JP4398201B2 - 複合高周波部品 - Google Patents

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本発明は、例えばダイオード、インダクタ、コンデンサなどの複数の回路素子からなる回路を集積化した複合高周波部品に関する。
近年、携帯電話をはじめとする移動体通信の普及に伴い、移動体通信装置の小型化が進んでいる。特に、外観のデザインを重視した移動体通信装置の登場により、移動体通信装置の筐体に内蔵される電子回路はますます小型かつ軽量にすることが求められている。
このような移動体通信装置、特に携帯電話などの無線装置では、アンテナ直下のフロントエンド部に送信回路と受信回路を切り替える高周波スイッチが使われている。高周波スイッチは、ダイオード素子、インダクタおよび容量素子(コンデンサ)などからなり、直流の制御電圧により送信回路または受信回路のいずれか一方をアンテナ接続線路に接続する作用をする複合高周波部品の1つである。
携帯電話などに用いられる高周波スイッチは、小型化を図るため、回路素子を基板上に平面的に形成し、その基板を積層することでスイッチ回路を構成している。このように構成された高周波スイッチは、立体的に部品を配置するため回路配置のために占める基板上の面積が小さくて済むメリットがある。また、回路部品が小さくなる高い周波数においても、高精度な部品構成およびその配置が可能になるメリットがあり、広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、このように回路要素を形成した基板を積層してなる複合高周波部品は、セラミックなどの誘電体基板上に、銅や銀などの導体材料を回路パターンに合わせて印刷し、その基板を積層し焼成することにより製造されている。そして、積層・焼成の過程においては、積層する基板間のパターンのずれによる特性劣化が生じたり、基板間のパターンのショートが発生したりすることがあり、当該複合高周波部品の製造の歩留まりを悪くする原因となっていた。また、このような複合高周波部品は、例えばUHF帯やSHF帯などの高い周波数帯で用いられるため、積層した基板上に形成された回路要素間で相互に影響を及ぼすことがあり、このことが複合高周波部品としての特性を悪化させる原因となっていた。
特開平8−97743号公報
このように、従来の複合高周波部品では、製造過程において積層する基板間のパターンのずれによる特性劣化やショートが発生して、製造の歩留まりを悪くするという問題がある。また、従来の複合高周波部品では、積層基板にした場合に、基板上に形成された回路要素間で相互に影響を及ぼして回路部品としての特性を悪化させるという問題がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、基板間のパターンのずれによる特性劣化やショートの発生を抑えて製品品質を高めるとともに、基板相互間の影響を排して特性の悪化を抑えることのできる複合高周波部品を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明の複合高周波部品は、同時焼成により形成された導体層が形成された複数のセラミック基板を含む積層基板からなり高周波信号を切り替える高周波スイッチをなす複合高周波部品であって、積層基板は、一方の主面に第1の導体層が形成され、他方の主面に高周波信号を入出力する信号電極、制御信号を入出力する制御電極、および第1の導体層とスルーホールを介して接続され接地点を接続する接地電極がそれぞれ形成された第1のセラミック基板と、第1の導体層を挟んで第1のセラミック基板上に積層した第2のセラミック基板と、第2のセラミック基板を挟んで第1の導体層と相対する側に形成され、第1の導体層と関連して第1のキャパシタを構成する第2の導体層と、第2の導体層を挟んで第2のセラミック基板上に積層した第3のセラミック基板と、信号電極からスルーホールを介して伝送される高周波信号を伝送する第1の伝送線路および制御電極からスルーホールを介して伝送される制御信号を伝送する第2の伝送線路を構成し、第3のセラミック基板を挟んで第2の導体層と相対する側に第2の導体層よりも厚く形成された第3の導体層と、第3の導体層を挟んで第3のセラミック基板上に積層され第2のセラミック基板よりも厚さが厚い第4のセラミック基板と、信号電極からスルーホールを介して伝送される高周波信号を伝送する第3の伝送線路および制御電極からスルーホールを介して伝送される制御信号を伝送する第4の伝送線路を構成し、第4のセラミック基板を挟んで第3の導体層と相対する側に第2の導体層よりも厚く形成された第4の導体層と、第4のセラミック基板に対して第4の導体を挟む位置に配設された第5のセラミック基板と、第5のセラミック基板を挟んで第4の導体層と相対する側に形成され、接地電極とスルーホールを介して接続された第5の導体層と、第5の導体層を挟んで第5のセラミック基板上に積層された第6のセラミック基板と、第6のセラミック基板を挟んで第5の導体層と相対する側に形成され第5の導体層と関連して第2のキャパシタを構成する第6の導体層と、スルーホールを介して第6の導体層と電気的に接続され第2のキャパシタを介して高周波的に接地されるスイッチ素子をなすチップ部品が一方の主面に配設されるとともに、スルーホールを介してチップ部品同士を電気的に接続する第7の導体層が他方の主面に配設された第7のセラミック基板と、第6の導体層および第7の導体層を挟んで第6のセラミック基板および第7のセラミック基板の間に積層された第8のセラミック基板とを含み、第2のキャパシタを構成する第5の導体層、第6のセラミック基板および第6の導体層は、チップ部品から第6の導体層までの電気長が、第5の導体層から接地電極までの電気長よりも短くなる位置に配設されていることを特徴とする。
本発明は、導体層の形成された複数の基板の積層体からなり、前記基板の導体層は異なる基板に形成された導体層と互いに電気的に関連して回路要素を構成する複合高周波部品において、回路要素の特性に応じて当該回路要素に係る導体層を形成した基板を配置したので、基板間のパターンのずれによる特性劣化やショートの発生を抑えて製品品質を高めるとともに、基板相互間の影響を排して特性の悪化を抑えることができる。
