの照射光を、図16(A)に示す所定のすれ違い用の配光パターンLPが得られるロービームと、図16(B)に示す所定の走行用の配光パターンHPが得られるハイビームとに、切り替えるものである。なお、図16(A)および(B)は、この実施の形態1のヘッドランプ1から10m先のスクリーンに投影された配光パターンの説明図である。図における符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示し、符号「VU−VD」は、同じく、スクリーンの上下の垂直線を示す。
【0019】
一方、前記切り替え手段としてのソレノイド6およびバネ部材7は、前記シェード5を、前記ロービームが得られるロービーム姿勢(図10および図12中の実線にて示す姿勢)と、前記ハイビームが得られるハイビーム姿勢(図10および図12中の二点鎖線にて示す姿勢)とに、切り替えるものである。
【0020】
前記シェード5は、前記ロービームと前記ハイビームとに切り替える切り替え部分としての可動側部分10、11と、その他の部分としての固定側部分12とから構成されている。前記可動側部分10、11と前記固定側部分12は、この例では、SUS(バネ鋼板)などの弾性を有する薄板構造からなる。なお、前記可動側部分10、11の板厚は、前記固定側部分12の板厚よりも薄い。
【0021】
前記可動側部分10、11は、前記ソレノイド6および前記バネ部材7によってロービーム姿勢とハイビーム姿勢とに切り替えられる部分である。前記可動側部分10、11は、図8(C)および図9に示すように、前方側(集光レンズ4側)の薄板と後方側(放電灯2側)の薄板とをかしめ32(もしくは、リベット止めやスポット溶接など)により固定された2枚の薄板から構成されている。
【0022】
前記可動側部分10、11の大きさは、前記可動側部分10、11を前記ソレノイド6および前記バネ部材7により移動させるストロークと同じ大きさを有する。この例では、前記可動側部分10、11は、図10および図12に示すように、上下(ヘッドランプ1を自動車に搭載した際の垂直方向)に移動するので、前記可動側部分10、11の上下の大きさは、前記可動側部分10、11の上下移動のストロークとほぼ同じ大きさである。
【0023】
前記可動側部分10、11の形状は、図3および図9に示すように、上から見て、中央部が前記放電灯2側に凸となる湾曲形状をなす。
【0024】
前記シェード5のうち、前記すれ違い用の配光パターンLPのカットラインCLを形成するエッジ部13は、2枚の薄板、すなわち、前記可動側部分10、11の上縁にそれぞれ形成されている。前記エッジ部13は、図1および図10に示すように、中央部において約45°の斜めの段差がある。この段差により、図16(A)に示すように、すれ違い用の配光パターンLPにおいて、走行車線側と対向車線側との間に約45°の斜めのカットラインが形成される。
【0025】
一方、前記固定側部分12は、前記ホルダ9に固定される部分である。前記固定側部分は、図13〜図15に示すように、正面から見て一部(下部)が切り欠いたリング形状の固定部17と、この固定部17の切り欠いた部分に配置する平板形状のストッパ部18と、このストッパ部18から折り曲げてなるシェード部19とから構成されている。
【0026】
前記固定部17は、前記ホルダ9と前記リフレクタ3との間に、挟まれた状態でスクリュー20により固定されている。また、前記ストッパ部18は、前記ソレノイド6の無通電時において前記シェード5のロービーム姿勢を規制するストッパであって、このストッパ部18の中央部には、切欠21が設けられている。さらに、前記シェード部19は、前記リフレクタ3からの反射光を遮蔽する機能と、前記ソレノイド6に対して前記放電灯2からの熱を遮蔽する機能とを有するものであって、このシェード部19の前記ストッパ部18との付け根部の中央には、長方形の長切欠22が設けられている。
【0027】
前記ソレノイド6は、たとえば、円柱形状のプランジャー(進退ロッド)14を有する。前記ソレノイド6は、前記バネ部材7と共に前記ホルダ9にスクリュー16により固定されていて、前記シェード5の可動側部分10、11の下方に配置されている。前記ソレノイド6のプランジャー14の先端部(上端部)には、括れた首部(図示せず)を介して取付部24が設けられている。この首部および取付部24は、たとえば、短い円柱形状をなす。この取付部24の径(大きさ)は、前記首部の径よりも大きく、かつ、前記プランジャー14の径よりも小さい。この取付部24が、前記シェード5の可動側部分10、11と一体構造の前記バネ部材7に直接取り付けられている。
