JP4006698B2 - デュアルバンド用送受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はデュアルバンド携帯電話機のフロントエンド部で使用されるデュアルバンド用送受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
第1の通信システムの送受信と、第2の通信システムの送受信を共通のアンテナで行うためのデュアルバンド用送受信機としては、例えば特許文献1に開示されている。このデュアルバンド用送受信機は、第1の通信システムに対する共用器1と、第2の通信システムに対する共用器2、第1の通信システムの周波数帯と第2の通信システムの周波数帯を分波するための分波器3で構成されている。共用器1、共用器2はそれぞれ複数の誘電体共振器と誘電体共振器を結合させるためのコンデンサブロック及びインダクタ素子で構成されており、これらの共用器1、共用器2及び分波回路を内蔵した磁器積層体で形成された分波器を共通の絶縁性回路基板上に配置することでデュアルバンド用送受信機を実現している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−68706号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記構造のデュアルバンド用送受信機の場合、共用器を多数の誘電体共振器で形成すること、また、共用器、コンデンサブロック、インダクタ素子、分波器がディスクリートに形成されるため形状が大きくなり、製造コストが増大するといった問題がある。また、上記構造のデュアルバンド送受信機では、高調波抑制のために低域通過フィルタ等の回路を付加しようとする場合、さらに形状が大型化し、携帯電話機のフロントエンド部の限られたスペースに搭載することが困難となる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決し、小型かつ製造コストの低減可能なデュアルバンド用送受信機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の通信システムの周波数帯の送信信号を入力するための第1の送信端子(TX1)と、第1の通信システムの周波数帯の受信信号を出力するための第1の受信端子(RX1)と、前記第1の通信システムの送信信号の入力及び、前記第1の通信システムの受信信号の出力を行う第1の共通端子(C1)と、前記第1の送信端子(TX1)と前記第1の共通端子(C1)との間に接続される第1の送信SAWフィルタ(1)と、前記第1の受信端子(RX1)と前記第1の共通端子(C1)との間に接続される第1の受信SAWフィルタ(2)と、前記第1の送信SAWフィルタ(1)の一端と前記第1の共通端子(C1)との間或いは、前記第1の受信SAWフィルタ(2)の一端と前記第1の共通端子(C1)との間の少なくとも何れか一方に接続され前記第1の送信SAWフィルタ(1)と前記第1の受信SAWフィルタ(2)との整合をとるためのλ/4ストリップライン線路からなる第1の整合回路(5)と、前記第1の通信システムの周波数帯とは異なる第2の通信システムの周波数帯の送信信号を入力するための第2の送信端子(TX2)と、第2の通信システムの周波数帯の受信信号を出力するための第2の受信端子(RX2)と、前記第2の通信システムの送信信号の入力及び、前記第2の通信システムの受信信号の出力を行う第2の共通端子(C2)と、前記第2の送信端子(TX2)と前記第2の共通端子(C2)との間に接続される第2の送信FBARフィルタ(3)と、前記第2の受信端子(RX2)と前記第2の共通端子(C2)との間に接続される第2の受信FBARフィルタ(4)と、前記第2の送信FBARフィルタ(3)の一端と前記第2の共通端子(C2)との間或いは、前記第2の受信FBARフィルタ(4)の一端と前記第2の共通端子(C2)との間の少なくとも何れか一方に接続され前記第2の送信FBARフィルタ(3)と前記第2の受信FBARフィルタ(4)との整合をとるためのλ/4ストリップライン線路からなる第2の整合回路(6)と、アンテナ端子(ANT)と、前記第1の共通端子(C1)と前記第2の共通端子(C2)及