本発明によれば、基板間のパターンのずれによる特性劣化やショートの発生を抑えて製品品質を高めるとともに、基板相互間の影響を排して特性の悪化を抑えることができる。
本発明は、複合高周波部品における基板間のパターンずれやショートの発生を抑え、基板相互間の影響を抑えるという目的を、積層基板に形成する回路要素の配置およびその構成する基板の配置構成により解決した。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。ここでは、複合高周波部品の一例として、無線装置のフロントエンド部においてアンテナ接続線路と送信回路部および受信回路部のいずれかとを選択的に切り替えて接続する機能を持つ高周波スイッチの場合について説明する。図1は本発明に係る一つの実施形態の複合高周波部品の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、この複合高周波部品1は、セラミックなどの誘電体材料からなる基板2a乃至2iを積層した積層基板からなり、直方体の形状を有している。基板2a乃至2iには、インダクタ、接続線路および配線路など信号を伝送するための伝送線路や、コンデンサを構成するための容量素子などの回路要素が形成されている。
この複合高周波部品1の上面である基板2iの一方の主面(表面)には、銀や銅ペーストなどの導体材料からなる金属キャップ用パッド94およびチップ部品を搭載するためのパッド95が形成されている。金属キャップ用パッド94およびパッド95は、基板2iの一方の主面に銀や銅ペーストを所定の形状に印刷され、基板とともに同時焼成されることにより、電極の作用をする導体層として形成される。金属キャップ用パッド94は、金属キャップ(図示せず)を取り付けるための接続部の作用をし、パッド95は、チップ部品など形状の大きな部品を回路要素として配設するための電極の作用をする。基板2iの一方の主面に形成されたパッド95には、第1のダイオード素子91、第2のダイオード素子92および抵抗素子93が、はんだ付けなどにより電気的に接続されている。
複合高周波部品1の底面である基板2aの他方の主面(底面)には、銀や銅ペーストなどの導体材料からなる接地電極3a乃至3e(一部図示せず)、アンテナ接続電極(図示せず)、送信信号入力電極5、受信信号出力電極(図示せず)および制御電極7が形成されている。これらの電極群は、基板2aの底面に銀や銅ペーストを所定の形状に印刷され、基板とともに同時焼成されることにより、電極の作用をする導体層として形成される。ここで、接地電極3a乃至3eは、この複合高周波部品1を配置する基板等のグラウンド(接地点)と接続するための電極である。アンテナ接続電極、送信信号入力電極5および受信信号出力電極は、それぞれアンテナ接続線路、無線装置の送信回路部および受信回路部と接続されて、送受信信号を入出力するための信号電極として作用する。制御電極7は、直流電圧を制御電圧として入力することで、この複合高周波部品1の送受信状態を切り替えるための制御用電極として作用する。
基板2a乃至2hの一方の主面(表面)には、インダクタ、接続線路および配線路など信号を伝送するための伝送線路や、コンデンサを構成するための容量素子などの回路要素がそれぞれ形成されている。基板2a乃至2hは、その各々の一方の主面に、銀や銅ペーストで所定の回路要素の形状に印刷された後、各々積層して焼成が行われる。そして、基板2a乃至2hの一方の主面に形成された回路要素としての導体層が各々の基板上に定着し、複合高周波部品として完成する。
基板2iの一方の主面に形成されたパッド95に配設された第1のダイオード素子91、第2のダイオード素子92および抵抗素子93は、例えばチップ部品などであり、この複合高周波部品1の回路を構成する回路要素の一部である。チップ部品は、基板上に形成される回路要素と比較してサイズが大きいため、積層された基板2a乃至2iの基板間ではなく、複合高周波部品1の表面に配設されている。
なお、図1に示すように、基板2a乃至2iの厚さはそれぞれ異なっている。この厚さは、各基板2a乃至2iに形成される回路要素の種類または特性によって決定される。すなわち、各々の基板2a乃至2iには、各々の基板ごとに異なる種類または特性の回路要素が形成されている。図1に示す例では、基板2bおよび2gの厚さをDA、基板2eおよび2dの厚さをDB、基板2a、2c、2f、2hおよび2iの厚さをDCとすると、DA<DB<DCの関係になっている。
次に、図2を参照して、この複合高周波部品1の基板2a乃至2iに形成される回路要素について詳細に説明する。図2(a)乃至(j)は、基板2a乃至2iに形成される回路要素の形状を示す平面図である。
図2に示すように、この複合高周波部品1を構成する基板2a乃至2iは、いずれも同一形状の長方形に形成されている。そして、基板2a乃至2iの各々の一方の主面(表面)には、高周波スイッチ回路を構成する回路要素としての導体層が形成されている。ただし、基板2aは、その一方の主面(表面)に加えて、一方の主面に対向する他方の主面(底面)にも電極群としての導体層が形成されている。各々の回路要素としての導体層は、銀や銅ペーストなどを用いて当該回路要素の形状を各々の基板に印刷した後に、基板と同時に焼成を行うことにより形成される。以下の説明において、基板に形成される「回路要素」の語は、前述ようにして形成された1以上の導体層が互いに電気的に関連し、もしくは互いに接続してなる回路要素を指すものとして説明する。
まず、図2(a)乃至(c)を参照して、基板2aおよび2bに形成される回路要素について詳細に説明する。
図2(a)は、基板2aの他方の主面(底面)に形成される接地電極3、アンテナ接続電極4、送信信号入力電極5、受信信号出力電極6および制御電極7の形状および配置を示す図、図2(b)は、基板2aの一方の主面(表面)に形成される回路要素を示す図、図2(c)は、基板2bの一方の主面(表面)に形成される回路要素を示す図である。
図2(a)に示すように、基板2aの他方の主面(底面)の中央部には、他の電極群よりも大きな長方形の接地電極3aが形成され、接地電極3aの各辺から離間させた位置に接地電極3b乃至3eが形成されている。接地電極3aの各頂点から離間させた位置には、長方形のアンテナ接続電極4、送信信号入力電極5、受信信号出力電極6および制御電極7が形成されている。接地電極3b乃至3e、アンテナ接続電極4、送信信号入力電極5、受信信号出力電極6および制御電極7のそれぞれの一辺は、基板2aのいずれか一辺と接するように形成されている。