【0028】
前記ソレノイド6は、通電時には前記バネ部材7のバネ力に抗して前記プランジャー14が後退して前記シェード5の可動側部分10、11を直線的に下げて前記ロービーム姿勢から前記ハイビーム姿勢に切り替える手段である。このように、前記ソレノイド6は、安価であり、かつ、効率がよい引っ張りタイプ(引き込み式)のソレノイドを使用することができる。なお、前記ソレノイド6のプランジャー14は、無通電時において、フリーの状態にある。すなわち、前進後退が自由である。
【0029】
前記バネ部材7は、この例では、前記シェード5と同様に、SUS(バネ鋼板)などの弾性を有する薄板構造からなる。前記バネ部材7は、図1および図10に示すように、ドーム型構造をなす。また、図8(A)に示すように、前記バネ部材7の上側中央部と、前記シェード5の後方側の可動側部分11の下縁中央部とは、結合されている。
【0030】
すなわち、薄板構造の前記シェード5の後方側の可動側部分11と同じく薄板構造の前記バネ部材7とは、プレス加工などにより、一体に形成されている(図8(A)参照)。一方、薄板構造の前記シェード5の前方側の可動側部分10は、同じく、プレス加工などにより、別個に形成されている(図8(B)参照)。このバネ部材7と一体の後方側の可動側部分11と、別個の前方側の可動側部分10とをかしめ32により固定する(図8(C)中の実線矢印参照)。これにより、2枚の可動側部分10、11から構成されている前記シェード5と前記バネ部材7とは、一体構造となす。
【0031】
前記バネ部材7は、通常時には前記シェード5の可動側部分10、11を前記ロービーム姿勢に保持し、また、前記ソレノイド6への通電時には撓み、さらに、前記ソレノイド6への通電遮断時には弾性復帰して前記シェード5の可動側部分10、11を直線的に上げて前記ハイビーム姿勢から前記ロービーム姿勢に切り替える手段である。
【0032】
前記バネ部材7の下側中央部には、取付部分15が一体にかつ直交するように設けられている。前記取付部分15が前記ソレノイド6と共に前記ホルダ9にスクリュー16により固定されている。なお、前記取付部分15は、図8(A)および(C)に示すように、バネ部材7の両端にそれぞれ形成されており、バネ部材7をドーム型に湾曲させて重ね合わせ、かつ、かしめ32により固定してなるものである。また、図9、図10、図12中において、符号31は、シェード5およびバネ部材7に設けたビード(断面小半円形の凹凸)である。
【0033】
前記シェード5および前記バネ部材7側には、薄板部としての取付薄板部25が設けられている。すなわち、この取付薄板部25は、前記バネ部材7の上側中央部からなるものであって、前記シェード5の切替方向(垂直方向)に対してほぼ直する平板形状をなす。図8(A)に示すように、前記取付薄板部25には、第1孔部26と、第2孔部27と、第3孔部と、外れ止め部と、ストッパ片30とがそれぞれ設けられている。
【0034】
前記第1孔部26の径は、前記首部の径よりも大きくかつ前記取付部24の径よりも小さい。この第1孔部26は、前記首部が位置してこの第1孔部26の周縁部上面と前記取付部24下面とが係合するための孔部である。
【0035】
前記第2孔部27の径は、前記首部の径および前記取付部24の径よりも大きい。この第2孔部27は、前記取付部24および前記首部が挿入して前記首部が前記第1孔部26に位置するための孔部である。
【0036】
前記第3孔部の幅は、前記首部の径よりも大きくかつ前記取付部24の径よりも小さい。この第3孔部は、前記第1孔部26と前記第2孔部27との間に前記外れ止め部に臨んで設けられている。この第3孔部は、前記首部が前記第2孔部27から前記外れ止め部を迂回して前記第1孔部26に位置するための孔部である。
【0037】
前記外れ止め部は、前記第1孔部26と前記第2孔部27との間に、前記首部が前記第2孔部27から前記第1孔部26に移動する方向に対して交差する方向に設けられている。この外れ止め部は、前記第1孔部26に位置する前記首部が前記移動方向と反対方向に移動するのを規制して、前記第1孔部26の周縁部と前記取付部24との係合状態が外れるのを防止するための凸部である。なお、前記移動方向は、図10中の実線矢印に示すように、バネ部材7が内側から外側に弾性変形する方向と合致する。
【0038】