び、前記アンテナ端子(ANT)の間に接続される周波数帯切換回路とで構成されるデュアルバンド用送受信機であって前記第1の通信システムの第1の送信SAWフィルタ(1)と第1の送信端子(TX1)との間、及び前記第2の通信システムの第2の送信FBARフィルタ(3)と第2の送信端子(TX2)との間に、低域通過フィルタを設け、前記第1の送信SAWフィルタ(1)と前記第1の受信SAWフィルタ(2)と前記第2の送信FBARフィルタ(3)と前記第2の受信FBARフィルタ(4)と誘電体を積層してなる搭載基板上に配置され、前記第1の整合回路(5)と前記第2の整合回路(6)、前記周波数帯切換回路の一部及び前記低域通過フィルタとが前記搭載基板の誘電体層に内蔵されていることを特徴するデュアルバンド用送受信機である。
【0009】
本発明のデュアルバンド用送受信機において、前記第1の通信システムと第2の通信システムの周波数帯域の間隔が 1000MHz 以上離れている場合の前記周波数帯切換回路は、低域通過フィルタと高域通過フィルタとからなる分波器で構成し前記第1の通信システムと第2の通信システムの周波数帯域の間隔が 1000MHz より小さい場合の前記周波数帯切換回路は、PINダイオードと伝送線路で構成されるスイッチ回路で構成することで、前記第1の通信システムと前記第2の通信システムの周波数帯の選択を行うことができる。
【0011】
本発明のデュアルバンド用送受信機の前記第1の通信システムの共通端子と前記周波数帯切換回路の間、前記第2の通信システムの共通端子と前記周波数帯切換回路の間、アンテナ端子と前記周波数帯切換回路の間の何れか1ヶ所以上には、高域通過フィルタを接続することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
本発明に係る第1の実施例を図1〜図4を用いて説明する。図1はデュアルバンド用送受信機の等価回路図であり、図2はデュアルバンド用送受信機の斜視図である。図3はデュアルバンド用送受信機の搭載基板の斜視図である。図4は搭載基板を構成するシートの分解斜視図である。
本実施例のデュアルバンド用送受信機は図1に示すように、第1の通信システム、第2の通信システムの受信フィルタ2、4と共通端子C1、C2との間にのみ整合回路5及び6を配置し、周波数帯切換回路として、アンテナ端子ANTと第1の通信システムの共通端子C1との間に、伝送線路7、伝送線路7と並列接続されるコンデンサ8、伝送線路7の一端とグランドとの間に接続されるコンデンサ9、10で形成される低域通過フィルタと、アンテナ端子ANTと第2の通信システムの共通端子C2との間に、直列接続されるコンデンサ12、13、コンデンサ12、13の間とグランドとの間に接続される伝送線路11で形成される高域通過フィルタで構成される分波器を用いており、また第1の通信システムの送信フィルタ1、受信フィルタ2にSAWフィルタ、第2の通信システムの送信フィルタ3、受信フィルタ4にFBARフィルタを用いている。周波数帯切換回路に分波器を用いるには、第1の通信システムと第2の通信システムの周波数帯域が1000MHz以上離れている場合が適しており、周波数帯切換回路が受動素子のみで構成されるので回路構成が簡単になる。
【0015】
図2にデュアルバンド用送受信機の斜視図を示す。この実施例では搭載基板14の側面にアンテナ端子電極ANT、第1の通信システムの送信端子電極TX1、第1の通信システムの受信端子電極RX1、第2の通信システムの送信端子電極TX2、第2の通信システムの受信端子電極RX2及び、側面グランド電極15が配置されており、搭載基板14の上部にSAWフィルタ1、2及びFBARフィルタ3、4を配置した構造になっている。また、金属キャップ38の下部の凸部は搭載基板14上面に設けられた電極39に、はんだ等の導電性接着剤より固着される。これにより、SAWフィルタ1、2、FBARフィルタ3、4は金属キャップ38に覆われ、外部の不要な電磁波の影響が低減される。
【0016】
図3は搭載基板14の裏面を示す図である。搭載基板14の側面に設けられた各入出力端子電極およびグランド電極の一部は搭載基板14の裏面にも配置されており、マザー基板への搭載を容易にする。
【0017】
