JP4008995B2 - 噴霧式フラックス塗布装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、局所はんだ付けにあたってプリント配線基板に局所フラックス付けを行う噴霧式フラックス塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示されるように、プリント配線基板(以下、単に「基板」という)Pの下側面に予め電子部品aがはんだ付けされた状態で、基板Pの上側面に搭載されたヒートシンク、チューナシャーシまたはコネクタなどの後付け部品bのリードLを基板Pの下側面にはんだ付けする場合は、そのリードLのみを基板Pの下側面に局所はんだ付け(ポイントディップ)する必要がある。
【0003】
この局所はんだ付けを行うに当って、基板Pの下側面にフラックス槽内のフラックスFを塗布するが、基板Pの下側面に先付けされている電子部品aにはフラックスFを塗布できないので、フラックス塗布も基板Pの限られた局所はんだ付け部位Sに局所的に行う必要がある。
【0004】
従来、この局所的なフラックス塗布(以下、「局所フラックス付け」という)を行う場合、図5に示されるような発泡式のフラックス塗布装置を用いている。すなわち、発泡ノズル1の内部に中空の多孔質体2を設け、この多孔質体2内に空気を供給して、多孔質体2の表面よりフラックスを発泡させ、発泡により膨張した泡状フラックスfを発泡ノズル1により上方へ案内し、基板Pの限られた局所はんだ付け部位SおよびリードLに塗布するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この従来のフラックス塗布装置では、発泡ノズル1の周辺からのフラックスの滲みが生じ、限られた局所はんだ付け部位のみに対する良好な局所フラックス付けを行えない。また、泡の高さ、大きさおよび発生スピードなどの発泡状態をコントロールすることが容易でなく、同一基板中で異なる局所はんだ付け部位毎にフラックス塗布量を可変制御することはできない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、限られた局所はんだ付け部位に対する良好な局所フラックス付けを行え、また、局所はんだ付け部位に応じてフラックス塗布量を容易に可変制御できる噴霧式フラックス塗布装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、プリント配線基板の下面にて局所はんだ付けの予定されていない部分を覆うマスクと、このマスクを介してプリント配線基板にフラックスを噴霧するスプレーノズルと、プリント配線基板を定位置に位置決めする基板位置決め機構と、マスクをプリント配線基板に対し上下動させるマスク移動機構と、スプレーノズルをマスクの任意の開口部位置に水平移動させるスプレーノズル移動機構とを具備し、マスクは、マスク本体と、このマスク本体に設けられ局所はんだ付けの予定された複数の局所はんだ付け部位と対向する部分のみを開口した複数の開口部と、これらの各開口部の周囲からプリント配線基板に向かってそれぞれ突出されスプレーノズルから噴霧されたフラックスをそれぞれ案内する複数の噴霧案内筒とを備えた噴霧式フラックス塗布装置である。
【0008】
そして、スプレーノズルから噴霧されたフラックスは、マスクのマスク本体により遮断される粒子と、マスク本体に設けられた複数の開口部の周囲からそれぞれ突出された複数の噴霧案内筒を透過してプリント配線基板に到達する粒子とに分かれ、複数の噴霧案内筒と対応するプリント配線基板の限られた複数の局所はんだ付け部位に塗布され、その周辺には塗布されない。このとき、スプレーノズルから噴霧されたフラックスは、噴霧案内筒により方向付けされるとともに噴霧領域を絞られて、プリント配線基板の限られた局所はんだ付け部位のみに高精度に塗布される。さらに、基板位置決め機構がプリント配線基板を定位置に位置決めすると、マスク移動機構がマスクの噴霧案内筒をプリント配線基板に近接させ、スプレーノズル移動機構がスプレーノズルをマスクの任意の開口部位置に水平移動し、スプレーノズルから噴霧されたフラックスをマスクの噴霧案内筒を通して塗布する。また、局所はんだ付け部位に応じて噴霧時間などを調整することによりフラックス塗布量が可変制御される。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の噴霧式フラックス塗布装置において、スプレーノズルを内部に設置したフラックス垂れ受カバーを具備し、マスクは、フラックス垂れ受カバー内に設けられ、マスク本体の周縁部は、下方へ折曲形成されたものである。
