JP4007096B2 - 照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車載用のテールランプ/ストップランプとして利用できる照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例を図27〜図30に示す。図27は複数のLEDを用いた車載用テール/ストップランプの回路図を示す。図28はこのようなテール/ストップランプの配置される箇所を図示したものである。図27において、LED1は第1のLEDユニット、LED2は第2のLEDユニット、D1,D2はダイオード、R1〜R4は抵抗である。GNDはグランド端子であり、Stopはブレーキを踏んだストップランプ点灯状態で通電される端子、Tailはテールランプ点灯状態で通電される端子である。
【0003】
テールランプ点灯状態ではLEDの光出力を低く抑え、ブレーキを踏んだストップランプ点灯状態ではLEDの光出力を増大させて使用される。このような方式は安価なためによく使われるが、光量確保のために複数のLEDを接続する場合には、LEDの順方向電圧Vfの和が少なくとも電源電圧以下となるようにLEDを直列に接続したLEDユニットを並列に接続しないと必要数のLEDが接続できない。例えば電源が車で使われるようなバッテリーでは定格が12V、電源変動が9V〜16Vの範囲なので、LEDの順方向電圧Vfが3Vであれば、LEDは直列に3個しか接続できないことになる。従って、LEDを6個点灯させたい場合には図27のように並列に接続して使用する必要がある。
【0004】
以下、図27の回路の動作について簡単に説明する。まず、テールランプ点灯状態では図のTail端子とGND端子間にバッテリーが接続され、ダイオードD2と抵抗R1を介して複数個直列に接続された第1のLEDユニット(LED1)が、またダイオードD2と抵抗R4を介して複数個直列に接続された第2のLEDユニット(LED2)が点灯し、抵抗R1とR4の抵抗値を等しく設定すれば、LED1とLED2は略等しく発光する。
【0005】
次に、ストップランプ点灯状態では、図のStop端子とGND端子間にバッテリーが接続され、ダイオードD1と抵抗R2を介してLED1が、またダイオードD1と抵抗R3を介してLED2が点灯し、抵抗R2とR3の抵抗値を等しく且つ抵抗R1,R4に対して十分小さく設定すれば、LED1とLED2は略等しく高出力で発光する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
(課題1)
このような従来例における課題として、上記のような電池などを電源とした時の電源変動による光出力の変化や、LEDの順方向電圧Vfのばらつきによる並列回路の光出力のばらつきが挙げられる。電池電圧をVdc、ダイオードD1,D2の順方向電圧をVf0、抵抗値をR、LED1の各順方向電圧をVf11,Vf12,Vf13、LED2の各順方向電圧をVf21,Vf22,Vf23とすれば、LED1及びLED2の電流は下式のように表される。
I(LED1)=[Vdc−Vf0−(Vf11+Vf12+Vf13)]/R
I(LED2)=[Vdc−Vf0−(Vf21+Vf22+Vf23)]/R
【0007】
すなわち、電池電圧Vdcが変動するとI(LED1),I(LED2)は同じように変動するので、最低の電源電圧の時に必要な光出力が得られるようにすると、電源が変動して高くなったときにLEDに過電流が流れ、LED自身が発熱し、寿命に影響を与えたり、限流用の抵抗の消費電力が大きくなり、定格電力の大きい抵抗を使う必要が生じる。また、各LEDの順方向電圧がばらつくと、特に順方向電圧の総和と電池電圧の差が少ない場合にLED1及びLED2の電流I(LED1),I(LED2)は大きく異なることが予想され、各並列回路の光出力にアンバランスを生じる。
【0008】
(課題2)
更に車載用特有の課題として、LED断線時に必要最低限の光出力が得られない事態が予想されることから、断線時には全灯とも消灯して識別を容易にする機能が要求される。ところが、上述したようにLEDの数が増えると電源との関係上、並列にせざるをえず、LED回路が並列に接続されていると、LEDが1灯断線しても全部のLEDを消灯させることはできない。
【0009】