図4に本実施例の搭載基板を構成するシートの分解斜視図を示す。
誘電体層16の上面にはフィルタ1〜4を接続するための電極が配置されており、電極24a、24bはSAWフィルタ2の入出力電極に接続し、電極25a、25bはSAWフィルタ1の入出力電極に接続し、電極26a、26bはFBARフィルタ3の入出力電極に接続し、電極27a、27bはFBARフィルタ4の入出力電極に接続する。また電極26c、26d、27c、28はフィルタ1〜4のグランド電極と接続される。電極28はスルーホールにより、誘電体層17の上面に配置された上部グランド電極29と接続されている。
上部グランド電極29及び、誘電体層23の上面に配置された下部グランド電極30の一部は誘電体層の側面に臨んでおり、側面グランド電極15と接続される。これにより、上部グランド電極29と下部グランド電極30が互いに接続され、グランドを形成する。整合回路5、6、分波器を構成する伝送線路7、11は上記グランドに囲まれた誘電体中にライン上の電極を配置したストリップライン型の伝送線路で構成する。整合回路5、6の長さは通信システムで使用される信号の波長によって決まり、その長さは信号の波長のおよそ1/4である。
第1の通信システムの整合回路5は、誘電体層18の上面に配置された電極5a、誘電体層19の上面に配置された電極5b、誘電体層21の上面に配置された電極5cをスルーホールによって接続することで形成される。電極5aの一端は電極24aとスルーホールにより接続し、電極5cの一端は誘電体層21上面に配置された第1の共通端子電極31と接続される。
第2の通信システムの整合回路6は、誘電体層18の上面に配置された電極6a、誘電体層19の上面に配置された電極6b、誘電体層20の上面に配置された電極6cをスルーホールによって接続することで形成される。電極6aの一端は電極27aとスルーホールにより接続し、電極6cの一端は誘電体層20上面に配置された第2の共通端子電極30と接続される。
【0018】
分波器を構成する低域通過フィルタの伝送線路7は、誘電体層20の上面に配置された電極7a、誘電体層21の上面に配置された電極7bをスルーホールで接続することで形成される。低域通過フィルタのコンデンサ8は、誘電体層20の上面に配置された電極8a、誘電体層21の上面に配置された電極8bが対向することで形成される。電極8aは電極7aと接続されており、電極8bは電極7b及び第1の共通端子電極31と接続されている。低域通過フィルタのコンデンサ9、10は誘電体層22に配置された電極9a、10aが下部グランド電極32と対向することで形成される。電極9aはスルーホールにより第1の共通端子電極31と接続され、電極10aはスルーホールにより電極7a及び8aと接続されている。
分波器を構成する高域通過フィルタの伝送線路11は、誘電体層21の上面に配置された電極11a、誘電体層22の上面に配置された電極11bがスルーホールにより接続されることで形成される。電極11bの一端はスルーホールにより、下部グランド電極32に接続し、接地されている。高域通過フィルタのコンデンサ12、13は誘電体層20の上面に配置された電極12a、13aと、誘電体層21の上面に配置された電極12b、13bがそれぞれ対向することで形成される。電極12aは第2の共通端子電極30と接続され、電極12bは電極11aと接続されている。また、電極13aの一端は電極7a、8aに接続され、電極13bは電極11aと接続されている。
【0019】
誘電体層23の上面には下部グランド電極32と電極33、34、35、36、37が配置されている。電極33の一端は誘電体層側面に臨んでおり、アンテナ端子電極ANTと接続し、またスルーホールにより電極13aと接続する。電極34の一端は誘電体層側面に臨んでおり、第1の通信システムの送信端子TX1と接続し、またスルーホールにより電極25bと接続する。電極35の一端は誘電体層側面に臨んでおり、第1の通信システムの受信端子RX1と接続し、またスルーホールにより電極24aと接続する。電極36の一端は誘電体層側面に臨んでおり、第2の通信システムの送信端子TX2と接続し、またスルーホールにより電極26aと接続する。電極37の一端は誘電体層側面に臨んでおり、第2の通信システムの受信端子RX2と接続し、またスルーホールにより電極27bと接続する。これら誘電体層を積層することで、分波器、整合回路を内蔵した搭載基板14を構成する。