また、図2(b)に示すように、基板2aの一方の主面には、第1の接地導体11が形成されている。第1の接地導体11は、基板2aの略中央部に長方形の四隅を矩形に欠いた形状に形成されている。第1の接地導体11の四隅には、アンテナ接続電極4、送信信号入力電極5、受信信号出力電極6および制御電極7と上層の基板とを電気的に接続するためのスルーホール(ビアホール)が形成されている。また、基板2aのほぼ中央部には、第1の接地導体11と接地電極3a乃至3eとを導通させるスルーホールが複数個形成されている。したがって、第1の接地導体11は、この複合高周波部品1の内部的なグラウンドとして作用する。
さらに、図2(c)に示すように、基板2bの一方の主面には、長方形の第1の容量素子電極21、第2の容量素子電極22および第3の容量素子電極23が形成されている。第1乃至第3の容量素子電極21乃至23は、基板2bを電極間誘電体として、基板2aに形成された第1の接地導体11との間でそれぞれ容量素子を形成している。なお、基板2bには容量素子の電極のみが形成されている。
第1乃至第3の容量素子電極21乃至23のサイズは、対応するそれぞれの容量素子に必要な静電容量に応じて決定される。この例では、第2および第3の容量素子電極22および23がほぼ同じサイズであり、第1の容量素子電極21はそれらよりも大きく形成されている。同様に、基板2bは容量素子の電極間誘電体として機能することから、基板2bの厚さは、当該対応するそれぞれの容量素子に必要な静電容量に対応して決定される。
このように、基板2aは、複合高周波部品1の内部的なグラウンドとしての接地電極基板として作用する。また、基板2aには、第1の接地導体11と接地電極3a乃至3eを導通させるスルーホールが複数形成されているので、第1の接地11をより高周波的に理想的なグラウンドとして機能させることができる。一方、基板2bは、第1乃至第3の容量素子電極21乃至23が構成する容量素子の電極間誘電体として作用する。
続いて、図2(d)乃至(f)を参照して、基板2c乃至2eに形成される回路要素について詳細に説明する。図2(d)は、基板2cの一方の主面に形成される回路要素を示す図、図2(e)は、基板2dの一方の主面に形成される回路要素を示す図、図2(f)は、基板2eの一方の主面に形成される回路要素を示す図である。
図2(d)に示すように、基板2cの一方の主面には、第1のインダクタ線路31および第2のインダクタ線路32が形成されている。第1および第2のインダクタ線路31および32は、それぞれ鉤状に形成されてインダクタを構成する。ここで「インダクタ線路」とは、インダクタを構成する配線路を意味し、伝送線路の1形態である。第1および第2のインダクタ線路31および32の各々の一端の位置に対応する基板2cには、スルーホールが形成されており、当該一端は、それぞれ基板2cを介して、基板2bに形成された第1および第3の容量素子電極21および23の一部と電気的に接続されている。
なお、第1のインダクタ線路31および第2のインダクタ線路32は、通過させる信号の種類に応じて異なる線路幅に形成されている。すなわち、高周波スイッチを通過させる高周波信号と高周波スイッチを制御する制御信号とで、異なる線路幅で形成されている。この実施形態では、第1のインダクタ線路31の線路幅よりも第2のインダクタ線路32の線路幅の方が広く形成されている。さらに、第1のインダクタ線路31および第2のインダクタ線路32の線路長は、インダクタの特性や使用目的により決定される。この実施形態では、第1のインダクタ線路31の線路長の方が、第2のインダクタ線路32の線路長よりも長く形成されている。
また、図2(e)に示すように、基板2dの一方の主面には、第1のインダクタ線路41および移相線路42が形成されている。第1のインダクタ線路41は、鉤状に形成されインダクタを構成する。第1のインダクタ線路41の一端に対応する基板2dには、スルーホールが形成されており、第1のインダクタ線路41の当該一端は、基板2dを介して、基板2cに形成された第1のインダクタ線路31の他端と電気的に接続されている。移相線路42は、ジグザグに形成されており、所定の周波数において通過信号を移相する作用をする。なお、第1のインダクタ線路41および移相線路42についても、通過させる信号の種類に応じて異なる線路幅に形成されている。この実施形態では、第1のインダクタ線路41の線路幅よりも移相線路42の線路幅の方が広く形成されている。
さらに、図2(f)に示すように、基板2eの一方の主面には、第1のインダクタ線路51および第2のインダクタ線路52が形成されている。第1のインダクタ線路51は、鉤状に形成されインダクタを構成する。第1のインダクタ線路51の一端の位置に対応する基板2eには、スルーホールが形成されており、第1のインダクタ線路51の当該一端は、基板2eを介して、基板2dに形成された第1のインダクタ線路41の他端と電気的に接続されている。第2のインダクタ線路52は、コ字状に形成されインダクタを構成する。第2のインダクタ線路の一端の位置に対応する基板2eおよび基板2dにはスルーホールが形成されており、第2のインダクタ線路52の当該一端は、基板2eおよび2dを介して、基板2cに形成された第2のインダクタ線路32の他端と電気的に接続されている。
なお、図2(d)と同様に、この実施形態では、第1のインダクタ線路51の線路幅よりも第2のインダクタ線路52の線路幅の方が広く形成されている。また、第1のインダクタ線路51の線路長の方が、第2のインダクタ線路52の線路長よりも長く形成されている。
すなわち、図2(d)乃至(f)に示すように、基板2c、2dおよび2eに形成された第1のインダクタ線路31、41および51は、それぞれが電気的に直列接続されており、ひとつのインダクタを構成している。また、基板2cおよび2eに形成された第2のインダクタ線路32および52は、電気的に直列接続されており、ひとつのインダクタを構成している。ただし、第1のインダクタ線路31、41および51は基板2c乃至2eのそれぞれに形成されるのに対して、第2のインダクタ線路31および51は、基板2cおよび2eにのみ形成される。したがって、第1のインダクタ線路と第2のインダクタ線路とではインダクタを構成するそれぞれのインダクタ線路の間隔が異なって形成されている。