図29は前者の課題1に対する一つの解決手段を示すものである。抵抗R4、コレクタとべースを短絡したトランジスタTr3、抵抗R3を直列に接続した基準電流回路、LED1と直列に接続されベースが上記トランジスタTr3のベースに接続されたトランジスタTr1と抵抗R1の直列回路、同様にLED2と直列に接続されベースが上記トランジスタTr3のベースに接続されたトランジスタTr2と抵抗R2の直列回路はカレントミラー回路を構成し、LED1及びLED2の回路電流を上記の基準電流に略等しくなるように制御される。このような方策によって、LEDの順方向電圧がばらついても並列回路の電流を概ね合わせることが可能となり、光出力への影響を回避できる。
【0010】
図30は後者の課題2に対する一つの解決手段を示したものである。LED1,LED2には各々電流制限抵抗R2,R3が直列に接続され、トータルの電流は抵抗R1でバイアスされたトランジスタTr1を介して流れる。LED1及びLED2が全て正常であればLED電流が流れて抵抗R2,R3には一定の電圧降下を生じ、コンパレータCOMPの−端子は基準電源の電圧を抵抗R4とR7で分圧した電位に保たれ、抵抗R5とR8の分圧で決まるコンパレータCOMPの+端子の電位を上記−端子の電位以下に設定すれば、コンパレータCOMPの出力はLowの状態となり、トランジスタTr1のベース・エミッタ間に接続されたトランジスタTr2はオフ、トランジスタTr1はオンを持続してLED1,LED2を点灯する。
【0011】
LED1,LED2の何れかのLEDが断線すれば、抵抗R2或いはR3の電圧降下が消滅するので、コンパレータCOMPの−端子電位はダイオードD1或いはD2を介して接続される抵抗R2或いはR3によって低下し、コンパレータCOMPの+端子電位以下となればその出力はHighに反転し、抵抗R6及びダイオードD3を介して+端子をHighに固定して自己ラッチし、以降コンパレータCOMPの出力はHighに固定される。従って抵抗R9を介してトランジスタTr2のベース電流が供給され、トランジスタTr2がオン、トランジスタTr1がオフとなってLED1,LED2とも全て消灯する。
【0012】
上記従来例における2つの課題に対して図29,図30で示したような方策を組み合わせる必要があるため、回路構成が複雑となってコスト的な課題を生じたり、LEDが正常であるにも関わらず、外来ノイズ等による誤動作で全灯消灯するような事態も起こりやすくなって、信頼性の面での課題も生まれる。
【0013】
(課題3)
また、車載用ではイグニッションを切った時やロードダンプ時や他の機器を電源ON/OFFしたときなどに電源に過渡的なサージ電圧が発生することがある。例えば車載機器の規格である自動車規格(JASO)では一例としてピーク電圧70V、減衰定数200ms(最大値の36.8%まで減衰する時間)等のサージが規定されている。
【0014】
このようなサージが印加されると図27の回路ではLEDに過電流が流れ、LEDが破壊する可能性が考えられる。このようなサージの対策として入力部にパワーツェナーやバリスタ等のサージ対策部品を設けることで対策は可能であるが、前記部品は形状も大きく高価であるという問題がある。
【0015】
本発明は上述のような従来例の欠点に鑑みてなされたもので、電池などの変動範囲の大きな電源を用いて複数のLEDを点灯する照明装置のLED点灯回路において、電源変動による光出力の変動やLED光出力のアンバランスを抑制することが可能であり、またLEDが1灯でも断線に至った場合だけ全てのLEDを消灯でき、外乱等による誤動作の可能性を除去できる照明装置を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の照明装置によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、直流電源VdcにチョークコイルL1とスイッチング素子Tr1を直列接続し、スイッチング素子Tr1の両端の電圧を整流平滑するダイオードD1及びコンデンサC1と、上記スイッチング素子Tr1を高周波で動作させる制御回路1とで構成された昇圧回路を備え、この昇圧回路の出力に複数個のLEDが直列に接続されたLEDユニットが抵抗R2を介して接続され、LEDの順方向電圧の和が直流電源Vdcの電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、前記制御回路1は前記抵抗R2に流れる電流を検出することでLEDに流れる電流が一定となるように