【0020】
次に、本発明に係る第2の実施形態を図5〜7図を用いて説明する。図5は、本発明に係る第2の実施例のデュアルバンド送受信機の等価回路図であり、図6はその斜視図である。図7はデュアルバンド送受信機の搭載基板の分解斜視図である。
本実施例は、第1の実施形態の周波数帯切換回路にPINダイオードで構成されるスイッチ回路を用いており、他の回路は第1の実施形態と同様なので、周波数帯切換回路のみ説明する。
アンテナ端子ANTと第1の通信システムの共通端子C1との間にはPINダイオード46とコンデンサ45が直列接続されている。
アンテナ端子ANTと第2の通信システムの共通端子C2との間には伝送線路47とコンデンサ48が接続されており、伝送線路47とコンデンサ48の接続点とグランドとの間にはPINダイオード49とコンデンサ50が直列に接続されている。さらにPINダイオード49とコンデンサ50の間に抵抗51が接続され、抵抗51の一端に制御電圧端子Vcが接続されている。
【0021】
制御電圧端子Vcに0Vの電圧を印加したとき、PINダイオード46,49はOFF状態となり高インピーダンスになる。その結果、アンテナ端子ANTと第1の通信システムの共通端子C1の間で回路が遮断され、第2の通信システム側の回路だけに信号が伝送される。
一方、制御電圧端子Vcに正の電圧を印加した場合、PINダイオード46、49はON状態になり低インピーダンスとなる。ON状態となったPINダイオード49とコンデンサ50により伝送線路47が高周波的に接地されることにより共振し、PINダイオード46のアノードと、コンデンサ52および伝送線路47の接続点から第2の通信システムの共通端子を見た場合のインピーダンスが非常に大きくなる。その結果、アンテナ端子ANTと第2の通信システムの共通端子C2との間で回路が遮断され、第1の通信システム側の回路だけに信号が伝送される。なお、制御電圧端子Vcに電圧を印加した場合の直流電圧はコンデンサ45、48及び52によりカットされる。本実施例のPINダイオードと伝送線路で構成されるスイッチ回路は、第1の通信システムと第2の通信システムの周波数帯の間隔が1000MHzより小さい場合に適している。
【0022】
図6に本実施例の斜視図を示す。基本的な構造は第1の実施例と同様であるが、
搭載基板側面に制御電圧端子電極Vcが配置されている。また、SAWフィルタ1、2およびFBARフィルタ3、4の間に周波数帯切換回路を構成するチップ抵抗51、PINダイオード46、49、チップコンデンサ45、48、52を搭載した構造になっている。また、金属キャップ38の下部の凸部は搭載基板53上面に設けられた電極78にはんだ等の導電性接着剤により固着される。これにより、SAWフィルタ1、2、FBARフィルタ3、4、PINダイオード46,49、チップコンデンサ45,48,52は金属キャップ38に覆われ、外部の不要な電磁波の影響が低減される。
【0023】
図7に、本実施例の搭載基板を構成するシートの分解斜視図を示す。
整合回路、グランド及び各入出力端子の構造は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
誘電体層55上にはチップ素子搭載用の電極63a、63b、64a、64b、65a、65b、66a、66b、67a、67b、68a、68bを配置する。電極63a、63bにはチップ抵抗51の端子電極を接続する。電極64a、64bおよび電極66a、66bにはそれぞれチップコンデンサ45、48の端子電極を接続する。電極65aにはPINダイオード46のカソード端子電極を接続し、電極65bにはPINダイオード46のアノード端子電極を接続する。電極67aにはPINダイオード49のカソード端子電極を接続し、電極67bにはPINダイオード49のアノード端子電極を接続する。電極68a、68bにはチップコンデンサ52の端子電極を接続する。
誘電体層57の上面には電極50a、70が配置されている。電極50aは誘電体層56上面に配置された上部グランド電極84と対向し、コンデンサ50を形成する。電極50aのライン状の2つの引き出し電極うち、一つはスルーホールにより電極63bと接続され、他の一つはスルーホールにより電極67b接続される。電極70はスルーホールにより、電極66bおよび、電極68bと接続する。