前記ストッパ片30は、前記取付薄板部25のうち、可動側部分11が位置する縁と反対側の縁において折り曲げられて形成されている。このストッパ片30は、前記シェード5がロービーム姿勢のときに、前記長切欠22に挿入する。
【0039】
以下、前記シェード5および前記バネ部材7側と前記ソレノイド6のプランジャー14側との取り付け方について説明する。まず、第2孔部27を取付部24および首部上に位置させ、かつ、この第2孔部27中に取付部24および首部を挿入する。つぎに、首部を第2孔部27から第3孔部に沿って外れ止め部を迂回させる。それから、首部を第1孔部26に位置させる。このとき、外れ止め部により、首部が第1孔部26から第2孔部27に移動することが規制されるので、シェード5およびバネ部材7側とソレノイド6のプランジャー14側との取付状態が外れるのを防止することができる。
【0040】
このように、この実施の形態1にかかるヘッドランプ1は、たとえば、Eリングなどの取付部品を使用しないで、シェード5およびバネ部材7側とソレノイド6のプランジャー14側とを取り付けることができ、また、その取付状態が簡単に外れない。
【0041】
プランジャー14を取り付けたバネ部材7の取付薄板部25上に固定側部分12のストッパ部18を載置する。このとき、すなわち、ソレノイド6が無通電時において、ストッパ部18は、シェード5の後方側の可動側部分11とバネ部材7のストッパ片30との間に挟まれている。また、プランジャー14の取付部24は、ストッパ部18の切欠21に位置する。さらに、バネ部材7のストッパ片30は、固定側部分12の長切欠22に挿入されている。この結果、前記ストッパ部18は、首部と取付薄板部25とが外れ止め部が設けられている方向に相対移動することを規制する。
【0042】
そして、この実施の形態にかかるヘッドランプ1においては、前記シェード5のロービーム姿勢をほぼ直交する3方向において規制する第1規制手段と第2規制手段と第3規制手段とがそれぞれ装備されている。
【0043】
前記第1規制手段は、前記シェード5の切替方向を規制する規制手段である。この第1規制手段は、前記シェード5および前記バネ部材7側の可動側に対して固定側、すなわち、固定側部分12に設けられており、前記シェード5がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、前記可動側の取付薄板部25が当接するストッパ部18である。
【0044】
前記第2規制手段は、前記第1規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向を規制する規制手段である。この第2規制手段は、前記可動側に設けられており、前記シェード5がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、前記ストッパ部18を挟み込む挟持部、すなわち、シェード5の後方側の可動側部分11およびストッパ片30である。
【0045】
前記第3規制手段は、前記第1規制手段の規制方向および前記第2規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向を規制する規制手段である。この第3規制手段は、前記ストッパ部18に設けられた切欠、すなわち、長切欠22の両端壁面と、前記シェード5がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、前記長切欠22に挿入する前記挟持部のストッパ片30の両端面とである。
【0046】
前記ヘッドランプ1の構成部品の放電灯2、リフレクタ3、集光レンズ4、シェード5、ソレノイド6、バネ部材7、ソケット機構8およびホルダ9などがアウターレンズもしくはアウターカバー(図示せず)とランプハウジング(図示せず)とに区画された灯室(図示せず)内に配置されることにより、前記ヘッドランプ1が構成される。
【0047】
(実施の形態の作用の説明)
この実施の形態におけるヘッドランプ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0048】
まず、放電灯2を点灯する。すると、放電灯2からの光は、リフレクタ3で反射される。その反射光は、リフレクタ3の第2焦点F2に集光され、かつ、その第2焦点F2を通って拡散され、さらに、集光レンズ4を経て前方に照射される。その照射光は、図16(A)に示す所定のすれ違い用の配光パターンLPが得られるロービームとして、または、図16(B)に示す所定の走行用の配光パターンHPが得られるハイビームとして、それぞれ前方に照射される。