定電流制御するためのフィードバック入力端子INを備える照明装置において、図3に示すように、LEDの断線時には前記制御回路1のフィードバック入力端子INを用いて昇圧回路の出力電圧が一定となる定電圧制御に切り替える手段として、少なくともツェナーダイオードZD1を含む過電圧検出回路を制御回路1のフィードバック入力端子INと昇圧回路の高電位側出力端との間に接続し、該ツェナーダイオードZD1はLEDの断線時に導通するようにツェナー電圧が設定されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項2の発明によれば、請求項1において、LEDユニットに流れる電流を低出力と高出力に切り替える場合に、低出力時には前記抵抗の両端の電圧とLEDの順方向電圧の和が直流電源の電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、高出力時には昇圧回路の出力電圧を高くしたことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項2において、低出力時に前記抵抗の両端の電圧とLEDの順方向電圧の和が直流電源の電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、LEDユニットと直列に接続された前記抵抗の抵抗値を変化させることで高出力と低出力を切り替えることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、請求項3において、高出力時に入力電圧範囲を超える異常電圧が入力された時には低出力時の動作に切り替えることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、LEDユニットが複数個並列に接続され、それらのLEDユニットがそれぞれ一定周期で点灯するように制御され、各LEDユニットを切り替える時に複数のLEDユニットが同時に点灯する重複期間を設けたことを特徴とする。
請求項6の発明によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、負荷として第1及び第2のLEDユニットを並列に接続され、第1のLEDユニットの回路電流で第2のLEDユニットの回路電流を制御する第1のカレントミラー回路と、第2のLEDユニットの回路電流で第1のLEDユニットの回路電流を制御する第2のカレントミラー回路を備えることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に本発明の第1の実施形態の前提となる基本構成を示す。直流電源Vdcと直列にチョークコイルL1とスイッチング素子Tr1が接続され、スイッチング素子Tr1の両端には整流用のダイオードD1と平滑用コンデンサC1が接続されているいわゆる昇圧チョッパー回路の構成である。コンデンサC1の両端には複数個のLEDからなるLEDユニット(以後LEDと記載する)と、LEDに流れる電流を検出する抵抗R2が直列に接続されている。制御回路1は図2のようなエラーアンプ(E/A)1aと発振器1bと比較器1cとからなるいわゆるPWM制御回路となっており、制御回路1のIN端子の電圧が一定となるように図1のスイッチング素子Tr1を高周波(数十〜数百kHz)でスイッチングしている。
【0021】
直流電源Vdcに電池などが使われた場合、例えば自動車用の電池の場合では電圧変動範囲が9〜16Vと広範囲に変動する。従って、LEDの順方向電圧が仮に3V/個であると、出力側のLEDは順方向電圧の和が16V以上、すなわち最低限6個を直列に接続することで、昇圧回路の出力電圧は電源の変動範囲以上とすることが可能となり、電源が変動した場合でもLEDに流れる電流は一定にすることが可能である。
【0022】
図3に本発明の第1の実施形態を示す。基本構成は図1と同様であり、図1の基本構成を有する回路であれば、図3の構成を適用することができ、昇圧回路の出力からツェナーダイオードZD1と抵抗R5を介してフィードバックループとなる制御回路1のIN端子へ接続する。LEDが断線した場合には電流が流れないので、IN端子は略0Vとなるため、制御回路1は出力を上げるように、スイッチング素子Tr1のONデューティを大きくする。そのため出力電圧は上昇するが、出力電圧がツェナー電圧以上となるとツェナーダイオードZD1がオンするので、出力電圧は略ツェナー電圧に制限される。