誘電体層58の上面には電極69、71、72が配置されており、電極69はスルーホールにより、電極64aおよび65aと接続する。電極71はスルーホールにより電極66b、67aと接続する。電極72は第2の共通端子電極で、一端はスルーホールにより、電極66aと接続され、他端は第2の整合回路に接続される。
誘電体層60の上面には電極47a、73、74、75が、誘電体層61の上面には電極47bが配置されている。電極47a、47bはスルーホールで接続され、伝送線路47を形成する。電極47aの一端はスルーホールによって電極71に接続される。電極47bの一端はスルーホールにより電極70に接続される。電極73は第1の通信システム側回路の共通端子電極であり、その一端はスルーホールによって電極64bに接続され、他端は第1の整合回路に接続される。電極74の一端はスルーホールにより電極47bと接続し、他端は電極68aと接続する。電極75の一端は電極63aと接続している。
誘電体層62上面には電極76、電極77が配置されている。電極76は誘電体層62の側面に臨んでおり、制御電圧端子電極Vcと接続し、またスルーホールによって電極75と接続する。
電極77は誘電体層62の側面に臨んでおり,アンテナ端子電極ANTと接続し、またスルーホールによって電極47b、74と接続する。
これら誘電体層を積層して搭載基板53を構成する。
【0024】
次に、本発明に係る第3の実施形態を図8〜図10を用いて説明する。図8は、本発明に係る第3の実施例のデュアルバンド送受信機の等価回路図であり、図9はその斜視図である。図10はデュアルバンド送受信機の搭載基板の分解斜視図である。上述した実施例と同様の部品については符号を付さずその説明も省略する。
本実施例は第1の実施形態のアンテナ端子と、分波器との間にコンデンサ82、83を直列に接続し、コンデンサ82と83の接続点とグランドの間にインダクタ81が接続されている。これにより、アンテナ端子と分波器との間に高域通過フィルタが形成される。この高域通過フィルタは、例えば静電気のように非常に大きな直流電圧が瞬時にアンテナ端子から流れてきた場合に、この直流電圧を減衰させてデュアルバンド送受信機とその後段に接続される回路を保護ために効果的である。
【0025】
図9に本実施例の斜視図を示す。基本的な構造は第1の実施例と同様であるが、
高域通過フィルタを形成するチップインダクタ81aを搭載した構造になっている。金属キャップ38の下部の凸部は搭載基板14上面に設けられた電極39にはんだ等の導電性接着材により固着される。これにより、SAWフィルタ1、2、FBAR3、4、チップインダクタ81aは金属キャップ38に覆われ、外部の不要な電磁波の影響が低減される。
【0026】
図10に本実施例の搭載基板を構成するシートの分解斜視図を示す。
整合回路、グランド及び各入出力端子の構造は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
誘電体層84上には、チップインダクタ搭載用の電極92a、92bが配置される。電極92a、92bにはチップインダクタ81aの端子電極が接続される。電極92aはスルーホールにより、誘電体層85上面に形成されたグランド電極93と接続されている。誘電体層87上面には電極94が配置されている。電極94の一端はスルーホールにより、電極92bと接続されている。誘電体層88上面には電極83aが配置されている。電極83aの側部にはライン状の電極が延長されており、分波器を構成する高域通過フィルタ及び低域通過フィルタとそれぞれ接続する。誘電体層89上面には電極95が配置されている。電極95の端部から延長されているライン状の電極部分はスルーホールにより、電極94の一端と接続されている。また、電極95は電極83aと誘電体層88を介して対向しており、コンデンサ83を形成する。誘電体層90上面には電極82aが配置されている。電極82aはスルーホールにより、電極33に接続されている。また、電極82aは誘電体層89を介して対向しており、コンデンサ82を形成する。