【0049】
ここで、ソレノイド6が無通電時においては、図5〜図7に示すように、バネ部材7のバネ力により、ソレノイド6のプランジャー14が前進状態(伸びた状態)にあり、ストッパ部18の下面に取付薄板部25の上面が当たっている。そして、シェード5の可動側部分10、11は、図10および図12中の実線に示すロービーム姿勢にあり、かつ、このロービーム姿勢が保持されている。
【0050】
そして、このロービーム姿勢においては、下記の通り、3方向がそれぞれ規制されているので、ソレノイド6に対して高精度の公差を要求しなくとも、シェード5のロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンLPが高精度に得られる。
【0051】
すなわち、シェード5の切替方向(垂直方向)は、バネ部材7のバネ力と、第1規制手段としてのストッパ部18のストッパ作用により規制されている。また、シェード5の切替方向に対してほぼ直交するストッパ部18の幅方向は、ストッパ部18と、このストッパ部18を挟む第2規制手段としての可動側部分11およびストッパ片30により規制されている。さらに、シェード5の切替方向およびストッパ部18の幅方向に対してほぼ直交するバネ部材7の弾性変形方向は、第3規制手段としての長切欠22の両端壁面と、この長切欠22に挿入するストッパ片30の両端面とにより規制されている。
【0052】
この結果、反射光のうち、集光レンズ4のほぼ上半部に進む反射光は、シェード5の可動側部分10、11により遮断されて、ロービームとして前方に照射される。このために、図16(A)に示すように、所定のすれ違い用の配光パターンLPが得られる。
【0053】
つぎに、ソレノイド6に通電する。すると、ソレノイド6のプランジャー14がバネ部材7のバネ力に抗して後退する。それに伴なって、シェード5の可動側部分10、11が直線的に下がって、図10および図12中の実線にて示すロービーム姿勢から図10および図12中の二点鎖線にて示すハイビーム姿勢に切り替わる。
【0054】
この結果、反射光が集光レンズ4の全面に亘って進むので、ハイビームとして前方に照射される。このために、図16(B)に示すように、所定の走行用の配光パターンHPが得られる。
【0055】
そして、ソレノイド6への通電を遮断する。すると、図10および図12中の二点鎖線にて示す撓んだ状態にあるバネ部材7は、図10および図12中の実線にて示す元の状態に弾性復帰する。これに伴なって、ソレノイド6のプランジャー14が前進する。それと共に、シェード5の可動側部分10、11が直線的に上がって、図10および図12中の二点鎖線にて示すハイビーム姿勢から図10および図12中の実線にて示すロービーム姿勢に切り替わる。この結果、図16(A)に示すように、所定のすれ違い用の配光パターンLPが得られる。
【0056】
(実施の形態の効果の説明)
この実施の形態におけるヘッドランプ1は、以上のごとき構成からなり、以下、その効果について説明する。
【0057】
この実施の形態にかかるヘッドランプ1は、シェード5が薄板構造からなるので、シェード5の重量を軽くすることができる。これにより、シェード5をロービーム姿勢とハイビーム姿勢とに切り替える手段としてのソレノイド6の駆動力およびバネ部材7のバネ力を小さくすることができる。このために、駆動力が小さい安価なソレノイド6およびバネ力が小さい安価なバネ部材7を使用することができ、製作コストを安価にすることができる。また、シェード5の重量が軽量であるから、シェード5の切り替え動作をソレノイド6およびバネ部材7により簡単にかつ正確に行うことができる。このために、ロービームとハイビームとを正確に切り替えることができる。
【0058】
また、この実施の形態にかかるヘッドランプ1は、たとえば、Eリングなどの取付部品を使用しないで、シェード5およびバネ部材7側とソレノイド6のプランジャー14側とを取り付けることができ、また、その取付状態が簡単に外れない。したがって、この実施の形態にかかるヘッドランプ1は、Eリングなどの取付部品を使用しないので、その分、取付部品が減り、また、組み付け工程が簡単であり、その結果、製作コストが安価となる。
【0059】