また、第1のインダクタ線路31、41および51は、それぞれ同一の幅の線路を構成しており、第2のインダクタ線路32および52は、それぞれ同一の幅の線路を構成している。しかし、前述したとおり、第1のインダクタ線路31、41および51と第2のインダクタ線路32および52とでは、前者よりも後者のほうが幅が広く形成されている。
続いて、図2(g)および(h)を参照して、基板2fおよび2gに形成される回路要素について詳細に説明する。図2(g)は、基板2fの一方の主面に形成される回路要素を示す図、図2(h)は、基板2gの一方の主面に形成される回路要素を示す図である。
図2(g)に示すように、基板2fの一辺の近傍には、略長方形の第2の接地導体61が形成されている。第2の接地導体61の端部には、スルーホールが設けられており、基板2a乃至2fを介して接地電極3cおよび3eと電気的に接続されている。すなわち、第2の接地導体61は、第1の接地導体11と同様に、この複合高周波部品1の内部的なグラウンドとして作用する。
また、図2(h)に示すように、基板2gには、第4の容量素子電極71が形成されている。第4の容量素子電極71は、基板2gを電極間誘電体として、基板2fに形成された第2の接地導体61との間で容量素子を形成している。なお、基板2gには、容量素子電極のみが形成されている。第4の容量素子電極71の大きさは、対応する容量素子に必要な静電容量に対応して決定される。同様に、基板2gは容量素子の電極間誘電体として機能することから、基板2gの厚さは、当該対応する容量素子に必要な静電容量に対応して決定される。
このように基板2gは、第4の容量素子電極71が構成する容量素子の電極間誘電体として作用する。
続いて、図2(i)および(j)を参照して、基板2hおよび2iに形成される回路要素について詳細に説明する。図2(i)は、基板2hの一方の主面に形成される回路要素を示す図、図2(j)は、基板2iの一方の主面に形成される回路要素を示す図である。
図2(i)および図2(j)に示すように、基板2hには、第1乃至第6の線路81乃至86が形成され、基板2iには金属キャップ用パッド94およびパッド95が形成されている。そして、パッド95には、第1および第2のダイオード素子91および92ならびに抵抗素子93が配設されている。
第1乃至第6の線路81乃至86の少なくとも一方の端部にはスルーホールが設けられており、第1乃至第6の線路81乃至86は、基板2h以外の基板に形成された電極やパッドなどの回路要素と電気的に接続されている。すなわち、基板2hに形成された第1乃至第6の線路81乃至86は、基板2h以外の基板に形成された回路要素相互間を電気的に接続する配線路として作用する。金属キャップ用パッド94は、金属キャップ(図示せず)を取り付けるためのパッドであり、パッド95は、チップ部品を電気的に接続するための電極として作用する。チップ部品である第1および第2のダイオード素子91および92ならびに抵抗素子93は、対応するパッドにはんだ付けなどにより電気的に接続されている。
すなわち、この実施形態に係る複合高周波部品1では、電極やパッド相互間を接続する配線路をチップ部品等を配設する最上層の基板ではなく、最上層から2番目の基板である基板2hに配設している。なお、基板2hには当該配線路のみが形成されている。
次に、図3および図4を参照して、この複合高周波部品1の全体の構成および動作について詳細に説明する。図3は、この実施形態に係る複合高周波部品1の各基板を分離した状態で示した全体構成を示す斜視図であり、図4は、この実施形態に係る複合高周波部品1の等価回路である。なお、図3においては、一部のスルーホールついてその記載を省略した。また、図1および図2と同一構成部分については同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
図3に示すように、この複合高周波部品1は、基板2a乃至2iが積層されてなり、それぞれの基板に形成された回路要素は、スルーホールを介して相互に電気的に接続されている。
接地電極3aおよび3dは、基板2aを貫通する複数本のスルーホールにより第1の接地導体11と電気的に接続されている。これにより、第1の接地導体11は、より理想的な内部グラウンドとして作用することになる。接地電極3bは、基板2a乃至2fを貫通する複数本のスルーホールにより第2の接地導体61と電気的に接続されている。これにより、第2の接地導体61は、複合高周波部品1の上層の内部グラウンドとして作用する。接地電極3cおよび3eは、基板2a乃至2iを貫通するスルーホールにより第2の接地導体61および金属キャップ用パッド94と電気的に接続されている。したがって、金属キャップ用パッド94に取り付けられる金属キャップはグラウンド電位となる。
続いて、図3および図4を参照して、基板2a乃至2iに形成された回路要素と具体的回路との対応関係について説明する。
図3に示すように、アンテナ接続電極4は、基板2a乃至2dを貫通するスルーホールを介して移相線路42(図4におけるPS。以下同様に称する。)の一端と接続されるとともに、さらに基板2e乃至2hを貫通するスルーホール、第1の線路81および基板2iを貫通するスルーホールを介して第1のダイオード素子91(D1)のカソードと接続されている。
移相線路42(PS)の他端は、基板2a乃至2dを貫通するスルーホールを介して受信信号出力電極6(受信信号出力端子102)と接続されるとともに、基板2e乃至2hを貫通するスルーホール、第2の線路82および基板2iを貫通するスルーホールを介して第2のダイオード素子92(D2)のアノードと接続されている。
第2のダイオード素子92(D2)のカソードは、基板2iを貫通するスルーホール、第4の線路84および基板2iを貫通するスルーホールを介して抵抗素子93(R)の一端と接続され、抵抗素子93(R)の他端は、基板2iを貫通するスルーホール、第6の線路86および基板2a乃至2hを貫通するスルーホールを介して接地電極3eと接続されている。また、第2のダイオード素子92(D2)のカソードは、基板2iを貫通するスルーホール、第5の線路85および基板2hを貫通するスルーホールを介して第4の容量素子電極71と接続されている。第4の容量素子電極71は、基板2gを電極間誘電体として第2の接地導体61との間で容量素子(C4)を形成している。