これら誘電体層を積層して搭載基板14を構成する。
【0027】
図11には本実施例の変形例を示す。詳細な説明は省略するが、分波器と第1の共通端子との間にコンデンサ102、103を直列接続し、コンデンサ102、103の接続点とグランドとの間にインダクタ101と接続することで第1の共通端子と分波器の間に第1の高域通過フィルタを設けるとともに、第2の共通端子と分波器との間に、片側がグランドに接続されたインダクタ101を接続することで第2の共通端子と分波器の間に第2の高域通過フィルタを設けることでも同様の機能を得ることもできる。しかもこの場合には、各々の通信システムに応じて最適な高域通過フィルタを選択することが可能となり、高域通過フィルタを付加することによる挿入損失の増加を最小限にすることができる。
【0028】
次に、本発明に係る第4の実施形態を図12〜図13を用いて説明する。図12は、本発明に係る第4の実施例のデュアルバンド送受信機の等価回路図であり、図13はデュアルバンド送受信機の搭載基板を構成するシートの分解斜視図である。上述した実施例と同様の部品については符号を付さずその説明も省略する。
本実施例は第1の実施形態の分波器と第1の送信端子の間に伝送線路121とコンデンサ122が並列に接続されている。さらに伝送線路121、コンデンサ122の接続点とグランドの間にコンデンサ123、124が接続されている。これにより、分波器と第1の送信端子との間に低域通過フィルタが形成される。
また、分波器と第2の送信端子の間に、伝送線路125とコンデンサ126が並列に接続されている。さらに伝送線路125、コンデンサ126の接続点とグランドの間にコンデンサ127、128が接続されている。これにより、分波器と第2の送信端子との間に低域通過フィルタが形成される。
これら低域通過フィルタを接続することで、第1、第2の送信端子から入力される電気信号の2次高調波、3次高調波といった不要な信号を減衰させ、所望の信号のみをアンテナへ伝送することができる。
【0029】
図13に本実施例の搭載基板の分解斜視図を示す。整合回路、グランド及び各入出力端子の構造は第1の実施例と同様なので説明を省略する。
誘電体層135上面には電極123a、127aが配置されている。電極123a、127aは誘電体層134上面に形成された上部グランド電極131と対向することでそれぞれコンデンサ123、127を形成する。
誘電体層136上面には電極121a、122a、125a、126aが配置されている。電極121a、122aの接続点はスルーホールにより、電極123aに接続され、電極125a、126aの接続点はスルーホールにより、電極127aに接続される。誘電体層137上面には電極121b、122b、125b、126bが配置されている。電極121bの一端は電極121aと接続されており、電極122bは電極122aと対向することでコンデンサ122を形成する。また、電極125bの一端は電極125aと接続されており、電極126bは電極126aと対向することでコンデンサ126を形成する。誘電体層138上面には電極121cと電極125cが配置されている。電極121cの一端はスルーホールにより電極121bと接続しており、他端は電極122bとスルーホールにより接続されている。また、電極125cの一端は電極125bとスルーホールにより接続されており、他端は電極126bと接続されている。
誘電体層139の上面には電極124a、128aが配置されている。電極124aの一端は電極121cと接続している。また、誘電体層140上面に配置された下部グランド電極132と対向してコンデンサ124を形成する。電極128aの一端は電極125cと接続している。また、電極132と対向してコンデンサ128を形成する。これら誘電体層を積層して搭載基板14を構成する。
【0030】
次に、本発明に係る第5の実施形態を図14、図15を用いて説明する。図14は、本発明に係る第5の実施例の斜視図である。また、図15は本実施例の搭載基板の分解斜視図である。