【0010】
そして、マスク本体の周縁部は下方へ折曲形成されて、マスク本体の下面に付着したフラックスのフラックス垂れ受カバー内での垂れ落ちを容易にする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1乃至図4に示された実施の一形態を参照しながら説明する。
【0012】
図1乃至図3は局所フラックス付けが行われる噴霧式フラックス塗布装置を示し、この装置は、プリント配線基板(以下、単に「基板」という)Pを定位置に位置決めする基板位置決め機構11と、マスク12を上下方向に移動させるマスク移動機構13と、スプレーノズル14を水平移動させるスプレーノズル移動機構15とを備えている。
【0013】
図1および図2に示されるように、この局所フラックス付け装置では、ベース21に基台22が設けられ、この基台22上に一対の支持板23によりフラックス垂れ受カバー24が取付けられ、このフラックス垂れ受カバー24の底部にはフラックス垂れ受トレー25が設けられ、側面の開口26には空気吸引ダクト27が接続されている。なお、基板Pの上側にも、噴霧されたフラックスの余剰分を吸引するカバーおよびダクトを設けておいてもよい。
【0014】
図1に示されるように、基板Pには、ヒートシンクなどの大形の後付け部品bが搭載されており、基板Pは搬送手段により基板位置決め機構11まで搬送される。この基板Pの搬送手段は、一対の支持部材28により平行に配置された一対のガイドレール29がそれぞれ支持され、これらのガイドレール29に無端チェン30がそれぞれ移動自在に嵌合され、これらの無端チェン30により基板Pが支持されている。そして、両側の無端チェン30の相互に対向する内側部が同方向へ同期駆動され、基板Pが搬送される。
【0015】
前記基板位置決め機構11は、図示されないモータなどにより回動される回転軸31にアーム32の基端部が一体的に嵌着され、アーム32の先端部に位置決めピン33が取付けられたものであり、この位置決めピン33を下方へ回動して、搬送手段により搬送されてきてほぼ定位置で停止した基板Pの位置決め穴に挿入することにより、基板Pを正確に位置決めする。
【0016】
図2に示されるように、前記マスク12は、基板Pの下面にて局所はんだ付けの予定されていない部分を覆うマスク本体34に、局所はんだ付けの予定された局所はんだ付け部位と対向する部分のみを開口した開口部35が設けられ、さらに、この開口部35の周囲から基板Pに向かって噴霧案内筒36が突出されている。
【0017】
マスク本体34の周縁部は下方へ折曲形成されて、マスク本体34の下面に付着したフラックスの垂れ落ちを容易にしている。一方、上下方向に一定の長さを有する噴霧案内筒36は、スプレーノズル14から噴霧されたフラックスの噴霧領域を絞り、基板Pの局所はんだ付け部位に案内するものである。
【0018】
図1および図2に示されるように、前記マスク移動機構13は、マスク12を基板Pに対し上下動させるもので、基台22の側板41に取付けられた4個のスライド軸受42にそれぞれガイドロッド43が上下動自在に嵌合され、これらのガイドロッド43の上部に上下動板44が取付けられ、この上下動板44の中央部に、基台22上に取付けられたマスク上下動用シリンダ45のピストンロッド46が連結されている。さらに、上下動板44の両側部上に取付板47を介して計4本の上下動ロッド48が取付けられ、これらの上下動ロッド48の上端部に取付板49を介して前記マスク12が支持されている。
【0019】
取付板49は、図1に示されるようにフラックス垂れ受カバー24の内部に位置するマスク12を支持するために、フラックス垂れ受カバー24の上部に切欠形成された上下方向の切込溝51に上下動自在に嵌合され、マスク12の側面より突出されたL形板52を係止し、固定している。
【0020】