第1のダイオード素子91(D1)のアノードは、基板2f乃至2iを貫通するスルーホールを介して第1のインダクタ線路51の一端、すなわち、第1のインダクタ線路31、41および51からなるインダクタ(L1)の一端と接続されている。インダクタ(L1)の他端である第1のインダクタ線路31の一端は、基板2a乃至2cを貫通するスルーホールを介して制御電極7(制御端子104)と接続されている。ここで、制御電極7(制御端子104)は、基板2aおよび2bを貫通するスルーホールを介して第1の容量素子電極21と接続されている。そして、第1の容量素子電極21は、基板2bを電極間誘電体として第1の接地導体11との間で容量素子C1を形成している。
また、第1のダイオード素子91(D1)のアノードは、基板2iを貫通するスルーホール、第3の線路83、基板2c乃至2hを貫通するスルーホールを介して第2の容量素子電極22と接続されている。第2の容量素子電極22は、基板2bを電極間誘電体として第1の接地導体11との間で容量素子(C2)を形成している。
さらに、第1のダイオード素子91(D1)のアノードは、基板2iを貫通するスルーホール、第3の線路83および基板2f乃至2hを貫通するスルーホールを介して、第2のインダクタ線路52の一端、すなわち第2のインダクタ線路32および52からなるインダクタ(L2)の一端と接続されている。インダクタ(L2)の他端である第2のインダクタ線路32の一端は、基板2a乃至2cを貫通するスルーホールを介して送信信号入力電極5(送信信号入力端子103)と接続されている。ここで、送信信号入力電極5は、基板2aおよび2bを貫通するスルーホールを介して第3の容量素子電極23と接続されている。第3の容量素子電極23は、基板2bを電極間誘電体として第1の接地導体11との間で容量素子(C3)を形成している。
ここで、図3を参照して、基板2a乃至2iの基板の厚さ、各基板に形成される回路要素の特徴について詳細に説明する。
図3に示すように、インダクタ(L1およびL2)や配線路(PS他)を構成する第1のインダクタ線路31、41および51、第2のインダクタ線路32および52、移相線路42、第1乃至第6の線路81乃至86を形成する導体層は、容量素子(C1乃至C4)を構成する第1乃至第3の容量素子電極21乃至23、第4の容量素子電極71ならびに第1および第2の接地導体11および61を形成する導体層と比較して、導体層の厚さが厚く形成されている。また、この実施形態に係る複合高周波部品1では、容量素子(C1乃至C3およびC4)と、インダクタ等(L1およびL2ならびにPS)とが、同一の基板上ではなく異なる基板上に形成されている。
一般に、導体層を形成した基板を積層してなる複合高周波部品では、導体層が薄くなるため、インダクタや配線路などの線路幅の狭い伝送線路においてパターン切れを生ずる可能性が高くなる。しかし、この実施形態の複合高周波部品1によれば、インダクタや配線路などの線路幅の狭い伝送線路を形成する導体層を、容量素子パターンの電極層(導体層)よりも、厚さを厚く形成したので、伝送路パターン切れ等によるパターンOPEN不良を少なくすることができる。
また、導体層を形成した基板を積層してなる複合高周波部品では、容量素子を構成する電極の厚さと、基板間の間隔に不均衡を生じて、各基板に形成された導体層相互間でショートする可能性が高くなる。しかし、この実施形態の複合高周波部品1によれば、容量素子パターンの電極層を薄く形成したので、基板間のショートを防ぐことができる。
さらに、この実施形態の複合高周波部品1によれば、前述のとおり導体層の厚さを厚くすることが望ましいインダクタなどの伝送線路と、同じく導体層の厚さを薄くすることが望ましい容量素子パターンとを、別々の基板に形成したので、各々の導体層の厚さに最適な印刷条件を適用して導体層の印刷を行うことができる。すなわち、各基板の導体層を形成する工程において、印刷性を向上することができる。
また、図3に示すように、インダクタや配線路などの伝送線路が形成される基板2c乃至2e、2hは、容量素子の電極間誘電体として作用する基板2bおよび2gと比較して、基板の厚さが厚く形成されている。
前述のとおり、インダクタなどの伝送線路を構成する導体層は、厚さを厚くする方がパターン切れなどによる不良を少なくすることが可能になる。一方、インダクタなどの伝送線路は線路幅が狭いため、導体層の厚さが厚くなることにより、基板を積層した場合に基板を挟んだインダクタ線路間、伝送線路間でショートを生じやすくなる。しかし、この実施形態の複合高周波部品1によれば、インダクタや伝送線路が形成される基板を容量素子が形成される基板よりも厚さを厚く形成したので、かかるショートを未然に防ぐことが可能になる。
さらに、チップ部品が形成される基板2iには、金属キャップ用パッド94およびパッド95を構成する導体層のみが形成されている。そして、チップ部品間を接続する配線路は、基板2iより下層の基板2hに形成されている。
チップ部品間の接続のための配線路は、チップ部品が配設される基板と同一の基板に形成すれば、積層する基板の数を減らすことが可能である。しかし、チップ部品を配設する基板に配線路も併せて形成すると、チップ部品のはんだ付け工程において当該配線路を覆い隠すソルダーレジストを施す工程が必要となってしまう。
この実施形態の複合高周波部品1によれば、チップ部品形成面である基板2iの一方の主面に金属キャップ用パッド94やパッド95のみが形成され、チップ部品間の接続(パッド間の接続)を担う第1乃至第8の線路81乃至86は、チップ部品が形成される基板2iではなく、一つ下の層に該当する基板2hに形成したので、基板2iの製造工程において線路を被覆するソルダーレジストが不要となり、印刷パターンのずれ等を考慮する必要がなくなり、印刷工程での不具合を減らすことができる。
続いて、図4を参照して、この複合高周波部品1の動作について説明する。この複合高周波部品1においては、送信状態のときに制御端子104(制御電極7)に所定の直流電圧、例えば数V程度の直流電圧を印加し、受信状態のときに制御端子104を0Vとする。