搭載基板145には4つの凹部が設けられており、その上面には電極147が配置されている。搭載基板145の4つの凹部にはSAWチップフィルタ141、142、FBARチップフィルタ143、144が収納される。チップフィルタ141〜144はフリップチップボンディングなどの実装技術を用いて、凹部底面に配置された搭載電極148に固着される。その後、金属ケース146を電極147に、はんだ等の導電性接着材で接続して、チップフィルタ141〜144を気密封止する。
図15に第5の実施例の搭載基板の分解斜視図を示す。誘電体145aは複数の誘電体シートを積層、圧着した後に金型等で矩形状に積層誘電体の一部を打ち抜くことで形成する。誘電体145bは、回路電極を形成した誘電体シートを積層、圧着したもので、上面にチップフィルタの搭載電極148が形成される。これらの誘電体145a、145bを積層、圧着することで搭載基板145を形成する。このように、搭載基板に凹部を設け、チップフィルタを凹部に収納し、気密封止する構造なので、個々にパッケージングされたフィルタを搭載する必要がない。そのため、より小型で低背のデュアルバンド送受信機を実現することができる。
【0031】
本発明は、上述の実施例に限定されるものではない、例えば、本実施例では第1の整合回路、第2の整合回路を3つの誘電体層にわたって形成したが、線路長が短くて済む場合には1つの誘電体層に形成すればよく、線路長が長い場合、あるいは各誘電体層における整合回路の占有面積を小さくしたい場合には、3層以上にわたって形成することも可能である。分波器およびスイッチ回路を構成する伝送線路についても同様である。
また、伝送線路の幅も特性に応じて最適なものを選択することができる。伝送線路の幅は0.01mm〜0.3mmが好ましく、特に0.08mm〜0.16mmが好ましい。
また、フィルタの種類も各通信システムごとに統一する必要はなく、要求される特性に応じて最適なものを選択することができる。
低域通過フィルタについても、必ずしも分波器と第1、第2の送信端子との間に設ける必要はなく、必要とする特性に応じて、各部に付加すればよい。
本実施例では、チップフィルタを気密封止するために搭載基板上に金属キャップを用いたが、搭載基板凹部とチップフィルタの隙間、及びチップフィルタの周囲を樹脂材等で充填して封止する方法を用いてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、整合回路、分波器回路をフィルタ搭載基板内に形成し、各フィルタにSAWフィルタ、FBARフィルタあるいはストリップラインフィルタを用いることで非常に小型のデュアルバンド用送受信機を実現することができる。また、各回路を搭載基板内に一体に形成するので組み立て工数低減によるコスト削減の効果を得ることができる。さらに、搭載基板内に低域通過フィルタ、高域通過フィルタの一部を内蔵することが可能で、形状を大きくすることなく高機能なデュアルバンド送受信機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すデュアルバンド用送受信機の等価回路図である。
【図2】第1の実施例のデュアルバンド用送受信機の斜視図である。
【図3】第1の実施例のデュアルバンド用送受信機の搭載基板の斜視図である。
【図4】第1の実施例の搭載基板を構成する誘電体シートの分解斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示すデュアルバンド用送受信機の等価回路図である。
【図6】第2の実施例のデュアルバンド用送受信機の斜視図である。
【図7】第2の実施例の搭載基板を構成する誘電体シートの分解斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施例を示すデュアルバンド用送受信機の等価回路図である。
【図9】第3の実施例のデュアルバンド用送受信機の斜視図である。
【図10】第3の実施例の搭載基板を構成する誘電体シートの分解斜視図である。
【図11】第3の実施例の変形例を示す等価回路図である。
【図12】本発明の第4の実施例を示すデュアルバンド用送受信機の等価回路図である。
【図13】第4の実施例の搭載基板を構成する誘電体シートの分解斜視図である。
【図14】第5の実施例のデュアルバンド用送受信機の斜視図である。
【図15】第5の実施例の搭載基板を構成する誘電体シートの分解斜視図である。
【符号の説明】