【0023】
このように本実施形態では、LEDを順方向電圧の和が電源電圧以上となるように直列に接続し、昇圧回路を用いてLEDに一定電流が流れるように制御することで、LEDの順方向電圧のばらつきや従来のような並列回路でのばらつきや電源変動等による光出力のばらつきをなくすことが可能であり、また、LED1灯が断線した時には複雑な回路を必要とせずに全灯を消灯させることが可能であると共に、簡単な構成でLEDが断線した時に回路電圧が異常に上昇することや、スイッチング素子が過負荷状態になることを防止することができる。
【0024】
(実施形態2)
自動車用のテールランプ/ストップランプのように光出力を切り替える必要が有る場合の実施形態を図4に示す。自動車用のテールランプ/ストップランプでは、テールランプ点灯時には低出力、ストップランプ点灯時には高出力の光出力に切り替える必要がある。Tail端子から電源が入力されているときは、抵抗R2の両端に発生する電圧は抵抗R3,R4で分圧されて制御回路1のIN端子に入力されており、この電圧が内部の基準電圧Vrefと同じになるようにLEDに流れる電流が制御されて動作している。Stop端子から電源が入力されたときには、抵抗R6を介してトランジスタTr2がオンすることで制御回路1のIN端子の電圧は抵抗R4と、抵抗R3,R5からなる並列回路の分圧に変わるためにIN端子の電圧が低下する。従って、同様に基準電圧Vrefと同じ電圧になるためにはLEDに流れる電流はテールランプ点灯時に比べて大きくなる。すなわち昇圧回路の出力電圧はテールランプ点灯時に比べて高くなる。
【0025】
他の回路例を図5に示す。Tail端子から電源が入力されているときは、抵抗R2の両端に発生する電圧は抵抗R3,R4で分圧されて制御回路1のIN端子に入力されており、この電圧が内部の基準電圧Vrefと同じになるようにLEDに流れる電流が制御されて動作している。Stop端子から電源が入力されたときには、抵抗R6を介してトランジスタTr2がオンすることでLEDの電流を制限している抵抗R2に並列に抵抗R5が接続され、抵抗値が小さくなるのでLEDに流れる電流は大きくなり、光出力は増大する。制限抵抗が小さくなるので出力電圧が低下するが、LEDのV−I特性上、LED電流が増加することでLEDの順方向電圧が増加するので、出力電圧は電源電圧に対して高くすることが可能であり、電源電圧変動に対しても確実に制御が可能である。
【0026】
その他の回路例を図6に示す。Stop端子から電源が入力されたときには、抵抗R6を介してトランジスタTr2がオンすることでLEDの電流を制限している抵抗R2に並列に抵抗R5が接続され、抵抗値を切り替えると共に、Tail端子から電源が入力されているときは、抵抗R7を介してトランジスタTr3がオンすることで制御回路1のIN端子の電圧の分圧比を切り替える例である。ストップランプ点灯時とテールランプ点灯時の調光比が大きい場合に、LED電流が低下するテールランプ点灯時に、LEDの順方向電圧がLEDの特性上低くなるので、昇圧回路の出力電圧が低下してしまい、電源変動に対して電源電圧以下となり、制御が出来なくなる、また、抵抗R2の抵抗値を高くすると、抵抗R3,R4の分圧比が高くなり過ぎ、制御回路1が制御できなくなり、電源変動に対して昇圧回路の出力電圧が低下してしまうという可能性がある。これらを防止するためには出力電圧をLEDの順方向電圧の和よりも非常に高く設定する必要があり、電流制限抵抗での損失が大きくなってしまうという問題が生じる。
【0027】
図6の回路では、Stop端子から電源が入力されたときには、トランジスタTr2がオンするので、制限抵抗値が下がるから電流が増加し、Tail端子から電源が入力されているときには、トランジスタTr3がオンして、抵抗R3とR4の分圧比を変えることで昇圧回路の二次側電圧を必要以上に高くする必要はなく、出力が安定するように制御を行うことができる。
【0028】
その他の回路例を図7に示す。ダイオードD2,D3のカソードからツェナーダイオードZD1と抵抗R7、トランジスタTr3からなる過電圧保護回路を設ける。ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧は電源電圧範囲以上の電圧、例えば電源電圧が9〜16Vの範囲で変動する電源であれば24Vなどの電圧とする。Stop端子から電源入力されている高出力状態でLEDが点灯している時に、入力電源にサージなどにより過電圧が発生し、その過電圧がツェナー電圧以上の電圧であれば、ツェナーダイオードZD1がオンしてトランジスタTr3がオンするので、トランジスタTr2がオフしてLEDユニットの直列抵抗がR2のみとなるので、テールランプ点灯時の低い電流に切り替わるから、過電圧に対してもLEDに過電流が流れることは無い。