受信状態の場合、アンテナ101により励起された受信信号は、移相線路PS(移相線路42)およびダイオードD1(第1のダイオード素子91)に入力される。ここで、制御端子104(制御電極7)は、0Vとされているから、ダイオードD1はオフ状態となる。したがって、受信信号は移相線路PSのみに流れ込み、受信信号出力端子102(受信信号出力電極6)から出力される。
次に、送信状態の場合、送信信号入力端子103(送信信号入力電極5)に送信信号が入力される。ここで、インダクタL2、容量素子C2およびC3は、送信信号を通過するように設計されたπ型のローパスフィルタを構成している。したがって、送信信号はインダクタL2(第2のインダクタ線路32および52)を通過してダイオードD1に入力される。送信状態では制御端子104には直流電圧が印加されているから、ダイオードD1はオン状態であり、送信信号はダイオードD1を通過する。
ここで、制御端子104に印加された直流電圧は、インダクタL1、ダイオードD1、移相線路PS、ダイオードD2および抵抗Rの順に流れるので、ダイオードD2はオン状態となる。そうすると、ダイオードD2のアノードは容量素子C4を介して高周波的に接地され、アンテナ側からみた移相線路PSのインピーダンスが大となる。したがって、送信信号は移相線路PSを通過せず、アンテナ101から出力される。
前述のとおり、インダクタL1は、制御電極7に印加された制御信号を伝送するチョークコイルの作用をする。一方、インダクタL2は、送信信号たる高周波信号を伝送するローパスフィルタのインダクタとして作用する。
図2および図3に示すように、この実施形態の複合高周波部品1によれば、高周波信号が通過するインダクタL2を構成する第2のインダクタ線路32および52について、制御信号のみが通過するインダクタL1を構成する第1のインダクタ線路31、41および51よりも線路幅を広く形成したので、インダクタL2の導体損を抑えることができ、高周波信号の減衰を最小限にすることができる。また、インダクタL1を構成する第1のインダクタ線路31、41および51は、線路幅を狭く形成したので、基板上の占有スペースを抑えることができる。
次に、図3乃至図5を参照して、この実施形態の複合高周波部品1における、第4の容量素子電極71および第2の接地導体61が形成する容量素子(C4)の配置について詳細に説明する。図5は、容量素子C4の配置および動作を説明する図である。ここで、図5(a)は、図4に示す容量素子C4およびダイオードD2の接続を示す図、図5(b)は、容量素子C4を形成する第4の容量素子電極71を下層の基板(第1乃至第3の容量素子電極21乃至23と同じ基板2b)に形成した例を示す図、図5(c)は、同じく第4の容量素子電極71を上層の基板(基板2g)に形成した例を示す図である。
図4に示す容量素子C4は、前述した複合高周波部品1の動作から明らかなように、送受信制御のために信号線を高周波的に接地させる作用をしている。したがって、信号線を高周波的に接地する状態においては、ダイオードD2のカソードからグラウンドまでのインピーダンスが充分に低くなる必要がある。
図5(a)に示すダイオードD2および容量素子C4の短絡回路を形成する場合、複合高周波部品1の下層部に配置する方法と(図5(b))、同じく上層部に配置する方法(図5(c))が考えられる。
まず、図5(b)に示すように、容量素子C4を複合高周波部品1の下層部である基板2bに形成した場合を考える。この場合、第4の容量素子電極71は、第1乃至第3の容量素子電極21乃至23と同様に、基板2bの一方の主面に形成される。そうすると、第4の容量素子電極71とダイオードD2(第2のダイオード素子92)のカソードとを接続するためには、基板2c乃至2iを貫通するスルーホール111aを設ける必要がある。
一方、第1の接地導体61は、複数のスルーホール112aにより接地電極3cと電気的に接続されている。したがって、スルーホール111aのインピーダンスをL1、スルーホール112aのインピーダンスをL2、スルーホール112aが3本あった場合に、ダイオードD2のカソードから接地電極3cまでのインピーダンスのインダクタ成分は、L1+L2/3で表すことができる。
次に、図5(c)に示すように、容量素子C4を複合高周波部品1の上層部である基板2gに形成した場合、すなわちこの実施形態の場合について考える。この場合、第4の容量素子電極71は、基板2gの一方の主面に形成される。そうすると、第4の容量素子電極71とダイオードD2のカソードとを接続するためには、基板2hおよび2iを貫通するスルーホール111bを設ける必要がある。
第1の接地導体61は、図5(b)の場合と同様に、複数のスルーホール112bにより接地電極3cと電気的に接続されている。したがって、スルーホール111bのインピーダンスをL3、スルーホール112bのインピーダンスをL4、スルーホール112bが3本あったとすると、ダイオードD2のカソードから接地電極3cまでのインピーダンスのインダクタ成分は、L3+L4/3で表すことができる。
ここで、図5(b)および(c)を対比すると、各基板を貫通するスルーホールのインピーダンスが概ね等しいとして、L1≒L4>L2≒L3、であるとすれば、L3+L4/3≒L2+L1/3<L1+L2/3となり、図5(c)に示す構成のほうがインピーダンスのインダクタ成分が小さいことがわかる。
すなわち、この実施形態によれば、第4の容量素子電極71を、第1乃至第3の容量素子電極21乃至23が形成された基板2bよりも上層、かつチップ部品と近くなるように配置するとともに、対向する第2の接地導体61と外部グラウンドである接地電極3cとを複数のスルーホールで接続したので、容量素子C4が信号線とグラウンドとを短絡する場合にインピーダンスを低くすることができ、より理想的な短絡状態を得ることができる。
次に、図6を参照して、この実施形態の複合高周波部品1におけるインダクタL1およびL2の配置について詳細に説明する。図6は、この実施形態の複合高周波部品1における基板2c乃至2eの拡大図である。
図6に示すように、基板2c乃至2eには、鉤状の第1のインダクタ線路31、41および51が形成されている。そして、第1のインダクタ線路31、41および51は、基板2dおよび2eに形成されたスルーホールを介して直列接続され、図4に示すインダクタL1を構成している。すなわち、インダクタL1は、互いに基板2dの厚さD2dだけ離間した第1のインダクタ線路31および41、ならびに互いに基板2eの厚さD2eだけ離間した第1のインダクタ線路41および51を直列接続したものである。