1、2 :SAWフィルタ
3、4 :FBARフィルタ
5、6 :整合回路
7、11:伝送線路
8、9、10、12、13:コンデンサ
14、53、145:搭載基板
15:側面グランド電極
38、146:金属キャップ
46、49:PINダイオード
51:抵抗
81、101、105:インダクタ
141、142:SAWチップフィルタ
143、144:FBARチップフィルタ
ANT:アンテナ端子電極
TX1:第1の通信システムの送信端子
TX2:第2の通信システムの送信端子
RX1:第1の通信システムの受信端子
RX2:第2の通信システムの受信端子
C1:第1の共通端子
C2:第2の共通端子

Claims (2)

  1. 第1の通信システムの周波数帯の送信信号を入力するための第1の送信端子(TX1)と、第1の通信システムの周波数帯の受信信号を出力するための第1の受信端子(RX1)と、前記第1の通信システムの送信信号の入力及び、前記第1の通信システムの受信信号の出力を行う第1の共通端子(C1)と、前記第1の送信端子(TX1)と前記第1の共通端子(C1)との間に接続される第1の送信SAWフィルタ(1)と、前記第1の受信端子(RX1)と前記第1の共通端子(C1)との間に接続される第1の受信SAWフィルタ(2)と、前記第1の送信SAWフィルタ(1)の一端と前記第1の共通端子(C1)との間或いは、前記第1の受信SAWフィルタ(2)の一端と前記第1の共通端子(C1)との間の少なくとも何れか一方に接続され前記第1の送信SAWフィルタ(1)と前記第1の受信SAWフィルタ(2)との整合をとるためのλ/4ストリップライン線路からなる第1の整合回路(5)と、
    前記第1の通信システムの周波数帯とは異なる第2の通信システムの周波数帯の送信信号を入力するための第2の送信端子(TX2)と、第2の通信システムの周波数帯の受信信号を出力するための第2の受信端子(RX2)と、前記第2の通信システムの送信信号の入力及び、前記第2の通信システムの受信信号の出力を行う第2の共通端子(C2)と、前記第2の送信端子(TX2)と前記第2の共通端子(C2)との間に接続される第2の送信FBARフィルタ(3)と、前記第2の受信端子(RX2)と前記第2の共通端子(C2)との間に接続される第2の受信FBARフィルタ(4)と、前記第2の送信FBARフィルタ(3)の一端と前記第2の共通端子(C2)との間或いは、前記第2の受信FBARフィルタ(4)の一端と前記第2の共通端子(C2)との間の少なくとも何れか一方に接続され前記第2の送信FBARフィルタ(3)と前記第2の受信FBARフィルタ(4)との整合をとるためのλ/4ストリップライン線路からなる第2の整合回路(6)と、
    アンテナ端子(ANT)と、前記第1の共通端子(C1)と前記第2の共通端子(C2)及び、前記アンテナ端子(ANT)の間に接続される周波数帯切換回路とで構成されるデュアルバンド用送受信機であって
    前記第1の通信システムの第1の送信SAWフィルタ(1)と第1の送信端子(TX1)との間、及び前記第2の通信システムの第2の送信FBARフィルタ(3)と第2の送信端子(TX2)との間に、低域通過フィルタを設け、
    前記第1の送信SAWフィルタ(1)と前記第1の受信SAWフィルタ(2)と前記第2の送信FBARフィルタ(3)と前記第2の受信FBARフィルタ(4)と誘電体を積層してなる搭載基板上に配置され、
    前記第1の整合回路(5)と前記第2の整合回路(6)、前記周波数帯切換回路の一部及び前記低域通過フィルタとが前記搭載基板の誘電体層に内蔵されていることを特徴するデュアルバンド用送受信機。
  2. 前記第1の通信システムと第2の通信システムの周波数帯域の間隔が 1000MHz 以上離れている場合の前記周波数帯切換回路は、低域通過フィルタと高域通過フィルタとからなる分波器で構成し前記第1の通信システムと第2の通信システムの周波数帯域の間隔が 1000MHz より小さい場合の前記周波数帯切換回路は、PINダイオードと伝送線路で構成されるスイッチ回路で構成されていることを特徴とする請求項に記載のデュアルバンド用送受信機。
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