そして、マスク上下動用シリンダ45により上下動板44および上下動ロッド48を介してマスク12を上下動する。例えば、基板Pを図示された位置に搬入する際はマスク12を下降させ、また、基板Pにフラックスを噴霧する際はマスク12を上昇させて、その噴霧案内筒36を基板Pの下面に近接させる。この近接は、密着状態も含む。
【0021】
図3に示されるように、前記スプレーノズル移動機構15は、X軸機構部55によりY軸機構部56がX軸方向に移動可能に設けられ、Y軸機構部56によりノズル取付アーム57がY軸方向に移動可能に設けられ、ノズル取付アーム57の先端部は、図1に示されるように前記フラックス垂れ受カバー24の側板部に水平に切欠形成された長穴58を経てマスク12の下側に移動自在に挿入され、このノズル取付アーム57の先端部に、フラックス供給管59を介して一対のスプレーノズル14が取付けられ、これらのスプレーノズル14をマスク12の任意の開口部位置に移動させるX−Yロボットである。
【0022】
X軸機構部55およびY軸機構部56は、送りネジおよびガイドロッドを内蔵し、送りネジをサーボモータにより所定量回動して、送りネジと螺合する被移動部材(Y軸機構部56またはノズル取付アーム57)をガイドロッドに沿って移動するものである。
【0023】
前記スプレーノズル14は、図示されないフラックス供給源からフレキシブルホースおよび前記フラックス供給管59などを経てフラックス原液の供給を受けるノズル本体14a と、このノズル本体14a の上面に設けられ基板Pに向かってフラックスを噴霧する吹出口14b とを有する。
【0024】
次に、図1乃至図3に示された実施形態の作用を、図4も参照しながら説明する。
【0025】
基板位置決め機構11がその位置決めピン33により基板Pを定位置に位置決めすると、マスク移動機構13がマスク12を上昇させて、マスク12の噴霧案内筒36を基板Pに近接(密着)させ、スプレーノズル移動機構15がスプレーノズル14をプログラムで指定されたマスク12の開口部位置に移送し、スプレーノズル14から噴霧されたフラックスFをマスク12の開口部35より噴霧案内筒36内を通して基板Pの下面に塗布する。
【0026】
その際、スプレーノズル移動機構15によりマスク12の開口部位置に正確に移動されたスプレーノズル14から噴霧されたフラックス(希釈されていない原液)は、マスク本体34により遮断されるフラックス粒子と、開口部35および噴霧案内筒36により方向付けされるとともに噴霧領域を絞られて基板Pに到達するフラックス粒子とに分かれ、マスク12の開口部35および噴霧案内筒36と対応する基板Pの限られた局所はんだ付け部位Sのみに高精度に塗布され、その周辺には塗布されない。
【0027】
このスプレーノズル14を支持しながら水平に移動する2軸移動可能のロボットであるスプレーノズル移動機構15は、X軸機構部55およびY軸機構部56のサーボモータをプログラム制御することにより、フラックス塗布ポイント毎のスプレーノズル位置制御を正確にかつ簡単に行える。
【0028】
一方、局所はんだ付け部位S毎に要求されるフラックス塗布厚が異なっても、噴霧時間などを調整することによりフラックス塗布量を高精度に可変制御できる。例えば、フラックス塗布膜の膜厚を増加させるときは、その膜厚増加分だけフラックス噴霧時間を増加させたり、またはスプレーノズル14が噴霧しながら移動する場合はスプレーノズル移動機構15によるスプレーノズル14の移動速度を遅くすると良い。
【0029】
以上のように、従来の発泡式フラックス塗布装置は、フラックス原液と希釈剤とを混合して用いるので、フラックスの比重管理およびフラックス中の水分管理を正確に行う必要もあるが、本発明に係る噴霧式フラックス塗布装置は、フラックス原液を用いるので、フラックスの比重および水分などを管理する必要がなく、管理項目が少なくなり、取扱も容易である。
【0030】
さらに、基板Pとスプレーノズル14 との間にマスク12 を介在させ、マスク12の噴霧案内筒36 を基板Pの下面に近接させたことにより、基板Pの狭小な部位にも、その周囲にフラックス(原液)を滲ませないで塗布することが可能となった。