一方、基板2cおよび2eには、鉤状およびコ字状の第2のインダクタ線路32および52が形成されている。そして、第2のインダクタ線路32および52は、基板2dおよび2eに形成されたスルーホールを介して直列接続され、図4に示すインダクタL2を構成している。すなわち、インダクタL2は、互いに基板2dおよび2eの厚さD2d+D2eだけ離間した第2のインダクタ線路32および52を直列接続したものである。
前述した複合高周波部品1の動作から明らかなように、インダクタL1は、複合高周波部品1の送受信切換をする制御信号供給線のチョークコイルとして作用し、また、インダクタL2は、高周波信号の高調波を除去するローパスフィルタのインダクタとして作用する。したがって、高周波信号を通すインダクタL2の方が制御信号を通すインダクタL1よりもサイズが小さく、インダクタL2のインダクタンスはインダクタL1のインダクタンスよりも小さくなっている。また、前述したとおり、第2のインダクタ線路32および52からなるインダクタL2の線路幅は、第1のインダクタ線路31、41および51からなるインダクタL1の線路幅よりも狭く形成されている。
一般に、サイズの小さい導体層パターンは、パターン印刷上のばらつきの影響を大きく受けるため、精度を維持するのが困難である。また、高周波信号を伝送するインダクタは、周波数が高くなるほど周囲の導体の影響を受けやすくなり、寄生容量を生じやすくなる。特に、図6に示すように複数のインダクタ線路を直列接続して所望のインダクタを得る場合、複合高周波部品1が用いられるような高い周波数(高周波領域)では、直列接続したインダクタ線路相互間の寄生容量や、相互インダクタンスの影響が無視できなくなってしまう。
この実施形態の複合高周波部品1によれば、サイズが小さく、加工上のばらつきの影響を受けやすい第2のインダクタ線路32および52の各線路間の厚さ(D2d+D2e)を、サイズが大きく加工上のばらつきの影響を受けにくい第1のインダクタ線路31と41および41と51の線路間の各厚さ(それぞれD2dおよびD2e)よりも厚く形成したので、線路間に生ずる寄生容量の影響を最小限にすることができ、加工上のばらつきによるインダクタL2の特性のばらつきを最小限にすることができる。
次に、図7を参照して、本発明の他の実施の形態について詳細に説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、この実施形態の無線装置120は、本発明の第1の実施形態に係る複合高周波部品1、アンテナ121、送受信制御部122、送信部123および受信部124からなる。複合高周波部品1のアンテナ接続電極4には、アンテナ121への接続線路が接続されている。送信信号入力電極5および受信信号出力電極6は、それぞれ送信部123および受信部124が接続され、送信部123および受信部124は、それぞれマイクやスピーカなどが接続されている。制御電極7には、送受信制御部122が接続されている。
送受信制御部122は、高周波スイッチとしての複合高周波部品1の送受信状態を切り替える作用をする。送信部123は、変調器や周波数変換器などからなり、送信対象信号を高周波信号に変換する作用をする。受信部124は、周波数変換器や復調器などからなり、アンテナ121により励起された受信信号を所望信号に変換する作用をする。
以下、この無線装置120の動作を説明する。受信状態の場合、送受信制御部122は、制御信号としてゼロ電圧を制御電極7に与える。制御信号がゼロの場合、複合高周波部品1は、アンテナ接続電極4と受信信号出力電極6とを高周波的に接続する。したがって、アンテナ121により励起された受信信号は、アンテナ接続電極4、複合高周波部品1および受信信号出力電極6を通過して受信部124に入力される。受信部124は、受信信号を復調してスピーカに復調された信号を出力する。
送信状態の場合、送受信制御部122は、制御信号として所定の直流電圧を制御電極7に与える。制御信号が所定の直流電圧の場合、複合高周波部品1は、アンテナ接続電極4と送信信号入力電極5とを高周波的に接続する。したがって、マイクから入力され送信部123により変調されて高周波信号となった送信信号は、送信信号入力電極5、複合高周波部品1およびアンテナ接続電極4を通過してアンテナ121に入力され、電波が放射される。
この無線装置120によれば、本発明の第1の実施形態に係る複合高周波部品1を備えるので、安価で小型な無線装置を実現することができる。
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではない。
上記した実施形態の複合高周波部品1では、無線装置などに用いられる高周波スイッチ回路を構成しているが、これに限定されるものではない。すなわち、回路要素を形成した基板を積層してなる複合高周波部品であって、回路要素として容量素子やインダクタなどの伝送線路を含むものであれば、どのような回路を構成しても同様の効果を得ることができる。このような複合高周波部品を構成する回路として、例えば、インダクタおよび容量素子を有するフィルタ回路、移相回路、ダイプレクサ、同調回路、発振回路、増幅回路などとしてもよい。
また、上記した実施形態の無線装置120では、マイクからの信号を送信部に入力し、受信部からの信号をスピーカに出力しているが、これに限定されるものではない。すなわち、マイクやスピーカの代わりにデータ通信端末等を備えてもよい。