【0029】
このように本実施形態では光出力を変化させた時においても低出力時の順方向電圧の和が電源電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、昇圧回路の出力を低出力と高出力に変化させ、LEDに一定電流が流れるように制御することで、光出力が異なる状態においてもLEDの順方向電圧のばらつきや従来のような並列回路でのばらつきや電源変動等による光出力のばらつきをなくすことが可能であり、またLED1灯が断線した時には複雑な回路を必要とせずに全灯を消灯させることが可能である。
【0030】
さらに、図6のような回路では高出力時にも昇圧回路の出力電圧を高くする必要が無いので、部品の耐圧を低くすることが出来、また、制限抵抗での損失を小さくすることができるというメリットが有る。
また、図7のような回路では入力電圧にイグニッション時等のサージ的な過電圧が生じた場合においてもLEDに過電流が流れることが無い。
【0031】
(実施形態3)
図8に本発明の実施形態3の回路構成を示す。複数のLEDユニットを点灯する例であり、チョークコイルL1、ダイオードD1、スイッチング素子Tr5、コンデンサC1、制御回路1からなる昇圧回路の出力に、PNP型トランジスタTr1,Tr2及びエミッタ抵抗R1,R2から成る第1のカレントミラー回路(一方のトランジスタ例えばTr2のベース・コレクタ間は短絡される)を構成し、PNP型トランジスタTr1及びTr2のコレクタ側にLEDユニット(LED1,LED2)のアノード側が接続され、夫々のカソード側にNPN型トランジスタTr3,Tr4及びエミッタ抵抗R3,R4からなる第2のカレントミラー回路(LEDのアノード側のPNP型トランジスタのベース・コレクタ間が短絡されていない方のトランジスタ、ここではTr3のベース・コレクタ間が短絡される)が接続され、抵抗R3またはR4のどちらかの電圧降下を検出し、この電圧即ち回路電流が一定となるように昇圧回路は定電流制御されている。
【0032】
上記の2つのカレントミラー回路は、相互に回路電流をミラーし合う関係にあり、双方のLED回路電流のバランスをとると同時に、どちらかの電流が無くなれば他方の電流も遮断されることになり、従来例における各回路のLED光出力のアンバランスを抑制すると共に、LEDが1灯でも断線に至った場合に全灯消灯が可能であり、しかも全灯消灯モードを設けていないので外乱等によってそのモードに固定されることも無く、上述の2つの課題を簡単な構成で解決することができる。
【0033】
図9にLEDユニットが3つの場合の例を示す。端子A,B,Cが図8の端子A,B,Cに接続される。このように本実施形態では複数個のLEDユニットを並列に接続した場合でも、LEDの順方向電圧Vfのばらつきによる光出力のアンバランスを無くすことが出来、またLEDが1灯でも断線すれば全てのLEDを消灯させる機能もそのまま発揮できる。また3つ以上の並列回路にも同様に展開できる。
【0034】
(実施形態4)
図10に本発明の実施形態4の回路構成を示す。定電流制御を行っている昇圧回路の出力部にトランジスタTr2,Tr3を介して複数のLEDからなるLEDユニットLED1,LED2が接続されている。トランジスタTr2,Tr3のベースはそれぞれ抵抗R5,R6を介してトランジスタTr4,Tr5のコレクタに接続されており、トランジスタTr4,Tr5はそれぞれ制御回路2からの信号S1,S2により駆動される。
【0035】
図11に示すように信号S1がHighの時はトランジスタTr4,Tr2がオンして、LED1が点灯する。信号S2がHighの時にはトランジスタTr5,Tr3がオンして、LED2が点灯するいわゆる時分割制御を行っている。信号S1とS2は同時にHighとなる重複期間T1を設け、この期間では二つのLEDユニットLED1,LED2が同時に点灯するように制御されている。
【0036】