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、局所はんだ付けの予定された複数の局所はんだ付け部位と対向する部分のみをマスク本体に開口した複数の開口部の周囲からそれぞれ複数の噴霧 案内筒が突出されたマスクを介して、スプレーノズルによりプリント配線基板にフラックスを噴霧するから、限られた局所はんだ付け部位のみに対する良好な局所フラックス付けを行える。このとき、マスクの噴霧案内筒により、スプレーノズルから噴霧されたフラックス粒子の方向付けを行い、プリント配線基板に到達するフラックスの噴霧領域を絞るから、プリント配線基板の限られた局所はんだ付け部位のみにフラックスを高精度に塗布できる。さらに、基板位置決め機構とマスク移動機構とスプレーノズル移動機構とにより、プリント配線基板の限られた局所はんだ付け部位に対する局所フラックス付けを自動化できる。また、同一基板中の異なる局所はんだ付け部位毎に噴霧時間などを変更することによりフラックス塗布量を容易に可変制御できる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、マスク本体の周縁部は下方へ折曲形成されているので、マスク本体の下面に付着したフラックスのフラックス垂れ受カバー内での垂れ落ちを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の噴霧式フラックス塗布装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】 図1のII−II線断面図である。
【図3】 同上噴霧式フラックス塗布装置の平面図である。
【図4】 同上噴霧式フラックス塗布装置における基板とマスクとスプレーノズルとの位置関係を示す断面図である。
【図5】 従来の発泡式フラックス塗布装置を示す断面図である。
【符号の説明】
P プリント配線基板
11 基板位置決め機構
12 マスク
13 マスク移動機構
14 スプレーノズル
15 スプレーノズル移動機構
24 フラックス垂れ受カバー
34 マスク本体
35 開口部
36 噴霧案内筒
Claims (2)
- プリント配線基板の下面にて局所はんだ付けの予定されていない部分を覆うマスクと、
このマスクを介してプリント配線基板にフラックスを噴霧するスプレーノズルと、
プリント配線基板を定位置に位置決めする基板位置決め機構と、
マスクをプリント配線基板に対し上下動させるマスク移動機構と、
スプレーノズルをマスクの任意の開口部位置に水平移動させるスプレーノズル移動機構とを具備し、
マスクは、
マスク本体と、
このマスク本体に設けられ局所はんだ付けの予定された複数の局所はんだ付け部位と対向する部分のみを開口した複数の開口部と、
これらの各開口部の周囲からプリント配線基板に向かってそれぞれ突出されスプレーノズルから噴霧されたフラックスをそれぞれ案内する複数の噴霧案内筒とを備えた
ことを特徴とする噴霧式フラックス塗布装置。 - スプレーノズルを内部に設置したフラックス垂れ受カバーを具備し、
マスクは、フラックス垂れ受カバー内に設けられ、
マスク本体の周縁部は、下方へ折曲形成された
ことを特徴とする請求項1記載の噴霧式フラックス塗布装置。
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JP33985297A JP4008995B2 (ja) | 1997-12-10 | 1997-12-10 | 噴霧式フラックス塗布装置 |
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JPH11177226A JPH11177226A (ja) | 1999-07-02 |
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Cited By (1)
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-
1997
- 1997-12-10 JP JP33985297A patent/JP4008995B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN102632004B (zh) * | 2012-04-19 | 2014-05-07 | 辽宁工程技术大学 | 一种自动波峰炉焊锡机的助焊剂喷涂装置及方法 |
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