本発明に係る複合高周波部品、無線装置は、部品製造関連産業や通信機器製造関連産業などにおいて利用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る複合高周波部品の外観を示す図である。 この実施形態の複合高周波部品の基板に形成される回路要素の形状を示す図である。 この実施形態の複合高周波部品の各基板を分離した状態の全体構成を示す図である。 この実施形態の複合高周波部品の等価回路を示す図である。 この実施形態の複合高周波部品における容量素子C4の配置および動作を説明する図である。 この実施形態の複合高周波部品における基板2c乃至2eの拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…複合高周波部品、2…基板、3…接地電極、4…アンテナ接続電極、5…送信信号入力電極、6…受信信号出力電極、7…制御電極、11…第1の接地導体、21…第1の容量素子電極、22…第2の容量素子電極、23…第3の容量素子電極、31…第1のインダクタ線路、32…第2のインダクタ線路、41…第1のインダクタ線路、42…移相線路、51…第1のインダクタ線路、52…第2のインダクタ線路、61…第2の接地導体、71…第4の容量素子電極、81…第1の線路、82…第2の線路、83…第3の線路、84…第4の線路、85…第5の線路、86…第6の線路、91…第1のダイオード素子、92…第2のダイオード素子、93…抵抗素子、94…金属キャップ用パッド、95…パッド、101…アンテナ、102…受信信号出力端子、103…送信信号入力端子、104…制御端子、111…スルーホール、112…スルーホール、120…無線装置、121…アンテナ、122…送受信制御部、123…送信部、124…受信部。

Claims (5)

  1. 同時焼成により形成された導体層が形成された複数のセラミック基板を含む積層基板からなり高周波信号を切り替える高周波スイッチをなす複合高周波部品であって、前記積層基板は、
    一方の主面に第1の導体層が形成され、他方の主面に前記高周波信号を入出力する信号電極、制御信号を入出力する制御電極、および前記第1の導体層とスルーホールを介して接続され接地点を接続する接地電極がそれぞれ形成された第1のセラミック基板と
    前記第1の導体層を挟んで前記第1のセラミック基板上に積層した第2のセラミック基板と、
    前記第2のセラミック基板を挟んで前記第1の導体層と相対する側に形成され、前記第1の導体層と関連して第1のキャパシタを構成する第2の導体層と、
    前記第2の導体層を挟んで前記第2のセラミック基板上に積層した第3のセラミック基板と、
    前記信号電極からスルーホールを介して伝送される高周波信号を伝送する第1の伝送線路および前記制御電極からスルーホールを介して伝送される制御信号を伝送する第2の伝送線路を構成し、前記第3のセラミック基板を挟んで前記第2の導体層と相対する側に前記第2の導体層よりも厚く形成された第3の導体層と、
    前記第3の導体層を挟んで前記第3のセラミック基板上に積層され前記第2のセラミック基板よりも厚さが厚い第4のセラミック基板と、
    前記信号電極からスルーホールを介して伝送される高周波信号を伝送する第3の伝送線路および前記制御電極からスルーホールを介して伝送される制御信号を伝送する第4の伝送線路を構成し、前記第4のセラミック基板を挟んで前記第3の導体層と相対する側に前記第2の導体層よりも厚く形成された第4の導体層と、
    前記第4のセラミック基板に対して前記第4の導体を挟む位置に配設された第5のセラミック基板と、
    前記第5のセラミック基板を挟んで前記第4の導体層と相対する側に形成され、前記接地電極とスルーホールを介して接続された第5の導体層と、
    前記第5の導体層を挟んで前記第5のセラミック基板上に積層された第6のセラミック基板と、
    前記第6のセラミック基板を挟んで前記第5の導体層と相対する側に形成され前記第5の導体層と関連して第2のキャパシタを構成する第6の導体層と、
    スルーホールを介して前記第6の導体層と電気的に接続され前記第2のキャパシタを介して高周波的に接地されるスイッチ素子をなすチップ部品が一方の主面に配設されるとともに、スルーホールを介して前記チップ部品同士を電気的に接続する第7の導体層が他方の主面に配設された第7のセラミック基板と、
    前記第6の導体層および前記第7の導体層を挟んで前記第6のセラミック基板および前記第7のセラミック基板の間に積層された第8のセラミック基板と
    を含み、
    前記第2のキャパシタを構成する前記第5の導体層、前記第6のセラミック基板および前記第6の導体層は、前記チップ部品から前記第6の導体層までの電気長が、前記第5の導体層から前記接地電極までの電気長よりも短くなる位置に配設されていること
    を特徴とする複合高周波部品。
  2. 前記第1の伝送線路は、前記第2の伝送線路よりも線路幅が広く形成されていることを特徴とする請求項1記載の複合高周波部品。
  3. 前記第5の導体層は、前記第1のセラミック基板の接地電極と複数のスルーホールを介して電気的に接続されたことを特徴とする請求項1記載の複合高周波部品。
  4. 同時焼成により形成された導体層が形成された複数のセラミック基板を含む積層基板からなり高周波信号を切り替える高周波スイッチをなす複合高周波部品であって、前記積層基板は、
    一方の主面に第1の導体層が形成され、他方の主面に前記第1の導体層とスルーホールを介して接続され接地点を接続する接地電極がそれぞれ形成された第1のセラミック基板と、
    前記第1のセラミック基板に対して前記第1の導体を挟む位置に配設された第2のセラミック基板と、
    前記第2のセラミック基板を挟んで前記第1の導体層と相対する側に形成され、前記接地電極とスルーホールを介して接続された第2の導体層と、
    前記第2の導体層を挟んで前記第2のセラミック基板上に積層された第3のセラミック基板と、
    前記第3のセラミック基板を挟んで前記第2の導体層と相対する側に形成され前記第2の導体層と関連してキャパシタを構成する第3の導体層と、
    前記第3の導体層を挟んで前記第3のセラミック基板上に積層され、スルーホールを介して前記第3の導体層と電気的に接続され前記キャパシタを介して高周波的に接地されるスイッチ素子をなすチップ部品が前記第3の導体層と相対する側の主面に配設された第4のセラミック基板とを含み、
    前記キャパシタを構成する前記第2の導体層、前記第3のセラミック基板および前記第3の導体層は、前記チップ部品から前記第3の導体層までの電気長が、前記第2の導体層から前記接地電極までの電気長よりも短くなる位置に積層されていること
    を特徴とする複合高周波部品。
  5. 前記第2の導体層は、前記第1のセラミック基板の接地電極と複数のスルーホールを介して電気的に接続されたことを特徴とする請求項4記載の複合高周波部品。
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