このように複数のLEDユニットを並列に点灯させる場合、それぞれの順方向電圧のばらつきによりLEDユニットの光出力がアンバランスになる可能性があったが、時分割制御を行うことでLEDは1ユニット毎しか点灯しないので、順方向電圧のばらつきによる光出力のアンバランスが生じない。また、トランジスタTr2,Tr3を切り替える信号S1,S2には信号が同時にHighとなる瞬間T1が設けられており、LED1,LED2を切り替えるときには必ず両方のLEDが点灯する瞬間を設けることで、定電流回路が無負荷となり切替時に異常昇圧が生じることもない。
【0037】
(実施形態5)
図12に本発明の実施形態5の回路構成を示す。昇圧回路の出力に複数のLEDを直列に接続し、光出力を変化させる時は複数のLEDの一部を短絡して点灯させないことで光出力を低減させることが出来る。具体的にはチョークコイルL1、スイッチング素子Tr1、ダイオードD1、コンデンサC1、制御回路1からなる昇圧回路構成の定電流回路の出力部に複数のLEDからなるLEDユニットが接続され、LEDには定格電流以下の電流で定電流制御されている。光出力の高いストップランプ点灯時にはStop側の端子に電源が接続されるので、トランジスタTr2,Tr3がオフしているために出力側のLEDは全灯が点灯している。光出力の低いテールランプ点灯時にはTail側の端子に電源が接続されることでトランジスタTr2,Tr3がオンするためにLEDの一部が短絡状態となって発光せず、LEDの一部のみが点灯することになり、結果的に光出力は低下する。
【0038】
図13に他の例を示す。昇圧回路の出力部に複数のLEDが直列に接続されたLEDユニットが並列に接続されている。図12と同様にストップランプ点灯時にはトランジスタTr3がオンするので、LED1,LED2共に点灯するが、テールランプ点灯時にはトランジスタTr3がオフしているので、LED1しか点灯しない。
【0039】
このように本実施形態では、複数のLEDからなる照明装置で高い光出力を必要とする場合にもLEDに流れる電流を変える必要が無いから、LEDの温度を上昇させることなく、容易に光出力を変えることが出来るので、LEDの長寿命化も期待できる。
【0040】
(実施形態6)
図14に本発明の実施形態6の回路構成を示す。本実施形態はLEDの近傍に点灯/不点灯を検出するためのセンサを実装したものである。図15,図16に本実施形態の実装構造の一例を示す。図16のようにLEDの近傍に受光素子3が同一基板上に実装され、受光素子3とLEDの一部を覆う形で弧状の遮光板4が設けられており、図16のような基板5上に構成されている。図15に示すようにLEDから出た光は遮光板4に当たり受光素子3に当たることで、LEDが点灯していることが判別でき、外光は遮光板4により、受光素子3に入ることはないので、LEDが点灯していることだけを検出することが可能である。
【0041】
図14に上記構成を用いた回路例を示す。LEDに電流が流れるとLEDが発光し、個別に設けられた受光素子(ここではフォトトランジスタ)がオンする。全てのLEDが点灯すると全てのフォトトランジスタがオンするのでトランジスタTr2,Tr3は共にオンする。NOR回路IC1の入力は<Low,Low>となるので、出力はHighとなり点灯を維持する。
【0042】
次に仮にLED1−1が点灯しなくなったとすると、LED1−1に対応するフォトトランジスタがオフとなり、トランジスタTr2はオフする。そうすると、NOR回路IC1の入力は<High,Low>となるので、出力はLowとなり、トランジスタTr4がオフして、トランジスタTr5がオフするからLEDは全て消灯する。なお、電源を入れたときには各LEDは消灯しているのでフォトトランジスタがオフしているから、NOR回路IC1の出力には遅延回路DLを設けて、電源が入った初期は一定時間Highを維持して、LEDが点灯するようにしている。
【0043】
実装構造の他の例を図17,図18に示す。受光素子3が同一パッケージ6内に設けられた例で、LEDのチップが基板5上にダイボンディング7等により設けられており、チップ上面からワイヤー8で内部電極に接続されている。内部電極は外部電極A,Bにそれぞれに接続されている。受光素子3は同様にもう一方の電極C,Dにワイヤーで接続されている。受光素子3としてはフォトダイオードやフォトトランジスタ等、光により動作する素子であればよい。受光素子3は受光面がLEDのチップ側に向いており、LEDが発光すると受光面で受光し素子が動作する。