特に、この実施の形態にかかるヘッドランプ1は、バネ部材7のバネ力と、第1規制手段としてのストッパ部18のストッパ作用により、シェード5の切替方向(垂直方向)が規制されている。また、ストッパ部18と、このストッパ部18を挟む第2規制手段としての可動側部分11およびストッパ片30により、シェード5の切替方向に対してほぼ直交するストッパ部18の幅方向が規制されている。さらに、第3規制手段としての長切欠22の両端壁面と、この長切欠22に挿入するストッパ片30の両端面とにより、シェード5の切替方向およびストッパ部18の幅方向に対してほぼ直交するバネ部材7の弾性変形方向が規制されている。
【0060】
この結果、この実施の形態にかかるヘッドランプ1は、シェード5のロービーム姿勢を3方向において規制することにより、ソレノイド6に対して高精度の公差を要求しなくとも、シェード5のロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンLPが高精度に得られる。
【0061】
(実施の形態の変形例の説明)
なお、前記実施の形態においては、ヘッドランプ1の構成部品のリフレクタ3、シェード5、ソレノイド6、バネ部材7、ソケット機構8およびホルダ9などに、アルミ蒸着もしくは銀塗装などを施すことにより、放電灯2点灯時におけるノイズのシール効果がある。
【0062】
また、前記実施の形態においては、シェード5が可動側部分10、11と固定側部分12とから構成されている。このために、前記実施の形態においては、可動側部分10、11が上下に移動しても、固定側部分12により、放電灯2からの直射光やリフレクタ3からの反射光を確実に遮光することができる。
【0063】
さらに、前記実施の形態においては、ソレノイド6を小型化することができる。このために、前記実施の形態においては、図1に示すように、ソレノイド6の大部分を配光のデットスペース(すなわち、ヘッドランプ1を取り付ける車体フレーム(図示せず)のうち、最下位の車体フレームのラインULより上方のスペースであって、配光パターンの形成に対して何ら寄与しないスペース)内に収納することができ、前記最下位の車体フレームのラインULから、ソレノイド6の下部OLが突出する量を小さくすることができる。これにより、前記実施の形態1、2においては、多種多様の車両に取り付けることが可能である。いわゆる、マイナーチェンジが可能である。
【0064】
(実施の形態以外の例の説明)
なお、前記実施の形態においては、エッジ部13が2枚の薄板構造からなるものである。しかしながら、この発明においては、エッジ部が1枚の薄板構造のものであっても良い。
【0065】
また、前記実施の形態においては、可動側部分10、11の形状が、上から見て、中央部が放電灯2側に凸となる湾曲形状をなすものである。ところが、この発明においては、可動側部分の形状が上から見て平らな形状であっても良い。
【0066】
さらに、前記実施の形態においては、光源として、放電灯2を使用している。ところが、この発明においては、放電灯2のほかに、ハロゲンランプなどを使用しても良い。
【0067】
さらにまた、前記実施の形態においては、バネ部材7として、ドーム型構造のバネ部材を使用している。ところが、この発明においては、ドーム型構造以外に、コイルバネ、板バネなどのバネ部材を使用しても良い。
【0068】
さらにまた、前記実施の形態においては、シェード5を両持ち構造のバネ部材7により支持して直線方向に切り替えるものである。ところが、この発明においては、シェード5を片持ち構造のバネ部材により支持して曲線方向に切り替えるようにしても良い。
【0069】
【発明の効果】
以上から明らかなように、この発明にかかるヘッドランプ(請求項1)によれば、シェードのロービーム姿勢を3方向において規制することができるので、ソレノイドに対して高精度の公差を要求しなくとも、シェードのロービーム姿勢を高精度に位置規制することができ、所定のすれ違い用の配光パターンLPが高精度に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のヘッドランプの実施の形態1を示す正面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】 図におけるIII−III線断面図である。
【図4】図1におけるIV矢視図である。
【図5】シェード、バネ部材、ソレノイド、固定側部分を組み付けた状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図5におけるVII−VII線断面図である。