【0044】
図19,図20に他の実施形態を示す。図20のようにLEDの近傍に温度検出素子9(例えばNTCサーミスタ)などを設け、LEDの温度を検出して、LEDが点灯しているかを判断する。LEDが点灯すると、LEDにはほぼ同じ電流が流れるので、LEDの温度は上昇する。LEDの温度が上昇するとLED近傍に設けられたサーミスタの抵抗値が変化するので、LED1のサーミスタ群と抵抗R7、同様にLED2のサーミスタ群と抵抗R8の分圧比が変わり、IC1のA/D変換入力端子A/D1、A/D2の電圧が変わる。抵抗R7とR8は同じ定数とする。A/D変換入力端子A/D1、A/D2の電圧値は本来同じであるが、点灯していなければ、温度が上昇しないLEDがあるので、サーミスタの抵抗値が変化しない。このため、分圧比が点灯していないLEDユニットとは異なる値になるので、点灯していないLEDがあると判断してIC1のOUT端子はLowとなり、トランジスタTr4,Tr5がオフして消灯する。IC1はマイコンなどで構成され、電源が入った初期は一定時間Highを出力する遅延機能を有している。
【0045】
このように本実施形態ではLED個別にLEDの光や温度を検出することで、LEDが断線ではなく短絡不良となって点灯しない場合でも点灯しないことを検出することが可能である。
【0046】
図21に実施形態1〜6の照明装置を用いたテールランプの器具の例を示す。図23のように、表面にLEDが実装され、裏面にLED点灯回路の電子部品9が実装された照明装置が導光板11の一端に設けられ、導光板11の一面には反射板12を設け、他面が発光するようになっている。図22のような導光板ユニット10を構成し、この導光板ユニット10が図25のようなケース13と透過性のある表面パネル14に組み込まれ、自動車の後部のテールランプを構成している。
【0047】
その他の例として、図24のように表面にLEDおよびLED点灯回路の電子部品9を実装したような照明装置や、図26のような表面パネルが無く、ケース13に導光板ユニット10が組み込まれたようなテールランプ等も考えられる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、バッテリー等の直流電源で複数のLEDを点灯する照明装置、特に自動車用のテールランプ/ストップランプに用いられる照明装置において課題となる各LED回路の電源変動による光出力変動や順方向電圧のばらつきによる光出力アンバランス及びLEDが1灯でも断線に至った場合にすべてのLEDを消灯する機能を簡単な構成で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の前提となる構成の回路図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に用いる制御回路の回路図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態の回路図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態の回路図である。
【図5】 本発明の第2の実施形態の一変形例の回路図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態の他の変形例の回路図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態の別の変形例の回路図である。
【図8】 本発明の第3の実施形態の回路図である。
【図9】 本発明の第3の実施形態の一変形例の回路図である。
【図10】 本発明の第4の実施形態の回路図である。
【図11】 本発明の第4の実施形態の動作説明図である。
【図12】 本発明の第5の実施形態の回路図である。
【図13】 本発明の第5の実施形態の一変形例の回路図である。
【図14】 本発明の第6の実施形態の回路図である。
【図15】 本発明の第6の実施形態の実装構造の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図16】 本発明の第6の実施形態の実装構造の一例を示す斜視図である。
【図17】 本発明の第6の実施形態の実装構造の他の例を示す斜視図である。
【図18】 本発明の第6の実施形態の実装構造の他の例を示す断面図である。
【図19】 本発明の第6の実施形態の一変形例の回路図である。
【図20】 本発明の第6の実施形態の一変形例の実装構造の一例を示す斜視図である。
【図21】 本発明の照明装置を用いたテールランプの実装構造の一例を示す分解斜視図である。
【図22】 本発明の照明装置を用いたテールランプの半完成品の外観を示す斜視図である。
【図23】 本発明の照明装置を用いたテールランプの基板上の実装構造の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図24】 本発明の照明装置を用いたテールランプの基板上の実装構造の他の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
【図25】 本発明の照明装置を用いたテールランプの完成品の外観の一例を示す斜視図である。
【図26】 本発明の照明装置を用いたテールランプの完成品の外観の他の一例を示す斜視図である。
【図27】 複数のLEDを用いた従来の照明装置の回路図である。
【図28】 自動車のテールランプ/ストップランプの装着箇所を示す斜視図である。
【図29】 複数のLEDを用いた従来の照明装置に光出力のばらつきを抑制する機能を付加した例を示す回路図である。
【図30】 複数のLEDを用いた従来の照明装置に断線時の全消灯機能を付加した例を示す回路図である。
【符号の説明】
LED LED直列回路
Vdc 直流電源
L1 チョークコイル
Tr1 スイッチング素子
D1 ダイオード
C1 平滑用コンデンサ
R2 電流制限抵抗
1 制御回路
Claims (6)
- 直流電源にチョークコイルとスイッチング素子を直列接続し、スイッチング素子両端の電圧を整流平滑するダイオード及びコンデンサと、上記スイッチング素子を高周波で動作させる制御回路とで構成された昇圧回路を備え、この昇圧回路の出力に複数個のLEDが直列に接続されたLEDユニットが抵抗を介して接続され、LEDの順方向電圧の和が直流電源の電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、前記制御回路は前記抵抗に流れる電流を検出することでLEDに流れる電流が一定となるように定電流制御するためのフィードバック入力端子を備える照明装置において、
LEDの断線時には前記制御回路のフィードバック入力端子を用いて昇圧回路の出力電圧が一定となる定電圧制御に切り替える手段として、少なくともツェナーダイオードを含む過電圧検出回路を制御回路のフィードバック入力端子と昇圧回路の高電位側出力端との間に接続し、該ツェナーダイオードはLEDの断線時に導通するようにツェナー電圧が設定されていることを特徴とする照明装置。 - 請求項1において、LEDユニットに流れる電流を低出力と高出力に切り替える場合に、低出力時には前記抵抗の両端の電圧とLEDの順方向電圧の和が直流電源の電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、高出力時には昇圧回路の出力電圧を高くしたことを特徴とする照明装置。
- 請求項2において、低出力時に前記抵抗の両端の電圧とLEDの順方向電圧の和が直流電源の電圧以上となるようにLEDを直列に接続し、LEDユニットと直列に接続された前記抵抗の抵抗値を変化させることで高出力と低出力を切り替えることを特徴とする照明装置。
- 請求項3において、高出力時に入力電圧範囲を超える異常電圧が入力された時には低出力時の動作に切り替えることを特徴とする照明装置。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、LEDユニットが複数個並列に接続され、それらのLEDユニットがそれぞれ一定周期で点灯するように制御され、各LEDユニットを切り替える時に複数のLEDユニットが同時に点灯する重複期間を設けたことを特徴とする照明装置。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、負荷として第1及び第2のLEDユニットを並列に接続され、第1のLEDユニットの回路電流で第2のLEDユニットの回路電流を制御する第1のカレントミラー回路と、第2のLEDユニットの回路電流で第1のLEDユニットの回路電流を制御する第2のカレントミラー回路を備えることを特徴とする照明装置。
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