【図8】 (A)は、一体構造のシェードの後方側の可動側部分とバネ部材とを示す展開図、(B)は、シェードの前方側の可動側部分を示す展開図、(C)は、バネ部材と一体構造のシェードの後方側の可動側部分と前方側の可動側部分とのかしめる状態を示す展開図である。
【図9】一体構造のシェードとバネ部材とを示す平面図である。
【図10】図9におけるX矢視図である。
【図11】図10におけるXI矢視図である。
【図12】図9におけるXII矢視図である。
【図13】シェードの固定側部分を示す平面図である。
【図14】図13におけるXIV線断面図である。
【図15】図13におけるXV矢視図である。
【図16】(A)はすれ違い用の配光パターンを示す説明図、(B)は走行用の配光パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1 ヘッドランプ
2 放電灯
3 リフレクタ
4 集光レンズ
5 シェード
6 ソレノイド
7 バネ部材
8 ソケット機構
9 ホルダ
10 前方側の可動側部分
11 後方側の可動側部分
12 固定側部分
13 エッジ部
14 プランジャー(進退ロッド)
15 取付部分
16 スクリュー
17 固定部
18 ストッパ部
19 シェード部
20 スクリュー
21 切欠
22 長切欠
24 取付部
25 取付薄板部
26 第1孔部
27 第2孔部
30 ストッパ片
31 ビード
32 かしめ
F1 第1焦点
F2 第2焦点
LP すれ違い用の配光パターン
HP 走行用の配光パターン
CL カットライン
UL 最下位の車体フレームのライン
OL ソレノイドの下部

Claims (1)

  1. 1個の光源で、所定のすれ違い用の配光パターンと、所定の走行用の配光パターンとが、それぞれ切り替わって得られる2灯式のヘッドランプにおいて、
    前記光源からの光を、所定のすれ違い用の配光パターンが得られるロービームと、所定の走行用の配光パターンが得られるハイビームとに、切り替える切り替え部分としての可動側部分と、その他の部分としての固定側部分と、から構成されているシェードと、
    前記シェードの前記可動側部分を、前記ロービームが得られるロービーム姿勢と、前記ハイビームが得られるハイビーム姿勢とに、切り替えるソレノイドおよびバネ部材と、
    前記シェードの前記可動側部分のロービーム姿勢をほぼ直交する3方向において規制する手段と、
    を備え、
    前記シェードの前記可動側部分と前記バネ部材とは、結合されており、
    前記ソレノイドは、通電時には前記バネ部材のバネ力に抗して前記シェードの前記可動側部分をロービーム姿勢からハイビーム姿勢に切り替えるものであり、
    前記バネ部材は、前記ソレノイドへの通電遮断時には弾性復帰して前記シェードの前記可動側部分をハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替えるものであり、
    前記規制手段は、前記シェードの前記可動側部分の切替方向を規制する第1規制手段と、前記第1規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向を規制する第2規制手段と、前記第1規制手段の規制方向および前記第2規制手段の規制方向に対してほぼ直交する方向を規制する第3規制手段と、から構成されていて、
    前記第1規制手段は、前記シェードの前記可動側部分および前記バネ部材側に設けられていて、前記シェードの前記可動側部分の切替方向に対してほぼ直交する平板形状をなす薄板部と、前記シェードの前記固定側部分に設けられており、前記シェードの前記可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、前記薄板部が当接する平板形状のストッパ部と、からなり、
    前記第2規制手段は、前記ストッパ部と、前記薄板部の両側縁に折り曲げて形成されていて、前記シェードの前記可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、前記ストッパ部を挟み込む前記挟持部と、からなり、
    前記第3規制手段は、前記ストッパ部に前記薄板部の両側縁の一方の前記挟持部に沿って設けられた切欠の両端壁面と、前記シェードの前記可動側部分がハイビーム姿勢からロービーム姿勢に切り替わったときに、前記切欠に挿入する一方の前記挟持部の両端面と、からなる、
    ことを特徴とするヘッドランプ。
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